JP2017132255A - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】幅および長手方向の選択的波長カット性能の安定性に優れた積層フィルムおよびその製造方法を提供する。【解決手段】結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(A層)と、非晶性の熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(B層)とを有する一軸又は二軸配向フィルムであって、前記A層と前記B層とが隣接しており、A層とB層の合計数が50以上3,000以下であり、帯域幅が50nm以上の反射波長帯域を持ち、前記反射波長帯域における平均透過率が80%以下であり、前記反射波長帯域における平均透過率の長手方向偏差(σT(max))が0≦σT(max)≦1.0、かつ前記反射波長帯域における高波長端の長手方向偏差(σλ(max))が0≦σλ(max)≦15.0であることを特徴とする、積層フィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、積層フィルムおよびその製造方法に関する。
近年、特定の波長光を選択的にカットすることができる様々なフィルムの開発が進んでいる。例えば、環境保護による二酸化炭素排出規制を受けて、太陽光による熱線の透過を抑制でき、かつその他可視光を透過させる熱線カットフィルムが、自動車、電車、及び飛行機などの乗り物に用いられている(特許文献1参照)。
また、大きなエネルギーを有する近紫外線や青色波長光(ブルーライト)は、人体に有害である可能性が高く、装物及び建材においても構成材料の劣化を促進させる可能性がある。そのため、これらをカットしつつ、これらと波長域が異なる可視光を透過させるUVカットフィルムやブルーライトカットフィルムが、自動車、建材の窓ガラス、電子機器のディスプレイ等に用いられている(特許文献2参照)。
加えて、建材、自動車部品、携帯電話、家電、及び電子機器などの成型部材の加飾で、溶剤レス塗装やメッキ代替などの要望、及び意匠性を高める観点から、フィルムを使用した加飾方法の導入も進んでいる。加飾のデザインとしては、意匠性を高めるために木目調、布目調の他、金属調のデザイン等があげられる。中でも金属調の加飾は、重量を抑えて高級感を引き出すことができるためニーズが高く、実際にフィルムにより可視光領域の波長光の反射を調節して、樹脂基材を金属調に加飾することが行われている(特許文献3参照)。
上記のようなフィルムに求められる特性として、フィルム全幅、全長にわたって、安定的な選択的波長カット性能を担保することが要求されている。
しかしながら、特許文献1から3に記載の技術では、フィルム幅および長手方向の光学特性の安定性を担保することが困難である。そして、これらの技術により得られるフィルムは、フィルム幅および長手方向における光学特性の安定性が不十分であった。
そこで本発明は、上記した従来技術の問題点を解決し、フィルム幅および長手方向の光学特性の安定性に優れた積層フィルムを提供することをその課題とする。
本発明は、かかる課題を解決するため次の構成を有する。
(1) 結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(A層)と、非晶性の熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(B層)とを有する一軸又は二軸配向フィルムであって、前記A層と前記B層とが隣接しており、A層とB層の合計数が50以上3,000以下であり、帯域幅が50nm以上の反射波長帯域を持ち、前記反射波長帯域における平均透過率が80%以下であり、前記反射波長帯域における平均透過率の長手方向偏差(σT(max) )が0≦σT(max)≦1.0、かつ前記反射波長帯域における高波長端の長手方向偏差(σλ(max))が0≦σλ(max)≦15.0であることを特徴とする、積層フィルム。
(2) 前記結晶性の熱可塑性樹脂Aが、結晶性ポリエステルであり、前記非晶性の熱可塑性樹脂Bが、非晶性ポリエステルであることを特徴とする、(1)に記載の積層フィルム。
(3) 前記結晶性ポリエステルが、結晶性ポリエチレンテレフタレートであり、前記非晶性ポリエステルが、スピログリコール共重合ポリエチレンテレフタレート、及び/又はシクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする、(2)に記載の積層フィルム。
(4) 前記A層と前記B層とが、厚み方向に交互に位置することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5) 二軸配向フィルムであることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6) 前記反射波長帯域が、300〜500nm、又は800〜1,400nmのうち少なくとも一つの帯域にあることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の積層フィルム。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法であって、口金から結晶性の熱可塑性樹脂A及び非晶性の熱可塑性樹脂Bを吐出する工程(工程1)、オーブン内でフィルムの熱可塑性樹脂Aの結晶化、及び熱可塑性樹脂Bの配向緩和を促進する工程(工程2)、及び走行するフィルムの分光波形データを測定する工程(工程3)をこの順に有し、工程3で得られた分光波形データを工程1及び2にフィードバックし、フィルムの反射波長帯域の幅、及び反射波長帯域における平均透過率を制御することを特徴とする、積層フィルムの製造方法。
(8) 工程1における吐出量を制御することを特徴とする、(7)に記載の積層フィルムの製造方法。
(9) 工程2におけるオーブン内の温度及び/又は風量を制御することを特徴とする、(7)又は(8)に記載の積層フィルムの製造方法。
本発明により、フィルム幅方向および長手方向の光学特性の安定性に優れた積層フィルム、及び該積層フィルムを安定提供することができる製造方法を提供することができる。本発明により得られた積層フィルムは、例えば、建材、自動車部品、電子機器のディスプレイなどに好適に用いることができる。
本発明の積層フィルムは、結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(A層)と、非晶性の熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(B層)とを有する一軸又は二軸配向フィルムであって、前記A層と前記B層とが隣接しており、A層とB層の合計数が50以上3,000以下であり、帯域幅が50nm以上の反射波長帯域を持ち、前記反射波長帯域における平均透過率が80%以下であり、前記反射波長帯域における平均透過率の長手方向偏差(σT(max) )が0≦σT(max)≦1.0、かつ前記反射波長帯域における高波長端の長手方向偏差(σλ(max))が0≦σλ(max)≦15.0であることを特徴とする。
本発明の積層フィルムは、光線の透過率を調節する観点から、結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(A層)と、非晶性の熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(B層)とを有することが重要である。このような態様とすることにより、A層の面内平均屈折率がB層の面内平均屈折率よりも高くなり、層間の平均屈折率差が生じる。そして、層間の平均屈折率差を調節することにより、光線の透過率を調節することが可能となる。さらに、B層の主成分が非晶性の熱可塑性樹脂Bであることにより、高温下でもB層の結晶化が生じにくくなるため、積層フィルムの白化などの問題が発生するのを軽減することも可能となる。
ここで、熱可塑性樹脂とは、加熱により軟化して可塑性を持ち、冷却すると固化する特徴を有する樹脂をいう。非晶性の熱可塑性樹脂とは、示差熱量分析(DSC)において、昇温速度5℃/分で昇温させたときの結晶融解熱量が0.1mJ/mg未満である熱可塑性樹脂をいい、結晶性の熱可塑性樹脂とは、非晶性の熱可塑性樹脂に該当しない熱可塑性樹脂をいう。結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とするとは、層全体を100質量%としたときに、層中に結晶性の熱可塑性樹脂Aが50質量%より多く含まれることをいい、非晶性の熱可塑性樹脂Bを主成分とするについても同様である。
