JP2005313586A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互に積層した構造を有する積層フィルムであって、反射率が30%以上である反射帯域を有し、かつ、隣接するA層とB層の厚みの比(A層厚み/B層厚み)をZ、反射率が30%以上であるもっとも高波長側の反射帯域における低波長端をλ1、高波長端をλ2とした場合、フィルムを構成するA層の厚み(nm)が下記式で示されるXA1からXA2の範囲の厚みをすくなく少なくとも含んでなり、かつその範囲に含まれるA層の層数が50×(XA2/XA1)2以上であることを特徴とする積層フィルム。
XA1=λ1/(3.2×(1+Z))
XA2=λ2/(3.2×(1+Z))
【選択図】なし
Description
XA2=λ2/(3.2×(1+Z))
XA2=λ2/(3.2×(1+Z))
また、A層の厚みおよび/またはB層の厚みがフィルムの表面側から反対表面側に向かうにつれ、XA1からXA2に徐々に変化する部分および/またはXB1からXB2に徐々に変化する部分を含んでなることにより、エッジフィルターとして最適なシャープなカット性を有し、かつ反射帯域内での反射率の分布がほとんどないものである。
XA1=λ1/(3.2×(1+Z))
XA2=λ2/(3.2×(1+Z))
すなわち、上記条件を満足するA層の層数が50×(XA2/XA1)2以上であると、反射帯域内の反射率の分布が小さくなるのである。また、上記条件を満足するA層の層数が100×(XA2/XA1)2以上であると、より反射帯域内の反射率の分布が小さくなるため好ましいものとなる。また、200×(XA2/XA1)2以上であると、反射帯域内の反射率の分布が小さくとなるとともに、反射帯域端が非常にシャープとなり、反射帯域端の分解能が50nm以下となるためさらに好ましいものである。
XB1=Z×XA1
XB2=Z×XA1。
このばらつきとは、反射帯域に寄与する熱可塑性樹脂Aからなる層(層A)と熱可塑性樹脂Bからなる層(層B)の厚み比の分布に対し、最大の厚み比と最小の厚み比の差を中心値となる厚み比で除したものである。ばらつきが±20%より大きい場合には、十分な反射率が得られにくくなるほか、設計した反射帯域以外にも反射バンドが出現し、フィルターとしてのノイズとなるため好ましくない。
フィルム幅方向、長手方向、長手方向に対し±45°の方向それぞれのヤング率の差が、0.5GPa以下になると、反射率の入射・受光方向による反射率シフトが問題にならない範囲になるため好ましいものである
また、本発明の積層フィルムは太陽電池用反射体として好適である。さらには、300〜2500nmの範囲において反射率が80%以上である反射帯域を有すると、太陽電池用反射体としてより好適である。より好ましくは、300〜2500nmの範囲において反射率が90%以上である反射帯域を有する太陽電池用反射体である。
2種類の熱可塑性樹脂AおよびBをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂などを取り除く。
Q:時間あたりのスクエアーミキサーを通過する総吐出量(Kg/h)
L:スクエアーミキサー1段分の長さ(mm)
A:スクエアーミキサーの流路断面積(mm2)
本発明のフィードブロックでは確かに高い積層精度のフィルムが得られるものの、反射帯域を広げるためにフィードブロックだけでさらに層数を増やそうとすると、流量を調整するスリット部で十分な圧損をかせぐことができずに流量むらが発生し逆に積層精度が低下したり、装置が大型化すぎるために滞留部が生じ、熱劣化による異物が生じるようになったりするなど多くの問題が発生し、実際には300層以上のフィードブロックはこれまでは現実的ではなかった。そのため、さらに層数が必要な場合はスクエアーミキサーを用いることが必要とされていたが、スクエアーミキサーではその内部で流速の方向が幾度か変化するために、これによりスクエアーミキサー内で流速分布が発生し、積層精度が低下する原因となっていた。そこで本発明では、上記式を満たすスクエアーミキサーによりスクエアーミキサー内での流速分布を解消することができ、スクエアーミキサーをもちいても高い積層精度を達成することができるようになり、反射率60%以上を達成することができるようになったものである。さらに、反射率が80%以上の反射帯域を有し、かつ層厚みのむらによる、反射帯域内での反射率分布を抑制するためには、スクエアーミキサーを用いずに、加工精度0.03mm以下で製作した200以上300以下の微細スリット部材を少なくとも2個以上含むフィードブロックで積層する事が好ましい。こうすることにより装置が極端に大型化することなく、熱劣化による異物が少なく、かつ本発明の特別なスクエアーミキサーを用いるよりもさらに高精度に積層ができるようになるために好ましいのである。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
また、本発明の第二の特徴であるXA1からXA2の範囲の厚みを少なくとも含んでなり、かつその範囲に含まれるA層の層数が50×(XA2/XA1)2以上とするためには、フィードブロック内の各層の流路に相当するそれぞれのスリット間隙を、各スリットでの圧損は一定のまま、XA1からXA2の範囲に相当する流量範囲となるように間隔を設定し、またそれらの個数を50×(XA2/XA1)2以上となるようにすることが好ましい。また、本発明の好ましい態様であるA層の層数が100×(XA2/XA1)2以上とするためには、フィードブロック内の各層の流路に相当するそれぞれのスリット間隙を、各スリットでの圧損は一定のまま、XA1からXA2の範囲に相当する流量範囲となるようにとなるように設定し、それらの個数を100×(XA2/XA1)2以上となるようにすることが好ましい。また、本発明のさらに好ましい態様であるA層の層数が200×(XA2/XA1)2以上とするためには、フィードブロック内の各層の流路に相当するそれぞれのスリット間隙を、各スリットでの圧損は一定のまま、XA1からXA2の範囲に相当する流量範囲となるようにとなるように設定し、またそれらの個数を200×(XA2/XA1)2以上となるようにすることが好ましい。一方、B層についても同様な方法で調整可能である。
(物性値の評価法)
(1)積層厚み、積層数
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、フィルムの断面を3000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。本発明の実施例では十分なコントラストが得られたため実施しなかったが、用いる熱可塑性樹脂の組み合わせによっては公知の染色技術を用いてコントラストを高めても良い。
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAl2O3を用いた。また、反射帯域内の反射率は、帯域内の反射率を平均化して表した。また、反射帯域内の最大反射率と最小反射率の差を反射帯域内の反射率の範囲と規定した。
