JP4899913B2 - 積層フィルムおよび携帯電話用成型加飾フィルム - Google Patents
積層フィルムおよび携帯電話用成型加飾フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP4899913B2 JP4899913B2 JP2007035855A JP2007035855A JP4899913B2 JP 4899913 B2 JP4899913 B2 JP 4899913B2 JP 2007035855 A JP2007035855 A JP 2007035855A JP 2007035855 A JP2007035855 A JP 2007035855A JP 4899913 B2 JP4899913 B2 JP 4899913B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- resin
- film
- layers
- thickness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
Description
さらに、これら金属調フィルムは構成体全てが樹脂で構成されるため、屋外での使用や強い蛍光灯の光の環境下においては、紫外線による樹脂の劣化により、長期の使用後の性能劣化や着色が避けられなかった。この問題を改善するために、紫外線吸収剤を樹脂に添加することも可能であるが、その場合は添加した紫外線吸収剤自体による着色が顕著になり、加飾材料としての使用は著しく限定されたものとなってしまっていた。すなわち、従来技術は、以下の要件をすべて満たすものではなかった。
1)電磁波を透過する金属調の材料
2)成形加工が可能であり、成形加工後も色変化がなく、かつ層間剥離が生じにくい材料
3)初期の着色性が優れ、長期耐光性を有す
4)色づきのない、自然な金属調の外観を有する材料
また、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさない成形体を提供することを課題とする。
また、波長帯域400nm〜1000nmの平均の透過率が4%以上55%以下とすることにより、金属調の色合いの調整が容易となる。
また、樹脂Aと樹脂BのSP値の差の絶対値を1.0以下とすることにより、さらに成形後の層間剥離をおきにくくすることが可能である。
本発明で言うポリエステルとしては、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、本発明の積層フィルムでは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールを含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールを含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであることが好ましい。樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さく、接着性にも優れるため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
本発明の積層フィルムは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上90MPa以下でなければならない。このような場合、成形性に優れたものとなり、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形、絞り成形などの各種成形において、任意の形状に成形することが容易となる。より好ましくは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上50MPa以下である。このような場合、より高い絞り比でも成形可能となる。150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上90MPa以下とするためには、樹脂Aが結晶性樹脂であり、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ネオペンチルグリコールなどの嵩高い基を有する非晶性樹脂であることが好ましい。このような場合、二軸延伸後においても樹脂Bはほとんど配向および結晶化していないため、引張応力が低くなるものである。また、各樹脂の融点以上でA層とB層からなる積層体を形成し冷却固化せしめるまでの時間が3分以上であることも好ましい。これは、A層とB層の界面に形成される混在層が厚くなるために、引張応力が低くなったものと推察している。さらに、層厚みが20nm以下の層が含まれているのも好ましい。層厚みが20nm以下になると、延伸してもさらに配向や結晶化が進みにくくなるために、引張応力も低下するものである。
本発明の成形体としては、上記積層フィルムを含んでなければならない。本発明の積層フィルム以外に、ハードコート層、エンボス層、耐候層(UVカット層)、着色層、接着層、基材樹脂層などのいずれかを含んでなることも好ましい。このよう成形体は、オールポリマーから構成することが可能であり、金属や重金属などを含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。本発明の成形体では、特に着色層を有することが好ましい。本発明の積層フィルムでは、可視光線の一部が透過する場合があるため、着色層を設けることにより、成形体の色目を調整することが可能となる。また、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形、絞り成形などの各種成型法が適用できるため、低コストで成形体を得ることが可能である。このような成形体は、携帯電話、電話、パソコン、オーディオ機器、家電機器、無線通信機器、車載部品、建築材料、ゲーム機、アミューズメント機器、包装容器などに好ましく用いることができる。特に、本発明の成形体は、携帯電話、電話、パソコン、オーディオ機器、家電機器、無線通信機器、車載部品、ゲーム機などの無線で情報通信を行う機能を有する機器(無線情報通信機器)の装飾部品として用いることが好ましい。本発明の成形体は、金属調の外観を有しながら、電磁波透過性に優れるので、従来の金属調装飾材料のように電磁波障害を引き起こさないものである。このため、本発明の成形体を情報通信機器の装飾部品として用いると、機器の小型化や薄型化が可能となったり、情報通信機器内部の回路設計の自由度が増すものである。
