JP2015027746A - 2軸延伸多層積層ポリエステルフィルム及びそれを用いてなる画面保護用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】画面を遮ることなく、LED特有の450〜460nmのブルーライト波長範囲を大きくカットすることで、自然な色調で装着時に著しい色調変化が少なく、眼の疲労感及び、生体リズムへの影響低減に効果的な画面保護用ブルーライトカットフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルAを主成分とするA層と、A層との面内平均屈折率の差が0.01以上0.06以下であるポリエステルBからなるB層とが厚み方向に交互に配列された構造を有し、A層とB層の層厚み比が1.0:0.9〜1.0:1.2でB層の厚さが40〜80nmに段階的に層厚さを変化させた層数30〜1000層を有した2軸延伸多層積層ポリエステルフィルム
【選択図】図1
【解決手段】ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルAを主成分とするA層と、A層との面内平均屈折率の差が0.01以上0.06以下であるポリエステルBからなるB層とが厚み方向に交互に配列された構造を有し、A層とB層の層厚み比が1.0:0.9〜1.0:1.2でB層の厚さが40〜80nmに段階的に層厚さを変化させた層数30〜1000層を有した2軸延伸多層積層ポリエステルフィルム
【選択図】図1
Description
本発明は、LEDを光源とする画面の保護に用いられる2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムに関する。
最近の研究より、可視光線の中で、最も強いエネルギーを持つ光波長380〜495nmであるブルーライトは、角膜や水晶体で吸収されずに網膜に到達するため、浴び続けると、網膜の「黄斑」がダメージを受け、眼病「加齢黄斑変性」の原因になる場合がある。
また、ブルーライトは、眼精疲労やドライアイなどのVDT症候群の大きな要因であることがわかってきた。更に、波長460nmがサーカディアンリズムをコントロールする「第3の視細胞」に影響を与えることが判明している。
パソコンやスマートフォンなどに使用されているLEDディスプレイには、ブルーライトの波長が強く、特にサーかディアンリズムに影響を与える460nmが最も強い特徴を持っている。
昨今、パソコンやスマートフォンなどにブルーライトカットフィルムが使用されている。ブルーライト波長の吸収成分としてフラーレン類を含有することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、ブルーライト波長領域に透過率の低い領域が存在し、色付きを抑えることが出来なかった。
また、干渉反射技術を用いて、任意の波長を反射することが提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。しかし、LED特有のブルーライト波長領域を超えた500〜780nmにて、最小透過率が85%未満であるため、色付きが大きく、画面保護用途に使用するものとして実用的ではなかった。
波長500〜780nmの透過率を85%以上確保することでLEDを光源とする画面の保護に使用した場合に、画面を遮ることなく、LED特有の450〜460nmのブルーライト波長範囲を大きくカットすることで、眼の疲労感及び、生体リズムへの影響低減に効果的な画面保護用ブルーライトカットフィルムを提供する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルAを主成分とするA層と、A層との面内平均屈折率の差が0.01以上0.06以下であるポリエステルBからなるB層とが厚み方向に交互に配列された構造を有した2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムであって、該2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの波長400〜450nmの平均光線透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、波長450〜460nmの平均光線透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、波長500〜780nmの最小光線透過率が85%以上、95%以下とするために下記式(1)と式(2)を用いて該構成のA層とB層の層厚み比が1.0:0.9から1.0:1.2で、該B層の厚さが40nm以上、80nm以下に段階的に層厚さが変化し、層数30層以上、1000層以下に設計された透過光のa*値が−15以上、0以下、b*値が0以上、40以下、であることを特徴とする2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムである。
2×(na・da+nb・db)=λ (1)
na:A層の面平均屈折率
nb:B層の面平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
100−((naL−nbL)/(naL+nbL))2×100=T (2)
L:層数
T:透過率
2×(na・da+nb・db)=λ (1)
na:A層の面平均屈折率
nb:B層の面平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
100−((naL−nbL)/(naL+nbL))2×100=T (2)
L:層数
T:透過率
本発明によれば、波長500〜780nmの透過率を85%以上確保することでLEDを光源とする画面の保護に使用した場合に、画面を遮ることなく、LED特有の450〜460nmのブルーライト波長範囲を大きくカットすることで、自然な色調で装着時に著しい色調変化が少なく、眼の疲労感及び、生体リズムへの影響低減に効果的な画面保護用ブルーライトカットフィルムを提供することができる。
以下に本発明について詳細に述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の態様は当然本発明の範囲に含まれる。
ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルAを主成分とするA層と、A層との面内平均屈折率の差が0.01以上0.06以下であるポリエステルBからなるB層とが厚み方向に交互に配列された構造を有した2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムであって、該2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの波長400〜450nmの平均光線透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、波長450〜460nmの平均光線透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、波長500〜780nmの最小光線透過率が85%以上、95%以下とするために式(1)と式(2)を用いて該構成のA層とB層の層厚み比が1.0:0.9から1.0:1.2で、該B層の厚さが40nm以上、80nm以下に段階的に層厚さが変化し、層数30層以上、1000層以下に設計された透過光のa*値が−15以上、0以下、b*値が0以上、40以下、であることを特徴とする2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムである。
A層とB層の屈折率差について
A層とB層の屈折率差が0.06超えると、透過光の色付きが大きくなる。また、A層とB層の屈折率差が0.01未満では、波長400〜450、450〜460nmの透過率が80%を超えるため、目的のブルーライト波長をカット出来ず、適切ではない。
A層とB層の屈折率差が0.06超えると、透過光の色付きが大きくなる。また、A層とB層の屈折率差が0.01未満では、波長400〜450、450〜460nmの透過率が80%を超えるため、目的のブルーライト波長をカット出来ず、適切ではない。
ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルAを主成分とするA層と、A層との面内平均屈折率の差が0.01以上0.06以下であるポリエステルBを達成する手段としては、ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルを35質量%以上、50質量%未満と、シクロヘキサンジメタノール成分を酸成分に対して25mol%〜35mol%含むポリエステルを15質量%以上、65質量%以下含有することである。この場合、テンターでの熱処理によりB層の配向緩和が起きるため好ましい。
シクロヘキサンジメタノールが25mol%未満ではA層との密度差が小さくA層とB層との屈折率差が不十分となり、35mol%を越えると密着性が不足して層間剥離が発生する。
本発明におけるA層のポリエステルとB層のポリエステルの好ましい組み合わせとしては、A層とB層のSP値(溶解パラメーター)の差の絶対値が1.0以下であることが好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下である場合、層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、A層とB層が同一の基本骨格を含んでなることが好ましい。ここでいう基本骨格とはポリエステルを構成する繰り返しの単位であり、例えば一方のポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレートが基本骨格である。A層とB層のポリエステルが同一の基本骨格を含むポリエステルであるとさらに層間での剥離は生じにくくなるものである。
また、本発明における2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムはA層がポリエチレンテレフタレートからなり、B層のポリエステルがポリエチレンテレフタレート、ポリエステルBが酸成分としてシクロヘキサンジメタノールが25mol%〜35mol%共重合したポリエステルを主成分とするポリエステルである。B層はポリエチレンテレフタレートとの面内屈折率差が大きすぎず、また小さすぎないため、目的となる透過率を得やすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
ここで、主成分とするとは、全成分中の70質量%以上を占めることを言う。
ここで、主成分とするとは、全成分中の70質量%以上を占めることを言う。
層構成について
また、本発明において規則的に積層するとは、A層と、B層とが厚み方向に交互に積層した構造を有していることをいう。なお、それ以上の層についてはその配置の序列については特に限定されるものではない。
また、本発明において規則的に積層するとは、A層と、B層とが厚み方向に交互に積層した構造を有していることをいう。なお、それ以上の層についてはその配置の序列については特に限定されるものではない。
屈折率の異なる2種類の樹脂を積層させることにより、式(1)と式(2)を用いて波長400〜450nmの平均光線透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、波長450〜460nmの平均光線透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、波長500〜780nmの最小光線透過率が85%以上、95%以下とするために下記式(1)を用いて該構成のA層とB層の層厚み比が1.0:0.9から1.0:1.2で、該B層の厚さが40nm以上、80nm以下に段階的に層厚さが変化し、層数30層以上、1000層以下に設計する必要がある。
A層とB層の層厚み比が1.0:0.9から1.0:1.2を超えた場合、透過率が大きくなるため、発波長400〜450nm、かつ、波長450〜460nmの透過率が80%超えるため、好ましくない。
さらに、層厚みが一方の表層から反射側の表面に向かうにつれて段階的に変化する層構成を含んでいることが重要である。この場合、広帯域で反射率を得られ、波長400〜450nm、かつ、波長450〜460nmの透過率が安定した樹脂フィルムとなる。
層厚みが一方の表層から反射側の表面に向かうにつれて不規則に変化する層構成の場合、波長400〜450nm、かつ、波長450〜460nmの透過率が安定しないばかりか、波長500〜780nmの領域にピンキーなピークが発生し、色付きが発生した樹脂フィルムとなる。
