JP5362231B2 - 透明導電膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主としてタッチパネルの対電極材料や保護膜、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)やエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ材料、太陽電池の透明電極や裏面電極、多接合型太陽電池の透明中間層、化合物半導体高速電子デバイスに用いる低誘電率膜、表面弾性波素子、赤外線カットなどを目的とした窓ガラスコーティング、ガスセンサー、非線形光学を活用したプリズムシート、透明磁性体、光学記録素子、光スイッチ、光導波路、光スプリッタ、光音響材料への活用、高温発熱ヒーター材料において、導電性を低下させずに光線透過率が向上する透明導電膜に関する。
タッチパネルやディスプレイ材料、太陽電池などに使用される透明導電膜は、その透明導電酸化物層として酸化インジウム錫(ITO)や酸化錫、酸化亜鉛などが広く使用されている。このような透明導電酸化物層はマグネトロンスパッタ法やモレキュラービームエピタキシー法などの物理気相堆積法(PVD法)や熱CVDやプラズマCVDなどの化学気相堆積法(CVD法)などにより形成されるほか、無電解めっき法により形成される方法が知られている。中でもインジウム−錫複合酸化物(ITO)は透明導電材料として非常に優れた材料であり、現在広く透明導電酸化物層に使用されている。しかしながら、近年、太陽電池や薄型テレビなどの大量生産が進み原料のインジウムの減少、およびそれに伴って原料費が向上する可能性があり、資源的にもコスト的にもITOに替わる材料の探索が急務となっている。ITOに替わる材料としては酸化亜鉛(ZnO)が代表として挙げられる。ZnOはITOと比較して透明性に優れる反面、水分や熱に対する安定性に劣ることが非特許文献1に記載されている。
透明導電膜をタッチパネル用途に使用する場合、用途の性質上から耐衝撃性が必要である場合が多く、特許文献1〜3に透明導電膜上に被覆層を形成することで、耐衝撃性が向上すると述べられているが、記載されている窒化物や酸化物などは、水分や熱に対する安定性に優れる可能性があるが、導電性に課題が残る。一方カーボン材料は、一部導電性に優れるものもあるが、記載されているカーボン膜では上記の水分や熱に対する安定性には効果がない。
このようなタッチパネル用途のみならず、透明導電膜の重要な要素としては、「透明性」「物理的耐久性」「特に水分や熱に対する特性の化学的耐久性」「導電性」が考えられるが、現在主流となっているITO以上にすぐれた材料は実用化に至っていない。
透明導電膜、6ページより(シーエムシー出版) 特開2001−283643号公報 特開2003−34860号公報 特開2003−109434号公報
近年、特に太陽電池や薄型テレビでは大面積化が進み、同時に大量生産による生産量の確保が重要な課題となっている。
上記技術分野に記載される透明導電膜は、少なくとも可視光領域において透明であることが必要である。現在透明導電酸化物層として広く使用されている酸化物透明導電酸化物層は結晶状態では良好な透明性を示すことが知られているが、例えばITOでは良好な結晶状態を得るためには150℃以上で製膜または製膜後のアニール処理をする必要があり、基板の事前加熱またはアニールに時間や工程数を費やしている。これに対し、酸化亜鉛は室温付近でも良好な結晶状態を示すため、加熱処理などが不要となり、大量生産に適した透明導電酸化物層材料である。さらに、加熱処理に耐えられない熱可塑性樹脂フィルムなどにも良好な透明導電酸化物層を形成可能なことから、次世代の透明導電酸化物層材料として有望である。しかし、ITOやZnOは屈折率が1.9〜2.1であり、ガラスやフィルム上に製膜した単膜では、基板/ITOまたはZnO、ITOまたはZnO/空気の界面での反射が大きく、光線透過をロスする原因となる。このため、特許文献4では基板上に高屈折率の透明酸化物電極、低屈折率材料、高屈折率の透明酸化物電極を積層することで反射防止をしながら高光線透過率を達成している。しかし、このような設計の透明導電膜は光学設計の観点から最表面の透明電極の膜厚を大きくすることができず、さらに低屈折率材料は二酸化珪素などの誘電体層であるために、低抵抗の透明導電膜を作製することが困難である。
特開2007−213886号公報
上記課題を解決する為に本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、酸化亜鉛透明導電酸化物層上にカーボン膜を製膜する際、カーボン膜の製膜条件により光線透過率を向上し、且つ低抵抗な透明導電膜を形成することが可能であることを見出した。
