JP4324684B2 - 平坦な表面の透明導電性フィルムの製造方法 - Google Patents

平坦な表面の透明導電性フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、タッチパネルや有機ELディスプレイをはじめとしたフラットパネルディスプレイ等の透明電極に使用するための、表面にスパイク状の突起部が無く、表面の平滑性が優れた透明導電性フィルムの製造方法に関し、また、従来の透明導電膜製造ラインを変更すること無く透明導電性フィルムの表面を平滑にする方法に関する。
透明導電膜はSnドープIn(ITO)膜をはじめとして帯電防止膜、熱線反射膜、面発熱体、光電変換素子、タッチパネルや各種フラットパネルディスプレイの透明電極として広く用いられている。LCDをはじめとしたフラットパネルディスプレイ用途の透明導電膜には低抵抗、高透過率が強く要求されており、透明導電膜の材料としては、低抵抗が実現可能でウエットエッチングによるパターン形成が容易なことからITOが最も広く用いられている。
これまで透明導電膜はガラス上に形成されて用いられてきたが、最近のモバイル機器用ディスプレイの需要増加や、今後の発展が期待されるELディスプレイやフレキシブルディスプレイ開発のために、軽量でフレキシブルな特徴をもつ高分子フィルム上に透明導電膜を形成した透明導電性フィルムの需要が増加している。さらに、フレキシブルであるという特徴を生かして、透明導電性フィルムはタッチパネルの上部電極としても用いられている。
フィルム上への透明導電膜の形成方法としては、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的形成法が用いられる。この中でも、スパッタリング法は膜形成の雰囲気を制御することで比較的容易に所望の抵抗値を持つ透明導電膜が得られること、基材の大面積化に対してターゲットの大型化で比較的容易に対応できること等から、現在の透明導電フィルム製造方法の主流となっている。
スパッタリング法にて形成したITOをはじめとした透明導電膜の表面は、形成された透明導電膜が結晶性である場合、その表面はドメイン構造とよばれる特徴的な構造を有し(重里有三、安井至、応用物理 第64巻、第12号 p1225-1229 (1995))、スパイク状の突起が形成される。また、高分子フィルムを室温以下に保ちスパッタリング法にてITO膜を形成すると、形成されたITO膜は非晶質と微細な結晶粒が混合された構造を有し、微細な結晶粒が表面の突起となる。
このような表面に突起を有する透明導電膜の平均粗さRaは5nm〜20nm程度であり、液晶ディスプレイの透明電極として透明導電膜を使用する場合には、低抵抗かつ高透過率であれば大きな問題とはならないが、最近の有機ELデバイス用途では、低抵抗、高透過率に加えて表面平滑性が強く求められており、前記のような表面に突起を有する透明導電膜を透明電極として利用することができない。有機ELデバイスは、電流注入型のデバイスであること、有機薄膜が100nm〜200nm程度と薄いこと、低分子形の材料は蒸着法にて形成されるため下地の形状の影響を受けやすいこと、などの理由により、透明電極表面に突起部が存在すると、電流集中が起こり、ダークスポットの発生や漏れ電流の増大につながる。
接触抵抗式タッチパネルの電極として透明導電膜を用いる場合には、入力時に透明導電フィルムからなる上部電極と透明導電膜を形成したガラスからなる下部電極が接触するため、上部電極と下部電極の表面にスパイク上の突起が存在すると、入力時に上部電極が傷つき、剥離することが考えられる。更に、上下の電極に突起が存在すると入力を繰り返すうちに、突起部が削れて接触時の抵抗が径時で変化する可能性がある。また、上下両電極表面のスパイク状の突起が大きい場合には、低加重でも上部電極と下部電極が接触してしまい、タッチパネルの誤動作を引き起こす可能性がある。
上記のような問題を解決する為に透明導電膜として主流のITO以外の材料が検討されており、特開平09−092037号公報では、主要カチオン元素としてInおよびZnを、InおよびZnの原子比In/(In+Zn)が0.8以上0.9未満となるように含有する非晶質酸化物からなり、比抵抗が2.0×10−4Ω・cm以下であり、表面の凹凸が10nm以内である透明導電膜が透明基板上に設けられていることを特徴とする導電性透明基材を提案している。同号公報にて提案されているIn−Zn−O系非晶質酸化物薄膜は、表面平滑性と低比抵抗の両方を実現でき、さらにウェットエッチングによるパターニングが容易で且つパターニング端がシャープであるといった利点を有するが、透明導電膜をITO薄膜からIn−Zn−O系薄膜へ変更する必要があるため、これまで培われてきた技術、経験を有効利用できないといった短所がある。
