JP4857795B2 - 回路搭載シートおよびicカード、icラベル - Google Patents

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本発明は、意匠性に優れた回路搭載シートと、その回路搭載シートからなるICカードまたはICラベルに関するものである。
フレキシブルな回路搭載シートとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミドなどのフィルムに導電性パターンが形成されたものが使用されている。
また、接触型ICカード・ラベルや、非接触型ICカード・ラベルでは、ICチップやアンテナなどの回路を隠蔽する目的から、これら回路搭載シートを白色のポリエチレンテレフタレートで被覆する方法などが提案されている(特許文献1参照)。
このような用途においては、回路搭載シートの外装となるフィルムについては、種々の意匠性、装飾性が要求され、高級感からダイクロイック調や金属調の外観を有する材料が求められるようになってきている。しなしながら、誘電体多層膜や金属膜を形成したフィルムや、金属フレークを分散したインキを塗布したフィルムなどを用いて、ダイクロイック調や金属調の装飾を有するICカードとすると、金属成分の導電性のために絶縁不良が発生し動作不良を起こしやすくなったり、非接触型ICカードでは送受信特性が大幅に低下するなどの問題があった。
特開平2005−128787号公報(第2頁)
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、ダイクロイック調や金属調の外観を有しながら、動作不良や送受信特性の低下のない回路搭載シートを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の回路搭載シートは、波長帯域400〜700nmのいずれかの波長における絶対反射率が30%以上であり樹脂Aを主成分とする層(A層)と樹脂Bを主成分とする層(B層)を交互にそれぞれ30層以上積層した構造を有し、かつ層対厚み120nm以上220nm未満の層の数が層対厚み220nm以上320nm以下の層の数の1.05倍以上2.5倍以下で、かつ、当該層対厚みは一方表面から反対表面側に向かうにつれて120nmから320nmに徐々に厚くなっている積層フィルムと、導電性パターン層とを少なくとも含んでなることを特徴とする。
本発明は、ダイクロイック調や金属調の外観を有しながら、動作不良や送受信特性の低下のない回路搭載シートを提供するものである。
また、該積層フィルムの25〜80℃におけるtanδが0.02以下であると、耐熱性にも優れ、長時間回路が動作しても絶縁特性が低下しない優れた回路搭載シートとなる。
また、層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いと、色づきのない、自然な金属調ものとなる。
また、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、層間剥離が発生しにくくなるものである。
また、着色層を含んでなると、隠蔽製に優れるとともに、より反射色が見やすくなり、ダイクロイック調や金属調としての装飾性が向上する。
また、本発明の回路搭載シートを含んでなるカードは、リサイクル性にも優れ、金属調の外観を有しながら、信号の送受信特性にも優れるものである。
上記目的を達成するため、本発明の回路搭載シートは、波長帯域400〜700nmのいずれかの波長における絶対反射率が30%以上であり樹脂Aを主成分とする層(A層)と樹脂Bを主成分とする層(B層)を交互にそれぞれ30層以上積層した構造を有する積層フィルムと、導電性パターン層とを少なくとも含んでなるものでなければない。このような回路搭載シートは、ダイクロイック調や金属調の外観を有しながら、回路の動作不良や送受信特性の低下のないものとなる。
本発明における積層フィルムに用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。より好ましくは、成形性が良好であるため、熱可塑性樹脂である。また、各樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルであることがより好ましい。
本発明で言うポリエステルとしては、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、本発明における共重合ポリエステルとは、次にあげるジカルボン酸骨格を有する成分とジオール骨格を有する成分とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体のことと定義される。ジカルボン酸骨格を有する成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。グリコール骨格を有する成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどが挙げられる。
また、本発明で言うA層とB層については、A層の面内平均屈折率はB層の面内平均屈折率より相対的に高いものである。また、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。屈折率差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られず、好ましくないものである。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率の差が0.03以上であり、B層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率差が0.03以下であると、入射角が大きくなっても、反射ピークの反射率低下が起きないため、より好ましい。
本発明における樹脂Aと樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、樹脂Aと樹脂BのSP値の差の絶対値が、1.0以下であることが第一に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、樹脂Aからなる層と樹脂Aと同一の基本骨格を含む樹脂Bからなる層を有していることが好ましい。ここで基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレートが基本骨格である。また別の例としては、一方の樹脂がポリエチレンの場合、エチレンが基本骨格である。樹脂Aと樹脂Bが同一の基本骨格を含む樹脂であると、さらに層間での剥離が生じにくくなるものである。
樹脂Aと樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、樹脂Aと樹脂Bのガラス転移温度差が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度差が20℃より大きい場合には積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、色むらなどの外観不良となる。また、積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすいためである。
