JP2016064643A - 二軸延伸積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】幅および長手方向の色調安定性に優れた二軸延伸積層フィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂Aを用いてなる層(以下、A層という)と、エチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールのジオール残基をジオール成分として有するポリエステル樹脂Bを用いてなる層(以下、B層という)が、交互にそれぞれ50層以上積層された構造を含む二軸延伸積層フィルムの製造方法であり、前記二軸延伸フィルムの波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が20%以上の二軸延伸積層フィルムの製造方法において、走行する二軸延伸積層フィルムの分光情報から演算される色彩値を測定する工程10,11と、測定した色彩値をフィードバックし、色彩値を制御する工程15を有することを特徴とする二軸延伸積層フィルムの製造方法およびその製造方法により得られたフィルム。
【選択図】図2

Description

本発明は、二軸延伸積層フィルムおよびその製造方法に関する。
近年、環境意識の高まりにより、建材、自動車部品、携帯電話、家電やパソコンなどの成型部材の加飾で、溶剤レス塗装、メッキ代替などの要望が高まり、フィルムを使用した加飾方法の導入が進んでいる。加飾のデザインとしては、意匠性を高めるために木目調、布目調の他、金属調に加飾されたものなどが用いられている。中でも金属調の外観は高級感が引き出せるためニーズが高いが、金属で成型すると重量が重くなってしまうため、フィルム等の樹脂基材を金属光沢調に加飾することが行われている。加飾用フィルムに求められる特性としては、成型部材の形状に追従できる成型性が重要であるが、例えば、冷蔵庫などの大型家電、自動車部品等の大面積の成型部材の加飾に用いる場合、色調ムラが有ると外観品位を損なうため、色調の安定性も要求されている。
そのような中で、特許文献1において、ハードコート用光学フィルムの基材として用いた時の干渉縞の抑制およびハードコート層との接着性に優れた光学用易接着フィルムであって、高温高湿度環境下での接着性や、インラインコート法での塗布性を高いレベルで実現する特性を併せ持つ積層ポリエステルフィルムが提案されている。
また、特許文献2において、プラズマディプレイの前面に設置した場合、従来の波長選択吸収フィルムと同様に、ディスプレイから放出される不要な近赤外線を吸収して近赤外線リモコンを用いる電子機器の誤動作を防ぎ、かつ色純度を低下させるオレンジ色の波長の光を吸収して色補正をおこなうことができるだけでなく、長尺のフィルムの長手方向における色調の変動が小さいために、製造されるプラズマディスレイの機台による色調の差を小さくすることができ、さらに波長選択吸収層の外観が良好で、光学的な欠点が極めて少ないため、プラズマディスプレイの高画質化に寄与し得る波長選択吸収フィルムが提案されている。
また、特許文献3において、金属メッキ調の光沢感を維持しながらも干渉縞の発生が著しく低減できる積層フィルムが提案されている。
国際公開第2012/020722号パンフレット 特開2005−189642号公報 特開2012−192737号公報
特許文献1記載の技術は、ハードコート層を調整することにより500nmから650nmの分光反射率の最小値および変化量を制御するものである。しかし、光の干渉現象を利用して金属光沢感を発現する50層以上の積層フィルムの色彩値(a*値およびb*値)は可視光線全範囲の分光反射スペクトルより算出されるため、色彩値を高度に制御することはできない。
特許文献2記載の技術は、色純度を低下させる波長の光および近赤外線を選択的に吸収させるために、近赤外線吸収色素、ネオンカット色素、樹脂、および界面活性剤を含有させた波長選択吸収層では特に長尺、広幅フィルムの長手方向、幅方向にわたる色彩値の変化を小さくすることはできない。
特許文献3記載の技術は、金属メッキ調の光沢感を維持しながらも干渉縞の発生を低減できるが、長手方向、幅方向の色彩値を制御することはできない。
さらに特許文献1から3のいずれの技術を用いても、製造中に起きる色彩値の変動を制御することはできず、その改善方法については、記載も示唆もされていない。
そこで本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解決し、幅および長手方向の色調安定性を有し、かつ成型性に優れる二軸延伸積層フィルムを大量かつ安価に生産し、安定提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するため次の構成を有する。すなわち、
(I)ポリエステル樹脂Aを用いてなる層(以下、A層という)と、エチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールのジオール残基をジオール成分として有するポリエステル樹脂Bを用いてなる層(以下、B層という)が、交互にそれぞれ50層以上積層された構造を含む二軸延伸積層フィルムの製造方法であり、前記二軸延伸フィルムの波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が20%以上の二軸延伸積層フィルムの製造方法において、走行する二軸延伸積層フィルムの分光情報から演算される色彩値を測定する工程と、測定した色彩値をフィードバックし、色彩値を制御する工程を有することを特徴とする二軸延伸積層フィルムの製造方法である。