すなわち、透明基板上に酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層の表面に屈折率が1.35〜1.85の範囲の値を有するカーボン膜を有する透明導電膜の製造方法において、該カーボン膜がカーボンをターゲットとし、高周波電源を用いたマグネトロンスパッタ法により形成され、且つキャリアガスとして、水素中に二酸化炭素を0体積%より多く、50体積%以下添加することを特徴とする透明導電膜の製造方法(1)。透明導電酸化物層の両面に前記カーボン膜を形成することを特徴とする透明導電膜の製造方法(2)。上記キャリアガスとして、水素中に二酸化炭素を5体積%以上、50体積%以下添加する透明導電膜の製造方法(3)。上記マグネトロンスパッタ法において、電源方式をRF方式とすることを特徴とする透明導電膜の製造方法()。に関するものである。

本発明により、低抵抗かつ高光線透過率の透明導電膜を形成することが可能となる。
本発明は「透明基板上に酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層を有する透明導電膜の製造方法において、該透明導電酸化物層の両面または片面にカーボン膜が形成され、該カーボン膜が高周波マグネトロンスパッタ法により形成され、且つキャリアガスとして、水素中に二酸化炭素を0体積%より多く、50体積%以下添加することで、カーボン膜の屈折率を1.35〜1.85の間で制御可能であることを特徴とする透明導電膜の製造方法」に関するものである。

透明導電酸化物層に用いられる、ITOに代表される透明金属酸化物は、結晶性が良いものほど高い透過率や高い導電性が期待できるが、ITOでは結晶性を上げるための温度が、フィルム透明基板に用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上であることが場合多く、結晶性の良いITO膜を得ることは困難である。一方で、酸化亜鉛は室温付近でも結晶性の良い薄膜を形成可能であることから、ガラス基板でのインライン生産やフィルム基板でのロールトゥロール方式生産など多くの生産方式で生産速度を上げることが可能であると期待される。また本発明ではカーボン膜は水素を含むガスのプラズマ放電によりスパッタ製膜するが、ITOが透明導電酸化物として使用されていると、水素により還元され、導電性や光線透過率が低下する。このため、透明導電酸化物層は水素プラズマに対する耐性が強い酸化亜鉛が使用される。
以下、本発明に係る透明導電膜の代表的な態様を説明する。
図1〜3は、本発明に係る透明導電膜の断面説明図である。この透明導電膜は厚さ0.05〜1mmの透明基板1上に、酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層2が設けられる。カーボン膜3は透明導電酸化物層2の片面(図1または2)または両面(図3)に被覆される。
本発明に使用される透明基板1は、硬質または軟質な材料に限定されずに使用することができる。硬質な材料であれば、例えばソーダガラスやホウ珪酸ガラスなどのガラス基板やサファイヤ基板、セラミックや硬質プラスチックなどが挙げられる。軟質な材料であれば、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフテレート(PBT)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルムやシクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
上記透明基板1には、透明導電酸化物層の付着性を向上させる目的で表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えばカップリング剤による処理や、接着剤を薄膜コーティングする処理などが挙げられる。処理方法については、透明基板表面を均一に処理可能な方法であれば公知の方法で実施することができる。例えば、スプレー塗布やディッピングによる塗布、ロールコートやスピンコート法などの手法や、CVD法などによる手段が挙げられる。また、プラスチック基板やプラスチックフィルムを透明基板として使用する場合、透湿性が高いために酸化亜鉛透明導電膜が劣化する可能性があるので、透明基板上にバリア層を設けることでより高品質な透明導電膜を得ることができる。バリア層材料は、一般的に用いられている二酸化珪素などでも十分な効果を得ることが可能である。
さらに、本発明をディスプレイ材料や太陽電池などの光学素子に使用する場合、透明基板1には用途により光閉じ込め効果や光取り出し効果、反射防止効果などを目的とした表面処理を施すことができる。処理は微粒子を透明基板上に均一に分散させる方法や、型を用いて透明基板上に凹凸部を形成する方法などが挙げられる。
