JP2001313999A - ダイアフラムユニットの製造方法 - Google Patents

ダイアフラムユニットの製造方法

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JP2001313999A
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静郎 清水
Torahoshi Takayama
虎星 高山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚数μmを実現でき、しかも所定のテンシ
ョンが付与された振動膜を有するダイアフラムユニット
を効率よく製造する。 【解決手段】 音圧などの外的エネルギーによって振動
する振動板をマウント枠に取り付けてなるダイアフラム
ユニットを製造するにあたって、基板1の一方の面に、
金属膜2と樹脂皮膜3とを積層してなる複合膜4を形成
した後、複合膜4の一部分を自由振動領域(面)とする
ため、その自由振動領域に対応する基板1の所定部分
を、同基板1の他方の面側からその全厚み分を除去して
穴6を開け、基板1の残部をマウント枠1aとして、複
合膜4を振動可能に支持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロフォンや
圧力計もしくは加速度計などに適用されるダイアフラム
ユニットに関し、さらに詳しく言えば、数μmオーダー
のきわめて薄い振動膜を有するダイアフラムユニットの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイアフラムユニットとは、マウント枠
(リング状の支持枠)に振動板を自由振動可能に取り付
けたもので、通常、その振動板には、アルミニウム、チ
タン、金などの金属箔またはマイラーやプラスチックフ
ィルムが用いられている。
【0003】コンデンサマイクロフォンにおいては、振
動板は背面電極に対向するように配置され、その膜変位
量が静電容量変化として電気的に検出される。光ピック
アップの場合には、振動板は光反射板として発光素子お
よび受光素子と組み合わせられ、その膜変位量が反射光
量に変換され、受光素子にて検出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、マイクロフ
ォン用の振動膜について言えば、音声だけの数KHzか
ら音楽のように人間の可聴帯域である20KHzくらい
までの周波数帯域が必要とされる。
【0005】この周波数応答性を実現するためには厚み
をきわめて薄く、例えば1μmから数μm程度までの薄
い膜厚を安定に作り、かつ、所定のテンションをもって
マウント枠に張ることが要求される。
【0006】しかしながら、既存の振動膜の厚さを薄く
していくと、マウント枠に張る際の作業性が極端に悪く
なり、振動膜として所定のテンション(張力)をもって
張ることが困難となる。特に、エレクトレット膜の場合
には、その帯電電荷により振動板が背面電極に接触して
しまうおそれが生ずる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、膜厚数
μmを実現でき、しかも所定のテンションが付与された
振動膜を有するダイアフラムユニットを効率よく製造す
ることができる。
【0008】すなわち、本発明は、音圧などの外的エネ
ルギーによって振動する振動板をマウント枠に取り付け
てなるダイアフラムユニットを製造するにあたって、基
板の一方の面に、金属膜と樹脂皮膜とを積層してなる複
合膜を形成した後、上記複合膜の一部分を自由振動領域
(面)とするため、その自由振動領域に対応する上記基
板の所定部分を、同基板の他方の面側からその全厚み分
を除去し、上記基板の残部を上記マウント枠として上記
複合膜を振動可能に支持することを特徴としている。
【0009】このように、基板上に複合膜を形成した
後、その基板の所定部分をエッチングなどで除去するこ
とにより、きわめて薄い振動膜をマウント枠に装着して
なるダイアフラムユニットが得られる。この方法によれ
ば、振動膜の単体をマウント枠に張設する作業が不要で
あるため生産効率がよい。また、マザー基板から多数個
取りも可能であるため量産化も図れる。
【0010】基板には、シリコン、ガラスもしくは金属
のいずれかが用いられてよいが、複合膜が設けられる一
方の面は、より平滑な複合膜を得る上で、表面粗さが1
00Å以下、好ましくは数10Å以下の鏡面に仕上げら
れていることが好ましい。
【0011】なお、この基板によるマウント枠は、振動
板と背面電極もしくは振動板と光センサ基板との間のス
ペーサとして機能するため、その厚さは500〜200
0μmの範囲内から選択されることが好ましい。
【0012】金属膜に関して、本発明には、箔状に形成
されたものを基板上に貼り付ける態様も含まれるが、好
ましくは蒸着法、スパッタ法もしくは金属メッキによ
り、膜厚0.05〜1μmとして基板上に直接形成され
ることが好ましい。金属膜の材質は、基板との密着性な
どを考慮すれば、Ni,Crなどが選択される。
【0013】また、樹脂皮膜に関しても、本発明には、
フィルム状に形成されたものを金属膜上に貼り付ける態
様も含まれるが、スピンコート法などにより、金属膜上
において成膜され、その厚さが膜厚0.5〜3μmであ
ることが好ましい。
【0014】本発明において、マウント枠に対する複合
膜の固定方法には、いくつかの方法がある。その一つ
は、マウント枠側に複合膜を係止するためのアンカー用
凹部を形成する方法である。
【0015】別の方法として、複合膜上からイオンを打
ち込んで、複合膜をマウント枠に固定してもよい。ま
た、高温雰囲気下で複合膜上から加圧して、同複合膜を
マウント枠に固定する方法も、本発明に含まれる。
【0016】本発明によるダイアフラムユニットは、例
えば光センサ基板と組み合わされることにより、そのユ
ニット内にマウント枠により囲まれたキャビティが形成
されることになるが、そのキャビティが密閉状態である
と、振動膜の自由振動が阻害される。
【0017】これを防止するため、光センサ基板と組み
合わされる場合には、外乱光がキャビティ内に入らない
ようにするため、マウント枠の他方の面、すなわち光セ
ンサ基板との接合面に迷路状の外光非透過性の空気流通
溝を形成することが好ましい。なお、コンデンサマイク
ロフォンの場合には、光の影響を受けないため、空気流
通溝は直線的であってもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明を図面に示されてい
る実施例により説明する。図1(a)〜(c)には、本
発明によるダイアフラムユニットの製造方法の好ましい
実施例が工程順に図解されている。
【0019】これによると、まず図1(a)のように、
基板1の一方の面(上面)に金属膜2が形成される。基
板1は、シリコン基板、ガラス基板、金属基板のいずれ
であってもよいが、その材質に関わらず、金属膜2が形
成される少なくとも一方の面は、表面粗さが100Å以
下に鏡面化され、また、その基板厚さは500〜200
0μm厚であることが好ましい。
【0020】この実施例において、基板1には例えば厚
さ2mmの3インチウェハーサイズのものが用いられて
おり、図1(c)に示されているように、このウェハー
から一度に複数のダイアフラムユニット5を得るように
している。
【0021】金属膜2は、基板1に対する密着性からし
てNiやCrなどが好ましく採用される。金属膜2は、
蒸着法、スパッタ法もしくは金属メッキにより形成され
るが、その膜厚は音響的な特性要因である機械的インピ
ーダンスや電気的インピーダンスなどを加味して0.0
5〜1μmの範囲内から選択されるとよい。なお、金属
膜2は1層に限られない。例えば、Ni膜の上にさらに
Auなどを成膜して2層構成としてもよい。
【0022】次に、図1(b)に示されているように、
金属膜2上に例えばスピンコート法により樹脂皮膜3が
成膜される。樹脂材料に特に限定はないが、耐熱性のあ
る樹脂が好ましく採用される。また、樹脂皮膜3の好ま
しい膜厚は0.5〜3μmであるが、金属膜2と樹脂皮
膜3の複合膜4の総厚さが数μm以内に収まるようにす
るとよい。樹脂皮膜3も1層に限られるものではなく、
2層構成としてもよい。
【0023】この複合膜4に対して、使用温度範囲内で
所定のテンションを持たせるには、樹脂皮膜3について
は、例えば200℃以上の高温で成膜されるとよい。こ
の樹脂皮膜3を成膜する目的は、金属膜2の破裂を防止
するとともに、金属膜2にマイクロクラックが発生して
も、膜振動の強度を柔軟に確保し、また、光総量を確保
すること、さらには外乱光成分の光混入をその鏡面で防
止することにある。
【0024】しかる後、図1(c)に示されているよう
に、各ダイアフラムユニット5ごとに、複合膜4の自由
振動領域を得るため、基板1の他方の面側(裏面側)か
ら、その各中央部分の基板全厚を除去して穴6を開け
る。この穴6により、マイクロフォンの場合には音響空
間が提供され、光センサの場合には光キャビティが提供
される。
【0025】なお、この穴開けは、基板1がシリコン系
ならば異方性エッチングにより行なわれ、ガラス系の場
合にはフッ酸処理が採用される。鏡面化された基板1の
表面に成膜された金属膜2の表面は基板1の鏡面が転写
されており、この穴開け工程によって鏡面の金属膜2を
得ることができる。特に、光センサの場合、鏡面反射を
可能として、その感度を高めるのにきわめて有用であ
る。
【0026】そして、洗浄工程を経てダイシングが行な
われ、基板1から各ダイアフラムユニット5が切り出さ
れる。なお、各素材自身にアニールをかけて、環境変化
に対して変形、変質しないようにし、また、衝撃に耐え
られるようにすることが好ましい。
【0027】図2に、このダイアフラムユニット5を光
センサ基板7と組み合わせて光センサとした例を示す。
1aは複合膜(振動膜)4を支持した状態で基板1から
切り出されたマウント枠である。光センサ基板7には、
発光素子7aと受光素子7bとが設けられており、複合
膜4の金属膜2が光反射膜として作用する。すなわち、
この光センサにおいては、複合膜4の振動が受光素子7
bの受光量変化として捉えられる。
【0028】図3に、このダイアフラムユニット5を背
面電極8と組み合わせてコンデンサマイクロフォンのマ
イクロフォンユニットとした例を示す。この場合には、
複合膜4の金属膜2は背面電極8とともにコンデンサを
形成する対向電極として機能し、複合膜4の振動が静電
容量変化として捉えられる。
【0029】また、図2,図3の組み合わせ例におい
て、ダイアフラムユニット5の内部(光キャビティもし
くは音響空間)は密閉状態となるため、複合膜4の自由
振動が阻害されるおそれがある。
【0030】これを防止するため、図4に示されている
ように、この実施例においては、マウント枠1aの他方
の面側、すなわち光センサ基板7もしくは背面電極8と
の接合面側に空気流通溝11を形成するようにしてい
る。
【0031】なお、光センサ基板7と組み合わされる場
合には、外乱光がその光キャビティ内に入らないように
するため、空気流通溝11を例えばS字曲線などの迷路
状とすることが好ましい。コンデンサマイクロフォンの
場合には、光の影響を受けないため、空気流通溝11は
直線的であってもよい。
【0032】空気流通溝11が複合膜4によって塞がれ
ない深さを有している場合には、空気流通溝11をマウ
ント枠1aの一方の面側、すなわち複合膜4の形成面側
に設けてもよい。
【0033】上記したように、基板1上に金属膜2を蒸
着法、スパッタ法もしくは金属メッキによりマウント枠
1a上に直接成膜することにより、ある程度の固定力が
得られるが、次に、温度や衝撃もしくは振動などによっ
て、複合膜4にだれがより生じないようにするためのマ
ウント枠1aに対する複合膜4の固定方法について説明
する。
【0034】まず、第1の例として図5に誇張して示さ
れているように、マウント枠1aにアンカー用凹部12
を形成し、この凹部12内に金属膜2の一部分を埋め込
む。この場合、金属膜2を形成した後、ヒータバーなど
により金属膜2をマウント枠1aに圧着してもよい。
【0035】第2の例としては、図6に示されているよ
うに、好ましくはマウント枠1aの外周端側に、中央部
側から見て下り勾配となる傾斜面13を形成し、その上
に複合膜4を成膜する。この場合、その上から傾斜面1
3に向けてイオンを打ち込んでもよい。また、接着剤に
よって固定してもよいし、静電吸着法もしくは真空吸着
法なども適用可能である。
【0036】また、第3の例として図7に示されている
ように、基板1からダイアフラムユニット5を切り出し
た後、その複合膜4の裾部周辺に、別の金属として例え
ばチタンや銅などを接着やスパッタ法などにより取り付
けてフランジ部4aを形成し、このフランジ部4aを接
着法によってマウント枠1aに固定する方法もある。
【0037】さらに、第4の例として図8に示されてい
るように、ダイアフラムユニット5の上面に合致する押
圧面を有するヒータブロック20にて、複合膜4をダイ
アフラムユニット5に加熱圧着することも可能である。
この加熱圧着法は、上記第2の例と同じく基板1の状態
で行なってもよいし、基板1から切り出した後に行なっ
てもよい。
【0038】上記第2の例ないし第4の例において、傾
斜面13は複合膜4の固定に有効に作用する。傾斜面1
3の角度は、ダイアフラムユニット5の口径などにより
適宜設定されてよい。本発明によれば、小さいサイズの
もので、例えば高さ1.5mm,口径2mm程度のダイ
アフラムユニット5が得られる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
音圧などの外的エネルギーによって振動する振動板をマ
ウント枠に取り付けてなるダイアフラムユニットを製造
するにあたって、基板の一方の面に、金属膜と樹脂皮膜
とを積層してなる複合膜を形成した後、複合膜の一部分
を自由振動領域(面)とするため、その自由振動領域に
対応する基板の所定部分を、同基板の他方の面側からそ
の全厚み分を除去し、基板の残部をマウント枠として、
複合膜を振動可能に支持するようにしたことにより、膜
厚数μmを実現でき、しかも所定のテンションが付与さ
