JP4665421B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも2種類の、熱可塑性樹脂からなる層を積層した積層フィルムに関するものである。
熱可塑性樹脂を多層に積層したフィルムは、種々提案されており、例えば、耐引裂性に優れた多層に積層したフィルムをガラス表面に貼りつけることにより、ガラスの破損および飛散を大幅に防止できるものとして利用されている(たとえば特許文献1〜3参照)。
また、屈折率の異なる樹脂層を交互に多層に積層することより、選択的に特定の波長を反射するフィルム(たとえば特許文献4〜6参照)等が存在する。これらの中で選択的に特定の波長を反射するフィルムは、特定の光を透過あるいは反射するフィルターとして作用し、液晶ディスプレイなどのバックライト用のフィルムとして利用されている。
しかしながら、従来の技術では、所望する反射ピーク以外に複数の反射ピークが観察されるために、例えば、近赤外線を反射する無色のフィルム設計しようとした際、高次の反射のために実際には着色したように見えたりする問題や、可視光線を反射するフィルムの場合には反射フィルムの色純度が低下したり、高次の反射として紫外線が反射されるためにフィルターなどとして用いた場合には周辺部材の劣化を促進するといった問題があった。
特開平6-190995号公報(第2頁) 特開平6-190997号公報(第2頁) 特開平10-76620号公報(第2頁) 特開平3-41401号公報(第2頁) 特開平4-295804号公報(第2頁) 特表平9-506837号公報(第2頁)
本発明の課題は、上記した従来技術の問題点に鑑み、フィルターや反射部材としての性能は維持しつつ、高次の反射による色純度の低下や着色、紫外線散乱による劣化等を抑制することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ5層以上積層した構造を含んでなり、該A層とB層は下式(2)の関係を満たし、かつ、A層の厚みあるいは/およびB層の厚みがフィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的にフィルム断面中心部で層厚みが厚くなる凸型の積層構成であるか実質的にフィルム断面中心部で層厚みが薄くなる凹型の積層構成であり、かつ、反射率が30%以上となる1次の反射ピークを少なくとも1つ有し、かつ、反射率が30%以下である2次以上4次以下の反射帯域を少なくとも1つ有することを特徴とする。
na・da=nb・db×(N−1) ・・・ 式(2)
(ここで、na:A層の面内平均屈折率、nb:B層の面内平均屈折率、da:A層の層厚み(nm)、db:B層の層厚み(nm)、N:2〜4の整数、である)
本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ5層以上積層した構造を含んでなり、反射率が30%以上となる1次の反射ピークを少なくとも1つ以上有し、かつ反射率が30%以下である2次以上4次以下の反射帯域を少なくとも一つ有するので、2次以上4次以下の波長の反射率を制御した積層フィルムを提供できた。
また、積層フィルムの厚みがフィルムの長手方向または幅方向に周期的に変化した積層フィルムとすることにより、高次の反射波長による色への影響がなく、周期的に色が変化した従来にはない意匠性をも付与できた。
本発明でいう反射ピークとは、光の波長に対し反射率を測定した際の反射率が30%以上である帯域のことを言う。また、特に限定のない場合は、フィルム表面に対し、垂直な軸との差角が10°の方向から入射した光に対し、分光光度計にて積分球を用いて測定される反射率のことを言う。ここで反射ピークの反射率としては、60%以上であることが好ましく、80%以上であるとさらに好ましい。反射率が80%以上であると極めて高いフィルター機能や反射性能が得られるため好ましいものである。またここで言う入射角とは、フィルム表面に対し垂直な方向と光の入射する方向の差角のことである。また、高次の反射帯域とは、観察されるもっとも高波長側の反射ピークを1次の反射ピークとみなし、この1次の反射ピークの波長帯域Xを次数N(Nは2以上の整数)で除して求められる各波長帯域X/N±25nmのことを言う。なお、この±25nmは測定誤差やピーク読み取り誤差を加味したものである。
本発明では、高次の反射帯域の少なくとも1つが反射率30%以下でなければならない。ここで、高次の反射帯域の少なくとも1つが反射率30%以下とは、1次の反射ピークの波長帯域Xが例えばある波長領域X1〜X2からなる場合、X1/N〜X2/Nの区間において反射率が30%以下である領域を少なくとも1つ有することを言う。より好ましくは、高次の反射帯域の少なくとも1つが反射率20%以下であり、さらに好ましくは反射率が15%以下である。このように反射率が30%以下である高次の反射帯域を少なくとも1つ有することにより、高次の反射帯域による着色や、色純度の低下、紫外線による劣化などが起きにくくなるためである。また、その反射率が15%以下であると、ほとんど積層フィルムの表面反射と同レベルとなるため、着色や色純度の低下、紫外線による劣化の促進としてほとんど作用せず最適なものとなる。
