JP2007210142A - 積層フィルムおよび成形体またはカード - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、金属調としての質感に優れ、層間剥離することなく、どちらの表面から観察しても金属調を呈するフィルムを提供することを課題とする。また、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさない成形体またはカードを提供することを課題とする。
【解決手段】樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ30層以上積層した構造を含んでなり、フィルム両表面における波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が30%以上であり、下記式1を満たすことを特徴とする積層フィルム。
1≦100−R(550nm)−T(550nm)≦60 式(1)
R(550nm) :波長550nmにおける入射角5°の絶対反射率(%)
T(550nm) :波長550nmにおける透過率(%)
【選択図】なし
【解決手段】樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ30層以上積層した構造を含んでなり、フィルム両表面における波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が30%以上であり、下記式1を満たすことを特徴とする積層フィルム。
1≦100−R(550nm)−T(550nm)≦60 式(1)
R(550nm) :波長550nmにおける入射角5°の絶対反射率(%)
T(550nm) :波長550nmにおける透過率(%)
【選択図】なし
Description
本発明は、少なくとも2種類の樹脂からなる層を積層した積層フィルムと、その積層フィルムからなる成形体またはカードに関するものである。
自動車関係の装飾部品をはじめとして各種家電機器、建築部材などの製品(部品)において、意匠性を高めるために木目調、布目調、金属調などさまざまに加飾したものが用いられているが、最近では高輝度の金属調の外観が求められるようになってきている。
各種成形部品へ金属調を付与する手法としては、もっとも一般的に用いられる手法は塗装である。塗装はさまざまな意匠や機能を製品に付与できる反面、有機溶剤などを使用することが多く、環境に与える影響が大きい。また、塗膜の影響でリサイクルが容易にできないこともあり、昨今の環境問題の高まりのなかで塗装工程の存在が問題視されている。
金属調を付与する別の手法として、メッキや蒸着などがある。メッキや蒸着の場合も、金属層のためにリサイクルが困難であったりする問題があるが、特にメッキの場合には重金属による環境への影響が大きいため、その代替えが強く求められている。さらに、メッキや蒸着などの場合、その金属層のために電磁波シールド性が発生するため、自動車や携帯電話などの加飾材料として用いると、電波障害を生じたりする場合があり問題になりつつある。
一方、熱可塑性樹脂を多層に積層したフィルムは、種々提案されており、例えば、耐引裂性に優れた多層に積層したフィルムをガラス表面に貼りつけることにより、ガラスの破損および飛散を大幅に防止できるものとして利用されている(たとえば特許文献1〜3参照)。
また、屈折率の異なる樹脂層を交互に多層に積層することより、選択的に特定の波長を反射するフィルム(たとえば特許文献4〜6参照)等が存在する。これらの中で選択的に特定の波長を反射するフィルムは、特定の光を透過あるいは反射するフィルターとして作用し、液晶ディスプレイなどのバックライト用のフィルムとして利用されている。
この選択的に特定の波長を反射するフィルムは、金属調としての質感が不十分であった。また、層間剥離することなく、どちらの表面から観察しても金属調を呈するものではなかった。
特開平6-190995号公報(第2頁)
特開平6-190997号公報(第2頁)
特開平10-76620号公報(第2頁)
特開平3-41401号公報(第2頁)
特開平4-295804号公報(第2頁)
特表平9-506837号公報(第2頁)
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、金属調としての質感に優れ、層間剥離することなく、どちらの表面から観察しても金属調を呈するフィルムを提供することを課題とする。また、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさない成形体またはカードを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の積層フィルムは樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ30層以上積層した構造を含んでなり、フィルム両表面における波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が30%以上であり、下記式1を満たすことを特徴とする。
1≦100−R(550nm)−T(550nm)≦60 式(1)
R(550nm) :波長550nmにおける入射角5°の絶対反射率(%)
T(550nm) :波長550nmにおける透過率(%)
R(550nm) :波長550nmにおける入射角5°の絶対反射率(%)
T(550nm) :波長550nmにおける透過率(%)
本発明は、金属調としての質感に優れ、層間剥離することなく、どちらの表面から観察しても金属調を呈するフィルムを提供するものである。
また、層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いと、より色づきのなく、自然な金属調ものとなる。
また、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、層間剥離がより発生しにくくなるものである。
また、本発明の積層フィルムを含んでなる成形体またはカードは、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。
上記目的を達成するため、本発明の積層フィルムは、樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ30層以上積層した構造を含んでなり、フィルム両表面における波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が30%以上であり、下記式1を満たさなければならない。このようなフィルムは、金属調としての質感に優れ、層間剥離することなく、どちらの表面から観察しても金属調を呈するフィルムとなるものである。
1≦100−R(550nm)−T(550nm)≦60 式(1)
R(550nm) :波長550nmにおける入射角5°の絶対反射率(%)
T(550nm) :波長550nmにおける透過率(%)
本発明における樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。より好ましくは、成形性が良好であるため、熱可塑性樹脂である。また、各樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
R(550nm) :波長550nmにおける入射角5°の絶対反射率(%)
T(550nm) :波長550nmにおける透過率(%)
