JP6187211B2 - 積層フィルム - Google Patents
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少なくとも異なる2種の熱可塑性樹脂からなる樹脂A層と樹脂B層を交互に200層以上積層し、かつ、傾斜の度合い(最大層厚み/最小層厚み)が2以上の傾斜構造を含む積層フィルムであって、樹脂A層、および樹脂B層の繰り返し単位からなる層対厚み(dA+dB)において、下記(1)〜(4)式のいずれか1つを満足する層対の数が、全層対の数の40%以上であり、波長400〜1600nmの波長帯域において、連続して反射率が8%以上であることを特徴とする積層フィルム。
(i)2.5≦A/B≦3.5、あるいは1/3.5≦A/B≦1/2.5のとき
900(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦2700(nm)・・・(1)式
(ii)3.5<A/B≦4.5、あるいは1/4.5≦A/B≦1/3.5のときのとき
1200(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦3600(nm)・・・(2)式
(iii)4.5<A/B≦5.5のとき、あるいは1/5.5≦A/B≦1/4.5のとき
1500(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦4500(nm)・・・(3)式
(iv)5.5<A/B≦6.5のとき、あるいは1/6.5≦A/B≦1/5.5のとき
1800(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦5400(nm)・・・(4)式
ここで、dAおよびdBは各層対におけるA層及びB層のそれぞれの厚み(nm)、A/Bは、隣接する樹脂A層と樹脂B層の層厚みの比の当該積層フィルムにおける平均値
(i)2.5≦A/B≦3.5、あるいは1/3.5≦A/B≦1/2.5のとき
900(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦2700(nm)・・・(1)式
(ii)3.5<A/B≦4.5、あるいは1/4.5≦A/B≦1/3.5のときのとき
1200(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦3600(nm)・・・(2)式
(iii)4.5<A/B≦5.5のとき、あるいは1/5.5≦A/B≦1/4.5のとき
1500(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦4500(nm)・・・(3)式
(iv)5.5<A/B≦6.5のとき、あるいは1/6.5≦A/B≦1/5.5のとき
1800(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦5400(nm)・・・(4)式
ここで、dAおよびdBは各層対におけるA層及びB層のそれぞれの厚み(nm)、A/Bは、隣接する樹脂A層と樹脂B層の層厚みの比の当該積層フィルムにおける平均値
本発明の積層フィルムに用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリアセタールなどの鎖状ポリオレフィン、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテレフタレートとパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体、フェノールおよびフタル酸とパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体、2,6-ヒドロキシナフトエ酸とパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体など、パラヒドロキシ安息香酸などを基本構造としつつ、各種の成分と直鎖状にエステル結合させた芳香族ポリエステル系樹脂の液晶ポリマーを用いることができる。この中で、押出成形が良く、耐薬品性・強度・耐熱性・透明性に優れ、汎用性の観点から、特にポリエステルを用いることが好ましい。これらは、ホモポリマーでも共重合ポリマー、さらには複数のポリマーの混合物であってもよい。
(i)2.5≦A/B≦3.5、あるいは1/3.5≦A/B≦1/2.5のとき
900(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦2700(nm)・・・(1)式
(ii)3.5<A/B≦4.5、あるいは1/4.5≦A/B≦1/3.5のときのとき
1200(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦3600(nm)・・・(2)式
(iii)4.5<A/B≦5.5のとき、あるいは1/5.5≦A/B≦1/4.5のとき