また、特開2001−307553号公報では、実質的にIn、Sn、GeおよびOからなるスパッタリングターゲットを、dcにrfを重畳したスパッタ電力でスパッタすることを特徴とする、抵抗率が2.5×10−4Ω・cm以下、かつ表面凹凸の最大高低差(Z−Max)/膜厚(t)が10%以下を満足する透明導電膜の製造方法が提案されている。透明導電膜をスパッタリング法にて形成する場合には、制御性と形成速度の観点からほとんどの製造ラインでdc電源を使用しており、同号公報にて提案されている方法では、電源の新規導入あるいは改造が必要であるといった短所がある。さらに、ターゲットに高価なGe元素が含まれているので、ITOターゲットよりも高価になってしまう問題点もある。
特開2002−047559号公報では、プラズマビーム発生源と、真空容器内に配置されプラズマビームの入射面を持つハースとを含み、前記ハースの近傍に該ハースの中心軸に対して同心的に配置された環状永久磁石により定常磁界を形成し、前記ハースの中心軸に対して同心的に配置された電磁コイルにより調整磁界を前記定常磁界に重畳して前記ハースの近傍の磁場を変化させ、前記プラズマビーム発生源からのプラズマビームを前記ハースに収容されたITO膜成膜用の蒸発材料に導いて基板上にITO膜を成膜するイオンプレーティング法により製造され、比抵抗4×10−4Ω・cm以下、中心線平均表面粗さRaが1nm以下であることを特徴とするITO膜が提案されている。同号公報にて提案されているITO膜及びその製造方法によれば、表面平滑性と低比抵抗の両方を実現できるが、現在、ITO膜はほとんどの製造ラインでスパッタリング法が用いられており、同号公報で提案されている製造方法では大きな設備投資が必要になり、更にこれまでスパッタリング法にて培われてきた技術、経験を有効利用できないといった短所がある。
特開平09−092037号公報 特開2002−047559号公報 特開2001−307553号公報 重里有三、安井至、応用物理 第64巻、第12号 p1225-1229 (1995)
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、タッチパネルや有機ELディスプレイをはじめとしたフラットパネルディスプレイ等の透明電極に使用するための、表面にスパイク状の突起部が無く、表面の平滑性が優れた透明導電性フィルムを提供すること、さらに詳しくは、既存の透明導電膜形成装置および透明導電膜形成プロセスを変更すること無く、透明導電性フィルムの表面を平滑にする方法を提供し、表面にスパイク状の突起部が無く、表面の平滑性が優れた透明導電性フィルムを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、ハードコート層が設けられた透明基材フィルムのハードコート層上に、下地層を介して透明導電膜が設けられた透明導電性フィルムの透明導電膜表面に、テープ基材に微粒子がコーティングされた研磨テープのコーティング面が接触するように研磨テープを配置し、次いで該研磨テープのコーティング面とは反対側から該接触場所に向けて10〜500リットル/毎分の流量の空気を吹き付けて押し付け加重をかけながら研磨することにより、透明導電膜表面の中心線平均表面粗さRaを1nm以下、10点平均粗さRzを10nm以下、かつ最大高さRmaxを10nm以下とすることを特徴とする、平坦な表面の透明導電性フィルムの製造方法である。
また好ましい態様として、研磨テープにコーティングされた微粒子が、Al 、CeO 、Cr 、Fe 、SiO およびSiCから成る群より選ばれる少なくとも1種類の物質からなる粒径0.1〜1μmの微粒子であること、を具備する平坦な表面の透明導電性フィルムの製造方法が提供される。
本発明は、以下の利点を有する。
(ア)透明導電膜を形成後の研磨により透明導電膜表面の平滑化するので、透明導電膜形成ラインに変更を加える必要がない。
(イ)高分子基材フィルムの片面あるいは両面ハードコートを形成したフィルムを用いるために、研磨の際に研磨痕が残りにくい。
(ウ)透明導電膜とハードコートの両方に親和性の高い下地層を設けているので、研磨中に透明導電膜が剥離しにくい。