また、本発明の回路搭載シートを構成する積層フィルムでは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールを含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールを含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであることが好ましい。樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルとは、スピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸(またはシクロヘキサンジカルボン酸のエステル誘導体)を共重合した歩RIEst得る、またホモポリエステル、またはこれをブレンドしたポリエステルのことを言う。樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
また、本発明の回路搭載シートを構成する積層フィルムでは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルであることが好ましい。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になることがなりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくいものである。
本発明の樹脂Aを主成分とする層(A層)と樹脂Bを主成分とする層(B層)を交互に積層した構造を有するとは、A層とB層を厚み方向に交互に積層した構造を有している部分が存在することと定義される。すなわち、本発明のフィルム中のA層とB層の厚み方向における配置の序列がランダムな状態ではないことが好ましく、A層とB層以外の第3の層以上についてはその配置の序列については特に限定されるものではない。また、A層、B層、樹脂CからなるC層を有する場合には、A(BCA)n、A(BCBA)n、A(BABCBA)nなどの規則的順列で積層されることがより好ましい。ここでnは繰り返しの単位数であり、例えばA(BCA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABCABCABCAの順列で積層されているものを表す。
また、本発明では樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ30層以上含まなければならない。より好ましくは、200層以上である。さらに、好ましくはA層とB層の総積層数が600層以上である。A層とB層をそれぞれ30層以上積層した構造を含まないと、十分な反射率が得られなくなり、輝度の低い外観となる。また、樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ200層以上含まれていると、波長帯域400nm〜1000nmの反射率を40%以上とすることが容易となる。また、A層とB層の総積層数が600層以上であると、波長帯域400nm〜1000nmの反射率を60%以上とすることが容易となり、非常に輝度の高い金属調の外観を有することが容易となる。また、積層数の上限値としては特に限定するものではないが、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、1500層以下であることが好ましい。
本発明の回路搭載シートを構成する積層フィルムは、波長帯域400〜700nmのいずれかの波長における絶対反射率が30%以上でなければならない。波長帯域400nm〜700nmのいずれかの波長における絶対反射率が30%以上であると、輝度が高く、高級感のあるダイクロイック調または金属調のフィルムとすることが可能となる。より好ましくは、波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が30%以上である。この場合、成形後も金属調を維持し、視野角によっても色の変化がほとんど起きないものとなる。これは、可視光より高波長側(700nm以上)も絶対反射率が30%以上であるためで、例え延伸によってフィルム厚みが薄くなったり、視野角によって反射帯域が低波長側にシフトしても、可視光領域の絶対反射率は30%以上を維持できるためである。より好ましくは、波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が40%以上でなければならない。さらに好ましくは、波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が80%以上でなければならない。絶対反射率があがるほど、より高い輝度の金属調とすることが可能となる。また、波長帯域400nm〜1200nmの絶対反射率が30%以上であるのもより好ましい。この場合、より高い絞り比で成形しても、色づきなどが起こりにくく、金属調を維持することができる。
本発明の回路搭載シートは、上記積層フィルムと、導電性パターン層とを少なくとも含んでなければならない。ここで導電性パターン層とは、金属泊のエッチングや金属ペーストの印刷や蒸着・スパッタ膜のエッチングによって形成された微細パターンのことを言う。また、アンテナとして用いられる金属線や、金属蒸着膜も含まれる。導電性物質としては、銅、アルミ、銀などが好ましい。特に送受信特性としては銅がもっとも好ましい。一方、低コスト化の観点からは、印刷方式でかつ低温熱処理にて導電性パターンを形成できる、銀ペーストが好ましい。これら導電性パターン層は、アンテナや、回路としての機能を有する。
一方、本発明の回路等差シートは、着色層を有していることが好ましい。着色層としては、樹脂コーティング層中や、粘着層中や、フィルム・シート中に、顔料や染料を分散し、着色したものを言う。その色としては、特に限定するものではなく、意匠性から種々選択が可能であるが、特に好ましくは黒色であると良い。この場合、積層フィルムによる反射色が強調されて見えるため意匠性がすぐれたものとなるばかりか、隠蔽性もますため、回路を隠すことが容易となる。
本発明の回路搭載シートを構成する該積層フィルムは、25〜80℃におけるtanδが0.02以下であることが好ましい。tanδが0.02以下であると、例えば導電性パターン層を直接該積層フィルムの表面上に形成する際にも、その加工工程での熱履歴により導電性パターンの精度が低下したり、著しく平面性を損なわれることがない。また、長時間回路が動作しても絶縁特性が低下しない優れた回路搭載シートとなる。
該積層フィルムの一方の表面側に着色層と導電性パターン層があり、もう一方の表面側に印刷層があることも好ましい。このような構成にすると、ダイクロイック調または金属調の基材上に印刷によるデザインがはっきりと捉えられるようになる。
また、本発明の回路搭載シートを構成する該積層フィルムが立体形状を有することも好ましい。すなわち、本発明の好ましい積層フィルムはダイクロイック調や金属調などの高い意匠性を有しながら、成形も可能であるため、複雑な形状を有する回路を作製することもできる。例えば、銅線アンテナコイルの挿入する型を、該積層フィルムに真空圧空成形などで形成すれば、アンテナコイルの位置決めが非常に簡単にできるようになる。また、この場合アンテナの部分が浮き出たダイクロイック調または金属調のデザインとすることができる。
本発明の回路搭載シートでは、該積層フィルムの飽和含水率が1.0%以下であることが好ましい。飽和含水率が1.0%より大きいと、非接触型ICカードなどとした際、受信特性に影響を与える場合があるためである。また、回路として使用する際も、飽和含水率が1.0%より大きいと、湿度膨張係数の影響により、回路間の間隔が変化し絶縁不良などが発生する場合がある。