また、本発明の積層フィルムのA層における結晶性の熱可塑性樹脂A、及びB層における非晶性の熱可塑性樹脂Bは、一種類であっても複数種類であってもよい。ここで、A層における結晶性の熱可塑性樹脂Aが複数種である場合においては、結晶性の熱可塑性樹脂Aの含有量は、結晶性の熱可塑性樹脂Aに該当する樹脂を合算して算出する。B層における非晶性の熱可塑性樹脂Bについても同様である。
本発明の積層フィルムにおける結晶性の熱可塑性樹脂Aは、結晶性の熱可塑性樹脂であって本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されない。例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリメチルペンテンなど)、脂環族ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66など)、アラミド樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、及びポリエチレン−2,6−ナフタレートなど)、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、フッ素樹脂(4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂など)、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などであって、結晶性のものを用いることができる。
本発明の積層フィルムにおける非晶性の熱可塑性樹脂Bは、非晶性の熱可塑性樹脂であって本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されない。例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリスチレンなど)、脂環族ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、及びポリエチレン−2,6−ナフタレートなど)、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などであって、非晶性のものを用いることができる。
本発明の積層フィルムにおいて、ポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合体をいう。ジカルボン酸成分及びジオール成分は、いずれも単一の成分であっても複数種の成分であってもよい。ここで、ジカルボン酸成分とジオール成分がいずれも単一成分であるポリエステル樹脂をホモポリエステル樹脂、ジカルボン酸成分とジオール成分のいずれかが複数種の成分であるポリエステル樹脂を共重合ポリエステル樹脂という。
本発明におけるホモポリエステル樹脂としては、例えば、前述のポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレン−2,6−ナフタレートの他、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが挙げられる。
本発明における共重合ポリエステル樹脂としては、次に挙げるジカルボン酸成分とジオール成分とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる共重合ポリエステル樹脂であることが好ましい。ジカルボン成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びこれらのエステル誘導体等が挙げられる。ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール等が挙げられる。
本発明の積層フィルムにおいては、フィルムとしたときの強度、耐熱性、及び透明性や、製造コスト、製膜安定性の観点から、結晶性の熱可塑性樹脂Aが、結晶性ポリエステルであり、非晶性の熱可塑性樹脂Bが、非晶性ポリエステルであることが好ましい。さらに、反射性能向上、加熱や経時による光学特性変化の抑制、及び層間での剥離軽減の観点から、結晶性ポリエステルが、結晶性ポリエチレンテレフタレートであり、非晶性ポリエステルが、スピログリコール共重合ポリエチレンテレフタレート、及び/又はシクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、反射性能向上、加熱や経時による光学特性変化の抑制、及び層間での剥離軽減の観点から、スピログリコール共重合ポリエチレンテレフタレートは、全ジオール成分を100mol%としたときに、シクロヘキサンジメタノールの共重合量が12mol%以上30mol%以下であるものが好ましい。また、同様の観点から、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートは、全ジオール成分を100mol%としたときに、シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるものが好ましい。
また、均一な厚みで積層フィルムを製膜することを考慮すると、結晶性の熱可塑性樹脂Aと非晶性の熱可塑性樹脂Bは、両者のガラス転移温度の差が20℃以下である組合せが好ましい。ガラス転移温度の差が20℃より大きい場合には、積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、積層フィルムとしたときの光学特性の安定性が損なわれることがある他、積層フィルムを延伸する際に過延伸が生じることがある。
本発明におけるA層及びB層は、本発明の効果を損なわない限り、巻き特性、剛性、光学特性などの機能を付与するために、コロイダルシリカ、酸化チタン、架橋ポリスチレンなどの粒子を含むことができる。A層又はB層におけるこれらの樹脂や粒子の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、層全体を100質量%としたときに、10質量%以下であることが好ましい。
また、本発明におけるA層及びB層は、本発明の効果を損なわない限り、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などを含有してもよい。
本発明の積層フィルムは、A層とB層の平均屈折率差を大きくする観点から、一軸又は二軸配向フィルムであることが重要である。ここで、一軸又は二軸配向フィルムとは、少なくともA層において分子鎖が一軸又は二軸方向に配向結晶化しているフィルムをいう。フィルムを一軸又は二軸配向フィルムとする方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、一軸又は二軸方向に延伸する方法が挙げられる。
フィルムを一軸又は二軸延伸することにより、結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とするA層は、配向結晶化してその屈折率が上昇する。一方、非晶性の熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層は、一軸又は二軸延伸してもA層のように結晶化しないため、A層ほど屈折率が変化しない。こうして、層間に平均屈折率差が生じ、光線の透過率を調節することができる。より具体的には、延伸倍率を大きくすることにより、層間の平均屈折率差が大きくなるため、光線透過率を低く制御することができる。
また、本発明の積層フィルムは、二軸配向フィルムであることがより好ましい。積層フィルムが一軸配向フィルムであると、分子配向方向と平行に入射する光線のみを反射する偏光フィルムとなり、光線の入射方向により反射ムラが生じることがある。二軸配向フィルムであれば、A層が長手方向と幅方向の両方に配向した結晶構造を取るため、光線の入射方向による反射ムラを軽減させることができる。
本発明の積層フィルムは、A層とB層とが隣接していることが重要である。ここで、A層とB層が隣接するとは、積層フィルム中にA層とB層が直接積層されている構成を少なくとも1箇所有することをいう。
本発明の積層フィルムにおける層構成は、A層とB層とが隣接していれば本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、積層フィルムに位相差を持たせて、干渉反射による反射波長帯域を生じさせる観点から、A層とB層とが周期的に位置することが好ましく、厚み方向に交互に位置することがより好ましい。ここで、A層とB層とが周期的に位置する例としては、A層、B層、A層及びB層に該当しない層(C層)が存在するときに、これらの層が以下の順列で厚み方向に積層されている態様が挙げられる。