1500(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦4500(nm)・・・(3)式
(iv)5.5<A/B≦6.5のとき、あるいは1/6.5≦A/B≦1/5.5のとき
1800(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦5400(nm)・・・(4)式
本発明の積層フィルムは、高次の干渉反射を利用することにより、積層数が少ないにもかかわらず、広い反射帯域を実現するものである。高次の反射を利用するためには、隣接する樹脂A層と樹脂B層の層厚みの比の全ての層における平均値A/Bは、2.5以上6.5以下、あるいは1/6.5以上1/2.5以下であることが必要である。なお、2種以上の熱可塑性樹脂を用いたとき何れの層を樹脂A層と称し何れの層を樹脂B層と称するかによってA/Bは2つの逆数の関係にある値を与える。従って、前記(1)〜(4)式は逆数の範囲も規定されるものであるが、何れの範囲でも実質は同じである。従って、以下、平均値A/Bが1以上となる樹脂A層の厚みが樹脂B層の厚みより厚い場合について説明する。平均値A/Bが2.5未満であると、高次の反射である可視光の反射率と近赤外〜赤外光にみられる1次の反射の反射率とのバランスが、1次の反射波長側に偏る。その結果、低波長側から高波長側へ向かうにつれて、反射率が増加する分光反射特性しか実現できない。そのため、視野角により赤く色付きやすく、また、成形後にも赤く色づき、成形前後で無色の積層フィルムは達成できない。一方、A/Bが、6.5超過であると、干渉反射現象が、発現しがたくなるため、高次の反射率が低下する。
2×(nA・dA+nB・dB)= k・λ(k) ・・・(6)式
kは自然数、λは光の反射波長であり、2層膜のA層とB層の屈折率と層厚みは、それぞれ、nA、nBとdA、dBである。通常、熱可塑性樹脂の屈折率は、1.3〜1.9程度であり、本発明は、屈折率の範囲の中央値1.6とした場合に、(6)式の左辺は、1.6×2×(dA+dB)とみなせる。右辺は、反射波長λと自然数kの積であり、この自然数kは、反射波長λの次数に関係し、k=1のときは、反射波長λは1次の反射波長を)、k=2のときは、反射波長は2次の反射波長を示す。ここで重要なことは、k次の反射波長は、1次の反射波長1/kとなることである。特に、本発明においては、k次の反射波長における反射率が、A/Bの比と深く関係しており、A/Bの値が大きくなるに従って、1次の反射波長における反射率が小さくなるとともに、k次の反射波長(k=2〜6)における反射率が大きくなる傾向を見出した。この効果を利用することによって、できるだけ少ない層数で、広い波長範囲に亘って一様な反射率を実現し、成形前後でも、色変化なく無色あるいは銀白色の光沢感のある積層フィルムを提供することができる。積層フィルムの層厚み分布におけるA/Bの比と、高次の反射波長における反射率の関係を図1〜4を用いて説明する。
(1)式は、1次の反射波長λ(1)の範囲を規定しており、例として、A/B=3の場合は、3次の反射波長の範囲を表すと (6)式となる。すなわち、dA+dBの層対によってもたらされる干渉反射の波長のうち、3次の反射波長が、300nm〜900nmの間に含まれる層対の厚みが必要である。
300(nm)≦ 1/3×{1.6×2×(dA+dB)}≦900(nm)・・・(6)式
従って、(i)の場合は、主に3次の干渉反射によって、可視光領域の波長400〜700nmを均一に反射させることを意図したものである。そのような反射特性を達成するためには、全層対厚みの数のうち、40%以上が(1)式を満足することが必要である。より好ましくは、60%以上である。また、好ましい層厚み分布は、少なくとも1つ以上の傾斜構造が存在することである。より好ましくは、2つ以上の傾斜構造である。1つの傾斜構造は、層厚み分布の配列が偏りやすいため、低反射領域のない均一な反射率を達成し難い。ゆえに、特開2011−129110公報〔0034〕〜〔0036〕に記載した複数の傾斜を含んだ構造とすることが好ましい。また、傾斜構造を採用することの利点は、できるだけ少ない層の数で、高い反射率を達成する効率面からである。また、各傾斜構造の各樹脂層が、等比数列の層厚みで変化する配列で、近似されることが好ましい。このような配列とすることで、薄い層の厚み、すなわち、光学厚さが短い低波長側の層の数を、十分にとることができ、成形前後で色変化なく、無色かつ光沢を維持した成形フィルムとなる。無色透明または銀白色の外観を得るための彩度としては、5以下であることが好ましい。5を超えると色付きを視覚しする。より好ましくは、3以下である。また、成形前後における色変化においては、色差ΔEが8未満であれば、殆ど色変化を感じない。より好ましくは、4未満である。
(物性値の評価法)
(1)層厚み、積層数、積層構造
積層フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いた。
(2)反射率の測定
