JP5460090B2 - 透明導電性フィルム及びタッチパネル、並びにフレキシブル表示体 - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電性フィルム、特にペン入力用タッチパネルに用いた際に、優れたペン摺動耐久性を有するタッチパネルに関するものである。また、電子ペーパー、有機ELなどの電極に用いることで、柔軟性、耐屈曲性に優れたフレキシブル表示体に関するものである。
透明な高分子有機化合物の基板上に、透明でかつ抵抗が小さい無機導電性化合物を積層した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどのようなフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極など、電気、電子分野の用途で広く使用されている。
近年、携帯情報端末、タッチパネル付きノートパソコン、ゲーム機の普及により、これまでよりもさらにペン摺動耐久性に優れたタッチパネルが要求されるようになってきた。
特に携帯機器搭載のタッチパネルの場合、搭載エリアが制限されるため、LCDやタッチパネルの額縁エリアを十分に広く取ることが出来ない。そのため、狭額縁対応のタッチパネルはそのエッチ部へのペン入力時に、可動電極(フィルム電極)側の変形が非常に大きくなり、無機導電性化合物がその変形に耐え切れずにクラックなどの破壊が生じてしまう。そのため、柔軟性、耐屈曲性に優れた透明導電性フィルムが必要とされる。
また、近年、有機又は無機ELを発光体に用いた表示体が、自発光、薄さの観点から注目を集めている。また、荷電粉体を用いたり、コレステリック液晶を用いた電子ペーパーも、省電力、薄さの観点から注目されている。
現状ではこれらの表示体の透明電極としては、ガラス板の上に酸化インジウムにスズをドープしたITOなどの無機導電性化合物の薄膜を成膜した透明導電性ガラスが用いられている。しかしながら、透明導電性ガラスは曲げることが出来ないばかりか、割れやすいため電子ペーパーの電極材料としては本来好ましくない。
そこで特許文献1のようにプラスチックフィルム上に有機高分子導電性化合物を積層することが提案されている。これらの積層体はすべて有機物から構成されているので、柔軟性に優れ、また、衝撃で割れたりすることもない。さらにこの割れにくいという特長から、厚さを薄くすることが可能となる。以上より、プラスチックフィルム上に有機高分子導電性化合物を積層した透明導電性フィルムは、電子ペーパーの電極フィルムやタッチパネルの可動電極フィルムとして非常に適している。
しかしながら、有機高分子導電性化合物は、耐熱性が十分ではない。例えば、タッチパネル製造工程の加熱温度は120〜150℃であり、30〜60分の加熱時間を要する。この加熱工程後の表面抵抗値は加熱前の2倍以上に上昇してしまうという問題があった。また、電子部品として標準的な環境安定性、60℃90%RH500時間、あるいは90℃500時間の信頼性試験後でも表面抵抗値は初期値に対して3倍以上に上昇してしまうという問題があった。
さらに電子ペーパーの電極フィルムやタッチパネルの可動電極フィルムの導電層として有機高分子導電性化合物を用いると、外部の駆動回路との接続部、例えばタッチパネルの場合であれば、導電層上に形成された銀ペースト電極、電子ペーパーなどの表示体であれば異方性導電フィルムとの接続部、において接触抵抗が生じてしまう。これは銀ペーストや異方性導電フィルムが金属などの無機材料で形成されているため、有機高分子導電性化合物との間で仕事関数が異なるため、単純な接続ではオーミックコンタクトが出来ないからである。
また、特許文献2には、プラスチックフィルム上に有機高分子導電性化合物層と無機導電性化合物層との積層する組み合わせが提案されている。しかしながら、無機導電性化合物層上に有機高分子導電性化合物層を形成する際に、有機高分子導電性化合物を溶解したコート剤が酸性であるため、無機導電性化合物がこの酸性コート液でダメージを受けてしまうため、好ましくない。このため、参考文献3には、プラスチックフィルム上に無機導電性化合物層を積層し、さらにコート液が酸性でない有機高分子導電性化合物層を積層した透明導電性フィルムが提案されている。しかしながら、この積層順の透明導電性フィルムは伸び変形などの機械的ストレスを加えた際に、無機導電性化合物層が破断すると同時に、この上の有機高分子導電性化合物層も破断してしまい、積層することで有機高分子導電性化合物が本来有する柔軟性が失われてしまう。
また、特許文献3には、プラスチックフィルム上に有機高分子導電性化合物層を積層し、さらに無機導電性化合物層を積層した透明導電性フィルムも組み合わせのひとつとして提案されている。しかしながら、光線透過率及び表面抵抗値のバランスから有機高分子導電性化合物の厚さが規定されているのみであり、有機高分子導電性化合物が本来有する柔軟性を発現するための提案はなされていない。
特開2006−302561号公報 特開2005−19056号公報 特開2007−73498号公報
本発明の目的は、前記の従来の問題点に鑑み、タッチパネルの可動電極フィルムに用いた際にその柔軟性から額縁耐久性に優れ、かつ、電子ペーパーの電極フィルムに用いた際にその柔軟性から曲げられる表示体を提供でき、更に耐熱性、環境安定性にも優れている透明導電性フィルムを提供することにある。さらに銀ペーストなどの無機材料との接触抵抗も低く、外部駆動回路との接続も容易である透明導電性フィルムを提供することである。
これらの課題を克服するために、透明な有機高分子フィルム上にまず有機高分子導電性化合物からなる層を形成し、この上に、無機導電性化合物からなる層を形成した透明導電性フィルムが好ましい。
本発明の技術思想の着眼点は、耐熱性、環境安定性に優れ、かつ、無機材料との接触抵抗が低い透明な無機導電性化合物からなる層を用い、この無機導電性化合物が曲げ、伸張などの変形時に生じるクラックを下地に用いた有機高分子導電性化合物からなる層でバイパスすることで、表面抵抗値の上昇を抑制できる点である。
すなわち、本発明は、
[1] 透明な有機高分子フィルムの基板上に、透明な有機高分子導電性化合物層が形成され、さらにその上に透明な無機導電性化合物層が形成されている透明導電性フィルムであって、該無機導電性化合物層が形成されている面の十点平均粗さRzが3〜30nmであることを特徴とする透明導電性フィルム;
[2] 前記無機導電性化合物層が形成されている面の初期抵抗値をR0とし、1%の伸張試験を繰り返し3万回おこなった後の抵抗値をRとした時、R/R0が1.0〜1.1であることを特徴とする前記[1]に記載の透明導電性フィルム;
[3] 前記無機導電性化合物層がインジウム、スズ、亜鉛、アンチモン、チタン、ニオブ、ガリウム及びアルミニウムよりなる群から選ばれる2種類以上の金属の酸化物からなり、表面抵抗値が10kΩ/□以下であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の透明導電性フィルム;
[4] 前記有機高分子導電性化合物層の表面抵抗値が100kΩ/□以下であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1に記載の透明導電性フィルム;
[5] 前記有機高分子導電性化合物層の厚さが10〜200nmであることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか1に記載の透明導電性フィルム;
[6] 前記有機高分子導電性化合物層が、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、これらの誘導体、及びこれらの単量体の共重合物よりなる群から選ばれる1種または2種以上の導電性高分子からなることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか1に記載の透明導電性フィルム;
