JP4534637B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも2種類の、熱可塑性樹脂からなる層を積層した積層フィルムに関するものである。
熱可塑性樹脂を多層に積層したフィルムは、種々提案されており、例えば、耐引裂性に優れた多層に積層したフィルムをガラス表面に貼りつけることにより、ガラスの破損および飛散を大幅に防止できるものとして利用されている(たとえば特許文献1〜3参照)。
また、屈折率の異なる樹脂層を交互に多層に積層することより、選択的に特定の波長を反射するフィルム(たとえば特許文献4〜6参照)等が存在する。これらの中で選択的に特定の波長を反射するフィルムは、特定の光を透過あるいは反射するフィルターとして作用し、液晶ディスプレイなどのバックライト用のフィルムとして利用されている。
しかしながら、従来の技術では、反射帯域内での反射率に分布が生じ、高精度なフィルターとしては性能が不十分であった。また、従来の積層フィルムを干渉フィルターとして用い、さらにその表面に種々の表面処理を行うと、積層フィルムを構成する層と表面処理層とで干渉をおこし、干渉ムラが発生するという問題があった。
特開平6-190995号公報(第2頁) 特開平6-190997号公報(第2頁) 特開平10-76620号公報(第2頁) 特開平3-41401号公報(第2頁) 特開平4-295804号公報(第2頁) 特表平9-506837号公報(第2頁)
本発明の課題は、かかる問題を解決し、反射帯域内での反射率の分布がほとんどなく、表面処理を行っても干渉むらがほとんどない、液晶ディプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機エレクトロニクスディスプレイなどの各種ディスプレイや、光学印刷機器、カメラなど種々の光学機器の反射材もしくはフィルターとして好適である積層フィルムを提供するものである。また、車載用、建材用などの熱線遮断ウインドウフィルムや、偽造防止、装飾材料としても好適なものである。さらには、反射率の分布が少なく、高い反射率を得ることができるため、太陽電池のバックシート等の太陽電池用反射体として好適なものである。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を有する。すなわち、熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互に積層した構造を有する積層フィルムであって、850nmから1140nmにおいて反射率が30%以上である反射帯域を有し、かつ、隣接するA層とB層の厚みの比(A層厚み/B層厚み)が0.9〜1.1であり、フィルムを構成するA層の厚み(nm)が126.4880952nm〜187.5nmの範囲の厚みを少なくとも含んでなり、かつその範囲に含まれるA層の層数が110層以上でああり、A層の厚みおよび/またはB層の厚みが、フィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的に凹型または凸型になっていることを特徴とする積層フィルム。
本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互に積層した構造を有する積層フィルムであって、850nmから1140nmにおいて反射率が30%以上である反射帯域を有し、かつ、隣接するA層とB層の厚みの比(A層厚み/B層厚み)が0.9〜1.1であり、フィルムを構成するA層の厚み(nm)が126.4880952nm〜187.5nmの範囲の厚みを少なくとも含んでなり、かつその範囲に含まれるA層の層数が110層以上である積層フィルムであり、A層の厚みおよび/またはB層の厚みが、フィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的に凹型または凸型になっているので、反射帯域内での反射率の分布がほとんどないものである。
本発明は、エッジフィルターとして最適なシャープなカット性を有し、かつ反射帯域内での反射率の分布がほとんどないものである。
また、積層フィルムの少なくとも一方の最表面に、厚みが30nm以上300nm以下の易接着層と3μm以上のポリエチレンテレフタレート層を有することにより、各種表面処理をおこなっても干渉むらがほとんどない、表面傷の少なく、かつ反射帯域内での反射率の分布がほとんどないものである。
上記目的を達成するため本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互に積層した構造を有する積層フィルムであって、、850nmから1140nmにおいて反射率が30%以上である反射帯域を有し、かつ、隣接するA層とB層の厚みの比(A層厚み/B層厚み)が0.9〜1.1であり、フィルムを構成するA層の厚み(nm)が126.4880952nm〜187.5nmの範囲の厚みを少なくとも含んでなり、かつその範囲に含まれるA層の層数が110層あり、A層の厚みおよび/またはB層の厚みが、フィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的に凹型または凸型になっていなければならない。
本発明では、積層フィルムの反射スペクトル(光の波長に対する反射率)において、850nmから1140nmにおいて反射率が連続的に30%以上である反射帯域を有していなければならず、またもっとも高波長側の反射率が30%以上の反射帯域について、上記式を満たす層厚みと層数を有しなければならないものである。ここでより好ましくは、反射率は60%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。反射率が80%以上であると高性能な光学フィルターとなるため好ましい。
また、本発明で言う熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bについては、熱可塑性樹脂Aの面内平均屈折率は熱可塑性樹脂Bの面内平均屈折率より相対的に高いものである。
ここで、隣接するA層とB層の厚みの比(A層厚み/B層厚み)は0.9〜1.1である。
本発明における熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルであることがより好ましい。またこれらの熱可塑性樹脂としてはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。また、各熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
