JP5659738B2 - 成形用加飾シート - Google Patents

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Description

本発明は、2種のポリエステルを交互に積層した、ダイクロイックブルーの成形用加飾シートに関するものである。
従来、装飾用途等に用いられているフィルムには、樹脂フィルムの一面に蒸着、もしくはスパッタリングなどの方法で薄い金属層を被着成形したものが知られている。また、光輝性粉末(アルミニウム粉末)と熱可塑性樹脂バインダを含有したインク成分を、熱可塑性樹脂フィルムの片面にベタ印刷または塗布することにより、金属発色が付与され真空成形に適した金属調フィルム(例えば、特許文献1参照)が提案されているが、この場合にもまた、金属粉を高濃度に添加しなければ金属調外観が得られないばかりか、金属を高濃度に含有した樹脂フィルムであるために、リサイクルが困難であるという問題を有していた。
一方、インキ等を用いずに選択的に特定の波長を反射する積層フィルムが種々提案されている、(例えば、特許文献2〜5参照)これらの中で選択的に特定の波長を反射するフィルムは、特定の光を透過あるいは反射するフィルタとして作用し、液晶ディスプレイなどのバックライト用金属調リフレクターおよび反射型偏光子などに利用されている。
しかしながら、この選択的に特定の波長を反射するフィルムは、光沢感が強いために色の深みや高級感などが要求される装飾用途としての金属調の質感が不十分であるばかりか、層間剥離を生じ易く、成形性も良いものではなかった。
また、青色を放つフィルムを製造するには、屈折率の低い樹脂を選択する必要があるが、融点がことなる樹脂の場合、製造時の温度は高融点樹脂温度に合わせる必要があり、低融点樹脂が熱劣化する問題があった。
また、積層の厚みを薄くすることで、目標の色を出すことは原理的に可能であるが、100μm未満の薄いフィルムは、成型時のハンドリング性が悪く、シワが発生する問題があった。
また、100μm未満の薄いフィルムは、インモールド成型、インサート成型時の成型において、成型基材樹脂の射出穴近傍の部分で、フィルムの色が変色するウォッシュアウトが発生する問題があった。これは、射出する樹脂の温度及び、または圧力で、フィルムの積層が乱れ、目的の色が発現しなくなる現象である。
特開平8−216334号公報 特開2010−184493号公報 特開平3−41401号公報 特開平4−295804号公報 特表平9−506837号公報
かかる課題に対して、青色を放つ成形用加飾フィルムまたは成形用加飾シートを供給するため、その厚みを100μm以上とすることで、成型時のシワ防止および、ハンドリング性の向上、および、加飾フィルムのウォッシュアウトの防止できると考えられた。
しかしながら、貼り合わせる加工工程で次の問題が発生した。
貼り合わせしたシート表面に、核の無い円状の直径0.1mm以上、深さ0.3μm以上のディンプル欠陥(以下D欠と記す)が10,000個/m以上も発生した。
D欠は、変形は小さいながらも、光干渉により非常に目立つ欠点となり、加飾用途としては致命的であった。
本発明の目的は、従来に比べて、干渉反射特有のぎらつき(光沢感)をおさえ、中南米に生息するモルフォ蝶のような、鮮やかな高級感のある青色金属調の質感を有し、加えて、シートロール全面における、長径0.10〜1.0mm、深さ0.1〜0.5μmの凹みが両面合わせて、10個以下/mである、シートを提供することにある。
本発明者らは、かかるD欠の生じる原因について、鋭意検討したところ、このD欠は、貼り合わせ直後では発生せず、後の接着剤を硬化する熱処理(エージング処理と呼ぶ場合もある)後に、発生すること、また、貼り合わせ加工工程で、巻取られたシートロールの帯電が、多く発生していることを見出した。かかる知見よりD欠の生じる原因は、帯電により、正極同士又は負極同士のシートがかさなった位置で、そのクーロン力で反発し、フィルム表面が変形しD欠が発生、または、帯電によるフィルム同士の密着により、巻き込まれたエアーが一部に留まり、エージング処理による巻ジマリの圧力でD欠を発生させると推測されることにあるのではないかとの仮説の下、搬送中に生じる静電気を除去する手段を適用してみたところ、D欠を抑制できる製造方法を見出したものである。すなわち、
(1)2枚のポリエステルフィルムが接着剤層を介して貼り合わせされた
成形用加飾シートであって、
少なくとも1枚のポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレートからなるポリエステルAを主成分とする層とジオール成分中にシクロヘキサンジメタノールが25mol%〜30mol%共重合したポリエステルからなるポリエステルBを主成分とする層とが厚み方向に少なくとも800層以上、規則的に積層された厚みが30〜60μmのフィルムであり、
前記接着剤層の厚み[t(a)]が1〜30μmであり、