[7] 前記無機導電性化合物層に亀裂が形成されていることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか1に記載の透明導電性フィルム;
[8] 前記無機導電性化合物層の亀裂が、1μm以下の幅であり、かつ、厚さ方向に貫通しており、かつ、100μm当たりに5〜50本あることを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれか1に記載の透明導電性フィルム;
[9] 無機導電性化合物層を有する一対のパネル板を無機導電性化合物層が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルにおいて、少なくとも一方のパネル板が前記[1]〜[8]のいずれか1に記載の透明導電性フィルムであることを特徴とするタッチパネル;
[10] 無機導電性化合物層を有する一対のパネル板を無機導電性化合物層が対向するように配置して、この隙間に、有機又は無機の発光体、液晶又は粉体を閉じ込めた構成からなる表示体において、少なくとも一方のパネル板が前記[1]〜[8]のいずれか1に記載の透明導電性フィルムであることを特徴とするフレキシブル表示体
を提供する。
本発明は、上記の技術思想に基づきなされたものであり、前記の課題を解決することができた透明導電性フィルム、タッチパネル及びフレキシブル表示体とは、以下の構成である。
なお、本発明の透明導電性フィルム、透明な有機高分子フィルム、及び透明な無機導電性化合物層における「透明」とは、無色透明、有色透明を問わず、JIS K 7361に準拠して測定される全光線透過率が80%以上であることを意味する。
本発明の透明導電性フィルムは延展性に優れており、さらに疲労試験においても抵抗値変化が極めて少ない。また、環境安定性にも優れ、銀ペーストとの接触抵抗も低く良好である。また、タッチパネルに用いた際のペン入力耐久性にも優れており、特にタッチパネル周辺貼り合せ部の耐久性に優れる。また、本発明の透明導電性フィルムを電子ペーパーや有機ELなどの電極に用いると、柔軟性、耐屈曲性に優れたものが得られる。
本発明の透明導電性フィルムを用いたタッチパネルの断面構造である。 本発明の透明導電性フィルムを用いた電子ペーパーの断面構造である。 接触抵抗評価に用いた本発明の透明導電性フィルムの模式図である。
本発明の透明導電性フィルムは、プラスチックフィルムなどの透明な有機高分子フィルムの基板上にまず有機高分子導電性化合物が形成され、さらにこの上に無機導電性化合物が積層された構成である。このため、透明導電性フィルムを伸び変形させた際に、無機導電性化合物層にクラックが生じても、この下の有機高分子導電性化合物層は無機導電性化合物層に接している近傍のみにクラックが発生するため、バイパス効果のために透明導電性フィルム自体は導電性を保持することが可能である。
しかしながら、有機高分子導電性化合物及び/又は無機導電性化合物の厚さの不均一が存在すると、伸び変形させた際に、厚さの薄い部位に応力が集中してしまい、無機導電性化合物層のクラックだけでなく、有機高分子導電性化合物もこの応力で破断してしまう。この厚さムラを示す指標として、無機導電性化合物層上の表面粗さは有効な値である。無機導電性化合物層が形成されている面の表面粗さのうち十点平均粗さRzを所定の範囲とすることで、伸び変形させても表面抵抗の変化が少なく、柔軟性に優れた透明導電性フィルムを提供することが可能となる。無機導電性化合物層の厚さは通常3〜30nmが好ましくは、Rzが30nmよりも大きい場合には各層の厚さが非常に不均一となり、伸び変形の際に応力が集中するため、十分な柔軟性が発現しない。また、Rzが3nmよりも小さい場合には、実質的に有機高分子導電性化合物及び無機導電性化合物などの膜厚を極めて薄くする必要があり、表面抵抗が非常に高くなり、又は、有機高分子導電化合物のバイパス効果が発現しなくなるため好ましくない。
このように平滑な有機高分子導電性化合物層を得るためには、塗工する透明な有機高分子フィルムと積層する有機高分子導電性化合物を溶解させたコート液との相性をよくすることが重要である。すなわち、有機高分子導電性化合物を溶解させる有機溶剤を選定する際に、有機溶剤の溶解パラメーター(SP値)を有機高分子導電性化合物と透明な有機高分子フィルムとの両方に近い物を選ぶことが重要である。しかしながら、有機高分子導電性化合物と透明な有機高分子フィルムとの両者に相性のよい系の有機溶剤の混合物を選定するのは非常に難しい。
そこで、有機高分子導電性化合物を溶解させたコート液と相性がよいように、透明な有機高分子フィルムの基板の表面を改質することは有効な手段である。表面の改質には、洗剤や有機溶剤、酸・アルカリ性水溶液への浸漬によるウエット工程による方法と、紫外線照射、プラズマ処理、イオン照射などのドライ工程による方法がある。
洗剤を用いた表面処理としては陰イオン系、陽イオン系、中性のものを用い、必要に応じて、イオン系もしくは非イオン系の界面活性剤を添加してもよい。さらに透明な有機高分子フィルムを単に洗剤中に浸漬するだけでなく、超音波を印加するなどの機械的手法を併用することでさらに表面処理の効果を高めることが可能となる。また、アセトン、トリクロロエチレン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤を用いた表面処理方法においても、単に浸漬するだけでも良いし、超音波を印加するなどの機械的手法を併用する方法、有機溶剤の蒸気を用いる方法などでもよい。
酸性水溶液による表面処理に用いられる酸としては、塩酸、硫酸、フッ酸、硝酸などの単独酸もしくは混酸が挙げられ、アルカリ性水溶液による表面処理に用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムなどを単独もしくは混合したものが挙げられる。また、酸・アルカリ性水溶液を洗剤中に混合したものを用いることで、表面処理の効果をさらに高めことが可能である。
以上のようなウエット工程による表面処理を行った後に、汚れを落とすために用いた媒質を除去、乾燥する。例えば、純水を用いたリンスを十分に行い、透明な有機高分子フィルムの基板の引き上げに注意を払い、窒素ブローなどで素早く乾燥させ、表面に純水の斑紋が残らないようにする。
また、低圧もしくは高圧紫外線ランプを用いて紫外線を照射し、透明な有機高分子フィルムの基板上の汚染物を分解、除去し、さらに照射量を増やすことで表面に水酸基やカルボン酸基を生成して高活性な透明な有機高分子フィルム表面を得ることも可能となる。
また、真空中でイオンやプラズマあるいは電子線を照射するのも有効な手段である。低エネルギーのグロー放電を用いる際にはイオン照射にするスパッタリング及び表面改質が有効である。放電を発生させるためのガスとArなどの希ガスやO2、N2、CH4、N2Oなどの反応性ガスを単独又はこれらの混合ガスとして用いるのが有効である。また、300eV以上のより高エネルギーなイオン照射や電子線照射も有効である。
また、真空を用いず大気圧下で放電を発生させて、表面処理を行うことも有効である。基本的には大気中の窒素ガスによる放電であるが、必要によりアルゴン、ヘリウム、酸素などを添加してもよい。本方式は真空排気系が不必要なため、簡便にかつ高効率な表面処理を行うことができる。
以上のようにして作製した無機導電性化合物層が形成されている面の十点平均粗さRzが3〜30nmの範囲の透明導電性フィルムは、伸び変形に対する表面抵抗の変化がほとんどない。そのため、1%の伸張試験を繰り返し行っても表面抵抗は、初期抵抗値R0に対する引っ張り回数3万回後の抵抗値Rの比R/R0において1.0〜1.1程度である。