フィルム表面に蛍光灯などで光を当て、目視または10〜30倍程度の低倍率の光学顕微鏡により表面観察し、大きさが20μm以上の傷の個数をカウントした。
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、算出した。また、溶液粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。なお、n数は3とし、その平均値を採用した。
JIS C 8917 耐湿性試験B−2(1998)に従い、温度85℃ 湿度85%でテストした。
JIS K 7129B(1992)に従って、モダンコントロール社製の水蒸気透過率計“PERMATRAN”W3/31を用いて相対湿度90%、温度40℃の条件下で測定した。測定値をg/(m2・day)の単位で示す。
最大荷重32Nの引裂試験機(東洋精機製)を用いて、JIS K 7128−2(1998)(エレメンドルフ引裂法)に基づいて引裂強さ(N)を測定した。この計測値を、測定したフィルムの厚みで除して引裂強度N/mmとした。なお、この引裂強度は長手方向および幅方向のそれぞれ20サンプルの試験結果を平均化したものとした。
2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた。また熱可塑性樹脂Bとしてシクロヘキサンジメタノールをエチレングリコールに対し30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/CHDM・T)[イーストマン製 PETG6763]を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
得られたキャストフィルムは、両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
このキャストフィルムは、リニアモーター式の同時二軸延伸機に導き、95℃の熱風で予熱後、縦方向および横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行うと同時に縦方向に5%の弛緩処理を行い、つづいて横方向に5%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、128μmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
実施例1のA層とB層の厚み比Zを0.95とした以外は、実施例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは130μmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
実施例1のA層とB層の厚み比Zを3.5とした以外は、実施例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは130μmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
実施例1の熱可塑性樹脂Bを固有粘度0.71のテレフタル酸に対してアジピン酸を30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/A)とした以外は、実施例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは128μmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
実施例4において、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から中心部付近までは厚くなり、中心部付近から反対表面側へは薄くなる凸型の積層構成とした以外は、実施例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、138μmであった。得られた結果を表1に示す。本例では、反射帯域における高波長側端が非常にシャープになった。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
実施例4において、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から中心部付近までは薄くなり、中心部付近から反対表面側へは厚くなる凹型の積層構成とした以外は、実施例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、138μmであった。得られた結果を表2に示す。本例では、反射帯域における低波長側端が非常にシャープとなり、PDPなどの近赤外線フィルターとして最適なエッジフィルターとなった。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
実施例4において、ダイ内で固有粘度0.65のポリエチレレンテレフタレート[東レ製F20S]と平均粒径100nmの球状シリカ0.01wt%からなる樹脂を表層に形成し、コーティングを施さなかった以外は、実施例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、128μmであった。得られた結果を表2に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であったが、ハードコート層との接着性が不良であった。
実施例4において、延伸方式を逐次二軸延伸とした以外は、実施例4と同様の条件とした。逐次二軸延伸としては、まず得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱し、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.4倍延伸した。また、縦延伸ロールの汚れによる傷をできるだけ低減するため、縦延伸ロールは表面粗さが0.4Sのダイヤモンドライクカーボン(DLC)処理ロールを用い、エキシマUVランプによりロールクリーニングもあわせて実施した。その後、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
実施例8において、マルチマニホールドダイを用いず通常のシングルダイを用いて表層に熱可塑性樹脂Aからなる層を形成しないようにし、縦延伸ロールは表面粗さが1.0Sのクロムメッキロールを用い、エキシマUVランプによりロールクリーニングを実施しなかった以外は、実施例8と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、118μmであった。得られた結果を表2に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設てた場合、干渉むらが顕著となった。また、表面の傷が多く認められ、特に品位に対する要求の厳しい光学フィルターとしては使えない場合が多々あった。
