JP2009295545A - 透明導電膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 酸化亜鉛透明導電酸化物層は、高温高湿環境下での耐久性が低く、容易に表面抵抗が上昇してしまうために、透明導電膜材料として実用化に至っていない。また、ドーピングにより耐久性を向上しようとすると導電性または透明性の何れかの特性が犠牲となることがあった。
【解決手段】 酸化亜鉛透明導電酸化物層中に亜鉛原子に対して炭素原子を0.5〜12atm.%含有させることで、導電性や透明性を損なわずに耐久性を向上させることが可能となる。
【選択図】 なし
【解決手段】 酸化亜鉛透明導電酸化物層中に亜鉛原子に対して炭素原子を0.5〜12atm.%含有させることで、導電性や透明性を損なわずに耐久性を向上させることが可能となる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、主としてタッチパネルの対電極材料や保護膜、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)やエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ材料、太陽電池の透明電極や裏面電極、ハイブリッド型太陽電池の透明中間層、化合物半導体高速電子デバイスに用いる低誘電率膜、表面弾性波素子、赤外線カットなどを目的とした窓ガラスコーティング、ガスセンサー、非線形光学を活用したプリズムシート、透明磁性体、光学記録素子、光スイッチ、光導波路、光スプリッタ、光音響材料への活用、高温発熱ヒーター材料において透明性と導電性を兼ね備えた透明カーボン薄膜に関するものである。
タッチパネルやディスプレイ材料、太陽電池などに使用される透明導電膜は、その透明導電層として酸化インジウム錫(ITO)や酸化錫、酸化亜鉛などが広く使用されている。このような透明導電層はマグネトロンスパッタリング法やモレキュラービームエピタキシー法などの物理気相堆積法(PVD法)や熱CVDやプラズマCVDなどの化学気相堆積法(CVD法)などにより形成されるほか、無電解法により形成される方法が知られている。中でもITOは透明導電材料として非常に優れた材料であり、現在広く透明導電層に使用されている。しかしながら、原料のインジウムが枯渇する可能性があり、資源的にもコスト的にもITOに替わる材料の探索が急務となっている。
ITOに替わる材料としては酸化亜鉛(ZnO)が代表として挙げられる。ZnOはITOと比較して透明性に優れる反面、水分や熱に対する安定性に劣ることが非特許文献1に記載されている。
特許文献1〜3にはZnOにクロムやコバルト、ケイ素などを添加することで、ZnOの化学的安定性を向上する技術が述べられている。しかし、特許文献1および2はエッチング特性の定性的な評価にとどまっており、高温高湿環境下での耐久性が不明であり、化学的安定性に関して定量性が明確になっていない、一方特許文献3は化学的安定性として高温高湿環境での耐久性が述べられており、効果があることが述べられているが、導電性が低下しており、実用化の域には至っていない。
一方、タッチパネルのような物理的耐久性が必要とされる透明導電膜は、特許文献4〜6に透明導電膜上に被覆層を形成することで、耐衝撃性が向上すると述べられているが、記載されている窒化物や酸化物などは、水分や熱に対する安定性に優れる可能性があるが、導電性に課題が残る。一方カーボン材料は、一部導電性に優れるものもあるが、記載されているカーボン膜では上記の水分や熱に対する安定性には効果がない。
以上のように、ITO代替としてZnOの透明導電層への利用は幅広く開発が行われているが、現在主流となっているITO以上にすぐれた材料は実用化に至っていない。
透明導電膜、6ページより(シーエムシー出版) 特開2002−75061号公報
特開2002−75062号公報
特開平8−45352号公報
特開2001−283643号公報
特開2003−34860号公報
特開2003−109434号公報
透明導電膜、6ページより(シーエムシー出版)
上記課題を解決する為に、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、酸化亜鉛透明導電酸化物層中の酸化亜鉛の構造に炭素原子を含有させることで、酸化亜鉛透明導電酸化物層の耐環境変動性を向上することが可能であることを見出した。