本発明における樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。より好ましくは、成形性が良好であるため、熱可塑性樹脂である。また、各樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルであることがより好ましい。
本発明で言うポリエステルとしては、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、本発明における共重合ポリエステルとは、次にあげるジカルボン酸骨格を有する成分とジオール骨格を有する成分とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体のことと定義される。ジカルボン酸骨格を有する成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。グリコール骨格を有する成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどが挙げられる。
また、本発明で言うA層とB層については、A層の面内平均屈折率はB層の面内平均屈折率より相対的に高いものである。また、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。屈折率差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られず、好ましくないものである。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率の差が0.03以上であり、B層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率差が0.03以下であると、入射角が大きくなっても、反射ピークの反射率低下が起きないため、より好ましい。
本発明における樹脂Aと樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、樹脂Aと樹脂BのSP値の差の絶対値が、1.0以下であることが第一に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、樹脂Aからなる層と樹脂Aと同一の基本骨格を含む樹脂Bからなる層を有していることが好ましい。ここで基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレートが基本骨格である。また別の例としては、一方の樹脂がポリエチレンの場合、エチレンが基本骨格である。樹脂Aと樹脂Bが同一の基本骨格を含む樹脂であると、さらに層間での剥離が生じにくくなるものである。
樹脂Aと樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、第二としては、樹脂Aと樹脂Bのガラス転移温度差が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度差が20℃より大きい場合には積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、金属光沢の外観不良となる。また、積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすいためである。
また、本発明の積層フィルムでは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールを含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールを含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであることが好ましい。樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
また、本発明の積層フィルムでは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルであることも好ましい。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になることがなりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくいものである。
本発明の樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互に積層した構造を含むとは、A層とB層を厚み方向に交互に積層した構造を有している部分が存在することと定義される。すなわち、本発明のフィルム中のA層とB層の厚み方向における配置の序列がランダムな状態ではないことが好ましく、A層とB層以外の第3の層以上についてはその配置の序列については特に限定されるものではない。また、A層、B層、樹脂CからなるC層を有する場合には、A(BCA)n、A(BCBA)n、A(BABCBA)nなどの規則的順列で積層されることがより好ましい。ここでnは繰り返しの単位数であり、例えばA(BCA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABCABCABCAの順列で積層されているものを表す。
また、本発明では樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ30層以上含まなければならない。より好ましくは、200層以上である。さらに、好ましくはA層とB層の総積層数が600層以上である。A層とB層をそれぞれ30層以上積層した構造を含まないと、十分な反射率が得られなくなり、輝度の高い金属調の外観とはならない。また、樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ200層以上含まれていると、波長帯域400nm〜1000nmの反射率を40%以上とすることが容易となる。また、A層とB層の総積層数が600層以上であると、波長帯域400nm〜1000nmの反射率を60%以上とすることが容易となり、非常に輝度の高い金属調の外観を有することが容易となる。また、積層数の上限値としては特に限定するものではないが、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、1500層以下であることが好ましい。
本発明の積層フィルムでは、フィルム両表面における波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が30%以上でなければならない。すなわち、本発明の絶対反射率の測定法によって求められる400nm〜700nmのすべての波長において絶対反射率が30%以上でなければならない。フィルム両表面における波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が30%以上であると、どちらの表面から観察しても輝度の高い金属調のフィルムとすることが可能となる。より好ましくは、フィルム両表面における波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が30%以上である。この場合、成形後も金属調を維持し、視野角によっても色の変化がほとんど起きないものとなる。これは、可視光より高波長側(700nm以上)も絶対反射率が30%以上であるためで、例え延伸によってフィルム厚みが薄くなったり、視野角によって反射帯域が低波長側にシフトしても、可視光領域の絶対反射率は30%以上を維持できるためである。より好ましくは、波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が40%以上でなければならない。さらに好ましくは、波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が80%以上でなければならない。絶対反射率があがるほど、より高い輝度の金属調とすることが可能となる。また、波長帯域400nm〜1200nmの絶対反射率が30%以上であるのもより好ましい。この場合、より高い絞り比で成形しても、色づきなどが起こりにくく、金属調を維持することができる。