本発明のICカード・ICラベルは、上記回路搭載シートを含んでなければならない。本発明の回路搭載シート以外に、ハードコート層、エンボス層、耐候層(UVカット層)、着色層、接着層などのいずれかを含んでなることも好ましい。このようなICカード・ラベルは、回路の基材がポリマーのみから構成され、金属や重金属などを含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。
a)樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)の総積層数が600層以上である。
b)波長帯域400nm〜1000nmの相対反射率が80%以上である。
c)層対厚み120nm以上220nm未満の層の数が、層厚み220nm以上320nm以下の層の数の1.05倍以上2.5倍以下である。
d)少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有する。
また、一つの液溜部から二つ以上のスリット部材へ樹脂を供給することがより好ましい。このようにすると、例えわずかにスリット内部で幅方向に流量分布が生じていたとしても、次に説明する合流装置にてさらに積層されるため、積層比率としてはトータルでは均一化されるため、高次の反射帯域のむらを低減することが可能となる。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
また、本発明では、層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多くなければならないが、そのためには層対厚みは一方の表面から反対側の表面にむかうにつれ、層対順に対し一次関数状に増加または減少するのではなく、220nm〜320nmでの層対厚みの変化よりも、220nm未満での層対厚みの変化が緩やかであることが好ましい。具体的に図5を用いて説明する。図5は、400nm〜1200nmの波長帯域を反射するように、層対順に対し層対厚みが118〜370nmに変化するように設計したいくつかの例をしめしたものである。この例では、Aのタイプが層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いため好ましい。一方、Bのタイプでは層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数と同数であるため、色づきのある金属調となりやすいため好ましくない。また、Cのタイプでは層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より少ないために、さらに色づきがきつくなるため好ましくないものである。
最大層対厚みから最小層対厚みまで徐々に厚みが薄くなる層構成に設計することが好ましい。この際、わずかな積層むらについては許容される。
(物性値の評価法)
(1)フィルム断面観察
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、フィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、した。なお、本発明の実施例では十分なコントラストを得るため、RuO4を使用して染色した。
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nmmin.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAl2O3板を用いた。対象となる波長範囲において整数の波長の反射率を求めた。
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、算出した。また、溶液粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。なお、n数は3とし、その平均値を採用した。
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離した格子の数で表した。
示差熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。なお、まずはじめに1st Runで、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した後、290℃で5分間ホールドした後、25℃まで急冷した。またつづく2nd Runでは、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した。樹脂のガラス転移温度は2nd Runにおけるガラス転移温度を用いた。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg
(6)積層数、層対厚み
透過型電子顕微鏡にて得たフィルム断面像(倍率4万倍の写真画像)を、スキャナー(Canon製CanonScanD123U)を用いて、画像サイズ720dpiで取り込んだ画像をビットマップファイル(BMP)で保存した。次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(MediaCybernetics社製)を用いて、このBMPファイルを開き、画像解析を行った。以下に代表的な画像処理条件を記す。まず、ローパスフィルタ(サイズ 7×7 強さ 10 回数 10)処理した後、垂直シックプロファイルモードで、位置と輝度の数値データとを得た。なお、位置は、予め空間較正でスケーリングしておいた。この位置と輝度のデータをMicrosoft社製EXCEL2000上で、サンプリングステップ6(間引き6)、さらに3点移動平均処理を行った。さらに、この得られた輝度を位置で微分し、その微分曲線の極大値と極小値を算出した。そして、隣り合う極大値−極大値または隣り合う極小値−極小値となる位置の間隔を層対厚みとし、全ての層対厚みを算出した。なお、この際、微分曲線のノイズを検出しないように、微分値に対して一定の閾値を設定し、層対厚みに対応する隣り合う極大値−極大値間距離または隣り合う極小値−極小値間距離を検出するように処理した。
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)に、付属の平行光線要セルを取り付け、透過率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nmmin.の検出速度で測定した。