本発明の透明導電性フィルムは無機導電性化合物層にそれを貫通する亀裂が生じても、有機高分子導電性化合物層でバイパスするため、表面抵抗値の変化が極めて少ない。この特性をより有効に利用するために、無機導電性化合物層を成膜した直後に亀裂を生じさせた後に、タッチパネルや電子ペーパーのデバイスに提供することも可能となる。すなわち、タッチパネルや電子ペーパーに用いた際には既に無機導電性化合物層に亀裂が生じているため、実使用で変形が加わっても本発明の透明導電性フィルムの表面抵抗値は変化しないことなり、より耐久性に優れたタッチパネルや電子ペーパーを提供することが可能となる。
この亀裂は、無機導電性化合物層を貫通し、幅が1μm以下であり、かつ、100μm当たりに5〜50本の範囲であることが好ましい。
(透明な有機高分子フィルム基板)
本発明において、透明導電性フィルムの基板として用いる透明な有機高分子フィルムとは、有機高分子を溶融押出し又は溶液押出しをして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムである。有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。
これらの有機高分子のなかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレートなどが好適である。また、これらの有機高分子には他の有機重合体の単量体を少量共重合したり、他の有機高分子をブレンドしてもよい。
本発明で用いる透明な有機高分子フィルムの厚さは、10μmを超えて300μm以下の範囲であることが好ましく、70〜260μmの範囲が特に好ましい。有機高分子フィルムの厚さが10μm以下では機械的強度が不足し、特にタッチパネルに用いた際のペン入力に対する変形が大きくなり過ぎ、耐久性が不十分となる。一方、厚さが300μmを超えると、タッチパネルに用いた際に、フィルムを変形させるためのペン荷重が大きくなりすぎるため、好ましくない。
本発明のようなできるだけ平滑な有機高分子導電性化合物層を得るためには、この下地層となる高分子フィルムの表面も平滑なほうが好ましい。具体的にはRzが10nm以下であることが好ましくは9nm以下、さらに好ましくはRzが8nm以下である。
通常、フィルムにハンドリング性(易滑性、巻き取り性、耐ブロッキング性など)や耐スクラッチ性などを付与するために、フィルム中に粒子を含有させ、該フィルム表面に凹凸を形成させることが一般に行われている。しかしながら、本発明に用いるプラスチックフィルムの表面は平滑でなければならないので、粒子を含有したプラスチックフィルムは好ましくない。そこで本発明に係るプラスチックフィルムでは、こうした粒子の含有量は少ない方が好ましく、粒子が実質的に存在していないことがより好ましい。なお、「粒子が実質的に存在しない」とは、接着性改
質樹脂層を積層しない基材において、粒子の存在量が蛍光X線分析法の検出限界以下であることを意味する。プラスチックフィルムのハンドリング性や耐スクラッチ性を維持しながら、有機高分子導電性化合物層を形成する面の表面粗さを平滑にするためには、例えば、基材には実質的に粒子を存在させずに、有機高分子導電性化合物層を形成しない面に改質樹脂層を設け、この改質樹脂層のみに粒子を含有させるなどとすればよい。
改質樹脂層を構成する樹脂は、特に制限はないが、共重合ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、およびアクリル系樹脂よりなる群から選択される1種以上を主成分とするものであることが好ましい。なお、改質樹脂層における上記「主成分」とは、該層を構成する樹脂100質量%中、50質量%以上を構成する上に列挙した樹脂の少なくとも1種を意味する。
改質樹脂層に添加する粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデンなどの無機粒子;架橋高分子粒子;シュウ酸カルシウムなどの有機粒子などが挙げられる。改質樹脂層を、共重合ポリエステル樹脂を主体として形成する場合には、シリカが特に好ましい。シリカは、ポリエステルと屈折率が比較的近いため、より透明性に優れた光学用積層フィルムを確保し得る点で最も好適である。
改質樹脂層に含有させる上記粒子は、平均粒径が0.005〜1.0μmであることが、プラスチックフィルムの透明性、ハンドリング性、耐スクラッチ性確保の点から好ましい。粒子の平均粒径の上限は、透明性の点から、0.5μmであることがさらに好ましく、特に好ましくは0.2μmである。また、粒子の平均粒径の下限は、ハンドリング性と耐スクラッチ性の点から、0.03μmであることがさらに好ましく、特に好ましくは0.01μmである。
改質樹脂層中の粒子の含有量は、改質樹脂層の構成成分全量に対して、0.1〜60質量%であることが、プラスチックフィルムの透明性、接着性、ハンドリング性、耐スクラッチ性確保の点から好ましい。粒子の含有量の上限は、透明性と接着性の点から50質量%であることがさらに好ましく、特に好ましくは40質量%である。また、粒子の含有量の下限は、ハンドリング性と耐スクラッチ性の点から1質量%がさらに好ましく、特に好ましくは0.5質量%である。
上記粒子は2種類以上を併用してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合してもよいが、いずれにしても、粒子全体の平均粒径、および合計の含有量が上記範囲を満足することが好ましい。
以上のような本発明に用いるプラスチックフィルムでは、こうした粒子の含有量は少ない方が好ましく、粒子が実質的に存在していないことがより好ましい。さらに有機高分子導電性化合物層を形成しない面に改質樹脂層を設け、この改質樹脂層のみに粒子を含有しているため、非常に光線透過率が高くなり、88%以上であることが好ましく、89%以上であればさらに好ましい。
本発明で用いる透明な有機高分子フィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、前記フィルムにコロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施してもよいのは前述の通りである。
(有機高分子導電性化合物層)
本発明における有機高分子導電性化合物層に用いられる有機高分子導電性化合物は、透明性、導電性、可とう性が優れていることからポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、これらの誘導体、及びこれらの単量体の共重合物から選ばれた導電性高分子のいずれか一種又は二種以上の混合物であることが好ましい。中でも側鎖を導入することにより水あるいはその他の溶媒に可溶性、又は分散性を有するポリチオフェン、この誘導体、及びこれらの単量体の共重合物から選ばれた少なくとも一種の導電性高分子は、透明性、導電性に優れ、かつ高分子フィルム/シート、あるいは金属系導電性薄膜上にコーティングすることができ、適切な厚さの導電性高分子膜を均一に形成できることからより好ましい。特にポリジオキシチオフェンを含有してなる導電性高分子、中でもポリエチレンジオキシチオフェン(PEDT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)からなる導電性高分子は、水あるいはその他の溶媒に溶解、あるいは分散できることから容易に高分子フィルムにコーティングでき、さらに透明性と導電性が特に高い膜を形成できることから最も好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸からなる導電性高分子を水あるいはその他の溶媒に溶解、又は分散した樹脂液の作製方法は特開平7−90060号公報、特許第3210211号公報に提案されている。