本発明の積層フィルムでは、下記式1を満たさなければならない。
1≦100−R(550nm)−T(550nm)≦60 式(1)
R(550nm) :波長550nmにおける入射角5°の絶対反射率(%)
T(550nm) :波長550nmにおける透過率(%)
このように、実質的に、波長550nmにおいて1%以上60%以下の吸収が存在すると、金属調として高い質感を有するものとなる。また、層間剥離が起きにくく、どちらの表面から見ても、金属調を呈するフィルムが得られるものである。一般的に質感の高い金属調の加飾として好まれるのは「重厚感があり黒味がある」ものであるが、本発明では、可視光線の光を完全に反射するのではなく、干渉反射構造をもったフィルムの中で可視光線の一部を吸収することが、より質感の高い金属調加飾となることを見出したものである。また、従来光を吸収するために、どちらか一方の面に黒色層を設けていたが、この場合には、どちらか一方の面からしか金属調として捉えることができなかった。これを、本発明では、どちらの面から見ても金属調として捉えられるように可能としたものである。なお、より好ましくは、下記式(2)〜(3)を満たす。この場合、より質感の高い金属調となる。
R(550nm) :波長550nmにおける入射角5°の絶対反射率(%)
T(550nm) :波長550nmにおける透過率(%)
このように、実質的に、波長550nmにおいて1%以上60%以下の吸収が存在すると、金属調として高い質感を有するものとなる。また、層間剥離が起きにくく、どちらの表面から見ても、金属調を呈するフィルムが得られるものである。一般的に質感の高い金属調の加飾として好まれるのは「重厚感があり黒味がある」ものであるが、本発明では、可視光線の光を完全に反射するのではなく、干渉反射構造をもったフィルムの中で可視光線の一部を吸収することが、より質感の高い金属調加飾となることを見出したものである。また、従来光を吸収するために、どちらか一方の面に黒色層を設けていたが、この場合には、どちらか一方の面からしか金属調として捉えることができなかった。これを、本発明では、どちらの面から見ても金属調として捉えられるように可能としたものである。なお、より好ましくは、下記式(2)〜(3)を満たす。この場合、より質感の高い金属調となる。
1≦100−R(650nm)−T(650nm)≦60 式(2)
1≦100−R(450nm)−T(450nm)≦60 式(3)
さらに好ましくは、式(5)〜(7)を満たす。この場合、さらに質感の高い金属調となる。
1≦100−R(450nm)−T(450nm)≦60 式(3)
さらに好ましくは、式(5)〜(7)を満たす。この場合、さらに質感の高い金属調となる。
2≦100−R(650nm)−T(650nm)≦30 式(5)
2≦100−R(550nm)−T(550nm)≦30 式(6)
2≦100−R(450nm)−T(450nm)≦30 式(7)
本発明の積層フィルムは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上90MPa以下であることが好ましい。このような場合、成形性に優れたものとなり、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成形において、任意の形状に成形することが容易となる。より好ましくは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上50MPa以下である。このような場合、より高い絞り比でも成形可能となる。150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上90MPa以下とするためには、樹脂Aが結晶性樹脂であり、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ネオペンチルグリコールなどの嵩高い基を有する非晶性樹脂であることが好ましい。このような場合、二軸延伸後においても樹脂Bはほとんど配向および結晶化していないため、引張応力が低くなるものである。また、各樹脂の融点以上でA層とB層からなる積層体を形成し冷却固化せしめるまでの時間が3分以上であることも好ましい。これは、A層とB層の界面に形成される混在層が厚くなるために、引張応力が低くなったものと推察している。さらに、層厚みが20nm以下の層が含まれているのも好ましい。層厚みが20nm以下になると、延伸しても配向が進みにくくなるために、引張応力も低下するものである。
2≦100−R(550nm)−T(550nm)≦30 式(6)
2≦100−R(450nm)−T(450nm)≦30 式(7)
本発明の積層フィルムは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上90MPa以下であることが好ましい。このような場合、成形性に優れたものとなり、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成形において、任意の形状に成形することが容易となる。より好ましくは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上50MPa以下である。このような場合、より高い絞り比でも成形可能となる。150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上90MPa以下とするためには、樹脂Aが結晶性樹脂であり、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ネオペンチルグリコールなどの嵩高い基を有する非晶性樹脂であることが好ましい。このような場合、二軸延伸後においても樹脂Bはほとんど配向および結晶化していないため、引張応力が低くなるものである。また、各樹脂の融点以上でA層とB層からなる積層体を形成し冷却固化せしめるまでの時間が3分以上であることも好ましい。これは、A層とB層の界面に形成される混在層が厚くなるために、引張応力が低くなったものと推察している。さらに、層厚みが20nm以下の層が含まれているのも好ましい。層厚みが20nm以下になると、延伸しても配向が進みにくくなるために、引張応力も低下するものである。
また、本発明の積層フィルムは、層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いことが好ましい。このようにすることにより、ほとんど色づきのない金属調とすることが可能となる。ここで、層対厚みとは、隣接する樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)のそれぞれの層厚みを足した厚みである。また、層対厚みは、A層のみについて一方の表面から数えたm番目のA層と、B層のみについて同表面から数えたm番目のB層の層厚みを足したものでなければならない。ここでmは整数を表している。例えば、一方の表面から反対側の表面にA1層/B1層/A2層/B2層/A3層/B3層・・・・の順番で並んでいた際、A1層とB1層が1番目の層対であり、A2層とB2層が2番目の層対であり、A3層とB3層が3番目の層対となる。層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層厚み220nm以上320nm以下の層の数と同数または少ないと、波長帯域400nm〜1100nmの反射帯域において低波長側ほど反射率が低下するため、黄色味をおびた外観となるので好ましくない。これは、低波長側の反射を起こす層対の密度が薄くなるために起こるものである。従って、積層フィルムを構成する層の層対厚みの序列としては、単調に等差数列的に層対厚みが増加もしくは減少するのではなく、上記条件を満たしながら等比数列的に層対厚みが増加もしくは減少することが好ましい。より好ましくは、層対厚み120nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数の1.05倍以上2.5倍以下であることがこのましい。この場合、まったく色づきのない金属調とすることが可能である。
本発明の積層フィルムでは、下記式(4)を満たすことが好ましい。この場合、実質的にほとんど透過が問題とならないため、どちらの面から見ても、一枚の金属シートのように見えるようになる。
T(550nm)≦2% 式(4)
より好ましくは、式(5)を満たす。
より好ましくは、式(5)を満たす。
T(550nm)≦0.6% 式(8)
本発明の積層フィルムの動摩擦係数は0.5以下であることが好ましい。積層フィルムの動摩擦係数が0.5以下である場合、成型に用いる金型との滑りが良くなるために、さらに成形性が向上する。
本発明の積層フィルムの動摩擦係数は0.5以下であることが好ましい。積層フィルムの動摩擦係数が0.5以下である場合、成型に用いる金型との滑りが良くなるために、さらに成形性が向上する。
本発明の積層フィルムの表面比抵抗は、105以上であることが好ましい。105より小さいと、電磁波障害を起こす場合があり、携帯電話用の外装材や、RF−IDなどの無線式カードの外装材としては不適となるからである。
本発明の積層フィルムでは、1.2倍以上2倍以下の延伸加工された部位における波長帯域400nm〜700nmの相対反射率が30%以上であることが好ましい。1.2倍以上2倍以下の延伸加工された部位における波長帯域400nm〜700nmの相対反射率が30%以上であると、成形後も色づきなく金属調を維持することができる。
本発明の積層フィルムでは、少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有することが好ましい。より好ましくは、5μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有する。また、両面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有するとさらに好ましい。3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートからなる層がない場合には、表面に傷が入った場合などに、傷が非常に見えやすくなるため好ましくない。
また、本発明の積層フィルムでは、その表面に易接着層、易滑層、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
本発明の成形体としては、上記積層フィルムを含んでなければならない。本発明の積層フィルム以外に、ハードコート層、エンボス層、耐候層(UVカット層)、着色層、接着層、基材樹脂層などのいずれかを含んでなることも好ましい。このよう成形体は、ポリマーのみから構成することが可能であり、金属や重金属などを含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。本発明の成形体では、特に着色層を有することが好ましい。本発明の積層フィルムでは、可視光線の一部が透過するため、着色層を設けることにより、成形体の色目を調整することが可能となる。また、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成型法が適用できるため、低コストで成形体を得ることが可能である。本発明の成形体は、自動車内装や外装、携帯電話、各種家電製品、建材部品などの金属調装飾材として好適である。
本発明のカードとしては、上記積層フィルムを含んでなければならない。本発明の積層フィルム以外に、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層、アンテナ、ICチップ、RFIDタグなどのいずれかを含んでなることも好ましい。このようなカードは、金属調の外観を有しながら、ポリマーのみから構成することが可能であり、金属や重金属などを含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。本発明のカードは、RFIDなどの無線ICカードに好適である。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。
2種類の樹脂AおよびBをペレットなどの形態で用意する。ここで、樹脂Aまたは樹脂Bは、顔料または染料を含んでなることが好ましい。このようにすることにより、本発明の特徴である式(1)〜(3)を満たすことが容易となる。より好ましくは、樹脂Aまたは樹脂Bは、カーボンブラックを含んでなる。このカーボンブラックとしては、平均粒子径3000nm以下であることが好ましい。平均粒子径が3000nmより大きいと積層した際に、層の乱れの原因となるためである。また、フィルム中に存在するカーボンブラックの量としては、0.000001wt%以上3wt%以下であることが好ましい。カーボンブラックの量が0.000001wt%より少ないと十分光を吸収しないために、本発明の効果を得ることが難しくなる。また3wt%より多くなると、樹脂の粘度特性が変化し層乱れを起こしたり、黒くなりすぎたりするため金属調を呈さなくなるため好ましくない。また、樹脂へのカーボンブラックの添加は、あらかじめ樹脂Aもしくは樹脂Bにカーボンブラックを高濃度でコンパウンドしたものを作製し、これを押出機に供給する際に樹脂A単体もしくは樹脂B単体にブレンドして希釈する方法が好ましい。
ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された樹脂AおよびBは、次に多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。本発明の特徴である樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ30層以上積層した構造を含んでなり、かつ層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いことを達成するためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも1個有するフィードブロックを用いることが好ましい。さらに、本発明の効果を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロック(図1〜図4)を用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。このため、本発明の好ましい態様である以下の構成を達成することが容易になる。
a)樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)の総積層数が600層以上である。
b)波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が80%以上である。
c)層対厚み120nm以上220nm以下の層の数が、層厚み220nm以上320nm以下の層の数の1.05倍以上2.5倍以下である。
d)少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有する。
a)樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)の総積層数が600層以上である。
b)波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が80%以上である。
c)層対厚み120nm以上220nm以下の層の数が、層厚み220nm以上320nm以下の層の数の1.05倍以上2.5倍以下である。
d)少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有する。
ここで、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックについて詳しく以下に説明する。図1は、当該フィードブロックにおいて別個に供給される樹脂A,Bから積層を形成する部分(「積層装置」と呼ぶ。)を示したものである。図1において、部材1〜9がこの順に重ねられ、積層装置10を形成する。
図1の積層装置10は、樹脂導入部材2,4,6,8に由来して4つの樹脂導入口を有するが、例えば樹脂Aを樹脂導入部材2,6の導入口11から供給し、樹脂Bを樹脂導入部材4,8の導入口11から供給する。
すると、スリット部材3は、樹脂導入部材2から樹脂A、樹脂導入部材4から樹脂Bの供給を受け、スリット部材5は、樹脂導入部材6から樹脂A、樹脂導入部材4から樹脂Bの供給を受け、スリット部材7は、樹脂導入部材6から樹脂A、樹脂導入部材8から樹脂Bの供給を受けることになる。
ここで、各スリットに導入される樹脂の種類は、樹脂導入部材2,4,6,8における液溜部12の底面とスリット部材における各スリットの端部との位置関係により決定される。すなわち、図3に示すように、スリット部材における各スリットの頂部の稜線13は、スリット部材の厚み方向に対して傾斜を有する(図2(b),(c))。そして、樹脂導入部材2,4,6,8における液溜部12の底面の高さは、前記稜線13の上端部14と下端部15との間の高さに位置する。このことにより、前記稜線13が上がった側からは樹脂導入部材2,4,6,8の液溜部12から樹脂が導入されるが(図3中16)、前記稜線13が下がった側からはスリットが封鎖された状態となり樹脂は導入されない。かくして各スリット毎に樹脂AまたはBが選択的に導入されるので、積層構造を有する樹脂の流れがスリット部材3,5,7中に形成され、当該部材3,5,7の下方の流出口17より流出する。
スリットの形状としては、樹脂が導入される側のスリット面積と樹脂が導入されない側のスリット面積が同一ではないことが好ましい。このような構造とすると、樹脂が導入される側と樹脂が導入されない側での流量分布を低減できるため、幅方向の積層精度が向上する。さらには、(樹脂が導入されない側のスリット面積)/(樹脂が導入される側のスリット面積)が0.2以上0.9以下であることが好ましい。より好ましくは0.5以下である。また、フィードブロック内の圧力損失が1MPa以上となることが好ましい。また、スリット長(図1中Z方向スリット長さの内、長い方)を20mm以上とすることが好ましい。一方、スリットの間隙や長さを調整することにより、各層の厚みを制御することが可能である。
また、各スリットに対応したマニホールドを有していることも好ましい。マニホールドにより、スリット内部での幅方向(図1中Y方向)の流速分布が均一化するため、積層されたフィルムの幅方向の積層比率を均一化することができ、大面積のフィルムでも精度良く積層することが可能となり、反射ピークの反射率を精度良く制御することができる。
また、一つの液溜部から二つ以上のスリット部材へ樹脂を供給することがより好ましい。このようにすると、例えわずかにスリット内部で幅方向に流量分布が生じていたとしても、次に説明する合流装置にてさらに積層されるため、積層比率としてはトータルでは均一化されるため、高次の反射帯域のむらを低減することが可能となる。
図1に示すようにスリット部材3,5,7の下方の流出口17は、3つの樹脂流れの積層構造が並列となる位置関係で配置され、また、樹脂導入部材4,6によって互いに隔てられている(図4中19L,20L,21L)。そこで、図4に示すような合流装置18により、中L−L’からM−M’にかけてのような、流路の規制による配置の転換が行われ(図4中19M,20M,21M)、3者の樹脂流れの積層構造も直列となる。当該樹脂流れは図4中M−M’からN−N’にかけて拡幅され、図4中N−N’より下流にて合流する。
かくして、極薄の樹脂層の任意かつ高精度な積層が可能となる。この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。一方、従来の装置では、300層以上の積層を達成するためには、スクエアーミキサーを併用することが一般的であったが、このような方法では積層流が相似形で変形・積層されるために、任意の層厚みを達成することが困難であった。このため、本願の特徴である層厚み5nm以上110nm以下の層の数が、層厚み110nm以上160nm以下の層の数より多い層構成を高精度でかつ効率よく形成することは不可能であった。
次に、本発明の特徴である波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が30%以上とするためには、各層の層厚みを、下記式1に基づいて少なくとも波長帯域400nm〜1000nmで反射が起こるように設計する必要がある。さらに、層対厚みが一方の表面から反対側の表面にむかうにつれ、120nmから320nmに徐々に厚くなる層構成を少なくとも含んでなることが好ましい。また、反射率についてはA層とB層の屈折率差と、A層とB層の層数にて制御する。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
また、本発明では、層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いことが好ましいが、そのためには層対厚みは一方の表面から反対側の表面にむかうにつれ、層対順に対し一次関数状に増加または減少するのではなく、220nm〜320nmでの層対厚みの変化よりも、220nm以下での層対厚みの変化が緩やかであることが好ましい。具体的に図5を用いて説明する。図5は、400nm〜1200nmの波長帯域を反射するように、層対順に対し層対厚みが118〜370nmに変化するように設計したいくつかの例をしめしたものである。この例では、Aのタイプが層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いため好ましい。一方、Bのタイプでは層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数と同数であるため、色づきのある金属調となりやすいため好ましくない。また、Cのタイプでは層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より少ないために、さらに色づきがきつくなるため好ましくないものである。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
