JP2021143308A - 熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

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修平 中司
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洋一 石田
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Abstract

【課題】 本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、金属フリーで可視光を高反射し、正面視認時にぎらつきを抑制しながらも色付きが十分にあり、角度変化により連続的に色彩が変化する熱可塑性樹脂フィルムを提供する。【解決手段】 入射角X°で測定した分光透過率を用いてJIS Z 8781(2013年)に規定する計算式により算出される色調値をa*[X°]、b*[X°]としたときに、a*[0°]、b*[0°]、a*[60°]、及びb*[60°]が、下記式(i)及び(ii)を満足することを特徴とする、熱可塑性樹脂フィルム。【数1】【数2】【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂フィルムに関する。
家電やスマートフォン、美術工芸品の加飾、さらには照明加飾材に視認角度により色彩の変化する熱可塑性樹脂フィルムを使用することがある。近年では、より高い意匠性を演出するために、視認角度によりグラデーション状に色彩が変化するよう、光学特性を緻密に制御した熱可塑性樹脂フィルムが求められている。
視認角度により色彩が変化する熱可塑性樹脂フィルムを得る代表的な手法としてエンボスホログラム技術がある。これは、熱可塑性樹脂フィルム表面に微細な光学的凹凸加工を施すことにより、視認角度により虹色に色彩を変化させることが可能となるが、工法が複雑であり、コストや量産性に課題があった。
視認角度により色彩が変化する熱可塑性樹脂フィルムを得る別の手段として、屈折率が異なる2種の樹脂を交互に多数積層し、層間の構造的な光干渉によって、特定の波長を反射する光干渉多層膜が知られている。この方法では、選択的な波長の反射により、反射される光の波長を光の原色に近くなるよう設計し、反射ピーク波長が入射角に対して大きくシフトする多層積層構成の熱可塑性樹脂フィルムが提案されている(特許文献1参照)。また、複屈折率が高いポリエチレンナフタレートを用いて比較的広い帯域を高反射し、高い光学効率を達成する多層積層構成の熱可塑性樹脂フィルムが提案されている(特許文献2参照)。
特開2005−59332号公報 特表2013−506883公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では、角度による色調変化は大きいものの、狭帯域での反射となるため単一色に近い色調となり、深みのある色調の実現や視認角度によりグラデーション状に色彩を変化させることができない課題があった。
特許文献2記載の方法では、可視光の比較的広い帯域での反射となるため深みのある色調は実現できるものの、反射率が高いためぎらつきが大きいことに加え、視認角度による色調変化が大きく、グラデーション状に色が変化することで実現可能な統一感のあるデザインを達成できない課題があった。
そこで、本発明は上記した従来技術の問題点を解決し、金属フリーで可視光を反射し、正面視認時のぎらつきを抑制しながらも色付きが十分にあり、角度変化により連続的に色彩が変化する熱可塑性樹脂フィルムを提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、入射角X°で測定した分光透過率を用いてJIS Z 8781(2013年)に規定する計算式により算出される色調値をa[X°]、b[X°]としたときに、a[0°]、b[0°]、a[60°]、及びb[60°]が、下記式(i)及び(ii)を満足することを特徴とする、熱可塑性樹脂フィルムである。
Figure 2021143308
Figure 2021143308
本発明により、金属フリーで可視光を反射し、正面視認時にぎらつきを抑制しながらも色付きが十分にあり、角度変化により連続的に色彩が変化する熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。
実施例1〜5、7、8及び比較例1〜4の設計層厚みを示す図 実施例6の設計層厚みを示す図 実施例9の設計層厚みを示す図 比較例5の設計層厚みを示す図 本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いられるフィードブロックの一例を示す構成図 本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いられるスリット板及びスリットの一例を示す構成図 本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いられるスリットの一例を示す断面構成図 本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いられる合流装置の一例を示す構成図
以下、本発明の熱可塑性樹脂フィルムについて具体的に説明する。本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、高意匠性を実現する観点から、入射角X°で測定した分光透過率を用いてJIS Z 8781(2013年)に規定する計算式により算出される色調値をa[X°]、b[X°]としたときに、a[0°]、b[0°]が下記式(i)を満足することが重要である。
Figure 2021143308
色調値a[X°]、b[X°]の測定には、公知の分光光度計、例えば日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotometer)を用いることができる。該測定装置を用いる場合、以下の手順により色調値a[X°]、b[X°]を測定することができる。先ず、熱可塑性樹脂フィルムから5cm四方のサンプルを切り出す。次いで、分光光度計に付属の積分球を用いた基本構成で、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準とし、また、付属のグランテーラ社製偏光子を設置して、偏光成分を0、90°において、入射角度Φ=X°における波長400〜750nmの透過率を測定し、各波長に対して偏光成分0、90°の測定値を平均した数値を入射角度Φ=X°における透過率とする。次に、各角度の平均分光反射曲線から、JIS Z 8781(2013年)に規定する計算式を用いて、D65光でのa[X°]、b[X°]を算出する。
本発明では、以降、式(i)で表される「a[0°]+b[0°]」の平方根を「彩度C[0°]」と呼ぶ場合がある。彩度C[0°]はフィルム面と垂直な方向、すなわち正面から熱可塑性樹脂フィルムを視認した際の色付きの大きさを表す指標である。彩度C[0°]を上記範囲とすることで、熱可塑性樹脂フィルムのぎらつきを抑制しながらも色付きが十分にあり、既知の技術では実現できない色彩や高意匠性を演出することが可能となり、照明加飾材に適用可能な独自色を達成することが可能となる。上記観点から、彩度C[0°]は、30以上40以下が好ましい。彩度C[0°]が20未満の場合は、色付きが小さく、高意匠性を達成できないことに加え、角度を変えた際の色変化も小さいものとなる。彩度C[0°]が50を超える場合はぎらつきが大きく、照明加飾材に使用した際に照明が強く色付いてしまう。
彩度C[0°]を20以上50以下又は上記の好ましい範囲とする方法は、例えば、後述するA層とB層の合計数が300層以上となるような積層構成とし、平均透過率を25%以上45%以下にする方法が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、高意匠性の観点から、a[0°]、b[0°]、a[60°]及びb[60°]が下記式(ii)を満足することが重要である。
Figure 2021143308
ここでa[0°]、b[0°]とは、入射角0°で測定した分光透過率を用いてJIS Z 8781(2013年)に規定する計算式により算出される色調値であり、a[60°]、b[60°]とは、入射角60°で同様に測定した色調値をいう。以後、異なる入射角で測定した色調値についても同様の表現とするものとする。
本発明では、以降、式(ii)で表される「(a[0°]−a[60°])+(b[0°]-b[60°])」の平方根をΔC 0°−60°と呼ぶ場合がある。ΔC 0°−60°は視認角度によって彩度が変化する度合いの大きさを表す指標である。ΔC 0°−60°を上記範囲とすることで光の入射角によりグラデーション状に彩度が変化し、統一感のある高意匠デザインを実現することが可能となる。上記観点から、ΔC 0°−60°は、70以上110以下が好ましい。ΔC 0°−60°が60未満の場合は視認角度による色付き変化が小さく、高意匠性の実現が達成できない。ΔC 0°−60°が120を超える場合は視認角度による色付き変化が大きく、色彩の統一感が損なわれる。
ΔC 0°−60°を60以上120以下、又は上記の好ましい範囲とする方法は、例えば厚みが1μm以上20μm以下である厚膜層を3層以上有し、かつ厚膜層が両側の最表層である態様とする方法が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、a[0°]、a[60°]及びa[30°]が、下記式(iii)及び式(iv)を満たすことが好ましい。
式(iii) 10≦|a[0°]−a[30°]|≦90
式(iv) 10≦|a[30°]−a[60°]|≦90。
|a[0°]−a[30°]|と|a[30°]−a[60°]|を共に10以上90以下にすることで、視認角度により適度に赤、緑色の色調が変化するため、グラデーション状に色調が変化する意匠性の高い熱可塑性樹脂フィルムとすることができる。上記観点から、|a[0°]−a[30°]|、|a[30°]−a[60°]|は共に10以上70以下が好ましい。|a[0°]−a[30°]|、|a[30°]−a[60°]|を共に10以上とすることにより、視認角度による色変化を認識することができる程度に、赤、緑色の色変化を大きくすることができる。一方、|a[0°]−a[30°]|、|a[30°]−a[60°]|を共に90以下とすることにより、統一感のある高意匠を実現することができる程度に、視認角度による赤、緑色の色変化を抑えることができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、b[0°]、前記b[60°]及びb[30°]が、下記式(v)及び式(vi)を満たすことが好ましい。