また、本発明の高次の反射帯域の次数が2次以上4次以下であると、より好ましい。さらに好ましくは、2以上3次以下である。反射率が30%以下である2次以上4次以下の反射帯域が少なくとも1つ存在すると、高次の反射による着色や、色純度の低下、紫外線による劣化などの特に顕著な問題を起こす波長領域に強い反射が起きないことを意味するため、好ましいものである。
さらに、本発明では入射角45°における反射率が15%以下の高次の反射帯域を少なくとも1つ有することが好ましい。従来は、入射角が大きくなるに従い、高次の反射帯域の反射率が問題となる波長帯域にシフトし、高次の反射帯域による着色や、色純度の低下、紫外線による劣化などの問題が生じていた。
また、本発明における熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルであることがより好ましい。またこれらの熱可塑性樹脂としてはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。また、各熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂としては、ポリエステルであることがより好ましい。ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、本発明における共重合ポリエステルとは、次にあげるジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体のことと定義される。ジカルボン酸骨格成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。グリコール骨格成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
特に本発明では、熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、熱可塑性樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステルであることが好ましい。より好ましくは、シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱後の光学的特性の変化が小さくなるためである。
また、本発明では、熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、熱可塑性樹脂Bがアジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸あるいはそのエステル誘導体を共重合したポリエステルであることが好ましい。より好ましくは、熱可塑性樹脂Bがアジピン酸を共重合したエチレンテレフタレート重縮合体である。さらに好ましくは、アジピン酸の共重合量が15mol%以上35mol%以下共重合したエチレンテレフタレート重縮合体である。このような構成とすると、従来より高い反射性能が得られるために好ましいものである。
本発明の積層フィルムでは、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。屈折率差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られず、好ましくないものである。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向の屈折率の差が0.03以下であると、反射帯域の角度依存性が小さくなり、より好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互に積層した構造を含むとは、A層とB層を厚み方向に規則的に積層した構造を有している部分が存在することと定義される。すなわち、本発明のフィルム中のA層とB層の厚み方向における配置の序列がランダムな状態ではないことが好ましく、A層とB層以外の第3の層以上についてはその配置の序列については特に限定されるものではない。また、A層、B層、熱可塑性樹脂CのからなるC層を有する場合には、A(BCA)n、A(BCBA)n、A(BABCBA)nなどの規則的順列で積層されることがより好ましい。ここでnは繰り返しの単位数であり、例えばA(BCA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABCABCABCAの順列で積層されているものを表す。
また、本発明では熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ5層以上含まなければならない。より好ましくは、25層以上であり、さらに好ましくは50層以上である。A層とB層をそれぞれ5層以上積層した構造を含まないと、十分な反射率が得られなくなるものである。また、上限値としては特に限定するものではないが、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、1500層以下であることが好ましい。
本発明の積層フィルムでは、その厚みがフィルムの長手方向または幅方向に周期的に変化しているとより好ましい。このようにフィルム厚みが長手方向または幅方向に周期的に変化すると、反射波長ピークの波長がその厚み変動に対応するため、例えば可視広域に反射ピークを有する場合にはフィルム内で周期的に色が変化した従来にはない意匠性を付与できるようになる。このため、意匠性フィルムや偽造防止用フィルムと好適となる。
