JP7087470B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
結晶性ポリエステルAを主成分とするA層、および、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を交互に51層以上積層した積層ユニットと、前記積層ユニットの少なくとも片面に易接着層および硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層をこの順に有する積層体であって、ハードコート層が前記積層体の少なくとも片側表層にあり、全光線透過率が50%以上であり、かつ、前記表層にあるハードコート層の表面をフィルム面直方向を0°として15°から40°まで0.5°ずつ波長610nmにおける光線反射率を求めたときの光線反射率の最大値と最小値の差が0.5%以上9%以下であり、前記易接着層の屈折率nおよび厚みd[nm]の積が、130以上180以下である、積層体である。
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
積層体の層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H-7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件で積層体の断面を観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、RuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いた。また、1枚の画像に取り込められるすべての層の中で最も厚みの薄い層(薄膜層)の厚みにあわせて、薄膜層厚みが50nm未満の場合は10万倍、薄膜層厚みが50nm以上500nm未満である場合は4万倍、500nm以上である場合は1万倍の拡大倍率にて観察を実施し、層厚み、積層数、積層構造を特定した。
日立ハイテクサイエンス製の分光光度計U-4100を使用した。付属している微小対応角度可変絶対反射付属装置を利用し、0.5°刻みに15°から40°までサンプル角度を変更した時の波長610nmにおける光線反射率を測定し、最大値ならびに最小値を読み取った。測定モードとして、高分解能測定モードを利用した。
日立ハイテクサイエンス製の分光光度計U-4100を使用した。付属している12°正反射測定装置を利用し、波長500nm以上700nm以下の波長帯域の光線反射率を連続的に測定し、光線反射率の最大値ならびに最小値を読み取った。測定条件として、スキャン速度を600nm/min,サンプリングピッチを1nmに設定し、高分解能測定モードにて測定した。
ハードコート層、易接着層、積層ユニット最表層(結晶性ポリエステルA)の各屈折率は、大塚電子製の反射分光膜厚計FE-3000を利用し測定した。300~800nmの波長帯域での反射率を測定し、該装置付属の解析ソフトFE-Analysisを用い、大塚電子株式会社性の膜厚測定装置総合カタログに記載の非線形最小二乗法に記載の手法に従い、波長550nmにおける屈折率を算出した。屈折率の波長分散の近似式として、Cauchyの分散式(3)を用い、最小二乗法でカーブフィッティングすることで光学定数を算出し、波長550nmにおける屈折率を測定した。
測定対象の積層体を塗料組成物の分散溶媒(表1に記載)に固形分濃度1.0重量%となる条件で浸漬し、超音波処理を介して塗料組成物を溶媒に分散後、50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに滴下し、乾燥して膜を調整した。得られた観察サンプルを、日本電子製の電界放射走査型電子顕微鏡JSM-6700Fを用いて、1視野あたりの粒子数が20個となる倍率で拡大観察し、観察されている粒子の粒径を計測した。観察数を10視野とし、得られた粒径の分布に対して粒径分布を作成し、半値幅ならびに中央値を算出した。
測定対象の粒子は、(5)の方法で溶媒に分散した粒子を遠心分離で分離することで取り出した。粒子屈折率は、JIS K7142「プラスチックの屈折率測定方法」のうち、B法(顕微鏡を用いる液浸法(ベッケ線法))により測定した。但し、JIS K7142で使用される浸液に代えて、屈折率の決まっている島津デバイス製造社製「接触液(屈折液)」を使用し、温度が15~20℃の条件で測定した。顕微鏡は、ニコン製の偏光顕微鏡OPTIPHOTを使用した。
スガ試験機(株)製 ヘイズメーター(HGM-2DP)を用いた。サンプルをフィルム幅方向中央部から10cm×10cmで切り出し、旧JIS-K-7105に準じて測定を行うことで、全光線透過率ならびにヘイズ値を測定した。フィルム幅方向に対して等間隔で3点測定し、その平均値を測定結果とした。
小坂研究所製の三次元表面形状測定機ET-4000AKを使用した。ハードコート層をオプティカルフラットのサンプル台に貼り合わせ、1mm四方の範囲を測定した。測定時のスタイラスの押しつけ圧は100μN、先端針径Rは0.2μm、サンプリングピッチ1μm、測定速度0.1mm/秒、z軸測定倍率を20000倍とした。得られた測定画像に対し、全領域レベリング加工、空間型ガウシアンフィルタ加工(低域カットオフ0.2mm、高域カットオフR/W)を施し、得られた加工画像に対して3次元粗さ解析を実施し、SRa、SRp、SRvの数値を得た。SRaとは、測定される断面曲線から、カットオフ値の高域フィルターによって長波長成分をカットして得られた輪郭曲線を求め、その曲線の基準長さにおける高さ(平均面から測定曲線までの距離)の絶対値の平均値を示す。
