JP6278619B2 - 振動発電体 - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトレット誘電体を用いた振動発電体に関するものである。
従来から、道路や橋梁、建築物、産業機械などの構造体の振動や、自動車や鉄道車両、航空機などの移動体の振動、人体の運動や環境に普遍的に存在する環境振動などを電気エネルギーに変換して有効利用する試みがなされている。
このような振動エネルギーを電気に変換する発電方式としては、電磁誘導を利用する方式、圧電素子を利用する方式、静電誘導を利用する方式に大きく分けられる。電磁誘導を利用する方式は、振動によってコイルと磁石との相対的な位置を変化させ、この際にコイルに生じる電磁誘導によって発電する方式である。また、圧電素子を利用する方式は、主としてセラミックス系の圧電素子を用い、振動によって圧電素子に歪が加わる際に、圧電素子の表面に電荷が誘起される現象を利用するものである。
また、静電誘導を利用する方式には、一般的に、半永久的に電荷を保持するエレクトレット誘電体が用いられる。エレクトレット誘電体と、これと距離を置いて配置された電極との相対位置を振動等によって変化させることで、電荷が電極に静電誘導され、発電が行われるものである。このような原理を用いた発電装置は、例えば特許文献1、特許文献2に記載されている。
特開2010−136598号公報 特開2000−50394号公報
特許文献1に記載された振動発電装置は、固定基板の上面に短冊状の複数本のベース電極が平行に配列され、各ベース電極上には、それぞれエレクトレットが形成される。また、可動基板は、固定基板のエレクトレットが配置される側の面に対向し、所定のギャップをあけて平行に配置される。さらに、可動基板の対向面には、ベース電極と対向するように短冊状の対向電極が形成される。振動が付与されると、可動基板は、固定基板との距離を保った状態で、平行に移動する。したがって、エレクトレットと対向電極との相対位置が平行な方向に変化する。この際、各電極に電荷が静電誘導されて発電することができる。
また、特許文献2には、音波を電気信号に変換するエレクトレットコンデンサマイクロホンが記載されている。エレクトレットコンデンサマイクロホンは、固定電極であるカップ状背極にエレクトレット誘電体膜が形成され、エレクトレット誘電体膜と対向する側に対向電極である振動膜が形成される。また、エレクトレット誘電体膜と振動膜とのギャップはスペーサで保持される。中心孔から音波が伝播して振動膜が振動すると、振動膜とエレクトレット誘電体膜との相対位置が変化する。この際、各電極に電荷が静電誘導される。このようにして得られた電気信号を信号増幅およびインピーダンス変換して出力することができる。
しかしながら、前述した発電方式は、広範囲かつ様々な取り付け部位の形態に対応させることが困難である。例えば、特許文献1、2に記載された装置や、電磁誘導や圧電素子を利用する方式では、各部材が略リジッドに形成されるため、取り付け部位に応じて形状を変える等のフレキシブル性に劣る。
本発明者らは、フレキシブルな振動発電体を研究し、エレクトレット誘電体を用いた振動発電体を先に提案した。この振動発電体は、フレキシブルな電極とエレクトレット誘電体との相対距離を、付与される外力や振動で変化させることによって発電を行うものである。しかし、変形を繰り返す金属製の電極は、機械的な疲労によって部分的に微小なクラックや破断が生じる恐れがある。電極に、このような微小なクラックや破断が生じると、電極の電気抵抗が上昇して、振動発電体の発電出力が低下する。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、様々な形態の設置場所へ適用することが可能であり、簡易な構造で製造性に優れ、信頼性の高い振動発電体を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明は、振動発電体であって、電荷を保持したエレクトレット誘電体と、前記エレクトレット誘電体を挟み込むように配置される一対の電極と、を具備し、前記エレクトレット誘電体および前記電極は、いずれも可撓性を有し、少なくとも一方の前記電極は、金属導体層と、前記金属導体層の一方の面に配置される導電性または半導電性の樹脂導体層とを具備し、前記金属導体層は、前記エレクトレット誘電体と対向するように配置され、前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との間には、互いに接合されない非接合部が形成され、前記非接合部の少なくとも一部において、前記電極同士の間の距離が変化可能であり、前記電極の変形によって、前記エレクトレット誘電体と前記金属導体層とが接触と剥離とを繰り返すことを特徴とする振動発電体である。
このような構成とすることで、エレクトレット誘電体と電極との間の厚み方向の距離を外力によって容易に変化させることができる。したがって、距離変化に応じて電極に電荷が静電誘導され、発電を行うことができる。この際、電極を構成する金属導体層と樹脂導体層とでは、樹脂導体層の方が、繰返しの外力や振動による機械的疲労が生じにくい。したがって、金属導体層に部分的なクラック等が生じた場合でも、金属導体層に積層された樹脂導体層を介した電流経路が形成される。このため、電極の部分的な電気抵抗の上昇を抑制することができる。
なお、外力とは、機械的に他の物質が振動発電体と接触して、振動発電体を変形させる力には限られない。例えば、取り付け部に生じる構造体自体の振動や、外部からの音波や空気圧変化など、振動発電体に繰り返し付与され、振動発電体を変形させることが可能な外部から振動発電体への力の作用を指すものである。この外力は微小なものであってもよい。また、振動発電体における振動とは、その振幅や周波数などが一定であるようなものに限られず、定期的または不定期に繰り返しの外力(慣性力などを含む)を付与可能であるものを指す。
また、静電誘導で誘起される電荷を、電気抵抗が小さい金属導体層に集中させることができる。したがって、誘起された電荷を振動発電体に電気的に接続される外部回路側へ取り出す際の電気的損失を低減できる。このため、振動発電体の発電出力を向上させることができる。