この周期的な厚みの変化率R(R=最大厚み/最小厚み×100(%))の好ましい範囲は、5〜500%である。厚みの変化率が5%以上であれば反射干渉色の変化が大きくなるため、意匠性に優れたものとなり、500%以下であれば生産性の観点から好ましい。また、厚み変化率のより好ましい範囲としては7〜300%、さらに好ましい範囲は10〜200%である。
フィルム厚みを周期的に変化させる方法には、(1)フィルム押出工程にて、周期的に吐出量を変化させる。(2)フィルムキャスト工程にて、キャスト速度を周期的に変化させる。(3)フィルムキャスト工程の静電印可装置で、電圧もしくは電流をを周期的に変化させる。(4)縦延伸工程にて、延伸張力の立ち上がらない高温で延伸する。(5)口金ダイボルトを機械的・熱的に作動させ、口金リップ間隔を変化させる。などの方法が好ましく用いられるが、本発明のフィルムの製造方法は、もちろんこれに限定されるものではない。
これらの方法の中で、種々のサイン波、三角波、矩形波、鋸波、インパルス波などの種々の厚み周期変化で任意に効率よく調整できるフィルムキャスト工程の静電印可装置で、電圧もしくは電流を周期的に変化させる方法が、任意の厚みの変化率に調整できるためより好ましい。
また、フィルムの厚みの変動周期を解析する方法は、フィルム厚みを連続的に測定し、そこで得られたデータのフーリエ変換(以下、「FFT処理」と称する)を行って評価する方法が好ましく用いられる。FFT処理については、例えば、「技術者の数学1」初版(共立出版株式会社 共立全書516)などにフーリエ変換の理論について、「光工学」初版(共立出版株式会社)などにFFT処理の手法について記載があるとおりである。本発明の積層フィルムにおいては、フーリエ変換解析した際に、0.5〜100000(1/m)の波数におけるPw値が0.04〜25のスペクトルピークが、1つ以上観察されることが好ましい。このピークが観察される波数帯のより好ましい範囲は、1〜10000(1/m)であり、さらに好ましくは10〜1000(1/m)である。また、観察されるPw値のより好ましい範囲は0.1〜20であり、さらに好ましくは0.2〜10、最も好ましくは0.3〜5である。波数帯が上記範囲内であれば、本発明のフィルムを偽造防止用途などに使用したときに好ましく用いることができ、また、Pw値が上記範囲内であれば、周期性が観察しやすくなるために好ましい。
ここで、Pwとは厚み変化データを、厚みの絶対値に変換し、その平均値を厚み変化の中心値となるように変換したデータを用いて、解析に供し、FFT処理により、得られた実数部をan、虚数部をbnとした場合の次式で決定される、ある波数におけるスペクトル強度Pwnのことである。
Pwn=2(an2+bn2)1/2/N
n:波数(m-1)
N:測定数
また、このピークの半値幅をkw、ピーク波数をktとすると、kw/ktの好ましい範囲としては0.001〜0.5、より好ましくは0.01〜0.2、最も好ましくは0.1〜0.2である。kw/ktが上記範囲である場合、得られたフィルムは非常に意匠性に優れたものとなるほか、偽造防止用フィルムとした場合にはホログラム層と同時に、積層フィルム自体に暗号機能や真偽判定機能が備わるため、二重のセキュリティ効果があり好ましい。
本発明の積層フィルムでは、積層フィルムの少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有することが好ましい。より好ましくは、5μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有する。また、両面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有するとさらに好ましい。3μm以上のポリエチレンテレフタレートからなる層がない場合には、表面に傷が入った場合などに、反射率分布に異常が生じるため好ましくない。
本発明の積層フィルムでは、最表層以外の層に、平均粒子径が20nm以上20μm以下の粒子が実質的に含まれていないことが好ましい。積層フィルム内部に平均粒子径が20nm以上20μm以下の粒子が含まれていると、透明性が低下したり、拡散反射がおきたりと好ましくない。また、積層精度のみだれの原因となり、反射性能低下を生じるおそれがあるため好ましくない。
また、本発明の積層フィルムでは、その表面に易接着層、易滑層、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
特に本発明の積層フィルムを意匠性フィルムに用いる際には、黒色や反射ピークの補色となる色を吸収する色吸収層や、アルミ、銀、金、インジウム等の金属層、印刷層、粘着層、フィルム表面に形成することが好ましい。
また、偽造防止用フィルムに用いる場合には、ホログラム層、印刷層、粘着層、アルミ、銀、金、インジウム等の金属層、Al23、Sb23、Sb23、As23、BeO、Bi23、CdO、CdSe、CdS、CdTe、Ce23、Cr23、SiO、AgCl、Na3AlF6、SnO2、TiO2、TiO、WO2、ZnSe、ZnS、ZnO2等の透明金属化合物層をフィルム表面に形成することが望ましい。このような層を積層フィルム表面に形成したフィルムは、特にエンボスホログラム用の材料として好適である。