式(v) 10≦|b[0°]-b[30°]|≦90
式(vi) 10≦|b[30°]-b[60°]|≦90。
|b[0°]−b[30°]|、|b[30°]−b[60°]|を共に10以上90以下にすることで、視認角度により適度に青、黄色の色調が変化するため、グラデーション状に色調が変化する意匠性の高い熱可塑性樹脂フィルムとすることができる。上記観点から、|b[0°]−b[30°]|、|b[30°]−b[60°]|は共に10以上70以下が好ましい。|b[0°]−b[30°]|、|b[30°]−b[60°]|を共に10以上とすることにより、視認角度による色変化を認識することができる程度に、青、黄色の色変化を大きくすることができる。一方、|b[0°]−b[30°]|、|b[30°]−b[60°]|を共に90以下とすることにより、統一感のある高意匠を実現することができる程度に、視認角度による青、黄色の色変化を抑えることができる。
式(iii)〜式(vi)を満たすための手段は、例えば、図8(c)の樹脂流路27Mと28Mを隔てる樹脂流路間隔壁の厚み(符号29)を3mm以上10mm以下とし、積層構造の歪みを抑制することが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、照明の加飾用途で使用したときの明るさ確保と意匠性を両立する観点から、入射角0°で測定した反射帯域間の平均透過率が25%以上45%以下であることが好ましい。平均透過率が25%以上であることにより、照明の加飾材に使用した際に十分な明るさを達成できる程度に光の透過性を保つことができる。平均透過率が45%以下であることにより、可視光を広い帯域で反射することができ、深みのある色調や統一感のある意匠性を達成できる。入射角0°で測定した反射帯域間の平均透過率が25%以上45%以下とする方法としては、例えば熱可塑性樹脂フィルムを、後述するA層とB層とが厚み方向に交互に位置しており、A層とB層の合計数が300層以上である構成とし、後述する熱可塑性樹脂Bの屈折率を調整する方法が挙げられる。より具体的には、この態様において熱可塑性樹脂Bを非晶性の熱可塑性樹脂として、B層の屈折率を低くする(A層との屈折率差を大きくする)ほど、当該平均透過率を低くすることができる。B層の屈折率は、例えば屈折率が低い共重合熱可塑性樹脂を基準に高屈折率樹脂である熱可塑性樹脂Aの配合量を変化させることで調整することができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、照明の加飾用途で使用したときの意匠性の観点から、ヘイズが0.1%以上2.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以上1.5%以下であり、さらに好ましくは0.1%以上1.0%以下である。熱可塑性樹脂フィルムのヘイズが2.0%以下であることにより、照明の加飾材に使用した際に光の散乱が軽減され、高意匠性を達成できる。一方、熱可塑性樹脂フィルムのヘイズが0.1%以上であることにより、熱可塑性樹脂フィルムの滑りが良好で取り扱いが容易になり、熱可塑性樹脂フィルム表面の擦り傷発生の抑制や熱可塑性樹脂フィルムをロール状に巻き取る際の巻きズレが抑制できる場合がある。
ヘイズを0.1%以上1.5%以下又は上記の好ましい範囲とする手段は、例えば、樹脂A及び樹脂B共に粒子を添加せず、塗剤のコーティングにより設ける易接着層に微細な粒子を添加することが挙げられる。より具体的には、樹脂A及び樹脂B共に粒子を添加せず、塗剤のコーティングにより設ける易接着層に含まれる粒子の量を減らすことで、ヘイズを低くすることができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、JIS K 5600(1999年)に準じたクロスカット法による密着性試験において、層間剥離が生じないことが好ましい。クロスカット法により層間剥離が生じると、熱可塑性樹脂フィルム加工工程における断裁加工時の応力により層間剥離が生じ、加工収率が低下することがある。本要件を満たすための方法としては、例えば、後述するA層とB層の合計数が300層以上となるような積層構成とした上で、両者の主成分となる樹脂の基本骨格を同じとする方法が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、成型加工性の観点から、ヤング率の最大値をE0°としたときにE0°が5.0GPa以下であることが好ましく、4.7GPa以下であることがより好ましい。ヤング率の最大値E0°が5.0GPa以下であることにより、熱可塑性樹脂フィルムの剛性が抑えられ、加工時に予備加熱なしでの成型が容易となる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、ヤング率がE0°となる方向とフィルム面内で直交する方向のヤング率をE90°としたときに、E90°/E0°の値が0.9以上1.0以下であることが好ましい。E90°/E0°の値が0.9以上であることにより、熱可塑性樹脂フィルムの方向で加工性のばらつきが抑えられるため、加工時に熱可塑性樹脂フィルムの方向指定が不要となり、ハンドリング性が向上することがある。E90°/E0°の値が1.0であることは直交する2方向でヤング率の値が等しいことを意味し、加工性の観点で最もよい態様であることから、E90°/E0°の上限値は1.0とした。
0°及びE90°の測定は、以下の方法により行うことができる。熱可塑性樹脂フィルムの任意の一方向(0°方向)、フィルム面と平行かつ0°方向とのなす角が15°、30°、45°、60°、75°、90°、105°、120°、135°、150°、165°の方向のヤング率をそれぞれ測定し、ヤング率の最も高かった方向におけるヤング率をE0°(GPa)とし、ヤング率がE0°であった方向と直交する方向のヤング率をE90°(GPa)とする。なお、ヤング率は下記の方法で測定することができる。
熱可塑性樹脂フィルムを長さ150mm、幅10mmの短冊状のサンプルを切り出し、JIS Z 1702(1994年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて当該サンプルのヤング率(GPa)を測定する。インストロンタイプの引張試験機としては、測定が可能なものであれば特に制限されず、例えばオリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロン”(登録商標)AMF/RTA−100を用いることができる。当該装置を使用する場合の測定条件等は下記のとおりである。
試料サイズ:幅10mm×試長間50mm
引張り速度:300mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
0°を5.0GPa以下又は上記好ましい範囲とする手段としては、例えば、後述する熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bの組み合わせを、ポリエチレンテレフタレートと非晶性の樹脂とすることが挙げられる。また、E90°/E0°の値を0.9以上1.0以下とする手段としては、例えば、熱可塑性樹脂フィルムの製造工程における長手方向及び幅方向の延伸工程において、高延伸倍率/低延伸倍率の値が1.0〜1.3の範囲にあることが挙げられる。ここで長手方向とは、製造工程中に熱可塑性樹脂フィルムが走行する方向(フィルムロールにおいては、その巻き方向)をいい、幅方向とは、長手方向にフィルム面内で直交する方向をいう。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、意匠性の観点から、熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(A層)と、熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂である熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(B層)とを有し、A層とB層とが厚み方向に交互に位置しており、A層とB層の合計数が300層以上であることが好ましい。このような態様とすることにより、A層とB層の屈折率差による干渉反射が生じて可視光の広い波長帯域の反射が可能となり、角度を変えたときの彩度変化が大きくなるため、高意匠性を達成が容易となる。ここで主成分とは、層を構成する全成分を100質量%としたときに50質量%を超えて100質量以下含まれる成分をいい、厚み方向とは、フィルム面に垂直な方向をいう。
上記観点から積層構造については、より好ましくはA層とB層とが厚み方向に交互に350層以上積層された構造であり、さらに好ましくはA層とB層とが厚み方向に交互に400層以上積層された構造である。また、同様の観点から、積層数の上限は1,000層である。積層数が1,000層を超えると、熱可塑性樹脂フィルムの厚みが厚くなり、熱可塑性樹脂フィルムの成型時に加熱が必要になり、加工性が低下することがある。
また、同様の観点から、熱可塑性樹脂Aが結晶性の熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂Bが非晶性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。ここで結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、融解熱量が5J/g以上であることをいう。一方、非晶性とは、同様に融解熱量が5J/g未満であることをいう。融解熱量は示差熱量分析(DSC)を用いて25℃から300℃の温度まで20℃/分で昇温したときに得られるDSC曲線において、130〜300℃の範囲の中で最もピークトップの温度が高い吸熱ピークの温度を読み取ることで求めることができる。なお、130〜300℃の範囲の結晶融解エンタルピーはJIS−K−7122(1987年)に従って測定、算出する。