本発明における有機高分子導電性化合物層には、ポリスチレン粒子、アクリル樹脂粒子などの粒子を添加することによって、透明導電性フィルムに対する滑性を高めることができる。透明導電性フィルムに対する滑性を高めることによって、タッチパネルに用いた際に対向電極からの衝撃を緩和することが可能となり、ペン入力耐久性が向上する。
また、本発明における有機高分子導電性化合物層には、樹脂を添加することによって、有機高分子導電性化合物層の強度を高めることができる。有機高分子導電性化合物層の強度を高めることによって、擦れや引っ掻きに対する耐久性、あるいは高温高湿度下における品質の安定性を向上することができる。
本発明において有機高分子導電性化合物層を積層する方法としては、電解重合法、蒸着法、コーテイング法(塗工法)などが挙げられ、用途や有機高分子導電性化合物などの種類によって適宜選択でき、特に限定されるものではない。しかし、透明な有機高分子フィルム上に水あるいはその他の溶媒中の有機高分子導電性化合物からなる溶液あるいは分散液をコーティング法によって積層する方法が、透明な有機高分子フィルムのように幅が広く長さが長い基材に、一様に規定の厚さで積層できることから好ましい態様である。コーティング方法は特に限定されるものではないが、スピンコート法、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法などの従来から知られている方法を使用することができる。
有機高分子導電性化合物層の厚さは、10〜200nmが好適である。10nm未満では表面抵抗値が高くなり、後述するクラックバイパス効果がなくなってしまう。また、200nmを超える厚さでは、有機高分子導電性化合物の光吸収により光線透過率が低下してしまう。
この有機高分子導電性化合物層上に無機導電性化合物層を形成した層構成とした透明導電性フィルムは、曲げ変形や伸び変形を行った際に、無機導電性化合物層にクラックが生じてもこの下地に有機高分子導電性化合物が存在するために、抵抗値はこのバイパス効果によってほとんど上昇しない。このバイパス効果を発現するためには有機高分子導電性化合物層の表面抵抗値が100kΩ/□以下であるのが好ましい。
(無機導電性化合物層)
本発明における無機導電性化合物層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などのドライコーティングプロセスを用いて成膜することが好ましい。ウェットコーティングプロセスを用いるよりもドライコーティングプロセスで無機導電性化合物を成膜したほうが、均一な層を形成しやすく、表面粗さの低い透明導電性フィルムが得られやすいためである。
ドライコーティングプロセスを用いて成膜する場合、無機導電性化合物を加熱などのエネルギー印加で気相状の原子、分子状態を作り出した後、有機高分子導電性化合物層に無機導電性化合物の原子、分子が降り積もるようにして無機導電性化合物層が成膜される。このため、無機導電性化合物層は下地である有機高分子導電性化合物層の表面形態を忠実に再現する。すなわち、本発明の透明導電性フィルムの無機導電性化合物層の表面粗さは有機高分子導電性化合物層の表面粗さそのものである。言い換えれば、平滑な表面の無機導電性化合物層を有する透明導電性フィルムを得るためには、平滑な表面を有する有機高分子導電性化合物層を得る必要がある。
本発明で用いる無機導電性化合物としては、透明性及び導電性をあわせもつ材料であれば特に限定されないが、インジウム、スズ、亜鉛、アンチモン、チタン、ニオブ、ガリウム、アルミニウムのいずれかから選ばれる2種類以上の金属の酸化物からなり、表面抵抗値が10kΩ/□以下が好適である。これよりも高い表面抵抗値ではタッチパネルや電子ペーパーに用いた際に電気的な動作が安定しない。
無機導電性化合物層の膜厚は4〜800nmの範囲が好ましく、特に好ましくは5〜500nmである。無機導電性化合物層の膜厚が4nmよりも薄い場合、連続した薄膜になりにくく、そのため良好な導電性を示しにくくなる。また、800nmよりも厚い場合、透明性が低下しやすくなる。
スパッタリング法を用いて成膜するには、金属酸化物ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法などが用いられる。またスパッタリングに用いるための高エネルギーイオンの生成方式として、グロー放電プラズマ法又はイオンビーム法が好ましい。
グロー放電発生方式としては、2極、3極及び4極スパッタリング方式があるが、高密度プラズマ発生には、マグネトロンスパッタリング法が好適である。マグネトロンスパッタリング法は、薄膜形成の材料となるターゲット背面に磁場発生源を設けて、ターゲット表面に平行方向に磁場を形成する。この磁場発生源は、電磁石でもよいし、フェライトやSm−Co合金などの固定磁石でもよい。
グロー放電発生のために、ターゲットには1〜100MHzの高周波又は直流電力を印加する。印加電力は0.2〜10.0W/cm2に範囲が好ましい。0.2W/cm2未満の電力では十分な成膜速度が得られず、10.0W/cm2を超える電力を印加すると、ターゲットが破損してしまうことがある。
放電ガスとしてはアルゴン、ヘリウム、ネオンなどの希ガスを用い、反応性ガスとして、酸素、窒素などを導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシストなどの手段を併用してもよい。
また、スパッタリングを行う際の真空度は、0.01〜10Paの範囲で行うのが好ましい。真空度が0.01Paよりも高真空では、安定な放電が出来ないため、スパッタリングが安定しない。また、10Paよりも低い真空度でも、やはり安定な放電が出来ないため、スパッタリングが安定しない。
(硬化物層)
また、透明な有機高分子フィルムと有機高分子導電性化合物層の間には、付着力向上などの目的のために硬化物層を設けてもよい。硬化物層の主成分である硬化型樹脂は、加熱、紫外線照射、電子線照射などのエネルギー印加により硬化する樹脂であれば特に制限はなく、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられるが、生産性の観点から紫外線硬化型樹脂を主成分とすることが好ましい。
このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどから合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などが挙げられる。必要に応じて、これらの多官能性の樹脂に単官能性の単量体、例えば、ビニルピロリドン、メチルメタクリレート、スチレンなどを加えて共重合させることができる。
紫外線硬化型樹脂は、通常、光重合開始剤を添加して使用される。光重合開始剤としては、紫外線を吸収してラジカルを発生する公知の化合物を特に制限なく使用することができ、このような光重合開始剤としては、例えば、各種ベンゾイン類、フェニルケトン類、ベンゾフェノン類などが挙げられる。光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型樹脂100質量部当たり通常1〜5質量部である。
塗布液中の樹脂成分の濃度は、コーティング法に応じた粘度などを考慮して適宜選択することができるが、通常は、塗布液中に紫外線硬化型樹脂及び光重合開始剤の合計量が占める割合は20〜80質量%である。また、この塗布液には、必要に応じてその他の公知の添加剤、例えば、シリコーン系レベリング剤などを添加することができる。
本発明において、調製された塗布液は透明な有機高分子フィルム基板上にコーティングされる。コーティング法には特に制限はなく、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法などの従来から知られている方法を使用することができる。