(8)摩擦係数
フィルム同士の摩擦係数は、ASTM−D−1894−63に準じ、動摩擦係数を新東科学(株)製表面性測定機HEIDON−14DRを用いて、サンプル移動速度200mm/min、荷重200g、接触面積63.5mm×63.5mmの条件で測定し、アナライジングレコーダTYPE:HEIDON3655E−99で記録し評価した。
東洋精機製 フィルムストレッチャーを用いて、150℃の温度で、縦方向に1.2倍 横方向に1.2倍 同時二軸したフィルムを作成した。得られたフィルムについて、延伸前のフィルム厚みに対し、1/1.4〜1/1.6のフィルム厚みの部位について相対反射率を測定した。
目視にて判定し、着色のない金属調である場合を◎、わずかに着色している金属調である場合を○、着色していたり、角度によって色が付いたりする場合を×とした。
(11)光沢度
JIS−K7105(1981)に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて、60度の鏡面光沢度を測定した。なお、光沢度が高すぎるために、測定に際しては、すべて1/10に減光されるフィルターを挿入し、測定した。
(12)明度、色度、彩度
コニカミノルタ製 分光測色計CM−3600dを使用して、付属のゼロ構成ボックスで反射率のゼロ構成を行い、続いて付属の白色校正板を用いて100%校正を行った後、以下の条件でフィルムの明度L*および色度(a*、b*)を計測した。明度および色度の定義は、JIS Z8729(2004年)に準ずる。
モード:反射、SCI/SCE同時測定
測定径:8mm
サンプル:非測定側に黒インキを塗布
また、実施例の結果には彩度(C*)を記載した。彩度の定義は以下の通りである。彩度が0に近いほど、色づきのないものとなる。
C*=((a*)2+(b*)2)1/2
彩度の計算に用いた色度(a*、b*)はSCIの値を用いた。
なお、彩度は5以下であることが、外観特性上必要である。
(13)成形性
真空成形装置SANWA KOGYO PLAVAC TYPE FB−7を用いてテストした。200℃に加熱した試料に、深さ15mm、直径50mmの円柱状のカップを押し当て、さらにカップ内の空気を一瞬で抜き取って真空にした。このとき試料がカップの形状に追従して変形するものは、成形性が高いと判断し、◎とした。また試料がカップに追従して変形するものの、角部分が十分に成形されないものを○とした。さらに試料がカップに追従せず、ほとんど変形しないものは成形性が低いと判断し、×とした。
(14)電磁波シールド性
(社)関西電子工業振興センターのKEC法にて、電磁波シールド性を測定した。測定条件は以下の通り。
測定装置
信号発生器:アンリツ製 MG3601A
スペクトラムアナライザー:アンリツ製 MS2601A
プレアンプ:アンリツ製 MH648A
測定法---KEC法(近傍電界、近傍磁界)
測定周波数---0.1〜1GHz
試料寸法---150mm×150mm
スペーサー---スチールウール(“ボンスター”)
サンプル測定:1つのサンプルについて3回測定を行い、その平均値を採用した。
評価結果については、800MHzにおける電界シールド性を減衰率(dB)で表した。なお、一般的に金属調加飾フィルムとして良く使用されるアルミ蒸着フィルムの減衰率は、46dBであった。
(15)色合いの経時変化、初期着色
(12)に記載の分光測色計を用いて測定したb*で黄味着色の度合いを測定し、紫外線吸収剤による初期着色を評価した。また経時変化については、岩崎電気製アイスーパーUVテスター(型番:SUV−W131)を用いてサンプルに紫外線を照射し、照射後のb*値を測定することで経時変化の評価を行った。UV照射量は波長365nmで100mW/cm2であり、UV照射時間は4時間とした。また、フィルムの商品価値として、b*値が5以下であることを、合格レベルとした。
(16)フィルムの生産性
溶融ポリマーをシート状に吐出するTダイのリップ先端の汚れにより、シートに発生するスジの状況により判断。24時間の製膜中にスジが発生した場合、×とした。
1.ポリエステル1の合成
テレフタル酸ジメチルを67.6重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを17.4重量部、エチレングリコールを54重量部、スピログリコールを20重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。次いで、撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。
同様にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを64重量部用いる以外は前記と同様にしてポリエステル2(ポリエチレンテレフタレート)を重合した。得られたポリエステル2の固有粘度は0.65でありTgは80℃であった。
樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルターを介した後、801層のフィードブロックにて合流させた。801層のフィードブロックとしては、図1および図4に示したような装置を用いた。なお、上記のフィードブロック中の積層装置は267個のスリットを有するスリット部材が3つからなるものであった。合流した樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ、樹脂Aが401層、樹脂Bが400層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、各層対の厚みは図5のAのラインを目標とし、ここから各スリットを流れるポリマー流量を算出し、フィードブロック内の各微細スリットの形状を設計した。また、両表層部分は樹脂Aとなるようにし、かつ隣接するA層とB層の層厚みはほぼ同じになるようにスリット形状を設計した。この設計では、400nm〜1200nmに反射帯域が存在するものとなる。このようにして得られた計801層からなる積層体を、マルチマニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給した樹脂Aからなる層を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。なお、樹脂Aと樹脂Bが積層装置内で合流してからキャスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約8分となるように流路形状および総吐出量を設定した。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.0倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