(II)走行する二軸延伸積層フィルムの分光情報から演算される色彩値の測定方法が、フィルム幅方向に2点以上かつ同時に色彩値が測定され、かつフィルム長手方向に連続的な方法であり、また測定した色彩値をフィードバックし、制御する工程がフィルム厚みを制御する工程であることを特徴とする(I)に記載の二軸延伸積層フィルムの製造方法である。
(III)幅1000mm以上、長さ1000m以上の二軸延伸積層フィルムの巾方向および長手方向の色彩値が、式(1)、(2)を満たすことを特徴とする、(I)または(II)に記載の二軸延伸積層フィルムの製造方法である。
0≦a*(max)−a*(min)≦1.5 ・・・(1)
0≦b*(max)−b*(min)≦1.5 ・・・(2)
(a*(max)およびb*(max)は幅および長手方向の色度a*、b*の最大値、
a*(min)およびb*(min)は幅および長手方向の色度a*、b*の最小値。)
さらに下記(a)、(b)を満たすことを特徴とする(I)〜(III)のいずれかに記載の二軸延伸積層フィルムの製造方法である。
(a)150℃における延伸応力が80N以下であること。
(b)最表層がA層であり、最表層A層の厚みが1μm以上15μm以下であること。
本発明により、フィルム幅方向および長手方向の色調安定性に優れ、かつ成型性に優れる二軸延伸積層フィルムを大量かつ安価に生産し、安定提供することができる。本発明により得られた二軸延伸積層フィルムは、例えば、大型家電や自動車部品などの大面積成型部材の加飾に好適に用いることができる。
図1は、実施例1、比較例1の最表層を除く設計層厚みを説明するための図である。 図2は、本発明のフィルム製造方法の概略図である。
本発明は、ポリエステル樹脂Aを用いてなる層(以下、A層という)と、エチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールのジオール残基をジオール成分として有するポリエステル樹脂Bを用いてなる層(以下、B層という)が、交互にそれぞれ50層以上積層された構造を含む二軸延伸積層フィルムの製造法である。
本発明で言う「交互に積層した構造を含む」とは、前記A層およびB層が厚み方向に交互に出現する構造を有していることを指す。すなわち、本発明のフィルム中のA層とB層の厚み方向における配置がランダムな状態ではないことが好ましく、また、A層、B層、樹脂Cからなる場合には、CA(BA)n、CA(BA)nC、A(BA)nCA(BA)mなど、C層が最外層もしくは中間層に積層される構成であっても良い。ここでnおよびmは整数であり、例えばA(BA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABABABAの順列で積層されていることを表す。
また、本発明ではA層とB層とを交互にそれぞれ50層以上含まなければならない。より好ましくは、200層以上であり、A層とB層の総積層数が600層以上であることが特に好ましい。50層未満の場合、十分な反射率が得られなくなり、輝度の高い金属調の外観にならないことがある。また、樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)が交互にそれぞれ200層以上含まれていると、波長帯域400nm〜700nmの反射率を20%以上とすることが可能となる。また、A層とB層の総積層数が600層以上であると、波長帯域400nm〜700nmの反射率を60%以上とすることが容易となり、非常に輝度の高い金属調の外観を有することが容易となる。また、積層数の上限値としては特に限定するものではないが、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、3000層以下であることが通常の使用では一般的である。
本発明に用いるポリエステル樹脂Aは、ジカルボン酸成分とジオール成分とが重縮合して得られる構造を有する。ポリエステル樹脂Aは共重合体であっても良い。ポリエステル樹脂Aとして用いうるものとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、本発明において共重合ポリエステルとは、ジカルボン酸成分とジオール成分が合わせて少なくとも3種以上用いて重縮合して得られる構造を有する。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。本発明のフィルムロールとなる積層フィルムでは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであることが好ましい。
本発明に用いるポリエステル樹脂Bは、エチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールのジオール由来の残基を含んでいることが必要である。典型的な例としては、エチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールを用いて共重合して得られる構造を有した共重合ポリエステルや該2種のジオールを用いて重合して得られる構造を有したポリエステルをブレンドして得られるポリエステルがある。この構成であると成形加工し易く、かつ反射率も高いために好ましい。