また、本発明では、層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いことが好ましいが、そのためには層対厚みは一方の表面から反対側の表面にむかうにつれ、層対順に対し一次関数状に増加または減少するのではなく、220nm〜320nmでの層対厚みの変化よりも、220nm以下での層対厚みの変化が緩やかであることが好ましい。具体的に図5を用いて説明する。図5は、400nm〜1200nmの波長帯域を反射するように、層対順に対し層対厚みが118〜370nmに変化するように設計したいくつかの例をしめしたものである。この例では、Aのタイプが層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いため好ましい。一方、Bのタイプでは層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数と同数であるため、色づきのある金属調となりやすいため好ましくない。また、Cのタイプでは層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より少ないために、さらに色づきがきつくなるため好ましくないものである。
最大層対厚みから最小層対厚みまで徐々に厚みが薄くなる層構成に設計することが好ましい。この際、わずかな積層むらについては許容される。
さて、このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)フィルム断面観察
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、フィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、した。本発明の実施例では十分なコントラストが得られたため実施しなかったが、用いる樹脂の組み合わせによっては公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いてコントラストを高めても良い。
(物性値の評価法)
(1)フィルム断面観察
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、フィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、した。本発明の実施例では十分なコントラストが得られたため実施しなかったが、用いる樹脂の組み合わせによっては公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いてコントラストを高めても良い。
(2)絶対反射率
島津製作所製の分光光度計UV−3150に入射角5°の絶対反射率測定装置 ASR−3105を取り付け、付属の取扱説明書に従い、以下の条件にて400〜1200nmまでの絶対反射率を測定した。また、測定は、フィルムの表・裏の両面について行った。
島津製作所製の分光光度計UV−3150に入射角5°の絶対反射率測定装置 ASR−3105を取り付け、付属の取扱説明書に従い、以下の条件にて400〜1200nmまでの絶対反射率を測定した。また、測定は、フィルムの表・裏の両面について行った。
スキャンスピード:高速
サンプリングピッチ:1nm
測定モード:シングル
スリット幅:30nm
光源切り替え波長:360nm
検出器切替波長:805nm
S/R切り替え:標準
検出器ロック:自動
スリットプログラム:標準。
サンプリングピッチ:1nm
測定モード:シングル
スリット幅:30nm
光源切り替え波長:360nm
検出器切替波長:805nm
S/R切り替え:標準
検出器ロック:自動
スリットプログラム:標準。
(3)透過率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)に、付属の平行光線要セルを取り付け、透過率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)に、付属の平行光線要セルを取り付け、透過率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。
(4)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、算出した。また、溶液粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。なお、n数は3とし、その平均値を採用した。
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、算出した。また、溶液粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。なお、n数は3とし、その平均値を採用した。
(5)剥離試験
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離した格子の数で表した。
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離した格子の数で表した。
(6)ガラス転移温度
示差熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。なお、まず、はじめに1st Runで、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した後、290℃で5分間ホールドした後、25℃まで急冷した。またつづく2nd Runでは、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した。樹脂のガラス転移温度は2nd Runにおけるガラス転移温度を用いた。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg。
示差熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。なお、まず、はじめに1st Runで、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した後、290℃で5分間ホールドした後、25℃まで急冷した。またつづく2nd Runでは、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した。樹脂のガラス転移温度は2nd Runにおけるガラス転移温度を用いた。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg。
(7)積層数、層対厚み
透過型電子顕微鏡にて得たフィルム断面像(倍率4万倍の写真画像)を、スキャナー(Canon製CanonScanD123U)を用いて、画像サイズ720dpiで取り込んだ画像をビットマップファイル(BMP)で保存した。次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(MediaCybernetics社製)を用いて、このBMPファイルを開き、画像解析を行った。以下に代表的な画像処理条件を記す。まず、ローパスフィルタ(サイズ 7×7 強さ 10 回数 10)処理した後、垂直シックプロファイルモードで、位置と輝度の数値データとを得た。なお、位置は、予め空間較正でスケーリングしておいた。この位置と輝度のデータをMicrosoft社製EXCEL2000上で、サンプリングステップ6(間引き6)、さらに3点移動平均処理を行った。さらに、この得られた輝度を位置で微分し、その微分曲線の極大値と極小値を算出した。そして、隣り合う極大値−極大値または隣り合う極小値−極小値となる位置の間隔を層対厚みとし、全ての層対厚みを算出した。
