JP2019155621A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 自然光や各種光源に含まれる可視光線の中でも、特に目に強く飛び込み不快感を与える赤色光線を標的とし、多層積層構造の光線反射を利用した積層体において、光学設計に基づいた干渉色むら低減、ならびに、積層ユニット内部の多層積層構造に由来する干渉色むらを視認しにくくするハードコート設計を行い、常にクリアな見栄えを有する積層体を提供する。【解決手段】結晶性ポリエステルAを主成分とするA層、および、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を交互に51層以上積層した積層ユニットと、前記積層ユニットの少なくとも片面に易接着層および硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層をこの順に有する積層体であって、ハードコート層が前記積層体の少なくとも片側表層にあり、全光線透過率が50%以上であり、かつ、前記表層にあるハードコート層の表面をフィルム面直方向を0°として15°から40°まで0.5°ずつ波長610nmにおける光線反射率を求めたときの光線反射率の最大値と最小値の差が0.5%以上9%以下である、積層体である。【選択図】なし

Description

本発明は、結晶性ポリエステルAを主成分とするA層、および、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を交互に51層以上積層した積層ユニットと、前記積層ユニットの少なくとも片面に易接着層および硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層をこの順に有する積層体に関する。
熱可塑性樹脂フィルム、中でもポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから、磁気記録材料や包装材料などの多くの用途において、基材フィルムとして広く使用されている。
特定の波長光線を遮蔽する光線カットポリエステルフィルムは、光や熱などの環境因子から、適用製品の内部環境や構成成分の劣化を防止する目的で、多岐の分野にわたり利用されている。代表例として、建材や自動車用途では室内温度上昇を抑制するための熱線カットフィルム、工業材料用途では紫外線レーザー表面加工時の過剰な紫外線を吸収するための紫外線カットフィルム、電子情報分野ではディスプレイ光源から発せられる目に悪い青色光線をカットするブルーライトカットフィルムが利用されている。さらに、その他食品、医療、農業、インクなどの分野においても、内容物の光劣化を抑制する目的で特定波長帯域の光線カットフィルムが用いられる。
特定波長帯域の光線を遮蔽する方法として、光吸収剤を添加する方法、光反射を利用する方法、および、その両方を用いる方法が用いられている。一般的には、光吸収剤を樹脂に添加する方法(特許文献1)が用いられるが、紫外線吸収剤の種類や添加量に応じて、フィルム製膜時に口金付近や真空ベント口においてブリードアウト発生を招くことが知られている。これにより、製膜工程が汚染されることによるフィルム欠点発生、光吸収剤含有濃度減少によるカット性能低下といった、フィルム自体の品位を損なう問題が発生する。また、光吸収剤は、基本骨格となる分子構造や側鎖の影響により、吸収波長帯域がブロードとなりやすく、特定の波長をピンポイントにかつ急峻に遮蔽することが困難となる場合が多い。
一方、光反射を利用する方法(特許文献2)は、屈折率の異なる樹脂を複数層積層した積層ユニットで達成可能であり、樹脂の屈折率、各層の層厚み、層数ならびに層厚みの分布を精密に制御することで、光吸収剤添加で達成しえない急峻な光線カットを実現できる。しかしながら、急峻な光線カットが得意である一方で、反射波長帯域での光線カット性は光吸収剤を用いた場合よりも劣る傾向があり、さらに、可視光線領域を反射帯域に含む場合、前面に反射された光線が強く視認され着色を招く問題がある。
そこで、光吸収剤添加と光反射、それぞれのデメリットを補い合う目的で、積層ユニット内に少量の光吸収剤を添加する併用処方が利用されている。(特許文献3、4、5)この場合、光反射帯域内のみを吸収可能な光吸収剤を選択し添加することで、吸収波長帯域の端部は光反射の効果により急峻でありながら、カット波長帯域は光吸収剤の効果で十分なカット性を有するものとなる。また、積層ユニットに基づく多重干渉反射技術による光路長増大効果により、光吸収剤の添加濃度を大きく低減することが可能となる。さらに、積層ユニット内の複数界面の存在により、添加した光吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。
特開2013−210598号公報 特表2015−533222号公報 特表2013−511746号公報 特開2016−215643号公報 国際公開第2016/148141号
積層ユニットを利用する場合、反射色調とは別に、フィルム最表面の樹脂と空気との屈折率差、ならびに、積層ユニット内部の各界面での樹脂の屈折率差により生じる、干渉色むらが強く視認される問題点がある。干渉色むらとは、反射スペクトル測定時に反射率のうねりとして示されるものであり、波長に依存して連続的に反射率が大小変化することで、ある波長は強く反射され、異なる波長の光線は反射強度が弱くなる傾向を示すことから、全体で色むらとして視認される。また、角度を変えて斜め方向から積層ユニットを視認する場合、フィルム面直方向から視認した場合と比較してスペクトルがシフト変化するため、強く反射される波長もシフト変化し、可視光領域の様々な波長における反射率の強弱変化を引き起こすため、強い色むらが視認される。干渉色むらを弱める手段の一つとして、積層ユニットを構成する2種類の異なる樹脂の屈折率差を小さくすることが挙げられるが、積層ユニット自体の光反射を弱めることとなり、本来の目的に反する結果となる。
積層ユニットが最表面に位置するように実装して視認した場合、積層ユニット由来の干渉色むらは特に目立って視認される。例えば、クリアな色表示が要求されるディスプレイ向けの光学フィルムとして、偏光子など紫外線で劣化する構成成分を保護するための紫外線カットフィルムや、視力保護のためのブルーライトカットフィルムが使用されるが、多層積層構造を有する積層ユニットを最表面に貼り合わせて使用した場合、強く視認される干渉色むらの影響により画像の視認性悪化を生じることから、積層ユニット由来の干渉色むらを解消することが求められる。
本発明では、自然光や各種光源に含まれる可視光線の中でも、特に目に強く飛び込み不快感を与える赤色光線を標的とし、光学設計に基づいた干渉色むら低減、ならびに、積層ユニット内部の多層積層構造に由来する干渉色むらを視認しにくくするハードコート設計を行い、適用製品や環境に左右されることなく常にクリアな見栄えを有する積層体を提供することを目的とする。
本発明は次の構成からなる。すなわち、
結晶性ポリエステルAを主成分とするA層、および、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を交互に51層以上積層した積層ユニットと、前記積層ユニットの少なくとも片面に易接着層および硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層をこの順に有する積層体であって、ハードコート層が前記積層体の少なくとも片側表層にあり、全光線透過率が50%以上であり、かつ、前記表層にあるハードコート層の表面をフィルム面直方向を0°として15°から40°まで0.5°ずつ波長610nmにおける光線反射率を求めたときの光線反射率の最大値と最小値の差が0.5%以上9%以下である、積層体である。
本発明の積層体は、光学設計に基づいて積層ユニットならびに易接着層、ハードコート層を設計することで、積層ユニット本来の反射効果や波長カット性を維持しながら、特に目に強く飛び込み不快感を与えうる赤色の干渉色むらを抑制し、高透明かつ高品位な光線カット積層体を実現可能となる。
以下、本発明の積層体について詳細に説明する。
本発明の積層体は、結晶性ポリエステルAを主成分とするA層、および、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を交互に51層以上積層した積層ユニットと、前記積層ユニットの少なくとも片面に易接着層および硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層をこの順に有する積層体であって、ハードコート層が前記積層体の少なくとも片側表層にあり、全光線透過率が50%以上であり、かつ、前記表層にあるハードコート層の表面を、フィルム面直方向を0°として0.5°ずつ15°から40°までの、波長610nmにおける光線反射率を求めたときの光線反射率の最大値と最小値の差が0.5%以上9%以下であることが必要である。
本発明でいうポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールとを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られる縮重合体のことである。ポリエステルの工業的製造方法としては、公知の如く、エステル交換反応(エステル交換法)や直接エステル化反応(直接重合法)が用いられる。ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも高い屈折率を発現するテレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく用いられる。ジカルボン酸成分はこれらのうち1種類を用いても良く、2種以上を併用して用いても良い。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種類のみ用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明における結晶性ポリエステルAは、例えば、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンナフタレートやその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートやその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートやその共重合体などを用いることが出来る。このとき、共重合成分としては、前記のジカルボン酸成分およびジオール成分が、それぞれ1種類以上、共重合されていることが好ましい。