JP6133118B2 - 振動発電体 - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトレット誘電体を用いた振動発電体に関するものである。
従来から、道路や橋梁、建築物、産業機械などの構造体の振動や、自動車や鉄道車両、航空機などの移動体の振動、人体の運動や環境に普遍的に存在する環境振動などを電気エネルギーに変換して有効利用する試みがなされている。
このような振動エネルギーを電気に変換する発電方式としては、電磁誘導を利用する方式、圧電素子を利用する方式、静電誘導を利用する方式に大きく分けられる。電磁誘導を利用する方式は、振動によってコイルと磁石との相対的な位置を変化させ、この際にコイルに生じる電磁誘導によって発電する方式である。また、圧電素子を利用する方式は、主としてセラミックス系の圧電素子を用い、振動によって圧電素子に歪が加わる際に、圧電素子の表面に電荷が誘起される現象を利用するものである。
また、静電誘導を利用する方式には、一般的に、半永久的に電荷を保持するエレクトレット誘電体が用いられる。エレクトレット誘電体と、これと距離を置いて配置された電極との相対位置を、振動等によって変化させることで、電荷が電極に静電誘導され、発電が行われるものである。このような原理を用いた発電装置は、例えば特許文献1、特許文献2に記載されている。
特開2010−136598号公報 特開2000−50394号公報
特許文献1に記載された振動発電装置は、固定基板の上面に短冊状の複数本のベース電極が平行に配列され、各ベース電極上には、それぞれエレクトレットが形成される。また、可動基板は、固定基板のエレクトレットが配置される側の面に対向し、所定のギャップをあけて平行に配置される。さらに、可動基板の対向面には、ベース電極と対向するように短冊状の対向電極が形成される。振動が付与されると、可動基板は、固定基板との距離を保った状態で、平行に移動する。したがって、エレクトレットと対向電極との相対位置が平行な方向に変化する。この際、各電極に電荷が静電誘導されて発電することができる。
また、特許文献2には、音波を電気信号に変換するエレクトレットコンデンサマイクロホンが記載されている。エレクトレットコンデンサマイクロホンは、固定電極であるカップ状背極にエレクトレット誘電体膜が形成され、エレクトレット誘電体膜と対向する側に対向電極である振動膜が形成される。また、エレクトレット誘電体膜と振動膜とのギャップはスペーサで保持される。中心孔から音波が伝播して振動膜が振動すると、振動膜とエレクトレット誘電体膜との相対位置が変化する。この際、各電極に電荷が静電誘導される。このようにして得られた電気信号を信号増幅およびインピーダンス変換して出力することができる。
しかしながら、前述した発電方式は、広範囲かつ様々な取り付け部位の形態に対応させることが困難である。例えば、特許文献1、2に記載された装置や、電磁誘導や圧電素子を利用する方式では、各部材が略リジッドに形成されるため、取り付け部位に応じて形状を変える等のフレキシブル性に劣る。
本発明者らは、フレキシブルな振動発電体を研究し、エレクトレット誘電体を用いた振動発電体を先に提案した。この振動発電体は、電極とエレクトレット誘電体との相対距離の変化によって発電を行うものであるが、長期間、電極とエレクトレット誘電体との接触と剥離とが繰り返されると、エレクトレット誘電体の表面電位が、時間経過とともに変動(低下または上昇)することが懸念される。このような、エレクトレット誘電体の表面電位の変動は、例えば、(1)エレクトレット誘電体自体の電荷保持能力に起因するもの、(2)エレクトレット誘電体と電極との間の空気放電によるもの、(3)エレクトレット誘電体と電極との接触・剥離過程での、接触帯電や剥離帯電に起因するものが考えられる。このように、エレクトレット誘電体の表面電位が変動すると、振動発電体の発電出力が時間とともに変動(低下または上昇)するという問題がある。
上述の(1)に対しては、エレクトレット誘電体の材料固有の問題であるため、適切な電荷保持性を有する材料を選択することで対策することができる。また、(2)に対しては、エレクトレット誘電体と電極との間のギャップでの空気放電の発生は、およそパッシェンの法則に従うため、空気放電が発生しないように、エレクトレット誘電体表面と電極との電位差の範囲やギャップ長の変化範囲を適正に設計することで回避することができる。
一方、(3)に対しては、エレクトレット誘電体が電極に接触・剥離する際に、接触帯電や剥離帯電といった帯電現象によって、両表面間で電荷の移動が発生することでエレクトレット誘電体の表面電位が変動することを抑制する必要がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、長期安定した発電出力を得ることが可能な振動発電体を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明は、予め施された帯電処理により電荷を保持しているエレクトレット誘電体と、前記エレクトレット誘電体を挟むように配置された一対の電極と、を具備し、少なくとも一方の電極とエレクトレット誘電体との間の距離は変化可能であり、当該一方の電極のエレクトレット誘電体と対向する面には絶縁体層が被覆されており、前記エレクトレット誘電体、前記絶縁体層および前記電極は、いずれも可撓性を有し、前記エレクトレット誘電体と前記電極に被覆された前記絶縁体層との間の少なくとも一部には、互いに接合されない非接合部が形成され、外力が付与された際、少なくとも一部において、前記電極の変形によって、前記電極同士の間の距離が変化可能であり、前記エレクトレット誘電体と前記絶縁体層とが接触と剥離とを繰り返すことを特徴とする振動発電体ある。
このような構成とすることで、振動発電体を設置場所の形態に追従させて設置することが可能である。また、エレクトレット誘電体と絶縁体層が被覆された電極との間に非接合部が形成されるため、エレクトレット誘電体と電極との間の厚み方向の距離を外力によって容易に変化させることができる。すなわち、外力によって振動発電体の対向する電極間距離を容易に変化させることができる。したがって、距離変化に応じて電極に電荷が静電誘導され、発電を行うことができる。
なお、外力とは、機械的に他の物体が振動発電体と接触することによって、振動発電体を変形させる力には限られない。例えば、振動発電体を取り付けた構造体の振動や、外部からの音波や空気圧変化など、振動発電体に繰り返し付与され、振動発電体を変形させることが可能な外部から振動発電体への力の作用の全てを外力として指すものである。この外力は微小なものであってもよい。また、振動発電体における振動とは、その振幅や周波数などが一定であるようなものに限られず、定期的または不定期に繰り返し振動発電体に外力(慣性力などを含む)を付与可能であるものを指す。
また、本発明のエレクトレット誘電体は、エレクトレット誘電体と対向する電極の表面に絶縁体層を被覆してあるので、エレクトレット誘電体が直接電極と接触することがない。したがって、エレクトレット誘電体と電極との間で接触、剥離が生じた際の双方間での電荷の移動を抑制することができる。すなわち、エレクトレット誘電体と電極との間の接触、剥離が生じた際に、前記の電荷の移動によるエレクトレット誘電体の表面電位の変動を抑制することができ、振動発電体の発電出力の安定化を図ることができる。なお、本発明では、「エレクトレット誘電体」は「絶縁体(層)」の一態様であり、「絶縁体(層)」に帯電処理を施して電荷を保持したものを「エレクトレット誘電体」と称する。また、帯電処理前の「絶縁体(層)」を、電極に被覆される「絶縁体層」と区別するために「エレクトレット誘電体の素材」と称する。
また、それぞれの前記エレクトレット誘電体と前記絶縁体層は、同一の材質で構成されてもよい。
このように、エレクトレット誘電体と絶縁体層とが同一材質であれば、両者の帯電列が略一致するため、両者が接触、剥離または摩擦した際の相互間の電荷の移動を抑制することができる。
また、前記エレクトレット誘電体と前記絶縁体層とを異なる材質で構成する場合は、前記絶縁体層と対向する前記エレクトレット誘電体の表面の帯電極性が、当該エレクトレット誘電体の帯電処理前の素材と前記絶縁体層とを接触、剥離または摩擦させたときに前記エレクトレット誘電体の素材表面が帯電する極性と同じであることが望ましい。
このように極性を一致させることにより、エレクトレット誘電体と絶縁体層とが接触、剥離または摩擦する際の帯電現象による両者間の電荷の移動を抑制することができる。したがって、振動発電体の使用中にエレクトレット誘電体と絶縁体層との接触、剥離または摩擦により、エレクトレット誘電体の表面電位が変動することを抑制でき、振動発電体の発電出力の安定化を図ることができる。
前記エレクトレット誘電体の表面電位の絶対値は、前記エレクトレット誘電体の帯電処理前の素材と前記絶縁体層とを接触、剥離または摩擦させて生じる前記エレクトレット誘電体の素材の表面電位の絶対値よりも大きいことが望ましい。
帯電処理によって得られるエレクトレット誘電体の表面電位の絶対値をこのように設計すると、本発明の振動発電体の使用中にエレクトレット誘電体と絶縁体層との間の接触、剥離または摩擦に起因した帯電現象により、エレクトレット誘電体の表面電位が変動することを抑制することができる。したがって、振動発電体の発電出力の変動を抑制でき、長期安定して使用可能な振動発電体を得ることができる。