本発明の回路搭載シートを構成する積層フィルムは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上90MPa以下であることが好ましい。このような場合、成形性に優れたものとなり、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成形において、任意の形状に成形することが容易となる。より好ましくは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上50MPa以下である。このような場合、より高い絞り比でも成形可能となる。150℃における引張試験において、フィルム長手方向および幅方向の100%伸度時の引張応力が3MPa以上90MPa以下とするためには、樹脂Aが結晶性樹脂であり、樹脂Bがシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ネオペンチルグリコールなどの嵩高い基を有する非晶性樹脂であることが好ましい。このような場合、二軸延伸後においても樹脂Bはほとんど配向および結晶化していないため、引張応力が低くなるものである。また、各樹脂の融点以上でA層とB層からなる積層体を形成し冷却固化せしめるまでの時間が3分以上であることも好ましい。これは、A層とB層の界面に形成される混在層が厚くなるために、引張応力が低くなったものと推察している。さらに、層厚みが20nm以下の層が含まれているのも好ましい。層厚みが20nm以下になると、延伸しても配向が進みにくくなるために、引張応力も低下するものである。
また、本発明の回路搭載シートを構成する積層フィルムは、層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いことが好ましい。このようにすることにより、ほとんど色づきのない金属調とすることが可能となる。ここで、層対厚みとは、隣接する樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)のそれぞれの層厚みを足した厚みである。また、層対厚みは、A層のみについて一方の表面から数えたm番目のA層と、B層のみについて同表面から数えたm番目のB層の層厚みを足したものでなければならない。ここでmは整数を表している。例えば、一方の表面から反対側の表面にA1層/B1層/A2層/B2層/A3層/B3層・・・・の順番で並んでいた際、A1層とB1層が1番目の層対であり、A2層とB2層が2番目の層対であり、A3層とB3層が3番目の層対となる。層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層厚み220nm以上320nm以下の層の数と同数または少ないと、波長帯域400nm〜1100nmの反射帯域において低波長側ほど反射率が低下するため、黄色味をおびた外観となるので好ましくない。これは、低波長側の反射を起こす層対の密度が薄くなるために起こるものである。従って、積層フィルムを構成する層の層対厚みの序列としては、単調に等差数列的に層対厚みが増加もしくは減少するのではなく、上記条件を満たしながら等比数列的に層対厚みが増加もしくは減少することが好ましい。より好ましくは、層対厚み120nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数の1.05倍以上2.5倍以下であることがこのましい。この場合、まったく色づきのない金属調とすることが可能である。
本発明の積層フィルムの動摩擦係数は0.5以下であることが好ましい。積層フィルムの動摩擦係数が0.5以下である場合、成型に用いる金型との滑りが良くなるために、さらに成形性が向上する。
本発明の積層フィルムでは、1.2倍以上2倍以下の延伸加工された部位における波長帯域400nm〜700nmの相対反射率が30%以上であることが好ましい。1.2倍以上2倍以下の延伸加工された部位における波長帯域400nm〜700nmの相対反射率が30%以上であると、成形後も色づきなく金属調を維持することができる。
本発明の積層フィルムでは、少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有することが好ましい。より好ましくは、5μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有する。また、両面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有するとさらに好ましい。3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートからなる層がない場合には、表面に傷が入った場合などに、傷が非常に見えやすくなるため好ましくない。
また、本発明の積層フィルムでは、その表面に易接着層、易滑層、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
本発明のICカード・ICラベルは、上記回路搭載シートを含んでなければならない。本発明の回路搭載シート以外に、ハードコート層、エンボス層、耐候層(UVカット層)、着色層、接着層などのいずれかを含んでなることも好ましい。このようなICカード・ラベルは、回路の基材がポリマーのみから構成され、金属や重金属などを含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。
本発明のICカード・ICラベルは、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成型法が適用できるため、低コストで立体形状を形成するものとすることが可能である。本発明のICカード・ICラベルは、無線式ICカードや無線式ICラベルに好適であり、高級感のあるRFIDタグを提供できるものである。
次に、本発明の回路搭載シートを構成する積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。
2種類の樹脂AおよびBをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された樹脂AおよびBは、次に多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。本発明の特徴である樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を交互にそれぞれ30層以上積層した構造を含んでなり、かつ層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いことを達成するためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも1個有するフィードブロックを用いることが好ましい。さらに、本発明の効果を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロック(図1〜図3)を用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。このため、本発明の好ましい態様である以下の構成を達成することが容易になる。