前記成形用加飾シートは
全厚みが100μm以上300μm以下、
そのシートの波長350〜450nmの平均反射率が40%以上、かつ、550〜1000nmの平均反射率が10%以下で
長径0.10〜1.0mm、深さ0.1〜0.5μmの凹みが1m当たり両面合わせて10個以下であることを特徴とする
ダイクロイックブルー成形用加飾シート。
(2)全光線透過率が68%以上84%以下である
前記(1)に記載のダイクロイックブルー成形用加飾シート。
(3)前記2枚のポリエステルフィルムの試験幅が15mm、剥離速度が200mm/min、剥離角度が90°の条件下で測定した剥離強度が、0.3kg/cm以上である
前記(1)または(2)に記載のダイクロイックブルー成形用加飾シート。
、従来に比べて、干渉反射特有のぎらつき(光沢感)をおさえ、鮮やかな高級感のある青色金属調の質感を有し、加えて、シートロール全面における、長径0.10〜1.0mm、深さ0.1〜0.5μmの凹みが両面合わせて、10個以下/mである、シートを提供することができる。
搬送ロールに対するシートの接触角度の説明図 自己放電除電器の設置位置の説明図
本発明のダイクロイックブルー成形用加飾シートは、2枚のポリエステルフィルムが接着剤層を介して貼り合わせされた成形用加飾シートであって、
少なくとも1枚のポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレートからなるポリエステルAを主成分とする層とジオール成分中にシクロヘキサンジメタノールが25mol%〜30mol%共重合したポリエステルからなるポリエステルBを主成分とする層とが厚み方向に少なくとも800層以上、規則的に積層された厚みが30〜60μmのフィルムであり、
前記接着剤層の厚み[t(a)]が1〜30μmであり、
前記成形用加飾シートの全厚みが100〜300μm、
常温での破断強度が140〜220MPa、
そのシートの波長350〜450nmの平均反射率が40%以上、かつ、550〜1000nmの平均反射率が10%以下で
長径0.10〜1.0mm、深さ0.1〜0.5μmの凹みが1m当たり両面合わせて10個以下であることを特徴とする。
成形用加飾シートの全厚みは、成型時のシワ防止および、ハンドリング性の向上、および、加飾フィルムのウォッシュアウト防止のため100μm以上あることが望ましい。100μm未満であると、枚葉シートにした場合にコシが出ず、成型装置枠へのシートセットの際にシートが垂れ下がり成型した際にシワとなる。厚みが300μmを超えると、巻き癖が強くなり、これも成型装置枠へのシートセットの際に手間がかかり実用的ではない。ウォッシュアウトの対策としては、貼り合わせるフィルムは50μm以上が望ましく、さらに75μm以上が好ましい。
本発明において成形用加飾シートとは、成形持に表面の意匠を同時に形成するために用いるシートであり、携帯電話および、ノート型パソコンの筺体部分の加飾、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形、絞り成形、などの各種成形法に適用して、低コストで加飾成形体を得ることを可能とするものである。このような成形用加飾シートを適用する成形体としては、携帯電話、電話、パソコン、オーディオ機器、家電機器、無線通信機器、車載部分、建築材料、ゲーム機、アミューズメント機器、包装容器などが挙げられる。
本発明においてダイクロイックブルーとは、350nmから450nmの肉眼で青と認識される波長のみを反射し、550〜1000nmの可視波長の平均反射率を10%以下としたもので、インク等の着色剤を使用していないことで、分離が不要で有り、容易に回収することができ、環境にやさしく、中南米に生息する生きている宝石とまで言われる世界一美しいモルフォ蝶の羽のような、鮮やかなメタリック調のブルーを人工的に再現したものである。
本発明のダイクロイックブルー成形用加飾シートは、2枚のポリエステルフィルムが接着剤層を介して貼り合わせされた成形用加飾シートであり、そのうち少なくとも1枚のポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレートからなるポリエステルAを主成分とする層とジオール成分中にシクロヘキサンジメタノールが25mol%〜30mol%共重合したポリエステルからなるポリエステルBを主成分とする層とが厚み方向に少なくとも800層以上、規則的に厚みが30μm以上60μm以下となるよう積層されたフィルムである。ポリエステルBにおいて、シクロヘキサンジメタノールが25mol%未満ではポリエステルAとの密度差が小さく屈折率差が不十分となり、30mol%を越えると密着性が不足して層間剥離が発生する。
