JP2010020951A - 透明導電膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化亜鉛透明導電酸化物層上に低屈折率のカーボン膜を形成することで、光線透過率は向上するが、水分や空気に対する耐久性は向上しない。また、有機珪素化合物層を酸化亜鉛透明導電酸化物層上に直接形成しようとしても、大面積では均一に形成することが困難であったが,それを解決する透明導電膜の製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板1上に透明導電酸化物層2/カーボン層3のさらにその上に、有機珪素化合物層4を形成することで、水分や空気に対する耐久性の向上が可能となり、さらに大面積にした場合も均一に作製することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、主としてタッチパネルやPDP、LCDやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ材料、太陽電池の透明電極や裏面電極、ハイブリッド型太陽電池の透明中間層、化合物半導体高速デバイスに用いる低誘電率膜、表面弾性波素子、赤外線カットなどを目的とした窓ガラスコーティング、ガスセンサー、非線形光学を活用したプリズムシート、透明磁性体、光学記録素子、光スイッチ、光導波路、光スプリッタ、光音響材料への活用、高温発熱ヒーター材料において、高い耐環境変動性と高い光線透過率を同時に達成可能な透明導電膜の製造方法に関するものである。
タッチパネルやディスプレイ材料、太陽電池などに使用される透明導電膜は、その透明導電層として酸化インジウム錫(ITO)や酸化錫、酸化亜鉛などが広く使用されている。このような透明導電層はマグネトロンスパッタリング法やモレキュラービームエピタキシー法などの物理気相堆積法(PVD法)や熱CVDやプラズマCVDなどの化学気相堆積法(CVD法)などにより形成されるほか、無電解法により形成される方法が知られている。中でもITOは透明導電材料として非常に優れた材料であり、現在広く透明導電層に使用されている。しかしながら、原料のインジウムが枯渇する可能性があり、資源的にもコスト的にもITOに替わる材料の探索が急務となっている。
さらに、透明導電膜を使用した製品の高性能化に伴い、透明導電膜の透明性を従来よりもより高くする技術が必要とされている。
ITOに替わる材料としては酸化亜鉛(ZnO)が代表として挙げられる。ZnOはITOと比較して透明性に優れる反面、水分や熱に対する安定性に劣ることが非特許文献1に記載されている。
一方、タッチパネルに用いられる透明導電膜は、用途の性質上から耐衝撃性が必要である場合が多く、特許文献1〜3に透明導電膜上に被覆層を形成することで、耐衝撃性が向上すると述べられているが、記載されている窒化物や酸化物などは、水分や熱に対する安定性に優れる可能性があるが、導電性に課題が残る。一方カーボン材料は、一部導電性に優れるものもあるが、記載されているカーボン層では上記の水分や熱に対する安定性には効果がない。
透明導電膜に要求される、重要な要素としては、「透明性」「耐衝撃性」「水分や熱に対する特性の安定性」「導電性」が考えられるが、現在主流となっているITO以上にすぐれた材料は実用化に至っていない。
特許文献4には、酸化亜鉛透明電極への湿式処理による安定性向上が報告されているが、酸化亜鉛透明電極の表面形状や乏しい反応性のために、小面積では処理が可能であるが、大面積透明電極にした場合に処理ムラなどが課題となる。
澤田豊 監修、「透明導電膜」、1999年(シーエムシー出版) 特開2001−283643号公報 特開2003−34860号公報 特開2003−109434号公報 特開2001−39712号公報
高い光線透過率と高い耐久性を同時に備えた透明導電膜を均一に作製するための製造方法である。
上記課題を解決する為に、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下の構成を有することにより本願発明を完成させることができた。すなわち、本願発明は以下の構成を有するものである。
1). 透明基板上に少なくとも1層からなる透明導電層を有する透明導電膜において、該透明導電層を酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層、構造中に水素を含む屈折率が1.25〜1.70のカーボン層、有機珪素化合物層の順に形成することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