また、光学フィルターとして用いる場合には、易滑・易接着層、ハードコート層、帯電防止層、反射防止層、色補正層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層をフィルム表面に形成することが望ましい。このような機能性層を有する本発明の積層フィルムは、光学フィルターとしても好適である。光学フィルターとしては、プラズマディスプレイにおける近赤外線カットフィルター、液晶ディスプレイにおけるバックライトの3原色を効率的に反射する反射板、各種ディスプレイやCCDカメラなどにおいて3原色を選択的に透過/反射し色純度を高める色調整フィルター、建材や車載用のウインドガラスに用いられる近赤外線/赤外線をカットする熱線遮断フィルムなどが挙げられる。
また、本発明のフィルムとしては意匠用フィルムとして好適に用いられる。意匠用フィルムとは色彩や特定の色彩パターンを付与するためのフィルムのことであり、例えば、自動車内装や外装に用いられるデザインのための装飾フィルム、各種包装に用いられるデザインのための装飾フィルム、紙幣や金券や商品券や有価証券などに使われる真偽判定を目的とした偽造防止用フィルム、ホログラムの基材用または反射材用フィルムなどがあげられる。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。
2種類の熱可塑性樹脂AおよびBをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂などを取り除く。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂を、次に積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層する方法を使用することができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。ここで本発明の効果を効率よく得るためには、各層ごとの層厚みを個別に制御できるマルチマニホールドダイもしくはフィードブロックが好ましい。さらに各層の厚みを精度良く制御するためには、加工精度0.1mm以下の放電加工、ワイヤー放電加工にて、各層の流量を調整する微細スリットを設けたフィードブロックが好ましい。また、この際、樹脂温度の不均一性を低減するため、熱媒循環方式による加熱が好ましい。また、フィードブロック内の壁面抵抗を抑制するため、壁面の粗さを0.4S以下にするか、室温下における水との接触角が30°以上であると良い。
また、ここで本発明の第一の特徴である1次の反射率が30%以上となる反射ピークを少なくとも1つ以上有するためには、A層とB層を交互にそれぞれ5層以上積層する事が重要である。また、各層の層厚みについては、下記式1に基づいて所望する反射ピークが得られるように設計することが必要であり、各々の面内平均屈折率および層厚みについては範囲40%以下の分布が生じていても許容できる。また、本発明の好ましい態様である反射ピークの反射率が60%以上であるためには、積層数が50層以上であることが好ましい。また、本発明のさらに好ましい態様である反射ピークの反射率が80%以上であるためには、積層数100層以上であることが好ましい。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
また、本発明の第二の特徴である反射率が30%以下である2次以上4次以下の反射帯域を少なくともひとつ有するためには、隣接するA層およびB層のほとんどが下記式2をみたすような層構成とすることが重要である。本発明の効果を効率よく得るためには下記式2を満たしているとよいが、各々の面内平均屈折率および層厚みについては10%以下のずれが生じていても許容できるものである。また、本発明の好ましい態様である反射率が15%以下である高次の反射帯域を少なくとも1つ以上有するためには、層厚みのずれが5%以下であり、その層厚みのずれが隣接する層間で規則だったものではなく、ランダムであることが好ましい。反射ピークの反射率が80%以上で、式2を満たすためには非常に高い積層精度が必要であるが、そのような積層精度は従来の方法では容易に安定的に達成することは不可能であったものであり、そのような高い積層精度を達成するためには、特に加工精度0.01mm以下の放電ワイヤー加工にて、表面粗さ0.1S以上0.6S以下を有する100個以上300個以下の微細スリットを有するフィードブロックにて積層し、その後、ダイから吐出部までの流路において厚み方向に拡幅されないことが特に好ましい。
na・da=nb・db×(N−1) 式2
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
N:次数(2〜4の整数)
また、本発明では、ある断面内での隣接するA層とB層の厚み比の分布範囲が、5%以上40%以下になるように、積層装置において各層の厚みを調整することが好ましい。より好ましくは、5%以上10%以下である。厚み比の分布が5%より小さいと、層の繰り返し周期性が高すぎるために、高次の反射が非常に発生しやすくなるため好ましくない。また、40%より大きくなると、積層精度が低すぎるために所望する反射ピークの反射率が低くなるばかりか、予想外の波長帯域に反射ピークが出現するため好ましくない。
また、本発明の態様である反射率が30%以下である反射帯域の次数が2次以上4次以下を達成するためには、式2においてNが2以上4以下である。