また、本発明において前記ポリエステルAを主成分とする層と、前記ポリエステルB主成分とする層は、面内平均屈折率差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは、0.05以上であり、更に好ましくは0.1以上である。屈折率さが0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られず好ましくないものである。これを達成するには、B層のポリエステルが非晶性であるとよい。この場合、テンターでの熱処理によりB層の配向緩和がおき、より面内平均屈折率差が広がる方向に行くため好ましい。本発明におけるポリエステルAとポリエステルBの好ましい組み合わせとしては、ポリエステルAとポリエステルBのSP値の差の絶対値が1.0以下であることが好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下である場合、層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、ポリエステルAからなる層とポリエステルBからなる層が同一の基本骨格を含んでなることが好ましい。ここでいう基本骨格とはポリエステルを構成する繰り返しの単位であり、例えば一方のポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレートが基本骨格である。ポリエステルAとポリエステルBが同一の基本骨格を含むポリエステルであるとさらに層間での剥離は生じにくくなるものである。
また、本発明における積層フィルムはポリエステルAがポリエチレンテレフタレート、ポリエステルBがジオール成分中にシクロヘキサンジメタノールが25mol%〜30mol%共重合したポリエステルであるが、スピログリコールを含んでなるポリエステルであることも可能である。スピログリコールを含んで成なるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいため好ましい。より好ましくは、ポリエステルAがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、ポリエステルBがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルである。ポリエステルBがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率を得やすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
ここで、主成分とするとは、通常全成分中の70質量%以上を占めることを言う。
また、本発明において規則的に積層するとは、ポリエステルAからなる層をA層、ポリエステルBからなる層をB層とした場合に、A層とB層以外の層がない場合には、A層とB層が厚み方向に交互に積層した構造を有していることと定義する。なお、A層とB層以外の第3の成分からなる層(仮にC層とする)や、さらにそれ以上の層についてはその配置の序列については特に限定されるものではない。また、A層B層に加えて、ポリエステルA、ポリエステルB以外の樹脂CからなるC層を有する場合には、A(BCA)n、A(BCBA)n、A(BABCBA)nなどの規則的順序で積層されることがより好ましい。ここでnは繰り返しの単位数であり、例えばA(BCA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABCABCABCAの順列で積層されているものを表す。
また、屈折率の異なる2種類の樹脂を積層させることにより、下記式(1)を用いて任意の波長にて反射率を得ることが可能である。また、各層厚みによって任意に反射波長を調整できる。反射率についてはA層とB層の屈折率差と、A層とB層の層数にて制御する。
2×(na・da+nb・db)=λ (1)
na:A層の面平均屈折率
nb:B層の面平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
さらに、層厚みが一方の表層から反射側の表面に向かうにつれて徐々に厚くなる層構成を含んでいることが好ましい。この場合、広帯域で反射率を得られるため意匠性に優れた樹脂フィルムとなる。
また、本発明では各層厚みが1〜1000nmのポリエステルAからなる層(A層)と、各層厚みが1〜1000nmのポリエステルBからなる層(B層)が交互に800層以上積層されていることが重要である。A層とB層を200層以上積層した構造を含まなければ、30%以上の反射率を有する帯域が得られない。また、800層以上であると、目標とする反射帯域において40%以上の反射率を有することが可能となり、この反射波長を、目標とする350〜450nmの青色領域に設定することでダイクロイックブルーの外観を有する積層フィルムを得ることができる。
また、上限値としては特に限定するものではないが、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、1500層以下であることが好ましい。