具体的には、所望の反射波長帯域の端部となる波長λ、λ’を決定し、既知の薄膜層における積層比と屈折率から上記式(1)に従い反射波長λに対応する設計層厚みdA、dBを、さらに、もう一方の反対帯域の端部である反射波長λ’に対応する層厚みdA’、dB’をそれぞれ求める。
本発明においては、積層構成をA層,B層について、層厚みdA→dA’間、dB→dB’間を、それぞれ単調増加もしくは単調減少と連続的、もしくは離散的に変化する層厚み分布となるような積層構成とする。
本発明においては、積層構成をA層,B層について、層厚みdA→dA’間、dB→dB’間を、それぞれ単調増加もしくは単調減少と連続的、もしくは離散的に変化する層厚み分布となるような積層構成とする。
如何なる光学性能も目的となる機能が決定すれば、光学計算により、その最適な構造が決定されうる。光学計算の理論については、H.A.Macleod(訳小倉繁太郎)「光学薄膜」(日刊工業新聞社)(1989)、小檜山 光信「光学薄膜の基礎理論」(オプトロニクス社)(2003)に記載されている。
本発明ではB層がA層と交互に積層され、A層とB層を30層以上積層されていることが重要である。30層以上積層した構造を含まなければ、波長400〜450nm及び、波長450〜460nmの領域の目的の透過率が得られない。30層以上積層すると、波長400〜450nm及び、波長450〜460nmの領域の目的の透過率が得られる。
また、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、層数が1000層以下であることが重要である。20層から1000層に層数を制御する方法は、フィードブロックを変更することによって可能であり、20層から1000層の範囲に層数が含まれる場合、目的の透過抑制領域を本発明の目的の範囲でバランスさせることができる。
また、本発明の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの厚みは30μm以上50μm以下であることが好ましい。
透過率について
本発明の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムは、波長400〜450nmの平均透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、波長450〜460nmの平均透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、波長500〜780nmの最小透過率が85%以上、95%以下である。
波長400〜450nmの平均透過率、かつ、波長450〜460nmの平均透過率が30%未満であると、補完色である黄味の色付きが強くなるばかりでなく、画面に張った場合に画面の文字が見えにくくなる。
また、波長400〜450nmの平均透過率、かつ、波長450〜460nmの平均透過率が80%超えると、ブルーライト波長の目的カットが達成できない。
本発明の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムは、波長400〜450nmの平均透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、波長450〜460nmの平均透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、波長500〜780nmの最小透過率が85%以上、95%以下である。
波長400〜450nmの平均透過率、かつ、波長450〜460nmの平均透過率が30%未満であると、補完色である黄味の色付きが強くなるばかりでなく、画面に張った場合に画面の文字が見えにくくなる。
また、波長400〜450nmの平均透過率、かつ、波長450〜460nmの平均透過率が80%超えると、ブルーライト波長の目的カットが達成できない。
本発明の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムは、波長400〜450nmの平均透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、波長450〜460nmの平均透過率が30%以上、80%以下であり、好ましくは、波長400〜450nmの平均透過率が60%以上、80%以下であり、かつ、波長450〜460nmの平均透過率が60%以上、80%以下であり、さらに好ましくは、波長400〜450nmの平均透過率が70%以上、80%以下であり、かつ、波長450〜460nmの平均透過率が70%以上、80%以下であり、透過率をあげることで、補完色である黄味の色付きが抑えられる。
波長500〜780nmの最小透過率が85%未満であると、画面に張った場合に画面の文字が見えにくくなるばかりでなく、色付きが発生するため好ましくない。
好ましくは、波長500〜780nmの最小透過率が90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。透過率を上げることで、画面に張った場合に画面の文字が明確に見えるため好ましい。
波長500〜780nmの最小透過率が85%未満であると、画面に張った場合に画面の文字が見えにくくなるばかりでなく、色付きが発生するため好ましくない。
好ましくは、波長500〜780nmの最小透過率が90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。透過率を上げることで、画面に張った場合に画面の文字が明確に見えるため好ましい。
透過色調について
上記波長透過率に制御することで、透過光のa*値が−15以上、0以下、b*値が0以上、40以下を達成できる。
Microsoft ECXELソフトを利用して、上記波長透過率と光源となる波長スペクトルのデータから透過光のa*値およびb*値をもとめることがしられている。
上記波長透過率に制御することで、透過光のa*値が−15以上、0以下、b*値が0以上、40以下を達成できる。
Microsoft ECXELソフトを利用して、上記波長透過率と光源となる波長スペクトルのデータから透過光のa*値およびb*値をもとめることがしられている。
層構成を達成する方法について