A層、B層を構成する樹脂は、本発明の効果を損なわない限り、共重合体や2種類以上の樹脂が混合されたものであってもよい。但し、熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bの好ましい組み合わせは、互いに同一の基本骨格を含む樹脂を用いることが好ましい。ここで「基本骨格」とは、樹脂に最も多く含まれる繰り返し単位のことを指し、例えば、樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合はエチレンテレフタレート単位が基本骨格であり、樹脂がポリエチレンの場合はエチレン単位が基本骨格となる。互いに同一の基本骨格を含む樹脂を用いる例としては、例えば、熱可塑性樹脂Aとしてポリエチレンテレフタレートを用い、熱可塑性樹脂Bとしてエチレンテレフタレート単位とシクロヘキサン1,4−ジメチレンテレフタレート単位からなる共重合体を用いる例等が挙げられる。このように、同一の基本骨格の樹脂を用いると、熱可塑性樹脂フィルムの製膜において、層間剥離等の問題が生じ難くなる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムにおいては、耐押し跡性(耐打痕性)、熱可塑性樹脂フィルム自体の腰の強さ、及び層間の屈折率差確保の観点から、熱可塑性樹脂A、熱可塑性樹脂Bとしてポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
同様の観点から、ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸とジオールを主成分とする単量体からの重合により得られるポリエステル樹脂が好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体等を挙げることができる。中でも屈折率の高いテレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種類のみを用いても、2種類以上を併用しても、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコール等を挙げることができる。中でも、エチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記観点から、ポリエステル樹脂のうち、ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリエチレンナフタレート及びその共重合体、ポリブチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリブチレンナフタレート及びその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレート及びその共重合体等を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂A、熱可塑性樹脂Bの組み合わせとしては、上記観点から、以下の組み合わせが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂Aとして結晶性のポリエチレンテレフタレートを用い、熱可塑性樹脂Bとして、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル酸、シクロヘキサンジカルボン酸を含有、又は、スピログリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノキシエタノールフルオレン、ビスフェノールA成分を含有したポリエチレンテレフタレートの共重合体(非晶性)を用いる態様である。また、別の態様として、熱可塑性樹脂Aとして結晶性のポリエチレンナフタレートを用い、熱可塑性樹脂Bとして、前記共重合成分を含むポリエチレンナフタレートの共重合体(非晶性)を用いる態様である。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、ΔC 0°−60°を好ましい範囲とする観点から、厚みが1μm以上20μm以下である厚膜層を3層以上有し、かつ厚膜層が両側の最表層であることが好ましい。なお、本発明の効果を損なわない限り、各厚膜層の厚みは同じであっても、異なっていてもよい。また、以下、厚膜層以外の層、すなわち厚みが1μm未満の層を薄膜層ということがある。上記観点から、両側の最表層の厚みは、共に1μm以上10μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは2μm以上7μm以下である。同様の観点から、表層以外の厚膜層の厚みは、2μm以上6μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは3μm以上4μm以下である。各厚膜層の厚みがいずれも1μm以上であることにより、積層不良に起因する積層ムラが抑えられ、透過率のばらつきが軽減されることにより、ΔC 0°−60°を上記の好ましい範囲とすることが容易となる。一方、各厚膜層の厚みがいずれも20μm以下であることにより、各厚膜層付近での層間剥離が軽減される。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、薄膜層において、A層とB層のそれぞれの層において隣り合う層の厚みの差が50nm以下の範囲で連続的に単調増加もしくは単調減少している傾斜構造を2段以上有することが好ましい。このような2段以上の厚みの傾斜構造を有することにより、極一部の層にわずかな積層不良を生じて層厚みが設計値から外れた場合にも、他の部分に同程度の厚みの層が存在するため、透過率のばらつきが抑えられ、ΔC 0°−60°の低下を軽減できる。
本発明における熱可塑性樹脂フィルムの好ましい層構成の例として、設計層厚みを示す図を説明する。図1は、結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(A層)、及び非晶性の熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(B層)を厚み方向に交互に積層した熱可塑性樹脂フィルムにおいて、各層順(以下、層番号(符号1)という)を横軸、各層の層厚み(符号2)を縦軸としてプロットした図である。図の整数の層番号に層厚みが対応しており、A層は奇数番号に対応し、B層は偶数番号に対応する。また、点線4、5はA層の層厚み分布、B層の層厚み分布をそれぞれ表す。熱可塑性樹脂フィルムの表面硬度を上げる観点から、厚膜層(符号3)は結晶性樹脂であるA層で形成されることが好ましい。図2についても同様である。
また、層厚みが減少から増加に変化、及び増加から減少に変化する箇所は積層不良が生じ易く、透過率がばらつく原因となるため、厚み1μm以上20μm以下、好ましくは厚み2μm以上6μm以下、より好ましくは厚み3μm以上4μm以下である厚膜層を上記箇所に設けることで、積層不良の原因となる製造時の押出工程で発生する剪断応力を厚膜層にて吸収させることができる。内層の厚膜層が1μm以上であることにより、層構成が減少から増加に変化、及び増加から減少に変化する箇所での積層不良に起因する剪断応力の吸収が十分となり、積層不良を抑制でき、特定波長における光の反射が設計値どおりとなるため、ΔC 0°−60°の低下を抑えることやグラデーション状の色調変化を達成することが容易となる。一方、内層の厚膜層が20μm以下であることにより、厚膜層と厚膜層以外の箇所での弾性率差が抑えられ、加工における断裁時に厚み方向に剪断応力がかかることによる厚膜層付近への応力集中が軽減され、層間剥離が発生しにくくなる。
図3は、図1と同じ層厚み傾斜構造を有し、積層数が349層である態様である。図4は、図1と同じ層厚み傾斜構造を有し、積層数が249層である態様である。図4の態様では、積層数が小さいことで狭い波長帯域でバラツキの大きい反射となるため角度を変えた際での彩度変化が小さくなることに加え、彩度C[0°]を20以上とすることができず、色付きの小さい熱可塑性樹脂フィルムとなることがある。
また、本発明では便宜上、図1、図3及び図4の層厚み構成を2段の傾斜構造、図2の層厚み構成を3段の傾斜構造と呼ぶこととする。ここで、本発明でいう「2段の傾斜構造」とは、2本の単調増加曲線及び/又は単調減少曲線で近似できる構造のことを指し、「3段の傾斜構造」も同様に解釈することができる。
本発明における傾斜構造を有する熱可塑性樹脂フィルムを得るのに好適な実施形態であるフィードブロックの例を図5に示す。該フィードブロックは、2種の樹脂Aと樹脂Bを多層に積層する積層装置のことであり、詳細を以下に説明する。図5おいて、部材板6、樹脂導入板7、スリット板8、樹脂導入板9、スリット板10、樹脂導入板11、及び部材板12がこの順に重ねられ、フィードブロック13を形成する。なお、図5のフィードブロック13の下部に示すX、Y、Zの各方向はそれぞれ厚み方向、幅方向、長手方向に相当する。以下、図6〜8においても同様である。
図5のフィードブロック13は、樹脂導入板7、9、11に由来して3つの樹脂導入口を有するが、例えば樹脂Aを樹脂導入板7、11の導入口14から供給し、樹脂Bを樹脂導入板9の導入口14から供給する。すると、スリット板8は、樹脂導入板7から樹脂A、樹脂導入板9から樹脂Bの供給を受け、スリット板10は、樹脂導入板11から樹脂A、樹脂導入板9から樹脂Bの供給を受けることになる。
ここで、各スリット板に導入される樹脂の種類は、樹脂導入板7、9、11における液溜部15の底面と各スリット板における各スリットの端部との位置関係により決定される。すなわち、図6に示すように、スリット板における各スリットの頂部の稜線17は、スリット板の厚み方向に対して傾斜を有する(図6(b),(c))。但し、図6(a)に示すように、スリット板の両端部に位置した厚膜層を形成するスリット幅は、薄膜層の破壊を防ぐ観点から、他の薄膜層を形成するスリット幅の2倍以上であることが必要であり、より好ましくは3倍以上である。ここでの他の薄膜層を形成するスリット幅とは、少なくとも1つのスリット板内にある薄膜層を形成するスリット部の幅の平均値のことである。