本発明における熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルであることがより好ましい。またこれらの熱可塑性樹脂としてはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。また、各熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂としては、ポリエステルであることがより好ましい。本発明で言うポリエステルとしては、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、本発明における共重合ポリエステルとは、次にあげるジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体のことと定義される。ジカルボン酸骨格成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。グリコール骨格成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
特に本発明では、熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、熱可塑性樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステルであることが好ましい。より好ましくは、シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱による光学的特性の変化が小さくなるためである。
また、本発明では、熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、熱可塑性樹脂Bがアジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸あるいはそのエステル誘導体を共重合したポリエステルであることが好ましい。より好ましくは、熱可塑性樹脂Bがアジピン酸を共重合したエチレンテレフタレート重縮合体である。さらに好ましくは、アジピン酸の共重合量が15mol%以上35mol%以下共重合したエチレンテレフタレート重縮合体である。このような構成とすると、従来より高い反射性能が得られるために好ましいものである。
本発明の積層フィルムでは、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。屈折率差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られず、好ましくないものである。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向の屈折率の差が0.05以下であると、反射帯域の角度依存性が小さくなり、より好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互に積層した構造を含むとは、A層とB層を厚み方向に規則的に積層した構造を有している部分が存在することと定義される。すなわち、本発明のフィルム中のA層とB層の厚み方向における配置の序列がランダムな状態ではないことが好ましく、A層とB層以外の第3の層以上についてはその配置の序列については特に限定されるものではない。また、A層、B層、熱可塑性樹脂CのからなるC層を有する場合には、A(BCA)n、A(BCBA)n、A(BABCBA)nなどの規則的順列で積層されることがより好ましい。ここでnは繰り返しの単位数であり、例えばA(BCA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABCABCABCAの順列で積層されているものを表す。
本発明の積層フィルムでは、126.4880952nm〜187.5nmの範囲の厚みを少なくとも含んでなり、かつその範囲に含まれるA層の層数が110層以上である。
このようにすることにより、反射帯域内での反射率の分布がさらに抑制できるため、好ましい。
A層の厚みおよび/またはB層の厚みがフィルムの表面側から反対表面側に向かうにつれ、徐々に変化する部分を含んでなることが好ましい。その厚みの異なる層の配列に関する序列がランダムであると、反射帯域内の反射率の分布が大きくなるため好ましくないためである。
また、本発明の積層フィルムは、A層の厚みおよび/またはB層の厚みが、フィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的にフィルム断面中心部で層厚みが厚く、表面側ほど薄い凸型またはA層の厚みおよび/またはB層の厚みが、フィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的にフィルム断面中心部で層厚みが薄く、表面側ほど厚い凹型である。凸型である場合は、反射波長帯域における高波長端が非常にシャープとなるため、高波長側に高い波長分解能を有することを求められるエッジフィルターに最適となり、凹型である場合は、反射波長帯域における低波長端が非常にシャープとなるため、低波長側に高い波長分解能を有することを求められるエッジフィルターに最適となる
本発明の積層フィルムでは、隣接するA層とB層の厚みの比が0.9〜1.1である。A層とB層の厚みの比が0.9以上1.1以下であると、反射帯域内での反射率の分布が小さくなるとともに、高次の反射が発生しにくくなるためさらに好ましくなる。
また、隣接するA層とB層の厚みの比のばらつきが±20%以下であることが好ましい。
このばらつきとは、反射帯域に寄与する熱可塑性樹脂Aからなる層(層A)と熱可塑性樹脂Bからなる層(層B)の厚み比の分布に対し、最大の厚み比と最小の厚み比の差を中心値となる厚み比で除したものである。ばらつきが±20%より大きい場合には、十分な反射率が得られにくくなるほか、設計した反射帯域以外にも反射バンドが出現し、フィルターとしてのノイズとなるため好ましくない。
本発明の積層フィルムでは、積層フィルムの少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有することが好ましい。より好ましくは、5μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有する。また、両面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有するとさらに好ましい。3μm以上のポリエチレンテレフタレートからなる層がない場合には、表面に傷が入った場合などに、反射率分布に異常が生じるため好ましくない。また、積層フィルムの表面に易接着層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、粘着層などの機能性層を形成した場合に、機能性層の屈折率と積層フィルムの層構成によっては、設計外の干渉をおこすため、設計した反射帯域以外の帯域に、反射が起きたり、干渉むらとなったりするため好ましくなくなるものである。