(実施例2)
実施例1における樹脂A中の紫外吸収剤の濃度を0.3wt%とし、その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られたフィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1における樹脂Bのかわりに、エチレングリコールに対しシクロヘキサンジメタノールを30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/CHDM・PET)[イーストマン製 PETG6763]を用いた。なお、エチレングリコールに対しシクロヘキサンジメタノールを30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/CHDM・T)は非晶性樹脂であった。また、樹脂A中の紫外線吸収剤を蓚酸アニリド系の化合物(クラリアント・ジャパン(株)社製 ”サンデュボアVSU”)に変更し、添加割合を7wt%とした。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られたフィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、樹脂A中の紫外線吸収剤の添加量を0wt%とした。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られたフィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、樹脂A中の紫外線吸収剤の添加量を12wt%とした。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られたフィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例2において、樹脂A中の紫外線吸収剤として一般的なトリアジン系の化合物(チバ・スペシャルティケミカルズ社製“CGX006”)に変更し、添加量を0.3wt%とした。その他の条件・装置については実施例2と同様とした。得られたフィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。
(比較例4)
比較例3において、フィードブロックの構造を修正し彩度が5以下になるように補正したものである。その他の条件・装置については実施例2と同様とした。得られたフィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1において、樹脂A中の紫外線吸収剤として、一般的なベンゾフェノン系の化合物(旭電化(株)製“アデカスタブLA−51”)に変更し、添加量は3wt%とした。その他の条件・装置については実施例2と同様とした。得られたフィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。
本発明は、少なくとも2種類の樹脂からなる層を積層した積層フィルムと、その積層フィルムからなる成形体に関するものである。更に詳しくは、金属調装飾材料として好適な積層フィルムに関するものである。
2: 樹脂A供給部
3: スリット部
3a、3b: スリット
4: 樹脂B供給部
5: スリット部
6: 樹脂A供給部
7: スリット部
8: 樹脂B供給部
9: 側板
10: 積層装置 11: 導入口
12: 液溜部
18: 合流装置
22: 側板
23: 樹脂A供給部
24: スリット部
25: 樹脂B供給部
26: 側板
27: フィードブロック(積層装置)およびその構成部品
Claims (3)
- 少なくとも2種類の可塑性樹脂層が厚み方向に交互に30層以上積層された積層フィルムであって、波長400〜1000nmにおける反射率が30%以上、150℃における引張試験においてフィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上90MPa以下、層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多く、積層フィルム中にマロン酸エステル系化合物または蓚酸アニリド系化合物から選ばれた紫外線吸収剤を少なくとも1種以上含有し、該紫外線吸収剤の含有量が、フィルムの総重量に対し0.1〜10重量%であることを特徴とする積層フィルム。
- 前記紫外線吸収剤の含有量が、フィルムの総重量に対し1〜5重量%である請求項1に記載の積層フィルム。
- 請求項1または2に記載の積層フィルムを含んで構成される携帯電話用成型加飾フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007035855A JP4899913B2 (ja) | 2007-02-16 | 2007-02-16 | 積層フィルムおよび携帯電話用成型加飾フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007035855A JP4899913B2 (ja) | 2007-02-16 | 2007-02-16 | 積層フィルムおよび携帯電話用成型加飾フィルム |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008200861A JP2008200861A (ja) | 2008-09-04 |
JP2008200861A5 JP2008200861A5 (ja) | 2010-03-11 |
JP4899913B2 true JP4899913B2 (ja) | 2012-03-21 |
Family
ID=39778854
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007035855A Expired - Fee Related JP4899913B2 (ja) | 2007-02-16 | 2007-02-16 | 積層フィルムおよび携帯電話用成型加飾フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4899913B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5401132B2 (ja) | 2009-01-20 | 2014-01-29 | 信越ポリマー株式会社 | 電波透過性装飾部材およびその製造方法 |