透過型電子顕微鏡にて得たフィルム断面像(倍率4万倍の写真画像)を、スキャナー(Canon製CanonScanD123U)を用いて、画像サイズ720dpiで取り込んだ画像をビットマップファイル(BMP)で保存した。次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(MediaCybernetics社製)を用いて、このBMPファイルを開き、画像解析を行った。以下に代表的な画像処理条件を記す。まず、ローパスフィルタ(サイズ 7×7 強さ 10 回数 10)処理した後、垂直シックプロファイルモードで、位置と輝度の数値データとを得た。なお、位置は、予め空間較正でスケーリングしておいた。この位置と輝度のデータをMicrosoft社製EXCEL2000上で、サンプリングステップ6(間引き6)、さらに3点移動平均処理を行った。さらに、この得られた輝度を位置で微分し、その微分曲線の極大値と極小値を算出した。そして、隣り合う極大値−極大値または隣り合う極小値−極小値となる位置の間隔を層対厚みとし、全ての層対厚みを算出した。
(8)外観
透過がほとんどなく、どちらの表面側から見ても質感の高い金属調である場合を◎、透過がわずかにあるものの、質感の高い金属調である場合を○、質感が不十分である場合を×とした。
透過がほとんどなく、どちらの表面側から見ても質感の高い金属調である場合を◎、透過がわずかにあるものの、質感の高い金属調である場合を○、質感が不十分である場合を×とした。
(実施例1)
2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。実施例1においては、樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%と、平均粒径17nmのカーボンブラック[三菱化学製MCF#1000]を0.02wt%添加した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた。なお、この樹脂Aは結晶性樹脂であった。また樹脂Bとしてテレフタル酸に対しシクロヘキサンジカルボン酸を60mol%共重合し、エチレングリコールに対しスピログリコールを60mol%共重合したポリエステル(PE/SPG・T/CHDC1)を用いた。なお、この樹脂Bの固有粘度は0.72であり、非晶性樹脂であった。これら樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。実施例1においては、樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%と、平均粒径17nmのカーボンブラック[三菱化学製MCF#1000]を0.02wt%添加した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた。なお、この樹脂Aは結晶性樹脂であった。また樹脂Bとしてテレフタル酸に対しシクロヘキサンジカルボン酸を60mol%共重合し、エチレングリコールに対しスピログリコールを60mol%共重合したポリエステル(PE/SPG・T/CHDC1)を用いた。なお、この樹脂Bの固有粘度は0.72であり、非晶性樹脂であった。これら樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、801層のフィードブロックにて合流させた。801層のフィードブロックとしては、図1および図4に示したような装置を用いた。なお、上記のフィードブロックは267個のスリットを有するスリット部材が3つからなるものであった。合流した樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ、樹脂Aが401層、樹脂Bが400層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、各層対の厚みは図5のAのラインを目標とし、ここから各スリット流量を算出、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリットの形状を調整した。また、両表層部分は樹脂Aとなるようにし、かつ隣接するA層とB層の層厚みはほぼ同じになるようにスリット形状を設計した。この設計では、400nm〜1200nmに反射帯域が存在するものとなる。このようにして得られた計801層からなる積層体を、マルチマニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給した樹脂Aからなる層を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。なお、樹脂Aと樹脂Bが合流してからキャスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約8分となるように流路形状および総吐出量を設定した。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.0倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に8%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%と、平均粒径17nmのカーボンブラック[三菱化学製MCF#1000]を0.01wt%添加した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%と、平均粒径17nmのカーボンブラック[三菱化学製MCF#1000]を0.01wt%添加した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%と、平均粒径17nmのカーボンブラック[三菱化学製MCF#1000]を0.1wt%添加した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%と、平均粒径17nmのカーボンブラック[三菱化学製MCF#1000]を0.1wt%添加した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
樹脂Bとして、テレフタル酸に対しシクロヘキサンジカルボン酸を20mol%共重合し、エチレングリコールに対しスピログリコールを15mol%共重合したポリエステル(PE/SPG・T/CHDC2)を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。わずかに光が透過するものの、質感のある金属調のフィルムとなった。
樹脂Bとして、テレフタル酸に対しシクロヘキサンジカルボン酸を20mol%共重合し、エチレングリコールに対しスピログリコールを15mol%共重合したポリエステル(PE/SPG・T/CHDC2)を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表1に示す。わずかに光が透過するものの、質感のある金属調のフィルムとなった。