また、本発明の好ましい態様である入射角45°における反射率が20%以下である高次の波長帯域を少なくとも1つ有するためには、熱可塑性樹脂A層の面内の平均屈折率と厚み方向の屈折率の差が0.05以上であり、熱可塑性樹脂B層の面内の平均屈折率と厚み方向の屈折率の差が0.03以下であり、かつ熱可塑性樹脂A層の面内の平均屈折率と熱可塑性樹脂B層の面内の平均屈折率の差が0.06以上であることが好ましい。このようにすることにより、異常光の反射率が低減できるため、入射角45°における反射率を20%以下とすることが容易になるものである。
本発明は、A層の厚みあるいは/およびB層の厚みが、フィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的にフィルム断面中心部で層厚みが厚くなる凸型の積層構成であるか、実質的にフィルム断面中心部で層厚みが薄くなる凹型の積層構成である。凸型の積層構成の場合は、反射波長帯域における高波長端が非常にシャープとなるため、高波長側に高い波長分解能を有することを求められるエッジフィルターに最適となり、凹型の積層構成の場合は、反射波長帯域における低波長端が非常にシャープとなるため、低波長側に高い波長分解能を有することを求められるエッジフィルターに最適となる。
これらのように設計する反射フィルムの特性に応じて、最適な積層構成とすることが重要であるが、本発明ではこれらの調整を、各層に対応した微細スリットを有するフィードブロックにて行うことが特に好ましい。
このようにして得られた溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。ここで、シート状に成型するダイとしては、ダイ内での積層体の拡幅率が1倍以上100倍以下であることが好ましい。より好ましくは、1倍以上50倍以下である。ダイ内での積層体の拡幅率が100倍より大きいと、積層体表層部の積層厚みの乱れが大きくなるため好ましくない。ダイ内での積層体の拡幅率が1倍以上100倍以下であることにより、積層フィルムの幅方向における反射率の差を±10%以内にすることが容易となる。
そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法や、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法が好ましい。
ここで、本発明のフィルムの好ましい態様のひとつであるフィルム厚みを周期的に変化させる方法としては、(1)フィルム押出工程にて、周期的に吐出量を変化させる。(2)フィルムキャスト工程にて、キャスト速度を周期的に変化させる。(3)フィルムキャスト工程の静電印可装置で、電圧もしくは電流をを周期的に変化させる。(4)縦延伸工程にて、延伸張力の立ち上がらない高温で延伸する。(5)口金ダイボルトを機械的・熱的に作動させ、口金リップ間隔を変化させる。などの方法が好ましく用いられるが、本発明のフィルムの製造方法は、もちろんこれに限定されるものではない。
これらの方法の中で、種々のサイン波、三角波、矩形波、鋸波、インパルス波などの種々の厚み周期変化で任意に効率よく調整できるフィルムキャスト工程の静電印可装置で、電圧もしくは電流を周期的に変化させる方法が、より好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理すると、フィルム幅方向の反射率の差を±10%以下にできるため好ましい。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)積層厚み、積層数
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、フィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。本発明の実施例では十分なコントラストが得られたため実施しなかったが、用いる熱可塑性樹脂の組み合わせによってはRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いてコントラストを高めても良い。
(2)反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAl23板を用いた。また、反射ピークの波長は、ピークトップとなる波長とした。また、反射率が30%以上の波長帯域が50nm以上の範囲を有する場合は、反射ピークの波長を反射率が30%以上である領域で表し、かつその反射率は帯域内の反射率を平均化して求めた。
また、入射角度45°における反射率を測定する際には、自作の傾斜スペーサーを取りつけ反射率を測定した。
(3)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、算出した。また、溶液粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。なお、n数は3とし、その平均値を採用した。
(4)フィルムの厚み変動
アンリツ株式会社製フィルムシックネステスタ「KG601A」および電子マイクロメータ「K306C」を用い、フィルムの長手方向に30mm幅、10m長にサンプリングしたフィルムを連続的に厚みを測定した。フィルム厚みの変化率は、フィルム長さ1m内での最大厚みと最小厚みの差を、平均厚みで割り、100を乗じた値(%)とした。なお、このフィルム厚みの変化率についてはn数5回で測定した。