CA(BA)n
CA(BA)nC
A(BA)nCA(BA)m
(ABC)n
AはA層、BはB層、CはC層、m及びnは繰り返しの回数を意味する(以後、積層の順列をこの形式で記載する場合において同じ。)
A層とB層とが、厚み方向に交互に位置するとは、積層フィルムがA層とB層のみからなり、A層とB層とが、A(BA)n、A(BA)nB、B(AB)n、又はB(AB)nAのいずれかの順列で厚み方向に積層されている態様、又はこの態様で表される積層フィルムの少なくとも片側の最外層にC層が積層されている態様をいう。
CA(BA)n
CA(BA)nC
A(BA)nCA(BA)m
(ABC)n
AはA層、BはB層、CはC層、m及びnは繰り返しの回数を意味する(以後、積層の順列をこの形式で記載する場合において同じ。)
A層とB層とが、厚み方向に交互に位置するとは、積層フィルムがA層とB層のみからなり、A層とB層とが、A(BA)n、A(BA)nB、B(AB)n、又はB(AB)nAのいずれかの順列で厚み方向に積層されている態様、又はこの態様で表される積層フィルムの少なくとも片側の最外層にC層が積層されている態様をいう。
積層フィルムの少なくとも片側の最外層にC層が積層されている態様の例としては、例えば、積層フィルムの少なくとも片側の最外層に、本発明の効果を阻害しない範囲で、ハードコート層、着色層、易滑層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、紫外線吸収層、印刷層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、及び接着層などの機能性層が存在する態様が挙げられる。
本発明の積層フィルムは、広い反射帯域を確保しつつ製造時の積層ムラを軽減する観点から、A層とB層の合計数が50以上3,000以下であることが重要である。A層とB層の合計数が50未満の場合、十分な反射率及び反射帯域が得られなくなり、それぞれの用途において要求される選択的波長カット性能を満足できないことがある。一方、A層とB層の合計数が3,000を超えると、製造装置の大型化が問題となる他、積層精度の低下やそれに伴う反射ムラが生じることがある。層総数は、反射波長帯域を50nm以上とすること、及び該反射波長帯域における透過率を80%以下とすることを容易とする観点から、200以上3,000以下であることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、UVカット、ブルーライトカット、及び近赤外線(熱線ということもある)カットなどの所望の目的を達成する観点から、帯域幅が50nm以上の反射波長帯域を持つことが重要である。ここで、反射波長帯域とは、波長2nm以上のピッチで連続して透過率が80%以下である波長領域をいう。反射波長帯域が50nm未満であると、反射できる波長域が狭くなるため、所望の目的を達成することが困難になることがある。上記のような所望の目的を達成する観点から、反射波長帯域は70nm以上が好ましく、100nm以上であることがより好ましい。反射波長帯域の上限については、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、所望の目的を達成する観点から1,000nmあれば十分である。
フィルムに帯域幅が50nm以上の反射波長帯域を持たせる方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、層厚みを20nm以上500nm以下の範囲で、より好ましくは30nm以上370nm以下の範囲で、徐々に厚くもしくは薄くする方法が挙げられる。具体的な例としては、図1や図2に示すような態様とする方法が挙げられる。
本発明の積層フィルムにおける反射波長帯域は、50nm以上であって本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、目的とする用途に応じて適宜選択することができる。但し、反射波長帯域が、300〜500nm、又は800〜1,400nmのうち少なくとも一つの帯域にあることが好ましい。積層フィルムの反射波長帯域を300〜500nmとすることにより、近紫外光やブルーライトを反射させることが可能となる。そのため、このような積層フィルムは、UVカットフィルムやブルーライトカットフィルムとして、自動車、建材用の窓ガラスへの組み込み用途や、PC等の画面保護フィルムに好適に用いることができる。また、積層フィルムの反射波長帯域を800〜1,400nmとすることにより、近赤外線を反射させることが可能となる。そのため、このような積層フィルムは、熱線カットフィルムとして、建物の窓ガラスへの組み込み用途に好適に用いることができる。
本発明の積層フィルムにおいては、フィルムが選択的に波長をカットする特徴を備える観点から、反射波長帯域における平均透過率が80%以下であることが重要であり、75%以下であることがより好ましい。
ここで平均透過率とは、フィルム面内の任意の位置において、分光光度計により測定して得られる透過率の中で、反射波長帯域における平均値をいう。また、波長に対して透過率が減少する範囲において透過率が80%以上となる波長閾値を反射波長帯域の低波長端、波長に対して透過率が増加する範囲において透過率が80%以上となる波長閾値を反射波長帯域の高波長端と定義する。
反射波長帯域の平均透過率を80%以下とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差を調節する方法が挙げられる。具体的には、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差を大きくすることにより、平均透過率を下げることができる。
本発明の積層フィルムにおいては、透過率を十分に下げる観点から、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が0.03以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が0.03未満の場合、十分に平均透過率を下げることができない場合がある。
さらに、A層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率の差が0.03以上であり、B層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率の差が0.03以下であると、入射角が大きくなっても、反射ピークの反射率低下が起きないため、より好ましい。
本発明の積層フィルムにおいては、長手方向における透過率のばらつきを軽減する観点から、反射波長帯域における平均透過率の長手方向偏差(σT(max) )が0≦σT(max)≦1.0であることが重要である。また、反射波長帯域のムラを軽減する観点から、反射波長帯域における高波長端の長手方向偏差(σλ(max))が0≦σλ(max)≦15.0であることが重要である。このような態様とすることにより、選択的波長カット性能に優れた積層フィルムを得ることができる。
積層フィルムを、帯域幅が50nm以上の反射波長帯域を持ち、前記反射波長帯域における平均透過率が80%以下であり、前記反射波長帯域における平均透過率の長手方向偏差(σT(max) )が0≦σT(max)≦1.0、かつ前記反射波長帯域における高波長端の長手方向偏差(σλ(max))が0≦σλ(max)≦15.0である積層フィルムを得るために、下記の式(1)及び式(2)に基づいて積層フィルムを設計することができる。
なお、通常フィルムに近紫外線から赤外線波長領域の波長光が照射された場合、一部は透過又は反射せずにフィルムに吸収される。しかしながら、上記例示した熱可塑性樹脂において、近紫外線から赤外線波長領域の波長光に対する吸収率は反射率や透過率に比べて十分に小さいことから、式(2)において吸収率は0%として取り扱うこととする。
式(1) 2×(na・da+nb・db)=λ
式(2) [1−{(na L−nb L)/(na L+nb L)}2]×100=T
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
L:主反射波長λに対応するA層、B層の各層数
T:各波長光の透過率(%)
A層、B層の面内平均屈折率(na、nb)の値は、単膜の配向フィルムを5mm(幅方向)×20mm(長手方向)×0.5mm(厚み方向)の大きさに切り出し、アッベ屈折率計により、該フィルムの温度23℃、波長589nmにおける屈折率を5回測定し、その平均値を算出することにより得られる。