2). カーボン層が、プラズマCVDまたはマグネトロンスパッタ法で形成され、有機珪素化合物層が大気圧CVD法またはスプレー法により形成されることを特徴とする、1)に記載の透明導電膜の製造方法。
3). 上記有機珪素化合物層が有機珪素化合物を縮合させる事により得られることを特徴とする1)または2)に記載の透明導電膜の製造方法。
4). 有機珪素化合物がシランカップリング剤であることを特徴とする3)に記載の透明導電膜の製造方法。
5). シランカップリング剤が1〜3個の加水分解性基を有することを特徴とする4)に記載の透明導電膜の製造方法。
6). シランカップリング剤がアルキルアルコキシシラン化合物であることを特徴とする4)または5)に記載の透明導電膜の製造方法。
7). アルキルアルコキシシラン化合物のアルキル基が炭素数が1〜20であることを特徴とする6)に記載の透明導電膜の製造方法。
8). 透明基板上に少なくとも1層からなる透明導電層を有する透明導電膜において、該透明導電層を酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層、構造中に水素を含む屈折率が1.25〜1.70のカーボン層、有機珪素化合物層の順に設けられたことを特徴とする1)〜7)いずれかに記載の透明導電膜の製造方法により製造された透明導電膜。
本発明により、タッチパネルやエレクトロルミネッセンス電極基板、太陽電池などで特に重要な要素である「透明性」「耐環境変動性」において良好な特性を示す透明導電膜を形成することが可能となる。
本発明は「 透明基板上に少なくとも1層からなる透明導電層を有する透明導電膜において、該透明導電層を酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層、構造中に水素を含む屈折率が1.25〜1.70のカーボン層、有機珪素化合物層の順に形成することを特徴とする透明導電膜の製造方法。」である。
ダイヤモンドライクカーボンを代表とするカーボン層は、表面の摩擦低下を目的としてコーティングされている。また、DLC膜ハンドブック、495ページより(NTS社出版)に記載されているように、近年は太陽電池や化合物半導体高速電子デバイスに用いる低誘電率膜などへの応用が期待されている。
先行技術に記載されてすでに知られている炭素膜はアルゴンガスを用いてカーボン材料をスパッタリングによる製膜であり、生成するカーボン層は水素を含まないアモルファスカーボン層である。このようなカーボン層は、硬い膜を製膜することが可能であるが、その分密度が大きくなりやすく、本発明に示すような屈折率の小さいカーボン層を得ることができず、水分や熱に対する特性の安定性向上についても問題があった。
本発明では導電性を有する低屈折率のカーボン層を酸化亜鉛透明導電酸化物層上に形成し、さらにその上に有機珪素化合物層を設けることで、導電性・透明性・安定性に優れた透明導電膜を作製することが可能であることを見出した。さらに湿式処理を施す場合においても、酸化亜鉛透明電極表面の形状、面積に関わらず酸化亜鉛透明導電酸化物層上に本発明のカーボン層を設けることで本願発明の適用が可能である。
以下、本発明に係る透明導電膜の代表的な態様を説明する。
図1および図2は、本発明に係る透明導電膜の断面説明図である。この透明導電膜は厚さ0.05〜1.5mmの基板1上に、酸化亜鉛を含有する透明導電層2が設けられる。透明導電酸化物層2上にカーボン層3が被覆され、さらにその上に有機珪素化合物層4が被覆される。カーボン層3は、図1のように透明導電酸化物層2と有機珪素化合物層4の間にある構造となるものが代表的な構造となるが、カーボン層3の構造によっては図2のように明確な界面を持たない、いわゆる連続的な変化を示すものであっても本発明の目的を達成することが可能である。
これは、カーボン層を設けることにより、次に堆積する層の基となる表面の平坦性が向上すること、またカーボン層最表面におけるカーボンの末端状態に活性な箇所や酸素や水酸基で化学装飾された箇所が存在し、これらの現象がカーボン層表面への有機珪素化合物の塗れ性を向上させることが可能となるためだと予想される。