特に、スリット板8及びスリット板10の熱可塑性樹脂フィルムの各最表層部分に該当するスリットは、熱可塑性樹脂Aが流入され、かつ他の薄膜層を形成するスリット幅の10倍以上であることが必要である。この際、熱可塑性樹脂Aが流入するスリットを連続して配置することで、幅の長さを合計して他の薄膜層を形成するスリット幅の10倍以上とすることもできる。このように、フィードブロックから送り込まれた樹脂が合流する箇所、及びフィードブロックから口金までの経路で配管の壁面との境界にあたる箇所において厚膜層を設けることで、合流直後の層厚み分布の変化を防止させ、さらには配管付近の多層流動における樹脂速度の変動を防止することができるため、積層比を崩すことなく、透過率のバラツキを抑制しΔC 0°−60°が大きく変化しつつ、視認角度によりグラデーション状に色調が変化する熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。
そして、図7に示すように、樹脂導入板7、9、11における液溜部15の底面の高さは、前記稜線17の上端部18と下端部19との間の高さに位置する。このことにより、前記稜線17が上がった側からは樹脂導入板7、9、11の液溜部15から樹脂が導入されるが(図7中の20)、前記稜線17が下がった側からはスリットが封鎖された状態となり樹脂は導入されない。かくしてスリット毎に熱可塑性樹脂A又はBが選択的に導入されるので、積層構造を有する熱可塑性樹脂の流れがスリット板8、10中に形成され、当該スリット板8、10の下方の樹脂流出口21より流出する。
スリットの形状としては、樹脂が導入される側のスリット面積と樹脂が導入されない側のスリット面積が同一ではないことが好ましい。ここでいう樹脂が導入される側のスリット面積とは図7に示す樹脂が導入される側のスリット壁22に該当する箇所のスリット面積であり、樹脂が導入されない側のスリット面積とは樹脂が導入されない側のスリット壁23に該当する箇所のスリット面積である。このような構造とすると、樹脂が導入される側と樹脂が導入されない側での流量分布を低減できるため、幅方向の積層精度が向上する。さらには、(樹脂が導入されない側のスリット面積)/(樹脂が導入される側のスリット面積)が0.2以上0.9以下であることが好ましい。より好ましくは0.2以上0.5以下である。また、フィードブロック内の圧力損失が1MPa以上となることが好ましい。また、スリット長(図5中Z方向スリット長さの内、長い方)を20mm以上とすることが好ましい。一方、スリットの間隙幅は、加工精度の観点から0.3mm以上3.0mm以下が好ましく、より好ましくは0.5mm以上3.0mm以下である。
このようにスリットの幅や長さを調整することにより、各層の厚みを制御し、傾斜構造を有する熱可塑性樹脂フィルムを得ることが可能である。また、それぞれのスリットにおいて、スリット間隙幅は、目標値の−3%乃至+3%の範囲であることが好ましい。より好ましくは−2%乃至+2%の範囲である。スリット間隙幅が、目標値の−3%乃至+3%の範囲であることで、局所的な層厚みの密度の増減を抑制することができる。なお、スリットは、その幅や長さを微妙に調整した高い加工精度を必要とする観点から、例えばワイヤー放電加工にて製作されたものが好ましい。
また、各スリット板に対応したマニホールド部を有していることも好ましい。マニホールド部により、スリット板の内部での幅方向(図5中Y方向)の流速分布が均一化するため、幅方向の積層比を均一化することができ、面積が大きくなっても精度良く積層することが可能となり、フィルム幅方向の反射率を精度良く制御することができる。
さらに、前記マニホールドから各スリットへ連通する部分に、スリット間隙よりも大きな積層方向寸法を有する第2マニホールドがスリット幅方向の全てに設けられていることが好ましい。また、前記第2マニホールドはスリット間隙の2倍以上であることが好ましい。加えて、前記第2マニホールドが、スリットに連通する樹脂導入板のマニホールドから離れるに従い下流方向に傾斜していることが好ましい。このような構造とすることで、樹脂導入板のマニホールドから遠い部分のスリットへ溶融材料が流れ易くなりスリットの各スリット板に対応したマニホールドの近い側と遠い側の流量差が小さくなることにより、スリット幅方向の溶融材料の流量が均一となる。また、一つの液溜部から二つ以上のスリット板へ樹脂を供給することがより好ましい。このようにすると、例えば、わずかにスリット板の内部で幅方向に流量分布が生じていたとしても、次に説明する合流装置にてさらに積層されるため、積層比としてはトータルでは均一化され、高次の反射帯域のムラを低減することが可能となる。
スリット内を通過するポリマーは一般に式(vii)にて表される。
Figure 2021143308
すなわち、液溜め部内の圧力が均一化されて圧力降下ΔPが一定であると考えると、1層の層厚みに対応する流量Qは、一つのスリットサイズを調整することにより容易に調整することができる。この装置では、各層の厚みをスリット形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。例えば図1に示されるような構造とする場合の達成方法を説明する。この場合、スリット板は2枚構成であり、個々のスリット板のスリット長は単調増加及び単調減少しているスリット長さの分布を有しており、かつ、隣り合うスリット板間(ここでは単調増加から減少又は単調減少から増加に変化する箇所)において、層の繋ぎ目となる厚膜層を形成するスリットを中心として、それぞれ、前後に配列する少なくとも10層以上のスリットの長さと幅の分布が、前後で同じようになるように設計することで達成される。
Q:樹脂流量
t:スリットの幅
W:スリットの奥行き
μ:樹脂粘度
L:スリットの長さ
ΔP:圧力降下。
各スリット板から流出した樹脂は、図8のフィードブロックの真下に配置された合流装置24にて1つの積層流れとして合流される。図8(a)のL−L’、M−M’、N−N’におけるXY断面を、それぞれ、図8(b)、(c)、(d)に示す。スリット板8、10の排出口16から流出した樹脂流は合流装置24により、L−L’からM−M’に流れに従い、図8(b)、(c)に示すように、流路の配置転換が行われ、2つの樹脂流が積層方向に直列に並ぶ。さらに、当該の樹脂流は図8(a)のM−M’からN−N’に移動するに従い、それぞれの樹脂流が合流し1つの樹脂流となり、図8N−N’より下流にある口金に排出される。この時、図8(c)の樹脂流路27Mと28Mを隔てる樹脂流路間隔壁厚み(以下、隔壁厚みということがある。)29は3mm以上10mm以下であることが好ましく、4mm以上8mm以下であることがより好ましい。隔壁厚み29が10mm以下であることにより、M−M’からN−N’に樹脂流が移動する際に樹脂流路27Mと28Mが急接近するのを軽減でき、合流部分の積層構造が保たれる。そのため、目標の光学性能を達成することが容易となり、透過率のバラツキによるΔC 0°−60°の低下が抑えられ、角度による色調の変化グラデーションの形成も容易となる。隔壁厚み29が3mm以上であることにより、樹脂流路27Mと28Mを流れる樹脂圧による隔壁の歪みが抑えられ、積層構造が保たれるため、目標の光学性能の達成が容易となる。
その後、溶融状態の当該樹脂の流れは、Tダイ内部のマニホールド部に充填、さらに拡幅され、次いでダイスリットからシート状に押し出される。この際、前記フィードブロックと前記口金とを接続する流路における流路方向に垂直な任意の断面のシート幅方向寸法をW、シート厚み方向寸法をT、前記口金の吐出口のシート幅方向寸法をWd、前記積層体の最表層の最小シート厚み方向寸法をLとすると、式(viii)と式(ix)の関係を共に満足することが好ましい。
Figure 2021143308
Figure 2021143308
熱可塑性樹脂フィルムを設計波長のみを反射するためには、各層の層厚みを、下記式(x)に基づいて設計する。本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、光を反射/透過を制御することを可能とするが、その反射率については樹脂Aと樹脂Bの屈折率差と層数によって制御することができる。
式(x) 2×(n・d+n・d)=λ
:結晶性の熱可塑性樹脂Aからなる層の面内平均屈折率
:非晶性の樹脂を含む熱可塑性樹脂Bからなる層の面内平均屈折率
:樹脂Aからなる層の層厚み(nm)
:樹脂Bからなる層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)。
A層、B層の面内平均屈折率(n、n)の値は、単膜の配向熱可塑性樹脂フィルムを5mm(幅方向)×20mm(長手方向)×0.5mm(厚み方向)の大きさに切り出し、アッベ屈折率計により、該熱可塑性樹脂フィルムの温度23℃、波長589nmにおける屈折率を5回測定し、その平均値を算出することにより得られる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムのA層の面内平均屈折率と、B層の面内平均屈折率の差が0.035以上0.060以下であることが好ましい。より好ましくは、0.040以上0.055以下である。面内平均屈折率の差が0.035以上であることにより、十分な反射率が得られ、高意匠性を達成できる。面内平均屈折率の差が0.060以下であることにより、反射率が過度に高くならず、熱可塑性樹脂フィルムのぎらつきが軽減される。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、アクリル・ウレタン共重合樹脂と2種類以上の架橋剤からなる易接着層を有することが好ましい。このような態様とすることにより、熱可塑性樹脂フィルムに印刷層又はハードコート層を施す際に、界面における密着性が強固となる。また、印刷層とハードコート層を熱可塑性樹脂フィルムの両面に施す際は、上記観点から、両面に易接着層を有することが好ましい。
本発明に好ましく用いられる易接着層を構成するアクリル・ウレタン共重合樹脂を得るには、以下のアクリル系モノマーと以下のウレタン成分を用いることができる。先ず、アクリル系モノマーとしては、例えばアルキルアクリレート(アルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル等)、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)のカルボキシル基又はその塩を含有するモノマー等を用いることができる。