すなわち本発明は、以下の構成を有するものである。
1). 透明基板上に少なくとも1層からなる酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層を有する透明導電膜において、該透明導電酸化物層の酸化亜鉛の構造中に炭素原子を亜鉛原子に対して0.5〜12atm.%含有することを特徴とする透明導電膜。
2). 酸化亜鉛透明導電酸化物層が、酸化亜鉛を主成分とする金属酸化物ターゲットを原料としたマグネトロンスパッタリング法により作製され、
(A)炭素源となるガスとして炭酸ガス及び/またはメタンガスを使用し、該炭素源ガスをアルゴンガス及び/または水素ガスで希釈したものをキャリアガスとして使用する。
(B)上記キャリアガス中に含まれる炭素源ガスの割合が0.5〜20vol.%である。
(C)製膜時の基板の温度が0〜200℃である。
上記(A)〜(C)を満たす条件で透明酸化物層が作製されることを特徴とする、1)に記載の透明導電膜の製造方法。
(A)炭素源となるガスとして炭酸ガス及び/またはメタンガスを使用し、該炭素源ガスをアルゴンガス及び/または水素ガスで希釈したものをキャリアガスとして使用する。
(B)上記キャリアガス中に含まれる炭素源ガスの割合が0.5〜20vol.%である。
(C)製膜時の基板の温度が0〜200℃である。
上記(A)〜(C)を満たす条件で透明酸化物層が作製されることを特徴とする、1)に記載の透明導電膜の製造方法。
3). 酸化亜鉛透明導電酸化物層が、酸化亜鉛中に炭素原子が0.5〜20atm.%含有されたターゲットをマグネトロンスパッタリング法により作製されることを特徴とする、1)に記載の透明導電膜の製造方法。
4). 酸化亜鉛中の炭素原子が0.5〜20atm.%含有された金属酸化物ターゲットであることを特徴とする、2)に記載の透明導電膜の製造方法。
本発明により、タッチパネルやエレクトロルミネッセンス電極基板、太陽電池などで特に重要な要素である「透明性」「耐環境変動性」において良好な特性を示す透明導電膜を形成することが可能となる。
本発明は「透明基板上に少なくとも1層からなる酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層を有する透明導電膜において、該透明導電酸化物層の酸化亜鉛の構造中に炭素原子を0.5〜10atm.%含有することを特徴とする透明導電膜。」であり、このような透明導電膜の製造方法を開示するものである。
酸化亜鉛はイオン結合性の強い化合物であり、薄膜材料では水や薬品に対して弱い性質がある。この弱点を補強するには、酸化亜鉛透明薄膜表面に被服層を設けて水分を遮断する方法が第一に考えられる。このような水分遮断性の材料は一般的に金属材料やポリオレフィンのような物質であり、不透明であったり、絶縁体であったりと透明導電膜材料には適していないものが多い。
第二には、酸化亜鉛へのドーピングによる安定性の付与が考えられ、特許文献1〜3にコバルトやクロム、ケイ素をドーピングすることで安定性が向上することが記載されている。これらの手法では、金属酸化物や金属塩化物を酸化亜鉛と混合した後に製膜する方法や、酸化亜鉛と二酸化ケイ素を共スパッタする方法などが用いられている。
また特開平10−237630号公報のように金属ターゲットに二酸化炭素のような反応性ガスを50vol.%以上含むガスをキャリアガスとする、反応性スパッタ法により透明導電層を形成する方法が述べられている。しかし、この方法では金属以外の成分、すなわち酸素と炭素が二酸化炭素から供給されることとなり、微細な製膜圧力の変動により特性が大きく変わる恐れがある。また、金属ターゲット表面は酸化され易く、ターゲットのメンテナンスなど生産性を低下させる要因となる。
本発明では基本物質となる酸化亜鉛はターゲット材料を供給源とし、炭素及び/または水素をキャリアガスから供給することで、製膜条件の変動に対しても特性変化が小さい酸化亜鉛透明導電膜を作製することが可能となる。また酸化亜鉛中の炭素原子量を適切に制御することで、透明性と導電性を確保しつつ、高温高湿環境下での耐久性を向上させることが可能となる。
以下、本発明に係る透明導電膜の代表的な態様を説明する。図1は本発明に係る透明導電膜の断面図である。透明基板1上に酸化亜鉛透明導電酸化物層2が形成される(図1)。酸化亜鉛透明導電酸化物層2上には、更なる水分遮断性の付与を目的とした水素含有カーボン膜3が形成されても良い(図2)。また透明基板1と酸化亜鉛透明導電酸化物層の間に公知のバリア層4が形成されても問題ない(図3)。