前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との間には、部分的にスペーサが設けられ、少なくとも一部の前記スペーサを介して、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接合され、前記スペーサで接合される部位以外の部位が、前記非接合部となることが望ましい。
このような構成とすることで、スペーサの厚み分だけ、エレクトレット誘電体と電極との隙間を保持することが容易となる。したがって、外力に応じて、より確実にエレクトレット誘電体と電極との距離を変化させることができる。
前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との対向面の内、少なくとも一方の表面には、凸部と凹部とからなる凹凸形状が形成され、前記凸部によって前記スペーサが形成され、少なくとも一部の前記凸部を介して、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接合され、前記凹部が前記非接合部としてもよい。
このようにすると、表面に形成されるエレクトレット誘電体または電極自体の凸部によってスペーサを形成することができる。このため、スペーサを構成する部材を別途用いる必要がない。したがって、部品点数を削減することができ、スペーサの形成、配置も容易である。また、スペーサの高さ(厚み)や幅を正確に任意に設定することができる。
前記電極の、前記エレクトレット誘電体との対向面とは逆側の面には、樹脂絶縁層が積層されることが望ましい。
このような構成とすることで、電極と周囲環境との電気絶縁を確保し、防水性や防湿性を向上させることができる。また、電極への外傷などを防止することができる。
一対の前記電極の一方が中心電極であり、他方が前記中心電極を内包するように前記中心電極の外側に配置された外部電極であり、前記エレクトレット誘電体を挟むように、前記中心電極と前記外部電極とが配置され、前記中心電極または前記外部電極の少なくとも一方は、前記金属導体層と前記樹脂導体層とを具備し、前記金属導体層が前記エレクトレット誘電体と対向するように配置してもよい。
このような構成とすることで、設置自由度が高いケーブル状の振動発電体を得ることができる。この振動発電体においても、エレクトレット誘電体と電極との非接合部において、外力に応じてエレクトレット誘電体と電極との距離を変化させることで、すなわち中心電極と外部電極との間の距離を変化させることで発電を行うことができる。
本発明によれば、様々な形態の設置場所へ適用することが可能であり、簡易な構造で製造性に優れた信頼性の高い振動発電体を提供することができる。
(a)は振動発電体1を示す図、(b)は振動発電体1aを示す図。 (a)はエレクトレット誘電体3を示す図、(b)は、多孔質材を用いたエレクトレット誘電体3aの拡大図。 図1(a)のA部拡大図において、(a)は定常状態を示す図、(b)は外力が付与された状態(電極11bの変形状態)を示す概念図。 クラック8が生じた電極11bでの電流経路を示す概念図。 他の実施の形態を示す図で、(a)は振動発電体20を示す図、(b)は(a)のE部拡大図。 図5(b)のF部拡大図であり、振動発電体20における電極11bとエレクトレット誘電体3との相対的な空隙部の距離(ギャップ)の変化を示す概念図。 (a)は振動発電体30を示す図、(b)は振動発電体30aを示す図。 (a)は振動発電体30bを示す図、(b)は振動発電体30cを示す図。 振動発電体40を示す図。
<実施形態1>
以下、本発明の実施の形態にかかる振動発電体1について説明する。図1(a)に示すように、振動発電体1は、主にエレクトレット誘電体3、電極11a、11b、スペーサ7等から構成される。
エレクトレット誘電体3と電極11a、11bは、スペーサ7を介して接合される。スペーサ7は、エレクトレット誘電体3と電極11a、11bとの空隙6(ギャップ)を保持するためのものである。すなわち、エレクトレット誘電体3と電極11a、11bとは、スペーサ7を介して接合され、スペーサ7で接合されない部位(非接合部9)のエレクトレット誘電体3と電極11a、11bとの互いの間には、スペーサ7の厚さに応じた空隙6(ギャップ)が形成される。非接合部9においては、エレクトレット誘電体3と電極11a、11bの少なくとも一方が変形することで、互いの距離(ギャップ長)が容易に変化する。例えば、電極11a、11bの変形によって、電極11a、11bを、エレクトレット誘電体3の表面と接触させることもできる。
スペーサ7としては、例えば導電性、半導電性の材料を使用することも可能であるが、絶縁性の材料で構成されることが望ましい。また、全てのスペーサ7の内、少なくとも一部が、接着性あるいは粘着性部材で構成されることが望ましい。例えば、エレクトレット誘電体3と電極11a、11bとを接合して固定することができる程度に、部分的にスペーサ7を接着性部材等で構成し、他の部位には非接着性のスペーサ7を用いてもよい。
なお、スペーサ7は、エレクトレット誘電体3の表面において、例えば、ドット状、ストライプ状、格子状、網目状などの形状(形態)にて、所定の間隔をあけて配置される。スペーサ7がドット状の場合には、スペーサ7の平面視における形状は、円形、楕円形、正方形、長方形など任意の形状で形成すればよい。この際、スペーサ7の振動発電体1に占める面積をできるだけ小さくし、非接合部9(空隙6)が占める面積をできるだけ大きくすることが望ましい。
エレクトレット誘電体3の両面には、スペーサ7を介して、エレクトレット誘電体3と対向するように、それぞれ電極11a、11bが配置される。電極11a、11bは、金属導体層13と樹脂導体層15とが積層された二層構造を有する。電極11a、11bは、それぞれの金属導体層13がエレクトレット誘電体3と対向するように配置される。なお、本実施形態では、電極11a、11bの両方を、金属導体層13と樹脂導体層15の積層構造とする場合を示すが、いずれか一方の電極のみを積層構造としてもよい。
