JP2016207541A - 透明導電フィルムおよび表示デバイス、並びに、透明導電フィルムの製造方法および表示デバイスの製造方法 - Google Patents

透明導電フィルムおよび表示デバイス、並びに、透明導電フィルムの製造方法および表示デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】透明電極層と金属電極との良好な密着性が確保されつつ、良好な電気的接合性も確保される透明導電フィルム等の提供。
【解決手段】透明電極15の最表面から透明フィルム12に向かい深長3.0nm以下の透明導電性酸化物キャップ層14において、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.5〜1.0で炭素原子が0.2〜1.0であり、透明導電性酸化物キャップ層14よりも透明フィルム12に向かう透明導電性酸化物層13では、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.1以下で炭素原子が0.1以下である透明導電フィルム21。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電フィルムおよび表示デバイス、並びに、透明導電フィルムの製造方法および表示デバイスの製造方法に関する。
タッチパネル若しくはディスプレイ等の表示デバイス、または、太陽電池のような光電変換デバイスでは、透明電極への導電キャリアの注入、あるいは、透明電極からのキャリアの回収を目的として金属電極が形成される。このような金属電極は、銀ペーストをスクリーン印刷する方法や銅をスパッタ若しくはメッキする方法が採用される。
タッチパネルまたはディスプレイでは、表示領域の拡大、さらには、デザイン性、または、光電変換デバイスでの機能を発現する有効領域の拡大を目的として、年々、金属電極は細線化が進んでいる。
細線化された金属電極は、一部の密着性不良の影響を受けると、断線または細線の抵抗による加熱などの不具合が生じる可能性がある。このため、細線化が進んだ金属電極は、透明導電性酸化物層とのより強い密着性が求められる。
しかし、一般的に用いられる透明電極材料は、酸化インジウムを主成分とする透明導電性酸化物であるが、このような透明導電性酸化物は、金属電極に対する密着性が悪い。この密着性を改善するために、金属電極を形成する直前にコロナ処理などの表面処理を施す方法が知られている(特許文献1)。
特開平01−169750号公報
しかしながら、特許文献1のようなコロナ処理などの表面処理方法では、透明導電性酸化物層と金属電極との密着性を高めるには十分ではない。
本発明の目的は、上記したように、透明電極層と金属電極との良好な密着性が確保されつつ、良好な電気的接合性も確保される透明導電フィルム等を提供することにある。
透明導電フィルムは、基材上にインジウムを主成分金属とする透明電極を形成させる。そして、上記透明電極が、上記基材側に透明導電性酸化物層、その上に透明導電性酸化物キャップ層を配することで、上記透明導電性酸化物層は、上記透明導電性酸化物キャップ層と上記基材とで挟まれる。上記透明導電性酸化物キャップ層は3.0nm以下の層厚で、その透明導電性酸化物キャップ層では、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.5以上1.0以下で、炭素原子が0.2以上1.0以下であり、上記透明導電性酸化物層では、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.1以下で、炭素原子が0.1以下である。
また、このような透明導電フィルムでは、上記透明導電性酸化物キャップ層の少なくとも一部分に、金属電極が形成されると好ましい。
なお、上記金属電極は、銀ペースト製であると好ましい。また、以上のような透明導電フィルムを含む表示デバイスも本発明といえる。
透明導電フィルムの製造方法では、基材上にインジウムを主成分金属とする透明電極を形成させる。そして、この製造方法では、上記透明電極の最表面から上記基材に向かい深長3.0nm以下の範囲である透明導電性酸化物キャップ層をスパッタリングで形成する工程を含み、その工程にて、不活性ガスおよび酸素ガスに加えて、その不活性ガスに対してメタンを0.3体積%以上1.0体積%添加する。
また、この透明導電フィルムの製造方法では、上記透明導電性酸化物キャップ層の少なくとも一部分に、金属電極を形成させる金属電極形成工程を含むと好ましい。
なお、上記金属電極形成工程に使用するのは、銀ペーストであると好ましい。また、以上のような透明導電フィルムの製造方法を含む表示デバイスの製造方法も本発明といえる。
本発明の透明導電フィルム等では、透明導電性酸化物層の最表面が改質されることで、その透明導電性酸化物層、ひいては透明電極層と金属電極との良好な密着性が確保されつつ、良好な電気的接合性も確保される。
は、透明導電フィルムの断面図である。 は、透明導電性酸化物キャップ層と金属電極層との界面を示す説明図である。 は、透明電極層上の金属電極層を示す平面図である。 は、表示デバイスの平面図である。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りである。なお、各図における寸法関係については、図面の明瞭化と簡略化とのため適宣変更され、実際の寸法関係を表していない。また、各図において同一の参照符号は同一の技術事項を意味する。