また、ウレタン成分としては、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物を、乳化重合、懸濁重合等の公知のウレタン樹脂の重合方法によって反応させることで得られる樹脂を用いることができる。ウレタン成分を構成するポリヒドロキシ化合物としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ポリカーボネートジオール、グリセリン等を用いることができる。
本発明における易接着層を構成する架橋剤としては、架橋性官能基を共重合することが好ましく、例えば、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤等を用いることができる。また、ハードコート層やシリコーン系接着層との耐湿熱接着性の観点から、2種類以上の架橋剤を用いることが好ましく、具体的には、架橋剤の少なくとも1種類がオキサゾリン系架橋剤又はカルボジイミド系架橋剤を用いることが好ましい。
さらに、前記易接着層の成分だけであると帯電し易いため、その結果、静電気により加工時に異物が混入し、外観欠点となる問題を引き起こすことがある。そのため易接着層の成分には、帯電防止の観点から、導電性高分子を含んでいることが好ましい。導電性高分子としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン・ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ−p−フェニレン、ポリヘテロサイクル・ビニレン、特に好ましくは、(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、表面にハードコート層を設けることで、熱可塑性樹脂フィルムが傷つくことを抑制でき、耐擦過性を付与することができる。但し、コスト面からハードコート層を必要としない用途に対しては、必ずしもハードコート層を設けなくてもよい。
ハードコート層としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、有機シリケート樹脂、シリコーン系樹脂等を用いることができる。その中で、硬度、耐久性および生産性の観点から、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、さらに好ましくは、アクリル系樹脂であり、活性線硬化型のアクリル系樹脂であることが特に好ましい。
ハードコート層の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤及び帯電防止剤等を用いることができる。本発明におけるハードコート層の厚みは、用途に応じて決められるが、通常は0.1μm以上30μm以下が好ましく、さらに好ましくは、1μm以上15μm以下である。ハードコート層の厚みが0.1μm以上であることにより、膜厚が十分に確保され、ハードコート層の組成物が十分硬化してれば耐擦過性が実現できる。一方、ハードコート層の厚みが30μm以下であることにより、折り曲げなどの応力による硬化膜へのクラックが入り難くなる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムでは、易接着層、ハードコート層及び帯電防止層の他に、用途に応じて耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
次に、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの好ましい製造方法の一例を以下に説明するが、これによって制限されるものではない。
先ず、熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bをペレットの形態で用意する。該ペレットは、必要に応じて熱風中あるいは真空下で乾燥された後、各々2台の押出機にそれぞれ供給される。各押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化してフィルター等を介して異物や変性した樹脂を取り除く。2台の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bは、それぞれ多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、多数の微細スリットを有する部材を、少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが望ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度に積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。このようなフィードブロックの例としては、図5〜7に示す態様のものが挙げられる。
2段以上の傾斜構造をとる場合、薄い層から厚い層への変化もしくは厚い層から薄い層への層厚みの変化が、非常に急になる。本発明では多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いる。但し、このようなフィードブロックを用いると、送り込まれた樹脂が合流する箇所では合流直後に層厚み分布が変化し、幅方向の色調をばらつかせる大きな一因となる。そのため、積層フィルムにて厚み1μm以下の層に該当する箇所において、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの流量が大きく変化しないよう積層比が0.7〜1.3となるように流量を調整することが必要である。また、溶融状態で樹脂Aと比較して高粘度となる樹脂Bが層内の剪断応力差により歪みが生じないように熱可塑性樹脂Aは低粘度、熱可塑性樹脂Bは高粘度とすることで積層むらが小さくなり、所望の層厚み分布が得られる。さらにはフィードブロックから口金までの経路で配管の壁面の影響により配管付近の樹脂速度が低下するため、配管壁面付近と配管中心部の流速差によりさらに積層精度が悪化する。
そのため、最表層部および別個のフィードブロックの樹脂合流部の一定の距離を同一のポリマーで置換することで積層比を崩すことなく、ΔC 0°−60°が大きく変化しつつ、視認角度によりグラデーション状に色調が変化する熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。このとき、積層フィルムの両側の最表層の厚膜層を樹脂Aとする場合、樹脂Aからなる層が表層厚膜層(両側の最表層)に該当する。また、内層の厚膜層とする樹脂は、耐押跡性向上のために高結晶性樹脂、すなわち熱可塑性樹脂Aとすることが好ましい。内層の厚膜層は1μm以上であると合流部の層厚み分布変化の抑制が十分となり、好ましい。上記観点から、内層の厚膜層の厚みは2μm以上6μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは3μm以上4μm以下である。厚膜層の厚み調整は該当する層の厚みに相当する各流量をスリットの間隙で調整することが好ましく、この際、各スリット間隙の間隙精度は±10μm以下であることが好ましい。このような特殊なフィードブロックを用いることにより、高精度でかつ2段以上の傾斜構造を形成する熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。
層厚みが2段以上の傾斜構造をとる場合、フィードブロックから流出した多層流は合流装置にて傾斜構造の数と同じ多層流が樹脂流路隔壁により隔てられて直列に流れ、その後樹脂流が合流し、1つの樹脂流となる。樹脂流路隔壁は3〜10mmの範囲とすると、樹脂流が合流する際の積層の歪みを抑制することができ、好ましい。
このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成型された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層された溶融積層体は、キャスティングドラム等の回転冷却体上に押し出されて冷却固化され、キャスティングフィルム(無延伸フィルム)となる。この際、ワイヤー状、テープ状、針金状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の回転冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の回転冷却体に密着させ急冷固化、又は、ニップロールにて回転冷却体に密着させて急冷固化させる方法も好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向及び幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二軸方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向及び/又は幅方向に再延伸しても良い。特に本発明においては面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
先ず、逐次二軸延伸の場合について説明する。ここで長手方向の延伸とは、キャスティングフィルムに長手方向に分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行っても良く、また、複数本のロール対を用いて多段階で行ってもよい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、熱可塑性樹脂フィルムにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては熱可塑性樹脂フィルムを構成する高結晶性樹脂(相対的に結晶性の高い樹脂)のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムに易接着層を設ける場合には、塗剤をコーティングして積層する方法が好ましい。塗剤をコーティングする方法としては、本発明における熱可塑性樹脂フィルムの製造工程とは別工程でコーティングを行う方法、いわゆるオフラインコーティング方法と、本発明における熱可塑性樹脂フィルムの製造工程中にコーティングを行うことで易接着層を一度に積層させる、いわゆるインラインコーティング方法がある。コストの面や塗布厚みの均一化の面からインラインコーティング方法を採用することが好ましく、その場合に用いられる塗液の溶媒は、環境汚染や防爆性の観点から水系であることが好ましく、水を用いることが最も好ましい態様である。