(5)フィルムの厚み変動のフーリエ解析
上述の長手方向厚み変動測定時に、電子マイクロメータからの出力をKEYENCE「NR−1000」を用いて数値化処理し、コンピュータに取り込んだ。データの取り込みは、約1m長の厚み変動測定中に、0.1秒の間隔で1024点サンプリングした(0.6m/分で搬送測定しているため(低速巻取りモータ使用)、0.1秒×1024×0.6m/分÷60秒/分で、約1mの厚み変動データを取り込み)。このように取り込んだ数値データをMicrosoft社のExcel2000を用いて定量的な厚みに変換し)、その厚み変動についてフーリエ変換(FFT)処理を施した。この時、厚み変化データを、厚みの絶対値に変換し、その平均値を厚み変化の中心値となるように変換したデータを用いて、解析に供した。この際、流れ方向の変数に、フイルムの長さ(m)を取ると、FFT処理により、波数(1/m)に対する強度分布が得られる。ここで、得られた実数部をan、虚数部をbnとすると、スペクトル強度Pwnは次式の通り表記することができる。
Pwn=2(an 2+bn 21/2/N
n:波数(m-1
N:1024(測定数)。
参考例1)
2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製 F20S]を用いた。また熱可塑性樹脂Bとしてシクロヘキサンジメタノールをエチレングリコールに対し30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDM共重合PET)[イーストマン製 PETG6763]を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、201層のフィードブロックにて合流させた。合流した熱可塑性樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側までほぼ一定となるようにし、熱可塑性樹脂Aが101層、熱可塑性樹脂Bが100層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。各層の厚みの調整は、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリット(加工精度0.01mmにて形成)の形状により調整した。なお、両表層部分は熱可塑性樹脂Aとなるようにした。ここで隣接するA層とB層の厚み比(A層厚み/B層厚み)が0.95になるように、フィードブロックの形状および吐出量にて調整した。このようにして得られた計201層からなる積層体を、フィシュテールダイに供給し、シート状に成形した後、静電印加(直流電圧8kV)にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
このキャストフィルムは、リニアモーター式の同時二軸延伸機に導き、95℃の熱風で予熱後、縦方向および横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行うと同時に縦方向に5%の弛緩処理を行い、つづいて横方向に5%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、21.1μmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは2次の反射ピークがほとんどないため、紫外線領域における不要な反射がほとんど認められないものであった。
参考例2)
参考例1においてキャスティングドラム速度を調整してフィルム厚みを16.6μmとした以外は、参考例1と同様の条件とした。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは2次の反射ピークがほとんどないため、紫外線領域における不要な反射がほとんど認められないものであった。
参考例3)
参考例1においてキャスティングドラム速度を調整してフィルム厚みを14.5μmとした以外は、参考例1と同様の条件とした。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは2次の反射ピークがほとんどないため、紫外線領域における不要な反射がほとんど認められないものであった。
参考例4)
参考例1において、隣接するA層とB層の厚み比(A層厚み/B層厚み)を1.89とし、キャスティングドラム速度を調整してフィルム厚みを47.2μmとした以外は、参考例1と同様の条件とした。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは3次の反射ピークがほとんどないため、可視光線領域に不要な反射ピークがほとんど認められず、無色の近赤外線反射フィルムとなった。
参考例5)
参考例1において、隣接するA層とB層の厚み比(A層厚み/B層厚み)を2.85とし、キャスティングドラム速度を調整してフィルム厚みを47.0μmとした以外は、参考例1と同様の条件とした。得られた結果を表2に示す。得られたフィルムは4次の反射ピークがほとんどないため、紫外線領域に不要な反射ピークがほとんど認められないものであった。
比較例4