透明導電フィルムは、種々デバイスに用いられるが、例えば、液晶若しくは有機EL(Electro-Luminescence)を用いたディスプレイ若しくはデジタルサイネージ、または、静電容量式のタッチパネル等の表示デバイスに広く用いられる(図4は、表示デバイス31を示す平面図である)。
そして、図1の断面図に示すように、この透明導電フィルム21は、少なくとも、透明フィルム基材12と、透明電極(透明電極層)15と、を含む(別表現すると、透明フィルム基材12および透明電極15に、例えば、後述する機能層または金属電極17が追加されていたとしても、それは透明導電フィルム21である)。
透明フィルム基材12は、透明導電フィルム21の土台となる材料(基礎となる材料:基材)で、例えばフィルム状である(ただし、これに限定されず、例えば、板状または膜状であってもかまわないので、透明基板、または透明膜と称されることもある)。そして、透明フィルム基材12は、少なくとも可視光領域で、無色透明であれば、特に限定されない。
また、透明フィルム基材12の厚みも、特に限定されないが、10μm以上400μm以下であれば好ましく、20μm以上200μm以下であればより好ましい。この範囲内であれば、透明フィルム基材12、ひいては透明導電フィルム21は、十分な耐久性を確保するとともに、適度な柔軟性を有する。
その上、この厚みの範囲内の透明フィルム基材12であれば、ロール・トゥ・ロール方式で、透明誘電体層のような機能層、さらには、透明電極15等を製膜させられ、その結果、透明導電フィルム21が高い生産性で製造される。なお、透明フィルム基材12としては、二軸延伸により分子を配向させることで、ヤング率等の機械的特性または耐熱性を向上させたものが好ましい。
ところで、一般に、延伸フィルムは、延伸による歪が分子鎖に残留するため、加熱された場合に熱収縮する性質を有している。そのため、このような熱収縮の低減を図るべく、延伸の条件調整または延伸後の加熱によって応力(歪)を緩和させ、熱収縮率を0.2%程度、または、それ以下に低減させるとともに、熱収縮開始温度を高めた二軸延伸フィルム(低熱収縮フィルム)が知られている。そこで、透明導電フィルム21の製造工程における透明フィルム基材12の熱収縮による不具合を抑止する観点から、このような低熱収縮フィルムが透明フィルム基材12として用いられると好ましい。
なお、透明フィルム基材12の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフテレート(PBT)、または、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂が挙げられるだけでなく、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、または、セルロース系樹脂等も挙げられる。中でも、安価で透明性に優れる観点から、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましく用いられる。
また、透明フィルム基材12の片面(表面または裏面)または両面に、例えば、光学調整層、反射防止層、ぎらつき防止層、易接着層、応力緩衝層、ハードコート層、易滑層、帯電防止層、結晶化促進層、結晶化速度調整層、または、耐久性向上層等の機能性層が製膜されてもよい。例えば、透明フィルム基材12と透明電極15との間に、種々の機能層15が単層または複層製膜されてもよい。
例えば、ハードコート層の場合、透明フィルム基材12に適度な耐久性と柔軟性とを持たせるためには、そのハードコート層の厚みは、1μm以上10μm以下であれば好ましく、3μm以上8μm以下であればより好ましく、5μm以上8μm以下であればより一層好ましい。
なお、ハードコート層の材料としては、特に制限されず、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、またはシリコーン系樹脂等が挙げられ、それら材料から適切に選択されたものが塗布・硬化させられる。
例えば、アクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR−102、三菱レイヨン製)をメチルセロソルブに固形分濃度30重量%となるように溶解した樹脂溶液に、酸化ジルコニウム(商品名:ジルコニア粒子TZ−3Y−E、東ソー製)を、そのアクリル樹脂に対して1重量%添加して十分に撹拌することで、中屈折率制御層塗布液を作製する。そして、この塗布溶液を、グラビアコーティングにより3μmの厚みに塗布し、125℃で15分間乾燥させることで形成される1μm厚の樹脂層は、ハードコート層として機能する。なお、このハードコート層(低屈折率層)の屈折率は1.53であった。
次に、透明電極15について説明する。透明電極15は、例えば、透明フィルム基材12の両面における少なくとも一方面に製膜される。この製膜された状態は、膜状とも層状ともいえるので、既述のように、透明電極層15と称することもある。
そして、図1に示されるように、透明電極層15は、透明導電性酸化物層13および透明導電性酸化物キャップ層14から構成される(なお、透明導電性酸化物層13および透明導電性酸化物キャップ層14も、膜状とも層状ともいえるので、透明導電性酸化物膜13および透明導電性酸化物キャップ膜14とも称される)。