さらに好ましくは、積層フィルムの少なくとも一方の最表面に、30nm以上300nm以下の易接着層と3μm以上のポリエチレンテレフタレート層を有する。本発明の積層フィルムは種々の機能性層と複合して用いることもできるため、これら機能性層と容易に接着することが求められる。このため、種々の材料に対し易接着性を発現する層を形成することが望まれるが、本発明のもっとも単純な積層フィルムの構成の表面に易接着層を設けると、干渉むらが発生するため好ましくない。そこで本発明では、易接着層との干渉むらを極力抑制するため、積層フィルムの少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートからなる層を形成し、さらにその表面に30nm以上300nm以下の易接着層を形成することが好ましい。易接着層の厚みが30nm未満であったり、300nmより大きい場合には、干渉縞とよばれる色むらが発生するため好ましくないものである。
本発明の積層フィルムでは、最表層以外の層に、平均粒子径が20nm以上20μm以下の粒子が実質的に含まれていないことが好ましい。積層フィルム内部に平均粒子径が20nm以上20μm以下の粒子が含まれていると、透明性が低下したり、拡散反射がおきたりと好ましくない。また、積層精度のみだれの原因となり、反射性能低下を生じるおそれがあるため好ましくない。
また、本発明の積層フィルムでは、その表面に易接着層、易滑層、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層などの機能性層を形成してもよい。
特に本発明の積層フィルムを意匠性フィルムに用いる際には、黒色や反射ピークの補色となる色を吸収する色吸収層や、アルミ、銀、金、インジウム等の金属層、印刷層、粘着層、フィルム表面に形成することが好ましい。
また、偽造防止用フィルムに用いる場合には、ホログラム層、印刷層、粘着層、アルミ、銀、金、インジウム等の金属層、Al、Sb、Sb、As、BeO、Bi、CdO、CdSe、CdS、CdTe、Ce、Cr、SiO、AgCl、NaAlF、SnO、TiO、TiO、WO、ZnSe、ZnS、ZnO等の透明金属化合物層をフィルム表面に形成することが望ましい。このような層を積層フィルム表面に形成したフィルムは、特にエンボスホログラム用の材料として好適である。
また、光学フィルターとして用いる場合には、易滑・易接着層、ハードコート層、帯電防止層、反射防止層、色補正層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層をフィルム表面に形成することが望ましい。このような機能性層を有する本発明の積層フィルムは、光学フィルターとしても好適である。光学フィルターとしては、プラズマディスプレイにおける近赤外線カットフィルター、液晶ディスプレイにおけるバックライトの3原色を効率的に反射する反射板、各種ディスプレイやCCDカメラなどにおいて3原色を選択的に透過/反射し色純度を高める色調整フィルター、建材や車載用のウインドガラスに用いられる近赤外線/赤外線をカットする熱線遮断フィルムなどが挙げられる。
本発明の積層フィルムは、幅20μm以上の傷の数が、20個/m以下であることが好ましい。より好ましくは15個/m以下であり、さらに好ましくは10個/m以下である。ここで傷の幅とは、傷の長い方向の大きさと定義される。このような傷が存在すると、特に本発明の積層フィルムではフィルムの反射率が特異的に傷のある箇所で変化するため、輝点となり欠点となるため好ましくない。
また、本発明の積層フィルムでは、フィルム幅方向、長手方向、長手方向に対し±45°の方向それぞれのヤング率の差が、0.5GPa以下であることが好ましい。より好ましくは、0.4GPa以下であり、さらに好ましくは0.3GPa以下である。本発明の積層フィルムでは、フィルム平面に対して光が入射・受光角度によって反射帯域のシフトが必然的に生じるが、先行技術ではさらに入射・受光角度は同一であっても入射・受光する方向が異なるだけで、反射帯域のシフトが起きていた。本発明ではこの問題を解決するため、フィルム面内での配向差を抑制することが効果的であることを見出したものであり、
フィルム幅方向、長手方向、長手方向に対し±45°の方向それぞれのヤング率の差が、0.5GPa以下になると、反射率の入射・受光方向による反射率シフトが問題にならない範囲になるため好ましいものである
また、本発明の積層フィルムは太陽電池用反射体として好適である。さらには、300〜2500nmの範囲において反射率が80%以上である反射帯域を有すると、太陽電池用反射体としてより好適である。より好ましくは、300〜2500nmの範囲において反射率が90%以上である反射帯域を有する太陽電池用反射体である。
また、本発明の積層フィルムは太陽電池用反射体として好適である。さらには、300〜2500nmの範囲において反射率が80%以上である反射帯域を有すると、太陽電池用反射体としてより好適である。より好ましくは、300〜2500nmの範囲において反射率が90%以上である反射帯域を有する太陽電池用反射体である。さらに好ましくは、300〜2500nmの範囲において反射率が95%以上である反射帯域を有する太陽電池用反射体である。また、もっとも好ましくは、少なくとも450nm〜1100nmの範囲の反射率が80%以上である太陽電池用反射体である。太陽電池としては、シリコン型(単結晶、多結晶、アモルファス)、化合物型、色素増感型などがあるが、発電コストの点でシリコン型が多く用いられている。これらの太陽電池においては、バックシートと呼ばれる太陽電池用反射体が用いられている。この反射体は、セルを透過もしくはセルを透過しなかった太陽光を反射することにより、発電効率を高めるものであるが、従来は顔料を分散した白色シートが多く用いられていた。本発明の積層フィルムを用いることにより、反射率の分布が少なく、より高い反射率が得られるために発電効率が向上するものである。また、より高い発電効率が得られるようになるとともに、300〜2500nmの範囲において反射率が80%以上である反射帯域を有すると、可視光の効率的な反射による発電効率向上のみならず、近赤外線を反射することにより太陽電池セルの温度上昇を防止する効果により、さらに発電効率を向上できることを見出したものである。従って、反射率が90%、さらに反射率が95%以上になるほど、より高い発電効率となり好ましい。また、少なくとも450nm〜1100nmの範囲の反射率が80%以上であると、さらに高い発電効率となるため好ましい。