また、本発明に用いるポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bは、本発明の目的を阻害しない範囲において他の樹脂が含まれていてもよい。例としてあげれば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂があげられる。また、巻き特性、剛性、光学特性などの機能を付与するために、コロイダルシリカ、酸化チタン、架橋ポリスチレンなどの粒子が含まれていても問題ない。これらの樹脂や粒子は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その添加量は限定されないが、好ましい範囲としては10重量%未満である。
本発明おいて、A層の面内平均屈折率はB層の面内平均屈折率より相対的に高いものであることが好ましい。 特に本発明では、ポリエステル樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、ポリエステル樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステルであることが好ましい。より好ましくは、シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。より好ましくは、ポリエステル樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、ポリエステル樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールの共重合量が20mol%以上30mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。ポリエステル樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールの共重合量が20mol%以上30mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体であると、積層フィルムの反射ピークの反射率が高反射率となり、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、層間接着性も格段に優れ、かつ製膜時のやぶれも生じにくくなり生産性にも優れるものとなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が20mol%以上30mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくいものとなると考えられる。
前記の通り、A層とB層は、本発明の製造方法における二軸延伸フィルムの好ましい特徴である金属光沢調を発するためにはその面内平均屈折率が異なることが好ましい。A層の面内平均屈折率はB層の面内平均屈折率より相対的に高いことが好ましい。また、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、0.1以上であることが特に好ましい。面内平均屈折率差が0.03未満の場合、十分な反射率が得られないことがある。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率の差が0.03以上であり、B層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率差が0.03以下であると、入射角が大きくなっても、反射ピークの反射率低下が起きないため、より好ましい。A層とB層の面内屈折率差を高くするには、B層樹脂の結晶融解温度を、235℃以下にすることが好ましく、そうすることによりテンターの熱処理でB層が配向緩和するため、より屈折率差が高くなる。また、B層が非晶性であると、高温下でも結晶化が生じにくいため、白化といった問題が生じないため好ましい。ここでいう「非晶性」とは、示差熱量分析(DSC)において昇温速度5℃/分で昇温させたときの結晶融解熱量が0.1mJ/mg未満であることを指す。
ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bのガラス転移温度差が20℃以下である組合せが好ましい。ガラス転移温度差が20℃より大きい場合には二軸延伸積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、金属光沢の外観不良となり易くなる。また、二軸延伸積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすい。
本発明の製造方法における二軸延伸積層フィルムは、波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が20%以上であることが必要である。これにより光沢感のあるフィルムを得ることができる。そのためには、層厚みを20nm以上500nm以下の範囲で徐々に厚くもしくは薄くすることにより、反射する帯域を希望の値に近づけることができる。より理想的な層厚みの範囲としては、30nm以上370nm以下である。