本発明の特徴である波長400〜450nmの平均透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、
波長450〜460nmの平均透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、
波長500〜780nmの最小透過率が85%以上、95%以下であることを達成するためには、各層ごとの層厚みを個別に制御できるフィードブロックと流路形状がほぼ四角のスタティックミキサーを併用する積層装置を用いることが好ましい。ここで、各層の厚みを精度良く制御するためには、加工精度0.1mm以下の放電加工、ワイヤー放電加工にて、各層の流量を調整する微細スリットを設けたフィードブロックが好ましい。また、この際、樹脂温度の不均一性を低減するため、熱媒循環方式による加熱であることも好ましい。また、フィードブロック内の壁面抵抗を抑制するため、壁面の粗さを0.4S以下にするか、室温下における水との接触角が30°以上であることも好ましい。また、このようなフィードブロックに併用するスタティックミキサーとしては、下記式gを満たすことが好ましい。
0.02≦Q/(L×A1/2)≦0.08 式g
Q:時間あたりのスタティックミキサーを通過する総吐出量(Kg/h)
L:スタティックミキサー1段分の長さ(mm)
A:スタティックミキサーの流路断面積(mm2)。
本発明の特徴である波長400〜450nmの平均透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、
波長450〜460nmの平均透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、
波長500〜780nmの最小透過率が85%以上、95%以下であることを達成するためには、各層ごとの層厚みを個別に制御できるフィードブロックと流路形状がほぼ四角のスタティックミキサーを併用する積層装置を用いることが好ましい。ここで、各層の厚みを精度良く制御するためには、加工精度0.1mm以下の放電加工、ワイヤー放電加工にて、各層の流量を調整する微細スリットを設けたフィードブロックが好ましい。また、この際、樹脂温度の不均一性を低減するため、熱媒循環方式による加熱であることも好ましい。また、フィードブロック内の壁面抵抗を抑制するため、壁面の粗さを0.4S以下にするか、室温下における水との接触角が30°以上であることも好ましい。また、このようなフィードブロックに併用するスタティックミキサーとしては、下記式gを満たすことが好ましい。
0.02≦Q/(L×A1/2)≦0.08 式g
Q:時間あたりのスタティックミキサーを通過する総吐出量(Kg/h)
L:スタティックミキサー1段分の長さ(mm)
A:スタティックミキサーの流路断面積(mm2)。
さらに好まし層の厚みの分布を制御する方法は、フィードブロックの各スリット板のスリット毎の巾や長さを全て調整することである。
しかしながら、全てのスリットサイズ設計だけでは、層間の流量バランスが決定されるのみであるため、最終的な層厚み分布は2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの厚みによって決定される。
上記した積層構造を達成する手段としては、層数については、フィードブロック内のスリット数、また、層厚みについては、スリット長さ、奥行き、および巾を調整することで層間の厚みの比率(層厚み分布)が決定され、さらに2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの厚み調整により、個々の層厚みが決定される。2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの厚み調整は、キャスティングドラムなどの冷却ロールの周速度、もしくは押出機の吐出量により調整することができる。
薄膜層の層厚み分布は、2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの厚み方向の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて約4万倍程度の倍率で観察することにより、層番号毎の層厚みを求める。一方、5μm以上の厚膜層の厚みは、TEMで約1万倍での断面観察、もしくは走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、約5000倍程度の断面観察で求めることができる。
最表層の厚みについて
本発明の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの少なくとも最表層に厚膜層を形成することが好ましく、このことにより、積層プロセス上では近傍の薄膜層の薄膜化を抑制するだけでなく、本発明の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの表層部の層間剥離を抑制する保護層としての役割を果たす。この薄膜化の原因は、一般的な流体論で議論できる。すなわち、最表層部となる樹脂流れは、製造工程では、流路の壁面部に沿って流れるため流動抵抗を受けやすくなる。同様に、隣接する薄膜層になる層も壁面からの距離が近いために流動抵抗を受けて流量が少なくなり、層毎でみると結果的に層厚みが薄くなる。しかしながら、最表層に流れる樹脂流れの流量を多くすることにより、薄膜層になる層の樹脂流れは、壁面から遠ざかるにつれて、流動抵抗を受け難くなり薄膜化を防ぐことができる。この薄膜化を防ぐ観点から表裏の最表層には、1μm以上10μm以下である厚膜層があることがより好ましい。
本発明の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの少なくとも最表層に厚膜層を形成することが好ましく、このことにより、積層プロセス上では近傍の薄膜層の薄膜化を抑制するだけでなく、本発明の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの表層部の層間剥離を抑制する保護層としての役割を果たす。この薄膜化の原因は、一般的な流体論で議論できる。すなわち、最表層部となる樹脂流れは、製造工程では、流路の壁面部に沿って流れるため流動抵抗を受けやすくなる。同様に、隣接する薄膜層になる層も壁面からの距離が近いために流動抵抗を受けて流量が少なくなり、層毎でみると結果的に層厚みが薄くなる。しかしながら、最表層に流れる樹脂流れの流量を多くすることにより、薄膜層になる層の樹脂流れは、壁面から遠ざかるにつれて、流動抵抗を受け難くなり薄膜化を防ぐことができる。この薄膜化を防ぐ観点から表裏の最表層には、1μm以上10μm以下である厚膜層があることがより好ましい。