a)樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)の総積層数が600層以上である。
b)波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が80%以上である。
c)層対厚み120nm以上220nm以下の層の数が、層厚み220nm以上320nm以下の層の数の1.05倍以上2.5倍以下である。
d)少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有する。
ここで、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックについて詳しく以下に説明する。図1は、当該フィードブロックにおいて別個に供給される樹脂A,Bから積層を形成する部分(「積層装置」と呼ぶ。)を示したものである。図1において、部材1〜9がこの順に重ねられ、積層装置10を形成する。
図1の積層装置10は、樹脂導入部材2,4,6,8に由来して4つの樹脂導入口を有するが、例えば樹脂Aを樹脂導入部材2,6の導入口11から供給し、樹脂Bを樹脂導入部材4,8の導入口11から供給する。
すると、スリット部材3は、樹脂導入部材2から樹脂A、樹脂導入部材4から樹脂Bの供給を受け、スリット部材5は、樹脂導入部材6から樹脂A、樹脂導入部材4から樹脂Bの供給を受け、スリット部材7は、樹脂導入部材6から樹脂A、樹脂導入部材8から樹脂Bの供給を受けることになる。
ここで、各スリットに導入される樹脂の種類は、樹脂導入部材2,4,6,8における液溜部12の底面とスリット部材における各スリットの端部との位置関係により決定される。すなわち、図3に示すように、スリット部材における各スリットの頂部の稜線13は、スリット部材の厚み方向に対して傾斜を有する(図2(b),(c))。そして、樹脂導入部材2,4,6,8における液溜部12の底面の高さは、前記稜線13の上端部14と下端部15との間の高さに位置する。このことにより、前記稜線13が上がった側からは樹脂導入部材2,4,6,8の液溜部12から樹脂が導入されるが(図3中16)、前記稜線13が下がった側からはスリットが封鎖された状態となり樹脂は導入されない。かくして各スリット毎に樹脂AまたはBが選択的に導入されるので、積層構造を有する樹脂の流れがスリット部材3,5,7中に形成され、当該部材3,5,7の下方の流出口17より流出する。
スリットの形状としては、樹脂が導入される側のスリット面積と樹脂が導入されない側のスリット面積が同一ではないことが好ましい。このような構造とすると、樹脂が導入される側と樹脂が導入されない側での流量分布を低減できるため、幅方向の積層精度が向上する。さらには、(樹脂が導入されない側のスリット面積)/(樹脂が導入される側のスリット面積)が0.2以上0.9以下であることが好ましい。より好ましくは0.5以下である。また、フィードブロック内の圧力損失が1MPa以上となることが好ましい。また、スリット長(図1中Z方向スリット長さの内、長い方)を20mm以上とすることが好ましい。一方、スリットの間隙や長さを調整することにより、各層の厚みを制御することが可能である。
また、各スリットに対応したマニホールドを有していることも好ましい。マニホールドにより、スリット内部での幅方向(図1中Y方向)の流速分布が均一化するため、積層されたフィルムの幅方向の積層比率を均一化することができ、大面積のフィルムでも精度良く積層することが可能となり、反射ピークの反射率を精度良く制御することができる。
また、一つの液溜部から二つ以上のスリット部材へ樹脂を供給することがより好ましい。このようにすると、例えわずかにスリット内部で幅方向に流量分布が生じていたとしても、次に説明する合流装置にてさらに積層されるため、積層比率としてはトータルでは均一化されるため、高次の反射帯域のむらを低減することが可能となる。
図1に示すようにスリット部材3,5,7の下方の流出口17は、3つの樹脂流れの積層構造が並列となる位置関係で配置され、また、樹脂導入部材4,6によって互いに隔てられている(図4中19L,20L,21L)。そこで、図4に示すような合流装置18により、中L−L’からM−M’にかけてのような、流路の規制による配置の転換が行われ(図4中19M,20M,21M)、3者の樹脂流れの積層構造も直列となる。当該樹脂流れは図4中M−M’からN−N’にかけて拡幅され、図4中N−N’より下流にて合流する。
かくして、極薄の樹脂層の任意かつ高精度な積層が可能となる。この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。一方、従来の装置では、300層以上の積層を達成するためには、スクエアーミキサーを併用することが一般的であったが、このような方法では積層流が相似形で変形・積層されるために、任意の層厚みを達成することが困難であった。このため、本願の特徴である層厚み5nm以上110nm以下の層の数が、層厚み110nm以上160nm以下の層の数より多い層構成を高精度でかつ効率よく形成することは不可能であった。
次に、本発明の特徴である波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が30%以上とするためには、各層の層厚みを、下記式1に基づいて少なくとも波長帯域400nm〜1000nmで反射が起こるように設計する必要がある。さらに、層対厚みが一方の表面から反対側の表面にむかうにつれ、120nmから320nmに徐々に厚くなる層構成を少なくとも含んでなることが好ましい。また、反射率についてはA層とB層の屈折率差と、A層とB層の層数にて制御する。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)。
また、本発明では、層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いことが好ましいが、そのためには層対厚みは一方の表面から反対側の表面にむかうにつれ、層対順に対し一次関数状に増加または減少するのではなく、220nm〜320nmでの層対厚みの変化よりも、220nm以下での層対厚みの変化が緩やかであることが好ましい。具体的に図5を用いて説明する。図5は、400nm〜1200nmの波長帯域を反射するように、層対順に対し層対厚みが118〜370nmに変化するように設計したいくつかの例をしめしたものである。この例では、Aのタイプが層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いため好ましい。一方、Bのタイプでは層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数と同数であるため、色づきのある金属調となりやすいため好ましくない。また、Cのタイプでは層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より少ないために、さらに色づきが明確もなるため好ましくないものである。
最大層対厚みから最小層対厚みまで徐々に厚みが薄くなる層構成に設計することが好ましい。この際、わずかな積層むらについては許容される。
さて、このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
次に、本発明の導電パターン層の好ましい製造方法について説明する。