特に、強度や耐熱性、透明性および汎用性の観点から、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはその共重合体、もしくは、ポリエチレンナフタレートおよび/またはその共重合体を用いることが最も好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂Bは、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチルペンテン)、ポリイソブチレン,ポリイソプレン、ポリブタジエン,ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン,ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリノルボルネン、ポリシクロペンテンなどに代表されるポリオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などに代表されるポリアミド系樹脂、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アクリルメタクリレートコポリマー、エチレン/ノルボルネンコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー,プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーなどに代表されるビニルモノマーのコポリマー系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド,ポリアクリロニトリルなどに代表されるアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどに代表されるポリエステル系樹脂、ポリエチレンオキシド,ポリプロピレンオキシド、ポリアクリレングリコールに代表されるポリエーテル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロースに代表されるセルロースエステル系樹脂、ポリ乳酸,ポリブチルサクシネートなどに代表される生分解性ポリマー、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリシロキサン、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂Bは、合成ポリマーであることが好ましく、ポリオレフィン系、アクリル系、ポリエステル系、セルロースエステル系、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォンがより好ましい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル系、トリアセチルセルロースが特に好ましい。また、これらは1種類単独で利用しても、2種類以上のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイとして利用してもよい。中でも、結晶性ポリエステルAとの密着性および積層性、および汎用性の観点から、熱可塑性樹脂Bとしてポリエステル系を選択することが最も好ましい。
本発明の積層体において、熱可塑性樹脂Bは、結晶性ポリエステルAと異なることが必要である。本発明において結晶性ポリエステルAと異なるとは、具体的には、フィルムの面内で任意に選択される直交する2方向および該面に垂直な方向のいずれかにおいて、熱可塑性樹脂Aの屈折率と0.01以上異なることを指す。屈折率の異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係より設計した波長の光を反射させることが出来る干渉反射を発現させることが可能となる。さらに、積層する樹脂の層厚み、および、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率差に基づく式(1)に従い反射光線波長(λ)が、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bとの屈折率差に基づく式(2)に従い反射率(R)が概ね決定される。(nA、nBはそれぞれ結晶性ポリエステルA、熱可塑性樹脂Bの屈折率を、dA、dBは各層の層厚みを指す。θA、θBは積層体の面直方向から見てそれぞれA層からB層に入射するときの入射角、B層からA層へと入射する際の入射角を指す。kは、任意の自然数である。)結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bとして同一の屈折率を有する熱可塑性樹脂を利用した場合、特に面直方向への入射において、式(2)の分子は0となるため、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bとの界面における干渉反射は発生しないことを意味する。
Figure 2019155621
Figure 2019155621
本発明における、交互に積層するとは、A層を構成する結晶性ポリエステルAとB層を構成する熱可塑性樹脂Bとが厚さ方向に規則的な配列で積層されていることをいい、A(BA)n(nは自然数)、あるいは、B(AB)n(nは自然数)の規則的な配列に従って樹脂が積層された状態を指す。A(BA)n(nは自然数)、および、B(AB)n(nは自然数)の構成を有する積層ユニットを製膜する場合、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、公知の積層装置であるマルチマニホールドタイプのフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。特に、本発明の構成を効率よく得るためには、微細スリットを有するフィードブロックを用いる方法が高精度な積層を実現する上で好ましい。スリットタイプのフィードブロックを用いて積層ユニットを形成する場合、各層の厚みおよびその分布は、スリットの長さや幅を変化させて圧力損失を傾斜させることにより達成可能となる。スリットの長さとは、スリット板内でA層とB層を交互に流すための流路を形成する櫛歯部の長さのことである。
本発明の積層ユニットにおいては、A(BA)n(nは自然数)の構成とすることで、結晶性を示す結晶性ポリエステルAが最外層に位置する構成となるため、より好ましい。熱可塑性樹脂Bが非結晶性の樹脂からなる場合、B(AB)n(nは自然数)の構成の積層ユニットの製膜において、後述の一般的な逐次二軸延伸方法と同様にして積層ユニットを得る場合、ロールやクリップなどの製造設備への粘着による製膜不良や、表面性の悪化などの問題が生じる場合があることから好ましくない。
本発明の積層ユニットは、結晶性ポリエステルAを主成分とするA層、および、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層が交互に51層以上積層されてなることが必要である。屈折率の異なる結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bが交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みの関係に基づいて特定の波長の光線を反射可能となる、光干渉反射効果を発現可能となる。51層以上の場合には、光干渉反射効果により、反射波長帯域全体にわたって比較的高い反射率を得ることができ、光吸収剤と併用することで十分な光線カットを実現することが可能となるため好ましい。また、前述の光干渉反射は、層数が増えるほど反射波長帯域の光線に対してより高い反射率を実現できるようになり、所望する波長帯域の光線を十分カットできる積層ユニットが得られるようになる。光線反射によるカット性の観点から、積層ユニットの層数は100層以上が好ましく、より好ましくは300層以上、さらに好ましくは700層以上である。また、層数に上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることでのハンドリング性の悪化が生じるために、現実的には5000層以下が実用範囲となる。
さらに、光吸収剤添加と光線反射を併用する光線カットフィルムの場合、積層ユニットを構成する樹脂のいずれかに光吸収剤を添加することが好ましい。ただし、光吸収剤の多くは低分子成分であるため、製膜工程や製膜後の長期耐久試験において光吸収剤が表面析出・揮散(ブリードアウト)する場合がある。より内側の層に位置する層(たとえば、A(BA)n(nは自然数)の構成を有する場合、熱可塑性樹脂B)の中に添加することで揮散を抑制することができるが、低積層数の場合には完全なブリードアウト防止ができない場合がある。51層以上の積層フィルムを用いることで、各層の界面や層の内部で光吸収剤がトラップされ、フィルム表面に析出するのを抑制できるようになるため、長期にわたる使用に適した積層体となる。
本発明における積層体は、前記積層ユニットの少なくとも片面に、易接着層、および、硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層をこの順(すなわち、積層ユニット/易接着層/ハードコート層の順)に有することが必要である。本発明における易接着層は、積層ユニット表面に均一な屈折率を示す膜を形成するだけでなく、易滑性や接着性などの機能を付与することができる。そのため、易接着層を積層した積層ユニットを巻取った際にフィルム同士が接着しブロッキングすることを防止するだけでなく、その他積層構成部材との接着性も良好にする性質を有する。このため、易接着層は積層ユニットの少なくとも片面に塗布する必要があり、積層ユニットの両面に塗布されることがより好ましい。少なくとも片面にハードコート層を積層する本発明においては、ハードコート層と積層フィルム表面との間でブロッキングを生じる場合があるため、積層ユニットの両面に易接着層が塗布されてなることが好ましい。この場合、易接着層は両面とも同じ種類の易接着層を塗布しても良く、それぞれの面で異なる種類の易接着層を塗布しても良い。易接着層は、後述の好ましい製造方法に記載の通り、積層ユニット上に必要に応じてコロナ処理を施した上でワイヤーメタバーを用いて均一な膜を形成し、熱処理工程において水分を乾燥する事で形成する事が可能である。
本発明の積層体における易接着層は、硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層と積層ユニットとの密着性を高める役割も担うことから、易接着層の屈折率としては、積層ユニットを構成する結晶性ポリエステルAもしくは熱可塑性樹脂Bの屈折率と、ハードコート層を構成する硬化性樹脂Cの屈折率との間の数値を示すことが好ましく、より好ましくは両樹脂の屈折率の中間(結晶性ポリエステルAまたは熱可塑性樹脂Bの屈折率をα、ハードコート層を構成する硬化性樹脂Cの屈折率をβとしたとき、0.98×(α+β)/2以上1.02×(α+β)/2以下)の値を示すことである。たとえば、結晶性ポリエステルAとしてポリエチレンテレフタレート樹脂を、硬化性樹脂Cとしてウレタンアクリル樹脂を用いる場合、前者は延伸後の屈折率が1.65程度、後者は屈折率が1.50程度と屈折率差が大きいことから、ハードコート層を積層ユニットに直接積層すると界面剥離を引き起こしやすい場合がある。そのため、塗布する易接着層の屈折率は1.51以上1.60以下の値を有することが好ましく、より好ましくは1.55以上1.58以下の屈折率である。
