JP2008114587A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、ある波長の光を反射することが可能な積層フィルムに、粒子を用いることなくフィルム製膜工程上でマット感を付与し、意匠性、ハンドリング性や装飾時のインク密着性、層間密着性、成形性に優れた積層フィルムを提供することを課題とする。また、環境負荷が小さく、リサイクル性に優れ、電磁波障害を起こさない成形体を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明の積層フィルムは少なくとも樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層を含んでなる積層フィルムであって、明度LSCE *20以上、相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有し、かつ、A層が非晶もしくは融点240度未満の熱可塑性樹脂からなり、B層が融点200℃以上290℃以下の樹脂であり、少なくとも片面の樹脂層が樹脂Aからなる層であり、該面(A面)の平均粗さRaが50nm以上であることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明の積層フィルムは少なくとも樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層を含んでなる積層フィルムであって、明度LSCE *20以上、相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有し、かつ、A層が非晶もしくは融点240度未満の熱可塑性樹脂からなり、B層が融点200℃以上290℃以下の樹脂であり、少なくとも片面の樹脂層が樹脂Aからなる層であり、該面(A面)の平均粗さRaが50nm以上であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、少なくとも片面がマット調の外観を有する積層フィルムおよびそれを用いた成形体に関するものである。
従来、光沢感とマット感を併せ持つ積層フィルムは、種々提案されており、例えば、樹脂フィルムの一面に蒸着スパッタリングなどの方法で薄い金属蒸着層を形成し、ヘアライン加工やスピン加工などのスクラッチ加工を施したものが知られており(例えば特許文献1〜4参照)、主に化粧材として自動車関係の部品をはじめとして各種家電機器、建築部材などの製品(部品)などの各種用途で使用されている。しかしながら、加工面に金属蒸着品を形成する方法では、樹脂フィルムと金属蒸着層との密着性が劣る、金属層を有するためにリサイクルが困難であるという問題があった。また、金属層のために電磁波シールド性が発生するため、自動車や携帯電話、家電製品などの加飾材料として用いると、電磁波傷害を生じたりする場合があり問題となりつつある。
一方、金属を用いずに光沢感を有する積層フィルムも種々提案されており、例えば、屈折率の異なる樹脂層を交互に積層することにより選択的に特定の波長を反射するフィルム(例えば特許文献5、6参照)が知られている。選択的に特定の波長を反射するフィルムは、偽造防止用ホログラムや液晶ディスプレイなどのバックライト用リフレクターなどに利用されている。また、樹脂に粒子を加えることで、マット感を有する装飾材料としても利用されている。しかしながら、この選択的に特定の波長を反射するフィルムに粒子添加を行うことでマット感をもたせたフィルムは、粒子添加量によってマット感を制御するため、マット感を強めるためには粒子添加量を増加させる必要があり、ハンドリング性や装飾加工時にインク密着性が悪化し、層間剥離が生じやすいという問題があった。
特開平10−15987号公報
特開平8−216334号公報
特開平17−145030号公報
特開平7−34227号公報
特開平4−295804号公報
特開平9−506837号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、ある波長の光を反射することが可能な積層フィルムに、粒子を用いることなくフィルム製膜工程上でマット感を付与し、意匠性、ハンドリング性や装飾時のインク密着性、層間密着性、成形性に優れた積層フィルムを提供することを課題とする。また、環境負荷が小さく、リサイクル性に優れ、電磁波障害を起こさない成形体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の積層フィルムは、少なくとも樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層を含んでなる積層フィルムであって、明度LSCE *20以上、相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有し、かつ、A層が非晶もしくは融点240度未満の熱可塑性樹脂からなり、B層が融点200℃以上290以下の樹脂であり、少なくとも片面の樹脂層が樹脂Aからなる層であり、該面(A面)の平均粗さRaが50nm以上であることを特徴とする。
本発明の積層フィルムは、少なくとも樹脂Aからなる層(A層)と、樹脂Bからなる層(B層)を含んでなる積層フィルムであって、明度LSCE *20以上、相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有し、かつ、A層が非晶もしくは融点240度未満の熱可塑性樹脂からなり、B層が融点200℃以上290℃以下の樹脂であり、少なくとも片面の樹脂層が樹脂Aからなる層であり、該面(A面)の平均粗さRaが50nm以上であることを特徴とするので、粒子を用いる事なく、フィルム製膜工程上でマット感を付与し、ハンドリング性、成形性、層間密着性に優れ、電磁波障害を起こさない積層フィルムを提供することができた。
また、B層に染料、または顔料を含むことで、より意匠性に優れた積層フィルムをも提供することができた。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、少なくとも樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を含んでなる積層フィルムであって、明度LSCE *20以上、相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つゆうし、かつ、A層が非晶もしくは融点240度未満の熱可塑性樹脂からなり、B層が融点200℃以上290℃以下の樹脂であり少なくとも片面の樹脂層が樹脂Aからなる層であり、該面(A面)の平均粗さRaが50nm以上でなければならない。このようなフィルムは、粒子等を用いることなく、フィルム製膜工程上でマット感を付与することが可能となり、ハンドリング性、成形性、層間密着性に優れるものである。
本発明の積層フィルムは、少なくとも樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)を含んでなる積層フィルムであって、明度LSCE *20以上、相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つゆうし、かつ、A層が非晶もしくは融点240度未満の熱可塑性樹脂からなり、B層が融点200℃以上290℃以下の樹脂であり少なくとも片面の樹脂層が樹脂Aからなる層であり、該面(A面)の平均粗さRaが50nm以上でなければならない。このようなフィルムは、粒子等を用いることなく、フィルム製膜工程上でマット感を付与することが可能となり、ハンドリング性、成形性、層間密着性に優れるものである。
本発明でいう明度LSCE *とは、正反射光を除き、拡散反射光のみで測定した際の明度であり、20以上であることが重要である。より好ましくは30以上であり、さらに好ましくは40以上である。明度LSCE *が40以上の場合、相対反射率が高く、かつ、拡散性が高いことからマット感を有し、意匠性の高い積層フィルムとなるため、特に好ましいものである。
また、本発明の積層フィルムは、相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも一つ有していることが重要である。より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。相対反射率が80%以上であると、光沢度の高い積層フィルムとなるため、特に好ましいものである。