金属導体層13と樹脂導体層15とは、熱融着等によって直接接合されることが望ましい。また、接着剤や粘着剤によって接合する場合には、導電性または半導電性の接着剤や粘着剤を用いることが望ましい。すなわち、金属導体層13と樹脂導体層15との接合部において、できるだけ電気抵抗を小さくすることが望ましい。また、金属導体層13及び樹脂導体層15として使用する材料の電気抵抗率はできるだけ小さいものが望ましい。
金属導体層13は、例えば、金属箔で形成してもよく、樹脂導体層15の表面に金属蒸着や金属メッキを施すことによって形成してもよい。金属導体層13に用いる金属材質としては、例えば、アルミニウム、錫、銅あるいはこれらの合金など適宜選択することができる。
また、樹脂導体層15は、導電性または半導電性の樹脂フィルムまたは樹脂シートにより構成される。樹脂導体層15に用いる導電性または半導電性の樹脂としては、例えば、ポリアセチレン系、ポリチオフィン系、ポリアニリン系、ポリピロール系の導電性高分子材料を使用することができる。また、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルや、アクリル系、ポリイミド系、ポリアミド系、フッ素系といったプラスチック系の樹脂や、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素系ゴムといったゴム系の樹脂をベース樹脂として、それらベース樹脂に導電性粉末(例えば、カーボンブラックなど)を添加することによって導電性または半導電性を持たせた樹脂を使用することができる。また、導電性または半導電性の接着剤や粘着剤、ペースト剤で樹脂導体層15を形成してもよい。
電極11a、11bのエレクトレット誘電体3との対向面とは逆側の面には、必要に応じて樹脂絶縁層5が設けられる。樹脂絶縁層5としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルや、アクリル系、ポリイミド系、ポリアミド系、フッ素系といったプラスチック系の樹脂や、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素系ゴムといったゴム系の樹脂を用いることができる。
なお、樹脂絶縁層5を設けずに、電極11a、11b(樹脂導体層15)を表面に露出させてもよいが、樹脂絶縁層5を設けることで、電極11a、11bと周囲環境との電気絶縁を確保し、電極11a、11bの耐水性や耐湿性を向上させることができる。また、電極11a、11bへの外傷などを防止することができる。したがって、樹脂絶縁層5を設ける方が、電極11a、11bの腐食や外傷等による性能劣化を防止できる点で望ましい。
また、樹脂絶縁層5を設けることで、外力の変化等に対する電極11a、11bの機械的変形の追従性を制御できる点で望ましい。例えば、金属導体層13に用いる薄い金属箔のみでは、外力によって電極が変形した後、外力が除荷された際に電極が元の形状に戻ろうとする復元力が小さい。このため、電極11a、11bの必要な復元力を得るためには、樹脂導体層15の材質や厚さを適正として必要な剛性(復元力)を得る必要がある。一方、樹脂導体層15に用いる樹脂は、一般的に、金属導体層13に用いる金属や樹脂絶縁層5に用いる樹脂と比較して高価である。このため、金属導体層13に部分的にクラックや破断が生じた際の電流経路を形成するのに必要最小限の厚さとすることが望ましい。したがって、電極11a、11bに樹脂絶縁層5を設け、樹脂絶縁層5の材質や厚さによって、電極11a、11bに必要な剛性(復元力)を確保し、外力の変化に対する電極11a、11bの追従性を高めることが望ましい。
本発明では、エレクトレット誘電体3、電極11a、11b、樹脂絶縁層5は、いずれも可撓性を有する。したがって、振動発電体1は、全体として可撓性を有し、様々な形態の設置場所に適した変形が可能である。また、ハサミやナイフなどの切断工具を用いて容易に任意の形状に切断して利用することができる。
図2(a)に示すように、エレクトレット誘電体3の両面は、互いに逆の極性の電荷で帯電している。なお、エレクトレット誘電体3は、表裏面での表面電位差がある状態のものであればよい。従って、エレクトレット誘電体3の片面にのみ、いずれか一方の極性の電荷が帯電していても良く、あるいは、エレクトレット誘電体3の両面に、いずれか一方の極性の電荷が帯電していても良い。このようなエレクトレット誘電体3は、例えば絶縁性を有する樹脂シートや樹脂フィルム等の表面に、コロナ放電等によって帯電処理を施すことで形成することができる。
すなわち、本発明におけるエレクトレット誘電体3は、絶縁性の部材に対して予め帯電処理が施されて形成されたものであり、振動発電体の完成直後からその両面において所定の表面電位差を有しているものを指す。したがって、振動発電体製造時のいずれの過程でも帯電処理が施されない絶縁性の部材に関しては、本発明に係るエレクトレット誘電体には含まれないものとする。
エレクトレット誘電体3の材質としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル樹脂、ポリイミド系樹脂(例えばカプトン(登録商標))、ポリアミド系樹脂(例えばナイロン6やナイロン66(登録商標))、やフッ素系樹脂(例えばフルオロエチレンプロピレンやポリテトラフルオロエチレン)などのプラスチック系の樹脂材料を用いることができる。また、ゴム材料として、例えばニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素系ゴムなどを用いることができる。
また、エレクトレット誘電体3の表面と裏面との表面電位差の適正値は、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3とのギャップ長(またはスペーサ7の厚み)に依存する。すなわち、この表面電位差は、当該ギャップでの空気放電による電位差低下が少なくなるように設定されることが望ましい。