実施例1において、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から中心部付近までは厚くなり、中心部付近から反対表面側へは薄くなる凸型の積層構成とした以外は、実施例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、138μmであった。得られた結果を表3に示す。本例では、反射帯域における高波長側端が非常にシャープになった。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
実施例1において、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から中心部付近までは薄くなり、中心部付近から反対表面側へは厚くなる凹型の積層構成とした以外は、実施例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、138μmであった。得られた結果を表3に示す。本例では、反射帯域における低波長側端が非常にシャープとなり、PDPなどの近赤外線フィルターとして最適なエッジフィルターとなった。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
実施例1において、熱可塑性樹脂Aを固有粘度0.65のポリエチレレンテレフタレート[東レ製F20S]と平均粒径100nmの球状シリカ(0.01wt%)からなる樹脂とし、マルチマニホールドダイを用いずマニホールドがシングルのダイを用い表層に熱可塑性樹脂Aからなる層を形成せず、キャストフィルム表面へのコーティングをしなかった以外は、実施例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、128μmであった。得られた結果を表3に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であったが、ハードコート層との接着性が不良であった。また、フィルム内部の粒子のために若干濁って見えた、
(実施例13)
実施例1において、フィードブロック内で熱可塑性樹脂Aが201層、熱可塑性樹脂Bが200層の交互積層体とした以外は、実施例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、71μmであった。得られた結果を表3に示す。得られたフィルムは、近赤外線を、反射率にわずかなむらがあるものの反射していた。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けた場合、干渉むらはわずかに認められるものの、許容できる範囲であった。
実施例1において、フィードブロック内で熱可塑性樹脂Aが101層、熱可塑性樹脂Bが100層の交互積層体とした以外は、実施例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、41μmであった。得られた結果を表3に示す。得られたフィルムは、近赤外線を、反射率にわずかなむらがあるものの反射していた。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けた場合、干渉むらはわずかに認められるものの、許容できる範囲であった。
実施例8において、熱可塑性樹脂Bとしてシクロヘキサンジメタノールをエチレングリコールに対し30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/CHDM・T)[イーストマン製 PETG6763]を用い、フィードブロック内で熱可塑性樹脂Aが51層、熱可塑性樹脂Bが50層の交互積層体とした以外は、実施例8と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、26μmであった。得られた結果を表4に示す。得られたフィルムは、近赤外線を反射していたが、反射率のむらが大きいものであった。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けた場合、、反射率のムラにより干渉むらが顕著に見えた。また、表面の傷もわずかに見られた。
比較例1において、フィードブロック内で熱可塑性樹脂Aが201層、熱可塑性樹脂Bが200層の交互積層体とし、反射帯域を800nmから1650nmになるように設計した以外は、比較例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、85μmであった。得られた結果を表4に示す。得られたフィルムは、可視光線から近赤外線を反射していたが、反射率のむらが大きいものであった。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けた場合、、反射率のムラにより干渉むらが顕著に見えた。また、表面の傷もわずかに認められた。
比較例1において、フィードブロック内で熱可塑性樹脂Aが401層、熱可塑性樹脂Bが400層の交互積層体とし、反射帯域を600nmから1650nmになるように設計した以外は、比較例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、150μmであった。得られた結果を表4に示す。得られたフィルムは、可視光線から近赤外線を反射したが、反射率のむらが大きいものであった。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けた場合、反射率のムラにより干渉むらが顕著に見えた。また、表面の傷もわずかに認められた。
2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.83のポリエチレンテレフタレート(PET)[三井化学製J135]を用いた。また熱可塑性樹脂Bとしてシクロヘキサンジメタノールをエチレングリコールに対し30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/CHDM・T)[イーストマン製 PETG6763]を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて290℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、1601層の多重型フィードブロックにて合流させた。合流した熱可塑性樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ(スロープ型)、熱可塑性樹脂Aが801層、熱可塑性樹脂Bが800層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。各層の厚みの調整は、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリット(加工精度0.01mmにて形成)の形状により調整した。なお、両表層部分は熱可塑性樹脂Bとなるようにした。ここでA層とB層の厚み比 Zが2になるように、フィードブロックの形状および吐出量にて調整した。このようにして得られた計1601層からなる積層体を、マルチマニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給した熱可塑性樹脂Aかならる層を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