また、本発明の積層フィルムはA層が、非晶もしくは融点240度未満の熱可塑性樹脂であることが重要である。たとえば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレンなどのポリオレフィン樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、または共重合ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。この中で、強度・透明性の観点から、特にポリエステルであることがより好ましい。またこれらの熱可塑性樹脂としてはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。
本発明のA層の熱可塑性樹脂としては、共重合ポリエステルがより好ましい。共重合ポリエステルとは、次にあげるジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体のことと定義される。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4‘−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル融合対などが挙げられる。グリコール骨格成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
本発明のB層は、融点200℃以上290℃以下であることが好ましい。より好ましくは220℃以上280℃以下、さらに好ましくは240℃以上270℃以下である。融点が熱処理温度以上のものを用いることにより、熱処理過程でのB層の融解が抑制されるため好ましいものである。A層との層間密着性、強度、耐溶剤性の観点から、特にポリエステルであることが好ましい。ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニレートなどが代表的な物である。特にポリエチレンテレフタレートは安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ、好ましい。また、樹脂中には、各種添加剤、例えば、顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
本発明の積層フィルムは、少なくとも片面の樹脂層がA層であることが重要である。A層は非晶または融点240度未満の熱可塑性樹脂であることから、フィルム製膜工程において、熱処理を行うことにより、A層の樹脂が融解し再結晶化することでマット調の外観を付与することが可能となる。熱処理温度は、好ましくは220度以上250度未満であり、より好ましくは230度以上240度未満である。熱処理温度が220度未満ではA層の樹脂融解が進まず、マット調を付与することが困難となる。また、熱処理温度が250度以上の場合B層の樹脂までが融解するおそれがあり、かつ、フィルム延伸ムラが生じ、平面性を損なうおそれがあるため好ましくない。
また、本発明の積層フィルムは、A面の平均粗さRa(A)が50nm以上であることが重要である。より好ましくは100nm以上である。上限は特に限定するものではないが、Raがあまりに高すぎると表面が荒れすぎ、意匠性に適した質感が損なわれるため、Raは1000nm以下であることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、A層および/またはB層の粒子含有量が0wt%以上2wt%以下であることが好ましい。より好ましくは0wt%である。0wt%の場合、粒子の脱落が生じないため好ましい。粒子含有量が3wt%以上となると、成型の際など、粒子の脱落による金型汚染が懸念されるため好ましくない。
本発明の粒子としては、樹脂に対して不活性な有機、無機系の粒子であれば、如何なるものも用いることができる。その形状としては、凝集粒子、真球状粒子、数珠状粒子、コンペイト状粒子、鱗片状粒子などの粒子を使うことができる。また、その材質としては、無機系としては、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、チタン酸バリウム、塩化バリウム、水酸化バリウム、酸化バリウム、アルミナ、セリナイト、酸化珪素(シリカ)、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、珪酸アルミニウム、マイカ、パールマイカ、ろう石クレー、焼成クレー、ベントナイト、タルク、カオリン、その他の複合酸化物等を、有機系としてはポリイミド系樹脂、オレフィンあるいは変性オレフィン系樹脂、架橋ないし無架橋ポリスチレン系樹脂、架橋ないし無架橋アクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂等を挙げることができる。
本発明の積層フィルムにおいて、A面の平均粗さRa(A)と反対面(B面)の平均粗さRa(B)が下記式(1)を満たすことが好ましい。
(Ra(A))/(Ra(B))≧1.5 (式1)
すなわち、上記式を満たすことによる、片面のみ拡散性の高いマット感を有する積層フィルムを提供することができる。また、A面のRa(A)が高くマット感を有しているにもかかわらず、B面のRa(B)が低いことから、意匠性付与のためのインキ塗布や基材との貼り合わせにB面を用いることによって、インキ密着性、層間密着性が向上し、かつ意匠性を損なわない加工が可能となる。
(Ra(A))/(Ra(B))≧1.5 (式1)
すなわち、上記式を満たすことによる、片面のみ拡散性の高いマット感を有する積層フィルムを提供することができる。また、A面のRa(A)が高くマット感を有しているにもかかわらず、B面のRa(B)が低いことから、意匠性付与のためのインキ塗布や基材との貼り合わせにB面を用いることによって、インキ密着性、層間密着性が向上し、かつ意匠性を損なわない加工が可能となる。
本発明の積層フィルムは、25層以上積層されてなることも好ましい。積層は本発明のフィルム中のA層とB層の厚み方向における配置の序列がランダムな状態ではないことが好ましく、A層とB層以外の第3の層以上についてはその配置の序列については特に限定されるものではない。また、A層、B層、熱可塑性樹脂CのからなるC層を有する場合には、A(BCA)n、A(BCBA)n、A(BABCBA)nなどの規則的順列で積層されることがより好ましい。ここでnは繰り返しの単位数であり、例えばA(BCA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABCABCABCAの順列で積層されているものを表す。また、積層数は25層以上であることが好ましく、より好ましくは50層以上であり、さらに好ましくは200層以上である。A層とB層をそれぞれ交互に20層以上積層した構造を有さないと、十分な反射率が得られなくなるものである。また、上限値としては特に限定するものではないが、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、1500層以下であることが好ましい。