インラインコーティングで易接着層を形成する場合には、一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルム(一軸配向フィルム)に連続的に易接着層を構成する塗剤を塗布する。溶媒として水を用いた塗剤(水系塗剤)の塗布方法としては、例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法及びダイコート法などを用いることができる。また、水系塗剤を塗布する前に、表面にコロナ放電処理等を施すことが好ましい。これは、熱可塑性樹脂フィルムと塗剤との接着性が向上し、塗布性も良好となるためである。
易接着層には、発明の効果を損なわない範囲であれば、架橋剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑材、顔料、染料、有機又は無機の粒子、充填材、界面活性剤等を配合してもよい。
続いて行う幅方向の延伸とは、熱可塑性樹脂フィルムの幅方向に分子配向を与えるための延伸をいい、通常はテンターを用いて、一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、一軸配向フィルムに熱を加えて予熱した後、幅方向に延伸する。テンター直前に塗布された水系塗剤はこの予熱時に乾燥される。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、本発明における熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましい。また、延伸温度としては本発明における熱可塑性樹脂フィルムを構成する高結晶性樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。二軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うことが好ましい。このようにして熱処理された熱可塑性樹脂フィルムは、均一に徐冷後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
次いで、同時二軸延伸の場合について説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャスティングフィルムに、連続的に易接着層を構成する塗剤を塗布する。溶媒として水を用いた塗剤(水系塗剤)の塗布方法としては、例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法及びダイコート法などを用いることができる。また、水系塗材を塗布する前に、キャスティングフィルムの表面にコロナ放電処理などを施すことが好ましい。これは、キャスティングフィルムと塗剤との接着性が向上し、塗布性も良好となるためである。
次に、塗剤を塗布したキャスティングフィルムを同時二軸テンターへ導き、その両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時及び/又は段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能で、かつ任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、面積倍率として8〜30倍が特に好ましい。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とすると共に、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては熱可塑性樹脂フィルムを構成する高結晶性樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。二軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上かつ高結晶性樹脂の融点以下の熱処理を行うことが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前及び/又は直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された熱可塑性樹脂フィルムは、均一に徐冷後、室温まで冷却されてワインダーにて巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向及び/又は幅方向に弛緩処理を行ってもよい。また、熱処理ゾーンに入る直前及び/又は直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することも好ましい。
かくして得られた本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、金属フリーで可視光を反射し、正面視認時にぎらつきを抑制しながらも色付きが十分にあり、角度変化により連続的に色彩が変化する特性が顕著であるため、照明加飾材、家電やスマートフォン等の加飾、美術や工芸品に使用する加飾フィルム等に好適に用いることができる。
本発明の照明加飾材は、本発明の熱可塑性樹脂フィルムを用いることを特徴とする。本発明の熱可塑性樹脂フィルムは上記特性を有するため、それを用いて得られる照明加飾材は、高い意匠性を備えるものとなる。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定し、熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いた原料は下記のとおりとした。
[諸特性の評価方法]
(1)熱可塑性樹脂フィルムの層構成及び層厚み
ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製、H−7100FA型)を用い、加速電圧75kVで熱可塑性樹脂フィルムの断面を40,000倍に拡大して観察し、断面部分を撮影して層構成及び層厚みを測定した。また、各層の合計厚みを熱可塑性樹脂フィルムの全体厚みとした。なお、コントラストを高く得るために、RuOを使用してサンプルを染色した。
熱可塑性樹脂フィルムの層構成及び層厚みの具体的な求め方を説明する。先ず、約40,000倍のTEM写真を、CanonScanD123U(キャノン(株)製)を用いて画像サイズ729dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで、画像処理ソフト(販売元プラネトロン(株)、Image−Pro Plus ver.4)を用いて、該JPEGファイルを開き、画像解析処理を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域における平均の明るさとの関係を、数値データとして読み取り、表計算ソフト(マイクロソフト社 Excel2010)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ1(間引き1)でデータ採取後、5点移動平均の数値処理を施した。さらに、得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBA(ビジュアル・ベーシック・フォア アプリケーションズ)プログラムにより、微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。層厚みが得られた層のうち、1μm未満の厚みの層を薄膜層とした。また、A層とB層において隣り合う層の厚みの差が50nm以下の範囲で連続的に単調増加もしくは単調減少して配列している群を傾斜構造と定義した。傾斜構造の判定は、層番号とA層とB層それぞれの層厚みの関係を最小二乗近似した際、そのRの二乗が0.90以上となる正もしくは負の傾きをもつものを傾斜構造と扱うことにより行い、図1、図3及び図4の構成を2段の傾斜構造、図2の構成を3段の傾斜構造と呼ぶこととした。
(2)平均透過率
熱可塑性樹脂フィルムから5cm四方のサンプルを切り出した。日立製作所製の分光光度計(U−4100 Spectrophotometer)に付属の積分球を用いた基本構成で、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準とし、また、付属のグランテーラ社製偏光子を設置して、偏光成分を0、90°において、入射角度Φ=0°における波長400〜750nmの透過率を測定し、各波長に対して偏光成分0、90°の測定値を平均した数値を入射角度Φ=0°における透過率とした。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/min.で測定した。波長400〜750nmで透過率が50%となる最も短波長側の波長をλmin、波長400〜750nmで透過率が50%となる最も長波長側の波長をλmaxとし、波長λmin〜λmaxの間の透過率の平均値を平均透過率とした。
(3)入射角X°で測定した色調値a[X°]、b[X°]
熱可塑性樹脂フィルムから5cm四方のサンプルを切り出した。日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotometer)に付属の積分球を用いた基本構成で、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準とし、また、付属のグランテーラ社製偏光子を設置して、偏光成分を0、90°において、入射角度Φ=X°における波長400〜750nmの透過率を測定し、各波長に対して偏光成分0、90°の測定値を平均した数値を入射角度Φ=X°における透過率とした。次に、各角度の平均分光反射曲線から、JIS Z 8781(2013年)に規定する計算式を用いて、D65光でのa[X°]、b[X°]を算出した。
(4)彩度C[0°]
(3)で得られた色調値a[0°]、b[0°]の数値を用いて、「a[0°]+b[0°]」の平方根を求め、これを彩度C[0°]とした。
(5)ΔC 0°-60°