さらに上記透明基板1の両面または片面に、ガスバリア性の付与を目的とした(ガスバリア)層を設けることができる。前記(ガスバリア)層としては、無機化合物が薄膜で効果を得やすく、例えば酸化珪素や窒化珪素およびその混合物、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム、弗化マグネシウムや硬質炭素膜などの化合物を1種類または複数種類を任意に選択することができる。これらの層の形成方法としては、液相堆積法(塗布法)や気相堆積法があり、どの方法も使用可能であるが、均一な薄膜を形成する手段として気相堆積法が好ましい。
本発明における透明導電酸化物層2には透明導電酸化物の中でも、透明性の高さと硬質炭素膜の製膜時に発生する水素プラズマに対して還元反応が起こらないという点から酸化亜鉛が用いられる。上記透明導電酸化物には抵抗制御や安定性を目的としてドーピング剤を添加することができる。ドーピング剤としては例えば、アルミニウムやホウ素を含む化合物やリン、窒素を含む化合物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
透明導電酸化物層2の形成方法としては、気相堆積法が適している。その他の透明導電酸化物層の形成方法としてはゾル−ゲル液の塗布および焼成や、有機金属化合物の塗布および焼成などがあるが、大面積に均一に製膜可能である点と、大量生産に適している点から気相堆積法が好ましい。
気相堆積法で透明導電酸化物層2を形成する場合、透明基板の温度は、生産性の観点から20℃〜120℃が好ましく、さらに好ましくは20℃〜80℃程度が好ましい。製膜時の基板温度を低く設定することで、製膜前の基板の温度上昇を待つ時間を短縮することができ、連続運転による大量生産が可能となる。特にフィルム基板上にロールトゥロール方式で製膜する場合、基板が常時動き続けるので基板の温度上昇が困難であることからも、基板温度は低めに設定することが好ましい。
透明導電酸化物層2の形成には必要に応じてプラズマ放電を利用することができる。電力の供給方式はDC方式や高周波方式など任意の方式を利用できる。電力密度については特に制限はないが、生産性や結晶性の観点から0.1W/cm〜5W/cmが好ましい。低すぎる場合には製膜されない可能性がある。高すぎる場合には透明基板へのダメージや装置へのダメージが懸念される。透明導電酸化物層の形成に使用するキャリアガスは一般的な気相堆積法に使用されるガスを使用することができる。例えばアルゴンや水素、酸素や窒素ガスを使用することができる。
透明導電酸化物層2の膜厚は、使用されるアイテムによって異なるが、100〜5000Åが好ましい。さらに、膜の強度や透明性の観点から200〜2000Åが特に好ましい。膜厚が薄い場合は、表面抵抗が高くなりすぎることと膜の強度が弱いために好ましくない。逆に膜厚が厚い場合は、光線透過率が低くなりやすいことや、フィルムなどのフレキシブル基板では応力による膜はがれの原因となりやすいために好ましくない。
上記カーボン膜3は、屈折率を制御することで、基板/透明導電酸化物層もしくは透明導電酸化物層/空気界面の反射を抑制し、光線透過率を向上させることを目的として使用される。カーボン膜3は、炭素原子のsp平面構造(グラファイト構造)とsp↑3四面体構造(ダイヤモンド構造)が混在した非晶質炭素である。本発明に好ましく利用されるカーボン膜3は、構造中に水素を含むハイドロカーボンが好ましく、物理的強度や透明性の観点から、アモルファスハイドロカーボンやテトラヘドラルアモルファスハイドロカーボンがより好ましく使用される。
カーボン膜3の製造方法としてはスパッタ製膜を用いることが本発明の重要な技術である。ターゲット材料としてはカーボンが利用される。スパッタの電力の供給方式はDC方式や高周波方式などの方式が挙げられるが、本発明には、RFなどの高周波電源を使用することが重要である。高周波電源により良好なカーボン層が得られる理由については明確でないが、カーボンの構造に影響を与えていることが予想される。
電力密度については特に制限はないが、生産性や分子構造の観点から0.05W/cm〜5.00W/cmが好ましい。電力密度が低い場合、製膜速度が遅くなり生産性に悪影響を及ぼす可能性がある。逆に電力密度が高くなりすぎると、ダイヤモンドライクカーボン中のsp構造の割合が多くなりやすく、光線透過率や耐久性に劣ることや、基板側の透明導電酸化物層を逆スパッタすることで透明導電酸化物層が失われる可能性があるため好ましくない。
使用するキャリアガスには水素に二酸化炭素を添加したガスを使用することで、本発明に必要なカーボン膜を形成できる。二酸化炭素の代わりにメタンやエタンなどの炭化水素ガスも使用可能であるが、長時間放電するとターゲット周辺に煤状の炭素が体積し、製膜が安定しないために、生産性の観点から好ましくない。水素/二酸化炭素の流量比と屈折率の関係は、製膜条件により若干の違いはあるが、二酸化炭素の割合が50体積%以下であれば本発明に必要なカーボン膜を製膜可能である。さらに二酸化炭素の割合が0〜30体積%の範囲において屈折率の極小値を与え、さらに二酸化炭素の割合が50体積%より多くなると、屈折率が本発明の好ましい範囲を逸脱する為に、二酸化炭素の割合が50体積%より大きくなることは好ましくない