一般的に、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3とのギャップ(隙間)における空気放電の発生は、ギャップ長とギャップ間の電位差で決まり、パッシェンの法則におよそ従う。したがって、外力が付与されない時、および外力が付与された時の電極11a、11bとエレクトレット誘電体3とのギャップ長の変化範囲に対して、ギャップ間の電位差を空気放電が発生しない値にするようにエレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差Vを設定することが望ましい。例えば、外力を付与しない時のギャップ長(またはスペーサ7の厚み)が100μmであるとすると、外力を付与した時のギャップ長の変化範囲は0〜100μmとなる。そのギャップ長の変化範囲に対しては、エレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差Vを600V程度以上に設定すると空気放電が発生する。一方、空気放電が発生した場合、放電発生後のエレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差Vは略200〜600V程度となる。したがって、本発明において、ギャップ長が100μmの場合には、Vが200〜600V程度となるようにエレクトレット誘電体3の帯電処理を行うことが望ましい。
なお、図2(b)に示すように、多孔質材からなるエレクトレット誘電体3aを用いることもできる。内部に微細な空孔4が存在する多孔質材の両面に電圧を付与すると、空孔4内において容易にコロナ放電が生じる。このコロナ放電によって空孔壁面および空孔壁面近傍にも帯電したエレクトレット誘電体3aを容易に製造できる。なお、エレクトレット誘電体3aの空孔壁面および空孔壁面近傍の帯電状態は、図2(b)に示すように、電圧印加方向(この場合にはエレクトレット誘電体3aの厚さ方向)に正電荷と負電荷に帯電した領域が形成される状態になっていると考えられる。また、エレクトレット誘電体3aの内部に空孔4が存在すると、エレクトレット誘電体3a全体として変形が容易となる。このため、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3aとのギャップ長だけでなく、エレクトレット誘電体3aの厚さもより小さな外力で容易に変化させることができる。したがって、電極11a、11b間の距離が変化しやすくなるとともに、その変化量も大きくなるため、双方の電極に静電誘導される電荷量も多くなり、発電効率が向上する。
多孔質性のエレクトレット誘電体3aの材質としては、絶縁体であって、エレクトレット誘電体3と同様の材料を多孔質化した多孔質プラスチックまたは多孔質ゴムや、シート状繊維体を用いることができる。なお、多孔質プラスチックには、発泡プラスチックも含まれる。また、多孔質ゴムには、発泡ゴムも含まれる。シート状繊維体としては、不織布やフェルトを用いることができる。中でも不織布は空気清浄機やマスク等においてエレクトレットフィルターとして利用されており、良好なエレクトレットの特性を有する。なお、以下の説明では、空孔4のないエレクトレット誘電体3を用いた例について示す。
次に、振動発電体1の発電機構について説明する。図3は図1(a)のA部拡大図である。図3(a)に示すように、例えば定常状態(外力が付与されていない状態。以下同様。)では、電極11bとエレクトレット誘電体3との間には、非接合部9(空隙6)においてスペーサ7の厚みに応じたギャップ長Bが形成される。この状態から、図3(b)に示すように、外力Cが振動発電体1の厚さ方向に付与されると、電極11b(およびエレクトレット誘電体3)が変形する。この際、ギャップ長Bが短くなる方向へ変化し、電極11bとエレクトレット誘電体3とが接触部10で接触する。
すなわち、接触部10に対応する位置においては、電極11bとエレクトレット誘電体3の厚さ方向の距離(ギャップ長B)が0になるまで変化できる。この距離変化に応じて、電極11a、11bにそれぞれ電荷が静電誘導されて発電する。なお、図3(b)の状態から図3(a)の状態に戻る際にも、同様に距離変化(ギャップ長Bが長くなる方向への変化)に応じた静電誘導による発電が行われる。なお、電極11bとエレクトレット誘電体3との距離変化に伴う発電出力電圧は、電極11bとエレクトレット誘電体3とが変形によって接触する直前および剥離した直後に最も高くなる。
ここで、樹脂導体層15をエレクトレット誘電体3と対向するように配置することも可能であるが、金属導体層13がエレクトレット誘電体3に対向するように配置した方が、振動発電体1の発電出力を大きくすることができる。この理由は次の通りである。すなわち、金属は導電性または半導電性樹脂よりも誘電率が高く、電気抵抗が低い。このため、静電誘導により誘起される電荷量は金属の方が多く、かつ誘起された電荷は金属表面に集中する傾向が強い。したがって、金属導体層13側がエレクトレット誘電体に対向するように電極11a、11bを配置した方が、電気抵抗が小さい金属導体層13に静電誘導で誘起される電荷を集中させることができる。その結果、金属導体層13よりも電気抵抗が高い樹脂導体層15への電荷の誘起を低減させることができる(いわゆる静電遮蔽効果)。
このように、金属導体層13側がエレクトレット誘電体3と対向するように電極11a、11bを配置させた方が、逆の場合(樹脂導体層15側をエレクトレット誘電体3と対向させた場合)よりも、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3との距離が変化した際に、電極11a、11bに静電誘導される電荷を電気抵抗が小さい金属導体層13に集中させることができる。したがって、誘起された電荷を外部回路側へ取り出す際の電気的損失を低減できる。その結果、振動発電体1の発電出力を向上させることができる。
このように、図1(a)の振動発電体1では、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3とを相対的に厚さ方向に変形させて、非接合部9(空隙6)におけるギャップ長Bを変化させることで効率よく発電を行うことができる。なお、図1(a)の振動発電体1の全体で効率良く発電を行うためには、電極11a、11bのそれぞれとエレクトレット誘電体3との距離変化の方向(減少する方向あるいは増加する方向)とタイミング(位相)を振動発電体1の各部で一致させることが望ましい。例えば、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3とが接触および剥離を繰り返す場合には、この接触および剥離のタイミングを振動発電体1の各部で一致させることが望ましい。