2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート[東レ製 F20S]を用いた。また熱可塑性樹脂Bとしてシクロヘキサンジメタノールをエチレングリコールに対し30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート[イーストマン製 PETG6763]を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、801層のフィードブロックにて合流させた。合流した熱可塑性樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ、熱可塑性樹脂Aが401層、熱可塑性樹脂Bが400層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。各層の厚みの調整は、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリット(加工精度0.01mmにて形成)の形状により調整した。なお、両表層部分は熱可塑性樹脂Aとなるようにした。ここで隣接するA層とB層の厚み比が0.95になるように、フィードブロックの形状および吐出量にて調整した。このようにして得られた計801層からなる積層体を、マルチマニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給した熱可塑性樹脂Aからなる層を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
このキャストフィルムは、リニアモーター式の同時二軸延伸機に導き、95℃の熱風で予熱後、縦方向および横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行うと同時に縦方向に5%の弛緩処理を行い、つづいて横方向に5%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、130μmであった。得られた結果を表2に示す。本例では、広帯域の近赤外線を効率よく反射しながら、可視光線領域には高次の反射がほとんど認められず、無色透明の近赤外線フィルターとなった。
(実施例
比較例4において、フィードブロックの各層に相当するスリットの間隙を調整し、各層の厚みが表面側から中心部付近までは厚くなり、中心部付近から反対表面側へは薄くなる凸型の積層構成とした以外は、比較例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、138μmであった。得られた結果を表2に示す。本例では、近赤外線を効率よく反射しながら、可視光線領域には高次の反射がほとんど認められず、反射帯域における高波長側端が非常にシャープになった。
(実施例
比較例4において、フィードブロックの各層に相当するスリットの間隙を調整し、各層の厚みが表面側から中心部付近までは薄くなり、中心部付近から反対表面側へは厚くなる凹型の積層構成とした以外は、比較例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、138μmであった。得られた結果を表2に示す。本例では、近赤外線を効率よく反射しながら、可視光線領域には高次の反射がほとんど認められず、かつ反射帯域における低波長側端が非常にシャープとなり、PDPなどの近赤外線フィルターとして最適なエッジフィルターとなった。
参考例6
参考例1において、熱可塑性樹脂Bとして、テレフタル酸に対してアジピン酸を20mol%、イソフタル酸を10mol%共重合した固有粘度0.95の共重合ポリエステルを用いた以外は、参考例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、21.0μmであった。得られた結果を表3に示す。本例では、赤色に相当する可視光線を非常に効率よく反射しながら、紫外線領域の二次反射はほとんどなかった。
(比較例1)
参考例4において、隣接するA層とB層の厚み比(A層厚み/B層厚み)を3.2とし、キャスティングドラム速度を調整してフィルム厚みを47.0μmとした以外は、参考例4と同様の条件とした。得られた結果を表3に示す。得られたフィルムは高次の反射が多数観察されたため、緑色に着色した近赤外線反射・紫外線反射フィルムとなった。
(比較例2)
比較例4において、隣接するA層とB層の厚み比(A層厚み/B層厚み)を1.5とし、キャスティングドラム速度を調整してフィルム厚みを114μmとした以外は、比較例4と同様の条件とした。得られた結果を表3に示す。得られたフィルムは高次の反射が多数観察されたため、青紫色に着色した近赤外線反射・紫外線反射フィルムとなった。
参考例7
参考例2において、キャスティングドラムに密着させるための静電印加を、中心電圧8kV、電圧振幅4kV(peak−peak)のサイン波を周期的に印可する条件とし、またキャスティングドラム速度を調整して、平均フィルム厚みを15.5μmとした以外は、参考例2と同様の条件とした。得られた結果を表3に示す。得られたフィルムは、フィルム面内に緑色と青色が約50mmピッチで横段状に周期的に存在したが、各色を発現するフィルム面内では高次の反射が観察されなかったために、非常に鮮やかな色を呈した。
参考例8
参考例1において、製膜速度を調整して、フィルム厚みを31.1μmとした以外は、参考例1と同様の条件とした。得られた結果を表4に示す。本例では、近赤外線を非常に効率よく反射しながら、可視光線域に現れる二次反射がほとんどないため、透明無色の近赤外線カットフィルムとなった。