なお、前記電極表面に被覆した絶縁体層を予め帯電処理しておいてもよい。
この場合にも、エレクトレット誘電体と絶縁体層の対向するそれぞれの表面の極性は、帯電処理前のエレクトレット誘電体と絶縁体層の素材同士を接触、剥離または摩擦した際の帯電現象で生じるそれぞれの表面の帯電極性と一致させることが望ましい。
また、この場合にも、予め帯電処理した絶縁体層の表面電位の絶対値は、帯電処理前のエレクトレット誘電体と絶縁体層の素材同士を摩擦等した際の帯電現象で生じる表面電位の絶対値よりも大きいことが望ましい。
また、前記エレクトレット誘電体と前記絶縁体層との間には、部分的にスペーサが設けられ、少なくとも一部の前記スペーサを介して、前記エレクトレット誘電体と前記絶縁体層とが接合され、前記スペーサ以外の部位が、前記非接合部となることが望ましい。
このような構成とすることで、スペーサの厚み分だけ、エレクトレット誘電体と電極表面に設けられる絶縁体層との隙間(ギャップ)を保持することが容易となる。したがって、外力に応じて、より確実にエレクトレット誘電体と電極との距離を変化させ、対向する電極間距離を変化させることができる。
また、一対の前記電極の一方を中心電極とし、他方を前記中心電極を内包するように前記中心電極の外側に配置された外部電極とし、これら中心電極と外部電極を前記エレクトレット誘電体を挟むように配置してもよい。
このような構成とすることで、設置自由度が高いケーブル状の振動発電体を得ることができる。この振動発電体においても、外力によって、エレクトレット誘電体層と絶縁体層の非接合部において、外力に応じてエレクトレット誘電体と絶縁体層との距離を変化させ、ひいては中心電極と外部電極との間の距離を変化させることで発電を行うことができる。
また、本発明は、前記一対の電極の両方が、前記エレクトレット誘電体との距離が変化可能であり、一対の前記電極の互いの対向面にそれぞれ絶縁体層が被覆されているものであってもよい。
このように、エレクトレット誘電体の表裏面に対向するように、絶縁体層が被覆された電極を配置することで、エレクトレット誘電体の両面に対向するそれぞれの絶縁体層との非接合部において、外力に応じてエレクトレット誘電体と絶縁体層との間の距離を変化させることができ、したがって一対の電極間距離を変化させ発電することができる。
本発明によれば、長期安定した発電出力を得ることが可能な振動発電体を提供することができる。
(a)は振動発電体1を示す図、(b)は振動発電体1aを示す図。 (a)はエレクトレット誘電体3を示す図、(b)は、多孔質材を用いたエレクトレット誘電体3aの拡大図。 電極5bの部分拡大図であり(a)定常状態、(b)は、変形状態を示す概念図。 他の実施の形態を示す図で、(a)は振動発電体1bを示す図、(b)は振動発電体1cを示す図。 他の実施の形態を示す図で、(a)は振動発電体1dを示す図、(b)は振動発電体1eを示す図。 他の実施の形態を示す図で、振動発電体20を示す図。 (a)、(b)は、エレクトレット誘電体23の帯電状態を示す図。 (a)、(b)は、外部電極27の変形状態を示す概念図。 (a)、(b)は、エレクトレット誘電体23と外部電極27との距離変化を示す概念図。 他の実施の形態を示す図で、振動発電体20aを示す図。
<実施形態1>
以下、本発明の実施の形態にかかる振動発電体1について説明する。振動発電体1は、図1(a)に示す断面形状を有するシート状の振動発電体であり、主に、絶縁体層2、エレクトレット誘電体3、電極5a、5b、スペーサ7等から構成される。
電極5a、5bは互いに対向して配置される。電極5bに対向する電極5aの表面には、エレクトレット誘電体3が積層される。また、電極5aに対向する電極5bの表面には、絶縁体層2が積層される。エレクトレット誘電体3の厚さは、絶縁体層2の厚さと同等以上の厚さが望ましい。エレクトレット誘電体3と絶縁体層2との間には、部分的にスペーサ7が設けられる。スペーサ7は、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2との隙間(ギャップ)を保持するためのものである。すなわち、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2とは、スペーサ7を介して接合され、スペーサ7との接合部以外の互いの間は非接合部9となり、スペーサ7の厚さに応じた隙間(ギャップ)が形成される。
なお、前述したように、エレクトレット誘電体3は、絶縁体の一形態である。したがって、振動発電体1は、電極5a、5bの互いの対向面にそれぞれ絶縁体層2が設けられ、絶縁体層2同士がスペーサ7によって接合されたものと言える。この際、本実施形態では、一方の絶縁体層に予め帯電処理を施しておくことで、一方の絶縁体層をエレクトレット誘電体3としたものである。
スペーサ7としては、例えば導電性、半導電性の材料を使用することも可能であるが、絶縁性の材料で構成されることが望ましい。また、全てのスペーサ7の内、少なくとも一部が、接着剤や粘着剤を含む接着性あるいは粘着性部材で構成されることが望ましい。例えば、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2とを接合して固定することができる程度に、部分的にスペーサ7を接着性部材等で構成し、他の部位には非接着性のスペーサ7を用いてもよい。なお、スペーサ7については詳細を後述する。
本発明では、絶縁体層2、エレクトレット誘電体3、電極5a、5bは、いずれも可撓性を有する。絶縁体層2およびエレクトレット誘電体3は、後述する樹脂等で構成される。したがって、振動発電体1は、全体として可撓性を有し、様々な形態の設置場所に適した変形が可能である。
電極5aとエレクトレット誘電体3とは、略全面にわたって接合されている。電極5aとエレクトレット誘電体3とは、例えば熱融着や接着剤、粘着剤などを用いて接合される。同様に、電極5bと絶縁体層2とは、略全面にわたって接合されている。電極5bと絶縁体層2とは、例えば熱融着や接着剤、粘着剤などを用いて接合される。
電極5a、5bは、導体層6と樹脂層8とが積層され、接合された二層構造である。このような電極5a、5bは、樹脂シート(フィルム)と金属箔とを熱融着や接着剤、粘着剤などを用いて接合したものであってもよく、樹脂シート(フィルム)の表面に金属蒸着や金属スパッタ、金属めっきを施したものであってもよい。いずれにせよ、シート(フィルム)状の樹脂上に導体層を形成すればよい。
なお、導体層6を構成する導体としては、アルミニウム、錫、銅、銀、金などの金属、あるいはこれらの合金など適宜選択することができる。また、導体層6としては、透明導電層として酸化インジウムスズを選択することもできる。また、樹脂層8を構成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド系の樹脂(例えばカプトン(登録商標))、ポリアミド系の樹脂(例えばナイロン6やナイロン66(登録商標))、フッ素系の樹脂(例えばフルオロエチレンプロピレンやポリテトラフルオロエチレン)などのプラスチック材料や、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、天然ゴムなどのゴム材料を用いることもできる。
二層構造の電極5a、5bは、周囲との電気絶縁を確保し、防水性や防湿性を向上させることができる点で望ましい。さらに、外力等に対する電極5a、5bの機械的な変形の追従性を向上させることができる点で望ましい。例えば、薄い導体のみでは、外力によって変形した後、元の形状への復元力が小さい。しかし、導体のみで剛性を高めようとすると、導体部の厚みを厚くする必要があるため重量増の問題がある。また、これにより、電極の動きが鈍くなる恐れがある。
これに対し、本実施形態では、樹脂層8を設けることで、重量増による問題を抑制するとともに、外力に対する電極5a、5bの機械的な変形の追従性、すなわち剛性を高めることができる。なお、電極5a、5bの対向面(導体層6の表面)にはそれぞれエレクトレット誘電体3、絶縁体層2が積層されているため、例えば振動発電体1の外部に別途絶縁部材を設けるなどで電極5a、5bと周囲との電気絶縁性等を確保できれば、導体層6のみで電極5a、5bを形成しても良い。
図2(a)に示すように、エレクトレット誘電体3の両面は、互いに逆の極性の電荷で帯電している。なお、エレクトレット誘電体3の片面にのみ、いずれか一方の極性の電荷が帯電していても良く、あるいは、エレクトレット誘電体3の両面に、いずれか一方の極性の電荷が帯電していても良い。すなわち、エレクトレット誘電体3の表面と裏面との間で電位差がある状態であればよい。このようなエレクトレット誘電体3は、例えば絶縁性を有する樹脂シートや樹脂フィルム等の表面に、コロナ放電によって帯電処理を施すことで形成することができる。
すなわち、本発明においてエレクトレット誘電体3とは、絶縁性の部材に対して予め帯電処理を施すことで、振動発電体の使用開始当初からエレクトレット誘電体3の両面間で表面電位差がある状態にされているものを指す。したがって、本発明におけるエレクトレット誘電体3は、振動発電体の使用開始当初にはエレクトレット誘電体3の両面間で表面電位差を有さずに、使用開始後に徐々に帯電して表面電位差を有するようになるものとは異なる。