また、25層以上積層する際に用いる樹脂としては、B層の樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、A層の樹脂がシクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルであることが好ましい。シクロヘキサンジメタノールを含んで成るエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、層間剥離しにくいため好ましい。より好ましくは、A層の樹脂がシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、厚み方向の積層精度が向上し、高い反射性能を有しながら層間でも剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で製膜時の破れも生じにくいものである。また、B層の樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート、A層の樹脂がスピログリコールを含んでなるポリエステルであることも好ましい。スピログリコールを含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのSP値の差の絶対値が1.0以下であり、かつ、同一の基本骨格を含むため、層間剥離が生じにくくなり好ましい。ここで、基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことである。より好ましくはB層の樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート、A層の樹脂がスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含むポリエステルであることが好ましい。A層の樹脂がスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、層間剥離しにくい。
本発明の積層フィルムでは、A層とB層の面内平均屈折率差が0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。屈折率差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られず好ましくないものである。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向の屈折率の差が0.03以下であると、反射帯域の角度依存性が小さくなり、より好ましい。
本発明の積層フィルムは、紫外線吸収剤を含んでなることが好ましい。紫外線吸収剤を含むことにより、太陽光や蛍光灯などの光の紫外線を吸収し、積層フィルム、あるいは成形体の劣化や変質を防ぐことが可能となり好ましい。なお、紫外線吸収剤は積層フィルムの最表層に含んで成ることがより好ましい。紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾオキサジノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリチル酸系化合物、環状イミノエステル系化合物などを好ましく例示することができるが、紫外線カット性、色調などの点から、ベンゾオキサジノン系化合物が最も好ましい。これらは単独で用いても良いし、組み合わせて用いても良い。また、HALS(ヒンダードアミン系光安定剤)や酸化防止剤などの安定剤の併用はより好ましい。
好ましい材料であるベンゾオキサジノン系化合物の例としては、2−P−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(p−ベイゾルフェニル)―3,1―ベンゾオキサジンー4−オン、2−(ナフチル)―3,1−ベンゾオキサジンー4―オン、2−2‘−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2−(2,6−ナフチレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジンー4−オン)などを例示することができる。これらの化合物の添加量は積層フィルム中に0.05〜1.0重量%含有させるのが好ましい、さらに優れた耐光性を付与するためにシアノアクリレート系4量体化合物を併用することが好ましい。シアノアクリレート系4量体化合物は積層フィルムに0.05〜2重量%含有させることが好ましい。シアノアクリレート系4量体化合物とは、シアノアクリレートの4量体を基本とする化合物であり、例えば1,3ービス(2’シアノー3,3時フェニルアクリロイルオキシ)―2,2−ビスー(2‘シアノー3,3―ジフェニルアクリロイルオキシメチルプロパン)がある。これと併用する場合には前述の紫外線吸収剤は積層フィルム中に0.3〜3重量%であるのが好適である。これらの添加剤は積層フィルの熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)、熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)のいずれかの層に添加しても良く、最も好ましくはA層に添加するのが好ましい。
また、紫外線吸収剤は300nmから400nmの範囲の紫外線透過率が30%以下となるものが好ましい。より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下となるものである。紫外線透過率が低ければ低いほど、積層フィルムや基材の劣化は抑制されるため好ましいものである。
本発明の積層フィルムは、B層に染料または顔料を含んでなることが好ましい。B層を着色することにより、より色鮮やかで意匠性に優れたマット感を有する積層フィルムを提供することが可能となり、かつ、成形性も維持できることから、従来蒸着フィルムなどでは困難であった深絞り成形などを行うことが可能となる。用いる染料や顔料は特に限定されず、例えばキノン系、カチオン系、シアニン系、フタロシアニン系、キナクドリン系、ジアリール・トリアリールメタン系、フルギド、アゾ系、スクアリリウム系、オキソノール系、ベンジリデン系、ニトロ系、ニトロソ系、チアゾール系、インジゴイド系など各色素が使用される。特に本発明では、比較的安価で、耐光性にも優れるキノン系やカチオン系の色素などが好ましい。これらは色調補正のために、複数組み合わせて使用することも可能である。また、これらは層中に均一に分散し、透過光のむらがないようにすることが好ましい。
また、本発明の積層フィルムは、非晶もしくは融点240℃未満の熱可塑性樹脂からなるA層の厚みが20μm以下であることが好ましい。より好ましくは15μm以下である。A層の厚みが20μmより厚い場合、熱処理でのA層の融解・結晶化が均一に生じず、外観にバラツキが生じ易くなり、品質が安定しないという問題が発生する可能性があるため好ましくない。下限値としては特に限定するものではないが、マット感を付与するという点を考慮すると、1μm以上であることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、長手方向および/または幅方向の伸度100%時の応力が150MPa以下であることが好ましい。より好ましくは120MPa以下である。応力が120MPa以下であると、成形が良好であるためにインサート成形や真空圧空成形に適した積層フィルムとなる。
また、本発明の積層フィルムは、その表面に易接着層、易滑層、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、印刷層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
本発明の成形体としては、本発明の積層フィルム以外に、黒色や反射ピークの補色となる色を吸収する色吸収層や、ハードコート層、耐候層(UVカット層)、着色層、接着層、基材樹脂層のいずれかを含んでなることも好ましい。このような成形体はオールポリマーから構成することが可能であり、金属や重金属などを含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。
本発明の成形体としては、本発明の積層フィルム以外に、黒色や反射ピークの補色となる色を吸収する色吸収層や、ハードコート層、耐候層(UVカット層)、着色層、接着層、基材樹脂層のいずれかを含んでなることも好ましい。このような成形体はオールポリマーから構成することが可能であり、金属や重金属などを含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。
2種類の熱可塑性樹脂Aおよび樹脂Bをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギアポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂などを取り除く。
2種類の熱可塑性樹脂Aおよび樹脂Bをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギアポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂などを取り除く。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂を、次に積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層する方法を使用することができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。ここで本発明の効果を効率よく得るためには、各層ごとの層厚みを個別に制御できるマルチマニホールドダイもしくはフィードブロックが好ましい。さらに各層の厚みを精度良く制御するためには、加工精度0.1mm以下の放電加工、ワイヤー放電加工にて、各層の流量を調整する微細スリットを設けたフィードブロックが好ましい。また、この際、樹脂温度の不均一性を低減するため、熱媒循環方式による加熱が好ましい。また、フィードブロック内の壁面抵抗を抑制するため、壁面の粗さを0.4S以下にするか、室温下における水との接触角が30°以上であると良い。
また、ここで本発明の第一の特徴である相対反射率が30%以上となる反射ピークを少なくとも1つ以上有するための方法としては、まず、1つ目として、B層に染料あるいは顔料を含ませる方法、2つ目として屈折率の異なる樹脂を交互にそれぞれ25層以上積層するという方法がある。屈折率の異なる樹脂を25層以上積層する場合、各層の層厚みについては、下記式1に基づいて所望する反射ピークが得られるように設計することが必要であり、各々の面内平均屈折率および層厚みについては範囲40%以下の分布が生じていても許容できる。また、本発明の好ましい態様である反射ピークの反射率が50%以上であるためには、積層数が50層以上であることが好ましい。また、本発明のさらに好ましい態様である反射ピークの反射率が80%以上であるためには、積層数200層以上であることが好ましい。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
また、本発明において相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ持たせるためには、各層の層厚みを上記式1に基づいて設計する必要がある。さらに、層厚みが一方の表面から反対側の表面に向かうにつれて徐々に厚くなる層構成を少なくとも含んでいることが好ましい。また、相対反射率についてはA層とB層の屈折率差と、A層とB層の層数にて制御する。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
また、本発明において相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ持たせるためには、各層の層厚みを上記式1に基づいて設計する必要がある。さらに、層厚みが一方の表面から反対側の表面に向かうにつれて徐々に厚くなる層構成を少なくとも含んでいることが好ましい。また、相対反射率についてはA層とB層の屈折率差と、A層とB層の層数にて制御する。
これらのように、設計する反射フィルムの分光特性に応じて、最適な積層構成とすることが重要であるが、本発明では、この調整を各波長帯域に対応した微細スリットを有するフィードブロックにて製膜を行うことが特に好ましい。
さて、このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法や、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法が好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。
本発明の第二の特徴であるA面の平均粗さRa(A)を50nm以上とするためには、A面の樹脂がシクロヘキサンジメタノールを含んでなるエステルの場合、特に熱処理温度を230〜240度とすることが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
本発明の第二の特徴であるA面の平均粗さRa(A)を50nm以上とするためには、A面の樹脂がシクロヘキサンジメタノールを含んでなるエステルの場合、特に熱処理温度を230〜240度とすることが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合、幅方向における反射ピークの反射率の差が±10%以下にすることが容易となるため好ましい。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。
本発明の第二の特徴であるA面の平均粗さRa(A)を50nm以上とするためには、A面の樹脂がシクロヘキサンジメタノールを含んでなるエステルの場合、特に熱処理温度を230〜240度とすることが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
本発明の第二の特徴であるA面の平均粗さRa(A)を50nm以上とするためには、A面の樹脂がシクロヘキサンジメタノールを含んでなるエステルの場合、特に熱処理温度を230〜240度とすることが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)積層厚み、積層数
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いても良い。積層構造の具体的な求め方を、説明する。約4万倍のTEM写真画像を、CanonScanD123Uを用いて画像サイズ720dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで画像処理ソフトImage−Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このJPGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBAプログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
(2)相対反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAl2O3板を用いた。なお、実施例2、3、4と比較例3については、波長250〜2600nmにおける相対反射率の最大値を示し、その波長を反射波長とした。また、実施例1、実施例5、実施例6および比較例1.比較例2、比較例4に関しては、波長帯域350nm〜1000nmの平均相対反射率を示した。
(3)異なる熱可塑性樹脂間の面内屈折率差
積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂を単独で用いて、積層フィルムと同じ製膜条件で単膜フィルムを製膜した。この際の製膜方法は、キャスティングまでは同じ方法で未延伸フィルムを製膜した。次いで、未延伸フィルムからサンプルを10cm×10cmの寸法に切り出し、二軸延伸装置(東洋精機(株))を用いて積層フィルムと同倍率で延伸し、さらに、得られた延伸フィルムを20cm×20cmの金枠に貼り付けてトンネルオーブン(泰伸製作所製)を用いて、積層フィルムと同様の温度で熱処理を施し、単膜フィルムを得た。なお、製膜時の熱処理温度が熱可塑性樹脂を溶融する温度の場合は、ポリイミドフィルムなどの支持体で挟みトンネルオーブンで熱処理を施した。得られた単膜フィルムのフィルム巾方向中央部からサンプルを長さ4×巾3.5cmの寸法で切り出し、アッベ屈折率計4T(アタゴ(株)製)を用いて、MD、TDの屈折率を求めた。光源は、ナトリウムD線 波長589nmを用いた。MDとTDの屈折率の平均を面内屈折率とし、異なる熱可塑性樹脂間での面内屈折率の差を面内屈折率差(絶対値)として、求めた(|熱可塑性樹脂Aの面内屈折率―熱可塑性樹脂Bの面内屈折率|)。なお、浸液には、ヨウ化メチレン、テストピースの屈折率は、1.74のものを用いた。
(4)明度 LSCE *
サンプルを5cm×5cmで切り出し、次いでサンプル裏面をマジックインキ(登録商標)で黒く塗り、コニカミノルタ(株)製CM−3600dを用いて、測定径φ8mmのターゲットマスク(CM−A106)条件下で正反射光を除去したSCE方式にてL値を測定し、n数3の平均値を求めた。なお、白色校正板はCM−A103、ゼロ校正ボックスはCM−A104を用いた。
(5)表面粗さ(Ra)