本発明の積層体における硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層は、易接着層を介して積層ユニットの少なくとも片面に積層されていることが必要である。硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層は、積層ユニットの耐擦傷性や寸法安定性などの機能を付加するために少なくとも片面に設けることが必要である。ハードコート層は積層ユニット表面に直接積層することが実質可能であるが、積層ユニット最表面の樹脂との屈折率差により界面剥離が生じる。さらに、後述の通り、易接着層界面で反射される光線との干渉光をハードコート層の屈折率に依存して相殺することができ、直接塗布した場合よりも干渉色むらを低減する効果が高くなる。これらの理由により、ハードコート層は、干渉色むらを低減するために、面内で均一に屈折率が制御される易接着層を介して積層されることが必要である。
本発明の積層体においてハードコート層を構成するために用いる硬化性樹脂Cは、高透明で耐久性があるものが好ましく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッソ系樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂を単独または混合して使用できる。硬化性や可撓性、生産性の点において、硬化性樹脂Cはポリアクリレート樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂に代表されるアクリル樹脂などの活性エネルギー線硬化型樹脂からなることが好ましい。一方、耐擦傷性を主として付与する場合には、熱硬化性のウレタンアクリル樹脂を用いることも可能である。
硬化性樹脂Cとして用いられる活性エネルギー線硬化型樹脂は、構成するモノマー主成分として、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(メタクロイルチオフェニル)スルフィド、2,4−ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,3,5−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、ビス(4− (メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルフィド、ジ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェートなどの多官能(メタ)アクリル系化合物を用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いることが出来る。
また、これら多官能(メタ)アクリル系化合物とともに、活性エネルギー線硬化型樹脂の硬度、透明性、強度、屈折率などをコントロールするため、スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、N−ビニルピロリドン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジメタリルフタレート、ジアリルビフェニレート、あるいはバリウム、鉛、アンチモン、チタン、錫、亜鉛などの金属と(メタ)アクリル酸との反応物などを用いることができる。これらは1種もしくは2種以上を用いてもよい。
活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させる方法として、例えば、紫外線を照射する方法を用いることができるが、この場合には、前記化合物に対し、0.01〜10重量部程度の光重合開始剤を加えることが望ましい。
本発明の積層体の硬化性樹脂Cに用いられる活性エネルギー線硬化型樹脂には、塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的として、本発明における効果を損なわない範囲において、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの各種有機溶剤を配合することができる。ただし、干渉色むらを抑制するために選択するべき好ましい有機溶剤については後述する。
本発明における活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる各種電磁波を意味する。実用的には、紫外線が最も簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。紫外線源により硬化する場合は、酸素阻害を防ぐ点で酸素濃度が出来るだけ低い方が好ましく、窒素雰囲気下や不活性ガス雰囲気下で硬化する方がより好ましい。また、電子線方式の場合は、装置が高価でかつ不活性気体下での操作が必要であるが、光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点から有利である。
耐擦傷性を付加するための熱硬化性ウレタン樹脂としては、ポリカプロラクトンセグメントならびにポリシロキサンセグメントおよび/またはポリジメチルシロキサンセグメントを有する共重合体樹脂を、イソシアネート基を有する化合物と熱反応により架橋させた樹脂が好ましい。熱硬化性ウレタン樹脂を適用することで、ハードコート層を強靭にすると同時に弾性回復性を助長することが可能となり、自己修復性を兼ね備えた耐擦傷性を積層フィルムに付加することが可能となる。
また、他構成部材との接着性・密着性を付加するために利用される硬化性樹脂Cとして、脂環式エポキシ基を有する化合物、ポリオールのポリアクリレート、オキセタン化合物、アルキルアクリレートを単量体単位とする重合体の4種の組み合わせで構成される光硬化性樹脂を用いることができる。この光硬化性樹脂は、偏光子として一般に利用されるPVAとの密着において良好な効果を奏するため、ディスプレイ用光学フィルムにおいて好適に使用することができる。
本発明の積層体は、製品に実装する前後で透明感を損なわないことが求められるため、全光線透過率は50%以上であることが必要であり、さらにヘイズは3%以下が好ましい。全光線透過率およびヘイズとは、JIS−K−7105に準じて、スガ試験機(株)製のヘイズメーターを用いて測定した可視光線帯域(波長380nm以上780nm以下の帯域)での数値を指す。可視光線帯域内の特定波長帯域の光線のみを遮蔽する光線カットフィルムの場合、光吸収剤添加や多層構造による干渉反射を用いることで、クリア感は維持したまま、特定波長帯域の光線以外のすべての光線は透過することが求められる。その場合、全光線透過率は50%以上の数値を示す必要がある。50%を下回る場合は、特定波長帯域のみだけでなく、その他の望ましくない波長帯域の光線をも遮蔽することとなったり、拡散により可視光線帯域全体にわたり透過率が低下することを意味する。より透明感の強い積層体とするためには、全光線透過率は75%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。透明感を維持する目的で、ヘイズ値は2%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以下である。本発明の51層以上の積層体の場合、積層ユニットを構成する層厚みを60nm以下の薄膜層で構成することで、可視光領域の透過率に影響を及ぼさない光学距離構成となるため、高い全光線透過率を実現できる。
本発明の積層体は、表層にあるハードコート層の表面を、フィルムの面直方向を0°として15°から40°まで0.5°ずつ波長610nmにおける光線反射率を求めたときの光線反射率の最大値と最小値の差が0.5%以上9%以下であることが必要である。積層ユニットの面直方向とは、各層が積層されている厚み方向を指す。積層ユニットを製品に実装して用いる場合、常に面直方向のみから視認されるわけではないため、変角においても干渉色むらが視認されないことが求められる。そのため、本発明では、変角状態での干渉色むら(反射スペクトルのうねり)を可能な限り小さくすることが必要となる。
本発明の積層体は、干渉色むらにおいて赤色の干渉色むらを低減することが主たる目的とする。ディスプレイ分野において見栄え評価で用いられる白色3波長光源では、青、緑、赤の3種類の輝線を有しているが、本発明者らが鋭意検討したところ、これら3色の中で赤色光源は、光源強度は強くないものの、最も強く目に飛び込む光源であることが判った。次いで、緑色光源が干渉色むらとして目立つが、これは最も光線強度が高いことによる。そこで、本発明では、赤色光源として一般に高強度を示す波長610nmにおける光線反射率をターゲットとし、当該波長での反射スペクトルのうねりを小さくすることに着目した。これに加えて、波長550nmにおける緑色干渉色むらも同時に抑制されることが好ましい態様である。
本発明のように、3次元的に積層ユニットの屈折率が一様でない特性(複屈折性)を示す結晶性ポリエステルを用いた積層ユニットの場合、分光光度計の連続波長測定において得られる反射スペクトルは、積層ユニットを構成する結晶性ポリエステルAや熱可塑性樹脂Bの屈折率波長依存性により、うねり状の反射率変化を示す。このようなうねり状の反射スペクトルを有する積層ユニットに対し変角測定した場合、光学距離の変化に伴い、反射スペクトルは面直方向の反射スペクトルをシフトさせた形状を示す。そのため、特定の波長をターゲットとして、角度を変えて反射率変化を追跡すると、反射率が連続的にうねり状に変化した数値を示す。
本発明の発明者らは、当初、波長610nmにおける光線反射率の最大値と最小値の差は、0%とすることが最も好ましいと考えていた。しかしながら、波長610nmにおける光線反射率の最大値と最小値の差を0.5%より小さくした場合、青色光源や緑色光源に相当する波長における光線透過率の最大値と最小値の差が反動的に大きくなり、青色や緑色の干渉色むらが非常に強く視認される問題点が生じることが判った。そのため、本発明の積層体は、表層にあるハードコート層の表面を、積層ユニットの面直方向を0°として15°から40°まで0.5°ずつ波長610nmにおける光線反射率を求めたときの最大値と最小値の差は0.5%以上9%以下である必要があり、0.5%以上7%以下が好ましく、赤・緑・青色全ての光線の干渉色むら強度のバランスを取る観点から、0.5%以上5%以下がより好ましい。光線反射率の差が9%より大きい場合は、角度を変えて視認した場合の赤色の干渉色むらが強く視認され、干渉色むらとしての不快感が非常に強いものとなる。
本発明の積層体は、フィルム面直方向を0°として、フィルム面直方向に対して12°傾斜させて波長500nm以上700nm以下における光線反射率をもとめたときの光線反射率の最大値と最小値の差が3%以下であることが好ましい。この場合の光線反射率は、後述する測定方法において、日立ハイテク(株)製の分光光度計に付属する12°絶対反射率測定ユニットを用いて測定した反射スペクトルから読み取った数値を指す。前述の通り、干渉色むらとして最も不快感を示す色は赤色であるが、3波長光源灯に代表される一般の白色光源において、波長550nm近傍の緑色は、不快感は少ないものの、強度が赤色光線よりも高く、シャープな強度変化をすることで干渉色むらとして視認されやすい色である。そのため、緑色〜赤色の波長帯域一体における反射スペクトルのうねりを低減することが、干渉色むらの低減に大きく寄与する。本測定条件における、波長500nm以上700nm以下における光線反射率の最大値と最小値の差は、2%以下であることがより好ましい。さらに好ましくは、1%以下である。完全に0%とすることは界面における屈折率差が存在する限り物理的に困難であるが、光散乱によるアンチリフレクション(AR)効果や光干渉を打ち消す光学設計などを適用することで、現実的には光線透過率の最大値と最小値の差は、0.1%以上0.5%以下の範囲まで低減することができ、この数値範囲内においては、目視確認においても干渉色むらは殆ど視認されなくなる。