本発明の太陽電池用反射体は、水蒸気透過率が2g/(m・day)以下であることが好ましい。より好ましくは、1g/(m・day)以下である。水蒸気透過率が2g/(m・day)以下であると、加熱・加湿下における経時での太陽電池セルの劣化やバックシート反射率の低下による発電効率の低下や、伸度の低下による機械特性の低下が抑制されるつつ、従来よりも高い発電効率となるため好ましい。これを達成するためには、本発明の太陽電池用反射体が、蒸着により形成可能なシリカ層、アルミナ層、アルミ層のいずれかや、アルミ箔を有してなることが好ましい。また、1g/(m・day)を達成するためには、10μm以上の厚みのアルミ箔を有してなることが好ましい。
本発明の太陽電池用反射体は、85℃ 湿度85%における耐加水分解性が1000時間以上であることが好ましい。ここで言う耐加水分解性とは、JIS C8917 耐湿性試験B−2(1998)にて測定される結果のことと定義される。耐加水分解性が1000時間以上であると、経時での太陽電池セルの劣化やバックシート反射率の低下による発電効率の低下や、伸度の低下による機械特性の低下が抑制されつつ、従来よりも高い発電効率となるため好ましい。これを達成するためには、本発明の太陽電池用反射体を構成する積層フィルムが、固有粘度0.68以上のエチレンテレフタレート重縮合体もしくはその共重合体、エチレンナフタレート重縮合体もしくはその共重合体、シクロヘキサンジメタノール重縮合体もしくはその共重合体のいずれかからなる層を有することが好ましい。特に、固有粘度0.68以上のポリエチレンテレフタレートからなる層と、シクロヘキサンジメタノールを共重合したエチレンテレフタレート重縮合体からなる層を有する積層フィルムの場合、低コストで製造可能なほか、屈折率差が大きくなるため高い反射率が得られやすいとともに、高い耐加水分解性も得られるため好ましいものである。
本発明の太陽電池用反射体はフィルムの長手方向および幅方向の引裂強度が6N/mm以上である積層フィルムからなることが好ましい。より好ましくは、12N/mm以上である。特に上限は限定されないが、150N/mm以下である。引裂強度が6N/mm以上であると、太陽電池として、EVA(エチレンビニルアセテート)とバックシートを貼り合わせるが、貼りあわせに失敗して剥がしても、反射シートが劈開したりするようなことがなくなるため、好ましい。また、引裂強度が高くなるほど劈開せずに剥がしやすくなるため、さらに好ましくなるものである。これを達成するためには、ポリエチレンテレフタレートからなる層と、シクロヘキサンジメタノールを共重合したエチレンテレフタレート重縮合体からなる層を有する積層フィルムであることが好ましい。また、引裂強度を12N/mm以上とするためには、積層フィルムを構成するポリエチレンテレフタレート(A)とシクロヘキサンジメタノールを共重合したエチレンテレフタレート重縮合体(B)の重量割合(A/B)が0.8以上5以下であることが好ましい。
本発明の太陽電池用反射体は、400nm以下の波長において吸収帯域を有することが好ましい。400nm以下の波長において吸収帯域を有すると、紫外線によるバックシートの劣化が抑制され、発電効率の低下や機械特性の低下が抑えられるようになるものである。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。
2種類の熱可塑性樹脂AおよびBをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂などを取り除く。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂は、次に積層装置に送り込まれる。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層する方法を使用することができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。ここで本発明の効果を効率よく得るためには、各層ごとの層厚みを個別に制御できるマルチマニホールドダイもしくはフィードブロックが好ましい。さらに各層の厚みを精度良く制御するためには、加工精度0.1mm以下の放電加工、ワイヤー放電加工にて、各層の流量を調整する微細スリットを設けたフィードブロックが好ましい。また、この際、樹脂温度の不均一性を低減するため、熱媒循環方式による加熱が好ましい。また、フィードブロック内の壁面抵抗を抑制するため、壁面の粗さを0.4S以下にするか、室温下における水との接触角が30°以上であると良い。このような高精度なフィードブロックを用いると、本発明の反射率が30%以上の反射帯域を有し、かつ反射帯域内の反射率の分布が少ない積層フィルムが得られるようになり好ましい。さらに好ましくは、このようなフィードブロックに下記式を満たすスクエアーミキサーを併用することである。
0.02≦Q/(L×A1/2)≦0.08
Q:時間あたりのスクエアーミキサーを通過する総吐出量(Kg/h)
L:スクエアーミキサー1段分の長さ(mm)
A:スクエアーミキサーの流路断面積(mm
本発明のフィードブロックでは確かに高い積層精度のフィルムが得られるものの、反射帯域を広げるためにフィードブロックだけでさらに層数を増やそうとすると、流量を調整するスリット部で十分な圧損をかせぐことができずに流量むらが発生し逆に積層精度が低下したり、装置が大型化すぎるために滞留部が生じ、熱劣化による異物が生じるようになったりするなど多くの問題が発生し、実際には300層以上のフィードブロックはこれまでは現実的ではなかった。そのため、さらに層数が必要な場合はスクエアーミキサーを用いることが必要とされていたが、スクエアーミキサーではその内部で流速の方向が幾度か変化するために、これによりスクエアーミキサー内で流速分布が発生し、積層精度が低下する原因となっていた。そこで本発明では、上記式を満たすスクエアーミキサーによりスクエアーミキサー内での流速分布を解消することができ、スクエアーミキサーをもちいても高い積層精度を達成することができるようになり、反射率60%以上を達成することができるようになったものである。さらに、反射率が80%以上の反射帯域を有し、かつ層厚みのむらによる、反射帯域内での反射率分布を抑制するためには、スクエアーミキサーを用いずに、加工精度0.03mm以下で製作した200以上300以下の微細スリット部材を少なくとも2個以上含むフィードブロックで積層する事が好ましい。こうすることにより装置が極端に大型化することなく、熱劣化による異物が少なく、かつ本発明の特別なスクエアーミキサーを用いるよりもさらに高精度に積層ができるようになるために好ましいのである。