このキャストフィルムは、同時二軸延伸機に導き、95℃の熱風で予熱後、縦方向および横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行うと同時に縦方向に5%の弛緩処理を行い、つづいて横方向に5%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、225μmであり、引裂強度は長手方向が13N/mmであり、幅方向が12N/mmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムと25μmのアルミ箔を貼り合わせて太陽電池用反射体とした。この太陽電池用反射体の水蒸気透過率は、0.1g/(m2・day)であった。また、この太陽電池用反射体を用いてシリコン型の太陽電池を作成した。得られた太陽電池は、耐加水分解性が2000時間以上であり、またセル発電効率は太陽電池用反射体に従来の白色体(50μmの“ルミラー”E20に25μmのアルミ箔を貼り合わせたもの)を用いた場合が18%であったのに対し、21%に向上した。
Claims (21)
- 熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互に積層した構造を有する積層フィルムであって、反射率が30%以上である反射帯域を有し、かつ、隣接するA層とB層の厚みの比(A層厚み/B層厚み)をZ、反射率が30%以上であるもっとも高波長側の反射帯域における低波長端をλ1、高波長端をλ2とした場合、フィルムを構成するA層の厚み(nm)が下記式で示されるXA1からXA2の範囲の厚みを少なくとも含んでなり、かつその範囲に含まれるA層の層数が50×(XA2/XA1)2以上であることを特徴とする積層フィルム。 XA1=λ1/(3.2×(1+Z)) XA2=λ2/(3.2×(1+Z))
- 反射率が80%以上である反射帯域を有することを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- B層の厚み(nm)が下記式で示されるXB1からXB2の範囲の厚みを少なくとも含んでなり、かつその範囲に含まれるA層の層数が50×(XB2/XB1)2以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
XB1=Z×XA1
XB2=Z×XA1 - A層の厚みおよび/またはB層の厚みがフィルムの表面側から反対表面側に向かうにつれ、XA1からXA2に徐々に変化する部分および/またはXB1からXB2に徐々に変化する部分を含んでなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- A層の厚みおよび/またはB層の厚みが、フィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的に凸型になっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- A層の厚みおよび/またはB層の厚みが、フィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的に凹型になっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 隣接するA層とB層の厚みの比Zが0.8以上5以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
- 熱可塑性樹脂がポリエステルであり、熱可塑性樹脂Aまたは熱可塑性樹脂Bのいずれかが少なくとも脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体を共重合したポリエステルを含んでなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
- 熱可塑性樹脂がポリエステルであり、熱可塑性樹脂Aまたは熱可塑性樹脂Bのいずれかが少なくともシクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステルを含んでなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム。
- 積層フィルムの少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルム。
- 積層フィルムの少なくとも一方の最表面に、厚みが30nm以上300nm以下の易接着層と厚みが3μm以上のポリエチレンテレフタレート層を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の積層フィルム。
- 最表層以外の層に、平均粒子径が20nm以上20μm以下の粒子が実質的に含まれていないことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の積層フィルム。
- 幅20μm以上の傷の数が、20個/m2以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の積層フィルムからなることを特徴とする光学フィルター。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の積層フィルムを用いたことを特徴とするプラズマディスプレイ。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の積層フィルムからなることを特徴とする太陽電池用反射体。
- 300〜2500nmの範囲において反射率が80%以上である反射帯域を有することを特徴とする請求項16に記載の太陽電池用反射体。
- 水蒸気透過率が2g/(m2・day)以下であることを特徴とする請求項16または17のいずれかに記載の太陽電池用反射体。
- 85℃ 湿度85%における耐加水分解性が1000時間以上であることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の太陽電池用反射体。
- 長手方向および幅方向の引裂強度が6N/mm以上である積層フィルムからなることを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の太陽電池用反射体。
- 400nm以下の波長において吸収帯域を有することを特徴とする請求項16〜20のいずれかに記載の太陽電池用反射体。
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