製造方法
次に、本発明の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムを製造する好ましい製造方法を以下に説明する。
次に、本発明の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムを製造する好ましい製造方法を以下に説明する。
2種類のポリエステルAおよびポリエステルBをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂などを取り除く。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出されたポリエステルAおよびポリエステルBは次に多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。中でも、各層ごとの層厚みを個別に制御できるマルチマニホールドダイもしくはフィードブロックが好ましい。さらに各層の厚みを精度良く制御するためには、加工精度0.1mm以下の放電加工、ワイヤー放電加工にて、各層の流量を調整する微細スリットを設けたフィードブロックが好ましい。また、この際、樹脂温度の不均一性を低減するため、熱媒循環方式による加熱が好ましい。また、フィードブロック内の壁面抵抗を抑制するため、壁面の粗さを0.4S以下にするか、室温下における水との接触角が30°以上であると良い。
本発明の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムを得るためには、設計するフィルムの分光特性に応じて、最適な積層構成とすることが重要であるが、前記記載の調整を各波長帯域に対応した微細スリットを有するフィードブロックにて製膜を行うことが特に好ましい。
このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法や、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法が好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合について、まず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルのいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
コーティング方法としては、ポリエステルフィルムの製造工程とは別工程でコーティングを行う方法、いわゆるオフラインコーティング方法と、ポリエステルフィルムの製造工程中にコーティングを行い、ポリエステルフィルムに易滑性、易接着性などの機能を付与した積層ポリエステルフィルムを一気に得る、いわゆるインラインコーティング方法がある。しかしながら、コストの面や塗布厚みの均一化の面からインラインコーティング方法を採用することが好ましく、その場合に用いられる塗液の溶剤は、環境汚染や防爆性の点から水系であることが好ましく、水を用いることが最も好ましい態様である。
コーティング方法としては、ポリエステルフィルムの製造工程とは別工程でコーティングを行う方法、いわゆるオフラインコーティング方法と、ポリエステルフィルムの製造工程中にコーティングを行い、ポリエステルフィルムに易滑性、易接着性などの機能を付与した積層ポリエステルフィルムを一気に得る、いわゆるインラインコーティング方法がある。しかしながら、コストの面や塗布厚みの均一化の面からインラインコーティング方法を採用することが好ましく、その場合に用いられる塗液の溶剤は、環境汚染や防爆性の点から水系であることが好ましく、水を用いることが最も好ましい態様である。
溶剤として水を用いた塗材(水系塗剤)の塗布方法としては、例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法およびダイコート法などを用いることができる。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルのいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。
また、塗布されたフィルムは、150〜250℃の加熱ゾーンで熱処理を施すことで、基材フィルムの結晶配向を完了させるだけでなく、不安定構造である易滑性、易接着性層の連続相構造を固定化することができるため、好ましい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合、幅方向における反射ピークの透過率の差が±10%以下にすることが容易となるため好ましい。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。
ハードコート
本発明に好ましく用いられる耐擦傷樹脂層(ハードコート層)は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂または金属酸化物などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂とアクリル系樹脂が好ましく、更に、硬化性、可撓性および生産性の点で、アクリル系樹脂、特に、活性線硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
本発明に好ましく用いられる耐擦傷樹脂層(ハードコート層)は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂または金属酸化物などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂とアクリル系樹脂が好ましく、更に、硬化性、可撓性および生産性の点で、アクリル系樹脂、特に、活性線硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
[物性値評価方法]
[積層厚み、積層数]