上記基板1については、少なくとも可視光領域において透明な基板であれば、硬質または軟質材料は特に限定されない。硬質材料であれば、アルカリガラスやホウ珪酸ガラス、無アルカリガラスなどのガラス基板がその代表例であるが、サファイヤ基板なども使用できる。ガラス基板の厚みは使用目的により任意に選択することができるが、取り扱いと重量のバランスを加味して、0.5mm〜4.5mmまでが実用的に使用できる範囲として例示できる。
薄すぎるガラス基板は強度が不足するために、衝撃により割れやすい。また厚すぎるガラス基板は重量が重くなることと、機器の厚みに影響を及ぼすことから、ポータブル機器への利用は困難となる。また厚い基板は透明性とコストの面からも好ましくない。
一方、軟質な材料としては、アクリル樹脂やポリエステル、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂や、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂からなるフィルムが代表例であるが、特に優れた光学等方性と水蒸気遮断性に優れているポリシクロオレフィンを主成分とするフィルムが有効に使用できる。ポリシクロオレフィンフィルムとしては、ノルボルネンの重合体やノルボルネンとオレフィンとの共重合体、シクロペンタジエンなどの不飽和脂環式炭化水素の重合体などが挙げられる。
水蒸気遮断性の観点から、フィルム構成分子の主鎖および側鎖には大きな極性を示す官能基、例えばカルボニル基やヒドロキシル基、を含まないことが好ましい。
これらの基板の厚みは使用目的により任意に選択することができるが、0.03mm〜3.0mm程度であれば取り扱いが容易である。薄いフィルムはハンドリングが困難であることと、強度が不足する点が課題となる。また厚いフィルムは透明性とコストに課題があり、機器の厚みも増すことから、ポータブル機器には使用が困難である。
上記基板1としてフィルム基板を用いる場合は、基板フィルムを延伸して位相差を付与することができる。位相差を付与することで、偏光板との組み合わせにより低反射パネルを作製することが可能であり、画像の視認性が大幅に向上することが期待される。
位相差付与には既知の手法を用いることで可能となる。例えば一軸延伸や二軸延伸などの延伸や配向処理により可能である。この際フィルムにガラス転移温度近くの温度をかけることで、ポリマー骨格の配向を促進することが可能となる。レタデーション値の好ましい範囲は、目的とする機能によりことなるが、反射防止機能を付与する場合には50〜300nmの範囲で選択する事が好ましく、人間が最も強く認識する波長である約550nmに対して1/4となる137nm付近がより好ましい。
本発明における透明導電酸化物層2には透明導電酸化物の中でも、透明性の高さとカーボン層の製膜時に発生する水素プラズマに対して還元反応が起こらないという点から酸化亜鉛を主成分とする透明電極が用いられる。上記透明導電酸化物には抵抗制御や安定性を目的としてドーピング剤を添加することができる。ドーピング剤としては例えば、アルミニウムやガリウム、インジウム、錫、ホウ素、リン、窒素のうち1種類以上を含む化合物が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
透明導電酸化物層2の形成方法としては、均一な薄膜が形成される手段であれば特に限定されない。例えば、スパッタリングや蒸着などのPVD法や、各種CVD法などの気相堆積法などの他に、透明導電酸化物層の原料を含む溶液をスピンコート法やロールコート法、スプレー塗布やディッピング塗布などにより塗布した後に加熱処理などで透明導電酸化物層を形成する方法が挙げられるが、ナノメートルレベルの薄膜を形成しやすいという観点から気相堆積法が好ましい。
気相堆積法で透明導電酸化物層を形成する場合、基板の温度は、基板の軟化温度により変化するが、室温〜基板のガラス転移温度以下が好ましく、さらに好ましくは室温〜基板のガラス転移温度より30℃低い温度が好ましい。基板の温度が低すぎると、結晶性が悪くなり、透明性や導電性が目的を達成できない可能性がある。基板の温度が高すぎると基板に付与した位相差が損失する可能性がある。透明導電酸化物層の形成には必要に応じてプラズマ放電を利用することができる。
プラズマのパワーには特に制限はないが、生産性や結晶性の観点から10W〜600Wが好ましい。低すぎる場合には製膜されない可能性がある。高すぎる場合には基板へのダメージや装置へのダメージが懸念される。透明導電酸化物層の形成に使用するキャリアガスは一般的な気相堆積法に使用されるガスを使用することができる。例えばアルゴンや水素、酸素や窒素ガスを使用することができる。