ここで、スペーサ7の材質にもよるが、外力による非接合部9(空隙6)のギャップ長の変化と比較して、スペーサ7を設けた部位では、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3との距離の変化が小さいため、発電には寄与しにくい。したがって、スペーサ7は、できるだけ小さくし、かつ振動発電体1に占めるスペーサ7の総面積をできるだけ小さくすることが望ましい。また、非接合部9(空隙6)においてギャップ長Bを保持することができる程度に、間隔をできるだけあけてスペーサ7を配置することが望ましい。また、前述のように、エレクトレット誘電体3の表裏で電極11a、11bとエレクトレット誘電体3との距離変化の方向とタイミングを一致させるために、エレクトレット誘電体3の表裏におけるスペーサ7の平面配置を一致させることが望ましい。
電極11a、11bが変形を繰り返すと、図4に示すように、金属導体層13には、部分的に機械的疲労によってクラック8が生じる場合がある。クラック8は、金属導体層13の電気抵抗を部分的に上昇させるため、振動発電体の発電出力を低下させる要因となる。しかし、本発明では、金属導体層13に機械的疲労が生じにくい樹脂導体層15が接合されるため、クラック8の近傍では、樹脂導体層15が電流経路(図中矢印D)となり得る。このため、電極11a、11bの電気抵抗の上昇を抑制することができる。
なお、電極11a、11bを、樹脂導体層15のみで構成することもできるが、一般的に導電性または半導電性樹脂の電気抵抗率は、金属と比較して高い。このため、樹脂導体層15のみで電極11a、11bを構成すると、金属導体層13を設けた場合と比較して電気抵抗は高くなる傾向がある。このため、電極11a、11bでの電気的な損失が大きくなり、振動発電体1の発電出力の低下を招く恐れがある。したがって、電極11a、11bは、金属導体層13と樹脂導体層15とを接合して積層構造とすることが望ましい。
なお、振動発電体1が外力により変形し、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3とが接触および剥離を繰り返す際に、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3との間で、前述した空気放電が生じる恐れがある。このような空気放電が生じると、エレクトレット誘電体3の表面と裏面との表面電位差Vが低下することが考えられる。また、空気放電が生じない場合でも、後述するようにエレクトレット誘電体3と電極11a、11bとが接触と剥離を繰り返す際に、双方の表面同士が接触する部分において電荷の出入り(移動)が生じる恐れがある。このような電荷の移動によっても、エレクトレット誘電体3の表面と裏面との表面電位差Vが低下することが考えられる。これらの現象を考慮すると、振動発電体1は、使用するにつれて発電が行われなくなる懸念がある。しかし、発明者らは、実験を行った結果、このような接触と剥離とが繰り返されても、“エレクトレット誘電体3の表面と裏面との表面電位差Vが低下することによって、直ちに発電が行われなくなる現象”は生じないことを見出した。したがって、本発明においては、外力によって、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3とが接触および剥離を繰り返すように変形させることが望ましい。
ここで、本発明では、非接合部9におけるエレクトレット誘電体3と電極11a、11b(金属導体層13)の対向面の少なくとも一方に、粗面化処理を施すこともできる。粗面化処理を行う方法は特に限定されない。例えば、サンドペーパー(例えば600番程度)で表面粗さを増しても良く、エッチングによる表面処理や、表面粗さを有する型による表面プレス加工を施しても良い。なお、粗面化処理により得られる表面粗さは、特に限定されない。
このように、非接合部9におけるエレクトレット誘電体3と電極11a、11bの対向面の少なくとも一方に粗面化処理を施すことによって、エレクトレット誘電体3と電極11a、11bとが接触した際のミクロ的な接触面積を小さくすることができる。このように双方のミクロ的な接触面積を小さくすることによって、双方の表面間での電荷の出入り(移動)を抑制することができる。したがって、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3とが接触および剥離を繰り返す際にも、エレクトレット誘電体3の帯電電荷量の変化、すなわちエレクトレット誘電体3の表面電位の変化を抑制することができ、振動発電体1の発電出力の安定化を図ることができる。
また、本発明の振動発電体は、図1(b)に示す振動発電体1aのように、一方の電極11bの間のみにスペーサ7が設けられたものであっても良い。
振動発電体1aは、振動発電体1と略同様の構成であるが、電極11aはスペーサ7を介さずに直接エレクトレット誘電体3に全面にわたって接合される。この場合でも、他方の電極11bとエレクトレット誘電体3との間にスペーサ7によって空隙6(ギャップ)が形成される。したがって、振動発電体1と同様の機構によって発電を行うことができる。なお、この場合にも、前述した理由によりエレクトレット誘電体3の表面と裏面との表面電位差Vは、200〜600V程度とすることが望ましい。
電極11aとエレクトレット誘電体3とは、例えば熱融着や接着で接合される。但し、接着剤や粘着剤を用いる場合には、接着剤層や粘着剤層をできるだけ薄くすることが望ましい。例えば、電極11a、11b間の距離やエレクトレット誘電体3の厚さに対し、十分薄くすることが望ましい。
図1(a)の振動発電体1は、電極11a、11bのそれぞれとエレクトレット誘電体3との双方の距離変化で発電を行うため、電極11a、11bのそれぞれとエレクトレット誘電体3との双方の距離変化の方向とタイミング(位相)が一致しないと、電極11a、11b間に生じる発電出力電圧が互いに打ち消しあう恐れがある。このため、図1(a)の振動発電体1においては、電極11a、11bのそれぞれとエレクトレット誘電体3との双方の距離変化の方向とタイミング(位相)を一致させる必要がある。