式(1) 2×(na・da+nb・db)=λ
式(2) [1−{(na L−nb L)/(na L+nb L)}2]×100=T
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
L:主反射波長λに対応するA層、B層の各層数
T:各波長光の透過率(%)
A層、B層の面内平均屈折率(na、nb)の値は、単膜の配向フィルムを5mm(幅方向)×20mm(長手方向)×0.5mm(厚み方向)の大きさに切り出し、アッベ屈折率計により、該フィルムの温度23℃、波長589nmにおける屈折率を5回測定し、その平均値を算出することにより得られる。
A層、B層の層厚み(da、db)の値は、ミクロトームを用いてフィルムを厚み方向と平行な面で切断し、その断面を透過型電子顕微鏡で観察して求めることができる。具体的には、RuO4により非晶性の熱可塑性樹脂Bを染色して、透過型電子顕微鏡で40,000倍に拡大観察した断面の画像を撮影し、画像処理ソフトで解析を行う。
次に、画像解析の方法について説明する。先ず、ローパスフィルタ(サイズ:7×7 強さ:10 回数:10)による処理をした後、垂直シックプロファイルモードで位置と輝度の数値データを得る。なお、位置は予め空間較正でスケーリングする。次いで、表計算ソフトにより、この位置と輝度の数値データより6個おきにデータを抽出して、さらに3点移動平均処理を行う。こうして得られた輝度の数値データを位置の数値データで微分し、その微分曲線の極大値と極小値を算出する。そして、隣り合う極大値−極小値の間隔を各層厚みとする。この際、微分曲線のノイズを検出しないように、微分値に対して一定の閾値を設定する。
なお、画像処理ソフトや表計算ソフトは、解析に要する機能を備えているものであれば特に限定されない。画像処理ソフトとしては、例えば、Image−ProPlus ver.4(MediaCybernetics社製)を、表計算ソフトとしては、例えば、“EXCEL”(登録商標)2000(Microsoft社製)を用いることができる。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法を以下に説明する。
本発明の積層フィルムの製造方法は、口金から結晶性の熱可塑性樹脂A及び非晶性の熱可塑性樹脂Bを吐出する工程(工程1)、オーブン内でフィルムの熱可塑性樹脂Aの結晶化、及び熱可塑性樹脂Bの配向緩和を促進する工程(工程2)、及び走行するフィルムの分光波形データを測定する工程(工程3)をこの順に有し、工程3で得られた分光波形データを工程1及び2にフィードバックし、フィルムの反射波長帯域の幅、及び反射波長帯域における平均透過率を制御することを特徴とする。
本発明の積層フィルムの製造方法は、口金から結晶性の熱可塑性樹脂A及び非晶性の熱可塑性樹脂Bを吐出する工程(工程1)、オーブン内でフィルムの熱可塑性樹脂Aの結晶化、及び熱可塑性樹脂Bの配向緩和を促進する工程(工程2)、及び走行するフィルムの分光波形データを測定する工程(工程3)をこの順に有することが重要である。このような態様とすることにより、積層フィルムの製造工程中にリアルタイムで分光波形データを観察することとなるため、積層フィルムの分光波形データの異常を早期に発見することが可能となる。
口金から結晶性の熱可塑性樹脂A及び非晶性の熱可塑性樹脂Bを吐出する工程(工程1)とは、加熱溶融した樹脂を口金から吐出させる工程を、オーブン内でフィルムの熱可塑性樹脂Aの結晶化、及び熱可塑性樹脂Bの配向緩和を促進する工程(工程2)とは、オーブン内で延伸後のフィルムに熱をかけてA層を結晶化させ、B層を配向緩和させる工程を、走行するフィルムの分光波形データを測定する工程(工程3)とは、延伸後のフィルムの分光波形データを測定する工程をいう。
また、分光波形データとは、分光波形より得られるデータをいい、例えば、反射波長帯域、反射波長帯域の低波長端、反射波長帯域の高波長端、各波長における透過率等が挙げられる。
本発明の積層フィルムの製造方法は、工程3で得られた分光波形データを工程1及び2にフィードバックし、フィルムの反射波長帯域の幅、及び反射波長帯域における平均透過率を制御することが重要である。このような態様とすることにより、工程3において検出された分光波形データの異常が即座に工程1及び工程2にフィードバックされ、この異常を解消するために、自動で工程1及び2の条件が調整されることとなる。
本発明の積層フィルムの製造方法において、工程3で得られた分光波形データを工程1及び2にフィードバックし、フィルムの反射波長帯域の幅、及び反射波長帯域における平均透過率を制御する方法については、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。但し、積層フィルムの波長透過率や帯域幅に影響する条件であって、容易に調節可能なものであることから、工程1に関しては、工程1における吐出量を制御することが好ましく、工程2に関しては、工程2におけるオーブン内の温度及び/又は風量を制御することが好ましい。
次に、多層積層押出法による二軸配向積層フィルムを例に挙げて、本発明の積層フィルムの製造方法について詳細に説明するが、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
先ず、結晶性の熱可塑性樹脂Aおよび非晶性の熱可塑性樹脂Bを、ペレットなどの形態で用意する。必要に応じて、ペレットを熱風中あるいは減圧下で乾燥した後、別々の押出機に供給する。
これらの樹脂を融点以上に加熱して溶融させ、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一にして押し出し、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除く。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された結晶性の熱可塑性樹脂Aおよび非晶性の熱可塑性樹脂Bを、多層積層装置に送り込む。多層積層装置としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、マルチマニホールドダイやフィールドブロックを用いることができ、これらを任意に組み合わせても良い。そのフィードブロックの構造は、多数の微細スリットを有する櫛形のスリット板に部材を少なくとも1個有しており、2つの押出機から押し出された樹脂Aと樹脂Bとが、各マニホールドを経由して、スリット板に導入される。ここでは導入板を介して、樹脂Aと樹脂Bが選択的に交互にスリットに流入するため、最終的にはA/B/A/B/A・・・といった多層膜を形成することができる。また、スリット板をさらに重ね合わせることにより、層数を増やすことも可能である。また、両表層部に樹脂Cを設ける場合は、3つ目の押出機から樹脂Cを3層複合装置(フィードブロック)の表層側に導入し、中央層に多層膜を導入することによって、C/A/B/A・・・A/B/A/Cといった多層膜を形成することができる。
このようにして多層積層した溶融体を、スリット間隙が調整可能なTダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する(工程1に相当)。Tダイスリット間隙の調整方式は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、例えば、Tダイスリット間隙調整用ボルトの熱膨張を利用してTダイスリット間隙を変化させる方式や、またモーター等を利用してTダイスリット間隙調整用ボルトを正転あるいは反転させることで機械的に調整する方式が好ましく使用される。
そして、押し出した溶融体をキャスティングドラムで冷却してシートにして、無配向積層フィルムを得る。この工程においては、キャスティングドラムに溶融体を密着させることが重要となるが、その方法としては例えば、ワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設ける方法、及びキャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点−20℃以上ガラス転移点以下にして溶融体を密着させる方法等が挙げられる。これらの方法は、単独で用いることも組み合わせて用いることも可能であるが、中でも、結晶性の熱可塑性樹脂A及び非晶性の熱可塑性樹脂Bが共にポリエステルである場合は、積層フィルムの生産性や平面性の観点から、静電印加する方法を用いることが好ましい。
