JP2017043083A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Sachikazu Kono
祥和 河野
慎治 前田
Shinji Maeda
慎治 前田
幸大 徳永
Yukihiro Tokunaga
幸大 徳永
修平 中司
Shuhei Nakatsuka
修平 中司
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Abstract

【課題】色調むらの無い優れた表面品位を有し、さらに光学的に優れた透過性を有する、LEDを光源とする画面の保護などに用いる積層ポリエステルフィルムを提供することを目的とするものである。【解決手段】ポリエステル樹脂Aからなる層(以下、A層という)とポリエステル樹脂Bからなる層(以下、B層という)を有し、厚み方向に交互に30層以上積層され、A層とB層の積層界面粗さが0.2nm以上6.0nm以下である積層ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、LEDを光源とする画面の保護などに用いる積層ポリエステルフィルムに関する。
従来から、2種類以上の樹脂を積層する積層フィルムの技術は、フィルムに様々な特性を付与することが可能であり各種産業用途に広く活用されている。例えば、屈折率が異なる2種類以上の樹脂を光の波長レベルの層厚みで交互に積層することにより発現する光の干渉現象を利用して、特定の波長の光を選択的にカットする光干渉多層膜が知られている。このような多層膜は、用いる樹脂の屈折率、層数、各層厚みを所望の光学設計とすることで、種々の性能を備えた光学フィルターが達成されるため、様々な光学用途向けに用いられている。
積層フィルムの製造方法としては、押出機を複数台用いる共押出法やフィルム同士を張り合わせるラミネート法が知られている。その中でも、共押出法は、多数の層を1つの工程で積層することが可能であり、生産性やコスト面でも非常に有利であるため、一般的な積層フィルムの製造方法として広く用いられている。しかし、共押出法は、積層する2種類以上の樹脂の融点、ガラス転移温度、溶融粘度、親和性などの特性が異なる場合、積層フィルムの厚みむらや積層された各層の層厚みのむらが生じ易く、フィルム特性の均一性の不具合や、フィルム表面の色調むらやフローマークなどの表面品位の低下の課題が有る。
そのような中で、少なくとも2種以上の樹脂を多層に積層するフィードブロックが、スリット板を2枚以上用いた構成からなり、スリット板において、両端部に位置する厚膜層を形成するスリット幅が、他の薄膜層を形成するスリット幅の2倍以上であるフィードブロックを用いて製造されてなる、層数が増加しても高い積層精度を実現し、特定の波長の光を反射、あるいは透過する高い光学性能を有した積層フィルムが提案されている(特許文献1参照)。
特開2007−176154号公報
特許文献1記載の積層フィルムは、2層以上の樹脂を多層に積層するフィードブロックの構造を規定し、積層フィルムの積層構成に厚膜層を含むことで、光学設計通りの高い積層精度での多層構造を実現することができる。しかしながら、実際のフィルム製造時の延伸工程における熱収縮などによる積層構造への影響については十分に考慮されていない。
そこで本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解決し、色調むらの無い優れた表面品位を有し、さらに光学的に優れた透過性を有する、LEDを光源とする画面の保護などに用いる積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
[I]ポリエステル樹脂Aからなる層(以下、A層という)とポリエステル樹脂Bからなる層(以下、B層という)を有し、厚み方向に交互に30層以上積層され、A層とB層の積層界面粗さが0.2nm以上6.0nm以下である積層ポリエステルフィルム。
[II]前記A層と前記B層の面内平均屈折率の差が0.01以上0.10以下である[I]に記載の積層ポリエステルフィルム。
[III]下記式(3−1)を満足する[I]または[II]に記載の積層ポリエステルフィルム。
(3−1)0.1≦|(RA+RB)/2−RC|≦5.0
RA:1000mm幅のフィルムの幅方向の中心から、幅方向の一方向(A方向)に400mmの位置におけるA層とB層の積層界面粗さ(nm)
RB:1000mm幅のフィルムの幅方向の中心から、幅方向の前記A方向と反対方向(B方向)に400mmの位置におけるA層とB層の積層界面粗さ(nm)
RC:1000mm幅のフィルムの幅方向の中心におけるA層とB層の積層界面粗さ(nm)
[IV]MD方向のヤング率がいずれも2.7GPa以上4.0GPa以下である[I]から[III]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[V]前記A層と前記B層の層厚み比が1.0:0.25から1.0:2.0であり、前記B層の層厚みが10nm以上200nm以下である[I]から[IV]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
[VI]波長帯域400〜450nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、
波長帯域450〜460nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、
かつ波長帯域500〜780nmにおける最小透過率が85%以上95%以下とするために、下記式(5−1)と式(5−2)を用いて前記A層と前記B層の層厚みが段階的に変化し、積層数が30層以上1000層以下であり、
透過光のa*値が−15以上0以下、かつb*値が0以上40以下である[I]から[V]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
(5−1)2×(na・da+nb・db)=λ
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
(5−2)100−((na−nb)/(na+nb))×100=T
L:積層数
T:透過率(%)
[VI]LEDを光源とする画面の保護に用いる[I]から[V]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムを用いた画面保護用フィルム。
本発明により、色調ムラの無い優れた表面品位を有し、さらに光学的に優れた透過性を有する、LEDを光源とする画面の保護などに用いる積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