絶縁体層2、エレクトレット誘電体3(の素材)の材質としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系の樹脂や、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系の樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル樹脂、ポリイミド系の樹脂(例えばカプトン(登録商標))、ポリアミド系の樹脂(例えばナイロン6やナイロン66(登録商標))、フッ素系の樹脂(例えばフルオロエチレンプロピレンやポリテトラフルオロエチレン)などのプラスチック材料を用いることができる。また、例えばニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素系ゴムなどのゴム材料を用いることができる。
また、エレクトレット誘電体3の両表面間の望ましい表面電位差は、非接合部9における絶縁体層2とエレクトレット誘電体3とのギャップ長(またはスペーサ7の厚み)に依存する。すなわち、この電位差は、当該ギャップでの空気放電の発生による電位差低下が生じにくくなるように設定されることが望ましい。
一般的に、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3とのギャップ(隙間)における空気放電の発生は、ギャップ長とギャップ間の電位差で決まり、パッシェンの法則におよそ従う。したがって、外力が付与されない時、および外力が付与された時の絶縁体層2とエレクトレット誘電体3とのギャップ長の変化範囲に対して、空気放電が発生しないギャップ間の電位差となるようにエレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差を設定することが望ましい。
なお、図2(b)に示すように、多孔質材からなるエレクトレット誘電体3aを用いることもできる。内部に微細な空孔4が存在する多孔質材の両面に電圧を付与すると、空孔4内において容易にコロナ放電が生じる。このコロナ放電によって空孔壁面および空孔壁面近傍にも帯電したエレクトレット誘電体3aを容易に製造できる。なお、エレクトレット誘電体3aの空孔壁面および空孔壁面近傍の帯電状態は、図2(b)に示すように、電圧印加方向(この場合にはエレクトレット誘電体3aの厚さ方向)に正電荷と負電荷に帯電した領域が形成される状態になっていると考えられる。また、エレクトレット誘電体3aの内部に空孔4が存在すると、エレクトレット誘電体3a全体として変形が容易となる。したがって、非接合部9における絶縁体層2とエレクトレット誘電体3aとの間のギャップ長の変化だけでなく、エレクトレット誘電体3a自体の変形によっても電極5a、5b間の距離変化を生じさせ、発電に寄与させることができる。このため、発電効率を向上させることができる。
多孔質性のエレクトレット誘電体3aの素材としては、絶縁体であって、エレクトレット誘電体3について例示したものと同様の材料を多孔質化した多孔質プラスチックまたは多孔質ゴムや、シート状繊維体を用いることができる。なお、多孔質プラスチックには、発泡プラスチックも含まれる。また、多孔質ゴムには、発泡ゴムも含まれる。シート状繊維体としては、不織布やフェルトを用いることができる。中でも不織布は空気清浄機やマスク等においてエレクトレットフィルターとして利用されており、良好なエレクトレットの特性を有する。なお、以下の説明では、空孔4のないエレクトレット誘電体3を用いた例について示す。また、絶縁体層2をエレクトレット誘電体3aと同様に多孔質材とすることもできる。
図1(a)に示すように、スペーサ7以外の部位において、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2との間には非接合部9が形成される。すなわち、非接合部9においては、エレクトレット誘電体3が積層された電極5aと絶縁体層2が積層された電極5bの少なくとも一方が変形することで、互いの距離が容易に変化する。例えば、電極5a、5bの変形によって、絶縁体層2を、エレクトレット誘電体3の表面と接触させることもできる。
次に、振動発電体1の発電機構について説明する。図3は図1(a)のA部拡大図である。図3(a)に示すように、例えば定常状態(外力が付与されていない状態。以下同様。)では、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との間には、非接合部9においてスペーサ7の厚みに応じたギャップ長Bが形成される。この状態から、図3(b)に示すように、外力Cが振動発電体1の厚さ方向に付与されると、電極5bおよび絶縁体層2が変形する。この際、ギャップ長Bが短くなる方向へ変化し、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3とが接触部11で接触する。
すなわち、接触部11に対応する位置においては、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との厚さ方向の距離(ギャップ長B)が0になるまで変化できる。したがって、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3の厚さ方向の距離変化に応じて電極5a、5b間の距離変化が生じ、電極5a、5bのそれぞれに電荷が静電誘導されて発電する。なお、図3(b)の状態から図3(a)の状態に戻る際にも、同様に電極5a、5b間の距離変化に応じた静電誘導による発電が行われる。なお、詳細は後述するが、絶縁体層2(電極5b)とエレクトレット誘電体3との間の距離変化、すなわち電極5a、5b間の距離変化に伴う電極5a、5b間の発電出力電圧は、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3とが変形によって接触する直前および剥離した直後に最も高くなる。
このように、振動発電体1では、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3とを相対的に厚さ方向に変形させて、その距離を変化させることで電極5a、5b間の距離変化を容易に生じさせることができるため、効率よく発電を行うことができる。
ここで、スペーサ7の材質にもよるが、外力による非接合部9のギャップ長Bの変化と比較して、スペーサ7を設けた部分における絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との距離の変化は小さい。このように、スペーサ7の部位では、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との距離変化がしにくいため、すなわち電極5a、5b間の距離変化がしにくいため、発電には寄与しにくい。したがって、スペーサ7は、できるだけ小さくし、かつ振動発電体1に占めるスペーサ7の総面積をできるだけ小さくすることが望ましい。また、非接合部9においてギャップ長Bを保持することができる程度にスペーサ7を互いに所定の間隔をあけて配置することが望ましい。
なお、スペーサ7としては、接着性または粘着性の部材で構成することに代えて、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3とを部分的に直接熱融着等により接合してもよい。この場合、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との接合部以外の部位が、非接合部9となる。この場合であっても、非接合部9では、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との間に、微小な隙間(ギャップ)が形成される。なお、非接合部9において、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3とが部分的に接触していても良い。また、スペーサ7には、接着剤や粘着剤に代えて、他の部材を介して絶縁体層2とエレクトレット誘電体3とを接合しても良い。
ここで、本発明では、非接合部9におけるエレクトレット誘電体3と絶縁体層2の対向面の少なくとも一方に、粗面化処理を施すこともできる。粗面化処理を行う方法は特に限定されない。例えば、サンドペーパー(例えば600番程度)で表面粗さを増しても良く、エッチングによる表面処理や、表面粗さを有する型による表面プレス加工を施しても良い。なお、粗面化処理により得られる表面粗さは、特に限定されない。
このように、非接合部9におけるエレクトレット誘電体3と絶縁体層2の対向面に粗面化処理が施されれば、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2とが接触、剥離または摩擦を繰り返す際の接触面積を小さくすることができる。このため、双方の表面間での電荷の出入り(移動)を抑制することができる。したがって、振動発電体1に外力、振動を付与した際に、時間経過に対するエレクトレット誘電体3の表面電位の変動を抑制することができ、振動発電体1の発電出力の安定化を図ることができる。
なお、図1(b)に示すように、エレクトレット誘電体3の両表面(表面と裏面)に対向する電極5a、5bの表面に、絶縁体層2a、2bをそれぞれ積層して設けた振動発電体1aを用いることもできる。振動発電体1aは、振動発電体1と略同様の構成であるが、電極5aの表面に設けられた絶縁体層2aとエレクトレット誘電体3との間にも、部分的なスペーサ7と非接合部9とが設けられる。