これに対し、図1(b)の振動発電体1aでは、一方の電極11aがエレクトレット誘電体3と全面にわたって接合されているため、他方の電極11bとエレクトレット誘電体3との距離変化のみによって発電が行われる。したがって、図1(a)の振動発電体1のように、電極11a、11bのそれぞれとエレクトレット誘電体3との双方の距離変化の方向とタイミング(位相)を一致させる必要がない。
また、図1(b)の振動発電体1aでは、スペーサ7の厚み分だけ、全厚を薄くすることができる。このように、構造を簡易にできることによるコスト減や、薄肉化が可能である点などを考慮すれば、発電量は若干下がるものの、振動発電体1aを用いる利点もある。
以上、本実施の形態の振動発電体1、1aは、電極11a、11b、エレクトレット誘電体3などがいずれも可撓性を有する材質で構成されるため、設置部の形態に応じて、自由に折り曲げて設置することができる。また、電極11a、11bおよびエレクトレット誘電体3が主にシート状の部材で構成されているため、大きな面積の設置場所にも適用が容易である。したがって、設置場所に対する自由度が大きい。また、ハサミやナイフなどの切断工具を用いて振動発電体1、1aを容易に任意の形状に切断して利用することもできる。
また、電極11a、11bが金属導体層13と樹脂導体層15の2層構造であるため、金属導体層13に機械的疲労によるクラック8などが生じた場合でも、クラック8が生じた部位では樹脂導体層15を電流経路とすることができる。このため、電極11a、11bの電気抵抗の上昇を抑制することができる。このため、振動発電体1の発電効率を確保し、信頼性を高めることができる。
<実施形態2>
次に、他の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、振動発電体1と同様の機能を奏する構成については図1等と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図5(a)に示す振動発電体20は、振動発電体1と略同様の構成であるが、スペーサ7が用いられない点で異なる。図5(b)(図5(a)のE部拡大図)に示すように、電極11bは部分的にエレクトレット誘電体3と接合部21で直接接合される。接合部21は、熱融着などによって電極11bとエレクトレット誘電体3とが直接接合される。なお、接合部21の平面上での配置は、前述したスペーサ7と同様にすればよい。
図5(b)に示すように、接合部21以外の部位は、非接合部9となる。非接合部9では、電極11bとエレクトレット誘電体3との間に、微小な空隙6が形成される。なお、非接合部9において、電極11bとエレクトレット誘電体3とが部分的に接触していても良い。
図5(b)のF部拡大図を図6に示すが、電極11b又はエレクトレット誘電体3に、図6に示すような厚み方向の外力Gが付与されると、非接合部9(空隙6)での電極11bとエレクトレット誘電体3との境界部における互いの形状が図6(a)、図6(b)に示すように変化する。したがって、部分的に電極11bとエレクトレット誘電体3との距離が変化する。したがって、この変化に応じて電極11a、11bの双方に電荷が静電誘導され、発電を行うことができる。
なお、本実施形態においても、一方の電極11bとエレクトレット誘電体3との間にのみ非接合部9(空隙6)を形成し、他方の電極11aとエレクトレット誘電体3とは全面にわたって接合しても良く、あるいは電極11a、11bの両方とエレクトレット誘電体3との間に非接合部9(空隙6)を形成しても良い。このように、外力によって電極11a、11bの少なくとも一方とエレクトレット誘電体3との厚み方向の距離を変化させることができれば、発電を行うことができる。この際、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3とが接触および剥離を繰り返すことができれば、効率よく発電を行うことができる。
なお、図1に示した振動発電体1、1aにおいて、スペーサ7を用いたとしても、非接合部9(空隙6)のギャップ長を一定に保つことができない場合もある。したがって、非接合部9において、外力が付与されない状態でも電極11a、11bとエレクトレット誘電体3とが部分的に接触している場合もある。しかし、前述の通り、外力によって、電極11a、11bとエレクトレット誘電体3との厚み方向の距離が部分的にでも変化可能であれば、発電を行うことができる。
このように、振動発電体20を用いても、振動発電体1等と同様の原理で発電することができる。また、スペーサ7が用いられないため、構造が簡易である。
<実施形態3>
図7(a)に示す振動発電体30は、振動発電体1と略同様の構成であるが、スペーサ7が、エレクトレット誘電体3の表面に形成された凸部12で形成される点で異なる。電極11a、11bのそれぞれと対向するエレクトレット誘電体3の両面には、凸部12と凹部14とが繰り返される凹凸形状が形成される。少なくとも一部の凸部12は、電極11a、11bと接合される。したがって、凸部12がスペーサ7となり、凹部14の位置が、非接合部9となる。
振動発電体30は、凸部12の高さ(凹部14と凸部12との高低差)が、スペーサ7の厚みに相当する。なお、凸部12および凹部14の高低差、大きさ、配置、形状などは前述したスペーサ7と同様に設計される。
エレクトレット誘電体3の表面に凹凸形状を形成する方法は、特に限定されるものではない。例えば、エレクトレット誘電体3の基材(帯電処理前のエレクトレット誘電体3)表面を切削する方法により形成しても良く、表面のエッチング処理により形成しても良い。また、凹凸パターンを有する型によるプレス加工やエンボス加工等により凹凸形状を形成してもよい。
このように、エレクトレット誘電体3の表面に凹凸形状を設けることで、別途スペーサ7を形成するための部材が不要となる。したがって、部品点数を削減することができ、スペーサの形成や配置も容易となる。また、エレクトレット誘電体3と凸部12(スペーサ)とが一体化しているため、凸部12(スペーサ)と対向する電極11a、11bの面とを接合すればよい。このため、接合箇所の低減によって、接合作業工数を削減することができるとともに、接合部の剥離等による損傷リスクを低減することができる。また、凸部12と凹部14の高低差によって、スペーサ厚みが設定されるため、その調整が容易である。