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いても良い。
積層構造の具体的な求め方を、説明する。約4万倍のTEM写真画像を、CanonScanD123Uを用いて画像サイズ720dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで画像処理ソフトImage−Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このJPGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBAプログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
[物性値評価方法]
[積層厚み、積層数]
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いても良い。
積層構造の具体的な求め方を、説明する。約4万倍のTEM写真画像を、CanonScanD123Uを用いて画像サイズ720dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで画像処理ソフトImage−Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このJPGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBAプログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
[波長400〜450nm平均透過率、450〜460nmの平均透過率、波長500〜780nmの最小透過率]
サンプルを5cm×5cmで切り出した。日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で透過率測定を行った(入射角0°)。測定は装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準とし、測定条件としてスリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/min.で測定した。
サンプルを5cm×5cmで切り出した。日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で透過率測定を行った(入射角0°)。測定は装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準とし、測定条件としてスリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/min.で測定した。
透過光 a*値、b*値
サンプルを5cm×5cmで切り出し、コニカミノルタ(株)製CM−3600dを用いて、測定径φ25.4mmのターゲットマスク条件下で、正反射光のSCI方式にてa値、b値を測定し、n数3の平均値を求めた。なお、白色校正板はCM−A103、ゼロ校正ボックスはCM−A104を用いた。
サンプルを5cm×5cmで切り出し、コニカミノルタ(株)製CM−3600dを用いて、測定径φ25.4mmのターゲットマスク条件下で、正反射光のSCI方式にてa値、b値を測定し、n数3の平均値を求めた。なお、白色校正板はCM−A103、ゼロ校正ボックスはCM−A104を用いた。
[面内屈折率差]
積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂ポリエステルA及びポリエステルBをそれぞれ単独で用いて、積層フィルムと同じ製膜条件で単膜フィルムを製膜した。この際の製膜方法は、キャスティングまでは同じ方法で未延伸フィルムを製膜した。次いで、未延伸フィルムからサンプルを10cm×10cmの寸法に切り出し、二軸延伸装置(東洋精機(株))を用いて延伸し、さらに、得られた延伸フィルムを20cm×20cmの金枠に貼り付けてトンネルオーブン(泰伸製作所製)を用いて熱処理を施し、単膜フィルムを得た。なお、製膜時の熱処理温度が熱可塑性樹脂を溶融する温度の場合は、ポリイミドフィルムなどの支持体で挟みトンネルオーブンで熱処理を施した。得られた単膜フィルムのフィルム巾方向中央部からサンプルを長さ4×巾3.5cmの寸法で切り出し、アッベ屈折率計4T(アタゴ(株)製)を用いて、MD、TDの屈折率を求めた。光源は、ナトリウムD線 波長589nmを用いた。MDとTDの屈折率の平均を面内屈折率とし、ポリエステルAとポリエステルB間での面内屈折率の差を面内屈折率差(絶対値)として求めた(|ポリエステルAの面内屈折率―ポリエステルBの面内屈折率|)。なお、浸液には、ヨウ化メチレン、テストピースの屈折率は、1.74のものを用いた。
積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂ポリエステルA及びポリエステルBをそれぞれ単独で用いて、積層フィルムと同じ製膜条件で単膜フィルムを製膜した。この際の製膜方法は、キャスティングまでは同じ方法で未延伸フィルムを製膜した。次いで、未延伸フィルムからサンプルを10cm×10cmの寸法に切り出し、二軸延伸装置(東洋精機(株))を用いて延伸し、さらに、得られた延伸フィルムを20cm×20cmの金枠に貼り付けてトンネルオーブン(泰伸製作所製)を用いて熱処理を施し、単膜フィルムを得た。なお、製膜時の熱処理温度が熱可塑性樹脂を溶融する温度の場合は、ポリイミドフィルムなどの支持体で挟みトンネルオーブンで熱処理を施した。得られた単膜フィルムのフィルム巾方向中央部からサンプルを長さ4×巾3.5cmの寸法で切り出し、アッベ屈折率計4T(アタゴ(株)製)を用いて、MD、TDの屈折率を求めた。光源は、ナトリウムD線 波長589nmを用いた。MDとTDの屈折率の平均を面内屈折率とし、ポリエステルAとポリエステルB間での面内屈折率の差を面内屈折率差(絶対値)として求めた(|ポリエステルAの面内屈折率―ポリエステルBの面内屈折率|)。なお、浸液には、ヨウ化メチレン、テストピースの屈折率は、1.74のものを用いた。
(実施例1)