フラッグピーク角度測定の測定角度(2θ)−R(a.u.)グラフ ロッキングカーブ測定の測定角度(θ)−強度(a.u.)グラフ 積層ポリエステルフィルムの設計層厚みを示す図
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂Aからなる層(以下、A層という)とポリエステル樹脂Bからなる層(以下、B層という)を有し、厚み方向に交互に30層以上積層され、A層とB層の積層界面粗さが0.2nm以上6.0nm以下である。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、A層とB層を有し、厚み方向に交互に合計30層以上積層された構造であることが必要である。より好ましくは、厚み方向に交互に合計250層以上積層された構造であり、さらに好ましくは、800層以上積層された構造である。30層未満の場合、反射波長、反射率、および透過率を制御することができなくなることがある。また、積層装置の大型化や積層数が多くなり過ぎることによる、積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、1000層以下であることが現実的である。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、A層とB層の積層界面粗さが0.2nm以上6.0nm以下であることが必要であり、本発明の特徴である。積層界面粗さが6.0nmを超える場合、フィルム表面の色調むらが発生することがある。一方、積層界面粗さが0.2nmより小さい場合、フィルム破れなどが発生し、生産性が低下することがある。
本発明におけるA層とB層の積層界面粗さは、後述する実施例のX線反射率法(Thin−Film Parameters Analysis using X−Ray Reflectometry)により測定することができる。
本発明におけるA層、B層の各層を構成する樹脂は、強度、耐熱性、透明性および汎用性の観点から、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体等を挙げることができる。中でも屈折率の高いテレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種類のみを用いても良く、2種類以上を併用しても良く、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合しても良い。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコール等を挙げることができる。中でも、エチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種類のみを用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
前記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂から選ばれた樹脂Aおよび樹脂Bの好ましい組み合わせは、一方の樹脂と同一の基本骨格を含む樹脂を用いることが好ましい。ここで、本発明で言う「基本骨格」とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことを指し、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合、エチレンテレフタレートが基本骨格であり、この場合の他の樹脂としては、例えば、エチレンテレフタレート単位とシクロヘキサン1,4−ジメチレンテレフタレート単位からなる重合体(共重合体)が挙げられる。また、別の例として、一方の樹脂がポリエチレンの場合、エチレンが基本骨格である。同一の基本骨格の樹脂を用いると、積層フィルムの製膜において、フローマーク等の積層不良や層間での剥離等の問題が生じ難くなる。
本発明におけるA層を構成するポリエステル樹脂Aとしては、高い積層精度を維持する観点から、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを用いることが好ましい。
本発明におけるB層を構成するポリエステル樹脂Bとしては、屈折率の上昇を抑制する観点から、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル酸、シクロヘキサンジカルボン酸を含有、または、スピログリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノキシエタノールフルオレン、ビスフェノールA成分を含有した上記ポリエステル樹脂Aの共重合体を、上記ポリエステル樹脂Aと混合または単独で用いることが好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、前記A層と前記B層の面内平均屈折率の差が0.01以上0.10以下であることが好ましい。前記A層とB層の面内平均屈折率の差が0.10を超える場合、透過光の色付きが大きくなることがある。A層とB層の面内平均屈折率の差が0.01未満の場合、波長帯域400〜450nm、および450〜460nmにおける平均透過率が80%を超えるため、LEDを光源とする画面の保護などに用いる上で、ブルーライト波長をカット出来なくなることがある。
前記A層と前記B層の面内平均屈折率の差が0.01以上0.10以下を達成する手段としては、A層を構成するポリエステル樹脂Aとして、ポリエチレンテレフタレートを用い、B層を構成するポリエステル樹脂Bとして、ポリエチレンテレフタレートを35wt%以上50wt%以下と、シクロヘキサンジメタノール成分を酸成分に対して25mol%〜35mol%含むポリエステルを15wt%以上65wt%以下含有することが好ましい。シクロヘキサンジメタノール成分が25mol%未満の場合、A層とBとの密度差が小さく、A層とB層との屈折率差が不十分となることがある。シクロヘキサンジメタノール成分が35mol%を越える場合、密着性が不足して層間剥離が発生することがある。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、下記式(3−1)を満足することが好ましい。
(3−1)0.1≦|(RA+RB)/2−RC|≦5.0
RA:1000mm幅のフィルムの幅方向の中心から、幅方向の一方向(A方向)に400mmの位置におけるA層とB層の積層界面粗さ(nm)
RB:1000mm幅のフィルムの幅方向の中心から、幅方向の前記A方向と反対方向(B方向)に400mmの位置におけるA層とB層の積層界面粗さ(nm)