JIS−B0601(1982年)に規定された方法に従って、3次元微細形状測定器を用い最大高さ(Rma)を測定し、それをスクラッチ加工の最大深さとした。測定条件は下記の条件とした。
測定装置:(株)小坂研究所製 三次元微細形状測定器“ET−30HK”
三次元粗さ解析装置“SPA−11”
測定エリア:0.3mm2
サンプリングピッチ:フィルム長手方向に4μm、幅方向に10μm
傾斜補正:有り。
(6)剥離試験
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離または、一部分が剥離した格子の数で表した。
(7)強伸度
JIS−K7127(1999年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件とした。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTAー100”
試料サイズ:幅10mm×試長間50mm
引張り速度:300mm/min
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
(8)ガラス転移温度
示差熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。なお、まず、はじめに1st Runで、25℃から300℃まで20℃/min.で昇温した後、25℃まで急冷した。またつづく2nd Runでは、25℃から300℃まで20℃/min.で昇温した。樹脂のガラス転移温度は2nd Runにおけるガラス転移温度を用いた。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg。
(実施例1)
2種類の樹脂として、A層の樹脂AとB層の樹脂Bを準備した。実施例1においては、樹脂Bとして、固有粘度0.65、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた。なお、この樹脂Bは結晶性樹脂であった。また樹脂Aとして固有粘度0.55のポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジカルボン酸成分20mol%、スピログリコール成分15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDC20mol%/SPG15mol%共重合PET)を用いた。これら樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
(物性値の評価法)
(1)積層厚み、積層数
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いても良い。積層構造の具体的な求め方を、説明する。約4万倍のTEM写真画像を、CanonScanD123Uを用いて画像サイズ720dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで画像処理ソフトImage−Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このJPGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBAプログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
(2)相対反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAl2O3板を用いた。なお、実施例2、3、4と比較例3については、波長250〜2600nmにおける相対反射率の最大値を示し、その波長を反射波長とした。また、実施例1、実施例5、実施例6および比較例1.比較例2、比較例4に関しては、波長帯域350nm〜1000nmの平均相対反射率を示した。
(3)異なる熱可塑性樹脂間の面内屈折率差
積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂を単独で用いて、積層フィルムと同じ製膜条件で単膜フィルムを製膜した。この際の製膜方法は、キャスティングまでは同じ方法で未延伸フィルムを製膜した。次いで、未延伸フィルムからサンプルを10cm×10cmの寸法に切り出し、二軸延伸装置(東洋精機(株))を用いて積層フィルムと同倍率で延伸し、さらに、得られた延伸フィルムを20cm×20cmの金枠に貼り付けてトンネルオーブン(泰伸製作所製)を用いて、積層フィルムと同様の温度で熱処理を施し、単膜フィルムを得た。なお、製膜時の熱処理温度が熱可塑性樹脂を溶融する温度の場合は、ポリイミドフィルムなどの支持体で挟みトンネルオーブンで熱処理を施した。得られた単膜フィルムのフィルム巾方向中央部からサンプルを長さ4×巾3.5cmの寸法で切り出し、アッベ屈折率計4T(アタゴ(株)製)を用いて、MD、TDの屈折率を求めた。光源は、ナトリウムD線 波長589nmを用いた。MDとTDの屈折率の平均を面内屈折率とし、異なる熱可塑性樹脂間での面内屈折率の差を面内屈折率差(絶対値)として、求めた(|熱可塑性樹脂Aの面内屈折率―熱可塑性樹脂Bの面内屈折率|)。なお、浸液には、ヨウ化メチレン、テストピースの屈折率は、1.74のものを用いた。
(4)明度 LSCE *
サンプルを5cm×5cmで切り出し、次いでサンプル裏面をマジックインキ(登録商標)で黒く塗り、コニカミノルタ(株)製CM−3600dを用いて、測定径φ8mmのターゲットマスク(CM−A106)条件下で正反射光を除去したSCE方式にてL値を測定し、n数3の平均値を求めた。なお、白色校正板はCM−A103、ゼロ校正ボックスはCM−A104を用いた。
(5)表面粗さ(Ra)
JIS−B0601(1982年)に規定された方法に従って、3次元微細形状測定器を用い最大高さ(Rma)を測定し、それをスクラッチ加工の最大深さとした。測定条件は下記の条件とした。
測定装置:(株)小坂研究所製 三次元微細形状測定器“ET−30HK”
三次元粗さ解析装置“SPA−11”
測定エリア:0.3mm2
サンプリングピッチ:フィルム長手方向に4μm、幅方向に10μm
傾斜補正:有り。
(6)剥離試験
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離または、一部分が剥離した格子の数で表した。
(7)強伸度
JIS−K7127(1999年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件とした。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTAー100”
試料サイズ:幅10mm×試長間50mm
引張り速度:300mm/min
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
(8)ガラス転移温度
示差熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。なお、まず、はじめに1st Runで、25℃から300℃まで20℃/min.で昇温した後、25℃まで急冷した。またつづく2nd Runでは、25℃から300℃まで20℃/min.で昇温した。樹脂のガラス転移温度は2nd Runにおけるガラス転移温度を用いた。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg。
(実施例1)