積層フィルムのフィルム幅方向中央部から5cm四方のサンプルを切り出した。次いで、日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)を用いて、入射角度φ=10度における相対反射率を測定した。付属の積分球の内壁は、硫酸バリウムであり、標準板は、酸化アルミニウムである。測定波長は、250nm〜2400nm、スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定した。波長範囲400〜1600nmにおける最小反射率を求め、次いで、波長範囲400〜800nmにおける平均反射率Rve(VIS)と800nm〜1600nmにおける平均反射率とRve(NIR)を求めた。
(3)結晶融解熱、融点、ガラス転移点
示差走査熱量測定(DSC)を用いて、JIS−K−7122(1987年)に従って測定し、ガラス点移転(Tg)、結晶融解熱(融解エンタルピーΔH)および融点(Tm)を求めた。積層フィルムについては、測定条件1を、樹脂については、測定条件2を選択して評価した。
測定条件1:25℃→300℃(20℃/分)
測定条件2:25℃→300℃→(急冷後)→25℃→300℃(20℃/分)
装置:SIIナノテクノロジー(株)(旧セイコー電子工業(株))製
“EXTRA DSC6220”
サンプル質量:5mg
なお、測定条件1で観測されるガラス転移点が2つある場合は、低い方を採用した。また、検出されない場合は、動的粘弾性装置を用いて、α緩和温度(tanδピーク値)の低温側に見られるピークを採用した。以下の方法で、評価を行った。
装置:セイコーインスツルメント社製DMS−6100
サンプル長:20mm(幅5mm)
最小荷重:300mN
周波数 :1Hz
変位 :2μm
温度プログラム:25℃start→250℃end 5min 保持 (2℃/min)
(4)150℃の温度環境下における破断点応力、破断点伸度
破断点伸度はインストロンタイプの引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT-100)を用いて、150℃の温度環境下にてJIS−K7127に準拠して測定した。フィルム幅方向中央部からフィルム長手方向(MD方向:Machine Direction)およびフィルム幅方向(TD方向:Transevers Direction)それぞれについて、幅10mmのフィルムを、試長間100mm、引張り速度200mm/分の条件で引張り、フィルム長手方向および幅方向の破断点応力、破断点伸度を求めた。なお、試験回数は、5回の平均値を採用した。測定は長手方向及び幅方向それぞれサンプルについて行い、それらの平均値でもって求めた。
(5)彩度C*
積層フィルムの幅方向中央部から5cm×5cmで切り出し、コニカミノルタ(株)製CM−3600dを用いて、測定径φ8mmのターゲットマスク(CM−A106)条件下で、正反射光を除去したSCE方式、および正反射光を含めたSCI方式でそれぞれ、L*,a*,b*値を測定し、n数5の平均値を求めた。なお、白色校正板、およびゼロ校正ボックスは下記のものを用いて校正を行った。さらに、彩度C*は、SCIのa*,b*のそれぞれの2乗の和の平方根として求めた。なお、測色値の計算に用いる光源はD65を選択した。
白色校正板 :CM−A103
ゼロ校正ボックス:CM−A104
(6)成形性
金型の形状は、8cm×8cmの正方形を上面とする凸型の四角柱であり、高さ15cmと、4頂点から底面への稜線は、5°、10°、15°、20°の傾斜をつけた。バイエル・ニーブリング社製HDVF超高圧成形機SAMK400(代理店ミノグループ)を用いて、成形テストを行った。成形条件は、フィルム温度で220℃、圧力10MPa、金温度70℃とした。成形性の評価は以下の基準で判断した。
なお、稜線部分のRは、3mmとした。
○:成形後、しわ・フィルム破れが全くなく、四角柱の角もしっかり出ている。
△:成形後、しわ、フィルム破れは、殆どなく、四角柱の角は甘い。
×:成形後、しわ、フィルム破れ・ひびが頻発し、四角柱の角は出ていない。
(7)光沢度計
デジタル変角光沢度計UGV−5D(スガ試験機製)を用いて、60°の入射角・反射角における光沢度を測定した。なお、本発明の反射フィルムにおける第1の部位の表面は、高光沢であるため、1/10減光フィルタを設置し、測定を行った。
(8)面倍率1.75の成形前後での色変化
フィルム幅15mmに変更し、(4)項の評価方法により、面倍率1.75の延伸サンプルを作成した。延伸前後の色調を(5)項の評価方法により、L*,a*,b*値を測定し、色差ΔEを求めた。色変化を以下の基準で評価した。なお、面倍率は、アフィン変形を前提とし、1/1.75×厚みの減少変化により、確認した。
○:色差ΔEが4未満。
△:色差ΔEが4以上8未満。
×:色差ΔEが8以上。
(但し、色差ΔE=√((Δa*)2+(Δb*)2+(ΔL*)2):ΔL*,a*,b*は、各クロマティネス係数L*,a*,b*の延伸前後の差を表す。)
(熱可塑性樹脂)
樹脂Aとして、以下のものを準備した。