次いで、得られた無配向積層フィルムを、長手方向及び/又は幅方向に延伸して、一軸又は二軸配向積層フィルムを得る。無配向積層フィルムの延伸方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、長手方向又は幅方向のいずれかに延伸する一軸延伸法、長手方向及び幅方向に延伸する二軸延伸法のいずれも用いることができる。また、二軸延伸法については、一方向に延伸した後にもう一方向に延伸する逐次二軸延伸法であっても、長手方向及び幅方向へほぼ同時に延伸する同時二軸延伸法のいずれであってもよい。また、延伸は各方向に対して複数回行ってもよい。
また、延伸方向及び倍率、延伸速度、及び延伸温度は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、使用する結晶性の熱可塑性樹脂A、非晶性の熱可塑性樹脂Bの種類に応じて適宜選択することができる。
例えば、結晶性の熱可塑性樹脂Aとしてポリエチレンテレフタレート、非晶性の熱可塑性樹脂Bとしてスピログリコール共重合ポリエチレンテレフタレートを用いる場合において、延伸方向及び倍率については、いずれかの方向に、またはそれぞれの方向に1.0〜4.0倍に延伸することが好ましく、2.0〜3.8倍に延伸することがより好ましく、2.7〜3.4倍に延伸することがさらに好ましい。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが好ましい。延伸温度は、一軸延伸であるか二軸延伸であるかを問わず、ガラス転移点以上ガラス転移点+50℃以下であることが好ましく、90〜130℃であることがより好ましい。二軸延伸である場合は、長手方向の延伸温度を100〜120℃、幅方向の延伸温度を90〜110℃とするのが特に好ましい。
さらに、延伸工程の前で、インク印刷層や接着剤、蒸着層との接着力を向上させるため、積層フィルムの少なくとも片面にコロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を行うことや、易滑性、易接着性、帯電防止性などを有するコーティング層を設けることも可能である。コーティング層を設けるときの塗工液はロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、バーコーター、ダイコーター、ディップコーター等の公知の塗工手段を用いて、積層フィルムに塗布することができる。
延伸の後に、フィルムの熱処理をオーブン中で行う(工程2に相当)。この熱処理は、120℃以上、結晶性の熱可塑性樹脂Aの融点以下の温度で行うことができる。例えば、結晶性の熱可塑性樹脂Aとしてポリエチレンテレフタレートを用いる場合においては、積層フィルムの透明性や寸法安定性を保持する観点から、熱処理は200〜240℃の温度で行うのが好ましく、210〜235℃の温度で行うのがより好ましい。また、熱処理時間は積層フィルムの機械特性を悪化させない範囲において任意に選択することができるが、積層フィルム内の熱伝導の観点から、1秒以上60秒以下であることが好ましく、1秒以上30秒以下であることがより好ましい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。オーブンは、延伸工程から巻取工程の間の任意の箇所であればどこに設置してもよいが、積層フィルムを幅方向に延伸する場合は、横延伸機(テンター装置)内部の延伸ゾーンの後に設置することが好ましい。なお、この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理工程に入る直前及び/又は直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。
その後、熱処理された積層フィルムを均一に徐冷して、室温まで冷やして巻き取る。また、必要に応じて、熱処理後の徐冷の際に、長手方向及び/又は幅方向に弛緩処理を行っても良い。
熱処理後の積層フィルムを冷却終了後から巻き取るまでの工程中に設置したインライン分光測定装置により、走行している積層フィルムの分光波形データを製膜オンラインで測定する(工程3に相当)。インライン分光測定装置は積層フィルムの幅方向で2点以上、かつ同時にフィルムの分光波形データを測定し、その分光波形データを、工程1に用いるTダイスリット間隙制御装置、及び工程2で用いる熱処理装置における温度制御装置へ送信する。Tダイスリット間隙制御装置は、Tダイスリット間隙を変化させることでTダイの幅方向の吐出量分布を制御する。また、熱処理装置における温度制御装置は、オーブン内のノズル温度や風量を制御することができる。
走行している積層フィルムの分光波形データを製膜オンラインで測定する工程について詳細に説明する。インライン分光測定装置は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではなく、透過型分光光度計や反射型分光光度計を使用することができる。特に、走行するフィルムを挟み込むように投光部と受光部を設置できる透過型分光光度計は、省スペースの点や幅方向の測定ピッチが増やせる点からより好ましい。フィルム幅方向の分光波形データの測定点は2点以上であることが好ましく、測定ピッチは200mm以下であることがより好ましい。幅方向の測定タイミングは同時であることが好ましい。また、長手方向の測定ピッチは連続的であることが好ましく、200mm以下であることがより好ましい。
インライン分光測定装置の一例について、図3を用いて説明する。インライン分光測定装置は、通常、シャッター内臓光源13、プラスチックス製投光ファイバー14、投光レンズ15、受光レンズ16、石英製受光ファイバー17、ライン分光器18、CCDイメージセンサ19、及び制御PC20を備える。
上記のインライン分光測定装置による分光波形データの測定手順は以下のとおりである。先ず、シャッター内臓光源13が発する光をプラスチックス製投光ファイバー14により投光レンズ15に導き、投光レンズ15より走行中のフィルムに光を照射し、その透過光を受光レンズ16及び石英製受光ファイバー17を介してライン分光器18に導く。次いで、ライン分光器18にて透過光を分光してCCDイメージセンサ19に導き、分光波形データを制御PC20にて表示させる。
次に、測定した分光波形データをフィードバックし、分光波形データを制御する工程について説明する。幅方向及び長手方向について測定した分光波形データをフィードバックする工程は、前記式(1)、式(2)に記載の通り、各層の面内平均屈折率、及び厚みの変化を生じさせることが可能な工程である必要があり、それらに対する影響が大きい、かつ制御が比較的容易な工程が、それぞれTダイからの吐出工程、及び/又は延伸後の熱処理工程となる。
分光波形データのフィードバック方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えばTダイスリット間隙変化量におけるフィルム総厚み変化量と、分光波形データにおける反射波長帯域の高/低波長端波長変化量の関係を算出し、その算出式に基づきTダイスリット間隙を調整することが好ましい。また、延伸後の熱処理温度変化量と、分光波形データにおける反射波長帯域の平均透過率変化量の関係を算出し、その算出式に基づきオーブン内のノズル温度や、インバーターの周波数を調整することが好ましい。
Tダイスリット間隙制御機構、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、Tダイスリット間隙調整用ボルトの熱膨張を利用してTダイスリット間隙を変化させる方式や、またモーター等を利用してTダイスリット間隙調整用ボルトを正転あるいは反転させることで機械的に調整する方式が好ましく使用される。
Tダイスリット間隙制御機構が熱膨張を利用するものである場合、調整用ボルトに与える熱量とTダイスリット間隙変化量の関係より、調整用ボルトに与える熱量を変化させることが好ましい。また、色調測定箇所とTダイスリット間隙調整用ボルトの位置情報は、例えば複数のTダイスリット間隙調整ボルトへ与える熱量を任意に変化させ、その際得られた幅方向色調分布データの変化より、分光波形データの測定箇所に対応する調整用ボルト位置を割り付ける方法である。
また、延伸後の熱処理温度制御機構は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、オーブン内のノズルより噴射される熱風の温度や、熱風の風量や風速をインバーターの周波数により制御する方式が好ましく使用される。