ここで、図1(a)の振動発電体1は、一方の電極5aがエレクトレット誘電体3と全面にわたって接合されているため、電極5bに積層される絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との距離変化(ギャップ長変化)でのみ発電が行われる。一方、図1(b)の振動発電体1aでは、電極5a、5bにそれぞれ積層される絶縁体層2a、2bの両方とエレクトレット誘電体3との間に非接合部9、9(ギャップ)を形成し、両方のギャップの距離変化により発電が行われる。しかし、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2aとの間のギャップと、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2bとの間のギャップの両方の距離変化の方向とタイミング(位相)が一致しないと、電極5a、5b間に生じる発電出力電圧が互いに打ち消しあってしまい、振動発電体1aでの発電出力電圧の低下を招く恐れがある。
したがって、図1(b)の振動発電体1aの全体で効率良く発電を行うためには、電極5a、5bにそれぞれ積層される絶縁体層2a、2bとエレクトレット誘電体3との距離変化の方向(減少する方向あるいは増加する方向)とタイミング(位相)を振動発電体1aの各部で一致させることが望ましい。例えば、絶縁体層2a、2bとエレクトレット誘電体3とが接触および剥離を繰り返す場合には、この接触および剥離のタイミングを振動発電体1aの各部で一致させることが望ましい。
また、振動発電体1aのエレクトレット誘電体3の表裏で絶縁体層2a、2bでそれぞれ被覆された電極5a、5bとエレクトレット誘電体3との距離変化の方向とタイミングを一致させるために、エレクトレット誘電体3の表裏に設けられるスペーサ7、7の平面配置を一致させることが望ましい。
これに対し、図1(a)の振動発電体1では、電極5bに積層された絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との距離変化のみによって発電されるため、振動発電体1aのように絶縁体層2a、2b(電極5a、5b)のそれぞれとエレクトレット誘電体3との双方の距離変化の方向とタイミング(位相)を一致させる必要がない。また、図1(b)の振動発電体1aと比較して、スペーサ7の厚み分だけ、全厚を薄くすることができる。このように、構造を簡易にできることによるコスト減や、薄肉化が可能である点などを考慮すれば、発電量は若干下がるものの、振動発電体1を用いることが望ましい。なお、以下の説明では、振動発電体1を用いた例について説明するが、振動発電体1aを用いることもできる。
ここで、振動発電体1は、絶縁体層2が電極5b(導体層6)の表面に積層されることにより、電極5b(導体層6)とエレクトレット誘電体3とが直接接触しないため、電極5b(導体層6)とエレクトレット誘電体3との間の接触、剥離または摩擦による電荷の移動は抑制される。一方、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との接触、剥離または摩擦に伴う帯電現象に起因した電荷の移動を更に抑制するためには、以下の構成とすることが望ましい。
<絶縁体層、エレクトレット誘電体の材質の選択等>
(1)絶縁体層2とエレクトレット誘電体3(の素材)とを同一の材質とする。
絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との接触、剥離または摩擦に伴う双方間の電荷の移動(出入り)のしやすさは、接触、剥離または摩擦する双方の部材の材質の組合せに対して双方の帯電傾向を示した帯電列でおよそ決まると考えられる。通常、2種類の物質同士を接触、剥離または摩擦させた際に、接触した表面間で電荷が移動し、その結果、物質表面が帯電する。その際の帯電極性に関して、それぞれの物質同士の組合せに対して正帯電のしやすさ、負帯電のしやすさを示す帯電傾向を物質の順に並べた傾向が、帯電列である。2つの物質同士を接触、剥離または摩擦させた際、帯電列の順序が離れた物質同士を組み合わせた場合ほど双方が強く帯電する。すなわち、双方の物質間で電荷の移動(出入り)が生じやすい。一方、同一の材質同士であれば、帯電しにくく、電荷の移動を抑制することができる。したがって、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3を同一の材質とすることで、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との接触、剥離または摩擦に伴う帯電現象に起因した電荷の移動を抑制することができる。すなわち、振動発電体1に外力、振動を付与した際に、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との接触、剥離または摩擦に起因したエレクトレット誘電体3の表面電位の変動を抑制することができ、振動発電体1の発電出力の安定化を図ることができる。
(2)絶縁体層2とエレクトレット誘電体3(の素材)とを異なる材質で構成する場合には、絶縁体層2と帯電処理前のエレクトレット誘電体3の素材との接触、剥離または摩擦による帯電現象でエレクトレット誘電体3の素材表面が帯電する極性(以下「接触帯電極性」と言う)が、帯電処理によるエレクトレット誘電体3の表面の帯電極性(以下「帯電処理極性」と言う)と一致するように、エレクトレット誘電体3(の素材)と絶縁体層2の材質の組合せを選択する。
前述したように、異種材料を接触、剥離または摩擦させると、それらの帯電列の順序に応じて、一方が正帯電し、他方が負帯電する。一方、エレクトレット誘電体3は、あらかじめ帯電処理されているため、絶縁体層2と対向するエレクトレット誘電体3の表面は所定の帯電処理極性に帯電している。このエレクトレット誘電体3の表面の帯電処理極性と、当該エレクトレット誘電体3(の素材)が絶縁体層2と接触、剥離または摩擦することにより帯電するエレクトレット誘電体3(の素材)の表面の接触帯電極性とが一致するように、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2の材質の組合せを選択することで、振動発電体1に外力、振動が付与され、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2とが接触、剥離または摩擦が生じた際に、双方間の電荷の移動を抑制することができ、したがって、エレクトレット誘電体3の表面電位の変動を抑制することができるため、振動発電体1の発電出力の安定化を図ることができる。
言いかえると、エレクトレット誘電体3(の素材)と絶縁体層2とを接触、剥離または摩擦させたときにエレクトレット誘電体3の表面が帯電する接触帯電極性と同じになるように、エレクトレット誘電体3の帯電処理極性を選択することにより、振動発電体1の使用時にエレクトレット誘電体3と絶縁体層2との間の電荷移動を抑制することができ、故にエレクトレット誘電体3の表面電位の変動を抑制することができる。
例えば、エレクトレット誘電体3の帯電処理前の素材と絶縁体層2とが接触、剥離または摩擦を繰り返すと、前述した帯電列に従って、エレクトレット誘電体3の表面が帯電する。この際、エレクトレット誘電体3の表面が正帯電し、絶縁体層2の表面が負帯電する場合には、エレクトレット誘電体3をあらかじめコロナ放電などによって帯電処理するとき、エレクトレット誘電体3の絶縁体層2と対向する表面が正帯電するように処理を施しておけば良い。
また、帯電処理したエレクトレット誘電体3の表面電位の絶対値は、帯電処理前のエレクトレット誘電体3の素材と絶縁体層2との接触、剥離または摩擦による帯電で生じるエレクトレット誘電体3の素材の表面電位の絶対値よりも大きいことが望ましい。
例えば、帯電処理前のエレクトレット誘電体3の素材と絶縁体層2とが接触、剥離または摩擦を繰り返して帯電したときに生じるエレクトレット誘電体3の素材の表面電位の絶対値は、エレクトレット誘電体3の素材が電極5aと積層された状態で概ね100V未満(電極5aの導体層6を基準電位とした場合)である。従って、エレクトレット誘電体3の素材と絶縁体層2との接触、剥離または摩擦によって生じるエレクトレット誘電体3の素材表面の接触帯電極性と、エレクトレット誘電体3の表面の帯電処理極性を一致させ、エレクトレット誘電体3の表面(絶縁体層2との対向面)の表面電位の絶対値が100V以上(例えば200V)となるように帯電処理することが望ましい。このようにすることで、絶縁体層2とエレクトレット誘電体3との接触、剥離または摩擦による帯電によって、エレクトレット誘電体3の表面電位が変動することを抑制することができ、安定した発電出力を得ることができる。
なお、上述した振動発電体1は、電極5aには帯電処理したエレクトレット誘電体3が接合され、電極5bには帯電処理が施されていない絶縁体層2が接合された構成であるが、本発明では、絶縁体層2にも予め帯電処理を施しておいても良い。なお、この場合、電極5a、5bのいずれに対しても、それらが対向する表面にエレクトレット誘電体3が積層された構造と言うこともできる。この場合には、エレクトレット誘電体3と帯電処理された絶縁体層2との表面電位差に応じた発電出力を得ることができる。