また、本発明ではポリエステルAからなる層の各層厚みが1〜1000nm、ポリエステルBからなる層の各層厚みが1〜1000nmであることが重要である。より好ましくは30〜500nmである。1層あたりの層厚みが30nm未満の場合、実質的に光の反射が起きないため好ましくない。また、1000nm以上になると高い反射率が得られにくくなるため好ましくない。さらに好ましくは30〜300nmである。この場合、反射帯域内の反射率がより高い反射率となるため好ましい。
また、前記ポリエステルAを主成分とする層と前記ポリエステルBを主成分とする層とを少なくとも800層以上積層したポリエステルフィルムの厚みは、30〜60μmである。かかる厚みが、30μmに満たないと、1層あたりの層厚みが30nm未満となり、目的の可視波長の反射が起きないため好ましくない。
また、かかる厚みが、60μmを超えると、目的の可視波長領域以外の波長を反射するため好ましくない。
また、本発明の成形用加飾シートは、シート長手方向および/またはシート幅方向の破断時の応力が220MPa以下であることが好ましい。より好ましくは200MPa以下である、応力が220MPa以下であると、成形性が良好であるためにインサート成形や真空圧空成形、超高圧成形に適した成形用加飾シートとなる。また、シート長手方向および/またはシート幅方向の破断時の応力が140MPa以上であることが好ましい。より好ましくは160MPa以上である、応力が140MPa未満であると、成形前のシート加工時に幅縮が起こる場合がある。
本発明の成形用加飾シートは、伸度100%時における接着剤層と積層フィルムの90°剥離強度が0.3kg/cm以上であることが好ましい。剥離強度が0.3kg/cm未満の場合、延伸あるいは成形途中でフィルムが剥離してしまう可能性があるため好ましくない。より好ましくは0.5kg/cm以上である。延伸あるいは成形後であっても、剥離は発生せず、意匠性を維持できるため好ましい。
本発明の成形用加飾シートは、波長350〜450nmの平均反射率が40〜80%、かつ、550〜1000nmの平均反射率が1〜10%であることが好ましい。可視波長の350〜450nmの反射率が40〜80%、かつ、550〜1000nmの平均反射率が1〜10%を外れると、深みのある青を再現できない。
波長領域350nm〜1000nmの平均の透過率が4%以上、55%以下であると、高輝度でかつ黒味のあるダイクロイックブルーとすることが可能となる。輝度を高めるためには反射率が高いほうが好ましいが、一般的に加飾として好まれるのは「黒味がある」ものであり、このためには可視光線の光を完全に反射するのではなく、一部吸収することが好ましい。
本発明の成形用加飾シートは、長径0.10〜1.0mm、深さ0.1〜0.5μmの凹みが1m当たり両面合わせて10個以下である。長径0.10〜1.0mm、深さ0.1〜0.5μmの凹みが1m当たり両面合わせて10個を超えると、最終製品とした場合に、表面品位に高級感が得られず、歩留まりが悪化する。
また、本発明において2枚のポリエステルフィルムを貼り合わせる接着剤層に用いる接着剤としては、ウレタン系樹脂からなる接着剤が好ましい。ウレタン系樹脂からなる接着剤とは、末端に水酸基を持つポリオールとポリイソシアネート、または末端にイソシアネート基を持つウレタンプレポリマーとポリオールを組み合わせ反応させることで硬化し、接着剤として機能するものである。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオールが使用できる。例えば、ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレン−プロピレン共重合ポリオール、ポリテトラメチレンポリオールなどの単独あるいはそれらの混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸など)とグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコールなど)とを重縮合させ得られたポリオール、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリエチレン−プロピレンアジペート等のポリオールがあり、また、ポリラクトンポリオール、例えば、ポリカプロラクトンポリオールの単独あるいはそれらの混合物、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび脂環式系ポリイソシアネートが挙げられる。上記ポリイソシアネートは単独あるいはそれらの混合物として使用できる。
また、本発明において用いられる接着剤層には各種の添加剤、例えば粘度調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、耐電防止剤、核剤などが配合されてもよい。
次に、本発明の成形用加飾シートを製造する好ましい製造方法を以下に説明する。