透明導電性酸化物層13は、酸化物で単層または複層として形成(製膜)される層であって、例えば、インジウムを主成分とする酸化物である無機化合物で形成されると好ましい。そして、無機化合物である酸化インジウムは、導電性およびフィルム基板上における結晶化の観点から、透明導電性酸化物層13において、87.5重量%以上99.0重量%以下の含有量であれば好ましく、90重量%以上95重量%以下の含有量であればより好ましい。
また、透明導電性酸化物層13は、膜中にキャリア密度を持たせて導電性を付与するためのドープ不純物を含有する。このようなドープ不純物としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化タングステン、または、酸化セリウム等が挙げられる。なお、透明導電性酸化物層13の大部分が、酸化インジウム・錫(ITO)で形成されている場合、ドープ不純物は酸化錫であると好ましい。
透明導電性酸化物層13中のドープ不純物は、2.5重量%以上12.5重量%以下の含有量であれば好ましく、3.0重量%以上10.0重量%以下の含有量であればより好ましい。
なぜなら、このようなドープ不純物の範囲であれば、透明導電性酸化物層13のキャリア密度は、4×1020cm−3以上9×1020cm−3以下という好適な範囲、6×1020cm−3以上8×1020cm−3以下というより好適な範囲になりやすい。そして、このようなキャリア密度の範囲であれば、透明導電性酸化物層13が低抵抗化する。例えば、透明導電性酸化物層13の抵抗率が、3.5×10−4Ωcm以下となりやすい。
また、透明導電性酸化物層13では、結晶化度は、90%以上であれば好ましく、95%以上であればより好ましい。結晶化度がこのような範囲であれば、透明導電性酸化物層13は、光吸収を小さくさせられる上、環境変化等による抵抗値変化を抑制させられるためである。また、結晶化度がこのような範囲であれば、いかなる環境の変化においても安定した膜質となることから、透明導電性酸化物層13と金属電極17との密着度合いも高まる。なお、結晶化度は、顕微鏡観察時において観察視野内で結晶粒が占める面積の割合から求められる。
なお、例えば、主成分として非晶質の酸化インジウムを有する透明導電性酸化物層13を含んだ透明電極層15であれば、結晶化のために、80℃以上150℃以下程度の加熱処理を要する。
透明導電性酸化物層13は、生産性の観点からスパッタリング法で製膜されると好ましい。特に、スパッタリング法において、マグネトロンスパッタリング法が特に好ましい。
マグネトロンスパッタリング法でのマグネットの強度は700ガウス以上1300ガウス以下であれば好ましい。このような範囲であれば、極端なエロージョンによるスパッタターゲットの利用効率低下が抑制され、かつ良質な透明導電性酸化物層13が形成される。
詳説すると、磁場強度が大きくなることで、放電電圧が下げられるため、透明導電性酸化物層13が透明フィルム基材12に対して低ダメージで形成されるためである。なお、スパッタリングに用いる電源には特に制限されるものではなく、ターゲット材料にあわせて、直流電源、交流電源、または高周波電源等であっても構わない。また、放電電圧は、スパッタ装置または使用電源の種類に依るが、−350V以上−200V以下程度であると、良好な透明導電性酸化物層13を形成するためには好ましく、さらには、−320V以上−270V以下程度がより好ましい。
なお、入力電力を高めに設定すると、透明導電性酸化物層13における結晶核形成が促され、それによって、透明導電性酸化物層13の短時間のアニールによる結晶化が可能になる。一方で、入力電圧を低めに設定すると、透明導電性酸化物層13における結晶化の活性化エネルギーが高くなり、それによって、長期保管特性の向上が可能になる。
さらに、透明導電性酸化物層13における最表面が製膜される場合に、入力電力または反応性ガス(酸素等)の分圧が調整されることで、透明導電性酸化物層13に含まれるドーパントの、かかる透明導電性酸化物層13表面への偏析が抑制され、その結果、透明導電性酸化物層13中において、均一な結晶化が生じる。
なお、上記の反応性ガス(酸素等)の分圧調整は、透明導電性酸化物層13を構成する材料またはドーパントの組成・濃度を順次変更して形成する方法である。この手法の場合、透明導電性酸化物層13中のスムーズな電子輸送の観点から、ドーパントの材料は同一であると好ましい。また、ドーパントの濃度の変化は、透明導電性酸化物層13の層厚方向(膜厚方向)のみに生じると好ましい。
また、透明導電性酸化物層13の層厚は、10nm以上120nm以下であれば好ましく、12nm以上70nm以下であればより好ましく、15nm以上50nm以下であればより一層好ましい。このような層厚範囲であれば、透明導電フィルム21が、全層厚を薄くしながら低抵抗になりやすい。
また、このような層厚範囲であれば、透明電極層15上に金属電極17が積層されたとしても、透明電極層15全体として、光学特性(例えば、光線透過率)低下の原因となる層厚増加を抑えつつも、低抵抗化が図れる。その上、層厚が抑えられることで、透明導電性酸化物層13、ひいては透明電極層15、さらには透明導電フィルム21の反りが抑えられる。
なお、透明電極層15が、タッチパネルのような表示デバイス31に搭載される場合、かかる透明電極層15はパターニングされなくてはならないが、このような層厚範囲の透明導電性酸化物層13を含む透明電極層15であれば、効率よくパターニングされるため、生産性が高まる。