なお、図7(b)に示す振動発電体30aのように、エレクトレット誘電体3の一方の面にのみ凹凸形状を形成することもできる。この振動発電体30aでは、エレクトレット誘電体3の電極11bとの対向面に、凸部12および凹部14が形成されている。すなわち、振動発電体30aは、振動発電体1aのスペーサ7を凸部12で形成したものである。振動発電体30aのエレクトレット誘電体3の他方の面は平面であり、その全面が電極11aと接合されている。振動発電体30aにおいても、エレクトレット誘電体3の表面に凹凸形状を設けることによって、振動発電体1aと同様の効果を得ることができる。
また、図8(a)に示す振動発電体30bのように、電極11a、11bの金属導体層13の表面に凹凸形状を形成してもよい。この振動発電体30bでは、エレクトレット誘電体3と対向する電極11a、11bの金属導体層13の表面に、凸部12と凹部14が形成される。少なくとも一部の凸部12はエレクトレット誘電体3に接合される。なお、凸部12と凹部14の形成方法等は、振動発電体30と同様である。振動発電体30bにおいても、電極11a、11bの金属導体層13の表面に凹凸形状を設けることによって、振動発電体1と同様の効果を得ることができる。
また、図8(b)に示す振動発電体30cのように、電極11bの金属導体層13の表面にのみ凹凸形状を形成してもよい。振動発電体30cでは、電極11bのエレクトレット誘電体3と対向する電極11bの金属導体層13の表面にのみ、凸部12と凹部14が形成され、少なくとも一部の凸部12はエレクトレット誘電体3と接合される。すなわち、振動発電体30cは、振動発電体1aのスペーサ7を凸部12で形成したものである。一方、振動発電体30cにおける電極11aの金属導体層13の表面は平面であり、その全面がエレクトレット誘電体3と接合される。なお、凸部12と凹部14の形成方法等は、振動発電体30と同様である。振動発電体30cにおいても、電極11bの金属導体層13の表面に凹凸形状を設けることによって、振動発電体1と同様の効果を得ることができる。
<実施形態4>
図9に示す振動発電体40は、ケーブル状の振動発電体であり、主に、中心電極43、エレクトレット誘電体41、外部電極45、スペーサ47、樹脂絶縁層51等から構成される。
振動発電体40の中心には、中心電極43が設けられる。中心電極43の外側には、エレクトレット誘電体41、スペーサ47、外部電極45、樹脂絶縁層51が順次同軸円筒状に配置される。すなわち、エレクトレット誘電体41は、中心電極43と外部電極45とで挟まれる。また、外部電極45の外周には、樹脂絶縁層51が設けられる。このように、振動発電体40は、各構成が同軸状に配置されて構成されたケーブルである。なお、振動発電体40の断面形状は、図9に示すような真円でなくてもよく、楕円その他の形状であっても良い。
外部電極45は、金属導体層53と樹脂導体層55とからなる。金属導体層53がエレクトレット誘電体41と対向する。外部電極45を金属導体層53と樹脂導体層55とを接合した積層構造とすることで、前述した振動発電体1等における電極11a、11bと同様の効果を得ることができる。
なお、中心電極43を金属導体層53と樹脂導体層55の積層構造とすることもできる。また、中心電極43と外部電極45の両方を金属導体層53と樹脂導体層55の積層構造とすることもできる。中心電極43を金属導体層53と樹脂導体層55の積層構造とする場合でも、金属導体層53がエレクトレット誘電体41と対向するように配置することが望ましい。
中心電極43および外部電極45の材質は、振動発電体1などの実施形態で説明した電極11a、11bと同様な材質を用いることができる。また、エレクトレット誘電体41の材質においても、振動発電体1などの実施形態で説明したエレクトレット誘電体3と同様な材質を用いることができる。
また、中心電極43は、例えば、単心の導体素線や、複数の導体素線を撚り合わせて形成することもできる。また、中心電極43の外周にエレクトレット誘電体41を形成する方法は特に限定されないが、例えば、中心電極43の外周上にエレクトレット誘電体41の基材(帯電処理前の絶縁性の樹脂)を押出形成してもよく、エレクトレット誘電体41の基材を塗布した後に硬化させて形成してもよく、エレクトレット誘電体41の基材となる絶縁性の樹脂テープを中心電極43の外周上に1回または複数回巻き付けて形成してもよい。このように中心電極43の外周上にエレクトレット誘電体41の基材を被覆した後、例えばコロナ放電などによってエレクトレット誘電体41の基材を帯電処理すればよい。なお、上記のようなエレクトレット誘電体41の形成方法では、中心電極43の外周上にエレクトレット誘電体41は被覆されるが、一般的には中心電極43とエレクトレット誘電体41とは接合されていない。すなわち、中心電極43とエレクトレット誘電体41との間には非接合部が形成されている。
また、外部電極45は、例えば、シート状またはフィルム状の金属導体層53と樹脂導体層55とが接合された積層構造を有するシートまたはフィルムを使用することができる。外部電極45を設ける方法としては、例えば、金属導体層53と樹脂導体層55とが積層されたシートまたはフィルムを、金属導体層53がエレクトレット誘電体41と対向するようにエレクトレット誘電体41の外周上に巻きつければよい。また、後述するように、エレクトレット誘電体41の外周上にスペーサ47を略均等配置した後に、それらの外周上に金属導体層53と樹脂導体層55とが積層されたシートまたはフィルムを巻きつけて外部電極45を構成しても良い。
エレクトレット誘電体41と外部電極45との間には、スペーサ47が設けられる。したがって、エレクトレット誘電体41と外部電極45との間には、スペーサ47の厚みに応じた空隙49が形成される。
スペーサ47としては、例えば、導電性、半導電性または絶縁性の線材を用いることができる。この場合、複数本の線材をエレクトレット誘電体41の外周へ周方向に略等間隔に配置することでスペーサ47を構成することができる。複数本の線材を配置する方法としては、エレクトレット誘電体41の外周に螺旋状に巻きつけてもよく、あるいは振動発電体40の長手方向に沿って縦添えしても良い。また、スペーサ47として線材を用いる場合には、スペーサ47の厚みは線材の直径となる。