まず、本発明の成形用加飾シートに用いられる前記ポリエステルAを主成分とする層と前記ポリエステルBを主成分とする層とを少なくとも800層以上積層した厚みが30〜60μmであるポリエステルフィルム(以下積層フィルム)と記すの製造方法を以下に説明する。
2種類のポリエステルAおよび樹脂Bをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂などを取り除く。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出されたポリエステルAおよびBは次に多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。中でも、各層ごとの層厚みを個別に制御できるマルチマニホールドダイもしくはフィードブロックが好ましい。さらに各層の厚みを精度良く制御するためには、加工精度0.1mm以下の放電加工、ワイヤー放電加工にて、各層の流量を調整する微細スリットを設けたフィードブロックが好ましい。また、この際、樹脂温度の不均一性を低減するため、熱媒循環方式による加熱が好ましい。また、フィードブロック内の壁面抵抗を抑制するため、壁面の粗さを0.4S以下にするか、室温下における水との接触角が30°以上であると良い。
本発明の成形用加飾シートに用いる積層フィルムを得るためには、設計する反射フィルムの分光特性に応じて、最適な積層構成とすることが重要であるが、前記記載の調整を各波長帯域に対応した微細スリットを有するフィードブロックにて製膜を行うことが特に好ましい。
このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法や、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法が好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成するポリエステルのいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成するポリエステルのいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合、幅方向における反射ピークの反射率の差が±10%以下にすることが容易となるため好ましい。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。
次に、前記積層フィルムから成形用加飾シートを製造する好ましい製造方法を以下に説明する。
本発明の成形用加飾シートを製造するのに用いられる接着剤としては、接着部での90°剥離強度が0.3kg/cm以上となる接着剤を選択することが好ましい。1.0kg/cmであればより好ましく、1.5kg/cm以上であれば更に好ましい。剥離強度が0.3kg/cm未満の場合には、十分な密着性が得られず、延伸あるいは成型途中でフィルムが剥離してしまう可能性があるため好ましくない。接着強度が1.5kg/cm以上であると、使用時に剥離は発生せず、意匠性を維持できるため好ましい。
本発明の成形用加飾シートを製造する製造方法において前記積層フィルムの片面に形成する硬化型接着剤層の単位面積当たりの質量は約1〜30g/mである、かかる単位面積当たりの質量とすることで、1〜30μmの厚みの接着剤層が得られる。1g/m未満であると接着力が弱く、剥離しやすくなり、30g/mより多い場合、乾燥性が低下し、外観不良となりやすい。また、異物の押し痕が残りやすく、意匠性の低下につながるため好ましくない。
本発明の成形用加飾シートを製造する製造方法において硬化型接着剤層を形成する際の塗工方式は、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、リップコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター、キスタッチリバースコーター、コンマコーター、コンマリバースコーター、マイクロリバースコーターなどの塗工方式を用いることが出来る。
本発明の成形用加飾シートの製造方法において、前記積層フィルムの片面に1〜30g/mの硬化型接着剤層を形成する際の塗工方式は前述の方式を適宜選択して用いることができるが、塗工方式に合わせた粘度とするために適宜希釈剤を添加しても良い。本発明において用いられる接着剤の塗液調整に用いる希釈剤には、沸点が120℃以下の1種以上の低沸点溶剤と、その低沸点溶剤よりも高沸点の高沸点溶剤との混合溶剤を用いることができる。ここで、120℃以下としたのは、基材シートの耐熱性を考慮した乾燥温度130℃以下で、できるだけ速やかに蒸発する必要があるからである。さらに、高沸点溶剤は、好ましくは、低沸点溶剤の中で最も高沸点の溶剤よりも少なくとも40℃以上、より好ましくは40℃以上80℃以下高い沸点を有するものを用いることが好ましい。高沸点溶剤は、塗膜表面の固化を防止して他の低沸点の蒸発を促進する働きをするものである。また、塗工時の塗液の粘度上昇を抑制して塗工性を向上させる働きも有する。低沸点溶剤の具体例を挙げれば、炭化水素系溶剤としては、トルエン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン等を挙げることができ、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等を挙げることができ、エステル系溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等を挙げることができ、エーテル系溶剤としては、1,4−ジオキサン等を挙げることができる。好ましくは、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルから選択された1種以上の溶剤である。これに対し、高沸点溶剤には、メチルブチルケトン、ダイアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を挙げることができる。好ましくは、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルから選択された1種の溶剤である。また、高沸点溶剤の希釈溶剤中の含有量は、5〜20質量%、より好ましくは7〜15質量%である。5質量%より少ないと、低沸点溶剤の蒸発促進に十分な効果がなく、また20質量%を超えると、高沸点溶剤自体が塗膜内から完全に除去されず、塗膜内に残留する可能性があるからである。
貼り合わせ工程は、前記積層フィルムの片面に接着剤を塗布した後、他のポリエステルフィルムをラミネートニップロールで貼り合わせる。このとき、前記積層フィルムの片面に接着剤を塗布した後、40〜120℃で熱処理することが好ましく、40〜120℃に加熱したラミネートニップロール上で0.2〜1.0MPaのニップ圧力で第2のポリエステルをラミネートすることが好ましい。
貼り合わせた後巻取りまでの搬送ゾーンでは、欠点を検出する機構及び/または、張力の調整や巻取りロールの切替の際のシートのたるみを吸収するための機構等のために、通常複数の搬送ロールが用いられ、シートの幅方向のずれを抑制するために各搬送ロールにおいては、適当な接触角度をもってシートが搬送される。そしてこのような搬送ゾーンにおいては、シートの接触角度が60〜180°となる搬送ロールが必ず存在する。本発明者らは、シートの接触角度が60〜180°となる搬送ロールにおいて帯電が多く生じていることを見出し、かかる搬送ロールに対するシートの接触角度が、60〜180°となる搬送ロールの出側に、自己放電除電器を設置することによりD欠の発生を抑制出きることを見出したものである。帯電をより低減しD欠の発生をさらに抑制するために、更に全ての搬送ロールの出側に設置することが望ましい。ここで、搬送ロールに対するシートの接触角度とは、図1に示すように搬送ロール中心1からみて、搬送ロール2にシート3が入る接点4と、剥離する剥離点5との間の角度6を指す(破線の矢印はシートの搬送方向を示す)。 本発明において用いる自己放電除電器は、両端を接地点に連結することにより帯電した電荷を接地点に逃がす機能を有する導電性を有する線状体である。かかる線状体としては銅、アルミニウム、鉄などが上げられる。また、酸化された場合には導電性の低下や破断の懸念があることから、酸化しにくい素材が好ましい。例えば、0.1から0.5mmφタングステンの素線ワイヤーを用いることができる。
また、設置に当たっては、ワイヤーの両端をバネ等で張力をかけて保持し、シートの搬送方向を横切るように、好ましくはシートの搬送方向に垂直に設置する。
図2を用いて自己放電除電器の設置位置について説明する。斜線の領域を形成する同心円は搬送ロール2と中心を同じくする同心円で、搬送ロール2の半径+25mm、及び、搬送ロール2の半径+80mmの半径の円周を示しており、積層シート3と平行な破線は積層シートとの最短距離Dが1mm及び20mmとなる位置を示している。自己放電除電器9の設置位置は、原理的にはシートに近づければ近づけるほど除電効果が高いが、本発明においては、搬送ロールとの最短距離Mが25〜80mmの範囲7かつ積層シートとの最短距離Dが1〜20mmの範囲8である剥離領域10(斜線部)に設置する。
搬送ロール2の表面と自己放電除電器9の最短距離は小さいほど、自己放電除電器9が通常は金属ロールである搬送ロール2の影響を受け、シートの除電効率が悪くなるので25mm満たない場合は、距離Dに拠らず、除電効率が不十分となる。40mm以上すると、搬送ロール2の影響をほとんど受けなくできるため好ましい。距離Mの上限は、80mmを超えても、80mmとした場合に比べて除電効率に実質的に違いが無いが、搬送ロール2から距離が離れるに従いフィルムの振動等の影響が大きくなるので、80mm以下が好ましい。また、自己放電除電器9と積層シート3との最短距離Dは、1mm〜20mmにする。更に、5mm以下にすると搬送中の貼り合わせシートの表面電位を1kv以下に抑えられるため、好ましい。また、自己放電除電器9が搬送中の貼り合わせシートと接するとシート表面に傷が付き、表面品位を落とすため望ましくない。かかる観点から、1mm以上離れた位置に設置する。