本発明における積層フィルムは、ポリマーで構成され、金属や重金属などを基本的には含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。また、真空成形、真空・圧空成形、プラグアシスト真空・圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成形法が適用できるため、低コストで立体形状を形成するものとすることが可能である。
成形方法は、特に限定されるものではなく、一般に公知の成形方法、例えば、真空成形法、真空・圧空成形法、ブロー(吹き込み)成形法、プレス成形法、インサートインジェクション成形法、インモールド(金型内)成形法、押し出し成形法等で成形することができる。真空成形法および真空・圧空成形法とは、まず熱可塑性樹脂基材の全面または一部に成形加工用粘着シートを貼付しておき、この積層体を成形機の所定の位置に設置し、加熱軟化させ、木型または金型を下から送り込み、減圧して型に密着させ(真空成形法)、または一方向から減圧すると共に反対側から圧縮空気で押して型に密着させ(真空・圧空成形法)、成形体を冷却後に型からはずして成形体を得る成形法である。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定し、原料は以下に記載のものを使用した。
<測定方法>
(1)分光波形データ
ライン分光器には多点同時測定が可能であるマルチチャンネル分光光度計(大塚電子製:MCPD−9800、測定可能波長範囲220〜1,600nm、波長分解能2nm)を使用した。また、分光波形データの測定は二軸配向フィルムが室温まで徐冷されてから巻き取るまでの間に行った。
(1)分光波形データ
ライン分光器には多点同時測定が可能であるマルチチャンネル分光光度計(大塚電子製:MCPD−9800、測定可能波長範囲220〜1,600nm、波長分解能2nm)を使用した。また、分光波形データの測定は二軸配向フィルムが室温まで徐冷されてから巻き取るまでの間に行った。
分光波形データの測定に際しては、先ず、2点以上に分岐されたプラスチックス製投光ファイバーおよび投光レンズを介して、積層フィルムの任意の位置に、シャッター内臓光源(モリテックス社製、型式:MHAA−100W−650−SO)から発せられる光を当て、その透過光を受光レンズおよび石英製受光ファイバーを介してライン分光器に導いた。次いで、ライン分光器で透過光を分光してCCDイメージセンサに導き、測定位置ごとの分光波形データを測定した。
投光レンズおよび受光レンズは、フィルム幅方向に100mm毎に配置した。また、フィルム長手方向の測定ピッチも100mm毎となるようにCCDイメージセンサのシャッタースピードを設定した。例えば、フィルムの搬送速度が50m/分であれば、CCDイメージセンサのシャッタースピードは0.12秒とした。
製造する積層フィルムのサイズは100,000m(長手方向)×2,000mm(幅方向)とし、長手方向及び幅方向のフィルム分光波形データは、いずれも100mm毎に同時に測定した。測定する分光波形データの波長範囲は300〜1,600nmとした。
波長2nm以上のピッチで連続して透過率が80%以下である波長領域を反射波長帯域とし、波長に対して透過率が減少する範囲において透過率が80%以上となる波長閾値を反射波長帯域の低波長端、波長に対して透過率が増加する範囲において透過率が80%以上となる波長閾値を反射波長帯域の高波長端とした。また、反射波長帯域が測定波長範囲(300〜1,600nm)近傍に存在し、測定波長の上限や下限で80%以上とならない場合は、測定波長の上限や下限を、それぞれ高/低波長端とみなした。
(2)選択的波長カット性能の安定性
100,000m(長手方向)×2,000mm(幅方向)の積層フィルムにおいて、(1)分光波形データの項に示すように100mm間隔でフィルム幅方向と平行に設置した投光レンズおよび受光レンズの位置において、フィルムが長手方向に100mm走行するごとに分光波形データを測定し、その反射波長帯域の平均透過率及び標準偏差を算出し、平均透過率の偏差が最大となるものをσT(max)とした。また、フィルム幅方向の測定位置におけるそれぞれのフィルム長手方向の反射波長帯域の高波長端の平均値及び標準偏差を算出し、高波長端の偏差が最大となるものをσλ(max)とした。σT(max)、σλ(max)を用いて、以下の基準により、選択的波長カット性能の安定性を評価した。
A:0≦σT(max)≦1.0、0≦σλ(max)≦15.0ともに満たす場合。
B:0≦σT(max)≦1.0、0≦σλ(max)≦15.0いずれかを満たさない場合。
C:0≦σT(max)≦1.0、0≦σλ(max)≦15.0ともに満たさない場合。
100,000m(長手方向)×2,000mm(幅方向)の積層フィルムにおいて、(1)分光波形データの項に示すように100mm間隔でフィルム幅方向と平行に設置した投光レンズおよび受光レンズの位置において、フィルムが長手方向に100mm走行するごとに分光波形データを測定し、その反射波長帯域の平均透過率及び標準偏差を算出し、平均透過率の偏差が最大となるものをσT(max)とした。また、フィルム幅方向の測定位置におけるそれぞれのフィルム長手方向の反射波長帯域の高波長端の平均値及び標準偏差を算出し、高波長端の偏差が最大となるものをσλ(max)とした。σT(max)、σλ(max)を用いて、以下の基準により、選択的波長カット性能の安定性を評価した。
A:0≦σT(max)≦1.0、0≦σλ(max)≦15.0ともに満たす場合。
B:0≦σT(max)≦1.0、0≦σλ(max)≦15.0いずれかを満たさない場合。
C:0≦σT(max)≦1.0、0≦σλ(max)≦15.0ともに満たさない場合。
(3)フィルム面内における反射波長帯域の平均透過率
100,000m(長手方向)×2,000mm(幅方向)の積層フィルムにおいて、全ての測定位置における反射波長帯域の平均透過率の平均値を算出し、T(ave)とした。
100,000m(長手方向)×2,000mm(幅方向)の積層フィルムにおいて、全ての測定位置における反射波長帯域の平均透過率の平均値を算出し、T(ave)とした。
(4)積層フィルム全体厚み
得られた積層フィルムについて、ソニー・プレシジョン・テクノロジー株式会社製のデジタルマイクロメーターμメイトM−30を用いて、任意の10点のフィルム厚みを測定し、その平均値を積層フィルム全体厚みとした。また、前記10点の標準偏差と、最大値と最小値の差(以下、R値)を算出した。
得られた積層フィルムについて、ソニー・プレシジョン・テクノロジー株式会社製のデジタルマイクロメーターμメイトM−30を用いて、任意の10点のフィルム厚みを測定し、その平均値を積層フィルム全体厚みとした。また、前記10点の標準偏差と、最大値と最小値の差(以下、R値)を算出した。
(5)微小吸熱ピーク(T−meta)
JIS K7121−1987に従って、示差走査熱量計として、セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、サンプル試料5mgをアルミニウム製受皿上、25℃から300℃まで、昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピーク温度を融点(Tm)、Tmより低温側でTm近傍にある(150℃以上Tm以下)微小吸熱ピークをT−metaとした。T−metaはA層及びB層の屈折率差を制御するためのパラメータである熱固定温度に対応する熱履歴となる。T−metaはDSCのファーストランで観測され、一度Tm以上に昇温し熱履歴を消したセカンドランでは観測されないことから確認できる。T−metaは任意のフィルム位置から10点測定し、平均値、R値、標準偏差を算出した。
JIS K7121−1987に従って、示差走査熱量計として、セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、サンプル試料5mgをアルミニウム製受皿上、25℃から300℃まで、昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピーク温度を融点(Tm)、Tmより低温側でTm近傍にある(150℃以上Tm以下)微小吸熱ピークをT−metaとした。T−metaはA層及びB層の屈折率差を制御するためのパラメータである熱固定温度に対応する熱履歴となる。T−metaはDSCのファーストランで観測され、一度Tm以上に昇温し熱履歴を消したセカンドランでは観測されないことから確認できる。T−metaは任意のフィルム位置から10点測定し、平均値、R値、標準偏差を算出した。
<原料>