本発明の積層体は、面直方向のみならず、変角においても赤色の干渉色むらを抑制することが重要である。干渉色むらの抑制とは、光線反射率の最大値と最小値の差、言い換えれば、反射スペクトルのうねりの低減として一般に表現される。面直における干渉色むら抑制の方法としては、従来、屈折率および厚みに基づいた光干渉の光学設計に基づき、特定の波長光線のみをターゲットとしてうねりを低減する方法が知られていた。しかしながら、この方法では、角度に応じて光干渉距離が変化するため、ターゲットとする波長帯域が角度依存性を示し、変角において、ある一定以上の角度では赤色光線の強度が強くなる課題が生じる。変角においても赤色の干渉色むらを小さくするためには、前記の方法のみでは不十分であったが、本発明者らの鋭意検討した結果、波長帯域全体にわたってうねりを低減する方法、光の指向性を喪失させる方法の2種類を、前述の光学設計に加えて併用することで、変角での干渉色むら抑制が達成可能となることを見出した。特に、干渉色むらとして視認される干渉色むらは、最も屈折率差が大きい界面である、積層体最表面における空気との界面において反射される光線との干渉に強く影響される。さらに、干渉を引き起こす相手となる、積層体内部の各界面から反射される光線は、積層体表面近傍の界面で反射される光線ほど、反射光線強度が強くなる傾向を示す。そのため、積層体の表面近傍に位置する界面において反射される光線の強度を弱くすることが重要であり、ハードコート層や易接着層、最表面樹脂の厚みや屈折率などの性状を制御することが必要となる。一方、積層体内部の界面で反射される光線は、積層体最表面に出るまでに積層体を構成する様々な媒質の影響を受け、強度が減衰する傾向を示すため、個々の界面での反射光は干渉色むらに大きく反映されない。しかし、本発明の積層体のように多数の界面を有する積層体の場合、個々の干渉光線の影響が積算されることで、干渉色むらとして視認されやすくなる。本発明の積層ユニットにおいて、多数の界面の屈折率を逐一制御することは困難であるため、干渉を発生しにくくするために、界面を乱し、光の指向性を喪失することがより好ましい。以下に、各方法を用いて干渉色むらを低減する際の好ましい条件について記載する。
本発明の積層体は、反射波長帯域における平均光線反射率が15%以上であることが好ましい。反射波長帯域とは、光線反射率の測定において、20nm以上の連続した波長において反射率が10%以上を示す帯域を指し、その波長帯域における1nmピッチの反射率の数値を平均化して得られる数値を平均光線反射率と称する。本発明の干渉色むらは、多数の界面を有し干渉を引き起こしやすい多層積層構造を有するフィルムにおいて干渉色むらが抑制されることに特徴があり、単膜構成ユニットを除外するための条件である。平均光線反射率は、25%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上である。平均光線反射率が50%以上の場合は、紫外線吸収剤を添加せず、光線反射のみで光カット性を示すことが好ましい。反射波長帯域を複数有する積層体の場合は、すべての反射波長帯域における反射率を平均した数値をもって、平均光線反射率とする。
本発明の積層体は、易接着層の屈折率nおよび厚みd[nm]の積が、130以上180以下であることが好ましい。積層ユニットと硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層との間に設ける易接着層の光学設計を制御することで、積層ユニットと易接着層の界面、および、易接着層とハードコート層の界面で反射する光線同士の位相を反転させ打ち消しあうことが可能となり、干渉光を生じなくなる。これにより、最表層に最も近い界面での反射光線が消失するため、反射スペクトルのうねりを緩和することができる。ここで干渉光を打ち消しあう波長は、易接着層の屈折率と厚みを制御することでターゲットを自由に変えることができる。前記範囲内であれば赤色の干渉色むらを主に低減することが可能であるが、より効果的に赤色干渉色を十分に打ち消すためには、易接着層の屈折率nおよび厚みd[nm]の積が、150以上170以下の数値を示すことがより好ましい。
本発明の積層体は、ハードコート層が耐擦傷性をはじめとする各種効果を発現するために、ハードコート層の厚みが1μm以上6μm未満であることが好ましい。また、ハードコート層の厚みを上げることで、干渉し反射される光が積層体表面に出てくるまでの光学距離が増えるため、干渉光の強度を減衰することができる。一方で、ハードコート層の厚みを厚くしすぎた場合、ハードコート層の積層工程において、内部の溶媒乾燥不十分による硬化不足、硬化時の硬化性樹脂Cの硬化収縮による積層体のカールなどの問題を招く。ハードコート層の厚みは、3μm以上5μm以下とすることが、生産性と干渉抑制の両観点からより好ましい。
ハードコート層を比較的厚く塗布した際に発生する場合があるカールを低減する目的で、紫外線による硬化を行う場合には、硬化時の積層体温度を高くすることが好ましく、40℃以上の温度であることが好ましい。積層体の温度を上げるためのドラムロールの媒体の種類に依存するため、温度上限は設けないが、積層体に使用される樹脂のガラス転移温度以下であることが好ましい。
本発明の積層体は、ハードコート層の表面粗さSaが5nm以上50nm以下であることが好ましい。ハードコート層の表面を荒らすことで、積層体内部から反射された光線、および、空気層とハードコート層の界面で反射される光線が、ハードコート層表面凹凸によってランダムな方向に屈折・反射されるため、光線が指向性を喪失し、干渉を引き起こしにくくなる。また、表面粗さを前記数値範囲に設計することにより、可視光線の拡散をさせることなく光の位相のみを微小に変化させることができるため、透明性を維持しつつ干渉抑制を達成することができる。表面粗さSaが50nmを超えると可視光線の拡散を引き起こす場合があり、5nmを下回る場合はハードコート表面が略平滑であるため光の指向性が保たれることとなり、干渉光を強く引き起こす場合がある。表面粗さSaは、10nm以上30nm以下であることがより好ましい。
さらに、表面粗さ数値の中で、表面凹凸の大きさを直接的に表すパラメータであるSRp、SRvが50[nm]≦|SRp−SRv|≦200[nm]を示すことが好ましい。SRpおよびSRvは、3次元表面粗さ測定において、中心面から見た最大の山高さおよび谷深さを示す数値であり、SRp−SRvは面内凹凸の最大落差を示す数値である。表面での光拡散なく、光の屈折・位相変化のみを引き起こすためには、平均面に対して50nm〜100nm程度の凹部もしくは凸部が形成されていることが好ましい。|SRp−SRv|が200nmを超える場合は、表面凹凸が大きいことを意味し、可視光線の拡散により、積層体全体の全光線透過率低下ならびにヘイズ上昇を招く場合がある。一方、|SRp−SRv|が20nmを下回る場合は、表面凹凸が殆ど存在しないことを意味するため、ハードコート表面が略平滑となり、干渉色むらが強く発生することがある。より好ましくは、80[nm]≦|SRp−SRv|≦120[nm]の表面凹凸である。
ハードコート層に表面凹凸を形成する方法として、ハードコート層内に含まれる溶媒を揮発する工程において、膜粘度が上昇する前に凹部を形成する方法がある。ハードコート表面の凹部を形成するには、ハードコート液を構成する溶媒を相対蒸発速度の高いものとし、さらにハードコート液塗布直後にある乾燥炉の温度および風量、風向を制御することにより得ることができる。
ハードコート液を構成する溶媒は、硬化性樹脂との相性に応じて適宜選択することができるが、酢酸n−ブチルを1とした際の相対蒸発速度が1.5以上を示す溶媒を使用することが好ましい。好ましい溶媒としては、アセトン(5.6)、イソプロパノール(1.5)、イソプロピルエーテル(6.8)、酢酸イソプロピル(3.5)、酢酸エチル(4.2)、酢酸n−プロピル(2.1)、酢酸s−ブチル(1.8)、酢酸メチル(5.1)、ジエチルエーテル(11.0)、1,4−ジオキサン(1.7)、シクロヘキサン(4.5)、トルエン(2.0)、ヘキサン(7.2)、メチルアルコール(1.9)、メチルイソブチルケトン(1.6)、メチルエチルケトン(3.7)などが挙げられる。この中でも、積層ユニットの熱収縮を起こさない乾燥工程の温度、溶媒の沸点などを考慮すると、イソプロパノール、イソプロピルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、シクロヘキサン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンを用いることが生産性の観点からもより好ましい。
さらに、ハードコート液の塗布工程において表面凹凸を形成するための好ましいプロセス条件としては、ハードコート液塗布直後の乾燥炉の温度を溶媒の沸点以上の数値に設定し、さらに塗布工程に対する乾燥工程の差圧を陽圧化(本発明において、乾燥工程1の気圧が塗布工程よりも高いこと(気圧が乾燥工程1>塗布工程)を陽圧、乾燥工程1の気圧が塗布工程よりも低いこと(気圧が乾燥工程1<塗布工程)を陰圧と称する)することである。これにより、積層ユニットの搬送方向と反対方向への風向を作り、表面を物理的に荒らすことが可能となり、ハードコート層表面に凹凸を作成しやすくなる。
ハードコート層に凸部を形成する方法として、ハードコート層内へ粒子を添加含有せしめることが挙げられる。このとき、ハードコート層に添加する粒子は、平均粒径が800nm以上前記ハードコート層の層厚み未満であることが好ましい。前記の通り、ハードコート液塗布〜乾燥工程におけるプロセス条件でハードコート表面への凹凸形成が可能であるが、生産の安定性には劣る。そのため、粒子を添加して表面に物理的に凸部を形成することで、目的とする凹凸形状を作ることが可能となる。ハードコート層の厚みよりも粒径の大きい粒子を添加すると、ハードコート層の表面に粒子の一部が顔を出すこととなるため、大きな凹凸が形成され、全光線透過率の低下やヘイズ上昇を招く場合がある。また、平均粒径が800nmより小さい粒子を用いる場合、可視光線と同じ光学波長であることから望まない可視光線の拡散を招くだけでなく、表面に凸部を形成するために多量の粒子を添加することとなり、膜内ヘイズが著しく上昇するため好ましくない。
ハードコート層表面に凸部を形成するためには、粒子の粒径に加え、添加濃度も重要なファクターとなる。ハードコート層への粒子添加濃度は、ハードコート層の固形分重量に対して0.3重量%以上0.8重量%以下であることが好ましい。0.3重量%より低い場合は、粒子濃度が低すぎるためにハードコート層表面に十分な凹凸形状を作ることができず、一方で、1.0重量%より高い場合は、粒子濃度が高すぎるため膜表面に大きく顔を出す粒子の数が多くなり、積層体全体のヘイズ値上昇を招くことから好ましくない。粒子を複数種使用する場合は、使用するすべての粒子の添加濃度を合算した数値を指す。