上記基板1については、少なくとも可視光領域において透明な基板であれば、硬質または軟質材料は特に限定されない。硬質材料であれば、アルカリガラスやホウ珪酸ガラス、無アルカリガラスなどのガラス基板がその代表例であるが、サファイヤ基板なども使用できる。ガラス基板の厚みは使用目的により任意に選択することができるが、取り扱いと重量のバランスを加味して、0.5mm〜4.5mmまで使用できる。薄すぎるガラス基板は強度が不足するために、衝撃により割れやすい。
また厚すぎるガラス基板は重量が重くなることと、機器の厚みに影響を及ぼすことから、ポータブル機器への利用は困難となる。また厚い基板は透明性とコストの面からも好ましくない。一方、軟質な材料としては、アクリル樹脂やポリエステル、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂や、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂からなるフィルムが代表例であるが、特に優れた光学等方性と水蒸気遮断性に優れているポリシクロオレフィンを主成分とするフィルムが有効に使用できる。ポリシクロオレフィンフィルムとしては、ノルボルネンの重合体やノルボルネンとオレフィンとの共重合体、シクロペンタジエンなどの不飽和脂環式炭化水素の重合体などが挙げられる。
水蒸気遮断性の観点から、フィルム構成分子の主鎖および側鎖には大きな極性を示す官能基、例えばカルボニル基やヒドロキシル基、を含まないことが好ましい。これらの基板の厚みは使用目的により任意に選択することができるが、0.03mm〜3.0mm程度であれば取り扱いが容易である。薄いフィルムはハンドリングが困難であることと、強度が不足する点が課題となる。また厚いフィルムは透明性とコストに課題があり、機器の厚みも増すことから、ポータブル機器には使用が困難である。その他耐熱性に優れるという観点から、ポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエーテルスルホン(PES)なども使用できる。
上記基板1としてフィルム基板を用いる場合は、基板フィルムを延伸して位相差を付与することができる。位相差を付与することで、偏光板との組み合わせにより低反射パネルを作製することが可能であり、画像の視認性が大幅に向上することが期待される。
上記基板1への位相差付与の方法について説明する。位相差付与には既知の手法を用いることで可能となる。例えば一軸延伸や二軸延伸などの延伸や配向処理により可能である。この際フィルムにガラス転移温度近くの温度をかけることで、ポリマー骨格の配向を促進することが可能となる。レタデーション値の好ましい範囲は、目的とする機能によりことなるが、反射防止機能を付与する場合には50〜300nmの範囲で選択する事が好ましく、人間が最も強く認識する波長である約550nmに対して1/4となる137nm付近がより好ましい。
本発明における透明導電酸化物層2には透明導電酸化物の中でも、透明性の高さとカーボン膜3の製膜時に発生する水素プラズマに対して還元反応が起こらないという点から酸化亜鉛が用いられる。上記透明導電酸化物には導電性制御を目的としてドーピング剤を添加することができる。ドーピング剤としては例えば、アルミニウムやガリウム、インジウム、錫、ホウ素を含む化合物やリン、窒素を含む化合物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明では、酸化亜鉛透明導電酸化物中に炭素原子が亜鉛原子に対して0.5〜12atm.%、好ましくは0.5〜10atm.%、さらに好ましくは0.5〜8atm.%、含有される。炭素原子の導入方法については以下に述べるような反応性スパッタリングにより導入する方法や、スパッタターゲット中に予め炭素を含有させる方法がある。炭素原子の含有量が上記より少ない場合は、耐久性に対して効果が無い可能性がある。
また含有量が多い場合は、導電性が著しく低下する可能性がある。酸化亜鉛中の炭素原子の存在状態について、特に制限は無く、例えば酸化亜鉛中に炭化亜鉛として存在する場合や、炭素原子からなるクラスターとして存在する場合などがあり、原子レベルで均一に分布する必要はない。
透明導電酸化物層2の形成方法としては、マグネトロンスパッタリング法を採用することが本発明における重要な技術である。