また、フィルム両表面における波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が20%以上であることがより好ましい。この場合、成形後も光沢感を維持し、視野角によっても色の変化がほとんど起きないものとなる。これは、可視光より高波長側(700nm以上)も絶対反射率が20%以上であるためで、例え延伸によってフィルム厚みが薄くなったり、視野角によって反射帯域が低波長側にシフトしても、可視光領域の絶対反射率は20%以上を維持できるためである。より好ましくは、波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が60%以上である。絶対反射率が高くなるほど光沢感が高くなり、金属調の外観とすることが可能となる。反射帯域は各層の層厚みを、下記式Aに基づいて反射が起こるように設計される。また、反射率についてはA層とB層の屈折率差と、A層とB層の層数にて制御する。
2×(na・da+nb・db)=λ 式A
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が20%未満の場合、輝度の高い金属調の外観とはならず、家電や自動車内装などへの意匠性が下がるため好ましくない。
本発明における二軸延伸積層フィルムは、波長帯域400〜1400nmの絶対反射率が20%以上であることが特に好ましい。この場合、高温成形時で深絞り成形を行った後でも、色の変化がほとんど起きないものとなる。より好ましくは50%以上であり、この場合、高温成形時で深絞り成形を行った後でも、色の変化が全く起きないものとなる。さらに好ましくは75%以上であり、色の変化が全くなく、かつ金属光沢に優れるものである。
本発明の二軸延伸積層フィルムは、150℃における延伸応力が80N以下であることが好ましい。このような場合、成型性に優れたものとなり、真空成型、真空圧空成型、プラグアシスト真空圧空成型、インモールド成型、インサート成型、冷間成型、プレス成型、絞り成型などの各種成型において、任意の形状に成型することが容易となるため、加飾用金属光沢調フィルムとして好適に用いられる。より好ましくは、150℃における延伸応力が70N以下である。このような場合、より高い絞り比でも成型可能となる。150℃における延伸応力が80N以下とするためには、ポリエステル樹脂Aが結晶性樹脂であり、ポリエステル樹脂Bがスピログリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどの嵩高い基を有する非晶性樹脂であることが好ましい。このような場合、二軸延伸後においてもポリエステル樹脂Bはほとんど配向及び結晶化していないため、延伸応力を低くすることができる。
本発明における積層フィルムは、最表層がA層であり、最表層A層の厚みが1μm以上15μm以下であることが好ましい。より好ましくは、5μm以上10μm以下である。最表層がA層であり、最表層A層の厚みを1μm以上の範囲とすることで、耐押跡性を良好にすることができる。また、積層界面不安定現象に起因するフローマークの発生を抑制し、外観不良や部分的な色付きの発生を抑制することができる。最表層A層の厚みを15μm以下とすることで、積層フィルムの全体厚みが厚くなりすぎて、加飾用成形部材としてコシが強すぎて取り扱いが難しくなるのを防ぐことができる。
本発明における二軸延伸積層フィルムの表面に、本発明の効果を阻害しない範囲で、ハードコート層、着色層、易滑層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、紫外線吸収層、印刷層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
本発明における二軸延伸積層フィルムは、ポリマーで構成され、金属や重金属などを基本的には含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。また、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成形法が適用できるため、低コストで立体形状を形成するものとすることが可能である。成形方法は、特に限定されるものではなく、一般に公知の成形方法、例えば、真空成形法、真空・圧空成形法、ブロー(吹き込み)成形法、プレス成形法、インサートインジェクション成形法、インモールド(金型内)成形法、押し出し成形法等で成形することができる。真空成形法および真空・圧空成形法とは、まず熱可塑性樹脂基材の全面または一部に成形加工用粘着シートを貼付しておき、この積層体を成形機の所定の位置に設置し、加熱軟化させ、木型または金型を下から送り込み、真空に引いて型に密着させ(真空成形法)、または真空に引くと共に反対側から圧縮空気で押して型に密着させ(真空・圧空成形法)、成形体を冷却後に型からはずして成形体を得る成形法である。
次に、本発明の製造方法を以下に説明するが、これによって制限されるものではない。
多層積層押出法によるポリエステルフィルムの製造方法について詳細に説明する。2種類のポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。