本発明の導電性パターン層は、金属泊のエッチングや、金属ペーストの印刷、蒸着・スパッタ膜のフォトリソーエッチング、金属細線の形状加工、金属蒸着などによって形成されることが好ましい。これらの導電性パターン層は、本発明の積層フィルムの表面に直接形成されても良い。また、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、液晶フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、脂環族ポリオレフィンフィルム、PETGフィルム、ABSフィルム、PVCフィルムなどの各種耐熱性フィルムの表面に導電性パターン層を設け、これと積層フィルムを接着剤や粘着剤などで貼り合わせる方法なども好ましい。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)フィルム断面観察
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、フィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、した。本発明の実施例では十分なコントラストが得られたため実施しなかったが、用いる樹脂の組み合わせによっては公知のRuOやOsOなどを使用した染色技術を用いてコントラストを高めても良い。
(2)絶対反射率
島津製作所製の分光光度計UV−3150に入射角5°の絶対反射率測定装置 ASR−3105を取り付け、付属の取扱説明書に従い、以下の条件にて400〜1200nmまでの絶対反射率を測定した。
スキャンスピード:高速
サンプリングピッチ:1nm
測定モード:シングル
スリット幅:30nm
光源切り替え波長:360nm
検出器切替波長:805nm
S/R切り替え:標準
検出器ロック:自動
スリットプログラム:標準。
(3)tanδ
積層フイルムの両面に金属蒸着を施した金属化フィルムについて、TAインスツルメント社製2970型誘電率分析装置(DEA)を用いて、周波数60Hzでtanδの温度特性を測定した。評価結果には25〜80℃におけるtanδの最大値を記載した。
測定面積 :254.38mm
電極押さえ圧 :200N
温度上昇速度 :2℃/min。
(4)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、算出した。また、溶液粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。なお、n数は3とし、その平均値を採用した。
(5)剥離試験
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、剥離が生じなかった場合を◎、格子1つ分が完全に剥離した格子の数が1〜2個の場合を○、3個以上剥離が生じた場合を×とした。
(6)ガラス転移温度
示差熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。なお、まずはじめに1st Runで、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した後、290℃で5分間ホールドした後、25℃まで急冷した。またつづく2nd Runでは、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温した。樹脂のガラス転移温度は2nd Runにおけるガラス転移温度を用いた。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”。
サンプル質量:5mg
(7)積層数、層対厚み
透過型電子顕微鏡にて得たフィルム断面像(倍率4万倍の写真画像)を、スキャナー(Canon製CanonScanD123U)を用いて、画像サイズ720dpiで取り込んだ画像をビットマップファイル(BMP)で保存した。次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(MediaCybernetics社製)を用いて、このBMPファイルを開き、画像解析を行った。以下に代表的な画像処理条件を記す。まず、ローパスフィルタ(サイズ 7×7 強さ 10 回数 10)処理した後、垂直シックプロファイルモードで、位置と輝度の数値データとを得た。なお、位置は、予め空間較正でスケーリングしておいた。この位置と輝度のデータをMicrosoft社製EXCEL2000上で、サンプリングステップ6(間引き6)、さらに3点移動平均処理を行った。さらに、この得られた輝度を位置で微分し、その微分曲線の極大値と極小値を算出した。そして、隣り合う極大値−極大値または隣り合う極小値−極小値となる位置の間隔を層対厚みとし、全ての層対厚みを算出した。
(8)電磁波シールド性
導電性基板を20cm×20cmにカットし、(社)関西電子工業振興センターのKEC法にて、電磁波シールド性を測定した。測定は0.1〜1000MHzまでの周波数範囲で行った。電界シールド性に関しては300MHzでの減衰率で表し、磁界シールド性に関しては10MHzでの減衰率で表した。なお、電界シールド性、磁界シールド性の測定共に、1つのサンプルについて3回測定を行い、その平均を求めた。
(9)明度、色度
コニカミノルタ製分光測色計 CM−3600dを用いて、以下の条件にて測定を行った。明度、色度はSCI方式の値を採用し、明度、L*で表し、色度はa*、b*で表した。なお、測定は1つのサンプルについて3回測定を行い、その平均を求めた。
測定色 : 反射色
測定径 : 25.4mm。
(実施例1) 1.ポリエステル1の合成
テレフタル酸ジメチルを67.6重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを17.4重量部、エチレングリコールを54重量部、スピログリコールを20重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。次いで、撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップとし、ポリエステル1を得た。
得られたポリエステル1の固有粘度は0.78であった。このポリエステル1のジカルボン酸成分は、テレフタル酸が80mol%であり、シクロヘキサンジカルボン酸が20mol%であった。また、ポリエステル1のジオール成分は、エチレングリコールが85mol%であり、スピログリコールが15mol%であった。
2.ポリエステル2の合成
同様にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを64重量部用いる以外は前記と同様にしてポリエステル2(ポリエチレンテレフタレート)を重合した。得られたポリエステル2の固有粘度は0.65でありTgは80℃であった。
3.積層フィルムの製膜