透明導電酸化物層2をマグネトロンスパッタリング法により製膜する際に導入するガスは炭酸ガス及び/またはメタンガスを使用し、該炭素源ガスをアルゴンガス及び/または水素ガスで希釈したものをキャリアガスとすることで、本発明に必要な特性を示す透明導電膜を作製することが可能となる。炭酸ガス及び/またはメタンガスは全キャリアガス中の0.5〜20vol.%、さらには1.0〜10vol.%であることが好ましい。
この値より小さい濃度では、耐久性に対して効果が無い可能性がある。またこの値より大きい濃度では、導電性が著しく低下する可能性がある。ガスの希釈は、スパッタ製膜室に導入される前でも、製膜室内で混合されてもどちらでも良い。
透明導電酸化物層2をマグネトロンスパッタリング法により製膜する場合、予め炭素原子を酸化亜鉛中に含有させたスパッタターゲットを使用することができる。ターゲットの製造方法には大きく分けて、焼結法と真空溶融法の2種類があるが、本発明に必要なターゲットを得るにはどちらの手法も用いることができる。
具体的には、焼結法の場合では、酸化亜鉛と炭素を適量調合し、それをホットプレスによる焼結または成型・焼結の工程を経て、バッキングプレートにボンディング加工を施してターゲットを製造する。真空溶融法の場合は、酸化亜鉛と炭素を調合した後に真空中で溶融し、鍛造・圧延工程を経て、バッキングプレートにボンディング加工を施してターゲットを製造する。スパッタターゲット中に含まれる炭素の量は酸化亜鉛中に0.5〜20atm.%、さらには0.5〜15atm.%、特には0.5〜8atm.%であることが好ましい。
透明導電酸化物層2を形成する場合、基板の温度は、基板の軟化温度により変化するが、0〜200℃が好ましく、さらに好ましくは室温〜基板のガラス転移温度より30℃程度低温が好ましい。基板の温度が低すぎると、結晶性が悪くなり、透明性や導電性が目的を達成できない可能性がある。基板の温度が高すぎると基板に付与した位相差が損失する可能性がある。透明導電酸化物層の形成には必要に応じてプラズマ放電を利用することができる。プラズマのパワーには特に制限はないが、生産性や結晶性の観点から10W〜600Wが好ましい。低すぎる場合には製膜されない可能性がある。高すぎる場合には基板へのダメージや装置へのダメージが懸念される。
透明導電酸化物層2に含まれる炭素のドーピング量の検出方法について説明する。ドーピング量の検出は、通常元素分析に用いられる手法であれば、どのような方法においても精度良く検出可能である。例えば、エネルギー分散型X線分析、原子吸光分析や蛍光X線分析などの元素分析手段の他にX線光電子分光やオージェ電子分光、電子線マイクロアナライザなどの分光学的手法や二次イオン質量分析などの手法がある。中でも二次イオン質量分析は深さ方向のプロファイルなどの情報を得ることができるなど有効な手段である。
上記カーボン膜3は、酸化亜鉛透明導電膜の空気や水分に対する保護や透明導電層表面の物理的衝撃に対する耐久性向上と、高い光線透過率を可能とすることを目的として使用される。これらのカーボン膜には構造中に水素を含むハイドロカーボンが好ましく、物理的強度や透明性の観点から、アモルファスハイドロカーボンやテトラヘドラルアモルファスハイドロカーボンがより好ましく使用される。さらに、本発明に係るカーボン膜のうち、少なくとも1層は多孔質カーボンを含有する層であることが好ましい。
このようなカーボン層を有することで、光線透過率の向上が可能となる。多孔質の構造は、フラーレンやカーボンナノチューブなど規則的な構造を示すものが代表的であるが、不規則なランダム構造であっても本発明には問題ない。これらのカーボン膜は、CVD法やスパッタ法、イオンプレーティング法や蒸着法など公知の技術により形成されるのが一般的であるが、本発明に係るカーボン膜は高周波プラズマCVD法でのみ得ることが可能である。使用する高周波電源には、RF・VHF・マイクロ波などの種類があるが、どの電源を用いても所望のカーボン膜を得ることができる。
高周波プラズマCVD法でカーボン膜を形成する場合、原料は通常使用されるものを使用でき、所望するカーボン膜の構造によりメタンガスのみの場合や、水素により希釈して製膜する場合がある。プラズマのパワーは特に制限はないが5W〜600Wが好ましい。低い場合は製膜されず、逆に高い場合はプラズマにより透明導電層2がエッチングされる可能性がある。