また、ここで本発明の特徴である反射率が30%以上となる波長領域を有するためには、A層とB層を交互に積層する事が重要である。また、各層の層厚みについては、下記式1に基づいて所望する反射帯域が得られるように設計することが必要であり、各々の面内平均屈折率および層厚みについては範囲40%以下の分布が生じていても許容できるものである。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
また、本発明の第二の特徴であるA層の厚み(nm)が126.4880952nm〜187.5nmの範囲の厚みを少なくとも含んでなり、かつその範囲に含まれるA層の層数が110層以上とするためには、フィードブロック内の各層の流路に相当するそれぞれのスリット間隙を、各スリットでの圧損は一定のまま、126.4880952nm〜187.5nmの範囲に相当する流量範囲となるように間隔を設定し、またそれらの個数を110以上となるようにすることが好ましい。B層についても同様な方法で調整可能である。
また、ここでスタティックミキサーを用いる場合には、ミキサー内部での流路形状が四角であり、ほぼ同流量で流れる2つ以上の流路が合流した後、2つ以上に流路を再分配する際に再分配の比率を従来技術のように等分配とはせず、そして、その層数についてはフィードブラック内での層数とスタティックミキサーによる分割作用により調整する。
また、本発明では、ある断面内での隣接するA層とB層の厚み比の分布範囲が、5%以上40%以下になるように、積層装置において各層の厚みを調整することが好ましい。より好ましくは、10%以上30%以下である。厚み比の分布が5%より小さいと、層の繰り返し周期性が高すぎるために、高次の反射が非常に発生しやすくなるため好ましくない。また、40%より大きくなると、積層精度が低すぎるために所望する反射帯域の反射率が低くなるばかりか、予想外の波長帯域に反射帯域が出現するため好ましくない。
一方、A層の厚みおよび/またはB層の厚みが、フィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的にフィルム断面中心部で層厚みが厚くなる凸型であること好ましい。このような場合は、反射波長帯域における高波長端が非常にシャープとなるため、高波長側に高い波長分解能を有することを求められるエッジフィルターに最適となる。 また、A層の厚みおよび/またはB層の厚みが、フィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的にフィルム断面中心部で層厚みが薄くなる凹型であることも好ましい。このような場合は、反射波長帯域における低波長端が非常にシャープとなるため、低波長側に高い波長分解能を有することを求められるエッジフィルターに最適となる。 このように、設計する反射フィルムの特性に応じて、最適な積層構成とすることが重要であるが、このようにフィルム断面における層と並行となる中央線に対して、傾斜構造が対称的である場合においては、その層構成の調整を、各層に対応した微細スリットを有するフィードブロックにて行うことが特に好ましい。
さて、このようにして得られた溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。ここで、シート状に成型するダイとしては、ダイ内での積層体の拡幅率が1倍以上100倍以下であることが好ましい。より好ましくは、1倍以上50倍以下である。ダイ内での積層体の拡幅率が100倍より大きいと、積層体表層部の積層厚みの乱れが大きくなるため好ましくない。ダイ内での積層体の拡幅率が1倍以上100倍以下であることにより、積層フィルムの幅方向における反射率の差を±10%以内にすることが容易となる。
そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法や、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法が好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理すると、フィルム幅方向の反射率の差を±10%以下にできるため好ましい。
本発明の積層フィルムにおける好ましい態様である幅20μm以上の傷の数を20個/m以下とするためには、フィルムが接触する加熱ロールをエキシマUVランプで照射し、オリゴマー汚れを低減するとともに、積層フィルムの少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を形成することが好ましい。これは、熱可塑性樹脂Bに含まれるオリゴマーの析出を防止し、ロール汚れによる傷の発生を低減する効果と、干渉反射層まで傷が入り込まないようにする効果がある。また、本発明のより好ましい態様である15個/m 以下とするには、縦延伸ロールの表面粗さを0.2S以上0.8S以下にすることが好ましい。また、本発明のさらに好ましい態様である10個/m以下とするためには、積層フィルムの少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を形成するとともに、最外層に平均粒径20nm以上5μm以下の粒子を含有させ、同時二軸延伸することが好ましい。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)積層厚み、積層数
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、フィルムの断面を3000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。本発明の実施例では十分なコントラストが得られたため実施しなかったが、用いる熱可塑性樹脂の組み合わせによっては公知の染色技術を用いてコントラストを高めても良い。
(2)反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAlを用いた。また、反射帯域内の反射率は、帯域内の反射率を平均化して表した。また、反射帯域内の最大反射率と最小反射率の差を反射帯域内の反射率の範囲と規定した。
(3)傷
フィルム表面に蛍光灯などで光を当て、目視または10〜30倍程度の低倍率の光学顕微鏡により表面観察し、大きさが20μm以上の傷の個数をカウントした。
(4)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、算出した。また、溶液粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。なお、n数は3とし、その平均値を採用した。
(5)耐加水分解性