(実施例5)
実施例1において、各層対の厚みは図5のBのラインを目標とし、ここから各スリット流量を算出、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリット(加工精度0.01mmにて形成)の形状を調整した。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られたフィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。わずかに色づきと透過があるものの、質感のある金属調のフィルムとなった。
実施例1において、各層対の厚みは図5のBのラインを目標とし、ここから各スリット流量を算出、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリット(加工精度0.01mmにて形成)の形状を調整した。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られたフィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。わずかに色づきと透過があるものの、質感のある金属調のフィルムとなった。
(実施例6)
樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%と、平均粒径17nmのカーボンブラック[三菱化学製MCF#1000]を0.02wt%添加した固有粘度0.90のポリエチレンナフタレート(PEN)を用い、120℃の温度で縦方向に4.4倍延伸し、140℃の温度で横方向に4.8倍延伸した以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表2に示す。
樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%と、平均粒径17nmのカーボンブラック[三菱化学製MCF#1000]を0.02wt%添加した固有粘度0.90のポリエチレンナフタレート(PEN)を用い、120℃の温度で縦方向に4.4倍延伸し、140℃の温度で横方向に4.8倍延伸した以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表2に示す。
(比較例1)
樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%添加した固有粘度0.70のポリエチレンナフタレート(PEN)を用い、樹脂Bとして、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)を用いた以外は、実施例6と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表2に示す。
樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%添加した固有粘度0.70のポリエチレンナフタレート(PEN)を用い、樹脂Bとして、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)を用いた以外は、実施例6と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表2に示す。
(比較例2)
樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%添加した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表2に示す。
樹脂Aとして、平均粒径1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%添加した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件にて製膜した。得られた結果を表2に示す。
本発明は、少なくとも2種類の樹脂からなる層を積層した積層フィルムと、その積層フィルムからなる成形体、カードに関するものである。更に詳しくは、金属調装飾材料として好適な積層フィルムに関するものである。
1: 側板
2: 樹脂A供給部
3: スリット部
3a、3b: スリット
4: 樹脂B供給部
5: スリット部
6: 樹脂A供給部
7: スリット部
8: 樹脂B供給部
9: 側板
10: 積層装置
11: 導入口
12: 液溜部
18: 合流装置
2: 樹脂A供給部
3: スリット部
3a、3b: スリット
4: 樹脂B供給部
5: スリット部
6: 樹脂A供給部
7: スリット部
8: 樹脂B供給部
9: 側板
10: 積層装置
11: 導入口
12: 液溜部
18: 合流装置
Claims (8)
- 樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ30層以上積層した構造を含んでなり、フィルム両表面における波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が30%以上であり、下記式1を満たすことを特徴とする積層フィルム。
1≦100−R(550nm)−T(550nm)≦60 式(1)
R(550nm) :波長550nmにおける入射角5°の絶対反射率(%)
T(550nm) :波長550nmにおける透過率(%) - 下記式2〜3を満たすことを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
1≦100−R(650nm)−T(650nm)≦60 式(2)
1≦100−R(450nm)−T(450nm)≦60 式(3) - 表面比抵抗が105以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールを含んでなるポリエステルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずかに記載の積層フィルム。
- 下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
T(550nm)≦2% 式(4) - 請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルムを含んでなることを特徴とする成形体またはカード。
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JP2006030554A JP2007210142A (ja) | 2006-02-08 | 2006-02-08 | 積層フィルムおよび成形体またはカード |
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JP2008275737A (ja) * | 2007-04-26 | 2008-11-13 | Toppan Printing Co Ltd | 光学薄膜積層体 |
JP2009075324A (ja) * | 2007-09-20 | 2009-04-09 | Toppan Printing Co Ltd | 光学薄膜積層体 |
-
2006
- 2006-02-08 JP JP2006030554A patent/JP2007210142A/ja active Pending
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