樹脂Aとして、ポリエステル2を用いた。また樹脂Bとしてポリエステル2(PE/SPG・T/CHDC)を用いた。これら樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、801層のフィードブロックにて合流させた。801層のフィードブロックとしては、図1および図4に示したような装置を用いた。なお、上記のフィードブロックは267個のスリットを有するスリット部材が3つからなるものであった。合流した樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ、樹脂Aが401層、樹脂Bが400層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、各層対の厚みは図5のAのラインを目標とし、ここから各スリット流量を算出、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリットの形状を調整した。また、両表層部分は樹脂Aとなるようにし、かつ隣接するA層とB層の層厚みはほぼ同じになるようにスリット形状を設計した。この設計では、400nm〜1200nmに反射帯域が存在するものとなる。このようにして得られた計801層からなる積層体を、マルチマニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給した樹脂Aからなる層を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。なお、樹脂Aと樹脂Bが合流してからキャスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約8分となるように流路形状および総吐出量を設定した。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.0倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に8%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取り、積層フィルム1を得た。フィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表1に示す。この積層フィルムは、わずかに光は透過するものの光沢のある金属調の外観を有し、かつ電磁波透過性に優れるものであった。
4.導電性パターン層1と回路基材1の作製
1/2ozの銅箔(厚さ18μm)とポリイミドフィルム25μmを接着剤で貼り合わせた銅張りポリイミドフィルム(東レ製)を使用し、このフィルムに感光性ドライフィルム(リストンFX−130デュポンMRCドライフィルム社製)を貼り付け、銀塩ポジフィルムに作製した回路パターンを紫外線露光装置で焼き付け、現像、エッチングしループアンテナ回路(導電性パターン層1)を形成した。次に、ループアンテナの両末端の端子に異方導電性フィルム(ACF/ソニーケミカル製)を貼り付けその上からベアチップ(MIFAREチップ/シーメンス社製)を加熱しながら加圧貼り付けし、バンプとループアンテナを電気的に接続させ、回路基材1を得た。
5.回路搭載シート1、非接触ICカード1の作製
積層フィルム1/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/黒色PETフィルム(38μm ルミラーX30 東レ製)/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/回路基材1/白色PETフィルム(125μm ルミラーE20 東レ製)の順に重ね合わせ、ホットプレスを使用して温度150℃ 圧力10Kg/cmの条件で熱融着した後、冷却し、光沢のある金属光沢調の外観を有する厚み700μmの回路搭載シート1を作製した。次に、回路搭載シート1を、カード状に打ち抜き、非接触型ICカード1を得た。この非接触型ICカード1は、光沢のある金属光沢調の外観を有しながら、送受信特性にも優れるものであった。
比較例2
1.積層フィルム2の製膜
比較例2においては、樹脂Aとして、ポリエステル2を用いた。また樹脂Bとしてイーストマン製 PETG6763(シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート PE/CHDM・T)を用いた。これら樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、201層のフィードブロックにて合流させた。このフィードブロックは201個のスリットを有するスリット部材が1つからなるものであった。合流した樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みがほぼ同じとなるように合流させ、樹脂Aが101層、樹脂Bが100層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。また、両表層部分は樹脂Aとなるようにした。このようにして得られた計201層からなる積層体を、ダイに供給、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。なお、樹脂Aと樹脂Bが合流してからキャスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約7分となるように流路形状および総吐出量を設定した。
得られたキャストフィルムを、90℃に設定したロール群で加熱した後、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に4.0倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に8%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取り、積層フィルム2を得た。フィルムの厚みは、20μmであった。得られた結果を表1に示す。この積層フィルム2は、赤色のダイクロイック調の外観を有し、かつ電磁波透過性に優れるものであった。
2.回路搭載シート2、非接触ICカード2の作製
積層フィルム2/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/黒色PETフィルム(38μm ルミラーX30 東レ製)/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/回路基材1/白色PETフィルム(125μm ルミラーE20 東レ製)の順に重ね合わせ、ホットプレスを使用して温度150℃ 圧力10Kg/cmの条件で熱融着した後、冷却し、赤色のダイクロイック調の外観を有する厚み620μmの回路搭載シート2を作製した。次に、回路搭載シート2を、カード状に打ち抜き、非接触型ICカード2を得た。この非接触型ICカード2は、赤色のダイクロイック調の外観を有しながら、送受信特性にも優れるものであった。
比較例3
1.積層フィルム3の製膜
比較例2において、製膜速度を調整し、フィルム厚みを17μmとした以外は、比較例2と同様にして、積層フィルム3を得た。得られた結果を表1に示す。この積層フィルム3は、緑色のダイクロイック調の外観を有し、かつ電磁波透過性に優れるものであった。
2.回路搭載シート3、非接触ICカード3の作製
積層フィルム3/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/黒色PETフィルム(38μm ルミラーX30 東レ製)/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/回路基材1/白色PETフィルム(125μm ルミラーE20 東レ製)の順に重ね合わせ、ホットプレスを使用して温度150℃ 圧力10Kg/cmの条件で熱融着した後、冷却し、緑色のダイクロイック調の外観を有する厚み617μmの回路搭載シート3を作製した。次に、回路搭載シート3を、カード状に打ち抜き、非接触型ICカード3を得た。この非接触型ICカード3は、緑色のダイクロイック調の外観を有しながら、送受信特性にも優れるものであった。