易接着層が塗布された積層ユニットを基材とし、ダイコーターを有する連続塗布装置を用いて塗布した。ダイコーティング装置は、塗布工程、乾燥工程1~3、硬化工程から構成される。塗布工程では、設定した搬送速度で積層ユニットを連続的に搬送し、ダイコーティング装置を介して、一定の塗布厚みで連続塗布した。塗布工程の搬送速度ならびにハードコート層の塗布厚み(乾燥後の固形分厚み)は、表1に記載の通り設定した。乾燥工程は全部で3室備えており、積層ユニットの搬送方向と平行に熱風を送風可能なノズル、および、遠赤外ヒーターを有する。それぞれの乾燥工程で、独立して温度ならびに熱風の風速(ファン回転数)を設定可能であり、これらは積層ユニットのハードコート積層側とその裏側とで同一である。乾燥工程の温度、熱風の風速は、表1に記載の通り設定した。熱風の実温度は、ダイコーティング装置に付属のセンサーでの測定値を用いた。硬化工程は、乾燥工程1~3に続いて行われ、UV照射装置を有しており、窒素雰囲気下(酸素濃度0.1体積%以下)、積算光量200mJ/cm2、照射光強度160W/cmの条件で実施した。
作成した積層体を150mm×200mmのサイズに切り取り、裏面反射の影響を無くすために黒スプレー(ニッペホームプロダクツ 黒ラッカースプレー)でハードコート層と反対面を黒スプレー処理し、観察用の背面黒処理サンプルを作成した。作成したサンプルを暗室にて、3波長蛍光灯(ナショナルパルック3波長形昼白色 F.L 15EX-N 15W)の直下500mmに配置し、視点を変えながら目視観察した際に、干渉色むらが視認されるか評価した。
B:赤色干渉色むらは見えないが、その他虹彩模様は弱く見える
C:赤色干渉色むらがわずかに見え、その他虹彩模様も弱く見える
D:赤色干渉色むら、ならびに、その他虹彩模様がはっきりと見える。
作成した背面黒処理サンプルを(10)に記載の通り3波長光源下で観察し、Canon製のPowerShotSX720HSにて撮影した。カメラは、3波長蛍光灯ランプの入射方向に対し正反射方向で、かつ、背面黒処理サンプルから500mm離れた位置にカメラを固定した。撮影条件は、電球色ホワイトバランス設定、ISO感度3200、絞り1/2000、F値4.0、撮影面積150mm(巾)×50mm(縦長さ)とした。撮影したカラー画像データ(300万画素分のRGBデータ)をコンピューターに取り込み、30万画素分のRGBデータについてHSV色空間に変換し、得られた色相値の標準偏差(Hσ)を算出した。画像全データの300万画素を、10画素を1つの集合として区分し、各集合から1画素を選択して30万画素分を抽出して上記処理を実施した。得られたHσに対し、下記の基準で干渉色むらの程度を判断した。
A:干渉色むらはなく外観良好 Hσ<1.5
B:干渉色むらは見えるが、気にならない程度 1.5≦Hσ<2.0
C:干渉色むらは見えるが、光学フィルム用途で使用可能なレベル 2.0≦Hσ<2.5
D:干渉むらは見え、光学用途には適さないレベル 2.5≦Hσ<3.0
E:干渉色むらが強く見えており、どの用途でも適さないレベル 3.0≦Hσ。
作成した積層体サンプルをフィルム幅方向中央部から長手方向10cm×幅方向10cmで切り出し、普通紙に挟んで100℃の無風炉型オーブン内に500時間静置し、熱処理前後のフィルムのヘイズ値の変化量(Δヘイズ)を評価した。ヘイズ測定は、スガ試験機(株)製 ヘイズメーター(HGM-2DP)を用い、旧JIS-K-7105に準じて測定を行った。フィルム幅方向に対して等間隔で3点測定し、その平均値を測定結果とした。
結晶性ポリエステルAとして、屈折率が1.58、融点が258℃のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない屈折率が1.55の非晶性樹脂であるシクロヘキサンジメタノール(CHDM)20mol%ならびにスピログリコール(SPG)15mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/SPG15/CHDM20)を用いた。さらに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2,2’-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)を、熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を構成する樹脂組成物に対して1重量%となるように添加した。準備した結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bをそれぞれ、ペレット状で2台の単軸押出機に投入し、前者は280℃、後者は260℃で溶融させて混練した。次いで、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギヤポンプにて計量しながら、スリット数301個のフィードブロックにて合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に301層積層された交互積層物とした。