この場合も、エレクトレット誘電体3と帯電処理された絶縁体層2とが接触、剥離または摩擦する際に生じる双方間の電荷の移動を抑制するためには、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2を同材質とするとよい。また、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2を異種材質とする場合には、エレクトレット誘電体3、絶縁体層2のそれぞれの表面の帯電処理極性と、選択した素材同士を接触、剥離または摩擦させたときの接触帯電極性とを一致させることが望ましい。更には、帯電処理によるエレクトレット誘電体3、絶縁体層2のそれぞれの表面電位の絶対値は、選択した素材同士の接触、剥離または摩擦させたときに発生するそれぞれの表面電位の絶対値よりも大きいことが望ましい。
また、同様に、図1(b)に示した振動発電体1aにおいても、絶縁体層2a、2bの少なくとも一方をあらかじめ帯電処理することによりエレクトレット誘電体とすることもできる。
以上、本実施形態の振動発電体1は、電極5a、5b、絶縁体層2、エレクトレット誘電体3がいずれも可撓性を有する材質で構成されたシート状の振動発電体であり、かつ切断工具(ハサミやナイフなど)を用いて容易に切断可能な構成であることから、設置部の形態に応じて、任意の形状に切断加工して自由に折り曲げて設置することができる。また、電極5a、5b、絶縁体層2、およびエレクトレット誘電体3が主にシート状の部材で構成されているため、大きな面積の設置場所にも適用が容易である。したがって、設置場所に対する自由度が大きい。
また、本実施形態の振動発電体1には、絶縁体層2を設けたので、エレクトレット誘電体3が電極5b(導体層6)と直接接触せず、エレクトレット誘電体3と電極5b(導体層6)との間の接触、剥離または摩擦による双方間の電荷の移動を抑制することができる。この結果、予め帯電処理したエレクトレット誘電体3の高い表面電位を維持することができる。すなわち、振動発電体1への外力、振動の付与に対する非接合部9のギャップ長の変化という発電動作において、エレクトレット誘電体3と電極5b(導体層6)との間で接触、剥離または摩擦が直接生じることはないため、エレクトレット誘電体3の表面電位の変動を抑制することができる。
なお、前述したように、2種類の物質同士を接触・剥離させた際に、接触した物質表面間で電荷が移動し、その結果、双方の物質表面が帯電する。したがって、電極5bの表面に絶縁体層2を積層して、エレクトレット誘電体3と導電性の電極5b(導体層6)とを直接接触させないこととした場合にも、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2との間で接触、剥離または摩擦による電荷の移動が生じ、その結果、導電性の電極5b(導体層6)が直接接触する場合より抑制されているものの、エレクトレット誘電体3の表面電位が変動する懸念がある。
このような懸念は、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2の材質の組合せと、帯電処理によるエレクトレット誘電体3の表面電位の極性および絶対値を適切に選択することによって、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2との間で接触、剥離または摩擦に起因する電荷の移動を生じにくくすることで、エレクトレット誘電体3の表面電位の変動をさらに抑制して、解消することができる。
ところで、振動発電体を、エレクトレット誘電体3を用いずに、電極5a、5bに異なる材質からなる絶縁体層を積層し、事前の帯電処理を施さない構造にしても、外力、振動の付与に対して絶縁体層同士が繰り返し接触、剥離または摩擦による帯電現象を利用することによって発電させることができる。しかし、この場合には、初期には発電が行われないか、発電出力が小さい問題がある。振動発電体へ外力、振動を付与して絶縁体層同士が接触、剥離または摩擦を繰り返すことで、帯電現象により双方の絶縁体層の表面が帯電していき(表面電位が上昇していき)、徐々に発電出力が高まるが、振動発電体への外力、振動の付与が断続的に行われる場合には、絶縁体層表面の帯電状態(表面電位)に応じて発電出力が変動するため、安定した発電出力を得ることができない。
また、この振動発電体の発電出力は、絶縁体層間の接触、剥離または摩擦に起因した帯電で到達できる絶縁体層の表面電位で制限されるため、やがて発電出力の上昇は飽和する。したがって、発電出力を大きくすることが困難である。
これに対し、本発明の振動発電体1では、あらかじめ帯電処理がなされたエレクトレット誘電体3を用いているため、初期から安定した発電出力を得ることができる。また、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2との間のギャップ長変化に対して空気放電が生じない範囲で、エレクトレット誘電体3の表面電位を高く帯電処理しておくことにより、前述したエレクトレット誘電体3を予め帯電処理しない絶縁体層に置き換えた場合の発電出力よりも、発電出力を向上させることができ、発電効率が良い。
<実施形態2>
次に、他の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、振動発電体1と同様の機能を奏する構成については図1等と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図4(a)に示す振動発電体1bは、振動発電体1と略同様の構成であるが、スペーサ7が、エレクトレット誘電体3の表面に形成された凸部12で形成される点で異なる。絶縁体層2に対向するエレクトレット誘電体3の表面には、凸部12と凹部13とが繰り返される凹凸形状が形成される。少なくとも一部の凸部12は、絶縁体層2と接合される。したがって、凸部12がスペーサ7となり、凹部13の部位が、非接合部9となる。
振動発電体1bは、凸部12の高さ(凹部13と凸部12との高低差)がスペーサ7の厚みとなり、非接合部9におけるエレクトレット誘電体3と絶縁体層2との間の略ギャップ長となる。なお、凸部12および凹部13の高さ、大きさ、配置、形状などは前述したスペーサ7と同様に設計される。
エレクトレット誘電体3の表面に凹凸形状を形成する方法は、特に限定されるものではない。例えば、エレクトレット誘電体3の素材表面を切削する方法により形成しても良く、表面をエッチング処理により形成しても良い。また、凹凸パターンを有する型によるプレス加工やエンボス加工等によりエレクトレット誘電体3の素材表面に凹凸形状を形成してもよい。
このように、エレクトレット誘電体3の表面に凹凸形状を設けることで、別途スペーサ7を形成するための部材が不要となる。したがって、部品点数を削減することができる。また、エレクトレット誘電体3とスペーサ7との接合が不要となる。このため、機械的な弱点部となる接合部の箇所数を減らすことができるとともに、接合作業工数を削減することができる。
また、凸部12と凹部13の高低差によって、スペーサ7の厚みが設定できるため、その調整が容易である。例えば、スペーサ7を接着剤や粘着剤などによって形成する場合には、接着剤や粘着剤の硬度や粘度などの細かな調整が必要となる。接着剤や粘着剤の硬度が低い場合には、エレクトレット誘電体3と絶縁体層2とを接着する際に、それらの接着の際に付与される荷重(圧力)によって接着剤や粘着剤が横方向に広がってしまう恐れがある。このため、スペーサ7の高さ(厚み)や大きさなどを正確に調整することが困難である。
また、例えば、スペーサ7を接着性または粘着性を有するインクやペースト剤を用いてスクリーン印刷技術によって形成される場合には、必要なスペーサ7の厚み分だけインクやペースト剤をスクリーン印刷する必要がある。しかし、一般的に、1回のスクリーン印刷で印刷可能なインクやペースト剤の厚さは、5μm〜20μmと言われている。したがって、30μm〜100μm程度のスペーサ7をスクリーン印刷で形成するためには、複数回に分けてインクやペースト剤を印刷する必要がある。このため、スペーサ7を形成するための工数が増大する。これに対し、エレクトレット誘電体3の表面に形成される凹凸高さは、任意に設定することができる。したがって、凸部12の高さ(スペーさ7の厚み)を容易に調整することができる。
なお、エレクトレット誘電体3の表面に形成された凸部12と絶縁体層2との接合は、熱融着により接合する方法や、接着剤、粘着剤などを用いて接合する方法をとることができる。この場合、スペーサ7の厚みは凸部12の高さで調節されるため、凸部12と絶縁体層2とを接合するために必要な接着剤や粘着剤の塗布量を必要最小限とすることができる。したがって、前述したようなスペーサ7の厚みを接着剤や粘着剤の厚みで形成する場合と比較して、凸部12と絶縁体層2とを接合するための接着剤や粘着剤の使用量を削減することができるとともに、接着剤や粘着剤の塗布作業が容易となる利点がある。
なお、図4(b)に示す振動発電体1cのように、エレクトレット誘電体3の両面に凹凸形状を形成することもできる。振動発電体1cは、エレクトレット誘電体3と対向する電極5a、5bの表面に、それぞれ絶縁体層2a、2bが積層されて接合される。エレクトレット誘電体3の絶縁体層2a、2bの対向面には、それぞれ凸部12および凹部13が形成される。すなわち、振動発電体1cは、図1(b)に示す振動発電体1aのスペーサ7を凸部12で形成したものである。振動発電体1cによっても、振動発電体1aと同様の効果を得ることができる。
また、図5(a)に示す振動発電体1dのように、エレクトレット誘電体3ではなく、絶縁体層2の表面に凹凸形状を形成してもよい。振動発電体1dでは、絶縁体層2のエレクトレット誘電体3との対向面に、凸部12と凹部13が形成される。少なくとも一部の凸部12はエレクトレット誘電体3と接合される。なお、絶縁体層2の表面に凸部12と凹部13を形成する方法等は、図4(a)に示す振動発電体1b等でのエレクトレット誘電体3の表面に凹凸形状を形成する方法と同様である。振動発電体1dによっても、振動発電体1と同様の効果を得ることができる。
また、図5(b)に示す振動発電体1eのように、絶縁体層2a、2bの表面に凹凸形状を形成してもよい。振動発電体1eでは、絶縁体層2a、2bのエレクトレット誘電体3とのそれぞれの対向面に、凸部12と凹部13が形成される。少なくとも一部の凸部12はエレクトレット誘電体3と接合される。すなわち、振動発電体1eは、図1(b)に示す振動発電体1aのスペーサ7を凸部12で形成したものである。なお、絶縁体層2a、2bの表面に凸部12と凹部13を形成する方法等は、図4(a)に示す振動発電体1b等でのエレクトレット誘電体3の表面に凹凸形状を形成する方法と同様である。振動発電体1eによっても、振動発電体1aと同様の効果を得ることができる。
<実施形態3>
次に、さらに他の実施の形態について説明する。振動発電体20は、図6に示す断面形状をしたケーブル状の振動発電体であり、主に、中心電極21、エレクトレット誘電体23、絶縁体層25、外部電極27、被覆部29等から構成される。
振動発電体20の中心には、中心電極21が設けられる。中心電極21の外側には、エレクトレット誘電体23、絶縁体層25、外部電極27、被覆部29が順次同軸円筒状に配置される。すなわち、エレクトレット誘電体23および絶縁体層25は、中心電極21と外部電極27とで挟まれる。エレクトレット誘電体23は中心電極21の外周表面に被覆され、絶縁体層25は外部電極27のエレクトレット誘電体23と対向する表面(内面)に被覆される。また、外部電極27の外周には、被覆部29が設けられる。このように、振動発電体20は、中心電極21、エレクトレット誘電体23、絶縁体層25、外部電極27、被覆部29が同軸状に配置され、構成されたケーブルである。また、ケーブル状の振動発電体20は、例えば図1(a)に示したシート状の振動発電体1を筒状に丸めた構造をしていると考えることができる。なお、振動発電体20の断面形状は、図6に示すような真円でなくてもよく、楕円その他の形状であっても良い。
エレクトレット誘電体23と中心電極21とは接合されても良いが、接合されない方が後述するように中心電極21の外周面にエレクトレット誘電体23を形成しやすくなる点で望ましい。
また、外部電極27の断面形状が図6に示すような管状(筒状)である場合には、絶縁体層25と外部電極27とは接合されることが望ましい。絶縁体層25と外部電極27とを接合することで、双方間の空隙をなくし、外部電極27の内面を確実に被覆することができる。
また、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25とは、全体にわたって接合されても良いが、全体的または部分的に接合されない方が望ましい。すなわち、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25との間には、非接合部が全体的または部分的に設けられることが望ましい(図示は省略)。このようにエレクトレット誘電体23と絶縁体層25との間に非接合部(図示は省略)を設けることで、すなわちエレクトレット誘電体23と絶縁体層25との距離変化が可能な領域を設けることで、図9を用いて後述するように振動発電体20へ外力、振動を加えた際のエレクトレット誘電体23と絶縁体層25との距離変化による中心電極21と外部電極27との距離変化を容易とし、静電誘導による発電出力を向上させることができる。また、後述するように、絶縁体層25が被覆(積層)された外部電極27をエレクトレット誘電体23の外周へ単純に被せることで構成することができるため、振動発電体20の製造が容易となる。
振動発電体20へ外力を付与した際、少なくとも絶縁体層25とエレクトレット誘電体23の互いの界面形状は、振動発電体20の長さ方向と直交する断面において、部分的な変形が可能である。また、中心電極21、エレクトレット誘電体23、絶縁体層25、外部電極27、被覆部29は、それぞれ可撓性を有し、振動発電体20を任意の形態に曲げて変形させることが可能である。
中心電極21は、例えば、単心の導体素線や、複数の導体素線を撚り合わせて形成すれば良い。中心電極21の外周にエレクトレット誘電体23を形成する方法は特に限定されないが、例えば、中心電極21の外周上にエレクトレット誘電体23の素材(絶縁性の樹脂)を押出形成してもよく、エレクトレット誘電体23の素材を塗布した後に硬化させて形成してもよく、エレクトレット誘電体23の素材で形成された絶縁性の樹脂テープを中心電極21の外周上に1回または複数回巻き付けて形成してもよい。このように中心電極21の外周上にエレクトレット誘電体23の素材を被覆した後、例えばコロナ放電などによってエレクトレット誘電体23の素材を帯電処理すればよい。なお、上記のようなエレクトレット誘電体23の形成方法では、中心電極21の外周上にエレクトレット誘電体23は被覆されるが、一般的には中心電極21とエレクトレット誘電体23とは接合されていない。
また、外部電極27は、例えば、金属製の編組線や、金属テープ(金属メッシュテープも含む)巻き、導体素線の螺旋巻きなどで形成することができるが、外力による柔軟性や耐久性を考慮すると、金属製の編組線であることが望ましい。外部電極27へ絶縁体層25を被覆する方法として、例えば金属テープ巻きで外部電極を構成する場合には、少なくとも一方の表面に絶縁体層25を積層した金属テープを、絶縁体層25が内側になるようにしてエレクトレット誘電体23の外周上に巻きつければよい。また、エレクトレット誘電体23の外周上に金属製の編組線を被覆したり、導体素線を螺旋巻きしたりするなどして外部電極27を構成する場合には、編組線を構成する導体素線や、螺旋巻きする導体素線の外周上を絶縁体層25で被覆すればよい。この場合には、前述した中心電極21の外周上にエレクトレット誘電体23を形成する方法と同様な方法で、絶縁体層25を導体素線の外周上に形成することができる。そして、絶縁体層25が被覆された導体素線をエレクトレット誘電体23の外周上に螺旋巻きしたり、絶縁体層25が被覆された導体素線で構成される編組線をエレクトレット誘電体23の外周上に被覆すればよい。
図7(a)に示すように、エレクトレット誘電体23は、内面側である中心電極21側が正に帯電し、外面側である絶縁体層25側が負に帯電されていても、その逆である図7(b)に示すように帯電されていてもよい。
中心電極21および外部電極27の材質は、振動発電体1などの実施形態で説明した電極5a、5bと同様な材質を用いることができる。また、エレクトレット誘電体23および絶縁体層25の材質においても、振動発電体1などの実施形態で説明したエレクトレット誘電体3、絶縁体層2と同様な材質を用いることができる。
次に、振動発電体20の発電機構について説明する。図8(a)に示すように、例えば定常状態(外力が付与されていない状態。以下同様。)では、中心電極21と外部電極27との間には、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25の厚み分の距離が保たれている。
これに対し、図8(b)に示すように、例えば外方から振動発電体20へ圧縮力が付与されると、外部電極27、絶縁体層25およびエレクトレット誘電体23の互いの形状が部分的に変形する。したがって、中心電極21と外部電極27との距離が変化する。この際、中心電極21と外部電極27との距離変化に応じて、それぞれの電極に互いに極性を異にする電荷が静電誘導され、発電する。
このように、中心電極21と外部電極27とに電荷が誘起されるメカニズムとしては、以下のように考えられる。
エレクトレット誘電体23の両面において、極性を異にして帯電する電荷によって形成される双極子の双極子モーメントが、エレクトレット誘電体23の変形に伴い変化する。この際、エレクトレット誘電体23の内外に配置された中心電極21と外部電極27とに逆極性の電荷がそれぞれ静電誘導されるものと考えられる。
また、中心電極21と外部電極27との相対的な位置が変化するため、中心電極21と外部電極27との間の静電容量が変化する。中心電極21と外部電極27との間にはエレクトレット誘電体23が存在しているので、中心電極21、外部電極27に誘起される電荷量に大きな変化が生じ、発電されるものと考えられる。
なお、実際には、エレクトレット誘電体23の内面側と外面側とで帯電する電荷量が異なる点や、各構成部材が同軸状に配置されている点などから、中心電極21と外部電極27とに電荷が誘起されるメカニズムは複雑である。しかし、いずれのメカニズムを想定しても、中心電極21および外部電極27にそれぞれ誘起される電荷の極性は、中心電極21と外部電極27との距離が近づく方向に変形していく場合と離れる方向に変形していく場合とで逆極性となる。