主にタッチパネルやエレクトロルミネッセンス電極材料、太陽電池に使用する場合には、物理的・電気的なコンタクト性を向上させる目的で透明導電酸化物が200Å以下の膜厚で形成される。電気的なコンタクト性とは、本発明の透明導電膜と対電極や電荷移動層との界面での電気の流れやすさである。透明導電酸化物層を形成することで、このコンタクト性の改善が可能となる。
上記透明導電酸化物層は、透明性を優先してドーピングしなくても使用可能であるが、ドーピングを施すことでコンタクト性向上への寄与を大きくすることが可能である。ドーピング剤としては例えば、アルミニウムやガリウム、インジウム、錫、ホウ素を含む化合物やリン、窒素を含む化合物などが挙げられる。
上記透明導電酸化物層の膜厚は薄いほど好ましく、200Å以下で使用されるが、さらに好ましくは100Å以下である。該透明導電層4はコンタクト性が重要な要素であり、透明導電膜の表面抵抗は下層の透明導電層2及びカーボン膜3に従う必要がある。このため、透明導電酸化物層は表面抵抗に影響を与えない膜厚である200Å以下であることが必要である。また、上述している酸化亜鉛透明導電層本来の水分や熱に対する不安定さも、膜厚を薄くすることでその影響を無視することができる。
バリア膜4は公知の材料を使用することができる。例えば二酸化ケイ素や窒化珪素などが代表例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。バリア膜4の製膜方法については公知の技術を適用することができ、例えば、スパッタリング法やCVD法、蒸着法などがあるが、これらに限定されるものではない。
透明導電膜の表面抵抗は、JISK7194に記載されている四探針圧接測定で測定した。表面抵抗の値は、必要とされる特性により異なるが、5〜2000Ω/□、さらには10〜900Ω/□が好ましい。これ以上大きい表面抵抗では、透明導電層の膜厚が薄過ぎ、透明導電膜の表面抵抗が安定にならず、特に高温高湿環境下に放置すると表面抵抗が容易に上昇する。逆にこれ以上小さい表面抵抗では、透明導電層の膜厚が大きくなり、その応力により透明導電層が割れやすくなることや、また透過率の低下やコスト面での課題が発生する。
550nmの波長での光線透過率は、JISK7105に記載されている積分球式光線透過率測定装置を用いて測定した。
以下に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
具体的な測定装置について説明する。表面抵抗測定は低抵抗率計ロレスタGP(MCP−T610)(三菱化学社製)を使用した。光線透過率測定は分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を使用した。炭素原子の含有量は、二次イオン質量分析計ims−4f(CAMECA社製)を使用した。耐久試験について説明する。耐久試験は、85℃/85%RHの環境にした高温高湿試験機中に透明導電膜を240時間放置し、放置前後の表面抵抗を測定し、その変化を評価した。
(実施例1〜4)
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、アルゴンガス中の炭酸ガスの導入量を表1のように調整し、全ガス流量を10.0sccmとした。基板温度を200℃、8Paの圧力で200WのDCパワーをかけ、10分間製膜することで、100nmの酸化亜鉛透明導電層を作製した。
このようにして作製した透明導電膜は、導電性・光線透過率の特性に優れ、且つ高温高湿環境下での耐久性に優れていることがわかった。
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、アルゴンガス中の炭酸ガスの導入量を表1のように調整し、全ガス流量を10.0sccmとした。基板温度を200℃、8Paの圧力で200WのDCパワーをかけ、10分間製膜することで、100nmの酸化亜鉛透明導電層を作製した。
このようにして作製した透明導電膜は、導電性・光線透過率の特性に優れ、且つ高温高湿環境下での耐久性に優れていることがわかった。
(実施例5〜8)
(スパッタターゲットの作製)
酸化亜鉛と炭素の粉状原料を表2のカーボン含有量に従って調合し、混練したのちに、ホットプレスによりターゲット材を作製した、表面を研磨加工した後にバッキングプレート上にボンディング処理を施し、スパッタターゲットを作製した。
(スパッタターゲットの作製)
酸化亜鉛と炭素の粉状原料を表2のカーボン含有量に従って調合し、混練したのちに、ホットプレスによりターゲット材を作製した、表面を研磨加工した後にバッキングプレート上にボンディング処理を施し、スパッタターゲットを作製した。