JIS C 8917 耐湿性試験B−2(1998)に従い、温度85℃ 湿度85%でテストした。
(6)水蒸気透過率
JIS K 7129B(1992)に従って、モダンコントロール社製の水蒸気透過率計“PERMATRAN”W3/31を用いて相対湿度90%、温度40℃の条件下で測定した。測定値をg/(m・day)の単位で示す。
(7)引裂強度
最大荷重32Nの引裂試験機(東洋精機製)を用いて、JIS K 7128−2(1998)(エレメンドルフ引裂法)に基づいて引裂強さ(N)を測定した。この計測値を、測定したフィルムの厚みで除して引裂強度N/mmとした。なお、この引裂強度は長手方向および幅方向のそれぞれ20サンプルの試験結果を平均化したものとした。
参考例1)
2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)[東レ製F20S]を用いた。また熱可塑性樹脂Bとしてシクロヘキサンジメタノールをエチレングリコールに対し30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/CHDM・T)[イーストマン製 PETG6763]を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、801層のフィードブロックにて合流させた。合流した熱可塑性樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ(スロープ型)、熱可塑性樹脂Aが401層、熱可塑性樹脂Bが400層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。各層の厚みの調整は、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリット(加工精度0.01mmにて形成)の形状により調整した。なお、両表層部分は熱可塑性樹脂Bとなるようにした。ここでA層とB層の厚み比 Zが1になるように、フィードブロックの形状および吐出量にて調整した。このようにして得られた計801層からなる積層体を、マルチマニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給した熱可塑性樹脂Aかならる層を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
このキャストフィルムは、リニアモーター式の同時二軸延伸機に導き、95℃の熱風で予熱後、縦方向および横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行うと同時に縦方向に5%の弛緩処理を行い、つづいて横方向に5%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、128μmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
参考例2)
参考例1のA層とB層の厚み比Zを0.95とした以外は、参考例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは130μmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
参考例3)
参考例1のA層とB層の厚み比Zを3.5とした以外は、参考例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは130μmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
参考例4)
実施例1の熱可塑性樹脂Bを固有粘度0.71のテレフタル酸に対してアジピン酸を30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/A)とした以外は、参考例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは128μmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
(実施例
参考例4において、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から中心部付近までは厚くなり、中心部付近から反対表面側へは薄くなる凸型の積層構成とした以外は、参考例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、138μmであった。得られた結果を表1に示す。本例では、反射帯域における高波長側端が非常にシャープになった。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
(実施例
参考例4において、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から中心部付近までは薄くなり、中心部付近から反対表面側へは厚くなる凹型の積層構成とした以外は、参考例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、138μmであった。得られた結果を表2に示す。本例では、反射帯域における低波長側端が非常にシャープとなり、PDPなどの近赤外線フィルターとして最適なエッジフィルターとなった。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
参考例5
参考例4において、ダイ内で固有粘度0.65のポリエチレレンテレフタレート[東レ製F20S]と平均粒径100nmの球状シリカ0.01wt%からなる樹脂を表層に形成し、コーティングを施さなかった以外は、参考例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、128μmであった。得られた結果を表2に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であったが、ハードコート層との接着性が不良であった。
参考例6
参考例4において、延伸方式を逐次二軸延伸とした以外は、参考例4と同様の条件とした。逐次二軸延伸としては、まず得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱し、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.4倍延伸した。また、縦延伸ロールの汚れによる傷をできるだけ低減するため、縦延伸ロールは表面粗さが0.4Sのダイヤモンドライクカーボン(DLC)処理ロールを用い、エキシマUVランプによりロールクリーニングもあわせて実施した。その後、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.7倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、128μmであった。得られた結果を表2に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。しかしながら、表面の傷がわずかに見られ、特に品位に対する要求の厳しいフィルターとしては使えない場合があった。
参考例7
参考例6において、マルチマニホールドダイを用いず通常のシングルダイを用いて表層に熱可塑性樹脂Aからなる層を形成しないようにし、縦延伸ロールは表面粗さが1.0Sのクロムメッキロールを用い、エキシマUVランプによりロールクリーニングを実施しなかった以外は、参考例6と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、118μmであった。得られた結果を表2に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設た場合、干渉むらが顕著となった。また、表面の傷が多く認められ、特に品位に対する要求の厳しい光学フィルターとしては使えない場合が多々あった。
(実施例
参考例1において、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から中心部付近までは厚くなり、中心部付近から反対表面側へは薄くなる凸型の積層構成とした以外は、参考例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、138μmであった。得られた結果を表3に示す。本例では、反射帯域における高波長側端が非常にシャープになった。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
(実施例
参考例1において、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から中心部付近までは薄くなり、中心部付近から反対表面側へは厚くなる凹型の積層構成とした以外は、参考例4と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、138μmであった。得られた結果を表3に示す。本例では、反射帯域における低波長側端が非常にシャープとなり、PDPなどの近赤外線フィルターとして最適なエッジフィルターとなった。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、片面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であった。
参考例8
参考例1において、熱可塑性樹脂Aを固有粘度0.65のポリエチレレンテレフタレート[東レ製F20S]と平均粒径100nmの球状シリカ(0.01wt%)からなる樹脂とし、マルチマニホールドダイを用いずマニホールドがシングルのダイを用い表層に熱可塑性樹脂Aからなる層を形成せず、キャストフィルム表面へのコーティングをしなかった以外は、参考例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、128μmであった。得られた結果を表3に示す。得られたフィルムは、近赤外線をむらなく反射していた。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けても、ほとんど干渉むらは問題ない範囲であったが、ハードコート層との接着性が不良であった。また、フィルム内部の粒子のために若干濁って見えた、
参考例9
参考例1において、フィードブロック内で熱可塑性樹脂Aが201層、熱可塑性樹脂Bが200層の交互積層体とした以外は、参考例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、71μmであった。得られた結果を表3に示す。得られたフィルムは、近赤外線を、反射率にわずかなむらがあるものの反射していた。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けた場合、干渉むらはわずかに認められるものの、許容できる範囲であった。
参考例10
参考例1において、フィードブロック内で熱可塑性樹脂Aが101層、熱可塑性樹脂Bが100層の交互積層体とした以外は、参考例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、41μmであった。得られた結果を表3に示す。得られたフィルムは、近赤外線を、反射率にわずかなむらがあるものの反射していた。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けた場合、干渉むらはわずかに認められるものの、許容できる範囲であった。
(比較例1)
参考例6において、熱可塑性樹脂Bとしてシクロヘキサンジメタノールをエチレングリコールに対し30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/CHDM・T)[イーストマン製 PETG6763]を用い、フィードブロック内で熱可塑性樹脂Aが51層、熱可塑性樹脂Bが50層の交互積層体とした以外は、参考例6と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、26μmであった。得られた結果を表4に示す。得られたフィルムは、近赤外線を反射していたが、反射率のむらが大きいものであった。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けた場合反射率のムラにより干渉むらが顕著に見えた。また、表面の傷もわずかに見られた。
(比較例2)
比較例1において、フィードブロック内で熱可塑性樹脂Aが201層、熱可塑性樹脂Bが200層の交互積層体とし、反射帯域を800nmから1650nmになるように設計した以外は、比較例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、85μmであった。得られた結果を表4に示す。得られたフィルムは、可視光線から近赤外線を反射していたが、反射率のむらが大きいものであった。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けた場合反射率のムラにより干渉むらが顕著に見えた。また、表面の傷もわずかに認められた。
(比較例3)