ここでは、スリット長さは階段状になるように設計し、スリット間隔は全て一定とした。得られた交互積層物は、最終的な積層ユニットの状態で最表面にあたる2層の結晶性ポリエステルA層の厚みがそれぞれ3μmずつ、その他内部の層厚みが50nm以上80nm以下の範囲となり、かつ、結晶性ポリエステルA層が計151層、熱可塑性樹脂B層が150層となるように構成されており、厚さ方向に交互に積層されていた。該交互積層物をTダイへ供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度が25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸の積層キャストシートを得た。
実施例1において、ハードコート層を積層しない状態で干渉色むらを観察した。3波長光源下での干渉色むらは強度も強く、特に赤・緑色の光線が全体的に強く視認される結果となり、実装して使用するには足らない外観を有していた。
実施例1において、インラインコーティングで塗布した易接着層の厚みを30nmとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。ハードコートと易接着層との界面、ならびに、易接着層と積層ユニットの結晶性ポリエステル樹脂層との界面においてそれぞれ反射される光を光学的に打ち消すことができず、実施例1と比較して干渉色むらがより強くなっており、実装するには足らない外観を有していた。
実施例1において、インラインコーティングでの易接着層塗布を実施することなく、積層ユニット表面に直接ハードコート層を設けた以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。積層ユニットを構成する結晶性ポリエステルAとハードコート層の硬化性樹脂Cとの屈折率差が大きいため、界面剥離が生じ、ハードコート層を確実に積層することができなかった。また、積層体表面近傍由来の干渉色むらの影響が強く、赤色の干渉色むらが強い外観を有していた。
実施例1において、スリット数51個のフィードブロックにて合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に49層積層された積層ユニットとした。透過型電子顕微鏡観察を行い、最表層の2層はそれぞれ3μmずつ、中間の49層が50nm以上70nm以下の厚みを有し、総厚みが10μmの積層体とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。反射波長帯域における光線反射率は15%を示した。実施例1と比較すると、積層数が少ないため、やや長期使用を想定した耐久試験(100℃耐熱試験)において、500時間後にヘイズが1.5%程度上昇する結果が得られ、光吸収剤のブリードアウト抑制の効果は比較的弱いものであった。層数が比較的少ないことで、実施例1と比較して干渉色むらは弱まっており、光学フィルム用途として何とか使用できるレベルの赤色の干渉色むらを示した。
実施例1において、スリット数101個のフィードブロックにて合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に101層積層された積層ユニットとした。透過型電子顕微鏡観察を行い、最表層の2層はそれぞれ3μmずつ、中間の99層は50~70nmの厚みを有し、総厚みが13μmの積層体とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。分光光度計での測定より、反射波長帯域は波長300~400nmの広い範囲にわたるものであり、紫外線吸収剤の効果と併せて、反射波長帯域において良好な光線カット性を示した。また、長期使用を想定した耐久試験(100℃耐熱試験)においても、ヘイズ変化が1.0%程度であり、ブリードアウトを比較的引き起こしにくい結果を示した。実施例3の積層体の性能は表2に示すとおりであり、層数が少ないため干渉色むらの程度は実施例2と同等であった。
実施例1において、熱可塑性樹脂Bに紫外線吸収剤を添加せず、スリット数701個のフィードブロックにて異なる2種類の樹脂を合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に701層積層された積層ユニットとした。透過型電子顕微鏡観察を行い、最表層の2層はそれぞれ3μmずつ、中間の699層は120~150nm厚みを有し、層厚みが100μmの積層体とした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。分光光度計での測定により、層数が多く紫外線吸収剤を添加していないため反射率が高く、また、波長800~1000nmの近赤外線領域をシャープにカットする性質を有していた。層数が増えたことで干渉界面が増え、やや赤色の干渉色むらが目立つ傾向を得たが、実装しても問題ないレベルの積層体であった。