カーボン膜3を製膜する際の透明基板の温度は、生産性の観点から20℃〜120℃が好ましく、さらに好ましくは20℃〜80℃程度が好ましい。製膜時の基板温度を低く設定することで、製膜前の基板の温度上昇を待つ時間を短縮することができ、連続運転による大量生産が可能となる。特にフィルム基板上にロールトゥロール方式で製膜する場合、常時基板が動き続けるので基板の温度上昇が困難であることからも、基板温度は低めに設定することが好ましい。
カーボン膜3の膜厚は、透明導電酸化物層2の膜厚やカーボン膜3の屈折率により任意の膜厚を設定することができる。例えば、一次元の光学シミュレータを使用することで、カーボン膜3の屈折率と膜厚の最適値を近似的に得ることができる(非特許文献2)。
J.Krc et al.,Progress in Photovoltaics 11(2003)15. カーボン膜3の屈折率は400nm〜800nmの可視光領域において1.35〜1.85の間で制御可能であることが本発明の最も重要な技術となる。特に1.40〜1.80の範囲で制御可能であることが重要となる。屈折率は単波長または分光エリプソメーターによって容易に且つ精度良く測定可能である。上記のように二酸化炭素と水素の混合比を調整すること、また電源方式をDC方式とRF方式と選択することで、幅広い屈折率の制御が可能であることを見出した。屈折率が1.35より小さいカーボン膜では、一般的にカーボン膜が有機化合物または高分子化合物となり導電性を示さないので、透明導電膜としては使用できない。また、1.85より大きな屈折率では、通常屈折率が1.90以上である透明導電酸化物と同等以上の屈折率になるために、反射防止効果が期待できない。透明導電膜の表面抵抗は、JISK7194に記載されている四探針圧接測定で測定した。表面抵抗の値は、使用するアイテムに必要とされる特性により異なるが、5〜2000Ω/□が好ましい。 これ以上大きい表面抵抗では、透明導電酸化物層の膜厚が薄過ぎ、透明導電膜の表面抵抗が安定にならず、特に高温高湿環境下に放置すると表面抵抗が容易に上昇する。逆にこれ以上小さい表面抵抗では、透明導電酸化物層の膜厚が大きくなり、その応力により透明導電酸化物層が割れやすくなることや、また透過率の低下やコスト面での課題が発生する。550nmの波長での光線透過率は、JISK7105に記載されている積分球式光線透過率測定装置を用いて測定した。 具体的な測定装置について説明する。屈折率は分光エリプソメーターVASE(ジェイ.エー.ウーラム社製)の測定結果をフィッティングすることで得た。表面抵抗測定は低抵抗率計ロレスタGP(MCP−T610)(三菱化学社製)を使用した。光線透過率測定は分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を使用した。
以下に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
無アルカリガラス(商品名OA−10、膜厚700μm、日本電気硝子社製)に、酸化亜鉛をスパッタ製膜した。製膜条件は、基板温度を30℃、キャリアガスとしてアルゴンを20sccm使用し、8Paの圧力で電力密度2.5W/cmのDCパワーをかけ、5分間製膜することで、500Åの酸化亜鉛透明導電酸化物層を作製した。さらにその上にカーボン膜をスパッタ製膜した。製膜条件は、基板温度を30℃、カーボンターゲットを用い、キャリアガスとして、二酸化炭素2.0sccmと水素8.0sccmを使用し、8Paの圧力で電力密度0.15W/cmのRFパワーをかけ、60分間製膜することで、500Åのカーボン膜を作製した。このカーボン膜の屈折率は1.45であった。
このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は350Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は94%であった。
(実施例2)
カーボン膜のスパッタ条件のうち、ガスの流量を二酸化炭素1.0sccm、水素9.0sccmにした以外は実施例1と同様に透明導電膜を作製した。このカーボン膜の屈折率は1.57であった。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は350Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は92%であった。
(実施例3)
カーボン膜のスパッタ条件のうち、ガスの流量を二酸化炭素4.0sccm、水素6.0sccmとした以外は実施例1と同様に透明導電膜を作製した。このカーボン膜の屈折率は1.75であった。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は450Ω/□であり、550nmでの光線透過率は90%だった。
(実施例4)