2種類の樹脂として、A層の樹脂AとB層の樹脂Bを準備した。実施例1においては、樹脂Bとして、固有粘度0.65、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた。なお、この樹脂Bは結晶性樹脂であった。また樹脂Aとして固有粘度0.55のポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジカルボン酸成分20mol%、スピログリコール成分15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDC20mol%/SPG15mol%共重合PET)を用いた。これら樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて270℃の溶融状態とし、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A組成物/熱可塑性樹脂B組成物=1.2/1になるように計量しながら、スリット数267個のスリット板3枚を用いた構成である801層フィードブロックにて合流させて、その後ピノールを用い、片面のみA層となるように厚み方向に交互に802層積層された積層体とした。合流した樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ、樹脂Aが400層、樹脂Bが401層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。また、片方の表層部分が樹脂Aとなるようにピノールを用い、かつ隣接するA層とB層の層厚みはほぼ同じになるようにスリット形状を設計した。この設計では、350nm〜1000nmに反射帯域が存在するものとなる。このようにして得られた計802層からなる積層体を、マルチマニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給した樹脂Aからなる層を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。なお、樹脂Aと樹脂Bが合流してからキャスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約8分となるように流路形状および総吐出量を設定した。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.0倍延伸し、その後一旦冷却した。次に、この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、125μmであり、LSCE *が45、A面の表面粗さRa(A)が520nmであった。
得られた積層フィルムは、層間剥離がなく、反射率の高い金属光沢調を有し、かつ、片面のみマット感を有する積層フィルムであった。また、視野角によっても色の変化がほとんど起きないものであり、金属を使っていないため電磁波障害を起こさず、成形性、リサイクル性、意匠性に優れるものであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて270℃の溶融状態とし、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A組成物/樹脂B組成物=1.2/1になるように計量しながら201個の微細スリットを有するフィードブロックにて合流させ、樹脂Aが100層、樹脂Bが101層からなる厚み方向に交互に積層された構造とし、さらにピノールを用い片面のみ表層がA層となるようにした。また、フィードブロックのスリット形状は、(熱可塑性樹脂非供給側のスリット面積)/(供給側のスリット面積)が45%であり、スリット長は100mmとした。なお、両表層部分は樹脂Aとなるようにした。各層の厚みの調整は、フィードブロック内の微細スリット(加工精度0.01mmにて形成)の間隙と各樹脂の吐出量により行い、隣接するA層とB層の厚み比(A層厚み/B層厚み)が1.98としたに。このようにして得られた計202層からなる積層体を、Tダイに供給し、シート状に成形した後(ドラフト比10)、テープ状の電極を用いて静電印加(直流電圧8kV)にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
(実施例2)
実施例1において、樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて270℃の溶融状態とし、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比が熱可塑性樹脂A組成物/樹脂B組成物=1.2/1になるように計量しながら201個の微細スリットを有するフィードブロックにて合流させ、樹脂Aが100層、樹脂Bが101層からなる厚み方向に交互に積層された構造とし、さらにピノールを用い片面のみ表層がA層となるようにした。また、フィードブロックのスリット形状は、(熱可塑性樹脂非供給側のスリット面積)/(供給側のスリット面積)が45%であり、スリット長は100mmとした。なお、両表層部分は樹脂Aとなるようにした。各層の厚みの調整は、フィードブロック内の微細スリット(加工精度0.01mmにて形成)の間隙と各樹脂の吐出量により行い、隣接するA層とB層の厚み比(A層厚み/B層厚み)が1.98としたに。このようにして得られた計202層からなる積層体を、Tダイに供給し、シート状に成形した後(ドラフト比10)、テープ状の電極を用いて静電印加(直流電圧8kV)にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムを75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.0倍延伸し、その後一旦冷却した。次に、テンターに導き、90℃の熱風で予熱後、幅方向に6.0倍延伸した。延伸した一軸延伸フィルムは、そのまま、テンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、室温まで除冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、100μmであり、LSCE *が30、A面の表面粗さRa(A)が340nmであった。
得られた積層フィルムは、実施例1同様に層間剥離がなく、高い相対反射率を有し、かつ、片面のみマット感を有する積層フィルムであった。また、金属を使っていないため電磁波障害を起こさず、成形性、リサイクル性に優れるものであった。得られた結果を表1に示す
(実施例3)
実施例2において、フィードブロックを51層に変更した以外は、実施例2と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは100μmであり、LSCE *が25、A面の表面粗さRa(A)が400nmであった。得られた積層フィルムは層間剥離がないものの、積層数が減少したため、角度依存性を有し、反射率が若干低いものであった。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例2において、フィードブロックを33層に変更し、ピノールを用いなかった以外は、実施例2と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは60μmであり、LSCE *が21、A面の表面粗さRa(A)が310nmであった。
得られた積層フィルムは層間剥離がなく、電磁波障害を起こさず、成形性、リサイクル性に優れるものの、積層数が減ったために光沢はあるが相対反射率は42%と低いものであった。結果を表1に示す
(実施例5)
2種類の樹脂として、A層の樹脂AとB層の樹脂Bを準備した。樹脂Aは固有粘度0.55のポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジカルボン酸成分20mol%、スピログリコール成分15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDC20mol%/SPG15mol%共重合PET)を用いた。樹脂Bとしては、固有粘度0.65、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]に蛍光顔料であるGloPrill GPX−17をドライブレンドしたものを用いた。これら樹脂を実施例1同様の条件にて製膜を行った。なお、フィードブロックは単膜のものを用い、樹脂Bを流し、樹脂Aはピノールにて片面のみに積層した。得られた積層フィルムの厚みは65μmであり、LSCE *が30、A面の表面粗さRa(A)が58nmであった。
得られた積層フィルムは層間剥離がなく、電磁波障害を起こさず、成形性、リサイクル性、意匠性にすぐれるものであった。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、ピノールを用いない以外は、実施例1と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは120μmであり、LSCE *が40、A面の表面粗さRa(A)が515nmであった。