JP5275856B2 (ja) * | 2009-03-16 | 2013-08-28 | 株式会社東海理化電機製作所 | 装飾部材、レーダユニット、装飾部材製造方法 |
JP5346632B2 (ja) | 2009-03-17 | 2013-11-20 | 信越ポリマー株式会社 | 電波透過性加飾フィルムおよびこれを用いた装飾部材 |
KR102013045B1 (ko) | 2009-11-18 | 2019-08-21 | 쓰리엠 이노베이티브 프로퍼티즈 컴파니 | 다층 광학 필름 |
JP2012117815A (ja) | 2010-11-29 | 2012-06-21 | Casio Comput Co Ltd | 電子機器および腕時計 |
US20150202847A1 (en) * | 2014-01-17 | 2015-07-23 | 3M Innovative Properties Company | Successively peelable coextruded polymer film with extended uv stability |
JP6911517B2 (ja) * | 2017-05-19 | 2021-07-28 | 東洋紡株式会社 | 積層加飾構成体 |
CN118090431B (zh) * | 2024-04-23 | 2024-07-26 | 四川中科兴业高新材料有限公司 | 一种高性能聚芳硫醚类薄膜双向拉伸实验装置及实验方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11262990A (ja) * | 1998-03-18 | 1999-09-28 | Toray Ind Inc | 白色ポリエステルフィルム |
JP4167088B2 (ja) * | 2003-02-20 | 2008-10-15 | 帝人株式会社 | 二軸延伸多層積層ポリエステルフィルム |
JP4529072B2 (ja) * | 2003-09-02 | 2010-08-25 | 東洋紡績株式会社 | 成型用ポリエステルフィルム及びそれを成型してなる成形部材 |
JP2006289938A (ja) * | 2005-03-18 | 2006-10-26 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | 光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体およびその製造方法 |
JP5211433B2 (ja) * | 2005-03-24 | 2013-06-12 | 東レ株式会社 | Led用反射体 |
-
2007
- 2007-02-16 JP JP2007035855A patent/JP4899913B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008200861A (ja) | 2008-09-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5176319B2 (ja) | 積層フィルムおよび成形体 | |
JP5640380B2 (ja) | 積層フィルムおよび成形体、反射体 | |
JP4899913B2 (ja) | 積層フィルムおよび携帯電話用成型加飾フィルム | |
KR20090109135A (ko) | 적층 필름 및 성형체 | |
JP2010050598A (ja) | 電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムおよびそれを用いた電磁波透過性部材 | |
JP2009164029A (ja) | キーパッド部材用金属光沢調装飾フィルム | |
JP2015068996A (ja) | 画面保護用基材フィルムおよびそれを用いた画面保護シート | |
JP4857795B2 (ja) | 回路搭載シートおよびicカード、icラベル | |
JP2007271896A (ja) | 着色フィルム | |
JP5169317B2 (ja) | 成形体 | |
JP2021143308A (ja) | 熱可塑性樹脂フィルム | |
JP2007210142A (ja) | 積層フィルムおよび成形体またはカード | |
JP2017149142A (ja) | 成型用積層フィルム及びそれを用いた成型品 | |
JP4957305B2 (ja) | 樹脂シート | |
JP2024055292A (ja) | 積層フィルム | |
JP2023144340A (ja) | 積層フィルム | |
JP2008114587A (ja) | 積層フィルム | |
JP2013208748A (ja) | 積層フィルム | |
JP2012196901A (ja) | 加飾成形体および加飾シート |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100121 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100121 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110816 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110830 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111206 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111219 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4899913 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150113 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |