JP2016153224A - 二軸延伸積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】フローマークや層の断裂などの界面不安定現象およびリップルと呼ばれる干渉ムラの発生を抑制し、外観品位の優れた二軸延伸積層フィルムを提供する。【解決手段】ポリエステル樹脂Aを用いてなる層(以下、A層という)と、エチレングリコールおよびスピログリコールのジオール由来の残基およびテレフタル酸およびシクロヘキサンジカルボン酸のジカルボン酸由来の残基を有するポリエステル樹脂Bを用いてなる層(以下、B層という)が交互にそれぞれ150層以上積層された構造を含む二軸延伸積層フィルムにおいて、最表層積層厚みが1μm未満で、表層から厚み方向5μmまでの積層数が50層以下であり、フィルム表面に平均高さ0.1μm以上5μm以下、かつ幅30μm以上の500μm以下の凹凸がないことを特徴とする二軸延伸積層フィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、二軸延伸積層フィルムに関する。
近年、複数種類のシート材料をフィルムの厚み方向に積層した多層構造をもつ多層フィルムの用途は光学用途へと広がりつつある。その中、より優れた光学特性を満足するために、積層数が100〜1000層あるいはそれ以上と膨大であるにも関わらず、高品質の超多層フィルムが要求されている。しかし、超多層フィルムを形成する場合、従来の多層フィルムよりも、フローマークや層の断裂などの界面不安定現象が発生する確率が格段に増加するという問題がある。本発明者らの知見によれば、この界面不安定現象を引き起こす大きな原因として、界面にかかるせん断応力が挙げられると考えている。超多層フィルムでは積層数が100〜1000層あるいはそれ以上と膨大であるので、各層の厚みは非常に小さい。つまり、超多層フィルムを形成する場合、せん断応力の大きい領域に界面が存在することになり、界面に強力なせん断応力がかかる。ゆえに、超多層フィルムを形成する場合に界面不安定現象が頻繁に発生するのは必然的であるといえる。
多層フィルムを形成するための積層シートの製造装置および製造方法としては、積層装置により複数種類(とくに2種類)のシート材料(典型的には溶融樹脂など)を複数のスリットを通して分流することにより複数の層をもつ積層体を形成し、この積層体をシート幅方向に延びるスリット間隙を有する口金から吐出し、積層シートを形成する方法が知られている。そして、口金から吐出された積層シートは、そのまま、あるいは、延伸等の後処理が施され、多層フィルムとして用いられる。
本発明の好ましい形態と一見して似ているように見える技術として、特許文献1、特許文献2に開示されている積層シートの製造装置がある。また特許文献3に開示されている積層フィルムの製造方法がある。
特許文献1には、3層程度の層数の多層フィルムを製造するための積層装置と口金とを接続する流路における流路方向に垂直な任意の断面のシート幅方向寸法をW、シート厚み方向寸法をT、口金の吐出口のシート幅方向寸法をWdとし、20<W/T<30、かつ5≦Wd/W≦17の範囲に限定することによって、低粘度側のシート材料の層が高粘度側のシート材料の層を包み込む、いわゆる「包み込み現象」を抑制し、各層のシート幅方向厚みムラを少なくするという方法が開示されている。
特許文献2には、溶液製膜において、3層程度の層数の多層フィルムを製造するための積層装置と口金とを接続する流路において流路方向に垂直な任意の断面のシート幅方向寸法をW、シート厚み方向寸法をT、口金の吐出口のシート幅方向寸法をWdとし、2<W/T<10、かつ10≦Wd/W≦25の範囲に限定することによって、溶液が積層装置から口金の吐出口までに滞留する滞留時間を短縮して、吐出量を増やし、生産量を増加させても、各層のシート幅方向厚みムラを少なくできるという方法が開示されている。
特許文献3には、2種類の樹脂による積層フィルム製造時のフローマーク抑制方法として、2種類の樹脂の極限粘度差が0.2以下に限定することが開示されている。
確かに、特許文献1に開示されている、いわゆる「包み込み現象」は各層のシート幅方向厚みムラを引き起こすが、層数が増加するにつれ、その影響は打ち消し合い、減少するため、特許文献1に開示されている技術を超多層フィルムの形成へ応用したとしてもその効果は減少することになる。
また、確かに、特許文献2に開示されている溶液製膜の場合、溶液の滞留時間による各層のシート幅方向厚みムラへの影響は大きいが、溶融製膜の場合には、滞留時間による各層のシート幅方向厚みムラへの影響は少なく、特許文献2に開示されている技術を超多層フィルムの形成へ応用したとしてもその効果は減少することになる。特に、より高精度な積層精度が必要とされる光学用途に使用される多層積層フィルムに用いることは出来ないという課題がある。
また、確かに、特許文献3に開示されている従来技術では、積層される溶融樹脂層間で発生する界面不安定現象によるフローマークを抑制することはできるが、本技術では、界面不安定現象の一員となるせん断応力低減についてはなんら考慮されていない。
また、確かに、特許文献2に開示されている溶液製膜の場合、溶液の滞留時間による各層のシート幅方向厚みムラへの影響は大きいが、溶融製膜の場合には、滞留時間による各層のシート幅方向厚みムラへの影響は少なく、特許文献2に開示されている技術を超多層フィルムの形成へ応用したとしてもその効果は減少することになる。特に、より高精度な積層精度が必要とされる光学用途に使用される多層積層フィルムに用いることは出来ないという課題がある。
また、確かに、特許文献3に開示されている従来技術では、積層される溶融樹脂層間で発生する界面不安定現象によるフローマークを抑制することはできるが、本技術では、界面不安定現象の一員となるせん断応力低減についてはなんら考慮されていない。
本発明者らの知見によると、特許文献1、特許文献2のような従来の積層シートの製造装置では、各層のシート幅方向厚みムラ改善は成し得ても、界面不安定現象の点については改善することは困難であった。また特許文献3のような極限粘度差では、フローマークを低減しても解消するには至らなかった。さらに特許文献1〜3いずれの技術を用いても、リップルと呼ばれる干渉ムラを抑制することは出来ない。
本発明の目的は、フローマークや層の断裂などの界面不安定現象の発生、リップルと呼ばれる干渉ムラを抑制し、外観品位の優れた二軸延伸積層フィルムを提供することである。
ポリエステル樹脂Aを用いてなる層(以下、A層という)と、エチレングリコールおよびスピログリコールのジオール由来の残基およびテレフタル酸およびシクロヘキサンジカルボン酸のジカルボン酸由来の残基を有するポリエステル樹脂Bを用いてなる層(以下、B層という)が交互にそれぞれ150層以上積層された構造を含む二軸延伸積層フィルムにおいて、最表層積層厚みが1μm未満で、表層から厚み方向5μmまでの積層数が50層以下であり、フィルム表面に平均高さ0.1μm以上5μm以下、かつ幅30μm以上の500μm以下の凹凸がないことを特徴とする二軸延伸積層フィルム。
本発明により、各層の厚みのムラが抑制された(幅方向に対して厚みが一様であり)、フローマークや層の断裂などの界面不安定現象の発生、リップルと呼ばれる干渉ムラを抑制し、外観品位の優れた二軸延伸積層フィルムの製造方法および二軸延伸積層フィルムを提供することができる。例えば、携帯電話、パソコンなどの情報通信機器、や洗濯機、炊飯ジャーなどの家電製品の意匠用途、スマートフォン等のディスプレイの画面保護、液晶ディスプレイのバックライトに用いられる偏光反射フィルム、反射板、異方拡散等の光学フィルタ用途、デジタルサイネージ(電子看板)等に用いられるスクリーン用途、自動車やゲーム機に用いられるヘッドアップディスプレイ用途、建材用途および自動車用途の加飾成形用途の金属メッキ代替部材に好適に用いることができる。
本発明は、ポリエステル樹脂Aを用いてなる層(以下、A層という)と、エチレングリコールおよびスピログリコールのジオール由来の残基およびテレフタル酸およびシクロヘキサンジカルボン酸のジカルボン酸由来の残基を有するポリエステル樹脂Bを用いてなる層(以下、B層という)が、最表層にA層、かつ交互にそれぞれ150層以上積層された構造を含む二軸延伸積層フィルムの製造法である。
本発明で言う「交互に積層した構造を含む」とは、前記A層およびB層が厚み方向に交互に出現する構造を有していることを指す。すなわち、本発明のフィルム中のA層とB層の厚み方向における配置がランダムな状態ではないことが好ましい。ここでnおよびmは整数であり、例えばA(BA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABABABAの順列で積層されていることを表す。
また、本発明ではA層とB層とを交互にそれぞれ150層以上含まなければならない。より好ましくは、200層以上であり、A層とB層の総積層数が600層以上であることが特に好ましい。150層未満の場合、十分な反射率が得られなくなり、輝度の高い金属調の外観にならないことがある。また、樹脂Aからなる層(A層)と樹脂Bからなる層(B層)が交互にそれぞれ200層以上含まれていると、波長帯域400nm〜700nmの反射率を20%以上とすることが可能となる。また、A層とB層の総積層数が600層以上であると、波長帯域400nm〜700nmの反射率を60%以上とすることが容易となり、非常に輝度の高い金属調の外観を有することが容易となる。また、積層数の上限値としては特に限定するものではないが、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、3000層以下であることが通常の使用では一般的である。
本発明における最表層積層厚みは、1μm未満であることが必要である。より好ましくは、0.8μm未満である。1μm以上である場合、リップルと呼ばれる部分的な干渉ムラが発生する。
また本発明における表層から厚み方向へ5μmまでの積層数は50層以下であることが必要である。より好ましくは、30層以下である。表層から厚み方向へ5μmまでの積層数が50層より多い場合、界面不安定現象が起きやすく、フィルム表面に凹凸が発生する。
さらに本発明におけるフィルム表面に平均高さ0.1μm以上5μm以下、かつ幅30μm以上500μm以下の凹凸がないことが必要である。フィルム表面に平均高さ0.1μm以上3μm以下、かつ幅30μm以上200μm以下の凹凸がないことがより好ましい。平均高さ5μm以上かつ幅500μm以上の凹凸は外観不良となる。
本発明における積層フィルムは、後述する測定方法により求められる積層ムラが0.20以下であることが好ましい。より好ましくは、0.15以下である。積層ムラが大きい場合は、フィルム幅方向において外観不良や部分的な色付きが発生したり、目標とする波長の光の反射率が低下したり、目標以外の光も反射したりする場合がある。積層ムラを上記の範囲とすることで、フィルム幅方向における外観不良や部分的な色付きの発生が抑制され、かつ、目標とする波長の光の反射率を低下させ、目標とする波長以外の光の反射を抑制した積層フィルムとすることができる。
本発明に用いるポリエステル樹脂Aは、ジカルボン酸成分とジオール成分とが重縮合して得られる構造を有する。ポリエステル樹脂Aは共重合体であっても良い。ポリエステル樹脂Aとして用いうるものとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
共重合ポリエステルとは、ジカルボン酸成分とジオール成分が合わせて少なくとも3種以上用いて重縮合して得られる構造を有する。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。本発明のフィルムロールとなる積層フィルムでは、樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであることが好ましい。
本発明に用いるポリエステル樹脂Bは、エチレングリコールおよびスピログリコールのジオール由来の残基を含み、およびテレフタル酸およびシクロヘキサンジカルボン酸のジカルボン酸由来の残基を有することが必要である。典型的な例としては、エチレングリコールおよびスピログリコールを用いて共重合して得られる構造を有した共重合ポリエステルや該2種のジオールを用いて重合して得られる構造を有したポリエステルをブレンドして得られるポリエステルがある。この構成であると成形加工し易く、かつ反射率も高いために好ましい。
また、本発明に用いるポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bは、本発明の目的を阻害しない範囲において他の樹脂が含まれていてもよい。例として挙げれば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂があげられる。また、巻き特性、剛性、光学特性などの機能を付与するために、コロイダルシリカ、酸化チタン、架橋ポリスチレンなどの粒子が含まれていても問題ない。これらの樹脂や粒子は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その添加量は限定されないが、好ましい範囲としては10重量%未満である。
本発明おいて、A層の面内平均屈折率は、B層の面内平均屈折率より相対的に高いものであることが好ましい。 特に本発明では、ポリエステル樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、ポリエステル樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステルであることが好ましい。より好ましくは、シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。より好ましくは、ポリエステル樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、ポリエステル樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールの共重合量が20mol%以上30mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。ポリエステル樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールの共重合量が20mol%以上30mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体であると、積層フィルムの反射ピークの反射率が高反射率となり、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、層間接着性も格段に優れ、かつ製膜時のやぶれも生じにくくなり生産性にも優れるものとなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が20mol%以上30mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のフィルム破れも生じ難いものとなると考えられる。
前記の通り、A層とB層は、本発明の製造方法における二軸延伸フィルムの好ましい特徴である金属光沢調を発するためにはその面内平均屈折率が異なることが好ましい。A層の面内平均屈折率はB層の面内平均屈折率より相対的に高いことが好ましい。また、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、0.1以上であることが特に好ましい。面内平均屈折率差が0.03未満の場合、十分な反射率が得られないことがある。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率の差が0.03以上であり、B層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率差が0.03以下であると、入射角が大きくなっても、反射ピークの反射率低下が起きないため、より好ましい。A層とB層の面内屈折率差を高くするには、B層樹脂の結晶融解温度を、235℃以下にすることが好ましく、そうすることによりテンターの熱処理でB層が配向緩和するため、より屈折率差が高くなる。また、B層が非晶性であると、高温下でも結晶化が生じにくいため、白化といった問題が生じないため好ましい。本発明で言う「非晶性」とは、示差熱量分析(DSC)において昇温速度5℃/分で昇温させたときの結晶融解熱量が0.1mJ/mg未満であることを指す。
ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bのガラス転移温度差が20℃以下である組合せが好ましい。ガラス転移温度差が20℃より大きい場合には二軸延伸積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、金属光沢の外観不良となり易くなる。また、二軸延伸積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすい。
本発明の製造方法により得られる二軸延伸積層フィルムは、フィルム両表面における波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が20%以上であることが好ましい。これにより光沢感のあるフィルムを得ることができる。そのためには、層厚みを20nm以上500nm以下の範囲で徐々に厚くもしくは薄くすることにより、反射する帯域を希望の値に近づけることができる。より理想的な層厚みの範囲としては、30nm以上370nm以下である。
また、フィルム両表面における波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が20%以上であることがより好ましい。この場合、成形後も光沢感を維持し、視野角によっても色の変化がほとんど起きないものとなる。これは、可視光より高波長側(700nm以上)でも絶対反射率が20%以上であるためで、例え延伸によってフィルム厚みが薄くなったり、視野角によって反射帯域が低波長側にシフトしても、可視光領域の絶対反射率は20%以上を維持できるためである。より好ましくは、波長帯域400nm〜1000nmの絶対反射率が60%以上である。絶対反射率が高くなるほど光沢感が高くなり、金属調の外観とすることが可能となる。反射帯域は各層の層厚みを、下記式Aに基づいて反射が起こるように設計される。また、反射率についてはA層とB層の屈折率差と、A層とB層の層数にて制御する。
2×(na・da+nb・db)=λ 式A
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が20%未満の場合、輝度の高い金属調の外観とはならず、家電や自動車内装などへの意匠性が下がるため好ましくない。
2×(na・da+nb・db)=λ 式A
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
波長帯域400nm〜700nmの絶対反射率が20%未満の場合、輝度の高い金属調の外観とはならず、家電や自動車内装などへの意匠性が下がるため好ましくない。
本発明における二軸延伸積層フィルムは、波長帯域400〜1400nmの絶対反射率が20%以上であることが特に好ましい。この場合、高温成形時で深絞り成形を行った後でも、色の変化がほとんど起きないものとなる。より好ましくは50%以上であり、この場合、高温成形時で深絞り成形を行った後でも、色の変化が全く起きないものとなる。さらに好ましくは75%以上であり、色の変化が全くなく、かつ金属光沢に優れるものである。
本発明における二軸延伸積層フィルムの表面に、本発明の効果を阻害しない範囲で、ハードコート層、着色層、易滑層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、紫外線吸収層、印刷層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
本発明における二軸延伸積層フィルムは、ポリマーで構成され、金属や重金属などを基本的には含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。また、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形などの各種成形法が適用できるため、低コストで立体形状を形成するものとすることが可能である。成形方法は、特に限定されるものではなく、一般に公知の成形方法、例えば、真空成形法、真空・圧空成形法、ブロー(吹き込み)成形法、プレス成形法、インサートインジェクション成形法、インモールド(金型内)成形法、押し出し成形法等で成形することができる。真空成形法および真空・圧空成形法とは、まず熱可塑性樹脂基材の全面または一部に成形加工用粘着シートを貼付しておき、この積層体を成形機の所定の位置に設置し、加熱軟化させ、木型または金型を下から送り込み、真空に引いて型に密着させ(真空成形法)、または真空に引くと共に反対側から圧縮空気で押して型に密着させ(真空・圧空成形法)、成形体を冷却後に型からはずして成形体を得る成形法である。
次に、本発明の製造方法を以下に説明するが、これによって制限されるものではない。
多層積層押出法によるポリエステルフィルムの製造方法について詳細に説明する。製造装置の典型的な例は、図1に示す通りである。2種類のポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機(図示せず)に供給され、融点以上に加熱溶融される。
融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ(図示せず)等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター(図示せず)等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出されたポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bは、次に一方の溶融樹脂Aが供給される溶融樹脂導入管1、他方の溶融樹脂Bが供給される溶融樹脂導入管2、溶融樹脂導入管1により供給された溶融樹脂Aと溶融樹脂導入管2により供給された溶融樹脂Bからなる積層流を形成する多層積層装置3に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックを用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。そのフィードブロックの構造は、多数の微細スリット(スリット状流路)を有する櫛形のスリット板に部材を少なくとも1個有しており、2つの押出機から押し出された樹脂Aと樹脂Bとが、各マニホールドを経由して、スリット板に導入される。ここでは導入板を介して、樹脂Aと樹脂Bが選択的に交互にスリットに流入するため、最終的にはA/B/A/B/A・・・といった多層膜を形成することができる。また、スリット板をさらに重ね合わせることにより、層数を増やすことも可能である。また、両表層部に樹脂Cを設ける場合は、3つ目の押出機から樹脂Cを3層複合装置(フィードブロック)の表層側に導入し、中央層に多層膜を導入することによって、C/A/B/A・・・A/B/A/Cといった多層膜を形成することができる(ポリエステル樹脂Aと前記ポリエステル樹脂Bがスリット状流路を有するフィードブロックを用いて厚み方向に交互に積層され、フラットダイに流入される工程)。
本発明においては、フィードブロック出口からフラットダイまでの樹脂流路部材の摩擦係数μが1以下であることが好ましく、0.9以下がより好ましい。
このようにして多層積層された溶融体が流れる導管4を経て、溶融樹脂Aと溶融樹脂Bとが交互に積層された積層シートを形成する口金5、および口金5から吐出された積層シート6を冷却し、固化するキャスティングドラム7へ接地させる。
ここで、溶融させたポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bをスリット状流路を有するフィードブロックを用いて厚み方向に交互に積層させ、さらに口金(Tダイ)に流入させる工程においては、前記Tダイのマニホールド中央部高さをTa、マニホールド端部高さをTbとしたとき、式(1)を満たすことが好ましい。
式(1)・・・Ta>Tb
図2にTダイ内部流路概略図(正面断面図および側面断面図)を示す。本発明でいうマニホールド部とは、積層流が流れる導管出口から積層流がフィルム幅方向に拡幅し、縮流するまでのTダイ内樹脂流路のことを表す。Tダイ内樹脂流路を式(1)を満たす構造とすることにより、積層流の幅方向への拡幅が緩やかとなり、フローマークや層の断裂などの界面不安定現象および干渉ムラの発生をさらに抑制させることができる。式(2)を満たすことがより好ましく、式(3)を満たすことがさらに好ましい。
式(2)・・・Ta>1.2×Tb
式(3)・・・5.0×Tb>Ta>1.5×Tb
キャスティングドラム7上にシート状にする際、たとえば、ワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。キャスティングドラム7で固化した積層シートは、通常、未延伸フィルム8と呼称される。
式(1)・・・Ta>Tb
図2にTダイ内部流路概略図(正面断面図および側面断面図)を示す。本発明でいうマニホールド部とは、積層流が流れる導管出口から積層流がフィルム幅方向に拡幅し、縮流するまでのTダイ内樹脂流路のことを表す。Tダイ内樹脂流路を式(1)を満たす構造とすることにより、積層流の幅方向への拡幅が緩やかとなり、フローマークや層の断裂などの界面不安定現象および干渉ムラの発生をさらに抑制させることができる。式(2)を満たすことがより好ましく、式(3)を満たすことがさらに好ましい。
式(2)・・・Ta>1.2×Tb
式(3)・・・5.0×Tb>Ta>1.5×Tb
キャスティングドラム7上にシート状にする際、たとえば、ワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。キャスティングドラム7で固化した積層シートは、通常、未延伸フィルム8と呼称される。
次いで、未延伸フィルム8は、通常、矢印NSで示すように延伸工程へ送られ、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行なう。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、それぞれの方向に、好ましくは、2.5〜3.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.5倍、特に好ましくは3〜3.4倍が採用される。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが望ましい。また延伸温度は、ガラス転移点〜(ガラス転移点+50℃)の温度が採用されるが、さらに好ましくは90〜130℃、特に好ましくは長手方向の延伸温度を100〜120℃、幅方向の延伸温度を90〜110℃とするのがよい。また、延伸は各方向に対して複数回行なってもよい。
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行なう。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行なうことができる。この熱処理は120℃以上、ポリエステルの融点以下の温度で行われるが、200〜240℃の熱処理温度とするのが好ましい。フィルムの透明性、寸法安定性の点からは210〜235℃であればより好ましい。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは1〜30秒間行なうのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。さらに、横延伸工程の前で、インク印刷層や接着剤、蒸着層との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行うことや、コーティング層を設けることもできる。このときの塗工液はロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、バーコーター、ダイコーター、ディップコーター等の公知の塗工手段を用いて、前記透明基材に塗布する。
同時二軸延伸の場合について説明する。同時二軸延伸の場合、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次いで、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行なうことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行なうのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。
このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
(1)ポリエステルの組成
樹脂またはフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)もしくはHFIPとクロロホルムの混合溶媒に溶解し、1H−NMRおよび13C−NMRを用いて各残基について定性した。
樹脂またはフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)もしくはHFIPとクロロホルムの混合溶媒に溶解し、1H−NMRおよび13C−NMRを用いて各残基について定性した。
(2)摩擦係数μ
樹脂流路部材の摩擦係数μは、特開平7−5095号公報に記載されている摩擦係数測定方法及び装置並びに測定試料作製方法を用いて算出した。
樹脂流路部材の摩擦係数μは、特開平7−5095号公報に記載されている摩擦係数測定方法及び装置並びに測定試料作製方法を用いて算出した。
試料ケース単独で、その枠体で囲まれた盆状の内表面に離型剤を塗布してテフロンコーティングを施し、その上に粒子状のLLDPE樹脂を載せる。なお、試料ケースは円筒状であり、その内径は2cmである。次いで、試料ケースの加熱手段により150℃まで加熱してLLDPE樹脂を溶融し、室温まで冷却して測定表面が平面状のLLDPEの測定試料を作製する。
摩擦係数測定装置の基台の加熱手段の上部に樹脂流路部材と同じ材質・方法にて表面処理した平板の摩擦板サンプルを組み付ける。次いで、摩擦板サンプルの表面上に摩擦係数を測定するLLDPEの測定試料を測定面が下側になるように載置し、LLDPEの測定試料の上に100gの試料ケースをその枠体内にLLDPEの測定試料がはまり込むようにして被せる。次いで、基台の加熱手段により、前記摩擦板サンプル及びLLDPEの測定試料を190℃まで加熱後、前記試料ケースの上側の面に荷重150gの重りを載せ、試料ケースの枠体に設けられたフックに接続線を繋ぐ。その際、試料ケースの加熱手段は用いない。次いで、この状態から引張り試験機を作動させ、試料ケースの枠体の縁が摩擦板サンプルに接触しないようにして、500mm/minの一定速度で試料ケースを引張り、LLDPEの測定試料が摩擦板サンプルの表面上を躍動した時の引張り力を、接続線を介してロードセルにより計測し、樹脂流路部材と同じ材質・方法にて表面処理した平板で計測した摩擦係数を樹脂流路部材の摩擦係数μとして算出した。摩擦係数μの定義は以下の通りである。
・摩擦係数μ=引張り力/(試料ケースの重量+荷重)
(3)フィルム厚み
ソニー・プレシジョン・テクノロジー株式会社製のデジタルマイクロメーターμメイトM−30を用いて、任意の10点のフィルム厚みを測定し、その平均値をフィルム厚みとした。
・摩擦係数μ=引張り力/(試料ケースの重量+荷重)
(3)フィルム厚み
ソニー・プレシジョン・テクノロジー株式会社製のデジタルマイクロメーターμメイトM−30を用いて、任意の10点のフィルム厚みを測定し、その平均値をフィルム厚みとした。
(4)フィルムの層構成及び層厚み
ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製、H−7100FA型)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40,000倍に拡大して観察し、断面部分を撮影して層構成及び層厚みを測定した。また、各層の合計厚みを積層フィルム全体厚みとした。なお、コントラストを高く得るために、RuO4を使用してサンプルを染色した。
ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製、H−7100FA型)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40,000倍に拡大して観察し、断面部分を撮影して層構成及び層厚みを測定した。また、各層の合計厚みを積層フィルム全体厚みとした。なお、コントラストを高く得るために、RuO4を使用してサンプルを染色した。
フィルムの層構成及び層厚みの具体的な求め方を説明する。約40,000倍のTEM写真を、CanonScanD123U(キャノン(株)製)を用いて画像サイズ729dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで、画像処理ソフト(販売元プラネトロン(株)、Imagc−Pro Plus ver.4)を用いて、該JPEGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域における平均の明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)でデータ採取後、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBA(ビジュアル・ベーシック・フォア アプリケーションズ)プログラムにより、微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
(5)干渉ムラ
二軸延伸積層フィルムから、8cm(フィルム幅方向)×10cm(フィルム長手方向)の大きさのサンプルを50枚切り出し、ハードコート層の反対面に黒色光沢テープ(ヤマト(株)製 ビニ−ルテープNo.200−50−21:黒)を気泡が噛み込まないように貼り合わせた。このサンプルを暗室にて3波長蛍光灯(松下電器産業(株)製 3波長形昼白色(F・L 15EX−N 15W))の直下30cmに置き、視角を変えながら目視により干渉縞の程度を観察し、以下の評価を行った。評価は50枚評価を行った内の、最低の評価にて行った。実用レベルのものはBとし、A以上のものは良好とした。
結果の判定は以下基準で実施し、A以上が合格範囲である。
SS:干渉ムラが見えない。
S:干渉ムラがほぼ見えない
A:干渉ムラがわずかに見える
B:干渉ムラが見える。
二軸延伸積層フィルムから、8cm(フィルム幅方向)×10cm(フィルム長手方向)の大きさのサンプルを50枚切り出し、ハードコート層の反対面に黒色光沢テープ(ヤマト(株)製 ビニ−ルテープNo.200−50−21:黒)を気泡が噛み込まないように貼り合わせた。このサンプルを暗室にて3波長蛍光灯(松下電器産業(株)製 3波長形昼白色(F・L 15EX−N 15W))の直下30cmに置き、視角を変えながら目視により干渉縞の程度を観察し、以下の評価を行った。評価は50枚評価を行った内の、最低の評価にて行った。実用レベルのものはBとし、A以上のものは良好とした。
結果の判定は以下基準で実施し、A以上が合格範囲である。
SS:干渉ムラが見えない。
S:干渉ムラがほぼ見えない
A:干渉ムラがわずかに見える
B:干渉ムラが見える。
(6)フィルム表面の凹凸と個数
1m×1mのサイズの二軸延伸積層フィルムをフラットイルミネーター(日本電通(株)製、HF−SL−A48LCG)上に置き、視認できるスジの有無を確認した。次いで、スジ発生部を表面形状測定装置((株)菱化システム製、VertScan2.0)によりフィルム両面を観察し、フィルム表面の凹凸平均高さおよび幅を求め、スジの数を数えた。
フラットイルミネーター輝度:10,000cd
表面形状測定装置:(株)菱化システム、VertScan2.0
観察倍率:対物レンズ5倍
測定環境:23℃、湿度65%RH。
1m×1mのサイズの二軸延伸積層フィルムをフラットイルミネーター(日本電通(株)製、HF−SL−A48LCG)上に置き、視認できるスジの有無を確認した。次いで、スジ発生部を表面形状測定装置((株)菱化システム製、VertScan2.0)によりフィルム両面を観察し、フィルム表面の凹凸平均高さおよび幅を求め、スジの数を数えた。
フラットイルミネーター輝度:10,000cd
表面形状測定装置:(株)菱化システム、VertScan2.0
観察倍率:対物レンズ5倍
測定環境:23℃、湿度65%RH。
(7)スジ視認性
二軸延伸積層フィルムをノートパソコン(パナソニック(株)製、CF−N9、画面サイズ縦165mm×横260mm)の明るさ設定を最も明るくした状態で全面白色としたディスプレイ前面に置き、該二軸延伸積層フィルムを通して見た場合に、以下の基準でスジの視認性を評価した。スジが直線状のものはスジ長を長径、スジが弧状のものは弦の長さを長径とした。なお、ディスプレイを通して視認できる長径3mm以上のスジは暗室下の方が視認し易いため、暗室下で評価した。
○○:暗室下で長経3mm以上のスジが視認できない。
○:暗室下で長経3mm以上のスジが視認できるが、長径5mm以上のスジが視認できない。
×:暗室下で長径5mm以上のスジが視認できる。
二軸延伸積層フィルムをノートパソコン(パナソニック(株)製、CF−N9、画面サイズ縦165mm×横260mm)の明るさ設定を最も明るくした状態で全面白色としたディスプレイ前面に置き、該二軸延伸積層フィルムを通して見た場合に、以下の基準でスジの視認性を評価した。スジが直線状のものはスジ長を長径、スジが弧状のものは弦の長さを長径とした。なお、ディスプレイを通して視認できる長径3mm以上のスジは暗室下の方が視認し易いため、暗室下で評価した。
○○:暗室下で長経3mm以上のスジが視認できない。
○:暗室下で長経3mm以上のスジが視認できるが、長径5mm以上のスジが視認できない。
×:暗室下で長径5mm以上のスジが視認できる。
(8)積層ムラ
積層フィルムの各層の厚みを、(4)フィルムの層厚み測定方法にて、多層積層フィルムの幅方向を等分に10区分する点において行う。10点の各層の厚みの最大値から最小値を引いて最小値で割った値を、各層の積層ムラとして算出し、各層の積層ムラの平均値を積層ムラ(全層の積層ムラ)とした。なお多層積層フィルムの幅は、400mm以上であることが好ましい。
積層フィルムの各層の厚みを、(4)フィルムの層厚み測定方法にて、多層積層フィルムの幅方向を等分に10区分する点において行う。10点の各層の厚みの最大値から最小値を引いて最小値で割った値を、各層の積層ムラとして算出し、各層の積層ムラの平均値を積層ムラ(全層の積層ムラ)とした。なお多層積層フィルムの幅は、400mm以上であることが好ましい。
(実施例1)
2種類のポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bを用いた。ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65、結晶融解温度255℃、結晶融解熱量41mJ/mg、結晶化温度155℃のポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)[東レ製F20S]を用い、ポリエステル樹脂Bとして、PET[東レ製F20S]15質量%、全フタル酸成分に対してシクロヘキサンジカルボン酸を29mol%、全ジオール成分に対してスピログリコールを21mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(以下、SPG共重合PETということがある)85質量%、さらに前記ポリエステル樹脂組成物全体に対して、酸化防止剤[ADEKA製“アデカスタブ”(登録商標)AS36]0.05質量%をベント付き二軸押出機で溶融混練して押し出し、吐出物を冷水で固化したチップを用いた。
2種類のポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bを用いた。ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65、結晶融解温度255℃、結晶融解熱量41mJ/mg、結晶化温度155℃のポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)[東レ製F20S]を用い、ポリエステル樹脂Bとして、PET[東レ製F20S]15質量%、全フタル酸成分に対してシクロヘキサンジカルボン酸を29mol%、全ジオール成分に対してスピログリコールを21mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(以下、SPG共重合PETということがある)85質量%、さらに前記ポリエステル樹脂組成物全体に対して、酸化防止剤[ADEKA製“アデカスタブ”(登録商標)AS36]0.05質量%をベント付き二軸押出機で溶融混練して押し出し、吐出物を冷水で固化したチップを用いた。
ポリエステル樹脂A,Bは個別の押出機にて280℃で溶融状態とした。溶融状態の各樹脂は、個別のギヤポンプ及びフィルタを介して、301個のスリットを有する部材を別個に3個有する901層のフィードブロックにて合流させた。なお、両表層部分は樹脂Aとなり、樹脂Aと樹脂Bが交互に積層され、かつ隣接する樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層の層厚みは、ギヤポンプにて吐出比がポリエステル樹脂A/ポリエステル樹脂B=1/1になるように計量しながら、設定した。次いで、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの積層流が流れる導管、さらにスリット間隙が調整可能なTダイに導いてシート状に成形した。マニホールド中央高さTa35mm、マニホールド端部高さTb35mmのTダイを使用した。Tダイ内部流路概略図(正面および側面断面)を図2に示すとおりであり、マニホールド部は積層流が流れる導管出口から積層流がフィルム幅方向に拡幅し、縮流するまでのTダイ内樹脂流路である。その後、シート状にした積層樹脂は静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸キャストフィルムを得た。