(比較例3)
参考例8において、熱可塑性樹脂Bとして、テレフタル酸に対してイソフタル酸を25mol%共重合した固有粘度0.67の共重合ポリエステルを用い、熱可可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの吐出量を調整して隣接するA層とB層の厚み比を2とした以外は、参考例8と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、31.0μmであった。得られた結果を表4に示す。本例では、近赤外線を非常に効率よく反射しながら、可視光線域にも強い二次反射があるため青緑色を発色したフィルムとなり、着色した近赤外線カットフィルムとなった。
参考例9
参考例8において、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの吐出量を調整して隣接するA層とB層の厚みを1.02とした以外は、参考例8と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、31.0μmであった。得られた結果を表4に示す。本例では、近赤外線を効率よく反射しながら、可視光線域の二次反射をほぼ抑制できたため、わずかに青緑に着色した近赤外線カットフィルムになった。
参考例10
参考例8において、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの吐出量を調整して隣接するA層とB層の厚みを1.0とした以外は、参考例8と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、31.0μmであった。得られた結果を表4に示す。本例では、近赤外線を効率よく反射しながら、可視光線域の二次反射をほとんど抑制できたため、無色の赤外線カットフィルムになった。ただ、暗室で光を当てた場合や、角度をつけて見た場合、わずかに着色して見えることがあった。
Figure 0004665421
Figure 0004665421
Figure 0004665421
Figure 0004665421
本発明は、建材、包装、自動車の内外装などに用いられる意匠性材料、ホログラムなどの偽造防止用材料、液晶ディプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機エレクトロニクスディスプレイなどの各種ディスプレイや、光学印刷機器、カメラなど種々の光学機器の反射材料もしくは光学フィルター、車載用、建材用の熱線遮断ウィンドウフィルムとして好適に用いられる。

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂からなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ5層以上積層した構造を含んでなり、該A層とB層は下式(2)の関係を満たし、かつ、A層の厚みあるいは/およびB層の厚みがフィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的にフィルム断面中心部で層厚みが厚くなる凸型の積層構成であるか実質的にフィルム断面中心部で層厚みが薄くなる凹型の積層構成であり、かつ、反射率が30%以上となる1次の反射ピークを少なくとも1つ有し、かつ、反射率が30%以下である2次以上4次以下の反射帯域を少なくとも1つ有することを特徴とする積層フィルム。
    na・da=nb・db×(N−1) ・・・ 式(2)
    (ここで、na:A層の面内平均屈折率、nb:B層の面内平均屈折率、da:A層の層厚み(nm)、db:B層の層厚み(nm)、N:2〜4の整数、である)
  2. 反射率が15%以下である2次以上4次以下の反射帯域を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 入射角45°における反射率が20%以下である高次の反射帯域を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートからなり、かつ、熱可塑性樹脂Bが少なくともシクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートからなり、熱可塑性樹脂Bが少なくともアジピン酸を共重合したポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. フィルム厚みの変動をフーリエ解析した際に0.5〜100000(1/m)の波数における強度0.04〜25のスペクトルピークが1つ以上観察されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムを用いた意匠性フィルム。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムを用いた偽造防止用フィルム。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムを用いた光学フィルター。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムを用いたホログラム。
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