実施例1において、キャストドラム速度を低減し、積層ユニットの全厚みを32μmとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。積層ユニットの全厚みを上げたことで、反射光線を生じる50nm以上80nm以下の積層ユニット内部の厚みも同じ比率で厚くなったため、光路長が増加し反射帯域が405nm程度まで長波長シフトしたことで、青紫色の反射光線が目視で確認されるようになった。反射波長帯域が可視光線領域に至ることで、赤色・緑色の干渉色がより際立って視認されるようになった。外観は実施例4と同等であった。
実施例5において、実施例1に記載の紫外線吸収剤に代わり、硫黄原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2-(5-ドデシルチオ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-第三ブチル-4-メチルフェノール)を、熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を構成する樹脂組成物に対して2重量%となるように添加した以外は、実施例5と同様にして積層体を得た。添加した吸収剤は、波長400nmまでの光線を吸収する特性を有しており、反射率が減少したことから、干渉色むらの強度は実施例5と比較して少し低減されたものの、実施例1と同等レベルであった。
実施例1において、積層ユニットの各層の厚みが40~70nmで構成された301層の積層ユニットとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。最表層の厚みを薄くしたことで、干渉光を引き起こす波長が可視光線よりも短波長側となり、干渉色むらの強度が弱まる結果を得た。最表層の厚膜層が無くなったことで、耐久試験(100℃耐熱試験)において、500時間後にヘイズが1.0%程度上昇する結果が得られ、光吸収剤のブリードアウト抑制の効果は比較的弱いものであった。赤色の干渉色むらはわずかにみられるものの、全体の干渉色むらは小さく、これまでの実施例の中で最も良好な外観を示した。
実施例1において、インラインコーティングで塗布した易接着層の厚みを100nmとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。ハードコートと易接着層との界面、ならびに、易接着層と積層ユニットの結晶性ポリエステル樹脂層との界面においてそれぞれ反射される光が打ち消されやすい条件を示しており、表2の結果に示す通り、赤色の干渉色むらが弱まる結果を得た。
実施例1において、インラインコーティングで塗布した易接着層の厚みを85nmとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。緑色の干渉光を低減するのに適した厚みを有しており、その周辺に位置する赤色の干渉色むらも実施例1と比較して弱まった。
実施例1において、インラインコーティングで塗布した易接着層の厚みを110nmとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。より長波長側の赤色部分の干渉光をターゲットとした厚みであるが、その周辺に位置している波長610nmにおける赤色の干渉色むらも実施例1と比較して弱まる結果を得た。
実施例8において、積層ユニットの全厚みを35μmとして、反射波長帯域を450nmまでのブルーライトカット帯域までとした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。可視光線帯域内の反射波長帯域の光線透過率は平均で30%程度を示しており、全光線透過率は80%を示した。青色光を反射する積層体のため、実施例8と比較すると、やや目視で赤色の干渉むらが目立つ傾向を示したが、実装しても問題のない程度の干渉色むらであった。
実施例8において、積層ユニットの全厚みを44μmとして、反射波長帯域を380nm以上560nm以下の青色・緑色反射を示す積層ユニットとした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。可視光線帯域内の反射波長帯域の光線透過率は、平均で20%程度を示しており、全光線透過率は55%を示した。青色と緑色の波長帯域の光線を反射する積層体のため、実施例11よりもさらに干渉むらが目立つ傾向を示した。光学用途には適さないレベルではあるが、実装するに足る性質を有していた。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件2とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート層厚みを薄くすることで、干渉光を減衰する光学距離が減少するため、反射スぺクトルのうねりが大きくなり、全体的に干渉色むらが強くなる傾向を示した。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件3とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート層厚みをさらに薄くすると、可視光領域の光学波長と一致する距離になることから、より干渉色むらが強くなる傾向を示した。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件4とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート層厚みを5μmと厚くしたことで干渉光が減衰し、干渉強度はこれまでの実施例の中で最も小さいものとなった。