RC:1000mm幅のフィルムの幅方向の中心におけるA層とB層の積層界面粗さ(nm)
上記式(3−1)が5.0を超える場合、フィルム表面の色調むらが発生することがある。一方、積層界面粗さが0.1nmより小さい場合、フィルム破れなどの発生により生産性が低下することがある。
本発明におけるA層とB層の積層界面粗さは、後述する実施例のX線反射率法(Thin−Film Parameters Analysis using X−Ray Reflectometry)により測定することができる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、MD方向のヤング率が2.7GPa以上4.0GPa以下であることが好ましい。ヤング率を2.7GPa以上とすることで、フィルム搬送時の張力による微小なフィルム変形を抑制でき、特にディスプレイ部材に貼り合わせの際などでの外観不良を抑制することが可能である。またヤング率が4.0GPa以下とすることで、経時での分子の緩和を抑制し、色調むらや外観不良を抑制することが可能となる。更に好ましくは3.0GPa以上3.8GPa以下である。
本発明の積層ポリエステルフィルムのMD方向のヤング率が2.7GPa以上4.0GPa以下を満足する方法は特に限定されないが、長手方向に延伸する際の延伸倍率を調整する方法や長手方向の温度を調整する方法、特に横延伸後の熱処理時にフィルムを横方向に微延伸する方法、横延伸後の熱処理の温度を調整する方法が挙げられる。特に横延伸後の熱処理時にフィルムを横方向に微延伸することでフィルムの収縮緩和抑制により、ヤング率を上記範囲に調整することが可能である。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、前記A層と前記B層の層厚み比が1.0:0.25から1.0:2.0であり、前記B層の層厚みが10nm以上200nm以下であることが好ましい。A層とB層の層厚み比が1.0:0.25から1.0:2.0の範囲を超える場合、波長帯域400〜450nm、かつ波長帯域450〜460nmにおける平均透過率が80%超えるため、LEDを光源とする画面の保護などに用いる上で、ブルーライト波長をカット出来なくなることがある。
本発明における積層構成は、層厚みが一方の表層から反射側の表面に向かうにつれて段階的に変化する層構成を含んでいることが好ましい。これにより、広帯域で反射率を得られ、波長帯域400〜450nm、かつ波長帯域450〜460nmにおける平均透過率が安定した積層ポリエステルフィルムとすることができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、波長帯域400〜450nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、波長帯域450〜460nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、
かつ波長帯域500〜780nmにおける最小透過率が85%以上95%以下とするために、下記式(5−1)と式(5−2)を用いて前記A層と前記B層の層厚みが段階的に変化し、積層数が30層以上1000層以下であり、透過光のa*値が−15以上0以下、かつb*値が0以上40以下であることが好ましい。
(5−1)2×(na・da+nb・db)=λ
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
(5−2)100−((na−nb)/(na+nb))×100=T
L:積層数
T:透過率(%)
前記A層と前記B層の層厚みが一方の表層から反射側の表面に向かうにつれて不規則に変化する層構成の場合、波長帯域400〜450nm、かつ波長帯域450〜460nmにおける平均透過率が安定しないばかりか、波長500〜780nmの領域にピンキーなピークが発生し、色付きが発生した積層ポリエステルフィルムとなることがある。
具体的には、所望の反射波長帯域の端部となる波長λ、λ’を決定し、既知の薄膜層における積層比と屈折率から上記式(5−1)に従い反射波長λに対応する設計層厚みdA、dBを、さらに、もう一方の反対帯域の端部である反射波長λ’に対応する層厚みdA’、dB’をそれぞれ求める。本発明においては、積層構成をA層,B層について、層厚みdA→dA’間、dB→dB’間を、それぞれ単調増加もしくは単調減少と連続的、もしくは離散的に変化する層厚み分布となるような積層構成とする。
尚、光学計算の理論については、H.A.Macleod(訳小倉繁太郎)「光学薄膜」(日刊工業新聞社)(1989)、小檜山 光信「光学薄膜の基礎理論」(オプトロニクス社)(2003)に記載されている。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、波長帯域400〜450nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、波長帯域450〜460nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、かつ波長帯域500〜780nmにおける最小透過率が85%以上95%以下であることが好ましい。
波長帯域400〜450nmにおける平均透過率、および波長帯域450〜460nmにおける平均透過率が30%未満の場合、補完色である黄味の色付きが強くなるばかりでなく、LEDを光源とする画面の保護などに用いる上で、画面に貼った際に画面の文字が見え難くなることがある。波長帯域400〜450nmにおける平均透過率、および波長帯域450〜460nmにおける平均透過率が80%超える場合、LEDを光源とする画面の保護などに用いる上で、ブルーライト波長をカットできなくなることがある。
波長帯域500〜780nmにおける最小透過率が85%未満の場合、画面に貼った際に画面の文字が見えにくくなるばかりでなく、色付きが発生することがある。最小透過率の上限は特に限定されるものではないが、95%以下が現実的である。
上記の平均透過率に制御することで、透過光のa*値が−15以上0以下、かつb*値が0以上40以下を達成することができる。
本発明では、上述した波長帯域400〜450nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、波長帯域450〜460nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、かつ波長帯域500〜780nmにおける最小透過率が85%以上95%以下を達成するために、各層ごとの層厚みを個別に制御できるフィードブロックと流路形状がほぼ四角のスタティックミキサーを併用する積層装置を用いることが好ましい。ここで、各層の厚みを精度良く制御するためには、加工精度0.1mm以下の放電加工、ワイヤー放電加工にて、各層の流量を調整する微細スリットを設けたフィードブロックを用いることが好ましい。また、この際、樹脂温度の不均一性を低減するため、熱媒循環方式による加熱であることが好ましい。また、フィードブロック内の壁面抵抗を抑制するため、壁面の粗さを0.4S以下にするか、室温下における水との接触角が30°以上であることが好ましい。また、さらに好ましい層厚みの分布を制御する方法は、フィードブロックの各スリット板のスリット毎の巾や長さを全て調整することである。しかしながら、全てのスリットサイズ設計だけでは、層間の流量バランスが決定されるのみであるため、最終的な層厚み分布は積層ポリエステルフィルムの厚みによって決定される。
上述した積層構造を達成する手段としては、層数については、フィードブロック内のスリット数、また、層厚みについては、スリット長さ、奥行き、および巾を調整することで層間の厚みの比率(層厚み分布)が決定され、さらに積層ポリエステルフィルムの厚み調整により、個々の層厚みが決定される。積層ポリエステルフィルムの厚み調整は、キャスティングドラムなどの冷却ロールの周速度、もしくは押出機の吐出量により調整することができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、両側の最表層と中間層に3層以上の厚膜層を形成することが好ましい。このことにより、積層プロセス上では近傍の薄膜層の薄膜化を抑制するだけでなく、本発明の積層ポリエステルフィルムの表層部の層間剥離を抑制する保護層としての役割を果たすことができる。この薄膜化の原因として、最表層部となる樹脂流れは、製造工程では、流路の壁面部に沿って流れるため流動抵抗を受けやすくなる。同様に、隣接する薄膜層になる層も壁面からの距離が近いために流動抵抗を受けて流量が少なくなり、層毎でみると結果的に層厚みが薄くなる。しかしながら、最表層に流れる樹脂流れの流量を多くすることにより、薄膜層になる層の樹脂流れは、壁面から遠ざかるにつれて、流動抵抗を受け難くなり薄膜化を防ぐことができる。この薄膜化を防ぐ観点から、少なくとも両側の最表層に1μm以上10μm以下である厚膜層形成することが好ましい態様である。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、フィルム全体厚みが10μm以上200μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは20μm以上100μm以下であり、特に好ましくは30μm以上50μm以下である。
次に、本発明の積層ポリエステルフィルムの好ましい製造方法の一例を以下に説明するが、これによって制限されるものではない。
まず、ポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bをペレットの形態で用意する。該ペレットは、必要に応じて熱風中あるいは真空下で乾燥された後、各々2台の押出機にそれぞれ供給される。各押出機内において、融点以上に加熱溶融されたポリエステル樹脂は、ギヤポンプ等でポリエステル樹脂の押出量を均一化してフィルター等を介して異物や変性した樹脂を取り除く。2台の押出機を用いて異なる流路から送り出されたポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bは、それぞれ多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を、少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが望ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度に積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。この装置では、各層の厚みをスリット形状(長さ、幅、間隙)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。一方、従来の装置では、300層以上の積層を達成するためには、スクエアーミキサーを併用することが一般的であるが、このような方法では積層流が相似系で変形して積層されるために、任意の層厚みを達成することが困難である。
本発明では多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いる。ただし、この別個のフィードブロックから送り込まれた樹脂が合流する箇所では合流直後に層厚み分布が変化し、幅方向の色調をばらつかせる大きな一因となっていた。さらにはフィードブロックから口金までの経路で配管の壁面の影響により配管付近の樹脂速度が低下するため、配管壁面付近と配管中心部の流速差により更にフィルム幅方向の色調均一性が悪化していた。そのため、フィルム最表層部および別個のフィードブロックの樹脂合流部の一定の距離を同一のポリマーで置換することで積層比を崩すことなく、幅方向で均一な色調を発現する積層フィルムを得ることができる。このとき、積層フィルムの両側の最表層の厚膜層をポリエステル樹脂Aとする場合、樹脂Aからなる層が表層厚膜層(両側の最表層)に該当する。また、中層厚膜層とする樹脂は、耐押跡性向上のために高結晶性樹脂とすることが好ましい。厚膜層の厚み調整は該当する層の厚みに相当する各流量をスリットの間隙で調整することが好ましく、この際、各スリット間隙の間隙精度は±10μm以下であることが好ましい。
次に、本発明の積層ポリエステルフィルムは、波長帯域400〜450nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、波長帯域450〜460nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、かつ波長帯域500〜780nmにおける最小透過率が85%以上95%以下とするために、下記式(5−1)と式(5−2)を用いて前記A層と前記B層の層厚みが段階的に変化し、積層数が30層以上1000層以下として、各層の層厚みを設計する。
(5−1)2×(na・da+nb・db)=λ
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
(5−2)100−((na−nb)/(na+nb))×100=T
L:積層数
T:透過率(%)
このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の回転冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルム(無延伸フィルム)が得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針金状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の回転冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の回転冷却体に密着させ急冷固化させる方法や、ニップロールにて回転冷却体に密着させて急冷固化させる方法も好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルム(無延伸フィルム)は、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向及び幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二軸方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向及び/または幅方向に再延伸しても良い。特に本発明においては面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
まず、逐次二軸延伸の場合について説明する。ここで長手方向の延伸とは、フィルムに長手方向に分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行っても良く、また、複数本のロール対を用いて多段階で行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムに易滑性、易接着性などの機能を付与するために塗布層を設ける場合には、塗剤をコーティングして積層する方法が好ましい。塗剤をコーティングする方法としては、本発明における積層ポリエステルフィルムの製造工程とは別工程でコーティングを行う方法、いわゆるオフラインコーティング方法と、本発明における積層ポリエステルフィルムの製造工程中にコーティングを行うことで塗布層を一度に積層させる、いわゆるインラインコーティング方法がある。コストの面や塗布厚みの均一化の面からインラインコーティング方法を採用することが好ましく、その場合に用いられる塗液の溶媒は、環境汚染や防爆性の観点から水系であることが好ましく、水を用いることが最も好ましい態様である。
インラインコーティングで塗布層を積層する場合には、一軸延伸された積層ポリエステルフィルムに連続的に塗布層を構成する塗剤を塗布する。溶媒として水を用いた塗剤(水系塗剤)の塗布方法としては、例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法およびダイコート法などを用いることができる。
水系塗剤を塗布する前に、積層ポリエステルフィルムの表面にコロナ放電処理等を施すことが好ましい。これは、積層フィルムと塗剤との接着性が向上し、塗布性も良好となるためである。
塗布層には、発明の効果を損なわない範囲であれば、架橋剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑材、顔料、染料、有機または無機の粒子、充填材、界面活性剤等を配合しても良い。
続いて行う幅方向の延伸とは、フィルムの幅方向に分子配向を与えるための延伸を言い、通常はテンター装置を用いて、フィルムの両端部をクリップで把持しながら搬送して、フィルムに熱を加えて予熱した後、幅方向に延伸する。テンター装置の直前に塗布された水系塗剤はこの予熱時に乾燥される。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましい。また、延伸温度としては本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
二軸延伸された積層ポリエステルフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター装置内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うことが好ましい。より具体的には、熱処理前半温度180℃以上210℃以下で、幅方向に1%以上10%以下、好ましくは3%以上7%で微延伸し、熱処理中盤温度200℃以上240℃以下で、幅方向に1%以上10%以下、好ましくは3%以上7%で微延伸し、さらに、熱処理後半温度150℃以上200℃で、必要に応じて幅方向に1%以上10%以下で弛緩処理を施す。
本発明では、A層とB層の積層界面粗さを6.0nm以下とするために、前記熱処理条件で微延伸を行うことが重要である。一方、熱処理前半および熱処理中盤において、幅方向に10%より大きい微延伸を実施するとフィルムの破れが発生し、生産性が低下する場合がある。 このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取られる。
次いで、同時二軸延伸の場合について説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、連続的に塗布層を構成する塗剤を塗布する。溶媒として水を用いた塗剤(水系塗剤)の塗布方法としては、例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法およびダイコート法などを用いることができる。
水系塗材を塗布する前に、積層ポリエステルフィルムの表面にコロナ放電処理などを施すことが好ましい。これは、積層ポリエステルフィルムと塗剤との接着性が向上し、塗布性も良好となるためである。次に、塗剤を塗布したキャストフィルム(無延伸フィルム)を同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時及び/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能で、かつ任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、面積倍率として8〜30倍が特に好ましい。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うことが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前及び/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。より具体的には、熱処理前半温度180℃以上210℃以下で、長手方向と幅方向に1%以上10%以下、好ましくは3%以上7%で微延伸し、熱処理中盤温度200℃以上240℃以下で、長手方向と幅方向に1%以上10%以下、好ましくは3%以上7%で微延伸し、さらに、熱処理後半温度150℃以上200℃で、必要に応じて長手方向と幅方向に1%以上10%以下で弛緩処理を施す。
本発明では、A層とB層の積層界面粗さを6.0nm以下とするために、前記熱処理条件で微延伸を行うことが重要である。一方、熱処理前半および熱処理中盤において、幅方向に10%より大きい微延伸を実施するとフィルムの破れが発生し、生産性が低下する場合があるため上記範囲で微延伸を実施することが重要である。
このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取られる。
本発明の積層フィルムは、色調ムラの無い優れた表面品位を有し、さらに光学的に優れた透過性を有するため、LEDを光源とする画面の保護に用いる画面保護用フィルムとして好適に用いることができる。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
(1)フィルムの層構成、層厚み、積層数
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuOやOsOなどを使用した染色技術を用いても良い。
積層構造の具体的な求め方を、説明する。約4万倍のTEM写真画像を、CanonScanD123Uを用いて画像サイズ720dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで画像処理ソフトImage−Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このJPGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBAプログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。
この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。得られた層厚みのうち、薄膜層は1μm未満の厚みの層とした。薄膜層については、隣り合うA層およびB層の層厚みの和の平均値を全ての組について順次求めた。隣り合うA層とB層からなる組の平均層厚みと隣り合う組の平均層厚みとの差が50nm以下の範囲で連続的に単調増加もしくは単調減少配列している群を傾斜構造と定義した。傾斜構造は組番号と平均層厚みの関係を最小二乗近似した際、そのRの二乗が0.5以上となる正もしくは負の傾きを持つものとした。
(2)フィルムの主配向軸(TD)
フィルムの任意の点において100mm×100mmの寸法でサンプルを切り出し、KSシステムズ製(現王子計測機器)のマイクロ波分子配向計MOA−2001A(周波数4GHz)を用い、ポリエステルフィルムの面内の主配向軸を求め、TD方向とした。
(3)積層界面粗さ
(フラッグピーク角度測定)
積層界面粗さは、フィルムのMD方向に長さ3cm×幅3cmのサンプルを切り出し、Rigaku製SmartLabを用いてX線反射率法によって求めた。角度2θ=0.33〜1.00°の間に生じるフラッグピークのピーク極大値から角度θ=α°を読み取った(図1)。
(ロッキングカーブ測定)
次に、フラッグピーク角度α°についてロッキングカーブ測定を行い得られたピークの半値幅をA(図2)とする。同様に広角側オフフラッッグピークα−0.30°、小角側オフフラッッグピークα−0.30°についてロッキングカーブ測定を行い、得られたピークの半値幅をそれぞれB、C(図2)とし、下記式(21)を用いて積層界面粗さσを算出した。
(21)σ=0.15418/2sin((B+C)/2−A)
測定条件は下記の通りとした。
・装置:Rigaku製SmartLab
・解析ソフト:Rigaku製Grobal Fit
(フラッグピーク角度測定)
・測定範囲(試料表面とのなす角):0〜8.0°、0.01°ステップ
・入射スリットサイズ:0.05mm×10.0mm
・受光スリットサイズ:0.15mm×20.0mm。
(ロッキングカーブ測定)
・測定範囲(試料垂直方向とのなす角):α−0.20〜α+0.20°、0.01°ステップ
なお、評価は、フィルムの任意の位置における主配向軸方向をTD方向とし、該位置を中心(TD方向中心)として、TD方向に沿って2方向それぞれ500mm幅を採取し、1000mm幅としたTD方向の中心のσをRC、中心からTD方向の任意の一方向(A方向)の400mmの位置のσをRA、中心からTD方向のA方向と反対の方向(B方向)の400mmの位置のσをRBとし、3点についてそれぞれ3回ずつ行った。
また幅方向の積層界面粗さのバラツキは下記式(22)で求めた。
(22)|(RA+RB)/2−RC|
(4)波長帯域400〜450nmの平均透過率、波長帯域450〜460nmの平均透過率、波長帯域500〜780nmの最小透過率
サンプルを5cm×5cmで切り出した。日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で透過率測定を行った(入射角0°)。測定は装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準とし、測定条件としてスリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/min.で測定した。
(5)ヤング率
フィルムをMD方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出し、サンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期張力チャック間距離を50mmとし、温度25℃、湿度65%RHの条件下で、引張速度を300mm/分で引張試験を行った。ヤング率は、引張試験で記録した応力−歪み曲線におけるスタート点の立ち上がり勾配からASTM・D−882−67に準じて測定し、単位はMPaで表した。なお、評価は、3サンプルの測定値の平均値をMD方向のヤング率とした。
(6)面内平均屈折率
積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bをそれぞれ単独で用いて、積層ポリエステルフィルムと同じ製膜条件で単膜フィルムを製膜した。この際の製膜方法は、キャスティングまでは同じ方法で未延伸フィルムを製膜した。次いで、未延伸フィルムからサンプルを10cm×10cmの寸法に切り出し、二軸延伸装置(東洋精機(株))を用いて延伸し、さらに、得られた延伸フィルムを20cm×20cmの金枠に貼り付けてトンネルオーブン(泰伸製作所製)を用いて熱処理を施し、単膜フィルムを得た。なお、製膜時の熱処理温度が熱可塑性樹脂を溶融する温度の場合は、ポリイミドフィルムなどの支持体で挟みトンネルオーブンで熱処理を施した。得られた単膜フィルムのフィルム巾方向中央部からサンプルを長さ4×巾3.5cmの寸法で切り出し、アッベ屈折率計4T(アタゴ(株)製)を用いて、MD、TDの屈折率を求めた。光源は、ナトリウムD線 波長589nmを用いた。MDとTDの屈折率の平均を面内屈折率とし、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂B間での面内平均屈折率の差を面内屈折率差(絶対値)として求めた(|ポリエステル樹脂Aの面内平均屈折率−ポリエステル樹脂Bの面内平均屈折率|)。なお、浸液には、ヨウ化メチレン、テストピースの屈折率は、1.74のものを用いた。
(7)色度a、色度b、明度L、色差ΔE
分光測色計コニカミノルタ(株)製CM−3600dを用いて、フィルム幅方向1mについて、幅方向に10cmの間隔で各点における色度a、色度b、明度Lを、測定径φ25.4mmのターゲットマスク条件下で、正反射光のSCI方式にて測定し、n数3の平均値を求めた。なお、白色校正板はCM−A103、ゼロ校正ボックスはCM−A104を用いた。
次に、下記式(51)を用いて色差ΔEを求めた。色差ΔEは、フィルム幅方向1mにおける幅方向に10cmの間隔で測定した各点において、最大値となる組み合わせの値とした。
(51)ΔE=((ΔL+(a+(b1/2
(8)色調むら
(7)で求めた色差ΔEの測定結果より、以下の基準で評価した。
○:5.0以下
×:5.0超
(9)生産性
本ポリエステルフィルムを生産するにあたって、製品化をはじめてからフィルム破れにより製品採取が中断するまでの製膜継続時間から生産性を評価した。△以上を合格とした。
○:6時間製膜してフィルム破れは発生しなかった。
△:6時間製膜してフィルム破れが1回だけ発生した。
×:6時間製膜してフィルム破れが2回以上発生した。
(実施例1)
ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.8のポリエチレンテレフタレート(以下PETということがある)を用いた。またポリエステル樹脂Bとしてシクロヘキサンジメタノールが30mol%共重合された共重合ポリエステル(以下、PETGということがある)59wt%とPET41wt%を均等に分散したブレンドチップ群を用いた。これらポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bをそれぞれ乾燥後、押出機に供給した。
ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプにて吐出比がポリエステル樹脂A/ポリエステル樹脂B=1.66/1になるように計量しながら、フィルターを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流したポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bは、スタティックミキサーに供給し、ポリエステル樹脂Aからなる層(以下、A層という)が455層、ポリエステル樹脂Bからなる層(以下、B層という)が454層からなる厚み方向に交互にスリット数455個のスリット板1枚と、454個のスリット板1枚を用いた構成である909層フィードブロックにて合流させて、厚み方向に交互に909層積層された積層体とした。
但し、用いた各スリット板においては、図3に示す積層ポリエステルフィルムの設計層厚みを示す図と類似した設計とした。ここでは、スリット巾は、全て一定とし、長さのみ変化させた。なお、スリット長の変化の割合は、0.59とした。
図3中で詳細に示すと、厚膜層ポリエステルA 4、5、6を挟み、薄膜層領域1,2,3に、実線のA層と破線のB層が、厚膜層4層番号から昇順、降順に層番号を進め、次の厚膜層5に到達するまでの薄膜層の分布である。
このようにして得られた計909層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャスティングフィルムは、85℃から100℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.3倍延伸後、一軸延伸フィルムをテンター装置に導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で幅方向に3.7倍延伸し、そのままテンター装置にて、熱処理前半温度200℃、熱処理中盤温度225℃で熱処理を施した。このとき、熱処理前半で幅方向に7%微延伸を行い、さらに熱処理中盤で幅方向に3%微延伸を行いながら熱処理を施した。その後リラックス率3%および150℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、ワインダーで巻き取り、厚み42μmでの積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリエステル樹脂BとしてPETG61wt%とPET39wt%を均等に分散したブレンドチップ群を用い、テンター装置にて、熱処理前半で幅方向に9%微延伸を行い、フィルム全体厚みを41μmとした以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリエステル樹脂BとしてPETG60wt%とPET40wt%を均等に分散したブレンドチップ群を用い、テンター装置にて、熱処理前半で幅方向に3%微延伸を行い、熱処理中盤で幅方向微延伸を行わず熱処理を施した以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリエステル樹脂BとしてPETG42wt%とPET58wt%を均等に分散したブレンドチップ群を用い、テンター装置にて、熱処理前半で幅方向に5%微延伸を行って熱処理を施した以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリエステル樹脂BとしてPETG33wt%とPET67wt%を均等に分散したブレンドチップ群を用い、テンター装置にて、熱処理前半で幅方向に5%微延伸を行い、フィルム全体厚みを40μmとした以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例6)