(樹脂A)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール60質量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行った。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020質量部を添加した後、重縮合反応槽に移行した。さらに、加熱昇温しながら反応系を除々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、固有粘度(IV)0.63のポリエチレンテレフタレートを得た。これを樹脂Aとした。
(樹脂A)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール60質量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行った。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020質量部を添加した後、重縮合反応槽に移行した。さらに、加熱昇温しながら反応系を除々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、固有粘度(IV)0.63のポリエチレンテレフタレートを得た。これを樹脂Aとした。
(樹脂B−1)
固有粘度(IV)0.55のスピログリコール(SPG)21mol%、及びシクロヘキサンジカルボン酸(CHDC)24mol%を共重合することで得た共重合ポリエチレンテレフタレートと、樹脂Aを85:15の質量比率で混合したブレンド樹脂。
固有粘度(IV)0.55のスピログリコール(SPG)21mol%、及びシクロヘキサンジカルボン酸(CHDC)24mol%を共重合することで得た共重合ポリエチレンテレフタレートと、樹脂Aを85:15の質量比率で混合したブレンド樹脂。
(樹脂B−2)
GN001[イーストマンケミカル製 1,4−シクロヘキサンジメタノールがグリコール成分に対し30mol%共重合された共重合ポリエステル]と、樹脂Aを51:49の質量比率で混合したブレンド樹脂。
GN001[イーストマンケミカル製 1,4−シクロヘキサンジメタノールがグリコール成分に対し30mol%共重合された共重合ポリエステル]と、樹脂Aを51:49の質量比率で混合したブレンド樹脂。
(樹脂B−3)
GN001[イーストマンケミカル製 1,4−シクロヘキサンジメタノールがグリコール成分に対し30mol%共重合された共重合ポリエステル]と、樹脂Aを62:38の質量比率で混合したブレンド樹脂。
GN001[イーストマンケミカル製 1,4−シクロヘキサンジメタノールがグリコール成分に対し30mol%共重合された共重合ポリエステル]と、樹脂Aを62:38の質量比率で混合したブレンド樹脂。
(実施例1)
樹脂Aおよび樹脂B−1を、各々別のベント付き二軸押出機で、樹脂Aは280℃で、樹脂Bは295℃で溶融状態とした。溶融状態の各樹脂は、個別のギヤポンプ及びフィルターを介して、225個のスリットを有する部材を別個に2個有する549層のフィードブロックにて合流させた。なお、両表層部分は樹脂Aとなり、樹脂Aと樹脂B−1が交互に積層され、かつ隣接するA層とB層の層厚みは、ギヤポンプにて体積吐出比が樹脂A/樹脂B−1=1.1/1になるように計量しながら、設定した。つづいて、スリット間隙が調整可能なTダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、無配向フィルムを得た。
樹脂Aおよび樹脂B−1を、各々別のベント付き二軸押出機で、樹脂Aは280℃で、樹脂Bは295℃で溶融状態とした。溶融状態の各樹脂は、個別のギヤポンプ及びフィルターを介して、225個のスリットを有する部材を別個に2個有する549層のフィードブロックにて合流させた。なお、両表層部分は樹脂Aとなり、樹脂Aと樹脂B−1が交互に積層され、かつ隣接するA層とB層の層厚みは、ギヤポンプにて体積吐出比が樹脂A/樹脂B−1=1.1/1になるように計量しながら、設定した。つづいて、スリット間隙が調整可能なTダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、無配向フィルムを得た。
得られた無配向キャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。両面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
こうして得られた一軸配向フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.5倍延伸し、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷して二軸配向フィルムを得た。
得られた二軸配向フィルムを巻き取る直前にインライン分光測定装置で分光波形データを測定した。インライン分光測定装置の投光レンズおよび受光レンズは、フィルム幅方向に100mm毎に全26台配置した。フィルム流れ方向、つまり長手方向の測定ピッチも100mm毎となるようにCCDイメージセンサのシャッタースピードを設定した。分光光度計は、透過型分光光度計を用いた。
測定した分光波形データを、二軸延伸後の熱処理温度制御装置へ送信し、オーブン内のノズルより噴射される熱風について、インバーターの周波数を制御した。また、同様に分光波形データを、Tダイスリット間隙制御装置へ送信し、Tダイスリット間隙調整用ボルトの熱膨張を利用してTダイスリット間隙を調整し、Tダイの吐出量を制御しつつ、長さ100,000m、幅2,000mmのフィルムを製造した。なお、この積層フィルムの製造工程の概略図を図3に示す。
得られた積層フィルムにおけるA層とB層の層厚み分布を図1に、当該積層フィルムの構成及び特性を表1にそれぞれ示す。得られた積層フィルムは、300〜428nmのUV波長領域を全長にわたって安定的にカットできるUVカットフィルムであった。
(実施例2)
実施例1の樹脂B−1をB−2に変更し、ライン速度を変更することで厚みを調整する以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。結果として、330〜470nmの青色波長領域を全長にわたって安定的にカットできるブルーライトカットフィルムを得た。
実施例1の樹脂B−1をB−2に変更し、ライン速度を変更することで厚みを調整する以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。結果として、330〜470nmの青色波長領域を全長にわたって安定的にカットできるブルーライトカットフィルムを得た。
(実施例3)
実施例1において、ライン速度を変更することで厚みを調整する以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。結果として、815〜1,230nmの近赤外波長領域を全長にわたって安定的にカットできる熱線カットフィルムを得た。
実施例1において、ライン速度を変更することで厚みを調整する以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。結果として、815〜1,230nmの近赤外波長領域を全長にわたって安定的にカットできる熱線カットフィルムを得た。
(実施例4)
実施例1の樹脂B−1をB−3に変更し、フィードブロックのスリットを201個有するスリット板を4個有する801層と ライン速度を変更することで厚みを調整する以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムにおけるA層とB層の層厚み分布を図2に、当該積層フィルムの構成及び特性を表1にそれぞれ示す。結果として、330〜1,100nmの可視光波長領域を全長にわたって安定的にカットできる金属調加飾フィルムを得た。
実施例1の樹脂B−1をB−3に変更し、フィードブロックのスリットを201個有するスリット板を4個有する801層と ライン速度を変更することで厚みを調整する以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムにおけるA層とB層の層厚み分布を図2に、当該積層フィルムの構成及び特性を表1にそれぞれ示す。結果として、330〜1,100nmの可視光波長領域を全長にわたって安定的にカットできる金属調加飾フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1において、延伸後の熱処理温度制御による分光波形データのフィードバックを実施しない以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。実施例1に比べ、UV波長領域の波長透過率の偏差が大きく、安定性に劣るUVカットフィルムを得た。
実施例1において、延伸後の熱処理温度制御による分光波形データのフィードバックを実施しない以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。実施例1に比べ、UV波長領域の波長透過率の偏差が大きく、安定性に劣るUVカットフィルムを得た。
(比較例2)
実施例1において、Tダイスリット間隙制御による分光波形データのフィードバックを実施しない以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。実施例1に比べ、UV波長領域の波長帯域の偏差が大きく、安定性に劣るものであった。
実施例1において、Tダイスリット間隙制御による分光波形データのフィードバックを実施しない以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。実施例1に比べ、UV波長領域の波長帯域の偏差が大きく、安定性に劣るものであった。
(比較例3)
実施例1において、延伸後の熱処理温度制御、及びTダイスリット間隙制御による分光波形データのフィードバックを実施しない以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。実施例1に比べ、UV波長領域の波長透過率、及び波長帯域の偏差が大きく、安定性に劣るものであった。
実施例1において、延伸後の熱処理温度制御、及びTダイスリット間隙制御による分光波形データのフィードバックを実施しない以外は実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。実施例1に比べ、UV波長領域の波長透過率、及び波長帯域の偏差が大きく、安定性に劣るものであった。
(比較例4)
実施例2において、延伸後の熱処理温度制御、及びTダイスリット間隙制御による分光波形データのフィードバックを実施しない以外は実施例2と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。実施例2に比べ、ブルーライト波長領域の波長透過率、及び波長帯域の偏差が大きく、安定性に劣るものであった。
実施例2において、延伸後の熱処理温度制御、及びTダイスリット間隙制御による分光波形データのフィードバックを実施しない以外は実施例2と同様にして、積層フィルムを得た。この積層フィルムの構成及び特性を表1に示す。実施例2に比べ、ブルーライト波長領域の波長透過率、及び波長帯域の偏差が大きく、安定性に劣るものであった。
本発明により、フィルム長手方向の選択的波長カット性能の安定性に優れた積層フィルムを安定かつ大量に提供することができる。例えば、建材、自動車部品、画面保護フィルムなどに好適に用いることができる。
1:層番号
2:層厚み
3:A層の層厚み分布
4:B層の層厚み分布
5:押出機
6:Tダイ
7:キャスティングドラム
8:縦延伸装置
9:横延伸装置
10:熱処理装置
11:搬送工程
12:巻取工程
13:シャッター内臓光源
14:プラスチックス製投光ファイバー
15:投光レンズ
16:受光レンズ
17:石英製受光ファイバー
18:ライン分光器
19:CCDイメージセンサ
20:制御PC
21:インライン分光測定装置
2:層厚み
3:A層の層厚み分布
4:B層の層厚み分布
5:押出機
6:Tダイ
7:キャスティングドラム
8:縦延伸装置
9:横延伸装置
10:熱処理装置
11:搬送工程
12:巻取工程
13:シャッター内臓光源
14:プラスチックス製投光ファイバー
15:投光レンズ
16:受光レンズ
17:石英製受光ファイバー
18:ライン分光器
19:CCDイメージセンサ
20:制御PC
21:インライン分光測定装置
Claims (9)
- 結晶性の熱可塑性樹脂Aを主成分とする層(A層)と、非晶性の熱可塑性樹脂Bを主成分とする層(B層)とを有する一軸又は二軸配向フィルムであって、
前記A層と前記B層とが隣接しており、A層とB層の合計数が50以上3,000以下であり、
帯域幅が50nm以上の反射波長帯域を持ち、
前記反射波長帯域における平均透過率が80%以下であり、
前記反射波長帯域における平均透過率の長手方向偏差(σT(max) )が0≦σT(max)≦1.0、かつ前記反射波長帯域における高波長端の長手方向偏差(σλ(max))が0≦σλ(max)≦15.0であることを特徴とする、積層フィルム。 - 前記結晶性の熱可塑性樹脂Aが、結晶性ポリエステルであり、前記非晶性の熱可塑性樹脂Bが、非晶性ポリエステルであることを特徴とする、請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記結晶性ポリエステルが、結晶性ポリエチレンテレフタレートであり、前記非晶性ポリエステルが、スピログリコール共重合ポリエチレンテレフタレート、及び/又はシクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする、請求項2に記載の積層フィルム。
- 前記A層と前記B層とが、厚み方向に交互に位置することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 二軸配向フィルムであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記反射波長帯域が、300〜500nm、又は800〜1,400nmのうち少なくとも一つの帯域にあることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法であって、口金から結晶性の熱可塑性樹脂A及び非晶性の熱可塑性樹脂Bを吐出する工程(工程1)、オーブン内でフィルムの熱可塑性樹脂Aの結晶化、及び熱可塑性樹脂Bの配向緩和を促進する工程(工程2)、及び走行するフィルムの分光波形データを測定する工程(工程3)をこの順に有し、
工程3で得られた分光波形データを工程1及び2にフィードバックし、フィルムの反射波長帯域の幅、及び反射波長帯域における平均透過率を制御することを特徴とする、積層フィルムの製造方法。 - 工程1における吐出量を制御することを特徴とする、請求項7に記載の積層フィルムの製造方法。
- 工程2におけるオーブン内の温度及び/又は風量を制御することを特徴とする、請求項7又は8に記載の積層フィルムの製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016013132 | 2016-01-27 | ||
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017012233A Pending JP2017132255A (ja) | 2016-01-27 | 2017-01-26 | 積層フィルムおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017132255A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021504761A (ja) * | 2017-12-01 | 2021-02-15 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 均一な左帯域端を有する薄い多層反射体 |
WO2024062961A1 (ja) * | 2022-09-21 | 2024-03-28 | 東レ株式会社 | フィルムおよびその製造方法、積層構成体、合わせガラス、自動車 |
-
2017
- 2017-01-26 JP JP2017012233A patent/JP2017132255A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021504761A (ja) * | 2017-12-01 | 2021-02-15 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 均一な左帯域端を有する薄い多層反射体 |
WO2024062961A1 (ja) * | 2022-09-21 | 2024-03-28 | 東レ株式会社 | フィルムおよびその製造方法、積層構成体、合わせガラス、自動車 |
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