また、硬化工程のドラムロール温度を40℃としたことで、ハードコート層側のカールが抑制され、実装時のハンドリング性も向上した。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件5とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート層の屈折率を1.51としたことで、ハードコート層と易接着層、易接着層と積層ユニットの結晶性ポリエステル樹脂Aのそれぞれの屈折率差が均等となり、干渉光が完全に打ち消された。これにより、干渉色むらは積層ユニット内部の多層積層構造によるものだけとなり、赤色の干渉色むらは実施例8よりもさらに弱いものとなった。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件6とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート層の屈折率を1.53と実施例15よりも上げたことで、屈折率差が不均等となり、干渉色むらが実施例15同等レベルのものとなった。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件7とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート主剤の溶媒に、相対蒸発速度が1より低いプロピレングリコールモノメチルエーテル(相対蒸発速度:0.7)を添加したことで、溶媒乾燥がよりなだらかなものとなり、ハードコート層表面がより平滑なものとなった。これにより、空気とハードコート層界面で反射される光との干渉が起こりやすくなり、干渉色むらが実施例8並みの強度のものとなった。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件8とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。乾燥工程温度を100℃一律にしたことで、溶媒揮発がより迅速に行われハードコート層の粘度が急上昇することでハードコート表面の凹凸が形成されやすくなった。干渉色むらの程度は、実施例16と特に変わりなかった。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件9とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。乾燥工程温度をさらに上げたことで、フィルムのガラス転移温度を大きく上回ることとなり、積層体に搬送方向への皺が発生する問題が生じた。干渉色むらの程度は実施例19と同等であり、メチルエチルケトン溶媒に対して、100℃以上の温度は特に必要がない結果を得た。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件10とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。塗布工程から乾燥工程に至る過程で、積層ユニットの搬送方向と逆方向の風向を作ることで、粗さの測定数値には表れないもの、干渉色むらがより細かく見えにくくなる傾向を得た。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件11とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒子の添加量は、ハードコート層の固形分重量に対して0.5重量%となるように添加した。安定した表面凹凸を形成するために、粒径の中央値が3μm、屈折率1.55のアクリル系粒子を添加したことで、ハードコート層表面がアンチグレアライクとなり、干渉色むらは非常に視認されにくくなった。しかしながら、多分散粒子であるため、ハードコート表面から顔を出す粒子数が多く、さらにハードコート層との屈折率差が0.04もある粒子であることから、目視でも積層体自体は白く見えた。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件12とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒子の屈折率を1.52まで減少したところ、ハードコート層との屈折率差が0.01であることから、目視での白さは大きく軽減される結果を示した。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件13とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒子濃度を0.2重量%としたところ、ハードコート表面に十分な凹凸が形成されず、粒子未添加である実施例21と同等の干渉色むらを示した。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件14とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒子濃度を1.0重量%としたところ、ハードコート表面に強い凹凸が確認され、実施例22と同等のアンチグレアライクな見栄えとなった。一方で、干渉色むらの程度は、非常に小さいものであった。