スペーサ47の間隔及び厚みは、エレクトレット誘電体41と外部電極45との間の空隙49に所望のギャップ長が確保できるように適宜設計される。例えば、振動発電体40に外力、振動が付与された際に、エレクトレット誘電体41と外部電極45との間の距離が繰り返し大きく変化するように、あるいは互いに接触と剥離を繰り返すように、スペーサ47の配置する間隔及び厚みを調整すればよい。
なお、スペーサ47(線材)の断面形状は、図示したような円形に限られず、楕円形、長方形、正方形などいずれでもよい。また、スペーサ47は、線材に限られず、例えば、ドット状に間隔をあけてスペーサ部材を配置しても良い。例えば、エレクトレット誘電体41の外周面または外部電極45の内周面の少なくとも一方の表面に、スペーサ部材をドット状に繰り返し配置させても良い。この場合、スペーサ47は、インク、接着剤、粘着剤、ペースト剤などをエレクトレット誘電体41の外周面または外部電極45の内周面に塗布あるいは印刷することで形成すれば良い。この際、インク、接着剤、粘着剤、ペースト剤などの厚さがスペーサ47の厚みとなる。また、スペーサ47は、線材などの別途用意する部材で構成するのではなく、エレクトレット誘電体41と外部電極45とが対向する面のうちのいずれか一方の面に、表面加工によって凸部と凹部とが繰り返される凹凸形状を形成して、その凸部をスペーサ47としてもよい。
また、スペーサ47を、中心電極43とエレクトレット誘電体41との間に設けてもよく、中心電極43と外部電極45のそれぞれとエレクトレット誘電体41との間にスペーサ47を設けてもよい。
なお、スペーサ47は必ずしも必要ではないが、この場合には、中心電極43または外部電極45と、エレクトレット誘電体41との間に非接合部が形成されることが望ましい。
このように中心電極43または外部電極45と、エレクトレット誘電体41との間に非接合部を設けることで、振動発電体40へ外力、振動を加えた際に生じる振動発電体40の変形により、エレクトレット誘電体41と中心電極43または外部電極45との距離変化を容易とし、静電誘導による発電出力を向上させることができる。
このように、振動発電体40を用いても、振動発電体1等と同様の原理で発電することができる。また、形状がケーブル状であるため、取扱いが容易であるとともに設置の自由度が高く、シート状の振動発電体1等の設置が困難である場所にも適用が可能である。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a、20、30、30a、30b、30c、40………振動発電体
3、3a、41………エレクトレット誘電体
4………空孔
5、51………樹脂絶縁層
6………空隙
7、47………スペーサ
8………クラック
9………非接合部
10………接触部
11a、11b………電極
12………凸部
13、53………金属導体層
14………凹部
15、55………樹脂導体層
21………接合部
43………中心電極
45………外部電極
49………空隙

Claims (5)

  1. 振動発電体であって、
    電荷を保持したエレクトレット誘電体と、
    前記エレクトレット誘電体を挟み込むように配置される一対の電極と、
    を具備し、
    前記エレクトレット誘電体および前記電極は、いずれも可撓性を有し、
    少なくとも一方の前記電極は、金属導体層と、前記金属導体層の一方の面に配置される導電性または半導電性の樹脂導体層とを具備し、
    前記金属導体層は、前記エレクトレット誘電体と対向するように配置され、
    前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との間には、互いに接合されない非接合部が形成され、
    前記非接合部の少なくとも一部において、前記エレクトレット誘電体と前記電極との厚み方向の距離を変化させることが可能であり、
    前記電極の変形によって、前記エレクトレット誘電体と前記金属導体層とが接触と剥離とを繰り返すことを特徴とする振動発電体。
  2. 前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との間には、部分的にスペーサが設けられ、少なくとも一部の前記スペーサを介して、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接合され、前記スペーサで接合される部位以外の部位が、前記非接合部となることを特徴とする請求項1記載の振動発電体。
  3. 前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との対向面の内、少なくとも一方の表面には、凸部と凹部とからなる凹凸形状が形成され、前記凸部によって前記スペーサが形成され、少なくとも一部の前記凸部を介して、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接合され、前記凹部が前記非接合部となることを特徴とする請求項2記載の振動発電体。
  4. 前記電極の、前記エレクトレット誘電体との対向面とは逆側の面には、樹脂絶縁層が積層されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の振動発電体。
  5. 一対の前記電極の一方が中心電極であり、他方が前記中心電極を内包するように前記中心電極の外側に配置された外部電極であり、
    前記エレクトレット誘電体を挟むように、前記中心電極と前記外部電極とが配置され、
    前記中心電極または前記外部電極の少なくとも一方は、前記金属導体層と前記樹脂導体層とを具備し、前記金属導体層が前記エレクトレット誘電体と対向するように配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の振動発電体。
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