融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出されたポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bは、次に多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックを用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。そのフィードブロックの構造は、多数の微細スリットを有する櫛形のスリット板に部材を少なくとも1個有しており、2つの押出機から押し出された樹脂Aと樹脂Bとが、各マニホールドを経由して、スリット板に導入される。ここでは導入板を介して、樹脂Aと樹脂Bが選択的に交互にスリットに流入するため、最終的にはA/B/A/B/A・・・といった多層膜を形成することができる。また、スリット板をさらに重ね合わせることにより、層数を増やすことも可能である。また、両表層部に樹脂Cを設ける場合は、3つ目の押出機から樹脂Cを3層複合装置(フィードブロック)の表層側に導入し、中央層に多層膜を導入することによって、C/A/B/A・・・A/B/A/Cといった多層膜を形成することができる。
このようにして多層積層された溶融体を、スリット間隙が調整可能なTダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。スリット間隙調整機構はこれに限定されるものではないが、スリット間隙調整用ボルトの熱膨張を利用してスリット間隙を変化させる方式や、またモーター等を利用してスリット間隙調整用ボルトを正転あるいは反転させることで機械的に調整する方式が好ましく使用される。また冷却ドラム上にシート状にする際、たとえば、ワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
次いで、かかる未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行なう。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、それぞれの方向に、好ましくは、2.5〜3.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.5倍、特に好ましくは3〜3.4倍が採用される。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが望ましい。また延伸温度は、ガラス転移点〜(ガラス転移点+50℃)の温度が採用されるが、さらに好ましくは90〜130℃、特に好ましくは長手方向の延伸温度を100〜120℃、幅方向の延伸温度を90〜110℃とするのがよい。また、延伸は各方向に対して複数回行なってもよい。
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行なう。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行なうことができる。この熱処理は120℃以上、ポリエステルの融点以下の温度で行われるが、200〜240℃の熱処理温度とするのが好ましい。フィルムの透明性、寸法安定性の点からは210〜235℃であればより好ましい。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは1〜30秒間行なうのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。さらに、横延伸工程の前で、インク印刷層や接着剤、蒸着層との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行うことや、コーティング層を設けることもできる。このときの塗工液はロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、バーコーター、ダイコーター、ディップコーター等の公知の塗工手段を用いて、前記透明基材に塗布する。
同時二軸延伸の場合について説明する。同時二軸延伸の場合、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次いで、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行なうことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行なうのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。
このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
前記二軸延伸後の巻取り工程には、延伸フィルムを巻き取る直前に色彩値を測定するインライン測色計が設けられている。インライン測色計は延伸フィルムの幅方向で2点以上かつ同時にフィルムの色彩値を測定し、その色彩分布のデータをTダイスリット間隙制御装置へ送信する。そのTダイスリット間隙制御装置は、スリット間隙を変化させることでTダイの幅方向の吐出量分布を制御するようになっている。 次に、走行された二軸延伸積層フィルムの分光情報から色彩値を測定する工程について説明する。インライン測色計は特に限定されるものではないが、透過型測色計や反射型測色計を使用するとよい。特に走行するフィルムを挟み込むように投光部と受光部を設置できる透過型測色計は、省スペースの点や幅方向の測定ピッチが増やせる点からより好ましい。フィルム幅方向の色彩値測定ピッチは2点以上であることが好ましく、100mm以下であることがより好ましい。幅方向の測定タイミングは同時であることが好ましい。またフィルム流れ方向、つまり長手方向の測定ピッチは連続的であることが好ましく、100mm以下であることがより好ましい。