(3)で得られた色調値a[0°]、b[0°]、a[60°]、b[60°]の数値を用いて、「(a[0°]−a[60°])+(b[0°]-b[60°])」の平方根を求め、これをΔC 0°-60°とした。
(6)|a[0°]-a[30°]|、|a[30°]-a[60°]|、|b[0°]-b[30°]|、及び|b[30°]-b[60°]|
(3)で得られた色調値a[0°]、b[0°]、a[30°]、b[30°]、a[60°]、b[60°]の数値を用いて、算出した。なお、以下|a[0°]-a[30°]|、|a[30°]-a[60°]|、|b[0°]-b[30°]|、及び|b[30°]-b[60°]|を、それぞれ順にΔa* 0°-30°、Δa* 30°-60°、Δb* 0°-30°、及びΔb* 30°-60°という。
(7)ヤング率の最大値E0°、ヤング率がE0°となる方向とフィルム面内で直交する方向のヤング率E90°
熱可塑性樹脂フィルムの任意の一方向(0°方向)、フィルム面に平行かつ該方向とのなす角が15°、30°、45°、60°、75°、90°、105°、120°、135°、150°、165°の方向のヤング率を測定し、ヤング率の最も高かった方向におけるヤング率をE0°(GPa)とし、ヤング率がE0°であった方向と直交する方向のヤング率をE90°(GPa)とした。なお、ヤング率は下記の方法で測定した。
熱可塑性樹脂フィルムを長さ150mm、幅10mmの短冊状のサンプルを切り出し、JIS Z 1702(1994年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて当該サンプルのヤング率(GPa)を測定した。測定は下記の条件で行い、試料数10にて、それぞれについてその測定をして、平均値をとった。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロン”(登録商標)AMF/RTA−100
試料サイズ:幅10mm×試長間50mm
引張り速度:300mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
(8)正面視認高意匠性
(4)彩度C[0°]の測定結果より、以下の基準で判断した。
○:彩度C[0°]が30以上40以下であった。
△:彩度C[0°]が20以上30未満、又は40を超え50以下であった。
×:彩度C[0°]が20未満、又は50を超えた。
(9)広角度色変化
(5)ΔC 0°-60°の測定結果より、以下の基準で判断した。
○:ΔC 0°-60°が70以上110以下であった。
△:ΔC 0°-60°が60以上70未満、又は110を超え120以下であった。
×:ΔC 0°-60°が60未満、又は120を超えた。
(10)a低角度色付連続変化性
(6)Δa* 0°-30°の測定結果より、以下の基準で判断した。
○:Δa* 0°-30°が10以上70以下であった。
△:Δa* 0°-30°が70を超え90以下であった。
×:Δa* 0°-30°が10未満、又は90を超えた。
(11)a広角度色付連続変化性
(6)Δa* 30°-60°の測定結果より、以下の基準で判断した。
○:Δa* 30°-60°が10以上70以下であった。
△:Δa* 30°-60°が70を超え90以下であった。
×:Δa* 30°-60°が10未満、又は90を超えた。
(12)b低角度色付連続変化性
(6)Δb* 0°-30°の測定結果より、以下の基準で判断した。
○:Δb* 0°-30°が10以上70以下であった。
△:Δb* 0°-30°が70を超え90以下であった。
×:Δb* 0°-30°が10未満、又は90を超えた。
(13)b広角度色付連続変化性
(6)Δb* 30°-60°の測定結果より、以下の基準で判断した。
○:Δb* 30°-60°が10以上70以下であった。
△:Δb* 30°-60°が70を超え90以下であった。
×:Δb* 30°-60°が10未満、又は90を超えた。
(14)層間密着性
JIS K5600−5−6(1999年)に準拠し、クロスカット用間隔スペーサー(コーテック株式会社製:型番CROSS CUT GUIDE1.0)、カッターナイフを用い、評価用試験体にタテ方向6回、ヨコ方向6回の切り込みを1mm間隔で入れた(本操作により、5×5=25マスの格子を作製した。)。作製した格子上に透明感圧付着粘着テープ(日東電工株式会社製:型番31B)を圧着し、圧着したテープを約60°の方向に引き剥がし、剥離した格子の数を求めた。測定はN=5で実施し、平均値をもって以下の基準で評価した。
○:25マス全ての格子で剥離なし(剥離個数が0マス以上1マス未満)であった。
△:25マス中1マス以上2マス未満の格子が剥離した。
×:25マス中2マス以上の格子が剥離した。
[原料]
(樹脂A−1)
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量部、三酸化アンチモン0.03重量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行った。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量部を添加した後、重縮合反応槽に移行した。さらに、加熱昇温しながら反応系を除々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、結晶性樹脂である固有粘度(IV)0.61のポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)を得た。
(樹脂A−2)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部の混合物を用いた以外は、樹脂A−1と同様に重合を行い、結晶性樹脂である固有粘度(IV)0.67のポリエチレンナフタレート(以下、PENということがある)を得た。
(樹脂B−1)
非晶性樹脂である固有粘度(IV)0.75のシクロヘキサンジメタノール(CHDM)30mol%を共重合したポリエチレンテレフタレートと樹脂A−1を55:45で混合した共重合ポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−2)
非晶性樹脂である固有粘度(IV)0.75のシクロヘキサンジメタノール(CHDM)30mol%を共重合したポリエチレンテレフタレートと樹脂A−1を65:35で混合した共重合ポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−3)
非晶性樹脂である固有粘度(IV)0.75のシクロヘキサンジメタノール(CHDM)30mol%を共重合したポリエチレンテレフタレートと樹脂A−1を70:30で混合した共重合ポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−4)
非晶性樹脂である固有粘度(IV)0.60のスピログリコール(SPG)21mol%、及びシクロヘキサンジカルボン酸(CHDC)24mol%を共重合したポリエチレンテレフタレートと樹脂A−1を35:65で混合した共重合ポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−5)
非晶性樹脂である固有粘度(IV)0.75のシクロヘキサンジメタノール(CHDM)30mol%を共重合したポリエチレンテレフタレートと樹脂A−1を80:20で混合した共重合ポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−6)
非晶性樹脂である固有粘度(IV)0.75のシクロヘキサンジメタノール(CHDM)30mol%を共重合したポリエチレンテレフタレートと樹脂A−1を60:40で混合した共重合ポリエチレンテレフタレート。
(易接着層の組成物−I)
・アクリル・ウレタン共重合樹脂(a)の水分散体:山南合成化学(株)製、サンナロンWG658(固形分濃度30質量%)
・イソシアネート化合物(b)の水分散体:第一工業製薬(株)製、エラストロン“登録商標”E−37(固形分濃度28質量%)
・オキサゾリン化合物(c)の水分散体:日本触媒(株)製、エポクロス“登録商標”WS−500(固形分濃度40質量%)
・カルボジイミド化合物(d)の水分散体:日清紡(株)製、カルボジライト“登録商標”V−04(有効成分40%)
・シリカ粒子(e):日揮触媒化成(株)製、スフェリカ“登録商標”スラリー140(固形分濃度40質量%)
・アセチレンジオール系界面活性剤(f):日信化学(株)製、オルフィン“登録商標”EXP4051(固形分濃度50質量%)
・水系溶媒(i):純水
上記した(a)〜(h)を固形分重量比((d)は有効成分量比)で、(a)/(b)/(c)/(d)/(e)/(f)=100/100/60/60/10/15となるように混合し、かつ前記水系塗剤の固形分濃度が3質量%となるように(i)を混合し、濃度調整した。
(実施例1)
樹脂A−1及び樹脂B−1を、各々別のベント付き二軸押出機で樹脂A−1を290℃及び樹脂B−1を280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプ及びフィルターを介して、274個のスリットを有する部材を別個に1個有する549層のフィードブロックにて合流させた。なお、厚膜層となる両側の最表層は樹脂A−1となり、樹脂A−1と樹脂B−1が交互に積層され、かつ隣接する樹脂A−1からなる層と樹脂B−1からなる層の層厚みは、ほぼ同じになるようにした。次いで、T−ダイに導いてシート状に成型した後、静電印加で表面温度25℃に保たれたキャスティングドラムに密着させて急冷固化し、キャスティングフィルムを得た。
得られたキャスティングフィルムを75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、キャスティングフィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却して一軸配向フィルムを得た。次いで、該一軸配向フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、その塗れ張力を55mN/mとし、#4のメタバーで易接着層の組成物−Iを一軸配向フィルムの両面に塗布した。