例えば、振動発電体20が押圧(圧縮方向)されて変形していく過程で各電極に誘起される電荷の極性と、押圧が開放されて元の状態(図8(a)の状態)に戻っていく過程で各電極に誘起される電荷の極性とでは逆極性となる。
一方、振動発電体20に外力が加わっていても、振動発電体20の形状に変化がない状態(変形が止まっている状態)では、中心電極21と外部電極27とに誘起される電荷量には変化が生じず、振動発電体20は発電しない。
以上のことから、繰り返しの外力変化(振動含む)を与えた際の振動発電体20から得られる出力電圧は交流電圧となる。
ここで、前述した振動発電体20の発電機構では、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25との界面の接合状態(接合または非接合)には依存せずに、外力の付与によってエレクトレット誘電体23や絶縁体層25が変形を受け、中心電極21と外部電極27間の距離が変化することで発電する。一方で、振動発電体1などの実施形態で説明したように、中心電極21、外部電極27間の距離の変化を容易にする観点から、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25との間を接合せずに、非接合部とすることが望ましい。あるいは、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25との間を部分的に接合し、接合部以外の部分を非接合部とすることが望ましい。すなわち、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25とは、振動発電体20に付与された外力によって変形を受けた際に、容易に剥離可能であることが望ましい。また、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25とは、完全に接触していなくてもよく、部分的に隙間(ギャップ)が形成されていることが望ましい。
例えば、図9(a)に示すように、絶縁体層25とエレクトレット誘電体23との間には、部分的に隙間(ギャップ)が形成されていても良い。例えば、図9(a)のE部は、絶縁体層25とエレクトレット誘電体23とが剥離していて、その間に空間(ギャップ)が生じている状態を示す。
この状態から、例えば振動発電体20の径方向(図中矢印D方向)の外力変化が生じて、絶縁体層25とエレクトレット誘電体23の互いの界面形状が部分的に変形すると、図9(b)に示すように、絶縁体層25とエレクトレット誘電体23との非接合部における接触状態が変化する。例えば、図9(b)のE部では、図9(a)のE部で示す絶縁体層25とエレクトレット誘電体23とが剥離している状態から接触する状態へと変化した状態を示している。すなわち、絶縁体層25とエレクトレット誘電体23との互いの距離(ギャップ長)が部分的に変化し、したがって、中心電極21と外部電極27との互いの距離が部分的に変化する。このように、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25とが接合された場合と比較して、双方が接合されずに非接合部が設けられた場合の方が、更にはその非接合部で部分的に隙間(ギャップ)が設けられた場合の方が、振動発電体20に外力、振動が付与された際の中心電極21と外部電極27との距離変化を大きくすることができるため、発電出力および発電効率の向上を図ることができる。
また、図1(a)に示す振動発電体1などで説明したように、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25との間に部分的にスペーサ(図示は省略)を配置し、スペーサの厚みに応じた空隙(ギャップ)を設けても良い。スペーサによってエレクトレット誘電体23と絶縁体層25との間に空隙(ギャップ)を設けることにより、外力に応じてエレクトレット誘電体23と絶縁体層25との間の距離変化(ギャップ長の変化)が容易となり、したがって中心電極21と外部電極27との距離変化が容易となるため、発電効率を高めることができる。なお、ケーブル状の振動発電体20では、絶縁体層25がエレクトレット誘電体23を同軸状に内包する構成であり、両者が自ずと分離できない構造になるため、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25とがスペーサを介して接合される必要はない。
スペーサの形成方法としては、例えば線状部材をスペーサ部材とし、エレクトレット誘電体23の外周上に、複数本の線状部材を略等間隔で螺旋巻きしてスペーサを配置し、螺旋状に巻かれた線状部材の外周上に絶縁体層25が被覆された外部電極27を設ければよい。この場合のスペーサの厚みは、線状部材の直径となる。また、線状部材間に、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25との空隙部(ギャップ)が形成される。スペーサとして使用する線状部材は、導電性、半導電性または絶縁性のいずれでもよいが、絶縁性の線状部材を使用することが望ましい。
また、例えば前述した振動発電体1のスペーサの形成方法で述べたのと同様に、エレクトレット誘電体23の外周面を表面加工することによって凹凸形状を形成し、その凸部をスペーサとしてもよい。また、外部電極27の表面に被覆された絶縁体層25の表面を表面加工することによって凹凸形状を形成し、その凸部をスペーサとしてもよい。
振動発電体20における中心電極21、外部電極27、エレクトレット誘電体23、絶縁体層25は、振動発電体1の電極5a、5b、エレクトレット誘電体3、絶縁体層2にそれぞれ対応している。したがって、振動発電体1の実施形態で説明したのと同様に、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25の材質の組合せと、帯電処理によるエレクトレット誘電体23の表面電位の極性および絶対値とを適切に選択することによって、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25との間の電荷の移動、特に双方が接触、剥離または摩擦した際の双方間の電荷の移動を生じにくくすることができ、エレクトレット誘電体23の表面電位の変動を抑制することができる。したがって、振動発電体20の発電出力の変動を抑制し、発電出力の安定化を図ることができる。
<実施形態4>
図10に示した振動発電体20aは、振動発電体20とほぼ同様の構成であるが、外部電極27が、複数の線状部材によって構成され、それぞれの線状部材の外周に絶縁体層25が被覆されている点で異なる。振動発電体20aは、エレクトレット誘電体23の外周上に、例えば絶縁体層25が被覆された複数本の線状の外部電極27が略等間隔に螺旋巻きして設けられている。また、エレクトレット誘電体23の外周上に、絶縁体層25が被覆された複数本の外部電極27を振動発電体20aの長手方向に沿わせた形で略等間隔に併設してもよい。
このような構成としても、外力、振動を付与した際、振動発電体20aの長さ方向と直交する断面において、絶縁体層25とエレクトレット誘電体23の互いの界面形状が部分的に変形する。したがって、外力、振動が振動発電体20へ付与された際、中心電極21と外部電極27との距離変化に応じて、それぞれの電極に互いに極性を異にする電荷が静電誘導され、発電する。
また、振動発電体20aの外部電極27および絶縁体層25は、略円断面形状である。このため、絶縁体層25とエレクトレット誘電体23とは接合されずに容易に剥離可能な状態であり、部分的に接触せずに空隙(ギャップ)が存在しやすい構成であるため、中心電極21と外部電極27との距離変化が起こりやすい。したがって、外力、振動が振動発電体20aへ付与された際に、エレクトレット誘電体23と絶縁体層25との非接合部において、互いの界面(表面)形状が変化するだけでなく、互いの表面間の距離(ギャップ)も変化するため、中心電極21と外部電極27との距離変化が起こりやすく、効率よく発電を行うことができる。
なお、前述の振動発電体20,20aでは、中心電極21の外周にエレクトレット誘電体23が設けられているが、中心電極21の外周上にも絶縁体層を被覆して設け、その絶縁体層の外周にエレクトレット誘電体23を設けても良い(図示は省略)。この場合、中心電極21を被覆する絶縁体層とエレクトレット誘電体23との間は、全面的あるいは部分的に非接合部を形成し、互いが容易に剥離可能な状態とすることが望ましく、更には互いが完全には接触せずに部分的に空隙(ギャップ)が設けられた状態とすることが望ましい。更には、絶縁体層とエレクトレット誘電体23との間に部分的にスペーサを配置し、スペーサの厚みに応じた空隙(ギャップ)を設けても良い。このようなケーブル状の振動発電体を構成することで、図1(b)に示したシート状の振動発電体1aを筒状に丸めた構造の振動発電体を実現することができる。
<本発明の振動発電体の用途等>