ポリエステル樹脂BとしてPETG59wt%とPET41wt%を均等に分散したブレンドチップ群を用い、テンター装置にて、熱処理前半で幅方向に5%微延伸を行い、フィルム全体厚みを40μmとした以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例7)
ポリエステル樹脂BとしてPETG62wt%とPET38wt%を均等に分散したブレンドチップ群を用い、テンター装置にて、熱処理前半で幅方向に9%、熱処理中盤で幅方向に8%微延伸を行い、フィルム全体厚みを41μmとした以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリエステル樹脂BとしてPETG57wt%とPET43wt%を均等に分散したブレンドチップ群を用い、テンター装置にて、微延伸を行わず熱処理を施した以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリエステル樹脂BとしてPETG6wt%とPET94wt%を均等に分散したブレンドチップ群を用い、テンター装置にて、微延伸を行わず熱処理を施した以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリエステル樹脂BとしてPETG89wt%とPET11wt%を均等に分散したブレンドチップ群を用い、テンター装置にて、微延伸を行わず熱処理を施した以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例4)
A層の最小の層厚みを14nm、最大の層厚みを283nmとし、Bの最小の層厚みを30nm、最大の層厚みを53nmとし、フィルム全体厚みを41μmとし、微延伸を行わず熱処理を施した以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例5)
A層の最大の層厚みを802nmとし、Bの最大の層厚みを1121nmとし、積層数を21とし、フィルム全体厚みを10μmとし、微延伸を行わず熱処理を施した以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例6)
A層の最大の層厚みを52nmとし、Bの最大の層厚みを63nmとし、積層数を1013とし、フィルム全体厚みを41μmとし、微延伸を行わず熱処理を施した以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例7)
ポリエステル樹脂BとしてPETG57wt%とPET43wt%を均等に分散したブレンドチップ群を用い、テンター装置にて、熱処理前半で幅方向に12%、熱処理中盤で幅方向に12%微延伸を行った以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、色調むらの無い優れた表面品位を有し、さらに光学的に優れた透過性を有する。例えば、LEDを光源とする画面の保護として、自然な色調で装着時に色調むらが無く、LED特有の450〜470nmのブルーライト波長範囲をカットすることで、眼精疲労や生体リズムへの影響低減に効果的な画面保護用ブルーライトカットフィルムとして好適に用いることができる。
1:スリット板1により形成される層厚み分布
2:スリット板2により形成される層厚み分布
3:スリット板3により形成される層厚み分布
4:A層の厚膜層
5:A層の厚膜層
6:A層の厚膜層
図3の実線:A層の層厚み分布
図3の点線:B層の層厚み分布

Claims (7)

  1. ポリエステル樹脂Aからなる層(以下、A層という)とポリエステル樹脂Bからなる層(以下、B層という)を有し、厚み方向に交互に30層以上積層され、A層とB層の積層界面粗さが0.2nm以上、6.0nm以下である積層ポリエステルフィルム。
  2. 前記A層と前記B層の面内平均屈折率の差が0.01以上0.10以下である請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
  3. 下記式(3−1)を満足する請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
    (3−1)0.1≦|(RA+RB)/2−RC|≦5.0
    RA:1000mm幅のフィルムの幅方向の中心から、幅方向の一方向(A方向)に400mmの位置におけるA層とB層の積層界面粗さ(nm)
    RB:1000mm幅のフィルムの幅方向の中心から、幅方向の前記A方向と反対方向(B方向)に400mmの位置におけるA層とB層の積層界面粗さ(nm)
    RC:1000mm幅のフィルムの幅方向の中心におけるA層とB層の積層界面粗さ(nm)
  4. MD方向のヤング率がいずれも2.7GPa以上4.0GPa以下である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 前記A層と前記B層の層厚み比が1.0:0.25から1.0:2.0であり、前記B層の層厚みが10nm以上200nm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
  6. 波長帯域400〜450nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、
    波長帯域450〜460nmにおける平均透過率が30%以上80%以下、
    かつ波長帯域500〜780nmにおける最小透過率が85%以上95%以下とするために、下記式(5−1)と式(5−2)を用いて前記A層と前記B層の層厚みが段階的に変化し、積層数が30層以上1000層以下であり、
    透過光のa*値が−15以上0以下、かつb*値が0以上40以下である請求項1〜5のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
    (5−1)2×(na・da+nb・db)=λ
    na:A層の面内平均屈折率
    nb:B層の面内平均屈折率
    da:A層の層厚み(nm)
    db:B層の層厚み(nm)
    λ:主反射波長(1次反射波長)
    (5−2)100−((na−nb)/(na+nb))×100=T
    L:積層数
    T:透過率(%)
  7. LEDを光源とする画面の保護に用いる請求項1〜6のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムを用いた画面保護用フィルム。
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