また、硬化物層の厚さは0.1〜15μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10μmの範囲であり、特に好ましくは1〜8μmの範囲である。硬化物層の厚さが0.1μmよりも薄い場合には、後述する突起が十分に形成されず、一方15μmよりも厚い場合には生産性の観点から好ましくない。
さらに、有機高分子導電性化合物層と硬化物層との付着力を向上するために、硬化物層を表面処理することが有効である。具体的な手法としては、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基を増加するためにグロー又はコロナ放電を照射する放電処理法、アミノ基、水酸基、カルボニル基などの極性基を増加させるために酸又はアルカリで処理する化学薬品処理法などが挙げられる。
(ハードコート層)
また、タッチパネルとした際の最外層(ペン入力面)の耐擦傷性をさらに向上させるために、透明な有機高分子フィルムの無機導電性化合物層を形成させた表面とは反対の面(タッチパネルとした際の最外層のペン入力面)に、ハードコート層を設けることが好ましい。前記ハードコート層の硬度は、鉛筆硬度で2H以上であることが好ましい。2Hよりも低い硬度では、透明導電性フィルムのハードコート層としては耐擦傷性の点で不十分である。
前記ハードコート層の厚さは0.5〜10μmであることが好ましい。厚さが0.5μm未満では、耐擦傷性が不十分となりやすい。一方、10μmを超える場合には、生産性の観点から好ましくない。
前記ハードコート層に用いられる硬化型樹脂は、アクリレート系の官能基を有する樹脂が好ましい。例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコールなどの多官能化合物の(メタ)アクリレートなどのオリゴマー又はプレポリマーなどが挙げられる。
ハードコート層用塗布液の反応性希釈剤としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドンなどの単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどを使用することができる。
前記の硬化型樹脂の中でも、ポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物が特に好適である。なぜなら、ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬くてハードコート層として適しているためである。しかしながら、ポリエステルアクリレート単独の塗膜では耐衝撃性が低く脆くなりやすいので、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるために、ポリウレタンアクリレートを併用する。ポリエステルアクリレート100質量部に対するポリウレタンアクリレートの配合割合は30質量部以下とするのが好ましい。この配合割合が30質量部を超えると、塗膜が柔らかくなりすぎて耐衝撃性が不十分となる傾向がある。
前記の硬化型樹脂及び反応性希釈剤を含む組成物の硬化方法は、通常の硬化方法、例えば、加熱、電子線又は紫外線の照射によって硬化する方法を用いることができる。例えば、電子線硬化の場合は、コックロフトワルトン型、ハンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線などが使用される。また、紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハイライドランプなどの光線から発する紫外線などが利用できる。
さらに、電離放射線硬化の場合には、前記の硬化型樹脂の組成物に、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類などや、光増感剤として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィンなどを混合することが好ましい。本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを混合することが特に好ましい。
また、ハードコート層に防眩性を付与するためには、硬化型樹脂中にCaCO3やSiO2などの無機粒子を分散させたり、ハードコート層の表面に凹凸形状を形成させることが有効である。例えば、凹凸を形成するためには、硬化型樹脂組成物を含む塗液を塗工後、表面に凸形状を有する賦形フィルムをラミネートし、この賦形フィルム上から紫外線を照射し硬化型樹脂を硬化させた後に、賦形フィルムのみを剥離することができる。
前記の賦型フィルムには、離型性を有するポリエチレンテレフタレート(以後、PETと略す)などの基材フィルム上に所望の凸形状を設けたもの、或いは、PETなどの基材フィルム上に繊細な凸層を形成したものなどを用いることができる。その凸層の形成は、例えば、無機粒子とバインダー樹脂からなる樹脂組成物を用いて基材フィルム上に塗工することにより得ることができる。前記バインダー樹脂は、例えば、ポリイソシアネートで架橋されたアクリルポリオールを用い、無機粒子としては、CaCO3やSiO2などを用いることができる。また、この他にPET製造時にSiO2などの無機粒子を練込んだマットタイプのPETも用いることができる。
この賦型フィルムを紫外線硬化型樹脂の塗膜にラミネートした後に紫外線を照射して塗膜を硬化する場合、賦型フィルムがPETを基材としたフィルムの場合、該フィルムに紫外線の短波長側が吸収され、紫外線硬化型樹脂の硬化が不足するという欠点がある。したがって、紫外線硬化型樹脂の塗膜にラミネートする賦型フィルムは、波長380nmにおける透過率が20%以上のものを使用することが好ましい。
(低反射処理)
また、タッチパネルに用いた際に可視光線の透過率をさらに向上させるためにハードコート層上に、低反射処理を施してもよい。この低反射処理は、ハードコート層の屈折率とは異なる屈折率を有する材料を単層もしくは2層以上に積層することが好ましい。単層構造の場合、ハードコート層よりも小さな屈折率を有する材料を用いるのが好ましい。
また、2層以上の多層構造とする場合は、ハードコート層と隣接する層は、ハードコート層よりも大きな屈折率を有する材料を用い、この上の層にはこれよりも小さな屈折率を有する材料を選ぶのがよい。このような低反射処理を構成する材料としては、有機材料、無機材料、又はこれらの混合物でも上記の屈折率の関係を満足すれば特に限定されない。例えば、CaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd2O3、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In2O3などの誘電体を用いるのが好ましい。
この低反射処理は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法などのドライコーティングプロセスでも、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式などのウェットコーティングプロセスでもよい。
さらに、この低反射処理層の積層に先立って、前処理として、コロナ放電処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、プライマー処理、易接着処理などの公知の表面処理をハードコート層に施してもよい。
また、さらに光線透過率を高くするためには、無機導電性化合物層を積層する面にも低反射処理を行うことが有効である。この場合は、タッチパネルに使用する導電性のある面のために、最外層は無機導電性化合物層となる。このため、無機導電性化合物層と透明な有機高分子フィルムとの間に低反射処理層を1層のみ設ける際には、屈折率が透明な有機高分子フィルムと無機導電性化合物層のものの中間となるものが好ましい。