本発明の振動発電体は、フレキシブル性や自在加工性に優れ、大面積化も容易であるとともに、簡便な構造と機械機構によって効率の高い発電を行うことができるため、様々な用途に適用することができる。本発明の振動発電体は、例えば、道路面の下や橋梁、高速道路等に設置される防音壁、鉄道のレールや枕木部などの車両等が通行することで振動する対象物等へ設置することができる。この際、得られた電力によって、振動対象物の周囲の状態(温度、湿度、明るさ、振動加速度、歪、変位、風速、車両の通行速度や重量など)を感知し、計測するセンサを駆動させることができる。また、センサで得られた情報を有線または無線によって送信する情報収集システムや監視システムの電源として使用することができる。
また、得られる電力が大きい場合には、道路等の照明や信号機の補助電源や、スマートグリッド構想での分散電源の一つとして使用することもできる。また、道路等において、車両や人が通行した際の振動によって発電させ、これによって車両や人が通過したという情報と周囲の明るさを感知させてもよい。この場合、周囲が暗い場合にのみ、貯蔵していた電力を利用して車両や人の前方の照明や、案内板、誘導灯等を点灯させることもできる。
また、本発明の振動発電体は、それ自体が振動や外力変化を検知するセンサとして用いることもできる。例えば、敷地や通路などに振動発電体を設置し、不審人物が侵入した際の振動で発電させ、不審人物侵入情報を送信するセキュリティシステムに使用することもできる。
また、本発明の振動発電体は、車両や航空機、人、動物などのそれ自体が振動する移動体に適用することもできる。例えば、自動車の車体やサスペンション、タイヤ(タイヤのゴム内部あるいはゴム内面、ホイール部など)などに振動発電体を設置し、発電した電力で、各種センサを駆動させることもできる。また、得られる電力が大きい場合には、自動車の二次電池への補助充電用の電源としても使用できる。同様に、鉄道車両の車体、車両内部、車輪、ダンパー部、サスペンションなどに適用し、各種センサを駆動させて車両各部の健全性を監視するシステム用の電源、車内照明、非常灯、広告用表示パネル等の(補助)電源として使用することもできる。
また、車両等の座席に振動発電体を設置し、人が着座した際または着座中の振動によって発電させ、人の着座を検知し、運転席や操縦席に情報を知らせるシステムのセンサおよび電源として使用することもできる。
また、ビルや工場、住宅等の建築構造物あるいは建築構造物に内包される構造物に振動発電体を適用することもできる。例えば、上述の建築構造物は、地面の振動、風の影響、内部の人の移動、内部に設置された機械装置(例えば、モータなどの回転機や工場内の生産設備、エレベータやエスカレータなどの昇降機、空調ファンなど)が作動する際の振動等を受けて、それ自体が振動する。したがって、このような振動を受けやすい部位に振動発電体を設置して発電させ、非常用電源や各種センサや通信用電源等の駆動電源として使用することもできる。
また、本発明の振動発電体を、パソコンや携帯電話、リモコンなどの携帯用電子機器や、タッチパネルやキーボード、プッシュボタンなどの入力装置にも適用することができる。例えば、パソコンや携帯電話などの携帯用電子機器の筐体に振動発電体を設置し、それらの機器の運搬時や使用時の振動によって発電させ、二次電池への補助充電用電源等に用いることもできる。また、入力装置の振動によって発電させ、入力情報を親局等に送信するシステムの電源としても使用することができる。
また、例えば、屋外の常時強風が得られる場所や空調ダクト内、排気ダクト内、トンネル内などの風が得られる場所や、自転車、バイク、自動車、鉄道車両などによる風が得られる場所や、電柱、信号機、道路標識、ガードレールなどの風が得られる場所へ、本発明の振動発電体を適用することもできる。この場合には、振動発電体に直接風を当てることによって振動発電体に外力、振動を作用させて発電させてもよいし、振動発電体の設置対象物が風を受けて振動し、その際の設置対象物の振動を振動発電体に付与する構造として発電を得てもよい。そこで得られた振動発電体からの電力によって、周囲の状態を感知、計測するセンサを駆動させることができる。また、センサで得られた情報を送信する情報収集システムや監視システムの電源として使用することができる。また、道路上、道路脇、トンネル内や工事現場などに位置表示や注意喚起等を含む情報伝達の目的で設置される発光標識の電源として用いることもできる。
また、例えば、河川、工業用水、農業用水、下水、水道水などの水流のある場所や、排水管内、配水管内などに本発明の振動発電体を設置することもできる。この場合には、振動発電体に直接水流を当てることによって振動発電体に外力、振動を作用させて発電させてもよいし、振動発電体の設置対象物が水流を受けて振動し、その際の設置対象物の振動を振動発電体に付与する構造として発電を得てもよい。そこで得られた振動発電体からの電力によって、水や配管の温度、流量、配管の振動加速度、水流周囲の温度、湿度、明るさ、風速などの気象情報などを感知、計測するセンサを駆動させることができる。また、センサで得られた情報を送信する情報収集システムや監視システムの電源として使用することができる。
また、例えば、防波堤や海岸、岸壁、ブイ、船舶等の波力を受ける場所や、潮力や海流が大きな海底部や海中部などに本発明の振動発電体を適用することもできる。この場合には、振動発電体に直接波力を作用させることによって振動発電体に外力、振動を付与して発電してもよいし、振動発電体の設置対象物が波力を受けて振動し、その際の設置対象物の振動を振動発電体に付与する構造として発電を得てもよい。そこで得られた振動発電体からの電力によって、海水温、海流の流速や方向、波高さ、海上や海岸周辺の温度、湿度、明るさ、風速などの気象情報などを感知、計測するセンサを駆動させることができる。また、センサで得られた情報を送信する情報収集システムや監視システムの電源として使用することができる。さらに、養殖場などで利用する電源や、ブイや灯台などに搭載される発光標識等の電源として適用することもできる。
また、野営活動や、停電時等の電力を得にくい環境や状態に対する非常用電源としても適用することができる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a、1b、1c、1d、1e、20、20a………振動発電体
2………絶縁体層
3………エレクトレット誘電体
4………空孔
5a、5b………電極
6………導体層
7………スペーサ
8………樹脂層
9………非接合部
11………接触部
12………凸部
13………凹部
21………中心電極
23………エレクトレット誘電体
25………絶縁体層
27………外部電極
29………被覆部

Claims (7)

  1. 予め施された帯電処理により電荷を保持しているエレクトレット誘電体と、
    前記エレクトレット誘電体を挟むように配置された一対の電極と、を具備し、
    少なくとも一方の前記電極と前記エレクトレット誘電体との間の距離は変化可能であり、当該一方の前記電極の前記エレクトレット誘電体と対向する面には絶縁体層が被覆されており、
    前記エレクトレット誘電体、前記絶縁体層および前記電極は、いずれも可撓性を有し、
    前記エレクトレット誘電体と前記絶縁体層との間の少なくとも一部には、互いに接合されない非接合部が形成され、
    外力が付与された際、少なくとも一部において、前記電極の変形によって、前記電極同士の間の距離が変化可能であり、前記エレクトレット誘電体と前記絶縁体層とが接触と剥離とを繰り返すことを特徴とする振動発電体。
  2. 前記エレクトレット誘電体と前記絶縁体層は、同一の材質で構成されることを特徴とする請求項1記載の振動発電体。
  3. 前記エレクトレット誘電体と前記絶縁体層は、異なる材質で構成され、
    前記絶縁体層と対向する前記エレクトレット誘電体の表面の帯電極性が、当該エレクトレット誘電体の帯電処理前の素材と前記絶縁体層とを接触、剥離または摩擦させたとき前記エレクトレット誘電体の素材表面が帯電する極性と同じであることを特徴とする請求項1記載の振動発電体。
  4. 前記エレクトレット誘電体の表面電位の絶対値が、前記エレクトレット誘電体の帯電処理前の素材と前記絶縁体層とを接触、剥離または摩擦させて生じる前記エレクトレット誘電体の素材の表面電位の絶対値よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の振動発電体。
  5. 前記エレクトレット誘電体と前記絶縁体層との間には、部分的にスペーサが設けられ、少なくとも一部の前記スペーサを介して、前記エレクトレット誘電体と前記絶縁体層とが接合され、前記スペーサ以外の部位が、前記非接合部となることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の振動発電体。
  6. 一対の前記電極の一方が中心電極であり、他方が前記中心電極を内包するように前記中心電極の外側に配置された外部電極であり、
    前記エレクトレット誘電体を挟むように、前記中心電極と前記外部電極が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の振動発電体。
  7. 一対の前記電極の両方が、前記エレクトレット誘電体との距離が変化可能であり、一対の前記電極の互いの対向面側にそれぞれ前記絶縁体層が被覆されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の振動発電体。
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