ハードコート層に粒子を添加する場合、当該粒子とハードコート層の屈折率差が0.02以下であることが好ましい。ハードコート層と添加する粒子の屈折率を近いものとすることで、ハードコート層内を通過する光線の粒子光散乱が抑制されるため、内部ヘイズの低い高透明なハードコート層を形成できるため好ましい。粒子とハードコート層の屈折率差は0.01以下であることが好ましく、0に近いことが最たる好適条件である。
ハードコート層に粒子を添加する場合、当該粒子の粒度分布を測定し、横軸に粒径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、半値幅(nm)が粒径(nm)の中央値の1/5以下であることが好ましい。半値幅とは、粒度分布において粒子の存在比率の最大値の半値を示す粒径のうち、最大値と最小値の差により算出される数値を指す。粒径の中央値とは、測定した粒径データを小さい順に並べた際に、中央に位置する粒径の値を指す。半値幅が粒径の中央値の1/5以下を示すことで、粒径の分散が小さくなり、ハードコート層表面の凹凸形状の緻密な制御が可能となる。より好ましくは1/10以下である。複数の粒度分布を独立して含む場合、それぞれの分布の山に対して、半値幅が粒径の中央値の1/5以下を示すことが好ましい。
本発明の積層体は、多層積層構造を有し特定の波長帯域の光線をカットする特長を有することから、たとえば、建材や自動車用途ではウィンドウフィルム、工業材料用途では、看板などへの鋼板ラミネート用フィルム、レーザー表面加工用の光線カットフィルム、また、電子デバイス用途ではフォトリソ材料の工程・離型フィルム、ディスプレイ用光学フィルム、その他食品、医療、インクなどの分野においても、内容物の光劣化抑制などを目的としたフィルム用途として利用することが可能である。特に、本発明の積層体は、積層ユニットが発現する赤色の干渉色むらを抑制し外観を良好にしながらも、高透明であることに特徴を有することから、透明性が強く求められるディスプレイ用途に好適に用いることができる。
ディスプレイ用途のフィルムとしては、たとえば、液晶画像表示装置の場合、偏光板を構成する偏光子保護フィルムや位相差フィルム、ディスプレイ前面に貼り合わせて機能付加する表面処理フィルム、バックライト直前に位置する輝度向上フィルム、反射防止フィルム、ITO等に用いる透明導電基材フィルム、タッチセンサー部材の紫外線保護フィルムなどが挙げられる。また、有機EL画像表示装置の場合は、発光層よりも視認側(上側)に配される円偏光板を構成するλ/4位相差フィルムや偏光子保護フィルム、ディスプレイ前面に貼り合わせて機能付与するための表面処理フィルム、外光からの内容物保護の目的で内蔵される各種光学フィルムが挙げられる。特に、干渉色むらが抑制されすっきりとした外観を示すことに特徴があるため、ディスプレイ最表面に実装した場合においても色むらを発生しないことから、高画質をハイエンド特性とする有機ELディスプレイ用途において好適に利用することができる。
次に、本発明の積層体における積層ユニットの好ましい製造方法を以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるものではない。
結晶性ポリエステルAおよび熱可塑性樹脂Bをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された各樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などが取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、シート状に吐出される。そして、ダイから吐出されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャストシートが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。
また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの複数の樹脂は、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、シート状で吐出される前に多層積層装置へ送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の多層積層構造を効率よく得るためには、微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物発生量が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となる。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層シートをダイへと導き、上述の通りキャストシートが得られる。得られたキャストシートは、つづいて長手方向および幅方向に二軸延伸されることが好ましい。延伸は、逐次に二軸延伸しても良いし、同時に二軸延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、シートに長手方向の分子配向を与えるための一軸延伸を指し、通常は、ロールの周速差により施され、1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層ユニットを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層ユニットを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃の範囲内に設定することが好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたシートに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、戦術の易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能を付した易接着層をインラインコーティングにより付与する。インラインコーティングの工程において、易接着層は積層ユニットの片面に塗布してもよく、積層ユニットの同時に両面に塗布しても良い。
つづいて幅方向の延伸とは、シートに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、シートの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層ユニット構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層ユニットを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたシートは、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、低配向角およびシートの熱寸法安定性を付与するために熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理などを併用してもよい。
つづいて、同時二軸延伸の場合について説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストシートに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、前述の易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。インラインコーティングの工程において、易接着層は積層ユニットの片面に塗布してもよく、積層ユニットの両面に同時に塗布しても良い。
次に、キャストシートを、同時二軸テンターへ導き、シートの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率は樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層ユニットを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。面内の特定方向への配向を強く発現するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を異なる数値にすることが好ましい。延伸速度は同じ速度でもよく、異なる速度で長手方向と幅方向に延伸してもよい。また、延伸温度としては積層ユニットを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして同時二軸延伸されたシートは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
以上のようにして得られた積層ユニットは、巻き取り装置を介して必要な幅にトリミングされ、巻き取り皺が付かないようにロールの状態で巻き取られる。なお、巻き取り時に巻姿改善のためにシート両端部にエンボス処理を施しても良い。
本発明の積層ユニットの厚みは、特に限定されるものではないが、5μm以上200μm以下であることが好ましい。ディスプレイ用途の各種光学フィルムの近年の薄膜化傾向に則ると、40μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以下である。下限はないものの、光吸収剤添加と積層構造による光反射を併用しつつ、ブリードアウトなく十分な光線カット性を付与するためには、ある程度の厚みを有する必要がある。また、ロール巻取り性を安定なものとし、破れなく製膜するためには、現実的には10μm以上の厚みであることが好ましい。10μmより薄い場合、目的とするカット性能を付与できないほか、ハードコート層を設けた際に、硬化処理時のハードコート層の硬化収縮により積層ユニットがハードコート層側へのカールを生じる場合がある。
以下、実施例に沿って本発明について説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。各特性は、以下の手法により測定した。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)層厚み、積層数、積層構造
積層体の層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件で積層体の断面を観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、RuOやOsOなどを使用した染色技術を用いた。また、1枚の画像に取り込められるすべての層の中で最も厚みの薄い層(薄膜層)の厚みにあわせて、薄膜層厚みが50nm未満の場合は10万倍、薄膜層厚みが50nm以上500nm未満である場合は4万倍、500nm以上である場合は1万倍の拡大倍率にて観察を実施し、層厚み、積層数、積層構造を特定した。
(2)波長610nmにおける光線反射率
日立ハイテクサイエンス製の分光光度計U−4100を使用した。付属している微小対応角度可変絶対反射付属装置を利用し、0.5°刻みに15°から40°までサンプル角度を変更した時の波長610nmにおける光線反射率を測定し、最大値ならびに最小値を読み取った。測定モードとして、高分解能測定モードを利用した。