無機導電性化合物層と透明な有機高分子フィルムとの間に低反射処理層を2層設ける際には、前記フィルム上の第1層には、フィルムよりも屈折率が高く、無機導電性化合物層よりは屈折率の低い材料を使用することが好ましい。この上の第2層には、第1層よりも屈折率が低い材料を使用することが好ましい。
3層以上の層を積層する際には、透明な有機高分子フィルム上から奇数番目の層は透明な有機高分子フィルムよりも屈折率が高く、無機導電性化合物層よりは屈折率の低い材料を使用し、透明な有機高分子フィルムから偶数番目の層は、その下の層よりも屈折率が低い材料を使用することが好ましい。
これらの層構成からなる材料としては、ハードコート側と同じく、有機材料、無機材料、又はこれらの混合物でも上記の屈折率の関係を満足すれば特に限定されない。例えば、CaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd2O3、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In2O3などの誘電体を用いるのが好ましい。また、製法や前処理に関しても、ハードコート側と同様に行うことができる。
図1に、本発明の製造方法で得られた透明導電性フィルムを用いた、タッチパネルの形態を示す。この形態は、無機導電性化合物層を有する一対のパネル板を、無機導電性化合物層が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルにおいて、一方のパネル板に本発明の透明導電性フィルムを用いたものである。
このタッチパネルは、ペンにより文字を入力した時に、ペンからの押圧により、対向した無機導電性化合物層同士が接触し、電気的にONの状態になり、タッチパネル上でのペンの位置を検出することができる。このペン位置を連続的かつ正確に検出することで、ペンの軌跡から文字を認識することができる。この際、ペン接触側の可動電極が本発明の透明導電性フィルムを用いると、額縁耐久性に優れるため、長期にわたって安定なタッチパネルとすることができる。
なお、本発明の製造方法で得られた透明導電性フィルムを使用して得た、電子ペーパーの形態の断面図を図2に示す。この電子ペーパーは、ガラスを用いていないため、非常に軽量であり、かつ、衝撃により割れたりすることがない。
透明導電性フィルムの間に液晶やマイクロカプセルインクを挟み、該透明導電性フィルムに電圧を印加することによって、液晶の光透過性を変えたり、あるいはマイクロカプセル中のインクを反転させることによって光線透過率を変えたり、表示をしたりするスマートウインドウや電子ペーパーに透明電極として金属系無機導電性化合物層上に導電性有機物を積層した本発明の複合透明導電性基材を用いると、黄味のない紙に似た色調で、かつ低電圧で駆動できるスマートウィンドウや電子ペーパーを作製できる。
また、本発明で得られた透明導電性フィルムを使用して、有機ELや無機分散ELによるフレキシブルな自発光表示体を作製できる。有機ELは本発明の透明導電性フィルムの無機導電性化合物層上に正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極を順次積層した構成である。発光層には金属錯体、低分子蛍光色素、蛍光性高分子が用いられる。正孔輸送層には芳香族アミン誘導体が用いられる。電子輸送層にはオキサゾール誘導体やトリアゾール誘導体が用いられる。陰極にはアルカリ金属またはアルカリ土類金属が用いられる。
無機分散ELは本発明の透明導電性フィルムの無機導電性化合物層上に、シアノエチルセルロースに蛍光体を分散させた蛍光層、同じくシアノエチルセルロースにチタン酸バリウムを分散させた誘電体層、カーボン電極を順次積層した構成である。
これらはガラスを用いていないために、非常に軽量である、衝撃により割れることもなく、また、曲げても発光が可能な自発光表示体である。
また、本発明で得られた透明導電性フィルムを使用して、フレキシブルな液晶表示体を作製できる。本発明の透明導電性フィルムの無機導電性化合物層上にポリイミドからなる配向膜を形成した後、この配向膜が対向する形にし、その間に液晶モノマーを挟む構成とすることで液晶パネルが作製できる。この両側に偏光フィルムを貼り合せることでフレキシブルな液晶表示体となり、ガラスを用いていないために、非常に軽量であり、衝撃により割れることもなく、また、曲げても表示可能である。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、透明導電性フィルムの性能及びタッチパネルのペン入力耐久性試験は、下記の方法により測定した。
<光線透過率>
JIS−K7361、K7136に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH−2000)を用いて、光線透過率を測定した。
<表面抵抗>
JIS−K7194に準拠し、4端子法にて測定した。測定機は、三菱油化(株)製 Lotest AMCP−T400を用いた。
<表面粗さ>
走査型プローブ顕微鏡(Seiko Instruments社製SPI−3700)を使用して測定した。カンチレバーはシリコン製SI−DF3を使用した。このカンチレバーは探針汚染による分解能低下がないように常に新品を使用した。観察はDFMモードで行った。また、観察による磨耗劣化を防ぐために分解能を犠牲しない範囲で出来る限り、探針にかかる負荷が小さい条件で行った。
観察は2μm×2μmの視野で行い、面内分解能は0.1nmとした。観察後、付属のソフトウェアによりデータの傾斜を補正した後に、付属のソフトウェアで十点平均粗さRzを算出した。この測定を10回行い、この平均値を本発明の透明導電性フィルムの無機導電性化合物層が形成されている面の十点平均粗さRzとした。
<延展性評価>
本発明の透明導電性フィルムを10mm×60mmに切り出した後、精密万能試験機(島津製作所:オートグラフAG−1)にて引っ張り試験を行った。透明導電性フィルムの抵抗値を測定しながら、ひずみ速度4%/分で引っ張った。初期抵抗値に対して10%まで抵抗値が上昇した時の変形率を破断伸度とした。
<疲労試験>
本発明の透明導電性フィルムを10mm×60mmに切り出した後、両端に電極としてCu薄膜をスパッタ法で形成した。この電極間の抵抗値を測定しながら、電磁力式微小試験機(島津製作所:マイクロサーボMMT−500N)にて疲労試験を行った。引張り変形率は1%とし、引張り周波数50Hz、引張り回数3万回とした。この試験前後の抵抗値変化を測定した。
<耐熱性>
初期の表面抵抗値R0に対する150℃60分加熱処理後の表面抵抗値Rの比、R/R0を測定した。
<環境安定性>
初期の表面抵抗値R0に対する90℃500時間及び60℃95%RH500時間処理後の表面抵抗値Rの比、R/R0を測定した。
<接触抵抗評価>
銀ペーストとの接触抵抗評価のために、図3のようなパターンで3本の銀ペースト電極を無機化合物導電層上に形成した。それぞれの端子間抵抗値を測定して、これらの値から接触抵抗Rcを次式から用いて算出した。
i番目とj番目の銀ペースト電極間の抵抗値をRaij、i番目とj番目の透明導電性フィルムの抵抗値をRtij、i番目の銀ペースト電極と透明導電性フィルムとの接触抵抗をRciとすると、
Raij= Rci+ Rtij+ Rcj (I≠j)
この式から、
Rc2=(Rc12+Rc23−R31)/2
が得られる。
<ペン入力耐久性試験>
ポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ、20万回(往復10万回)の摺動試験をタッチパネルに行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は60mm/秒とした。この摺動耐久試験後に、まず、摺動部が白化しているかを目視によって観察した。さらに、ペン荷重0.5Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定した。この摺動試験をタッチパネル中央部及びタッチパネル周辺貼り合せ部から1mm離れた部分の2箇所について行った。