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件15とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒径を600nmとしたところ、粒子がハードコート内部にすべて埋没した状態となり、ハードコート層表面に凹凸がほぼ形成されず、さらに可視光線を拡散する粒径であることから、全体的な干渉色むらが強くなる結果を得た。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件16とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒径を5μmとしたところ、殆どの粒子がハードコート層表面に顔を出す状態となり、ヘイズ値が非常に高いアンチグレアな見栄えを示した。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件17とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒径を5μmとし、添加濃度をハードコート層の固形分濃度に対して3.0wt%となるように添加したことで、実施例27よりもアンチグレアな性質を示した。表面での光拡散が非常に強く、ヘイズは20%程度を示したが、赤色の干渉むらは視認されなくなった。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件18とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒子の分散度が中央値/半値幅=1/6と低いものを使用したことで、干渉色むら、および、全光線透過率/ヘイズの観点から最も好ましい見栄えの積層体を得ることができた。
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件19とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。添加した2種類の粒子の総添加濃度は、実施例22と同様に、ハードコート層固形分重量に対して0.5重量%とした。粒径の異なる粒子は、膜内の粒子占有体積が実施例22と同等になるように、添加比率を調整した。ハードコート層内に添加する粒子の粒径を2種類、それぞれの分散度が1/5以下を示すものを用いたことで、ハードコート層表面に凹凸を形成する粒子数が増え、干渉色むらをより低減した積層体を得ることができた。
Claims (10)
- 結晶性ポリエステルAを主成分とするA層、および、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を交互に51層以上積層した積層ユニットと、前記積層ユニットの少なくとも片面に易接着層および硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層をこの順に有する積層体であって、
ハードコート層が前記積層体の少なくとも片側表層にあり、全光線透過率が50%以上であり、かつ、前記表層にあるハードコート層の表面をフィルム面直方向を0°として15°から40°まで0.5°ずつ波長610nmにおける光線反射率を求めたときの光線反射率の最大値と最小値の差が0.5%以上9%以下であり、前記易接着層の屈折率nおよび厚みd[nm]の積が、130以上180以下である、積層体。 - 前記表層にハードコート層を有する積層体の表面を、フィルム面直方向を0°としてフィルム面直方向に対して12°傾斜させて波長500nm以上700nm以下における光線反射率を求めたときの光線反射率の最大値と最小値の差が3%以下である、請求項1に記載の積層体。
- 前記積層体の反射波長帯域における平均光線反射率が15%以上である、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記ハードコート層の厚みが、1μm以上6μm未満である、請求項1~3のいずれかに記載の積層体。
- 前記ハードコート層の表面粗さSaが5nm以上50nm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の積層体。
- 前記ハードコート層が粒子を含有しており、前記粒子の平均粒径が800nm以上前記ハードコート層の層厚み未満である、請求項1~5のいずれかに記載の積層体。
- 前記粒子の屈折率とハードコート層との屈折率差が、0.02以下である、請求項6に記載の積層体。
- 前記ハードコート層に含有する粒子の粒度分布を測定し、横軸に粒径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、半値幅(nm)が粒径の中央値(nm)の1/5以下である、請求項6または7に記載の積層体。
- ディスプレイ用途に用いられる、請求項1~8のいずれかに記載の積層体。
- 有機ELディスプレイ用途に用いられる、請求項1~9のいずれかに記載の積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018041455A JP7087470B2 (ja) | 2018-03-08 | 2018-03-08 | 積層体 |
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