(3)波長500nm以上700nm以下の光線反射率
日立ハイテクサイエンス製の分光光度計U−4100を使用した。付属している12°正反射測定装置を利用し、波長500nm以上700nm以下の波長帯域の光線反射率を連続的に測定し、光線反射率の最大値ならびに最小値を読み取った。測定条件として、スキャン速度を600nm/min,サンプリングピッチを1nmに設定し、高分解能測定モードにて測定した。
(4)屈折率
ハードコート層、易接着層、積層ユニット最表層(結晶性ポリエステルA)の各屈折率は、大塚電子製の反射分光膜厚計FE−3000を利用し測定した。300〜800nmの波長帯域での反射率を測定し、該装置付属の解析ソフトFE−Analysisを用い、大塚電子株式会社性の膜厚測定装置総合カタログに記載の非線形最小二乗法に記載の手法に従い、波長550nmにおける屈折率を算出した。屈折率の波長分散の近似式として、Cauchyの分散式(3)を用い、最小二乗法でカーブフィッティングすることで光学定数を算出し、波長550nmにおける屈折率を測定した。
Figure 2019155621
(5)ハードコート層中の粒子の粒径、粒径分布(半値幅、中央値)
測定対象の積層体を塗料組成物の分散溶媒(表1に記載)に固形分濃度1.0重量%となる条件で浸漬し、超音波処理を介して塗料組成物を溶媒に分散後、50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに滴下し、乾燥して膜を調整した。得られた観察サンプルを、日本電子製の電界放射走査型電子顕微鏡JSM−6700Fを用いて、1視野あたりの粒子数が20個となる倍率で拡大観察し、観察されている粒子の粒径を計測した。観察数を10視野とし、得られた粒径の分布に対して粒径分布を作成し、半値幅ならびに中央値を算出した。
(6)粒子屈折率
測定対象の粒子は、(5)の方法で溶媒に分散した粒子を遠心分離で分離することで取り出した。粒子屈折率は、JIS K7142「プラスチックの屈折率測定方法」のうち、B法(顕微鏡を用いる液浸法(ベッケ線法))により測定した。但し、JIS K7142で使用される浸液に代えて、屈折率の決まっている島津デバイス製造社製「接触液(屈折液)」を使用し、温度が15〜20℃の条件で測定した。顕微鏡は、ニコン製の偏光顕微鏡OPTIPHOTを使用した。
(7)全光線透過率、ヘイズ
スガ試験機(株)製 ヘイズメーター(HGM−2DP)を用いた。サンプルをフィルム幅方向中央部から10cm×10cmで切り出し、旧JIS−K−7105に準じて測定を行うことで、全光線透過率ならびにヘイズ値を測定した。フィルム幅方向に対して等間隔で3点測定し、その平均値を測定結果とした。
(8)表面粗さSRa、SRp、SRv
小坂研究所製の三次元表面形状測定機ET−4000AKを使用した。ハードコート層をオプティカルフラットのサンプル台に貼り合わせ、1mm四方の範囲を測定した。測定時のスタイラスの押しつけ圧は100μN、先端針径Rは0.2μm、サンプリングピッチ1μm、測定速度0.1mm/秒、z軸測定倍率を20000倍とした。得られた測定画像に対し、全領域レベリング加工、空間型ガウシアンフィルタ加工(低域カットオフ0.2mm、高域カットオフR/W)を施し、得られた加工画像に対して3次元粗さ解析を実施し、SRa、SRp、SRvの数値を得た。SRaとは、測定される断面曲線から、カットオフ値の高域フィルターによって長波長成分をカットして得られた輪郭曲線を求め、その曲線の基準長さにおける高さ(平均面から測定曲線までの距離)の絶対値の平均値を示す。
(9)ハードコート層積層
易接着層が塗布された積層ユニットを基材とし、ダイコーターを有する連続塗布装置を用いて塗布した。ダイコーティング装置は、塗布工程、乾燥工程1〜3、硬化工程から構成される。塗布工程では、設定した搬送速度で積層ユニットを連続的に搬送し、ダイコーティング装置を介して、一定の塗布厚みで連続塗布した。塗布工程の搬送速度ならびにハードコート層の塗布厚み(乾燥後の固形分厚み)は、表1に記載の通り設定した。乾燥工程は全部で3室備えており、積層ユニットの搬送方向と平行に熱風を送風可能なノズル、および、遠赤外ヒーターを有する。それぞれの乾燥工程で、独立して温度ならびに熱風の風速(ファン回転数)を設定可能であり、これらは積層ユニットのハードコート積層側とその裏側とで同一である。乾燥工程の温度、熱風の風速は、表1に記載の通り設定した。熱風の実温度は、ダイコーティング装置に付属のセンサーでの測定値を用いた。硬化工程は、乾燥工程1〜3に続いて行われ、UV照射装置を有しており、窒素雰囲気下(酸素濃度0.1体積%以下)、積算光量200mJ/cm、照射光強度160W/cmの条件で実施した。
(10)赤色干渉色むらの観察
作成した積層体を150mm×200mmのサイズに切り取り、裏面反射の影響を無くすために黒スプレー(ニッペホームプロダクツ 黒ラッカースプレー)でハードコート層と反対面を黒スプレー処理し、観察用の背面黒処理サンプルを作成した。作成したサンプルを暗室にて、3波長蛍光灯(ナショナルパルック3波長形昼白色 F.L 15EX−N 15W)の直下500mmに配置し、視点を変えながら目視観察した際に、干渉色むらが視認されるか評価した。
A:赤色干渉色むらは見えず、その他虹彩模様も見えにくい
B:赤色干渉色むらは見えないが、その他虹彩模様は弱く見える
C:赤色干渉色むらがわずかに見え、その他虹彩模様も弱く見える
D:赤色干渉色むら、ならびに、その他虹彩模様がはっきりと見える。
(11)干渉色むら数値化
作成した背面黒処理サンプルを(10)に記載の通り3波長光源下で観察し、Canon製のPowerShotSX720HSにて撮影した。カメラは、3波長蛍光灯ランプの入射方向に対し正反射方向で、かつ、背面黒処理サンプルから500mm離れた位置にカメラを固定した。撮影条件は、電球色ホワイトバランス設定、ISO感度3200、絞り1/2000、F値4.0、撮影面積150mm(巾)×50mm(縦長さ)とした。撮影したカラー画像データ(300万画素分のRGBデータ)をコンピューターに取り込み、30万画素分のRGBデータについてHSV色空間に変換し、得られた色相値の標準偏差(Hσ)を算出した。画像全データの300万画素を、10画素を1つの集合として区分し、各集合から1画素を選択して30万画素分を抽出して上記処理を実施した。得られたHσに対し、下記の基準で干渉色むらの程度を判断した。
A:干渉色むらはなく外観良好 Hσ<1.5
B:干渉色むらは見えるが、気にならない程度 1.5≦Hσ<2.0
C:干渉色むらは見えるが、光学フィルム用途で使用可能なレベル 2.0≦Hσ<2.5
D:干渉むらは見え、光学用途には適さないレベル 2.5≦Hσ<3.0
E:干渉色むらが強く見えており、どの用途でも適さないレベル 3.0≦Hσ。
(12)100℃長期耐熱試験
作成した積層体サンプルをフィルム幅方向中央部から長手方向10cm×幅方向10cmで切り出し、普通紙に挟んで100℃の無風炉型オーブン内に500時間静置し、熱処理前後のフィルムのヘイズ値の変化量(Δヘイズ)を評価した。ヘイズ測定は、スガ試験機(株)製 ヘイズメーター(HGM−2DP)を用い、旧JIS−K−7105に準じて測定を行った。フィルム幅方向に対して等間隔で3点測定し、その平均値を測定結果とした。
(実施例1)
結晶性ポリエステルAとして、屈折率が1.58、融点が258℃のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない屈折率が1.55の非晶性樹脂であるシクロヘキサンジメタノール(CHDM)20mol%ならびにスピログリコール(SPG)15mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/SPG15/CHDM20)を用いた。さらに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)を、熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を構成する樹脂組成物に対して1重量%となるように添加した。準備した結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bをそれぞれ、ペレット状で2台の単軸押出機に投入し、前者は280℃、後者は260℃で溶融させて混練した。次いで、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギヤポンプにて計量しながら、スリット数301個のフィードブロックにて合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に301層積層された交互積層物とした。ここでは、スリット長さは階段状になるように設計し、スリット間隔は全て一定とした。得られた交互積層物は、最終的な積層ユニットの状態で最表面にあたる2層の結晶性ポリエステルA層の厚みがそれぞれ3μmずつ、その他内部の層厚みが50nm以上80nm以下の範囲となり、かつ、結晶性ポリエステルA層が計151層、熱可塑性樹脂B層が150層となるように構成されており、厚さ方向に交互に積層されていた。該交互積層物をTダイへ供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度が25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸の積層キャストシートを得た。
得られた積層キャストシートを、100℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、フィルム長手方向に3.0倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸積層ユニットの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、コロナ放電処理した一軸延伸積層ユニット両面に(#4のメタバーで易滑層となる粒径100nmのコロイダルシリカを3重量%含有したポリエステル系樹脂を含有した)屈折率1.58を示す透明な易接着層を積層した。
この一軸積層ユニットをテンターに導き、90℃の熱風で予熱後、140℃の温度でフィルム幅方向に4.0倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度条件で幅方向に1%の弛緩処理を施し、その後巻き取ることで、積層ユニットを得た。積層ユニットの厚みは30μmであり、TEM観察により易接着厚みは両面とも約60nmを示した。また、分光光度計で反射スペクトルを測定し、300〜380nmの紫外線領域にシャープカットで、かつ、反射波長帯域における光線カット性に優れた積層体であった。長期使用を想定した耐久試験(100℃耐熱試験)において、ヘイズ変化量(Δヘイズ)は0.5%程度であり、ブリードアウト抑制の良好な結果を示した。