得られた積層フィルムは層間剥離がなく、電磁波障害を起こさず、成形性、リサイクル性に、かつ、金属光沢調を有する意匠性にすぐれるものであった。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1において、A面の樹脂としてポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジカルボン酸成分20mol%、スピログリコール成分15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDC20mol%/SPG15mol%共重合PET)に対し、シクロヘキサンジメタノールを30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDM共重合PET)[イーストマン製 PETG6763]と固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを85:15の重量比で、二軸押出機にて混練しアロイ化した樹脂を用いた以外は実施例1と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは120μmであり、LSCE *が22、A面の表面粗さRa(A)が120nmであった。
(実施例3)
実施例2において、フィードブロックを51層に変更した以外は、実施例2と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは100μmであり、LSCE *が25、A面の表面粗さRa(A)が400nmであった。得られた積層フィルムは層間剥離がないものの、積層数が減少したため、角度依存性を有し、反射率が若干低いものであった。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例2において、フィードブロックを33層に変更し、ピノールを用いなかった以外は、実施例2と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは60μmであり、LSCE *が21、A面の表面粗さRa(A)が310nmであった。
得られた積層フィルムは層間剥離がなく、電磁波障害を起こさず、成形性、リサイクル性に優れるものの、積層数が減ったために光沢はあるが相対反射率は42%と低いものであった。結果を表1に示す
(実施例5)
2種類の樹脂として、A層の樹脂AとB層の樹脂Bを準備した。樹脂Aは固有粘度0.55のポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジカルボン酸成分20mol%、スピログリコール成分15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDC20mol%/SPG15mol%共重合PET)を用いた。樹脂Bとしては、固有粘度0.65、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]に蛍光顔料であるGloPrill GPX−17をドライブレンドしたものを用いた。これら樹脂を実施例1同様の条件にて製膜を行った。なお、フィードブロックは単膜のものを用い、樹脂Bを流し、樹脂Aはピノールにて片面のみに積層した。得られた積層フィルムの厚みは65μmであり、LSCE *が30、A面の表面粗さRa(A)が58nmであった。
得られた積層フィルムは層間剥離がなく、電磁波障害を起こさず、成形性、リサイクル性、意匠性にすぐれるものであった。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、ピノールを用いない以外は、実施例1と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは120μmであり、LSCE *が40、A面の表面粗さRa(A)が515nmであった。
得られた積層フィルムは層間剥離がなく、電磁波障害を起こさず、成形性、リサイクル性に、かつ、金属光沢調を有する意匠性にすぐれるものであった。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1において、A面の樹脂としてポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジカルボン酸成分20mol%、スピログリコール成分15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDC20mol%/SPG15mol%共重合PET)に対し、シクロヘキサンジメタノールを30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDM共重合PET)[イーストマン製 PETG6763]と固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを85:15の重量比で、二軸押出機にて混練しアロイ化した樹脂を用いた以外は実施例1と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは120μmであり、LSCE *が22、A面の表面粗さRa(A)が120nmであった。
得られた積層フィルムは層間剥離が無く、電磁波障害を起こさず、成形性、リサイクル性に優れたものであった。ただ、屈折率差が低下したために、相対反射率が65%と若干低下した。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1において、A層の樹脂をポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジカルボン酸成分20mol%、スピログリコール成分15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDC20mol%/SPG15mol%共重合PET)を2軸ベント押出機を用いて下記の紫外線吸収剤の添加量が7重量%となるようにコンパウンド化したマスターチップとした以外は、実施例1と同様の製膜条件にて製膜を行った。
紫外線吸収剤:2,2‘―(1,4―フェニレン)ビス(4Hー3,1−ベンズオキサジン−4−オン)
得られた積層フィルムの厚みは125μmであり、LSCE *が45、A面の表面粗さRa(A)が520nmであった。結果を表2に示す。
(実施例9)
実施例1において、熱可塑性樹脂Bに平均粒子系1.2μmの凝集シリカを2重量%添加した以外は、実施例1と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは125μmであり、LSCE *が49、A面の表面粗さRa(A)が521nmであった。
(実施例8)
実施例1において、A層の樹脂をポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジカルボン酸成分20mol%、スピログリコール成分15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(CHDC20mol%/SPG15mol%共重合PET)を2軸ベント押出機を用いて下記の紫外線吸収剤の添加量が7重量%となるようにコンパウンド化したマスターチップとした以外は、実施例1と同様の製膜条件にて製膜を行った。
紫外線吸収剤:2,2‘―(1,4―フェニレン)ビス(4Hー3,1−ベンズオキサジン−4−オン)
得られた積層フィルムの厚みは125μmであり、LSCE *が45、A面の表面粗さRa(A)が520nmであった。結果を表2に示す。
(実施例9)
実施例1において、熱可塑性樹脂Bに平均粒子系1.2μmの凝集シリカを2重量%添加した以外は、実施例1と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは125μmであり、LSCE *が49、A面の表面粗さRa(A)が521nmであった。
得られた積層フィルムは層間剥離がなく、電波障害を起こさず、成形性、リサイクル性に優れたものであった。粒子を添加することで粒子の脱落が懸念されたが、表層部分に存在する粒子数が少なく金型汚染の問題には発展しなかった。結果を表2に示す。