次に、透明導電性酸化物キャップ層14について説明する。透明導電性酸化物キャップ層14は、金属電極17の透明導電性酸化物層13への密着度合いを高めるためのものであり、透明導電性酸化物層13上に製膜される。
例えば、この透明導電性酸化物キャップ層14は、上記したようなスパッタリング法で、透明導電性酸化物層13と同材料である酸化インジウム・錫(ITO)のスパッタターゲットで製膜される。すなわち、透明電極15が、透明フィルム基材12側に透明導電性酸化物層13、その上に透明導電性酸化物キャップ層14を配することで、透明導電性酸化物層13は、透明導電性酸化物キャップ層14と透明フィルム基材12とで挟まれる。
なお、透明導電性酸化物キャップ層14と透明導電性酸化物層13とを含む透明電極層15は、インジウムを主成分金属としている。また、透明導電性酸化物キャップ層14において、金属電極17の透明導電性酸化物層13への密着度合いを高めるための好適な条件等については、後述する。
続けて、金属電極17について説明する。金属電極17は、透明導電性酸化物キャップ層14の少なくとも一部分(詳説すると、上記透明導電性酸化物キャップ層14の表面の少なくとも一部分)に形成される。そして、金属電極17は層状または膜状ともいえるので、金属電極層17または金属電極膜17と称してもよい。そして、このような金属電極層17の材料は、例えば、銀、または銀を主成分とする合金(すなわち、金属電極層17全体の材料比において50%以上の銀を含む合金)であると好ましい。
なぜなら、銀のような導電性の高い材料であると、透明電極層15において、電気を流す中継点的な役割(詳説すると、透明電極層15における導電キャリアの収集と拡散とを補助する役割)を果たせるようになり、その結果、透明電極層15が低抵抗化するためである。そして、このような電気を流す中継点的な役割のためであれば、金属電極層17の全てが物理的に連なっている必要はなく、物理的に乖離した金属電極層片の集合体、例えば銀ペーストをスクリーン印刷することで形成される金属電極層17であればよい{なお、物理的に乖離した金属電極層片17を金属細線17と称することもある}。
このようになっていても、導電キャリアの収集・拡散の主役割を果たす透明導電性酸化物層13に対して、金属電極層17は十分に補助の役割を果たせるためである。また、透明導電フィルム21が表示デバイス31に使用される場合には、金属細線17であると、ユーザが表示エリアから見た場合に、その金属細線17は目立たないので好適である(要は、透明導電フィルム21の透明性の観点からも、金属電極層17は、金属細線17の集合体であると好ましい)。
ここで、透明導電性酸化物キャップ層14について詳説する。
透明導電性酸化物キャップ層14は、例えばスパッタ法において、アルゴンまたは窒素等の不活性ガス、および酸素ガスを含むキャリアガスに、メタンガスまたはエタンガスを加えた状態で製膜される。これにより、透明導電性酸化物キャップ層14の中、若しくはその層14の表面上に、水素原子および炭素原子が含まれるようになる。
詳説すると、このような透明導電性酸化物キャップ層14では、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、好ましくは、水素原子が0.5以上1.0以下で、炭素原子が0.2以上1.0以下となるように製膜され、より好ましくは、水素原子が0.6以上0.8以下で、炭素原子が0.4以上0.7以下となるように製膜される。
一方で、透明導電性酸化物層13では、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、好ましくは、水素原子が0.1以下で、炭素原子が0.1以下となるように製膜される(なお、両層13・14における上記の原子数の比較に関しては、二次イオン質量分析法による測定結果によりわかる)。
なお、透明導電性酸化物キャップ層14は、好ましくは0.5nm以上3.0nm以下、さらに好ましくは0.7nm以上2.2nm以下、さらに一層好ましくは1.0nm以上2.0nm以下の層厚になるように製膜される。
このような範囲であれば、上記したような透明導電性酸化物キャップ層14における原子数の関係が維持されやすい。その上、透明導電性酸化物キャップ層14が厚くなりすぎると、透明電極層15と金属電極層17との電気的接合の低下の一因になるが、上記のような層厚範囲であれば、電気的接合の低下の原因にはならない。
そして、以上のように、透明電極15の最表面から透明フィルム基材12に向かい深長3.0nm以下までの範囲である透明導電性酸化物キャップ層14において、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.5以上1.0以下で、炭素原子が0.2以上1.0以下であり、透明導電性酸化物キャップ層14よりも透明フィルム基材12に向かう透明導電性酸化物層13では、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.1以下で、炭素原子が0.1以下である場合、以下のような現象が生じる。
すなわち、メタンガス(またはエタンガス)が混入された状態でのスパッタリングによって、透明導電性酸化物キャップ層14が製膜される場合、プラズマプロセスにより炭化水素のプラズマが形成される。この炭化水素プラズマは、炭素1原子に対して水素が1〜3原子結合した種が存在し得る。