比較例4
1.積層フィルム4の製膜
比較例2において、製膜速度を調整し、フィルム厚みを14.5μmとした以外は、比較例2と同様にして、積層フィルム4を得た。得られた結果を表1に示す。この積層フィルム4は、青色のダイクロイック調の外観を有し、かつ電磁波透過性に優れるものであった。
2.回路搭載シート4、非接触ICカード4の作製
積層フィルム4/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/黒色PETフィルム(38μm ルミラーX30 東レ製)/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/回路基材1/白色PETフィルム(125μm ルミラーE20 東レ製)の順に重ね合わせ、ホットプレスを使用して温度150℃ 圧力10Kg/cmの条件で熱融着した後、冷却し、青色のダイクロイック調の外観を有する厚み615μmの回路搭載シート4を作製した。次に、回路搭載シート4を、カード状に打ち抜き、非接触型ICカード4を得た。この非接触型ICカード4は、緑色のダイクロイック調の外観を有しながら、送受信特性にも優れるものであった。
(実施例5)
1.導電性パターン層2と回路基材2の作製
黒色PETフィルム(50μm ルミラーX30 東レ製)の片面に、東洋インキ製 銀系導電性インキSSリオフェーズAG−Aを用いてスクリーン印刷(200メッシュナイロン版)にてループアンテナパターンを印刷した後、80℃の温度雰囲気下で30分間乾燥し、ループアンテナ回路(導電性パターン層2)を作製した。次に、ループアンテナの両末端の端子に異方導電性フィルム(ACF/ソニーケミカル製)を貼り付けその上からベアチップ(MIFAREチップ/シーメンス社製)を加熱しながら加圧貼り付けし、バンプとループアンテナを電気的に接続させ、回路基材2を得た。
2.回路搭載シート5、非接触ICカード5の作製
積層フィルム1/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/回路基材2(回路側が白色PETフィルム側)/白色PETフィルム(188μm ルミラーE20 東レ製)の順に重ね合わせ、ホットプレスを使用して温度150℃ 圧力10Kg/cmの条件で熱融着した後、冷却し、光沢のある金属光沢調の外観を有する厚み700μmの回路搭載シート5を作製した。次に、回路搭載シート5を、カード状に打ち抜き、非接触型ICカード5を得た。この非接触型ICカード5は、光沢のある金属光沢調の外観を有しながら、導電性パターン層の性能差により、送受信特性がやや実施例1に比較して劣るものの優れたものであった。
(実施例6)
1.導電性パターン層3と回路基材3の作製
透明PETフィルム(50μm ルミラーT60 東レ製)の片面に、エナメル銅線をもちいてアンテナコイルを描写し、ループアンテナ回路(導電性パターン層3)を作製した。次に、ループアンテナの両末端の端子に異方導電性フィルム(ACF/ソニーケミカル製)を貼り付けその上からベアチップ(MIFAREチップ/シーメンス社製)を加熱しながら加圧貼り付けし、バンプとループアンテナを電気的に接続させ、回路基材3を得た。
2.回路搭載シート6、非接触ICカード6の作製
積層フィルム1/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/黒色PETフィルム(38μm ルミラーX30 東レ製)/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/回路基材3/白色PETフィルム(188μm ルミラーE20 東レ製)の順に重ね合わせ、ホットプレスを使用して温度150℃ 圧力10Kg/cmの条件で熱融着した後、冷却し、光沢のある金属光沢調の外観を有する厚み700μmの回路搭載シート6を作製した。次に、回路搭載シート6を、カード状に打ち抜き、非接触型ICカード5を得た。この非接触型ICカード6は、光沢のある金属光沢調の外観を有しながら、他の実施例に比較してもっとも送受信特性に優れたものであった。
比較例5
1.積層フィルム5の製膜
樹脂Aとして固有粘度0.9のポリエチレンナフタレート(PEN)を用い、樹脂Bとしてポリメチレンメタクリレート(PMMA)を用いた。これら樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、801層のフィードブロックにて合流させた。801層のフィードブロックとしては、図1および図4に示したような装置を用いた。なお、上記のフィードブロックは267個のスリットを有するスリット部材が3つからなるものであった。合流した樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ、樹脂Aが401層、樹脂Bが400層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、各層対の厚みは図5のAのラインを目標とし、ここから各スリット流量を算出、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリットの形状を調整した。また、両表層部分は樹脂Aとなるようにし、かつ隣接するA層とB層の層厚みはほぼ同じになるようにスリット形状を設計した。この設計では、400nm〜1200nmに反射帯域が存在するものとなる。このようにして得られた計801層からなる積層体を、マルチマニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給した樹脂Aからなる層を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。なお、樹脂Aと樹脂Bが合流してからキャスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約8分となるように流路形状および総吐出量を設定した。
得られたキャストフィルムを、115℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に4.3倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、130℃の熱風で予熱後、140℃の温度で横方向に4.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に8%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取り、積層フィルム5を得た。フィルムの厚みは、100μmであった。得られた結果を表2に示す。この積層フィルム5は、光をほとんど透過せず、光沢のある金属調の外観を有し、かつ電磁波透過性に優れるものであった。しかしながら、層間剥離が生じやすかった。
2.回路搭載シート7、非接触ICカード7の作製
積層フィルム5/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/回路基材1/積層フィルム5の順に重ね合わせ、ホットプレスを使用して温度150℃ 圧力10Kg/cmの条件で熱融着した後、冷却し、光沢のある金属光沢調の外観を有する厚み650μmの回路搭載シート7を作製した。次に、回路搭載シート7を、カード状に打ち抜き、非接触型ICカード7を得た。この非接触型ICカード7は、両表面とも光沢のある金属光沢調の外観を有しながら、送受信特性に優れたものであった。