ポリエステルAとして、固有粘度0.8のポリエチレンテレフタレート(以下PETと称す)を用いた。またポリエステルBとしてシクロヘキサンジメタノールが30mol%共重合された共重合ポリエステル(以下、PETGと称す)を62wt%とPET38wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用いた。これらポリエステルAおよびポリエステルBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
ポリエステルAとして、固有粘度0.8のポリエチレンテレフタレート(以下PETと称す)を用いた。またポリエステルBとしてシクロヘキサンジメタノールが30mol%共重合された共重合ポリエステル(以下、PETGと称す)を62wt%とPET38wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用いた。これらポリエステルAおよびポリエステルBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
ポリエステルAおよびポリエステルBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプにて吐出比がポリエステルA組成物/ポリエステルB組成物=1.66/1になるように計量しながら、フィルタを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流したポリエステルAおよびポリエステルBは、スタティックミキサーに供給し、ポリエステルAが275層、ポリエステルBが274層からなる厚み方向に交互にスリット数275個のスリット板1枚と、274個のスリット板1枚を用いた構成である549層フィードブロックにて合流させて、厚み方向に交互に549層積層された積層体とした。
但し、用いた各スリット板においては、図1の層厚み分布と類似した設計とした。ここでは、スリット巾は、全て一定とし、長さのみ変化させた。なお、スリット長の変化の割合は、0.59とした。
図1中で詳細に示すと、厚膜層ポリエステルA 4、5、6を挟み、薄膜層領域1,2,3に、実線のポリエステルAと破線のポリエステルBが、厚膜層4層番号から昇順、降順に層番号を進め、次の厚膜層5に到達するまでの薄膜層の分布である
このようにして得られた計549層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、85℃から100℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.3倍延伸後、一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で幅方向に3.8倍延伸した。延伸したフィルムは、テンター内でリラックス率3%および150℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。厚み40μmである2軸延伸多層ポリエステルフィルムを得た。
得られた結果を表1に示した。
図1中で詳細に示すと、厚膜層ポリエステルA 4、5、6を挟み、薄膜層領域1,2,3に、実線のポリエステルAと破線のポリエステルBが、厚膜層4層番号から昇順、降順に層番号を進め、次の厚膜層5に到達するまでの薄膜層の分布である
このようにして得られた計549層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、85℃から100℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.3倍延伸後、一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で幅方向に3.8倍延伸した。延伸したフィルムは、テンター内でリラックス率3%および150℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。厚み40μmである2軸延伸多層ポリエステルフィルムを得た。
得られた結果を表1に示した。
(実勢例2)
ポリエステルBとしてPETG50wt%とPET50wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用い、厚みを42μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
ポリエステルBとしてPETG50wt%とPET50wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用い、厚みを42μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
(実勢例3)
ポリエステルBとしてPETG41wt%とPET59wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用い、厚みを40μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
ポリエステルBとしてPETG41wt%とPET59wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用い、厚みを40μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
(実勢例4)
ポリエステルBとしてPETG34wt%とPET66wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用い、厚みを42μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
ポリエステルBとしてPETG34wt%とPET66wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用い、厚みを42μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
(比較例1)
ポリエステルBとしてPETG10wt%とPET90wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用い、厚みを40μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