〔実施例1−1〜1−4〕、〔比較例1−1〜1−2〕
<有機高分子導電性化合物層の形成>
片面に易接着層を有する二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、A4100、厚さ188μm)を基材フィルムとして用いた。非易接着処理面(PET面)に次のようにして表面処理を行った。低圧プラズマ装置(Diener electronic社製FEMTO)を用いて、圧力100PaのO2ガス雰囲気で100Wの電力を印加し、10秒間の処理を行った。
この表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム面上に有機高分子導電性化合物層としてポリチオフェン樹脂を積層した。ポリチオフェン樹脂(Clevios、H.C.Starck社製)をエタノール:ジメチルスルホキシド=90:10(質量比)の混合溶剤で表1のように希釈し、コート液を作製した。このコート液をスピンコーター(株式会社アクティブ製、ACT−300AII)で表1の条件で塗工し、5〜310nmの厚さの有機高分子導電性化合物層を形成した。
<無機導電性化合物層の成膜>
前記の有機高分子導電性化合物層の面に、インジウム−スズ複合酸化物からなる無機導電性化合物層を成膜した。このとき、ターゲットとして、スズを5質量%含有したインジウム(三井金属鉱業(株)製、密度7.05g/cm3、厚さ5mm)を用い、該ターゲットに2W/cm2のDC電力を印加した。このターゲットの背面には、磁石を設置し、マグネトロン放電を行った。
Arガスを100sccm、O2ガスを5.0sccmの流量で流し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネトロンスパッタリング法により、前記フィルムの片面の硬化物層に、インジウム−スズ複合酸化物からなる無機導電性化合物層を20nmの厚さで成膜した。
<タッチパネルの作製>
この透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にプラズマCVD法で厚さが20nmのインジウムースズ複合酸化物薄膜(酸化スズ:10質量%)からなる無機導電性化合物層(日本曹達製、S500)を用いた。この2枚のパネル板を無機導電性化合物層が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して、配置しタッチパネルを作製した。
〔実施例2〕、〔比較例2〕
片面に易接着層を有する二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、A4100、厚さ188μm)を基材フィルムとして用いた。非易接着処理面(PET面)に次のようにしてコロナ放電処理を行った。コロナ放電処は、春日電機製低周波型電源AGI−043Mを用いて周波数15kHz、放電電力1.0kWを幅500mmのステンレスI型電極(春日電機製)に印加することで発生させた。フィルムと電極のギャップは2mmとし、ライン速度10m/分で処理を行った。
この表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム面上に有機高分子導電性化合物層としてポリピロール樹脂を積層した。3−メチルー4−ピロールカルボン酸エチルと3−メチルー4−ピロールカルボン酸ブチルの共重合体からなるポリピロール樹脂(SSPY、ティーエーケミカル社製)とドーパントとして2,3,6,7−テトラシアノ−1,4,5,8−テトラアザナフタレン(TCNA、ティーエーケミカル社製)をSSPY:TCNAを90:10(質量比)で、N,N−ジメチルホルムアミドで固形分濃度5%になるように溶解した。このコート液をスピンコーター(株式会社アクティブ製、ACT−300AII)で回転数1000rpm及び500rpmで回転させながら20秒間保持して、150nm及び300nmの厚さの有機高分子導電性化合物層を形成した。
前記の有機高分子導電性化合物層の面に、実施例1と同様にしてインジウム−スズ複合酸化物からなる無機導電性化合物層を20nmの厚さで成膜した。
さらに実施例1と同様にタッチパネルを作製した。
〔実施例3〕、〔比較例3〕
片面に易接着層を有する二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、A4100、厚さ188μm)を基材フィルムとして用いた。非易接着処理面(PET面)に次のようにしてコロナ放電処理を行った。コロナ放電処は、春日電機製低周波型電源AGI−023を用いて周波数15kHz、放電電力1.0kWを幅500mmのステンレスI型電極(春日電機製)に印加することで発生させた。フィルムと電極のギャップは2mmとし、ライン速度10m/分で処理を行った。
この表面処理したフィルム面上に有機高分子導電性化合物層としてポリアニリン樹脂を積層した。トルエン分散液型ポリアニリン(ティーエーケミカル社製)をN,N−ジメチルホルムアミドで希釈して固形分濃度5%のコート液を作製した。このコート液を回転数1000rpm及び500rpmで回転させながら20秒間保持して、150nm及び300nmの厚さの有機高分子導電性化合物層を形成した。
前記の有機高分子導電性化合物層の面に、ターゲットに3質量%のアルミニウムをドープした酸化亜鉛をターゲットに用いた以外は実施例1と同様にして30nmの厚さで無機導電性化合物層を成膜した。
<電子ペーパーの作製及び評価>
この透明導電性フィルム上にアクリル系UV硬化樹脂を井形状に20μmの厚さで形成した。この後に荷電粒子として黒色コピートナーを井形中に入れた。この上に同様の透明導電性フィルムを用いて封止し電子ペーパーを作製した。この電子ペーパーの柔軟性を評価するために、直径20mmまで曲げた後に黒色表示が可能であるかを確認した。実施例3の透明導電性フィルムを用いた電子ペーパーは直径20mmまで曲げた後も同様に表示品位を保った。一方、比較例3の透明導電性フィルムを用いた電子ペーパーは、曲げ試験後には黒色表示しなかった。
<有機ELの作製及び評価>
この透明導電性フィルムの無機導電性化合物層上に、正孔輸送層としてN,N−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジンを、発光層としてトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体を、電子輸送層として1,3,4オキサゾール誘導体を各層50nm厚で順次、真空蒸着法を用いて積層した。さらに電子輸送層上に陰極として、Mg−Ag合金薄膜を用いた。実施例3の透明導電性フィルムを用いた有機ELは、直径20mmまで曲げた後も同様に発光した。一方、比較例3の透明導電性フィルムを用いた有機ELは、曲げ試験後には、発光しなかった。
<無機分散ELの作製及び評価>
この透明導電性フィルムの無機導電性化合物層上にシアノエチルセルロースに蛍光体(銅をドープした硫化亜鉛)を分散させた蛍光層を20μm、同じくシアノエチルセルロースにチタン酸バリウムを分散させた誘電体層20μm、カーボン電極10μmを順次スクリーン印刷法で積層した。実施例3の透明導電性フィルムを用いた無機分散ELは、直径20mmまで曲げた後も同様に発光した。一方、比較例3の透明導電性フィルムを用いた無機分散ELは、曲げ試験後には、発光しなかった。
<液晶表示体の作製及び評価>