すると、図2に示すように、炭化水素プラズマのうち、水素が1〜2原子結合した種は、複数の結合手を有するため、透明導電性酸化物を構成する金属原子または酸素原子と共有結合・配位結合を形成することが可能であり、透明導電性酸化物層の表面には、熱等により離脱し難い炭素−水素原子が存在することになる。銀ペーストのような樹脂をマトリクスとした材料は、この炭素−水素原子をよりどころとして強い密着性を達成することが可能である(なお、図2におけるCは炭素、Oは酸素、Hは水素、Mはインジウム・錫を意味し、両端矢印は、透明導電性酸化物キャップ層14と金属電極層17との密着度合いが高まっている状態を意図する)。
なお、透明導電性酸化物キャップ層14および透明導電性酸化物層13における原子数比較の関係の範囲よりも、水素原子数または炭素原子数が大きな場合、水素または酸素が、透明導電性酸化物キャップ層14および透明導電性酸化物層13の結晶化の阻害原因となり、透明電極層15の導電性を低下させる。
また、特に、透明導電性酸化物キャップ層14の層厚が3.0nm以下とすることで、最も高い導電性を発揮する透明導電性酸化物層13の比率を高くすることができ、結果として導電性および透明性の高い透明導電フィルム21を形成することが可能となる。
なぜなら、透明導電性酸化物キャップ層14は、導電性であるものの層中(若しくは層表面上に)に炭素原子を含むため、透明導電性酸化物層13に対しては導電性を低下させてしまうところ、透明導電性酸化物キャップ層14が、3.0nm以下であることによって、導電性の過度の劣化を抑えつつ、透明電極15の総膜厚を薄くすることができ、その結果、導電性および透明性に優れた透明導電フィルムが形成されるためである。
ここで、以上のような透明導電フィルム21を製造方法について説明する。
この製造方法では、まず、透明フィルム基材12を準備する(このように透明フィルム基材12を用意することを[基材準備工程]と称する)。なお、透明フィルム基材12は、透明フィルム基材12単体であってもよいし、ハードコート等の透明誘電体層を積層させた透明フィルム基材12であってもよい。
次に、準備された透明フィルム基材12に対して、透明電極層15を製膜する(このように透明電極層15を製膜する工程を[製膜工程]と称する)。製膜としては、例えば、上記したようなスパッタリング法が挙げられる。
そして、スパッタ製膜では、製膜室内に、アルゴンまたは窒素等の不活性ガス、および酸素ガスを含むキャリアガス、場合によっては(透明導電性酸化物キャップ層14の製膜においては)、このキャリアガスに加えてメタンガスまたはエタンガスが導入されながら行われる。
なお、キャリアガスは、スッパタ工程におけるプラズマの安定化の観点から、アルゴンと酸素との混合ガスが好ましい。また、製膜室内の圧力(全圧)は、0.1Pa以上1.0Pa以下であれば好ましく、0.15Pa以上0.8Pa以下であればより好ましい。
また、アルゴンと酸素とは、所定の混合比のガスを予め用意されていてもよいし、それぞれのガスが流量制御装置(マスフローコントローラ)により流量を制御された後に混合されてもよい。また、混合ガスには、透明導電フィルム21が上記したような低抵抗化と反り防止と光学特性の低下防止とをバランスよく達成する限り、その他のガスが含まれていてもよい。
なお、製膜時の基板温度は、透明フィルム基材12の耐熱性範囲であればよく、60℃以下であれば好ましく、−20℃以上40℃以下であればより好ましい。
このような基板温度であれば、透明フィルム基材12からの水分または有機物質(例えばオリゴマー成分)の揮発等が起こり難くなり、酸化インジウムの結晶化が起こりやすくなる。その上、後の工程(後述の結晶化工程)において、非晶質膜である透明導電性酸化物層13が結晶化された後、すなわち結晶化された透明電極層(結晶質透明電極薄膜層)が形成された場合、その透明電極層15の抵抗率の上昇が抑制される。
また、基板温度が上記の温度範囲であれば、透明電極層15の透過率の低下、または、透明フィルム基材12の脆化が抑制される。その上、製膜工程における透明フィルム基材12が大幅な寸法変化を起こさない。
また、製膜工程では、巻取式スパッタリング装置を用いて、ロール・トゥ・ロール法により製膜が行われると好ましい。このようなロール・トゥ・ロール法により製膜が行われることで、透明フィルム基材の長尺シートのロール状巻回体が得られる。
なお、透明導電性酸化物キャップ層14には、上記したように、水素原子および炭素原子が含まれることが重要であるが、このような構造とするために、透明電極層15において、少なくとも、透明導電性酸化物層13と透明導電性酸化物キャップ層14とは、分離して製膜されると好ましい。ただし、ロール・トゥ・ロール法であれば、複数のカソードを1つのスパッタ装置内に設置することで、1つの生産ラインで製膜することもできる。
また、透明導電性酸化物キャップ層14の製膜の場合、アルゴン等の不活性ガスまたは酸素ガスに加えて、メタンまたはエタンガスが加えられる。この場合、メタンガスまたはエタンガスは、不活性ガスに対して、好ましくは0.3体積%以上1.0体積%以下、より好ましくは0.5体積%以上0.8体積%以下含有させるとよい。