(エ)硬い物質の微粒子をコーティングした研磨用テープを使用して研磨するので、研磨効果が得やすい。
(オ)前記の微粒子の形状が球状であるため、研磨痕が残りにくい。
(カ)研磨用テープ表面を透明導電膜表面に押し当てる方式として必要十分な流量の空気を研磨用テープ裏面に吹き付けて接触させる方式を取っているので、研磨痕が残りにくい。
本発明によれば、既存の透明導電膜形成装置および透明導電膜形成プロセスを変更すること無く、表面にスパイク状の突起部が無く、表面の平滑性が優れた透明導電性フィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1に、本発明の一実施形態により得られる透明導電性フィルムの層構成の断面模式図を示す。透明基材フィルム1の表面にハードコート層2を介して、下地層3と透明導電膜4が積層されている。下地層3は、透明導電膜の密着性を向上させる効果の他に、基材フィルム側からの水分子が透明導電膜側に拡散することを防ぐ効果もある。
本発明にフィルムは、ハードコート層2を設けたことにより、研磨によって透明導電性フィルムに傷がつくことが防止されている。
[透明基材フィルム]
本発明に用いられる透明基材フィルムはポリマーから形成される。このポリマーとしては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート)、ポリ(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、トリアセテート、セロファンを例示することができる。これら中でも、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリレートが好ましく、特にポリエステルが好ましい。ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
透明基材フィルムは、ポリマーの種類によって無延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムであってもよい。例えばポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムでは、通常は二軸延伸フィルムを用い、またポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、セロファンフィルムでは、通常は無延伸フィルムを用いる。
透明基材フィルムの厚さは、反射防止フィルムの用途により適宜決定され20〜500μmが好ましい。なお、透明基材フィルムは、光線が透過するものであればよいが、可視光線の平均透過率で例えば50%以上、好ましくは80%以上のものを用いるとよい。
[ハードコート層]
本発明においてハードコート層は、透明性を有し、適度な硬度を有する層を形成することが好ましい。その形成材料には特に限定はなく、例えば電離放射線や紫外線照射による硬化樹脂や熱硬化性樹脂を使用できる。特に、紫外線照射硬化型のアクリル系や有機珪素の樹脂や、熱硬化型のポリシロキサン樹脂が好適である。これらの樹脂は公知のものを用いることができる。このハードコート層は透明基材フィルムと屈折率が同等もしくは近似していることがより好ましい。ただし、膜厚が3μm以上の場合には屈折率は異なっても問題ない。
ハードコート層を形成するにあたり、塗布方法に制限はないが、表面平滑に且つ均一に形成することが好ましい。
このハードコート層には、平均粒子径0.01μmから1μmの透明な無機微粒子を混合分散させてもよい。これにより膜としての架橋収縮率を改良し、塗膜の平面性を向上させることができる。この無機微粒子によりハードコート層と下地層との接触部分の密着性を高めることができる。無機微粒子としては透明導電膜と親和性があるものが好ましく、SiO粒子、TiO粒子、ZrO粒子、Al粒子が好ましい。
[下地層]
本発明の下地層は、SiO、SiおよびAlからなる群より選ばれた1種類以上の物質からなることが好ましい。これらの物質の混合物であってもよい。特に好ましいものはSiOとSiとの混合物(SiO−Si系)である。これらの物質あるいは混合物はハードコート層に好ましく含まれる無機微粒子との親和性が高く、また、透明導電膜を形成する導電性酸化物とも親和性が高いので、十分な密着性をもった透明導電性フィルムを作製することができる。