ポリエステルBとしてPETG10wt%とPET90wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用い、厚みを40μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
(比較例2)
厚みを50μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
厚みを50μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
(比較例3)
厚みを30μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
厚みを30μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で、2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
(比較例4)
ポリエステルBとしてPETG82wt%とPET18wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用い、厚みを47μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
ポリエステルBとしてPETG82wt%とPET18wt%均等に分散したブレンドチップ郡を用い、厚みを47μmとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
(比較例5)
層数を21層とした以外は、実施例1と同様の装置・条件で2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
層数を21層とした以外は、実施例1と同様の装置・条件で2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
(比較例6)
層数を1013層とした以外は、実施例1と同様の装置・条件で2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
層数を1013層とした以外は、実施例1と同様の装置・条件で2軸延伸多層ポリエステルを得た。得られた結果を表1に示した。
本発明は、LEDを光源とする画面の保護に使用した場合に、自然な色調で装着時に著しい色調変化が少なく、LED特有の450〜470nmのブルーライト波長範囲をカットすることで、眼の疲労感及び、生体リズムへの影響低減に効果的な画面保護用ブルーライトカットフィルムを提供する。
1:スリット板1により作製される層厚み分布
2:スリット板2により作製される層厚み分布
3:スリット板3により作製される層厚み分布
4:厚膜層ポリエステルA
5:厚膜層ポリエステルA
6:厚膜層ポリエステルA
実線:ポリエステルAの層厚み分布
破線:ポリエステルBの層厚み分布
2:スリット板2により作製される層厚み分布
3:スリット板3により作製される層厚み分布
4:厚膜層ポリエステルA
5:厚膜層ポリエステルA
6:厚膜層ポリエステルA
実線:ポリエステルAの層厚み分布
破線:ポリエステルBの層厚み分布
Claims (2)
- ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルAを主成分とするA層と、
A層との面内平均屈折率の差が0.01以上0.06以下であるポリエステルBからなるB層とが
厚み方向に交互に配列された構造を有した2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムであって、
該2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの波長400〜450nmの平均光線透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、
波長450〜460nmの平均光線透過率が30%以上、80%以下であり、かつ、
波長500〜780nmの最小光線透過率が85%以上、95%以下とするために
下記式(1)と式(2)を用いて該構成のA層とB層の層厚み比が1.0:0.9から1.0:1.2で、該B層の厚さが40nm以上、80nm以下に段階的に層厚さが変化し、
層数30層以上、1000層以下に設計された
透過光のa*値が−15以上、0以下、
b*値が0以上、40以下、
であることを特徴とする2軸延伸多層積層ポリエステルフィルム。
2×(na・da+nb・db)=λ (1)
na:A層の面平均屈折率
nb:B層の面平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
100−((naL−nbL)/(naL+nbL))2×100=T (2)
L:層数
T:透過率 - LEDを光源とする画面の保護をする用途に用いられる、請求項1に記載の2軸延伸多層積層ポリエステルフィルムを用いた画面保護用フィルム。
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JP2013157437A JP2015027746A (ja) | 2013-07-30 | 2013-07-30 | 2軸延伸多層積層ポリエステルフィルム及びそれを用いてなる画面保護用フィルム |
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JP2016215643A (ja) * | 2015-05-19 | 2016-12-22 | 東レ株式会社 | 積層二軸延伸ポリエステルフィルム |
WO2017099016A1 (ja) * | 2015-12-08 | 2017-06-15 | 東レ株式会社 | 積層フィルム |
JP2017181889A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 東レ株式会社 | 表示装置に用いるフィルムおよびそれを用いた表示装置 |
-
2013
- 2013-07-30 JP JP2013157437A patent/JP2015027746A/ja active Pending
Cited By (7)
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