(透明導電膜の作製)
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、基板温度を200℃、キャリアガスとしてアルゴンを10.0sccm使用し、8Paの圧力で200WのDCパワーをかけ、10分間製膜することで、100nmの酸化亜鉛透明導電層を作製した。
このようにして作製した透明導電膜は、導電性・光線透過率の特性に優れ、且つ高温高湿環境下での耐久性に優れていることがわかった。
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、基板温度を200℃、キャリアガスとしてアルゴンを10.0sccm使用し、8Paの圧力で200WのDCパワーをかけ、10分間製膜することで、100nmの酸化亜鉛透明導電層を作製した。
このようにして作製した透明導電膜は、導電性・光線透過率の特性に優れ、且つ高温高湿環境下での耐久性に優れていることがわかった。
(比較例1〜2)
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。アルゴンガス中の炭酸ガスの導入量を変更した以外は実施例1〜4と同様にして透明導電膜を作製した。
このようにして作製した透明導電膜は、導電性または高温高湿環境下での耐久性のどちらかの特性が悪い結果となった。
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。アルゴンガス中の炭酸ガスの導入量を変更した以外は実施例1〜4と同様にして透明導電膜を作製した。
このようにして作製した透明導電膜は、導電性または高温高湿環境下での耐久性のどちらかの特性が悪い結果となった。
(比較例3)
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。スパッタターゲット中の炭素原子含有量を変更した以外は実施例5〜8と同様にして透明導電膜を作製した。
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚0.7mm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。スパッタターゲット中の炭素原子含有量を変更した以外は実施例5〜8と同様にして透明導電膜を作製した。
このようにして作製した透明導電膜は、導電性または高温高湿環境下での耐久性のどちらかの特性が悪い結果となった。
本願発明により、酸化亜鉛透明導電酸化物層中に炭素原子を添加することで、導電性・透明性を損なわずに耐久性が向上する透明導電膜を作製可能でとなる。
1 基板
2 透明導電層
3 カーボン膜
4 バリア膜
2 透明導電層
3 カーボン膜
4 バリア膜
Claims (4)
- 透明基板上に少なくとも1層からなる酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層を有する透明導電膜において、該透明導電酸化物層の酸化亜鉛の構造中に炭素原子を亜鉛原子に対して0.5〜12atm.%含有することを特徴とする透明導電膜。
- 酸化亜鉛透明導電酸化物層が、酸化亜鉛を主成分とする金属酸化物ターゲットを原料としたマグネトロンスパッタリング法により作製され、
(A)炭素源となるガスとして炭酸ガス及び/またはメタンガスを使用し、該炭素源ガスをアルゴンガス及び/または水素ガスで希釈したものをキャリアガスとして使用する。
(B)上記キャリアガス中に含まれる炭素源ガスの割合が0.5〜20vol.%である。
(C)製膜時の基板の温度が0〜200℃である。
上記(A)〜(C)を満たす条件で透明酸化物層が作製されることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。 - 酸化亜鉛透明導電酸化物層が、酸化亜鉛中に炭素原子が0.5〜20atm.%含有されたターゲットをマグネトロンスパッタリング法により作製されることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
- 酸化亜鉛中の炭素原子が0.5〜20atm.%含有された金属酸化物ターゲットであることを特徴とする、請求項2に記載の透明導電膜の製造方法。
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