前記のSiO−Si系の薄膜は、水分子が基材フィルム側から透明導電膜側に拡散するのを防ぐ、防湿効果も併せ持っているのでより好ましく用いられる(宮寺ら、有機ELディスプレイ技術 12月号増刊 p65(2001))。
下地層は好ましくは5〜100nmの膜厚の薄膜であり、スパッタリング法にて形成されることが最も好ましいが、この形成方法に限られることはなく、イオンプレーティング法や真空蒸着法、あるいはCVD法を用いることもできる。
本発明の透明導電膜は、透明導電膜がIn、ITO、SnO、SbドープSnO、FドープSnO、ZnO、AlドープZnO、GaドープZnO、InドープZnOからなる群より選ばれる少なくとも1種類の酸化物からなることが好ましい。なかでも、最も低抵抗化を達成でき、ウエットエッチングによるパターン形成が容易なITOが特に好ましい。
[透明導電膜]
透明導電膜は、In、SnドープIn、SnO、SbドープSnO、FドープSnO、ZnO、AlドープZnO、GaドープZnOおよびInドープZnOからなる群より選ばれた少なくとも1種類の物質からなることが好ましい。
透明導電膜はスパッタリング法にて形成されることが最も好ましいが、この形成方法に限られることはなく、イオンプレーティング法や真空蒸着法、あるいはCVD法を用いることもできる。透明導電膜の状態は結晶でも非晶でも、また、結晶と非晶質の混合物でもよい。
[研磨テープ]
本発明で用いる研磨テープにコーティングされている微粒子は、Al、CeO、Cr、Fe、SiOおよびSiCから成る群より選ばれる少なくとも1種類の物質からなる。これは混合物から成ってもよい。これらの微粒子は硬度が非常に高いので研磨の効果を得やすい。これらの微粒子は研磨の効果が得やすい一方で、非常に硬度が高いので粒子の形状によっては研磨痕が入る可能性がある。そのため、微粒子の形状は球状であることが好ましい。微粒子の形状が角のある形状であると、研磨後に研磨痕が残る可能性が非常に高くなる。
この微粒子は0.1〜1μmの粒径であることが好ましい。0.1μmよりも粒径が小さいと研磨により透明導電膜を十分に平坦化することができず、1μmよりも大きいと平坦化の効果よりも表面を荒らす効果のほうが大きくなり好ましくない。
前述のようにコーティングされる微粒子の形状は球状が好ましいが、角のある形状の微粒子も用いることができる。この場合、用いるベースフィルムはクッション性のある材質を用いる。クッション性のあるベースフィルムを用いることで研磨後に研磨痕が残ることを避けることができる。クッション性のあるベースフィルムの材質としてはポリウレタンが好適である。
本発明の表面平滑化の方法では、透明導電性フィルムの透明導電膜表面と、テープ基材に微粒子がコーティングされた研磨テープのコーティング面(以下、コーティング面)とが接触するように研磨テープを配置し、次いで該研磨テープのコーティング面とは反対側から該接触場所に向けて10〜500リットル/毎分の流量の空気を吹き付けることにより、押し付け加重をかけながら研磨する。流量が10リットル毎分より少ないと、研磨により透明導電膜表面を平坦化することができなくなり、流量が500リットル毎分よりも大きいと研磨の際に研磨痕が透明導電膜上に残ってしまう可能性が高い。また、特開2002−086348号公報にて提案されている、研磨用テープを円筒状のドラムによって支持し、該ロールを回転させてテープを送りながら押し付け加重をかけ研磨するドラム式研磨の方法では、本発明のように柔らかい高分子基材を使用している場合には、押し付け加重が強くなるのでフィルムに研磨痕が入りやすく、本発明の研磨方法には向いていない。さらに、本発明では透明導電膜表面を研磨用テープで研磨して平坦化する際に、研磨液は用いる必要はなく、研磨液を用いることなく研磨することが好ましい。研磨の際に研磨液を用いると、研磨液の残渣の影響で薄膜トランジスターの電極として用いる場合に特性の悪化につながるからである。
なお、研磨テープの巾については特に制限はなく、研磨する面の大きさに合わせればよい。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明する。
なお、透明導電性フィルムの特性を下記の方法にて評価した。
(1)表面粗さ
研磨による平滑化前後に表面粗さを計測した。ハードコート層を設けた透明高分子基材上に下地層を介して形成した透明導電膜表面をAFM(原子間力顕微鏡、Digital Instruments製、Dimension3100)にて観察し、得られたAFMイメージから凹凸を計測し、中心性平均粗さRa、10点平均粗さRzならびに最大粗さRmaxを算出した。
(2)表面抵抗
研磨による平滑化前後に表面抵抗を計測した。ハードコート層を設けた透明高分子基材上に下地層を介して形成した透明導電膜表面の表面抵抗を、四探針表面抵抗計(三菱化学製ロレスタMP)にて測定した。
(3)研磨痕
ハードコート層を設けた透明高分子基材上に下地層を介して形成した透明導電膜表面を研磨による平滑化後に反射式光学顕微鏡にて観察し、研磨痕が残っているかどうかを評価した。評価は、○:研磨痕あり、×:研磨痕なしとした。
[実施例1]
透明導電膜がITOからなる透明導電性フィルムを作製した。透明高分子フィルムとして二軸配向PETフィルム(帝人デュポンフィルム製、OLW−175μm)を用い、この片面の上にUV硬化性ハードコート剤(JSR デソライトZ7501)をマイクログラビアコーティングにより塗工し、UV硬化させてハードコート層を形成した。このとき、ハードコート層の厚みは5μmであった。
次に、ハードコート層の上に、下地層として、rfマグネトロンスパッタリング法によりSiO膜を形成した。SiOターゲットに電力1kWを印加し、Arガスを真空槽内に導入しながら形成した。ことのき、SiO膜の厚みは20nmであった。
さらに、SiO膜の上に、dcマグネトロンスパッタリング法によりITOから成る透明導電膜を形成した。ITO膜はSnOを10重量%含有するITOターゲットに電力を1kWを印加し、ArガスにOガスを1体積%添加した混合ガスを真空槽内に導入して形成した。このとき、ITO膜の厚みは175nmであった。このようにして作製した透明導電性フィルムの表面抵抗は36Ω/□であり、Ra、Rz、Rmaxはそれぞれ、1.7nm、14nm、22nmであった。
この透明導電性フィルムを、図2に示す装置の研磨対象物支持台11に固定して透明導電膜表面の研磨を実施した。研磨テープとしては日本ミクロコーティング製のAWA10000−25(0.5μmのAl粒子をコーティングした研磨テープ)を使用し、テープ送り速度は200mm/min一定として、研磨対象物支持台11を、60m/minの速さで振動させながら研磨を行なった。また、透明導電膜表面と研磨テープのコーティング面を接触させるための空気流量は50リットル毎分とした。
このようにして研磨して得られた透明導電性フィルムは、表面抵抗が33Ω/□であり、Ra、Rz、Rmaxがそれぞれ0.7nm、4.5nm、8.2nmであった。研磨後のRa、Rz、Rmaxは研磨前の50%未満になっており、平滑化の効果が明確に確認できた。
表面抵抗は研磨後に若干低下していた。研磨後の透明導電膜表面は非常に平滑であるため、研磨前と比べると四探針表面抵抗計の探針と透明導電膜表面の接触面積が若干大きくなることが原因であると考えられる(図4、図5)。
[実施例2]
研磨テープを日本ミクロコーティング製AWA−8000−25(1μmのAl粒子をコーティングした研磨テープ)とした以外は実施例1と同様にして実施した。研磨痕は観察されず、評価は○であった。研磨後のRa、Rz、Rmaxはそれぞれ0.8nm、5.1nm、7.2nmであり、明らかに研磨による平坦化の効果が見られた。研磨後の表面抵抗は34Ω/□であった。
[実施例3]
研磨テープを日本ミクロコーティング製AWA−15000−25(0.3μmのAl粒子をコーティングした研磨テープ)とした以外は実施例1と同様にして実施した。研磨痕は観察されず、評価は○であった。研磨後のRa、Rz、Rmaxはそれぞれ0.7nm、8.6nm、9.1nmであり、明らかに研磨による平坦化の効果が見られた。研磨後の表面抵抗は33Ω/□であった。
[実施例4]
空気の流量を80リットル/minとした以外は実施例1と同様にして実施した。研磨痕は観察されず、評価は○であった。研磨後のRa、Rz、Rmaxはそれぞれ0.6nm、4.9nm、6.9nmであり、明らかに研磨による平坦化の効果が見られた。研磨後の表面抵抗は35Ω/□であった。
[実施例5]
空気の流量を80リットル/minとした以外は実施例2と同様にして実施した。研磨痕は観察されず、評価は○であった。研磨後のRa、Rz、Rmaxはそれぞれ0.8nm、7.1nm、9.0nmであり、明らかに研磨による平坦化の効果が見られた。研磨後の表面抵抗は34Ω/□であった。
[実施例6]
空気の流量を80リットル/minとした以外は実施例3と同様にして実施した。研磨痕は観察されず、評価は○であった。研磨後のRa、Rz、Rmaxはそれぞれ0.7nm、8.3nm、8.8nmであり、明らかに研磨による平坦化の効果が見られた。研磨後の表面抵抗は33Ω/□であった。
[比較例1]
PETフィルムにハードコート層を設けない以外は実施例1と同様にして実施した。研磨痕が観察され、評価は×であった。研磨痕が目視で観察できない部分の、研磨後のRa、Rz、Rmaxはそれぞれ2.4nm、18nm、25nmであった。研磨後の表面抵抗は78Ω/□であり、研磨痕により表面抵抗が上昇することが確認された。
[比較例2]
下地層を設けないこと以外は実施例1と同様にして実施した。研磨痕が観察され、評価は×であった。研磨痕が目視で観察できない部分の、研磨後のRa、Rz、Rmaxはそれぞれ2.1nm、15nm、24nmであった。研磨後の表面抵抗は84Ω/□であり、研磨痕により表面抵抗が上昇することが確認された。
[比較例3]
ハードコート層と下地層の両方を設けないこと以外は、実施例1と同様にして実施した。研磨痕が観察され、評価は×であった。研磨痕が目視で観察できない部分の、研磨後のRa、Rz、Rmaxはそれぞれ4.2nm、21nm、35nmであった。研磨後の表面抵抗は10Ω/□であり、研磨痕により表面抵抗が上昇することが確認された。
[比較例4]
空気の流量を5リットル/minとした以外は実施例1と同様にして実施した。研磨痕は観察されず、評価は○であった。研磨後のRa、Rz、Rmaxはそれぞれ1.6nm、16nm、21nmであり、研磨による平坦化の効果が見られなかった。研磨後の表面抵抗は36Ω/□で、変化は見られなかった。
[比較例5]
空気の流量を5リットル/minとした以外は実施例2と同様にして実施した。研磨痕が観察され、評価は×であった。研磨痕が目視で観察できない部分の、研磨後のRa、Rz、Rmaxはそれぞれ1.8nm、15nm、24nmであった。研磨後の表面抵抗は36Ω/□であり、研磨痕により表面抵抗が上昇することが確認された。
[比較例6]
空気の流量を5リットル/minとした以外は実施例3と同様にして実施した。研磨痕が観察され、評価は×であった。研磨痕が目視で観察できない部分の、研磨後のRa、Rz、Rmaxはそれぞれ1.7nm、13nm、20nmであった。研磨後の表面抵抗は36Ω/□であり、研磨痕により表面抵抗が上昇することが確認された。
本発明の透明導電フィルムを有機ELディスプレイの透明電極に用いれば、ダークスポットのないディスプレイを製造することができる。また、透明導電フィルムをタッチパネルの透明電極として用いれば、スイッチング特性が経時で安定したパネルを製造することができる。
本発明の透明導電性フィルムの構成例。 本発明の透明導電膜表面研磨装置の一例。 本発明外のロールコンタクト方式の表面研磨装置の一例。 平滑化前の透明導電性フィルム表面と表面抵抗測定機の探針の接触状態。 平滑化後の透明導電性フィルム表面と表面抵抗測定機の探針の接触状態。
符号の説明
1 透明基材フィルム
2 ハードコート層
3 下地層
4 透明導電膜
5 巻き取りスプール
6 供給スプール
7 研磨テープ送り方向
8 研磨テープ
9 研磨対象物
10 支持台移動方向
11 研磨対象物支持台
12 エアーノズル
13 空気の流れ方向
14 コンタクトロール
15 抵抗計探針の先端
16 平滑化前の透明導電膜表面
17 平滑化後の透明導電膜表面

Claims (2)

  1. ハードコート層が設けられた透明基材フィルムのハードコート層上に、下地層を介して透明導電膜が設けられた透明導電性フィルムの透明導電膜表面に、テープ基材に微粒子がコーティングされた研磨テープのコーティング面が接触するように研磨テープを配置し、次いで該研磨テープのコーティング面とは反対側から該接触場所に向けて10〜500リットル/毎分の流量の空気を吹き付けて押し付け加重をかけながら研磨することにより、透明導電膜表面の中心線平均表面粗さRaを1nm以下、10点平均粗さRzを10nm以下、かつ最大高さRmaxを10nm以下とすることを特徴とする、平坦な表面の透明導電性フィルムの製造方法
  2. 研磨テープにコーティングされた微粒子が、Al 、CeO 、Cr 、Fe 、SiO およびSiCから成る群より選ばれる少なくとも1種類の物質からなる粒径0.1〜1μmの微粒子である、請求項1記載の透明導電性フィルムの製造方法。
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