(樹脂A−1)テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量部、三酸化アンチモン0.03重量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行う。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量部を添加した後、重縮合反応層に移行する。さらに、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、IV=0.61のポリエチレンテレフタレートを得た。ガラス転移点温度80℃
(樹脂A−2)
IV=0.62 イソフタル酸(IPA 8モル%)を共重合したポリエチレンテレフタレート。ガラス転移点温度 80℃
(樹脂A―3)
IV=0.57のナフタレン2,6-ジカルボン酸ジメチルエステル(NDC)とエチレングリコール(EG)を常法により重縮合して得らえたIV=0.43のポリエチレンナフタレート。
(樹脂A−4)
ポリカーボネート(出光興産製A1700)。ガラス転移点温度 150℃
(樹脂A−5)
IV=0.63 スピログリコール(SPG 45モル%)を共重合したポリエチレンテレフタレート。ガラス転移点温度 110℃
(樹脂A−6)IV=0.63 テレフタル酸(TPA 30モル%)を共重合したポリエチレンナフタレート。ガラス転移点温度 115℃
一方、樹脂Bとしては、以下のものを準備した。
(樹脂B−1)IV=0.72シクロヘキサンジメタノール(CHDM 30モル%)を共重合したポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−2)樹脂A−1と樹脂B−1を1:3で混合した共重合ポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−3)樹脂A−1と樹脂B−1を1:1で混合した共重合ポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−4)IV=0.62 イソフタル酸(IPA 12モル%)を共重合したポリエチレンテレフタレート。ガラス転移点温度 80℃。
(樹脂B−5)
IV=0.63 スピログリコール(SPG 45モル%)を共重合したポリエチレンテレフタレート。ガラス転移点温度 110℃
(樹脂B−6)IV=0.62 イソフタル酸(IPA 17モル%)を共重合したポリエチレンテレフタレートとポリエーテルイミド(サビック社製DT1810EV)を1:1で混合したアロイポリマー。ガラス転移点温度 122℃。
(樹脂B−7)IV=0.73シクロヘキサンジメタノール(CHDM 60モル%)を共重合したポリエチレンテレフタレートと樹脂A−4を85:15で混合したアロイポリマー。
(樹脂B−8)
IV=0.63 スピログリコール(SPG 20モル%)を共重合したポリエチレンテレフタレート。ガラス転移点温度 95℃
易接着層として、以下のものを準備した。
(易接着)
粒径80nmのコロイダルシリカ5重量部に対して、下記組成のアクリル・ウレタン共重合樹脂および架橋剤125重量部の水系塗剤
「組成」
アクリル・ウレタン共重合樹脂(A):アクリル・ウレタン共重合樹脂アニオン性水分散体(山南合成化学製“サンナロン”WG−353(試作品))。アクリル樹脂成分/ウレタン樹脂成分(ポリカーボネート系)の固形分重量比が12/23、トリエチルアミンを2重量部用いて水分散体化。
オキサゾリン化合物(B):
オキサゾリン含有ポリマー水系分散体(日本触媒製“エポクロス”WS−500)
カルボジイミド化合物(C):
カルボジイミド水系架橋剤(日清紡ケミカル(株)“カルボジライト”V−04)
ポリチオフェン樹脂(D):
ポリエチレンジオキシチオフェン(化研産業製Bytron PEDOT)
固形分重量比:
(A)/(B)/(C)/(D)=100重量部/30重量部/30重量部/8重量部
[実施例1〜3]未延伸フィルム
表1に記載の樹脂Aおよび樹脂Bを90℃の窒素下で5時間乾燥後、それぞれ閉鎖系の搬送ラインにて、2台の二軸押出機に投入し、280〜290℃で溶融させて、それぞれ混練した。なお、ホッパー下部には、窒素パージを行った。次いで、2つのベント孔で、その真空圧を0.1kPa以下で真空ベントにより、オリゴマーや不純物などの異物を除去した。それぞれ、濾過精度6μmのFSSタイプのリーフディスクフィルタを10枚介した後、ギアポンプにて吐出比を、最表層部を考慮し、表1記載の隣接する樹脂A層と樹脂B層の層厚みの比の平均値A/Bの値となるように、図6に記したように特許番号4552936記載の積層装置と同じ方法で801層積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に801層積層された積層体とした。層厚み分布は、図7に記載したパターンとなるように、スリット間隙・長さを調整した。A層、B層それぞれについて、3つの傾斜構造を有する積層体とし、最表層を厚膜層とし、傾斜構造間にも厚膜層を形成した。一つの傾斜構造には、A層とB層が交互に267層積層されており、積層フィルムの両表面近傍が、最も層厚みが薄くなるように、3つの傾斜構造を配置する設計とした。また、3つの傾斜構造において、A層、もしくはB層の傾斜構造の薄膜層の設計において、最大層厚み/最小厚みの比である傾斜の度合いを2.8とするスリット設計を採用した。次いで、該積層体をTダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度が25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸フィルムを得た。
表1記載の樹脂Aおよび樹脂Bに変更し(但し、樹脂Bの乾燥温度60℃)、実施例1と同様の方法で、未延伸フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを、縦延伸機で145℃、フイルム長手方向に3.0倍の延伸を行い、コロナ処理を施し、#4のメタバーで易接着層を片面に付与した。次いで、両端部をクリップで把持するテンターに導き150℃、フイルム幅方向に3.3倍横延伸した後、次いで240℃の熱処理を施し、150℃で約3%のフイルム幅方向に弛緩処理を実施し、厚み250μmの積層フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
表1記載の樹脂Aおよび樹脂Bに変更し(但し、樹脂Aと樹脂Bの乾燥温度60℃)、実施例1と同様の方法で、未延伸フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを、縦延伸機で100℃、フイルム長手方向に3.2倍の延伸を行い、コロナ処理を施し、#4のメタバーで易接着層を片面に付与した。次いで、両端部をクリップで把持するテンターに導き110℃、フイルム幅方向に3.4倍横延伸した後、次いで235℃の熱処理を施し、150℃で約3%のフイルム幅方向に弛緩処理を実施し、厚み250μmの積層フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
表1記載の樹脂Aおよび樹脂Bに変更し(但し、樹脂Aと樹脂Bの乾燥温度60℃)、さらに、積層装置のスリット設計を変更した。スリット設計を、図3に記載した等比級数的な層厚み分布とした。(但し、図3とA/B、傾斜の度合いは異なる。)その他は、実施例1と同様の方法で、未延伸フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを、縦延伸機で95℃、フイルム長手方向に3.2倍の延伸を行い、コロナ処理を施し、#4のメタバーで易接着層を片面に付与した。次いで、両端部をクリップで把持するテンターに導き110℃、フイルム幅方向に3.4倍横延伸した後、次いで235℃の熱処理を施し、150℃で約3%のフイルム幅方向に弛緩処理を実施し、厚み175μmの積層フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
表1記載の樹脂Aおよび樹脂Bに変更し(但し、樹脂Aと樹脂Bの乾燥温度60℃)、さらに、積層装置のスリット数および傾斜の度合いを変更した。A層、B層それぞれについて、3つの傾斜構造を有する積層体とし、最表層を厚膜層とし、傾斜構造間にも厚膜層を形成した。一つの傾斜構造には、A層とB層が交互に301層積層されており、積層フィルムの両表面近傍が、最も層厚みが薄くなるように、図7と同様に、3つの傾斜構造を配置する設計とした。また、3つの傾斜構造において、A層、もしくはB層の傾斜構造の薄膜層の設計において、最大層厚み/最小厚みの比である傾斜度を3.0とするスリット設計を採用した。(但し、最表層のスリット設計は、実施例9〜10と実施例11〜13とは異なる。)その他は、実施例1と同様の方法で、未延伸フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを、縦延伸機で95℃、フイルム長手方向に3.2倍の延伸を行い、コロナ処理を施し、#4のメタバーで易接着層を片面に付与した。次いで、両端部をクリップで把持するテンターに導き110℃、フイルム幅方向に3.4倍横延伸した後、次いで235℃の熱処理を施し、150℃で約3%のフイルム幅方向に弛緩処理を実施し、積層フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
表1記載の樹脂Aおよび樹脂Bに変更し(但し、樹脂Aと樹脂Bの乾燥温度60℃)、吐出比および厚みを変更する以外は、実施例13と同様の方法で、積層フィルムを得た。得られた評価結果を表1に示す。
比較例1の積層装置を変更する以外は、比較例1と同様な方法で、積層フィルムを得た。積層装置は、傾斜構造の数が、二つとなるように、フィルム厚み方向の中央部において、凸型の層厚み分布を採用した。具体的には、図8に記載した4つの傾斜構造のうち、傾斜構造12と傾斜構造13の対称関係で配置された層厚み分布となるスリット設計を採用した。なお、スリット板の数は、2枚とし、一つの傾斜構造は、245層から形成されている。得られた評価結果を表1に示す。