カーボン膜のスパッタ条件のうち、ガスの流量を二酸化炭素5.0sccm、水素5.0sccmとした以外は実施例1と同様に透明導電膜を作製した。このカーボン膜の屈折率は1.85であった。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は450Ω/□であり、550nmでの光線透過率は89%だった。
(実施例5)
透明基板をシクロオレフィンポリマー(商品名アートン、膜厚100μm、JSR社製)に変更した以外は実施例1と同様に透明導電膜を作製した。このカーボン膜の屈折率は1.45であった。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は350Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は90%であった。
(実施例6)
カーボン膜のスパッタ条件のうち、ガスの流量を二酸化炭素0.5sccm、水素9.5sccmにした以外は実施例5と同様に透明導電膜を作製した。このカーボン膜の屈折率は1.80であった。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は350Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は88%であった。
(実施例7)
カーボン膜のスパッタ条件のうち、ガスの流量を二酸化炭素1.0sccm、水素9.0sccmとした以外は実施例5と同様に透明導電膜を作製した。このカーボン膜の屈折率は1.57であった。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は350Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は88%であった。
(実施例8)
カーボン膜のスパッタ条件のうち、ガスの流量を二酸化炭素4.0sccm、水素6.0sccmとした以外は実施例5と同様に透明導電膜を作製した。このカーボン膜の屈折率は1.75であった。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は450Ω/□であり、550nmでの光線透過率は86%だった。
(実施例9)
実施例1のカーボン膜を基板上にも製膜した以外は実施例3と同様に透明導電膜を作製した。この透明導電酸化物層の両面のカーボン膜の屈折率はともに1.45であった。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は350Ω/□であり、550nmの波長での光線透過率は96%であった。
(比較例2)
カーボン膜のスパッタ条件のうち、ガスの流量を二酸化炭素5.5sccm、水素4.5sccmとした以外は実施例1と同様に透明導電膜を作製した。このカーボン膜の屈折率は1.88であった。このようにして作製した透明導電膜の表面抵抗は380Ω/□であり、550nmでの光線透過率は89%だった。
(参考例)
透明導電酸化物層をインジウム・錫複合酸化物(ITO)(10%酸化錫ドープ)とした以外は実施例1と同様に透明導電膜を作製したところ、水素プラズマによりインジウムが還元されて、透明導電膜が黒化した。
これらの結果から、水素またはアルゴンに二酸化炭素を50体積%以下添加したガスをキャリアガスとして使用することで、広範囲で屈折率の制御が可能なカーボン膜を製膜することができた。
透明導電膜の断面説明図(カーボン膜が透明導電酸化物層の片面) 透明導電膜の断面説明図(カーボン膜が透明導電酸化物層の片面) 透明導電膜の断面説明図(カーボン膜が透明導電酸化物層の両面)
符号の説明
1 透明基板
2 透明導電酸化物層
3 カーボン膜

Claims (4)

  1. 透明基板上に酸化亜鉛を主成分とする透明導電酸化物層の表面に屈折率が1.35〜1.85の範囲の値を有するカーボン膜を有する透明導電膜の製造方法において、
    該カーボン膜がカーボンをターゲットとし、高周波電源を用いたマグネトロンスパッタ法により形成され、且つキャリアガスとして、水素中に二酸化炭素を0体積%より多く、50体積%以下添加することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  2. 透明導電酸化物層の両面に前記カーボン膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  3. 上記キャリアガスとして、水素中に二酸化炭素を5体積%以上、50体積%以下添加する請求項1又は2に記載の透明導電膜の製造方法。
  4. 上記マグネトロンスパッタ法において、電源方式をRF方式とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電膜の製造方法。

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