次に、測定した色彩値をフィードバックし、色彩値を制御する工程について説明する。測定した色彩値の幅方向分布データをフィードバックする工程は、二軸延伸する以前の工程であることが好ましく、色調制御の容易さよりフィルム厚みを制御する工程であることがより好ましい。フィルム厚みを制御する工程としては、樹脂を溶融する押出機やギヤポンプ等の計量装置、Tダイスリット間隙制御装置が挙げられる。幅方向分布データを有効かつ大面積に亘ってフィードバックするにはTダイスリット間隙制御装置が最も好ましい。スリット間隙調整機構はこれに限定されるものではないが、スリット間隙調整用ボルトの熱膨張を利用してスリット間隙を変化させる方式や、またモーター等を利用してスリット間隙調整用ボルトを正転あるいは反転させることで機械的に調整する方式が好ましく使用される。色調分布データのフィードバック方法はこれに限定されるものではないが、例えばスリット間隙変化量と色彩値a*およびb*の関係を、a*とb*の多項式より算出し、多項式に基づきスリット間隙を調整すると良い。スリット間隙の調整量は、熱膨張を利用する調整機構の場合、調整用ボルトに与える熱量とスリット間隙変化量の関係より、調整用ボルトに与える熱量を変化させると良い。また色調測定箇所とスリット間隙調整用ボルトの位置情報は、以下の方法により得ると良い。例えば複数のスリット間隙調整ボルトへ与える熱量を任意に変化させ、その際得られた幅方向色調分布データの変化より、色調測定箇所に対応する調整用ボルト位置を割り付ける方法である。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
(1)色彩値a*、b*
インライン測色計には多点同時透過色度モニター装置を使用した。シャッター内臓光源(モリテックス社製、型式:MHAA−100W−650−SO)から発せられる光をプラスチックス製投光ファイバーおよび投光レンズを介して積層フィルムへ当て、その透過光を受光レンズおよび石英製受光ファイバーを介して、ライン分光器(分光波長:380〜780nm、波長分解能:2μm、スリット寸法:幅30μm、高さ14.3mm)へ導く。分光された透過光は2次元センサー(Kodak社製、KAI−2020)に導かれ、透過率スペクトル化される。データ処理部にて透過スペクトルから2度視野C光源で、JIS Z 8722に記載された演算式に従って色度三刺激値X、Y、Zを計算し、三刺激値X、Y、Zから色彩値a*、b*が計算される。
投光レンズおよび受光レンズは、フィルム幅方向に100mm毎に配置した。フィルム流れ方向、つまり長手方向の測定ピッチも100mm毎となるように光源内部シャッターの間隔を設定した。例えば、フィルムの搬送速度が50m/分であれば、内部シャッター間隔は0.12秒とする。
フィルム長さ50000m、幅2500mmの積層フィルムを製造し、色彩値a*およびb*を幅方向に100mm毎に同時に測定し、さらに長手方向も100mm毎に測定した。フィルム幅および長手方向の全色度a*、b*の最大値をa*(max)およびb*(max)とし、同様に最小値をa*(min)およびb*(min)とした。
(2)色調安定度
フィルム長さ50000m、幅2500mmの積層フィルムを製造し、色彩値a*およびb*を幅方向に100mm毎に同時に測定し、さらに長手方向も100mm毎に測定した際のフィルム幅および長手方向の全色度a*、b*の最大値をa*(max)およびb*(max)とし、同様に最初値をa*(min)およびb*(min)とした。色調安定度は下記式(1)、(2)より、以下の基準で評価した。
0≦a*(max)−a*(min)≦1.5 ・・・(1)
0≦b*(max)−b*(min)≦1.5 ・・・(2)
○:式(1)、(2)ともに満たす場合
×:式(1)、(2)どちらかを満たす場合もしくは、ともに満たさない場合。
(3)絶対反射率
島津製作所製の分光光度計UV−3150を用いて測定した。
入射角5°の絶対反射率測定装置ASR−3105を取り付け、付属の取扱説明書に従い、以下の条件にて波長帯域400〜700nmにおける絶対反射率を測定した。
長さ50000m、幅2500mmの積層フィルムを製造し、1000m毎に、1000mm角のフィルムサンプルをフィルム幅方向に2枚切り出し、幅方向および長手方向に100mmピッチの箇所で絶対反射率を測定し、その平均値を各サンプルの絶対反射率とし、サンプル100枚の絶対反射率の平均値を測定結果とした。
スキャンスピード:高速
サンプリングピッチ:1nm
測定モード:シングル
スリット幅:30nm
光源切り替え波長:360nm
検出器切替波長:805nm
S/R切り替え:標準
検出器ロック:自動。
(4)150℃の延伸応力
フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ長さ150mm×幅10mmに切り出し、サンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分として引張試験を行った。測定は予め150℃の温度に設定した恒温槽中にフィルムサンプルをセットし、60秒間の予熱の後で引張試験を行った。得られた荷重−歪曲線から各方向の最大延伸応力を測定し、各方向にn数=5で行い、最大値、最小値を除く3点の平均値を算出し、長手方向および幅方向の平均値を測定結果とした。 (5)金属光沢性
上記、(3)絶対反射率の測定結果より、金属光沢性を以下の基準で評価した。
○:25%以上
×:25%未満。
(6)フィルム厚み
ソニー・プレシジョン・テクノロジー株式会社製のデジタルマイクロメーターμメイトM−30を用いて、任意の10点のフィルム厚みを測定し、その平均値をフィルム厚みとした。
(7)成型性
上記、(4)150℃の延伸応力の測定結果より、成型性を次の基準で評価した。
○:80N以下
×:80N超(7)層厚み、積層数、積層構造
ハーフミラー材である積層フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いた。
上記装置から得た約4万倍のTEM写真画像を、プリント倍率6.2万倍の処理で、画像を圧縮画像ファイル(JPEG)でパーソナルコンピューターに保存し、次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel 2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)でデータ採用した後に、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBA(ビジュアル・ベーシック・フォア・アプリケーションズ)プログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
(8)耐押跡性
島津製作所製の硬度計「HARDNESS TESTER No13881」を用いて、以下の条件でフィルム表面を硬度計で加重し、強制的に「押し跡」を形成し、サンプルの変形最大深さを表面形状測定装置VertScan2.0を用いて最大深さを測定し、変形量(nm)を算出する。変形量が1000nm未満を○とし、1000nm以上を×とした。
加重:0.9kgf(11.1MPa)
加重時間:5分
硬度計先端計:φ1mm
サンプルサイズ:100mm×100mm
表面形状測定装置:(株)菱化システム製 VertScan2.0
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
(実施例1)
2種類のポリエステル樹脂AおよびBを用いた。ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65、結晶融解温度255℃、結晶融解熱量41mJ/mg、結晶化温度155℃のポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも表す)[東レ製F20S]を用い、ポリエステル樹脂BとしてGN001[イーストマンケミカル製 1,4−シクロヘキサンジメタノールがグリコール成分に対し30mol%共重合された共重合ポリエステル](以下、PETGということがある)と、PET(結晶性樹脂として)[東レ製F20S]を82/18の重量比率で混合し、ベント付きの同軸二軸押出機にて溶融混練して吐出物を冷水にて固化したチップを用いた。これらポリエステル樹脂Aおよび結晶性樹脂が分散されたポリエステル樹脂Bは、それぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
ポリエステル樹脂Aは押出機にて280℃で、ポリエステル樹脂Bは295℃で溶融状態とした。溶融状態の各樹脂は、個別のギヤポンプ及びフィルターを介して、301個のスリットを有する部材を別個に3個有する901層のフィードブロックにて合流させた。なお、両表層部分は樹脂Aとなり、樹脂Aと樹脂Bが交互に積層され、かつ隣接する樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層の層厚みは、ギヤポンプにて吐出比がポリエステル樹脂A/ポリエステル樹脂B=1.1/1になるように計量しながら、設定した。つづいて、スリット間隙が調整可能なTダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。両面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷した。徐冷後の二軸延伸フィルムを巻き取る直前にインライン測色計で色彩値を測定した。インライン測色計の投光レンズおよび受光レンズは、フィルム幅方向に100mm毎に全26台配置した。フィルム流れ方向、つまり長手方向の測定ピッチも100mm毎となるように光源内部シャッターの間隔を設定した。測色計は、透過型測色計を用いた。その色彩分布のデータをTダイスリット間隙制御装置へ送信し、スリット間隙調整用ボルトの熱膨張を利用してスリット間隙を調整し、Tダイの幅方向の吐出量分布を制御した。このとき得られたフィルムの厚みは、100μmであり、絶対反射率は55%であった。この積層フィルムの最表層を除く設計層厚みは、図1のとおりであり、最表層積層厚みは3μmである。またこの積層フィルムとしての構成及び特性は表1の通りである。上記にて幅2500mm、長さ50000mのフィルムを製造した。
その結果、a*(max)−a*(min)=0.8、b*(max)−b*(min)=1.2となり色調安定度は○となった。また成形性および耐押跡性は、ともに○だった。
(実施例2)
得られたフィルムの厚みが40μmで、最表層積層厚みは3μmであり、絶対反射率が30%であること以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。