このような範囲であれば、上記したような、透明導電性酸化物キャップ層14における原子数の関係が、容易に維持されやすい。また、メタンガスまたはエタンガスが、このような範囲を超えてしまうと、炭化水素化合物の含有量が多くなってしまうので、プラズマプロセスで分解・生成した煤がスパッタ装置のカソードに再付着することがあり、それ起因して、放電異常が起きかねないが、かかる範囲内であれば、このような異常も起きない。なお、炭化水素化合物の含有量が多くなるという上記の理由から、プロパンまたはブタンガスのような、炭素量が多いガスについても、好ましくない。
そして、以上のようにして、透明電極層15が製膜された後には、透明電極層15は、アニール等によって結晶化される(この加工工程を[結晶化工程]と称する)。
次に、この結晶化された透明電極層15の上に、金属電極層17が形成される(このように金属電極層17を形成する工程を[金属電極形成工程]と称する)。例えば、金属ペーストをスクリーン印刷法で印刷することで、金属電極層17は、透明電極層15上に、種々パターンになって形成される。なお、金属ペーストは印刷後に、加熱される。
以上のような工程を経ることで、透明導電フィルム21は完成する。なお、タッチパネルのような表示デバイス31に搭載される透明導電フィルム21の場合、透明電極層15および金属電極層17がパターニングされることもある。
そして、製造された透明導電フィルム21は、例えば、タッチパネル、ディスプレイ、またはデジタルサイネージのような表示デバイス31の透明電極として用いられるが、特にタッチパネル用の透明電極として好適に用いられる。中でも、透明電極層15が低抵抗であることから、静電容量方式タッチパネル用途に好ましく用いられる。
タッチパネルの形成においては、透明導電フィルム21上に、導電性インクまたは導電性ペーストが塗布・加熱処理され、そのような導電性部材が引き廻し回路用配線としての集電極となる。なお、この加熱処理は特に限定されず、オーブンまたはIRヒータ等による加熱処理が挙げられる。また、加熱処理の温度または時間は、導電性部材が透明電極層15に付着する温度または時間を考慮して適宜に設定される。オーブンによる加熱であれば120℃1以上50℃以下の範囲で30分以上60分以下の範囲、IRヒータによる加熱であれば150℃程度で5分程度の例が挙げられる。
なお、引き回し回路用配線の形成方法は、導電性インクまたは導電性ペーストの塗布・加熱処理に限定されず、例えば、ドライコーティング法またはフォトリソグラフィ法によって形成されてもよい。特に、フォトリソグラフィ法によって引き廻し回路用配線が形成された場合、その配線は、比較的容易に細線化される。
一方で、ディスプレイの形成においては、透明導電フィルム21上に、薄膜トランジスタ層が形成され、その上に液晶等の層が形成される。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない(下記表1参照)。
<SIMS(二次イオン質量分析法)>
PHI製の二次イオン質量分析計ADEPT1010(製品名)を用いて、二次イオン質量分析法を行った。一次イオン種にはセシウムイオンを用い、2keVのエネルギーで照射した。二次イオン極性はNegativeとした。なお、検出したインジウム、水素、炭素の原子数は、インジウムを100として換算した。
<金属電極密着性>
スクリーン印刷法により、金属電極層となる銀ペースト(東洋紡製DW−250H−5)を、透明電極層上に印刷した後、135℃60分間焼成した。なお、焼成後の金属電極層の膜厚は6μmであった。
そして、焼成後の金属電極付きの透明導電フィルムを、60℃90%RH環境下で恒温装置内に240時間放置し、かかる恒温装置から取り出した後に、JIS K5600−5−6に従って評価した。具体的には、評価結果の分類が0〜2であれば合格、3〜5であれば不合格とした。
<電気的接合性>
透明電極層15上に、図3に示すように、銀ペースト(東洋紡製DW−250H−5)を用いたスクリーン印刷法により、線幅を50μm、長さを10mm、線の間隔を200μmとした金属電極層17を印刷した後、135℃60分間焼成した。そして、列状に並ぶ金属細線の一方側の端に、KEITHLEY製のデジタルマルチメーターの一端子を設置し、もう一端子を、その金属細線の線から順に他方側に移動させながら、各端子間の抵抗を測定した(TLM法)。そして、測定した複数のプロットが1つの線分で表すことができた場合には接合合格、表すことができなかった場合には接合不良とした。
[◆実施例1]
透明フィルム基材12上に、酸化インジウム・錫(酸化錫含量10重量%)をターゲットに用いて、酸素とアルゴンとの混合ガスを装置内に導入しながら、酸素分圧2×10−3Pa、製膜室内圧力0.2Pa、基板温度0℃、パワー密度12kWの条件で、透明導電性酸化物層13を製膜した(層厚18nm)。
次に、透明導電性酸化物層13上に、酸化インジウム・錫(酸化錫含量10重量%)をターゲットに用いて、酸素とアルゴンとの混合ガスに加えてメタンガスを装置内に導入しながら、酸素分圧2×10−3Pa、メタン分圧1×10−3Pa(不活性ガスに対して0.5体積%)として、製膜室内圧力0.2Pa、基板温度0℃、パワー密度4kWの条件で、透明導電性酸化物キャップ層14を製膜した(層厚2.0nm)。
そして、このような透明電極層15(透明導電性酸化物層13および透明導電性酸化物キャップ層14)の製膜後、アニールを150℃で60分間行った。その後、上記したような、<金属電極密着性>および<電気的接合性>を行った。