得られた未延伸キャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。両面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷した。このとき得られたフィルムの厚みは100μmであり、幅2500mm、長さ50000mのフィルムを製造した。最表層の積層厚みは0.8μmであり、表層から厚み方向5μmまでの積層数は、10層であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
マニホールド中央高さTa140mm、マニホールド端部高さTb40mmのTダイを使用したこと以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
マニホールド中央高さTa140mm、マニホールド端部高さTb40mmのTダイを使用したこと以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例3)
マニホールド中央高さTa65mm、マニホールド端部高さTb35mmのTダイを使用したこと以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
マニホールド中央高さTa65mm、マニホールド端部高さTb35mmのTダイを使用したこと以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例4)
フィードブロックのスリット形状等を変更して厚み調整し、最表層の積層厚みは0.9μmであり、表層から厚み方向5μmまでの積層数は、45層であること以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
フィードブロックのスリット形状等を変更して厚み調整し、最表層の積層厚みは0.9μmであり、表層から厚み方向5μmまでの積層数は、45層であること以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例1)
フィードブロックのスリット形状等を変更して厚み調整し、最表層の積層厚みは1μmであり、表層から厚み方向5μmまでの積層数は、10層であること以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
フィードブロックのスリット形状等を変更して厚み調整し、最表層の積層厚みは1μmであり、表層から厚み方向5μmまでの積層数は、10層であること以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例2)
フィードブロックのスリット形状等を変更して厚み調整し、最表層の積層厚みは0.8μmであり、表層から厚み方向5μmまでの積層数は、55層であること以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
フィードブロックのスリット形状等を変更して厚み調整し、最表層の積層厚みは0.8μmであり、表層から厚み方向5μmまでの積層数は、55層であること以外は、実施例1記載の方法にて積層フィルムを得た。結果を表1に示す。
本発明により、フローマークや層の断裂などの界面不安定現象およびリップルと呼ばれる干渉ムラの発生を抑制し、外観品位の優れた二軸延伸積層フィルムを提供することができる。例えば、携帯電話、パソコンなどの情報通信機器、洗濯機、炊飯ジャーなどの家電製品の意匠用途、スマートフォン等のディスプレイの画面保護、液晶ディスプレイのバックライトに用いられる偏光反射フィルム、反射板、異方拡散等の光学フィルタ用途、デジタルサイネージ(電子看板)等に用いられるスクリーン用途、自動車やゲーム機に用いられるヘッドアップディスプレイ用途、建材用途および自動車用途の加飾成形用途の金属メッキ代替部材に好適に用いることができる。
1:溶融樹脂Aが供給される樹脂導入管
2:溶融樹脂Bが供給される樹脂導入管
3:多層積層装置
4:積層流が流れる導管
5:口金(Tダイ)
6:積層シート
7:キャスティングドラム
8:未延伸フィルム
9:マニホールド部
10:マニホールド中央部高さTa
11:マニホールド端部高さTb
2:溶融樹脂Bが供給される樹脂導入管
3:多層積層装置
4:積層流が流れる導管
5:口金(Tダイ)
6:積層シート
7:キャスティングドラム
8:未延伸フィルム
9:マニホールド部
10:マニホールド中央部高さTa
11:マニホールド端部高さTb
Claims (2)
- ポリエステル樹脂Aを用いてなる層(以下、A層という)と、エチレングリコールおよびスピログリコールのジオール由来の残基およびテレフタル酸およびシクロヘキサンジカルボン酸のジカルボン酸由来の残基を有するポリエステル樹脂Bを用いてなる層(以下、B層という)が交互にそれぞれ150層以上積層された構造を含む二軸延伸積層フィルムにおいて、最表層積層厚みが1μm未満で、表層から厚み方向5μmまでの積層数が50層以下であり、フィルム表面に平均高さ0.1μm以上5μm以下、かつ幅30μm以上の500μm以下の凹凸がないことを特徴とする二軸延伸積層フィルム。
- 溶融させたポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bがスリット状流路を有するフィードブロックを用いて厚み方向に交互に積層され、さらにTダイに流入させる工程を有する二軸延伸積層フィルムの製造方法であって、前記Tダイのマニホールド中央部高さをTa、マニホールド端部高さをTbとしたとき、式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸積層フィルムの製造方法。
式(1)・・・Ta>Tb
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