その後、得られた積層ユニットの片面に、表1に記載の条件1にて、厚みが3μmとなるようダイコートで均質にハードコート層を積層した。干渉色むらを見えにくくするために、表面反射を弱くする目的で屈折率を1.49とし、さらに、乾燥工程での表面凹凸形成を目的として、溶媒にメチルエチルケトン(相対蒸発速度:3.7)を用いた。干渉色むらの観察結果は表2に示す通りであり、赤色の干渉色むらはある程度視認されるが、強度が著しく強いものではなく、ディスプレイ用途以外では使用するに足る性質を有していた。
(比較例1)
実施例1において、ハードコート層を積層しない状態で干渉色むらを観察した。3波長光源下での干渉色むらは強度も強く、特に赤・緑色の光線が全体的に強く視認される結果となり、実装して使用するには足らない外観を有していた。
(比較例2)
実施例1において、インラインコーティングで塗布した易接着層の厚みを30nmとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。ハードコートと易接着層との界面、ならびに、易接着層と積層ユニットの結晶性ポリエステル樹脂層との界面においてそれぞれ反射される光を光学的に打ち消すことができず、実施例1と比較して干渉色むらがより強くなっており、実装するには足らない外観を有していた。
(比較例3)
実施例1において、インラインコーティングでの易接着層塗布を実施することなく、積層ユニット表面に直接ハードコート層を設けた以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。積層ユニットを構成する結晶性ポリエステルAとハードコート層の硬化性樹脂Cとの屈折率差が大きいため、界面剥離が生じ、ハードコート層を確実に積層することができなかった。また、積層体表面近傍由来の干渉色むらの影響が強く、赤色の干渉色むらが強い外観を有していた。
(実施例2)
実施例1において、スリット数51個のフィードブロックにて合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に49層積層された積層ユニットとした。透過型電子顕微鏡観察を行い、最表層の2層はそれぞれ3μmずつ、中間の49層が50nm以上70nm以下の厚みを有し、総厚みが10μmの積層体とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。反射波長帯域における光線反射率は15%を示した。実施例1と比較すると、積層数が少ないため、やや長期使用を想定した耐久試験(100℃耐熱試験)において、500時間後にヘイズが1.5%程度上昇する結果が得られ、光吸収剤のブリードアウト抑制の効果は比較的弱いものであった。層数が比較的少ないことで、実施例1と比較して干渉色むらは弱まっており、光学フィルム用途として何とか使用できるレベルの赤色の干渉色むらを示した。
(実施例3)
実施例1において、スリット数101個のフィードブロックにて合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に101層積層された積層ユニットとした。透過型電子顕微鏡観察を行い、最表層の2層はそれぞれ3μmずつ、中間の99層は50〜70nmの厚みを有し、総厚みが13μmの積層体とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。分光光度計での測定より、反射波長帯域は波長300〜400nmの広い範囲にわたるものであり、紫外線吸収剤の効果と併せて、反射波長帯域において良好な光線カット性を示した。また、長期使用を想定した耐久試験(100℃耐熱試験)においても、ヘイズ変化が1.0%程度であり、ブリードアウトを比較的引き起こしにくい結果を示した。実施例3の積層体の性能は表2に示すとおりであり、層数が少ないため干渉色むらの程度は実施例2と同等であった。
(実施例4)
実施例1において、熱可塑性樹脂Bに紫外線吸収剤を添加せず、スリット数701個のフィードブロックにて異なる2種類の樹脂を合流させて、積層比1.0の厚さ方向に交互に701層積層された積層ユニットとした。透過型電子顕微鏡観察を行い、最表層の2層はそれぞれ3μmずつ、中間の699層は120〜150nm厚みを有し、層厚みが100μmの積層体とした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。分光光度計での測定により、層数が多く紫外線吸収剤を添加していないため反射率が高く、また、波長800〜1000nmの近赤外線領域をシャープにカットする性質を有していた。層数が増えたことで干渉界面が増え、やや赤色の干渉色むらが目立つ傾向を得たが、実装しても問題ないレベルの積層体であった。
(実施例5)
実施例1において、キャストドラム速度を低減し、積層ユニットの全厚みを32μmとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。積層ユニットの全厚みを上げたことで、反射光線を生じる50nm以上80nm以下の積層ユニット内部の厚みも同じ比率で厚くなったため、光路長が増加し反射帯域が405nm程度まで長波長シフトしたことで、青紫色の反射光線が目視で確認されるようになった。反射波長帯域が可視光線領域に至ることで、赤色・緑色の干渉色がより際立って視認されるようになった。外観は実施例4と同等であった。
(実施例6)
実施例5において、実施例1に記載の紫外線吸収剤に代わり、硫黄原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(5−ドデシルチオ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−第三ブチル−4−メチルフェノール)を、熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を構成する樹脂組成物に対して2重量%となるように添加した以外は、実施例5と同様にして積層体を得た。添加した吸収剤は、波長400nmまでの光線を吸収する特性を有しており、反射率が減少したことから、干渉色むらの強度は実施例5と比較して少し低減されたものの、実施例1と同等レベルであった。
(実施例7)
実施例1において、積層ユニットの各層の厚みが40〜70nmで構成された301層の積層ユニットとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。最表層の厚みを薄くしたことで、干渉光を引き起こす波長が可視光線よりも短波長側となり、干渉色むらの強度が弱まる結果を得た。最表層の厚膜層が無くなったことで、耐久試験(100℃耐熱試験)において、500時間後にヘイズが1.0%程度上昇する結果が得られ、光吸収剤のブリードアウト抑制の効果は比較的弱いものであった。赤色の干渉色むらはわずかにみられるものの、全体の干渉色むらは小さく、これまでの実施例の中で最も良好な外観を示した。
(実施例8)
実施例1において、インラインコーティングで塗布した易接着層の厚みを100nmとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。ハードコートと易接着層との界面、ならびに、易接着層と積層ユニットの結晶性ポリエステル樹脂層との界面においてそれぞれ反射される光が打ち消されやすい条件を示しており、表2の結果に示す通り、赤色の干渉色むらが弱まる結果を得た。
(実施例9)
実施例1において、インラインコーティングで塗布した易接着層の厚みを85nmとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。緑色の干渉光を低減するのに適した厚みを有しており、その周辺に位置する赤色の干渉色むらも実施例1と比較して弱まった。
(実施例10)
実施例1において、インラインコーティングで塗布した易接着層の厚みを110nmとした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。より長波長側の赤色部分の干渉光をターゲットとした厚みであるが、その周辺に位置している波長610nmにおける赤色の干渉色むらも実施例1と比較して弱まる結果を得た。
(実施例11)
実施例8において、積層ユニットの全厚みを35μmとして、反射波長帯域を450nmまでのブルーライトカット帯域までとした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。可視光線帯域内の反射波長帯域の光線透過率は平均で30%程度を示しており、全光線透過率は80%を示した。青色光を反射する積層体のため、実施例8と比較すると、やや目視で赤色の干渉むらが目立つ傾向を示したが、実装しても問題のない程度の干渉色むらであった。
(実施例12)
実施例8において、積層ユニットの全厚みを44μmとして、反射波長帯域を380nm以上560nm以下の青色・緑色反射を示す積層ユニットとした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。可視光線帯域内の反射波長帯域の光線透過率は、平均で20%程度を示しており、全光線透過率は55%を示した。青色と緑色の波長帯域の光線を反射する積層体のため、実施例11よりもさらに干渉むらが目立つ傾向を示した。光学用途には適さないレベルではあるが、実装するに足る性質を有していた。
(実施例13)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件2とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート層厚みを薄くすることで、干渉光を減衰する光学距離が減少するため、反射スぺクトルのうねりが大きくなり、全体的に干渉色むらが強くなる傾向を示した。
(実施例14)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件3とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート層厚みをさらに薄くすると、可視光領域の光学波長と一致する距離になることから、より干渉色むらが強くなる傾向を示した。
(実施例15)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件4とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート層厚みを5μmと厚くしたことで干渉光が減衰し、干渉強度はこれまでの実施例の中で最も小さいものとなった。また、硬化工程のドラムロール温度を40℃としたことで、ハードコート層側のカールが抑制され、実装時のハンドリング性も向上した。
(実施例16)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件5とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート層の屈折率を1.51としたことで、ハードコート層と易接着層、易接着層と積層ユニットの結晶性ポリエステル樹脂Aのそれぞれの屈折率差が均等となり、干渉光が完全に打ち消された。これにより、干渉色むらは積層ユニット内部の多層積層構造によるものだけとなり、赤色の干渉色むらは実施例8よりもさらに弱いものとなった。