れた振動膜を有するダイアフラムユニットを効率よく製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を3つの工程に分けて示した
説明図。
【図2】本発明によるダイアフラムユニットを光センサ
基板と組み合わせて光センサとした例の断面図。
【図3】本発明によるダイアフラムユニットを背面電極
と組み合わせてマイクロフォンユニットとした例の断面
図。
【図4】上記ダイアフラムユニットの底面側斜視図。
【図5】上記ダイアフラムユニットにおいて、マウント
枠に対する複合膜の第1固定例を示した断面図。
【図6】上記ダイアフラムユニットにおいて、マウント
枠に対する複合膜の第2固定例を示した断面図。
【図7】上記ダイアフラムユニットにおいて、マウント
枠に対する複合膜の第3固定例を示した断面図。
【図8】上記ダイアフラムユニットにおいて、マウント
枠に対する複合膜の第4固定例を示した断面図。
【符号の説明】
1 基板 1a マウント枠 2 金属膜 3 樹脂皮膜 4 複合膜(振動膜) 5 ダイアフラムユニット 6 穴(音響空間,光キャビティ) 7 光センサ基板 8 背面電極 11 空気流通溝 12 アンカー用凹部 13 傾斜面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01L 9/12 G01L 9/12 Fターム(参考) 2F055 AA40 BB20 CC02 DD01 DD04 DD07 EE25 EE31 FF43 FF49 GG01 GG11 GG25 4K029 AA02 AA06 AA09 BA07 BA12 BD00 CA01 CA05 4M112 AA01 CA01 DA04 DA16 EA03 5D016 AA01 BA06 DA02 EC01 EC22 HA07 JA13 JA16 5D021 CC05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音圧などの外的エネルギーによって振動
    する振動板をマウント枠に取り付けてなるダイアフラム
    ユニットの製造方法において、 基板の一方の面に、金属膜と樹脂皮膜とを積層してなる
    複合膜を形成した後、上記複合膜の一部分を自由振動領
    域とするため、その自由振動領域に対応する上記基板の
    所定部分を、同基板の他方の面側からその全厚み分を除
    去し、上記基板の残部を上記マウント枠として上記複合
    膜を振動可能に支持することを特徴とするダイアフラム
    ユニットの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記基板が、シリコン、ガラスもしくは
    金属のいずれか一つの材料からなり、少なくとも上記一
    方の面が鏡面に仕上げられている請求項1に記載のダイ
    アフラムユニットの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記基板の基板厚が500〜2000μ
    mであり、上記一方の面の表面粗さが100Å以下であ
    る請求項1または2に記載のダイアフラムユニットの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 上記金属膜が、蒸着法、スパッタ法もし
    くは金属メッキにより上記基板上において形成され、そ
    の膜厚が0.05〜1μmである請求項1,2または3
    に記載のダイアフラムユニットの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記樹脂皮膜が、上記金属膜上において
    成膜され、その厚さが0.5〜3μmである請求項1な
    いし4のいずれか1項に記載のダイアフラムユニットの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 上記基板の上記マウント枠となるべき部
    分に、上記複合膜を係止するためのアンカー用凹部を形
    成する請求項1ないし5のいずれか1項に記載のダイア
    フラムユニットの製造方法。
  7. 【請求項7】 高温雰囲気下で上記複合膜上から加圧し
    て、同複合膜を上記マウント枠に固定する請求項1ない
    し6のいずれか1項に記載のダイアフラムユニットの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 上記マウント枠の他方の面に、外光非透
    過性の空気流通溝を形成する請求項1ないし7のいずれ
    か1項に記載のダイアフラムユニットの製造方法。
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