比較例6
1.積層フィルム6の製膜
実施例1において、400nm〜700nmに反射帯域が存在するようにフィードブロックのスリット形状を調整した。また、各層対の厚みは実施例1と同様の傾向となるように、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリットの形状を設計した。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた積層フィルム6の厚みは、70μmであった。得られた結果を表2に示す。この積層フィルム6は、光をほとんど透過せず、光沢のある金属調の外観を有し、かつ電磁波透過性に優れるものであった。また、見る角度によって色が変わる特性を示した。
2.回路搭載シート8、非接触ICカード8の作製
積層フィルム6/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/黒色PETフィルム(38μm ルミラーX30 東レ製)/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/回路基材1/白色PETフィルム(125μm ルミラーE20 東レ製)の順に重ね合わせ、ホットプレスを使用して温度150℃ 圧力10Kg/cmの条件で熱融着した後、冷却し、光沢のある金属光沢調の外観を有する厚み590μmの回路搭載シート8を作製した。次に、回路搭載シート8を、カード状に打ち抜き、非接触型ICカード8を得た。この非接触型ICカード8は、見る角度によって色が変わり、光沢のある金属光沢調の外観を有するものであった。また、送受信特性にも優れるものであった。
(実施例9)
1.ポリエステル3の合成
テレフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、エチレングリコールを用い、実施例1と同様にしてポリエステル3を重合した。
得られたポリエステル3の固有粘度は0.80であった。このポリエステル1のジカルボン酸成分は、テレフタル酸が60mol%であり、アジピン酸が40mol%であった。また、ポリエステル1のジオール成分は、エチレングリコールが100mol%であった。
2.積層フィルム7の製膜
樹脂Bにポリエステル3を用いた以外は、実施例1と同様の製膜装置・条件にて製膜した。得られた積層フィルム7のフィルム厚みは、100μmであった。得られた結果を表2に示す。この積層フィルム7は、わずかに光を透過するものの、光沢のある金属調の外観を有し、かつ電磁波透過性に優れるものであった。
3.回路搭載シート9、非接触ICカード9の作製
積層フィルム7/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/黒色PETフィルム(38μm ルミラーX30 東レ製)/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/回路基材1/白色PETフィルム(125μm ルミラーE20 東レ製)の順に重ね合わせ、ホットプレスを使用して温度150℃ 圧力10Kg/cmの条件で熱融着した後、冷却し、光沢のある金属光沢調の外観を有する厚み650μmの回路搭載シート9を作製した。次に、回路搭載シート9を、カード状に打ち抜き、非接触型ICカード9を得た。この非接触型ICカード9は、光沢のある金属光沢調の外観を有するものであり、送受信特性にも優れるものであった。しかしながら長時間の使用や、高温下での使用では、送受信特性が低下しやすかった。
(比較例1)
1.金属外観フィルム
金属外観フィルムとして、アルミ蒸着フィルムである東レフィルム加工製メタルミーTS(厚み100μm)を用いた。このフィルムのアルミ蒸着面側の光沢度は840%あり、光沢のある金属調の外観を有するものであったが、表面抵抗値が2Ω/□であり、電界シールド性50dbと非常に高く、電磁波の透過性が著しく悪かった。
2.回路搭載シート10、非接触ICカード10の作製
金属外観フィルム/接着剤層(アロンメルト東亞合成製)/回路基材1/白色PETフィルム(125μm ルミラーE20 東レ製)の順に重ね合わせ、ホットプレスを使用して温度150℃ 圧力10Kg/cmの条件で熱融着した後、冷却し、光沢のある金属光沢調の外観を有する厚み500μmの回路搭載シート10を作製した。次に、回路搭載シート10を、カード状に打ち抜き、非接触型ICカード10を得た。この非接触型ICカード10は、光沢のある金属光沢調の外観を有するものであったが、送受信することは不可能であった。
Figure 0004857795
Figure 0004857795
本発明は、意匠性に優れた回路搭載シートと、その回路搭載シートからなるICカードまたはICラベルに関するものである。
積層装置およびその構成部品 スリット部 スリット部と樹脂供給部とを連結した状態の断面図 合流装置 層構成プロファイル
符号の説明
1: 側板
2: 樹脂A供給部
3: スリット部
3a、3b: スリット
4: 樹脂B供給部
5: スリット部
6: 樹脂A供給部
7: スリット部
8: 樹脂B供給部
9: 側板
10: 積層装置 11: 導入口
12: 液溜部
18: 合流装置

Claims (8)

  1. 波長帯域400〜700nmのいずれかの波長における絶対反射率が30%以上であり樹脂Aを主成分とする層(A層)と樹脂Bを主成分とする層(B層)を交互にそれぞれ30層以上積層した構造を有し、かつ層対厚み120nm以上220nm未満の層の数が層対厚み220nm以上320nm以下の層の数の1.05倍以上2.5倍以下で、かつ、当該層対厚みは一方表面から反対表面側に向かうにつれて120nmから320nmに徐々に厚くなっている積層フィルムと、導電性パターン層とを少なくとも含んでなることを特徴とする回路搭載シート。
  2. 該積層フィルムの25〜80℃におけるtanδが0.02以下であることを特徴とする請求項1に記載の回路搭載シート。
  3. 該積層フィルムが立体形状を有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の回路搭載シート。
  4. 該積層フィルムの一方の表面側に着色層と導電性パターン層があり、もう一方の表面側に印刷層があることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回路搭載シート。
  5. 樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールを含んでなるポリエステルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の回路搭載シート。
  6. 樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずかに記載の回路搭載シート。
  7. 着色層を含んでなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の回路搭載シート。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の回路搭載シートを含んでなることを特徴とするICカード、ICラベル。
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