透明導電酸化物層2の膜厚は、使用されるアイテムによって異なるが、100〜5000Åが好ましい。さらに、膜の強度や透明性の観点から200〜2000Åが特に好ましい。膜厚が薄い場合は、表面抵抗が高くなりすぎることと膜の強度が弱いために好ましくない。逆に膜厚が厚い場合は、光線透過率が低くなりやすいことや、フィルムなどのフレキシブル基板では応力による膜はがれの原因となりやすいために好ましくない。
上記カーボン層3を設けることにより、酸化亜鉛透明導電酸化物層の空気や水分に対する保護や透明導電層表面の物理的衝撃に対する耐久性向上と、高い光線透過率を可能とすることができる。カーボン層には構造中に水素を含むハイドロカーボンが好ましく、物理的強度や透明性の観点から、アモルファスハイドロカーボンやテトラヘドラルアモルファスハイドロカーボンがより好ましく使用される。さらに、多孔質カーボン層であることが好ましく、本発明に係るカーボン層が多層あるいは複数層ある場合は、少なくとも1層は多孔質カーボンを含有する層であることが好ましい。
このようなカーボン層を有することで、光線透過率の向上が可能となる。多孔質の構造は、フラーレンやカーボンナノチューブなど規則的な構造を示すものが代表的であるが、不規則なランダム構造であってもかまわない。これらのカーボン層は、CVD法やスパッタ法、イオンプレーティング法や蒸着法など公知の技術により形成されるのが一般的であるが、プラズマCVD法またはマグネトロンスパッタ法が好ましい。
プラズマCVD法は高周波を用いることが好ましく、使用する高周波電源には、RF・VHF・マイクロ波などの種類があるが、どの電源を用いてもかまわない。高周波プラズマCVD法でカーボン層を形成する場合、原料は通常使用されるものを使用でき、所望するカーボン層の構造によりメタンガスのみの場合や、水素により希釈して製膜することができる。プラズマのパワーは特に制限はないが5W〜600Wが好ましい。低い場合は製膜されず、逆に高い場合はプラズマにより透明導電層2がエッチングされる場合がある。
マグネトロンスパッタ法によりカーボン層を形成する場合、ターゲット材料には一般的なカーボンを使用することができる。キャリアガスとしては、二酸化炭素・水素・アルゴンの中から2種類以上のガスを選択し、且つそれぞれのガスの体積をV(二酸化炭素)・V(水素)・V(アルゴン)とした時に
0.10≦V(二酸化炭素)/V(水素)≦0.30
0.10≦V(二酸化炭素)/V(アルゴン)≦0.30
の範囲でキャリアガスを制御することで本発明に必要なカーボン層を形成可能である。
体積比の制御は製膜装置にマスフローコントローラーを設置することで、良い精度で制御可能である。これらのガス体積比は、主に水接触角に影響を与え、ガス体積比が上記範囲から逸脱すると、本発明に必要な水接触角を得難くなり、結果として高温高湿環境下での耐久性が低下しやすくなる。さらに、水素量が多くなると、発生した水素原子とメタンや二酸化炭素の反応により炭素原子が高密度に堆積しやすくなり、結果として高屈折率のカーボン層となり、本発明のような光線透過率の向上が難しくなる。
本願のカーボン層の屈折率としては1.25〜1.70であるが、1.30〜1.60、さらには1.35〜1.55であることが好ましい。
アルゴン量が多くなると、カーボン層はよりグラファイト的なものとなり、カーボン層の色が黒っぽくなり、透明性が低下する。電源のパワーについては0.05〜15W/cmが好ましい。低パワーでは製膜速度が遅くなり生産性に大きな影響を与える可能性がある。逆に高すぎるパワーでは、イオン化したガスにより基材の透明導電酸化物層をエッチングしてしまう可能性があるため好ましくない。電源については、直流電源や高周波電源などがあり、何れの電源も使用できるが、高周波電源の方が製膜速度が高く、ターゲット付近に堆積する絶縁炭素物質の影響が小さいなど、生産性の観点から好ましい。
カーボン層の膜厚は200〜1500Åが好ましく、特に400〜1000Åが使用する上で好ましい。カーボン層の膜厚が小さい場合は、光線透過率の向上に対して効果が不十分となり好ましくない。逆に厚い場合は導電性の低下の原因となる。
有機珪素化合物層4は、カーボン層3の表面処理により表面自由エネルギーを制御する効果を有している。有機珪素化合物層は有機官能基を有する有機珪素化合物を縮合させることで形成することが可能である。有機官能基を有する有機珪素化合物としては具体的にはシランカップリング剤をあげることができる。シランカップリング剤としては、分子中に加水分解性基を有するものが好ましい。
有機珪素化合物層4により、表面自由エネルギーを制御することで、耐水性、特に高温高湿環境下での耐久性が向上する。これは、有機珪素化合物層を形成することにより、表面自由エネルギーが低下し、すなわち水接触角が大きくなり、水の付着が起こりにくくなるためであり、結果として耐久性が向上する。
加水分解性基としては加水分解によりシラノールを生成するものが好ましい。シラノール基を生成する加水分解性基としては具体的にはアルコキシル基が好ましい。アルコキシル基としては、炭素数が1〜4、さらには1〜2のものが好ましい。アルコキシル基が複数ある場合は、それらが同一でも異なっていてもよい。
本願発明における有機官能基とは、本願発明の透明導電膜を例えば、タッチパネルやPDP、LCDやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ材料、太陽電池の透明電極や裏面電極、ハイブリッド型太陽電池の透明中間層、化合物半導体高速デバイスに用いる低誘電率膜、表面弾性波素子、赤外線カットなどを目的とした窓ガラスコーティング、ガスセンサー、非線形光学を活用したプリズムシート、透明磁性体、光学記録素子、光スイッチ、光導波路、光スプリッタ、光音響材料、高温発熱ヒーター材料用等の透明導電膜として用いる場合に官能基として作用する基のことであり、例えば、後述するアルキル基をあげることができる。
有機珪素化合物中の有機官能基の数は特に限定はないが、シランカップリング剤を用いる場合はその分子中に有機官能基が1〜3個であることが好ましく、さらには1〜2個、特には1個であることが分子の配向性の観点からもっとも好ましい。
有機官能基を3個有する3官能のシランカップリング剤としては、トリアルキルアルコキシシランをあげることができる。
有機官能基を2あるいは1個有するそれぞれ2官能、1官能のシランカップリング剤としてはそれぞれ、ジアルキルジアルコキシシラン、モノアルキルトリアルコキシシランをあげることができる。
これらシランカップリング剤のアルキル基は炭素数が1〜20、好ましくは1〜16のものをあげることができる。アルキル基にはその水素をフッ素で一部置換されていてもよい。有機珪素化合物層表面の表面自由エネルギーが上がり水の付着を防止することができることから、アルキル基の水素をフッ素で一部置換したフルオロアルキル基あるいは、フッ素で置換されていない炭素数が4以上の直鎖状のアルキル基が好ましい。
有機珪素化合物層の形成方法については、ディッピングやロールコート、スピンコートの後に空気中で加熱乾燥することで、自然に加水分解反応を起こし層を形成する方法があるが、CVD法を使用することで製膜ロット間の特性のばらつきを少なくすることが可能である。
CVD法のなかでも特に大気圧CVD法では、原料となるシランカップリング剤と水を反応系内に別々に投入し、透明導電酸化物表面近傍で加水分解反応を起こすことで有機珪素化合物膜を形成する方法である。またスプレー塗布法も大気圧CVDと同様に均一な有機珪素化合物膜を形成可能である。スプレー法においても、噴霧される有機珪素化合物と空気中の水分が反応することで有機珪素化合物膜を形成する。
有機珪素化合物の膜厚は5〜100Åが好ましく、さらには10〜80Åが好ましい。有機珪素化合物については、透明導電酸化物表面に単分子層の厚みを持つだけで良好な結果を得ることが可能となる点が特徴である。膜厚が厚くなると導電性に悪い影響を与える可能性があるため好ましくない。
透明導電膜の表面抵抗は、JISK7194に記載されている四探針圧接測定で測定した。表面抵抗の値は、タッチパネル用途では、200〜2000Ω/□が好ましい。これ以上大きい表面抵抗では、透明導電層の膜厚が薄過ぎ、透明導電膜の表面抵抗が安定にならず、特に高温高湿環境下に放置すると表面抵抗が容易に上昇する。逆にこれ以上小さい表面抵抗では、透明導電層の膜厚が大きくなり、その応力により透明導電層が割れやすくなることや、また透過率の低下やコスト面での課題が発生する。
550nmの波長での光線透過率は、JISK7105に記載されている積分球式光線透過率測定装置を用いて測定した。
耐久性試験は、透明導電膜を85℃/85%RH環境で1週間放置し、その後、表面抵抗と光線透過率の測定を行った。耐久性については、放置後の表面抵抗を製膜直後の表面抵抗で割った値(表面抵抗変化度)が1.0〜2.0であることが好ましい、さらには1.0〜1.3であることが好ましい。この範囲にあることにより動作不良などの異常の発生を防止でき好ましい。
以下に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、基板温度を200℃、キャリアガスとしてアルゴンガスを20sccm使用し、8Paの圧力で200WのDCパワーをかけ、5分間製膜することで、500Åの酸化亜鉛透明導電層を作製した。さらにその上にカーボン層を高周波プラズマCVD法で製膜した。製膜条件は、基板温度を200℃とし、メタンガス50sccm流しながら、70Paの圧力に調圧した後、200WのRFパワーをかけ、20分間製膜することで、500Åのカーボン層を作製した。
このカーボン層の550nmでの屈折率は1.47であった。さらにその上に、有機珪素化合物層を形成した。形成条件は、デシルトリメトキシシラン(商品名KBM−3103、信越化学社製)を原料とし、カーボン層上にスプレー塗布した。その後、空気中で110℃20分間加熱処理することで、有機珪素化合物層を形成した。
このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は290Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は93%であった。
この透明導電膜を85℃/85%RH環境で1週間放置したところ、表面抵抗は300Ω/□(表面抵抗変化度:1.0)であり、550nmの波長での光線透過率は93%であった。
(実施例2)
有機珪素化合物層形成の原料をトリフルオロプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM−7103、信越化学社製)に変更する以外は実施例1と同様にして透明導電膜を作製した。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は250Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は93%であった。
この透明導電膜を85℃/85%RH環境で1週間放置したところ、表面抵抗は260Ω/□(表面抵抗変化度:1.0)であり、550nmの波長での光線透過率は93%であった。
(実施例3)
カーボン層の膜厚を800Åとする以外は実施例1と同様にして透明導電膜を作製した。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は320Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は94%であった。
この透明導電膜を85℃/85%RH環境で1週間放置したところ、表面抵抗は330Ω/□(表面抵抗変化度:1.0)であり、550nmの波長での光線透過率は94%であった。
(実施例4)
カーボン層の膜厚を800Åとする以外は実施例2と同様にして透明導電膜を作製した。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は280Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は94%であった。
この透明導電膜を85℃/85%RH環境で1週間放置したところ、表面抵抗は300Ω/□(表面抵抗変化度:1.1)であり、550nmの波長での光線透過率は94%であった。
(比較例1)
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、基板温度を200℃、キャリアガスとしてアルゴンガスを20sccm使用し、8Paの圧力で200WのDCパワーをかけ、5分間製膜することで、500Åの酸化亜鉛透明導電層を作製した。その上に、有機珪素化合物層を形成した。形成条件は、デシルトリメトキシシラン(商品名KBM−3103、信越化学社製)を原料とし、カーボン層上にスプレー塗布した。その後、空気中で110℃20分間加熱処理することで、有機珪素化合物層を形成した。20cm角のガラス基板上で作成した場合、酸化亜鉛透明導電層上ではじかれたりして製膜ムラが発生し、均一に製膜できなかった。
(比較例2)
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、基板温度を200℃、キャリアガスとしてアルゴンガスを20sccm使用し、8Paの圧力で200WのDCパワーをかけ、5分間製膜することで、500Åの酸化亜鉛透明導電層を作製した。
さらにその上にカーボン層を高周波プラズマCVD法で製膜した。製膜条件は、基板温度を200℃とし、メタンガス50sccm流しながら、70Paの圧力に調圧した後、200WのRFパワーをかけ、20分間製膜することで、500Åのカーボン層を作製した。
このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は310Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は93%であった。
この透明導電膜を85℃/85%RH環境で1週間放置したところ、表面抵抗は3000Ω/□(表面抵抗変化度:9.7)であり、550nmの波長での光線透過率は93%であった。
(比較例3)
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、基板温度を200℃、キャリアガスとしてアルゴンガスを20sccm使用し、8Paの圧力で200WのDCパワーをかけ、5分間製膜することで、500Åの酸化亜鉛透明導電層を作製した。
このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は280Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は85%であった。
この透明導電膜を85℃/85%RH環境で1週間放置したところ、表面抵抗は700Ω/□(表面抵抗変化度:2.5)であり、550nmの波長での光線透過率は85%であった。
以上の結果をまとめて表−1に示す。
今回の結果から、酸化亜鉛透明導電酸化物層の上にカーボン層、さらにその上に有機珪素化合物層を形成することで、透明性と安定性に優れた透明導電膜を作製可能であることがわかった。
本発明に係る透明導電膜の断面説明図1 本発明に係る透明導電膜の断面説明図2
符号の説明
1 基板
2 透明導電酸化物層
3 カーボン層
4 有機珪素化合物層
5 カーボン層〜有機珪素化合物層への連続変化部位

Claims (8)

  1. 透明基板上に少なくとも1層からなる透明導電層を有する透明導電膜において、該透明導電層を酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層、構造中に水素を含む屈折率が1.25〜1.70のカーボン層、有機珪素化合物層の順に形成することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  2. カーボン層が、プラズマCVDまたはマグネトロンスパッタ法で形成され、有機珪素化合物層が大気圧CVD法またはスプレー法により形成されることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  3. 上記有機珪素化合物層が有機珪素化合物を縮合させる事により得られることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電膜の製造方法。
  4. 有機珪素化合物がシランカップリング剤であることを特徴とする請求項3に記載の透明導電膜の製造方法。
  5. シランカップリング剤が1〜3個の加水分解性基を有することを特徴とする請求項4に記載の透明導電膜の製造方法。
  6. シランカップリング剤がアルキルアルコキシシラン化合物であることを特徴とする請求項4または5に記載の透明導電膜の製造方法。
  7. アルキルアルコキシシラン化合物のアルキル基が炭素数が1〜20であることを特徴とする請求項6に記載の透明導電膜の製造方法。
  8. 透明基板上に少なくとも1層からなる透明導電層を有する透明導電膜において、該透明導電層を酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層、構造中に水素を含む屈折率が1.25〜1.70のカーボン層、有機珪素化合物層の順に設けられたことを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の透明導電膜の製造方法により製造された透明導電膜。
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