そして、SIMS測定の結果、透明導電性酸化物層13では、インジウム原子数を100とした場合に、水素原子数は0.03であり、炭素原子数は0.07であった。また、透明導電性酸化物キャップ層14では、インジウム原子数を100とした場合に、水素原子数は0.7であり、炭素原子数は0.4であった。
[◆実施例2]
実施例2は、透明導電性酸化物キャップ層14の層厚が1.0nmであること以外は、実施例1と同様である。
[◆実施例3]
実施例3は、透明導電性酸化物キャップ層14の層厚が0.5nmであること以外は、実施例1と同様である。
[◆実施例4]
実施例4は、透明導電性酸化物キャップ層14の製膜の場合に、メタンガスの導入量が、不活性ガス対して0.7体積%で、かつ、透明導電性酸化物キャップ層14の層厚が1.0nmであること以外は、実施例1と同様である。なお、メタンガスの導入量に起因して、透明導電性酸化物キャップ層14では、インジウム原子数を100とした場合に、水素原子数は0.8であり、炭素原子数は0.6であった。
[◆実施例5]
実施例5は、透明導電性酸化物キャップ層14に使用するガスに、メタンガスに換えてエタンガスを使用した点以外は、実施例1と同様である。
すなわち、透明導電性酸化物層の層厚は18nmであった。そして、透明導電性酸化物層13上に、酸化インジウム・錫(酸化錫含量10重量%)をターゲットに用いて、酸素とアルゴンとの混合ガスに加えてエタンガスを装置内に導入しながら、酸素分圧2×10−3Pa、エタン分圧1×10−3Pa(不活性ガスに対して0.5体積%)として、製膜室内圧力0.2Pa、基板温度0℃、パワー密度4kWの条件で、透明導電性酸化物キャップ層14を製膜した(層厚2.0nm)。そして、SIMS測定の結果、透明導電性酸化物キャップ層14では、インジウム原子数を100とした場合に、水素原子数は0.7であり、炭素原子数は0.4であった。
[◆実施例6]
実施例6は、透明導電性酸化物キャップ層14の層厚が1.0nmであること以外は、実施例5と同様である。
[◇比較例1]
比較例1は、透明導電性酸化物キャップ層を形成させていない。すなわち、透明フィルム基材上に、酸化インジウム・錫(酸化錫含量10重量%)をターゲットに用いて、酸素とアルゴンとの混合ガスを装置内に導入しながら、酸素分圧2×10−3Pa、製膜室内圧力0.2Pa、基板温度0℃、パワー密度12kWの条件で、透明導電性酸化物層を製膜した(層厚20nm)。
[◇比較例2]
比較例2は、透明導電性酸化物キャップ層において、インジウム原子数を100とした場合での水素原子数および炭素原子数を、実施例に比べて減らすべく、メタンガスの導入量を減らした。
すなわち、透明導電性酸化物キャップ層の製膜の場合に、メタンガスの導入量が、不活性ガス対して0.1体積%であること以外は、実施例1と同様である。なお、メタンガスの導入量に起因して、透明導電性酸化物キャップ層では、インジウム原子数を100とした場合に、水素原子数は0.2であり、炭素原子数は0.1であった。
[◇比較例3]
比較例3は、実施例に比べて、透明導電性酸化物キャップ層の層厚を増加させた。すなわち、透明導電性酸化物層の層厚を16nmにする一方で、透明導電性酸化物キャップ層の層厚を4.0nmとする。
なお、透明導電性酸化物キャップ層の製膜には、実施例1同様に、メタンガスを混合したガスを使用し、透明導電性酸化物キャップ層において、インジウム原子数を100とした場合での水素原子数および炭素原子数は、実施例1と同様である。
[◇比較例4]
比較例4は、透明導電性酸化物キャップ層において、インジウム原子数を100とした場合での水素原子数および炭素原子数を、実施例に比べて増やすべく、メタンガスの導入量を増やした。
すなわち、透明導電性酸化物キャップ層の製膜の場合に、メタンガスの導入量が、不活性ガス対して1.5体積%であること以外は、実施例1と同様である。なお、メタンガスの導入量に起因して、透明導電性酸化物キャップ層では、インジウム原子数を100とした場合に、水素原子数は1.7であり、炭素原子数は1.1であった。
[◇比較例5]
比較例5は、比較例4同様に、透明導電性酸化物キャップ層において、インジウム原子数を100とした場合での水素原子数および炭素原子数を、実施例に比べて増やすべく、メタンガスの導入量(不活性ガス対して3.0体積%)を増やした。しかしながら、透明導電性酸化物キャップ層をスパッタ製膜させるための放電開始1分後には、スパッタ装置におけるカソード・アノード表面に煤が付着して放電を維持できなくなったため、実質、透明導電性酸化物キャップ層が製膜されなかった。
[■表1の総評]
実施例1〜実施例6において、透明導電性酸化物キャップ層14では、層厚が3.0nm以下の範囲に収まり、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.5以上1.0以下で、炭素原子が0.2以上1.0以下であった。また、透明導電性酸化物層13では、インジウムを100とした場合に、水素原子が原子数で0.1以下で、炭素原子が原子数で0.1以下であった。
そして、このような条件を満たす実施例1〜実施例6は、金属電極の密着性が良好であり、電気的接合性も良好であることがわかった。すなわち、電気的接合性は、密着性を確保することが前提となるとも言える結果であった。
比較例1では、透明導電フィルムにおいて透明導電性酸化物キャップ層が無いため、金属電極の密着性が不良であり、電気的接合性も不良であった。