(実施例10)
実施例1において、熱可塑性樹脂Bに平均粒径1.2μmの凝集シリカを3重量%添加した以外は、実施例1と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは125μmであり、LSCE *が53、A面の表面粗さRa(A)が510nmであった。
(実施例10)
実施例1において、熱可塑性樹脂Bに平均粒径1.2μmの凝集シリカを3重量%添加した以外は、実施例1と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは125μmであり、LSCE *が53、A面の表面粗さRa(A)が510nmであった。
得られた積層フィルムは層間剥離がなく、成形性、リサイクル性に優れるものであった。ただし、成形の際に粒子が脱落し、金型汚染の原因となった。結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例6において、A層の樹脂とB層の樹脂とを入れ替えた以外は、実施例6の製膜条件と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは125μmであり、LSCE *が5、A面の表面粗さRa(A)が12nmであった。
得られた積層フィルムは層間剥離がなく、電磁波障害を起こさないものの、正反射光が非常に強く、高級感を有する意匠性用途に用いるには不適であった。
(比較例2)
共重合ポリエステル(I)としてイソフタル酸を12mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、ポリエステル(II)としてポリブチレンテレフタレートを30mol%共重合した共重合ポリブチレンテレフタレートを用い、つや消し剤として平均粒径3.5μmの二酸化珪素を用いた。
(比較例1)
実施例6において、A層の樹脂とB層の樹脂とを入れ替えた以外は、実施例6の製膜条件と同様の条件にて製膜を行った。得られた積層フィルムの厚みは125μmであり、LSCE *が5、A面の表面粗さRa(A)が12nmであった。
得られた積層フィルムは層間剥離がなく、電磁波障害を起こさないものの、正反射光が非常に強く、高級感を有する意匠性用途に用いるには不適であった。
(比較例2)
共重合ポリエステル(I)としてイソフタル酸を12mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、ポリエステル(II)としてポリブチレンテレフタレートを30mol%共重合した共重合ポリブチレンテレフタレートを用い、つや消し剤として平均粒径3.5μmの二酸化珪素を用いた。
共重合ポリエステル(I)、ポリエステル(II)およびつや消し剤を押出機にて溶融混合し、フラットダイからフィルム状に押出し、急冷固化して未延伸フィルムを得た。ついで、この未延伸フィルムを縦延伸温度90度にて3倍延伸し、横遠心温度100度にて3.1倍に延伸し、続いて180度にて熱固定処理をした後、横方向に4.5%弛緩して、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。これら二軸配向ポリエステルフィルムにポリエステル径接着剤をコートし、さらにジエチルへキシルフタレートを30%含有する発泡塩ビと貼り合わせて積層体とした。この積層体はさらに、エンボス加工を施した。
得られた積層体は拡散性が強いものの、この積層体自体では意匠性用途として用いることができず、反射率も低いものであった。
(比較例3)
15μmのポリエチレンテレフタレート層と3ミクロンのテレフタル酸とエチレングリコール/1,4ーシクロヘキサンジメタノール(50/50mol%)からなる共重合ポリエステル樹脂層を共押出しにより積層製膜した総厚み18μmのプラスチックフィルムを得た。この共重合ポリエステル樹脂面に、320番のサンドペーパーを金属ロールに隙間なく貼り付けた研磨ロールに接触させながらプラスチックフィルムを走行させることによりスクラッチ加工し、最大深さ1.5μmのヘアライン目を施した後、真空中で誘導加熱方式により、金属アルミニウムを約500オングストロームの厚さで蒸着し、金属調化粧シートを得た。得られたシートは反射率が高いものの、層間密着性が悪く剥離試験により剥離が生じるものであった。また、また金属を使用しているために電磁波シールド性を有し、リサイクルが不可能であった
得られた積層体は拡散性が強いものの、この積層体自体では意匠性用途として用いることができず、反射率も低いものであった。
(比較例3)
15μmのポリエチレンテレフタレート層と3ミクロンのテレフタル酸とエチレングリコール/1,4ーシクロヘキサンジメタノール(50/50mol%)からなる共重合ポリエステル樹脂層を共押出しにより積層製膜した総厚み18μmのプラスチックフィルムを得た。この共重合ポリエステル樹脂面に、320番のサンドペーパーを金属ロールに隙間なく貼り付けた研磨ロールに接触させながらプラスチックフィルムを走行させることによりスクラッチ加工し、最大深さ1.5μmのヘアライン目を施した後、真空中で誘導加熱方式により、金属アルミニウムを約500オングストロームの厚さで蒸着し、金属調化粧シートを得た。得られたシートは反射率が高いものの、層間密着性が悪く剥離試験により剥離が生じるものであった。また、また金属を使用しているために電磁波シールド性を有し、リサイクルが不可能であった
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、ある波長の光を反射することが可能な積層フィルムに、粒子を用いることなくフィルム製膜工程上でマット感を付与し、意匠性、ハンドリング性や装飾時のインク密着性、層間密着性、成形性に優れた積層フィルムに関するものである。また、環境負荷が小さく、リサイクル性に優れ、電磁波障害を起こさない成形体に関するものである。
Claims (9)
- 少なくとも樹脂Aからなる層(A層)と、樹脂Bからなる層(B層)を含んでなる積層フィルムであって、明度LSCE *が20以上、相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有し、かつ、A層が非晶性もしくは融点240℃未満の熱可塑性樹脂からなり、B層が融点200℃以上290℃以下の樹脂であり、少なくとも片面の樹脂層が樹脂Aからなる層であり、該面(A面)の平均粗さRaが50nm以上であることを特徴とする積層フィルム。
- A層および/またはB層の粒子含有量が0wt%〜2wt%である請求項1に記載の積層フィルム。
- A面の平均粗さRa(Ra(A))と反対面(B面)の平均粗さ(Ra(B))が下記(1)式を満たす請求項1または2に記載の積層フィルム。
(Ra(A))/(Ra(B))≧1.5 式(1) - 積層数が25層以上である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 紫外線吸収剤を含んでなる請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- B層に染料または顔料を含んでなる請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- A層の厚みが20μm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
- 積層フィルムの長手方向および/または幅方向の伸度が100%の時の応力が150MPa以下である請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルムを含んでなる成形体。
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JP2015114571A (ja) * | 2013-12-13 | 2015-06-22 | 東レ株式会社 | 多層積層フィルム |
-
2007
- 2007-10-09 JP JP2007263135A patent/JP2008114587A/ja active Pending
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