樹脂Aを、150℃、3時間の条件で真空乾燥し、単軸押出機により、押出温度280〜290℃で樹脂Aを溶融して口金からシート状に吐出し、25℃のキャスティングドラム上で冷却固化した後、85℃に加熱したロールとラジエーションヒーターによってフィルムを加熱して、長手方向に3.3倍延伸し、続いてテンタにて幅方向に110℃で3.6倍延伸し、さらに該テンタの後続する熱処理ゾーンで230℃で熱処理することにより厚み188μmのポリエステルフィルムを得た。得られた評価結果を表1に示す。
2:B層
3:1次の反射
4:3次の反射
5:5次の反射
6:2次の反射
7:積層装置
71:スリット板
72:スリット板
73:スリット板
8:合流器
9:接続管
10:口金
11:スリット板71によって形成された層厚みの傾斜構造
12:スリット板72によって形成された層厚みの傾斜構造
13:スリット板73によって形成された層厚みの傾斜構造
11L:スリット板71の流出口からの樹脂流路
12L:スリット板72の流出口からの樹脂流路
13L:スリット板73の流出口からの樹脂流路
11M:スリット板71の流出口に連通し、再合流器によって配置された樹脂流路
12M:スリット板72の流出口に連通し、合流器によって配置された樹脂流路
13M:スリット板73の流出口に連通し、合流器によって配置された樹脂流路
14 :樹脂流路の幅方向長さ
15 :口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さ
16 :口金流入口部での流路の断面
17 :口金リップのフィルム幅方向長さ
18 :層の並び順
19 :層厚み
20 :厚膜層の厚みを示す点
21 :樹脂Aの層厚み分布(太線)
22 :樹脂Bの層厚み分布(細線)
Claims (10)
- 少なくとも異なる2種の熱可塑性樹脂からなる樹脂A層と樹脂B層を交互に200層以上積層し、かつ、傾斜の度合い(最大層厚み/最小層厚み)が2以上の傾斜構造を含む積層フィルムであって、樹脂A層、および樹脂B層の繰り返し単位からなる層対厚み(dA+dB)において、下記(1)〜(4)式のいずれか1つを満足する層対の数が、全層対の数の40%以上であり、波長400〜1600nmの波長帯域において、連続して反射率が8%以上であることを特徴とする積層フィルム。
(i)2.5≦A/B≦3.5、あるいは1/3.5≦A/B≦1/2.5のとき
900(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦2700(nm)・・・(1)式
(ii)3.5<A/B≦4.5、あるいは1/4.5≦A/B≦1/3.5のときのとき
1200(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦3600(nm)・・・(2)式
(iii)4.5<A/B≦5.5のとき、あるいは1/5.5≦A/B≦1/4.5のとき
1500(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦4500(nm)・・・(3)式
(iv)5.5<A/B≦6.5のとき、あるいは1/6.5≦A/B≦1/5.5のとき
1800(nm)≦ {1.6×2×(dA+dB)} ≦5400(nm)・・・(4)式
ここで、dAおよびdBは各層対におけるA層及びB層のそれぞれの厚み(nm)、A/Bは、隣接する樹脂A層と樹脂B層の層厚みの比の当該積層フィルムにおける平均値 - 波長400〜800nmの平均反射率が、波長800nm〜1600nmの平均反射率以上である請求項1に記載の積層フィルム。
- 結晶融解熱が35J/g以下であり、150℃での破断点伸度が250%以上である請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 150℃の温度環境下における破断点応力が、150MPa以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- ガラス転移点が90℃以上である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- ポリカーボネートと共重合ポリエステルとのアロイ樹脂を含んでなる請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- ポリエーテルイミドと共重合ポリエステルとのアロイ樹脂を含んでなる請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
- 最表層に5μm以上の保護層がある請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかの積層フィルムを用いた加飾成形フィルム。
- 請求項1〜9のいずれかの積層フィルムを用いた成形体。
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