易接着層の組成物−Iを塗布した一軸配向フィルムをテンターに導き、100℃の熱風予熱後、110℃の温度で横方向に3.5倍延伸した。延伸した熱可塑性樹脂フィルムは、そのままテンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、次いで、同温度にて幅方向に7%の弛緩処理を施し、その後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取り、二軸配向フィルムを得た。得られた二軸延配向フィルムの全体厚みは、75μmであった。この熱可塑性樹脂フィルムの層設計は図1のとおりであり、スリット間隙を調整することにより、各層の層厚みを制御した。該熱可塑性樹脂フィルムの厚み方向の断面をTEM観察し、画像処理により層厚み分布を求めた。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号275の層厚みは4μmであった。この熱可塑性樹脂フィルムの特性及び評価結果を表1に示す。
(実施例2)
熱可塑性樹脂フィルムの全体厚みを75μmから55μmに変更した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも4μmであり、樹脂A−1で構成される層番号275の層厚みは3μmであった。結果を表1に示す。なお
(実施例3)
樹脂B−1を樹脂B−2に変更した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号275の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(実施例4)
樹脂B−1を樹脂B−3に変更した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号275の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(実施例5)
樹脂B−1を樹脂B−4に変更した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号275の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(実施例6)
熱可塑性樹脂フィルムの層設計が図2に示すとおりとなるように、フィードブロックのスリット形状を変更して厚み調整し、熱可塑性樹脂フィルムの全体厚みを79μmとした以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号183及び層番号366の層厚みは4μmであった。この熱可塑性樹脂フィルムの特性及び評価結果を表1に示す。
(実施例7)
図8に示す合流装置における樹脂流路間隔壁厚み27を5mmから10mmに変更した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号275の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(実施例8)
縦方向の延伸を3.3倍から2.8倍にし、横方向の延伸を3.5倍から4.0倍に変更した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号275の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(実施例9)
熱可塑性樹脂フィルムの層設計を図3となるようにフィードブロックのスリット形状を変更して厚み調整し、熱可塑性樹脂フィルムの全体厚みを45μmとし、樹脂B−1を樹脂B−5にした以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号349の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号175の層厚みは4μmであった。この熱可塑性樹脂フィルムの特性及び評価結果を表1に示す。
(比較例1)
樹脂B−1を樹脂B−5に変更した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号275の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(比較例2)
樹脂B−1を樹脂B−6に変更した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号275の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(比較例3)
樹脂A−1を樹脂A−2、樹脂B−1を樹脂B−6に変更し、熱可塑性樹脂フィルムの全体厚みを70μmとした以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号275の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(比較例4)
図8に示す合流装置における樹脂流路間隔壁厚み27を5mmから15mmに変更した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号549の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号275の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(比較例5)
熱可塑性樹脂フィルムの層設計が図4のとおりとなるように、フィードブロックのスリット形状を変更して厚み調整し、熱可塑性樹脂フィルムの全体厚みを24μmとした以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号249の層厚みはいずれも6μmであり、樹脂A−1で構成される層番号125の層厚みは4μmであった。この熱可塑性樹脂フィルムの特性及び評価結果を表1に示す。
Figure 2021143308
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、金属フリーで可視光を反射し、正面視認時にぎらつきを抑制しながらも色付きが十分にあり、角度変化により連続的に色彩が変化する。そのため、その特性を活かして照明加飾材、家電やスマートフォン等の加飾、美術や工芸品に使用する加飾フィルム等に好適に用いることができる。
1:層番号
2:層厚み
3:厚膜層
4:A層の層厚み分布
5:B層の層厚み分布
6:部材板
7:樹脂導入板
8:スリット板
8a:スリット
8b:スリット
9:樹脂導入板
10:スリット板
11:樹脂導入板
12:部材板
13:フィードブロック
14:導入口
15:液溜部
16:排出路
17:各スリットの頂部の稜線
18:各スリットの頂部の稜線の上端部
19:各スリットの頂部の稜線の下端部
20:スリットへ導入される樹脂
21:樹脂流出口
22:樹脂が導入される側のスリット壁
23:樹脂が導入されない側のスリット壁
24:合流装置
25L:樹脂流路
26L:樹脂流路
27M:樹脂流路
28M:樹脂流路
29:樹脂流路間隔壁厚み
30N:樹脂流路
31N:樹脂流路

Claims (9)

  1. 入射角X°で測定した分光透過率を用いてJIS Z 8781(2013年)に規定する計算式により算出される色調値をa[X°]、b[X°]としたときに、
    [0°]、b[0°]、a[60°]、及びb[60°]が、下記式(i)及び(ii)を満足することを特徴とする、熱可塑性樹脂フィルム。
    Figure 2021143308
    Figure 2021143308
  2. 前記a[0°]、前記a[60°]、及びa[30°]が、下記式(iii)及び(iv)を満足することを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
    式(iii) 10≦|a[0°]−a[30°]|≦90
    式(iv) 10≦|a[30°]−a[60°]|≦90
  3. 前記b[0°]、前記b[60°]、b[30°]が、下記式(v)及び(vi)を満足することを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
    式(v) 10≦|b[0°]-b[30°]|≦90
    式(vi) 10≦|b[30°]-b[60°]|≦90
  4. 入射角0°で測定した反射帯域間の平均透過率が25%以上45%以下であることを特徴とする。請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  5. 熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(A層)と、熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂である熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(B層)とを有し、A層とB層とが厚み方向に交互に位置しており、A層とB層の合計数が300層以上であり、厚みが1μm以上20μm以下である厚膜層を3層以上有し、かつ厚膜層が両側の最表層であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑樹脂フィルム。
  6. JIS K 5600(1999年)に準じたクロスカット法による密着性試験において、層間剥離が生じないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  7. ヤング率の最大値をE0°、ヤング率がE0°となる方向とフィルム面内で直交する方向のヤング率をE90°としたときに、E0°が5.0GPa以下であり、かつE90°/E0°の値が0.9以上1.0以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  8. 照明加飾材に用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムを用いた照明加飾材。
JP2020043989A 2020-03-13 2020-03-13 熱可塑性樹脂フィルム Pending JP2021143308A (ja)

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