(実施例17)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件6とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート層の屈折率を1.53と実施例15よりも上げたことで、屈折率差が不均等となり、干渉色むらが実施例15同等レベルのものとなった。
(実施例18)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件7とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。ハードコート主剤の溶媒に、相対蒸発速度が1より低いプロピレングリコールモノメチルエーテル(相対蒸発速度:0.7)を添加したことで、溶媒乾燥がよりなだらかなものとなり、ハードコート層表面がより平滑なものとなった。これにより、空気とハードコート層界面で反射される光との干渉が起こりやすくなり、干渉色むらが実施例8並みの強度のものとなった。
(実施例19)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件8とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。乾燥工程温度を100℃一律にしたことで、溶媒揮発がより迅速に行われハードコート層の粘度が急上昇することでハードコート表面の凹凸が形成されやすくなった。干渉色むらの程度は、実施例16と特に変わりなかった。
(実施例20)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件9とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。乾燥工程温度をさらに上げたことで、フィルムのガラス転移温度を大きく上回ることとなり、積層体に搬送方向への皺が発生する問題が生じた。干渉色むらの程度は実施例19と同等であり、メチルエチルケトン溶媒に対して、100℃以上の温度は特に必要がない結果を得た。
(実施例21)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件10とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。塗布工程から乾燥工程に至る過程で、積層ユニットの搬送方向と逆方向の風向を作ることで、粗さの測定数値には表れないもの、干渉色むらがより細かく見えにくくなる傾向を得た。
(実施例22)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件11とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒子の添加量は、ハードコート層の固形分重量に対して0.5重量%となるように添加した。安定した表面凹凸を形成するために、粒径の中央値が3μm、屈折率1.55のアクリル系粒子を添加したことで、ハードコート層表面がアンチグレアライクとなり、干渉色むらは非常に視認されにくくなった。しかしながら、多分散粒子であるため、ハードコート表面から顔を出す粒子数が多く、さらにハードコート層との屈折率差が0.04もある粒子であることから、目視でも積層体自体は白く見えた。
(実施例23)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件12とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒子の屈折率を1.52まで減少したところ、ハードコート層との屈折率差が0.01であることから、目視での白さは大きく軽減される結果を示した。
(実施例24)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件13とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒子濃度を0.2重量%としたところ、ハードコート表面に十分な凹凸が形成されず、粒子未添加である実施例21と同等の干渉色むらを示した。
(実施例25)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件14とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒子濃度を1.0重量%としたところ、ハードコート表面に強い凹凸が確認され、実施例22と同等のアンチグレアライクな見栄えとなった。一方で、干渉色むらの程度は、非常に小さいものであった。
(実施例26)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件15とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒径を600nmとしたところ、粒子がハードコート内部にすべて埋没した状態となり、ハードコート層表面に凹凸がほぼ形成されず、さらに可視光線を拡散する粒径であることから、全体的な干渉色むらが強くなる結果を得た。
(実施例27)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件16とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒径を5μmとしたところ、殆どの粒子がハードコート層表面に顔を出す状態となり、ヘイズ値が非常に高いアンチグレアな見栄えを示した。
(実施例28)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件17とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒径を5μmとし、添加濃度をハードコート層の固形分濃度に対して3.0wt%となるように添加したことで、実施例27よりもアンチグレアな性質を示した。表面での光拡散が非常に強く、ヘイズは20%程度を示したが、赤色の干渉むらは視認されなくなった。
(実施例29)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件18とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。粒子の分散度が中央値/半値幅=1/6と低いものを使用したことで、干渉色むら、および、全光線透過率/ヘイズの観点から最も好ましい見栄えの積層体を得ることができた。
(実施例30)
実施例8において、ハードコート層の積層条件を表1の条件19とした以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。添加した2種類の粒子の総添加濃度は、実施例22と同様に、ハードコート層固形分重量に対して0.5重量%とした。粒径の異なる粒子は、膜内の粒子占有体積が実施例22と同等になるように、添加比率を調整した。ハードコート層内に添加する粒子の粒径を2種類、それぞれの分散度が1/5以下を示すものを用いたことで、ハードコート層表面に凹凸を形成する粒子数が増え、干渉色むらをより低減した積層体を得ることができた。
Figure 2019155621
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本発明の積層体は、多層積層構造を有し特定の波長帯域の光線をカットする特長を有することから、たとえば、建材や自動車用途ではウィンドウフィルム、工業材料用途では、看板などへの鋼板ラミネート用フィルム、レーザー表面加工用の光線カットフィルム、また、電子デバイス用途ではフォトリソ材料の工程・離型フィルム、ディスプレイ用光学フィルム、その他食品、医療、インクなどの分野においても、内容物の光劣化抑制などを目的としたフィルム用途として利用することが可能である。特に、本発明の積層体は、積層ユニットが発現する赤色の干渉色むらを抑制し外観を良好にしながらも、高透明であることに特徴を有することから、透明性が強く求められるディスプレイ用途に好適に用いることができる。特に、干渉色むらが抑制されすっきりとした外観を示すことに特徴があるため、ディスプレイ最表面に実装した場合においても色むらを発生しないことから、高画質をハイエンド特性とする有機ELディスプレイ用途において好適に利用することができる。

Claims (11)

  1. 結晶性ポリエステルAを主成分とするA層、および、前記結晶性ポリエステルAと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層を交互に51層以上積層した積層ユニットと、前記積層ユニットの少なくとも片面に易接着層および硬化性樹脂Cを主成分とするハードコート層をこの順に有する積層体であって、
    ハードコート層が前記積層体の少なくとも片側表層にあり、全光線透過率が50%以上であり、かつ、前記表層にあるハードコート層の表面をフィルム面直方向を0°として15°から40°まで0.5°ずつ波長610nmにおける光線反射率を求めたときの光線反射率の最大値と最小値の差が0.5%以上9%以下である、積層体。
  2. 前記表層にハードコート層を有する積層体の表面を、フィルム面直方向を0°としてフィルム面直方向に対して12°傾斜させて波長500nm以上700nm以下における光線反射率を求めたときの光線反射率の最大値と最小値の差が3%以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記積層体の反射波長帯域における平均光線反射率が15%以上である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記易接着層の屈折率nおよび厚みd[nm]の積が、130以上180以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記ハードコート層の厚みが、1μm以上6μm未満である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記ハードコート層の表面粗さSaが5nm以上50nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 前記ハードコート層が粒子を含有しており、前記粒子の平均粒径が800nm以上前記ハードコート層の層厚み未満である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 前記粒子の屈折率とハードコート層との屈折率差が、0.02以下である、請求項7に記載の積層体。
  9. 前記ハードコート層に含有する粒子の粒度分布を測定し、横軸に粒径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、半値幅(nm)が粒径の中央値(nm)の1/5以下である、請求項7または8に記載の積層体。
  10. ディスプレイ用途に用いられる、請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
  11. 有機ELディスプレイ用途に用いられる、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
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