この透明導電性フィルムの無機導電性化合物層上にポリイミドからなる配向膜を形成し、ラビング処理を行った。配向膜が対向するように2枚の透明導電性フィルムを間隔10μmで配置し、この間にネマチック液晶であるn-pentyl-n’-cyanobiphenyl (メルク社製:5CB)に注入し、液晶パネルを作製した。この液晶パネルの両側に偏光フィルムを貼り付けて、液晶表示体を作製した。実施例3の透明導電性フィルムを用いた液晶表示体は、直径20mmまで曲げた後も同様に表示した。一方、比較例3の透明導電性フィルムを用いた液晶表示体は、曲げ試験後には表示しなかった。
〔実施例4〕
ターゲットに3質量%のガリウムをドープした酸化亜鉛をターゲットに用いた以外は実施例3と同様に透明導電性フィルムを作製した。さらに実施例1と同様にタッチパネルを作製した。
〔実施例5〕
ターゲットに5質量%のニオブをドープした酸化チタンをターゲットに用いた以外は実施例3と同様に透明導電性フィルムを作製した。さらに実施例1と同様にタッチパネルを作製した。
〔比較例4〕、〔実施例6−1〜6−3〕
易接着面に表面処理を行い、この上に有機高分子導電性化合物層を形成した以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに実施例1と同様にタッチパネルを作製した。
〔比較例5−1〜5−4〕
低圧プラズマ装置による表面処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに実施例1と同様にタッチパネルを作製した。
〔比較例6−1〜6−2〕、〔実施例7−1〜7−2〕
200Wの電力を印加し60秒間の表面処理を行った以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに実施例1と同様にタッチパネルを作製した。
〔比較例7−1〜7−2〕、〔実施例8−1〜8−2〕
ポリチオフェン樹脂をジメチルスルホキシドを含まないエチルアルコールのみで希釈した以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに実施例1と同様にタッチパネルを作製した。
〔比較例8−1〜8−4〕
無機導電性化合物層を成膜しなかった以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに実施例1と同様にタッチパネルを作製した。
〔比較例9〕
有機高分子導電性化合物層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに実施例1と同様にタッチパネルを作製した。
〔実施例9〕
実施例3で作製した透明導電性フィルムを2.0%引張り、無機導電性化合物層に亀裂を生じさせた。この亀裂を走査型電子顕微鏡で確認したところ、無機導電性化合物層を貫通した亀裂が0.1μm幅で、100μmあたり12本存在した。この亀裂ありの状態で透明導電性フィルムの特性を評価した。また、このようにして作製した透明導電性フィルムを用いて実施例3のように電子ペーパーを作製したところ、直径10mmまで曲げた後に黒色表示が可能であるかを確認した。
以上の実施例及び比較例の測定結果を表2及び3に示す。
表2及び表3の結果より、実施例1〜9に記載の透明導電性フィルムは延展性に優れており、さらに疲労試験においても抵抗値変化が極めて少ない。また、環境安定性にも優れ、銀ペーストとの接触抵抗も低く良好である。また、タッチパネルに用いた際のペン入力耐久性のも優れており、特にタッチパネル周辺貼り合せ部の耐久性に優れる。また、実施例3及び比較例3の透明導電性フィルムを電子ペーパーにもちいた。実施例3の透明導電性フィルムを用いた電子ペーパーは柔軟性に優れているが、比較例3の透明導電性フィルムを用いた電子ペーパーは曲げに弱かった。
Figure 0005460090
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本発明の透明導電性フィルムは、延展性試験、疲労試験において表面抵抗値変化が極めて少なく、柔軟性に優れている。また、環境安定性や銀ペーストとの相性もきわめて良好である。特にペン入力用タッチパネルに用いた際に、優れたペン摺動耐久性を有するタッチパネルに関するものである。また、電子ペーパー、有機ELなどの電極に用いることで、柔軟性、耐屈曲性に優れたフレキシブル表示体に関するものである。
1:透明な有機高分子フィルム
2:有機高分子導電性化合物層
3:無機導電性化合物層
4:エポキシビーズ
5:ガラス
6:アクリル系UV硬化樹脂
7:黒色コピートナー
8:銀ペースト電極
10:透明導電性フィルム

Claims (9)

  1. 透明な有機高分子フィルムの基板上に、透明な有機高分子導電性化合物層が形成され、さらにその上に透明な無機導電性化合物層が形成されている透明導電性フィルムであって、洗剤や有機溶剤、酸・アルカリ性水溶液への浸漬によるウェット工程による方法、または、紫外線照射、プラズマ処理、イオン照射、電子線照射、大気圧下で放電を発生させる表面処理から選ばれるドライ工程による方法により、基材フィルムの表面を改質されており、該無機導電性化合物層が形成されている面の十点平均粗さRzが3〜30nmであり、該無機導電性化合物層が形成されてい面の初期抵抗値をR0とし、1%の伸張試験を繰り返し3万回おこなった後の抵抗値をRとした時、R/R0が1.0〜1.1であって、初期の表面抵抗値R0に対する150℃60分加熱処理後の表面抵抗値Rの比、R/R0が1.03〜1.09であることを特徴とする透明導電性フィルム。
  2. 前記無機導電性化合物層がインジウム、スズ、亜鉛、アンチモン、チタン、ニオブ、ガリウム及び、アルミニウムよりなる群からの選ばれる2種類以上の金属の酸化物からなり、表面抵抗値が10kΩ/□以下であることを特徴とする請求項記載の透明導電性フィルム。
  3. 前記有機高分子導電性化合物層の表面抵抗値が100kΩ/□以下であることを特徴とする請求項1または2記載の透明導電性フィルム。
  4. 前記有機高分子導電性化合物層の厚さが10〜200nmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
  5. 前記有機高分子導電性化合物層が、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、これらの誘導体、及びこれらの単量体の共重合物よりなる群から選ばれる1種または2種以上の導電性高分子からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
  6. 前記無機導電性化合物層に亀裂が形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
  7. 前記無機導電性化合物層の亀裂が、1μm以下の幅であり、かつ、厚さ方向に貫通しており、かつ、100μm当たりに5〜50本あることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
  8. 無機導電性化合物層を有する一対のパネル板を無機導電性化合物層が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルにおいて、少なくとも一方のパネル板が請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムであることを特徴とするタッチパネル。
  9. 無機導電性化合物層を有する一対のパネル板を無機導電性化合物層が対向するように配置して、この隙間に、有機又は無機の発光体、液晶又は粉体を閉じ込めた構成からなる表示体において、少なくとも一方のパネル板が請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムであることを特徴とするフレキシブル表示体。
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