その結果、a*(max)−a*(min)=0.9、b*(max)−b*(min)=0.6となり色調安定度は○となった。また成形性および耐押跡性は、ともに○だった。
(実施例3)
最表層積層厚みは3μmであること以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。
その結果、a*(max)−a*(min)=0.7、b*(max)−b*(min)=1.3となり色調安定度は○となった。また成形性および耐押跡性は、ともに○だった。
(実施例4)
最表層積層厚みは0.8μmであること以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。
その結果、a*(max)−a*(min)=0.6、b*(max)−b*(min)=1.1となり色調安定度は○となった。また成形性は○であったが、耐押跡性は×だった。
(比較例1)
色彩分布のデータをTダイスリット間隙制御装置へ送信しないこと以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。また成形性および耐押跡性は、ともに○だった。
その結果、a*(max)−a*(min)=2.1、b*(max)−b*(min)=3.2となり色調安定度は×となった。
(比較例2)
ポリエステル樹脂Bに固有粘度0.65、結晶融解温度255℃、結晶融解熱量41mJ/mg、結晶化温度155℃のポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも表す)[東レ製F20S]を用いたこと以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。
その結果、その結果、a*(max)−a*(min)=0.2、b*(max)−b*(min)=0.2となり色調安定度は○となったが、絶対反射率が5%であり金属光沢性がなく、加飾用フィルムとして不適であった。また成形性は×であり、一方耐押跡性は○だった。
Figure 2016064643
本発明により、フィルム幅方向および長手方向の色調安定性に優れた二軸延伸積層フィルムを安定かつ大量に提供することができる、二軸延伸積層フィルムおよびその製造方法を得ることができる。例えば、大型家電や自動車部品などの大面積成型部材の加飾に好適に用いることができる。
1:押出機
2:Tダイ
3:キャスティングドラム
4:縦延伸機
5:横延伸機
6:搬送工程
7:巻取機
8:シャッター内臓光源
9:プラスチックス製投光ファイバー
10:投光レンズ
11:受光レンズ
12:石英製受光ファイバー
13:ライン分光器
14:2次元センサー
15:データ処理部
16:フィードブロック

Claims (4)

  1. ポリエステル樹脂Aを用いてなる層(以下、A層という)と、エチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールのジオール残基をジオール成分として有するポリエステル樹脂Bを用いてなる層(以下、B層という)が、交互にそれぞれ50層以上積層された構造を含む二軸延伸積層フィルムであり、前記二軸延伸フィルムの波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が20%以上の二軸延伸積層フィルムの製造方法において、走行する二軸延伸積層フィルムの分光情報から演算される色彩値を測定する工程と、測定した色彩値をフィードバックし、色彩値を制御する工程を有することを特徴とする二軸延伸積層フィルムの製造方法。
  2. 走行する二軸延伸積層フィルムの分光情報から演算される色彩値の測定方法が、フィルム幅方向に2点以上かつ同時に色彩値が測定され、かつフィルム長手方向に連続的な方法であり、また測定した色彩値をフィードバックし、制御する工程がフィルム厚みを制御する工程であることを特徴とする請求項1記載の二軸延伸積層フィルムの製造方法。
  3. 幅1000mm以上、長さ1000m以上の二軸延伸積層フィルムの巾方向および長手方向の色彩値が、式(1)、(2)を満たすことを特徴とする、請求項1または2記載の二軸延伸積層フィルムの製造方法。
    0≦a*(max)−a*(min)≦1.5 ・・・(1)
    0≦b*(max)−b*(min)≦1.5 ・・・(2)
    (a*(max)およびb*(max)は幅および長手方向の色度a*、b*の最大値、
    a*(min)およびb*(min)は幅および長手方向の色度a*、b*の最小値。)
  4. 下記(a)、(b)を満たすことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸延伸積層フィルムの製造方法。
    (a)150℃における延伸応力が80N以下であること。
    (b)最表層がA層であり、最表層A層の厚みが1μm以上15μm以下であること。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI605077B (zh) * 2016-06-15 2017-11-11 尤尼吉可股份有限公司 聚酯膜、積層體及聚酯膜的製造方法

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