比較例2では、透明導電性酸化物キャップ層の層厚は2.0nmと、3.0nm以下の範囲に収まるものの、透明導電性酸化物キャップ層の製膜において使用するメタンガスの導入量が少なく、透明導電性酸化物キャップ層において、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.2で、0.5以上1.0以下の範囲外で低く、炭素原子が0.1で、0.2以上1.0以下の範囲外で低かった(なお、透明導電性酸化物層では、実施例1同様、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.1以下で、炭素原子が0.1以下であった)。
そして、この範囲外で低いことに起因して、金属電極密着性が良好にならなかったと考えられる。別表現すると、この結果から、透明導電性酸化物キャップ層に水素および炭素が適量含まれることで、その透明導電性酸化物キャップ層上に形成される金属電極(詳説すると金属ペースト)に含まれる有機物と、水素および炭素との相互作用が大きくなり、密着性に寄与することが考えられる。
比較例3では、透明導電性酸化物キャップ層での原子数の比較関係および透明導電性酸化物層での原子数の比較関係は、実施例1同様であるものの、透明導電性酸化物キャップ層の層厚は4.0nmと、3.0nm以下の範囲よりも厚い。
このように透明導電性酸化物キャップ層の層厚が厚くなりすぎると、金属電極の密着性は良好なものの、電気的接合性に不良が生じた。詳細については不明な点もあるが、透明導電性酸化物キャップ層の膜厚が厚い分、水素および炭素原子の数が多くなることになり、界面を含む透明電極から金属電極で拡散が起こっていることが想定できる。
比較例4では、透明導電性酸化物キャップ層の層厚は2.0nmと、3.0nm以下の範囲に収まるものの、透明導電性酸化物キャップ層の製膜において使用するメタンガスの導入量が多く、透明導電性酸化物キャップ層において、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が1.7で、0.5以上1.0以下の範囲外で高く、炭素原子が1.1で、0.2以上1.0以下の範囲外で高かった(なお、透明導電性酸化物層では、実施例1同様、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.1以下で、炭素原子が0.1以下であった)。
そして、この範囲外で高いことに起因して、金属電極密着性が良好なものの、電気的接合性に不良が生じた。これは、透明導電性酸化物キャップ層における水素および炭素原子数が多すぎるために、透明導電性酸化物キャップ層の表面、ひいては透明電極表面の電気的な特性が低下したと考えられる。
比較例5では、メタンガスの導入量(不活性ガス対して3.0体積%)が比較的増加したことに起因して、上記したように、透明導電性酸化物キャップ層をスパッタ製膜させるための放電開始1分後には、スパッタ装置におけるカソード・アノード表面に煤が付着して放電を維持できなくなったため、実質、透明導電性酸化物キャップ層が製膜されなかった。
12 透明フィルム基材[基材]
13 透明導電性酸化物層
14 透明導電性酸化物キャップ層
15 透明電極層
17 金属電極層
21 透明導電フィルム

Claims (8)

  1. 基材上にインジウムを主成分金属とする透明電極を形成させた透明導電フィルムであって、
    上記透明電極が、上記基材側に透明導電性酸化物層、その上に透明導電性酸化物キャップ層を配することで、上記透明導電性酸化物層は、上記透明導電性酸化物キャップ層と上記基材とで挟まれており、
    上記透明導電性酸化物キャップ層は3.0nm以下の層厚で、その透明導電性酸化物キャップ層では、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.5以上1.0以下で、炭素原子が0.2以上1.0以下であり、
    上記透明導電性酸化物層では、原子数で比較して、インジウムを100とした場合に、水素原子が0.1以下で、炭素原子が0.1以下である、透明導電フィルム。
  2. 上記透明導電性酸化物キャップ層の少なくとも一部分に、金属電極が形成される請求項1に記載の透明導電フィルム。
  3. 上記金属電極は、銀ペースト製である請求項2に記載の透明導電フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電フィルムを含む表示デバイス。
  5. 基材上にインジウムを主成分金属とする透明電極を形成させた透明導電フィルムの製造方法にあって、
    上記透明電極の最表面から上記基材に向かい深長3.0nm以下の範囲である透明導電性酸化物キャップ層をスパッタリングで形成する工程を含み、その工程にて、不活性ガスおよび酸素ガスに加えて、上記不活性ガスに対してメタンを0.3体積%以上1.0体積%添加する、透明導電フィルムの製造方法。
  6. 上記透明導電性酸化物キャップ層の少なくとも一部分に、金属電極を形成させる金属電極形成工程を含む、請求項5に記載の透明導電フィルムの製造方法。
  7. 上記金属電極形成工程に使用するのは、銀ペーストである、請求項6に記載の透明導電フィルムの製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の透明導電フィルムの製造方法を含む、表示デバイスの製造方法。
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