比較例1において、フィードブロック内で熱可塑性樹脂Aが401層、熱可塑性樹脂Bが400層の交互積層体とし、反射帯域を600nmから1650nmになるように設計した以外は、比較例1と同様の条件とした。得られたフィルムの厚みは、150μmであった。得られた結果を表4に示す。得られたフィルムは、可視光線から近赤外線を反射したが、反射率のむらが大きいものであった。また、表面にハードコート層と反射防止層を設けた場合、反射率のムラにより干渉むらが顕著に見えた。また、表面の傷もわずかに認められた。
参考例11
2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.83のポリエチレンテレフタレート(PET)[三井化学製J135]を用いた。また熱可塑性樹脂Bとしてシクロヘキサンジメタノールをエチレングリコールに対し30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PE/CHDM・T)[イーストマン製 PETG6763]を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて290℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、1601層の多重型フィードブロックにて合流させた。合流した熱可塑性樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ(スロープ型)、熱可塑性樹脂Aが801層、熱可塑性樹脂Bが800層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。各層の厚みの調整は、フィードブロック内の各層の流路に設けた微細スリット(加工精度0.01mmにて形成)の形状により調整した。なお、両表層部分は熱可塑性樹脂Bとなるようにした。ここでA層とB層の厚み比 Zが2になるように、フィードブロックの形状および吐出量にて調整した。このようにして得られた計1601層からなる積層体を、マルチマニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給した熱可塑性樹脂Aかならる層を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
このキャストフィルムは、同時二軸延伸機に導き、95℃の熱風で予熱後、縦方向および横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行うと同時に縦方向に5%の弛緩処理を行い、つづいて横方向に5%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、225μmであり、引裂強度は長手方向が13N/mmであり、幅方向が12N/mmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムと25μmのアルミ箔を貼り合わせて太陽電池用反射体とした。この太陽電池用反射体の水蒸気透過率は、0.1g/(m・day)であった。また、この太陽電池用反射体を用いてシリコン型の太陽電池を作成した。得られた太陽電池は、耐加水分解性が2000時間以上であり、またセル発電効率は太陽電池用反射体に従来の白色体(50μmの“ルミラー”E20に25μmのアルミ箔を貼り合わせたもの)を用いた場合が18%であったのに対し、21%に向上した。
Figure 0004534637
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本発明は、積層フィルムに関するものである。更に詳しくは、液晶ディプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機エレクトロニクスディスプレイなどの各種ディスプレイや、光学印刷機器、カメラなど種々の光学機器の反射材もしくはフィルターとして最適な積層フィルムに関するものである。また、車載用、建材用などの熱線遮断ウインドウフィルムや、偽造防止、装飾材料、太陽電池用反射体としても好適な積層フィルムに関するものである。

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)を交互に積層した構造を有する積層フィルムであって、850nmから1140nmにおいて反射率が30%以上である反射帯域を有し、かつ、隣接するA層とB層の厚みの比(A層厚み/B層厚み)が0.9〜1.1であり、フィルムを構成するA層の厚み(nm)が126.4880952nm〜187.5nmの範囲の厚みを少なくとも含んでなり、かつその範囲に含まれるA層の層数が110層以上であり、A層の厚みおよび/またはB層の厚みが、フィルム表面側から反対表面側に向かうにつれ変化し、実質的に凹型または凸型になっていることを特徴とする積層フィルム。
  2. 反射率が80%以上である反射帯域を有することを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 熱可塑性樹脂がポリエステルであり、熱可塑性樹脂Aまたは熱可塑性樹脂Bのいずれかが少なくとも脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体を共重合したポリエステルを含んでなることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 熱可塑性樹脂がポリエステルであり、熱可塑性樹脂Aまたは熱可塑性樹脂Bのいずれかが少なくともシクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステルを含んでなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 積層フィルムの少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 積層フィルムの少なくとも一方の最表面に、厚みが30nm以上300nm以下の易接着層と厚みが3μm以上のポリエチレンテレフタレート層を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 最表層以外の層に、平均粒子径が20nm以上20μm以下の粒子が実質的に含まれていないことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 幅20μm以上の傷の数が、20個/m以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルムからなることを特徴とする光学フィルター。
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