複数の搬送ロールを通過させた後にシート巻取りコア上に巻き取り、接着剤の硬化を目的に、得られた積層シートをロールに巻き取った状態で、20〜60℃、24〜168時間熱処理を行う。かかる熱処理の温度が、20℃に満たない場合及び/または熱処理の時間が24時間に満たない場合には接着剤の硬化が十分には進まず、十分な接着強度が得られず、後の工程で貼り合わせたフィルムにズレが生じる場合がある。また、60℃を越える場合及び/または熱処理の時間が168時間を越える場合には、ロールとなったシートの巻きジマリ痕が顕著となり、加飾用途としては適さない。
また、シート巻取りコア上に巻き取る前に前記シート巻取りコアの積層シートの表層近傍の位置に除電器を設置して除電を行うことが好ましい。かかる場合に適用する除電器としては、前に記載したワイヤー型自己放電除電器(前記シート巻取りコアの積層シートの表層から1〜20mmの位置に設置)や、接地された細かいブラシ状導電物を除電対象である帯電体に接近させ、ブラシ先端でコロナ放電によりイオンを発生させて除電するブラシ型自己放電除電器や、針状電極に周波数50〜60Hzの交流の高電圧や直流の高電圧を印加してコロナ放電によりイオンを発生させて除電するコロナ放電式(前記シート巻取りコアの積層シートの表層から20〜70mmの位置に設置)を用いることが好ましい。中でも、交流式のコロナ放電式除電器を被除電物である積層シートロールに対して前記シート巻取りコアの積層シートの表層から20〜70mmの位置に、除電電極の針先を巻取りコアの中心に向けて設置することで累積帯電を除電することが好ましい。20mm未満の位置に配置した場合は積層シートに直接放電が発生し欠点を生じる場合があり、70mmを越えると除電効果が不十分となる場合がある。好ましくは、30〜70mmの位置である。更に好ましくは、交流式電圧印加方式除電器を2列設置する。
また、積層シート巻取りコアは、接地されていることが好ましい。さらに好ましくは、コアの素材として電位抵抗が0.1MΩ以下のコアを接地することであり、更に好ましくは、電位抵抗が0.1MΩ以下、硬度75の導電性ゴムコアを用いることである。
導電性ゴムコアであると、積層シートとコアの密着性があがり、除電の効果が向上するため好ましい。
積層シートを巻取るときの張力は、0.5〜1.5MPaが好ましく、0.9〜1.1MPaが更に好ましい。0.5MPa未満では、巻きズレが発生する可能性が大きく、1.5MPaを越えると、巻きジマリや、D欠が発生しやすい。
本発明の積層シートは、上記以外にハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層、接着層、離形層などの機能性層を形成してもよい。
[物性値評価方法]
[積層厚み、積層数]
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いても良い。積層構造の具体的な求め方を、説明する。約4万倍のTEM写真画像を、CanonScanD123Uを用いて画像サイズ720dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで画像処理ソフトImage−Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このJPGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBAプログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
[350〜450nmおよび550〜1000nmの平均反射率]
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotomater)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率を測定し、各波長範囲での平均値をn=3で算出した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAl2O3板を用いた。
[破断強度]
JIS−K7127(1999年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いてn=3で測定した。測定は下記の条件とした。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTAー100”
試料サイズ:幅10mm×試長間50mm
引張り速度:300mm/min
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
[90°剥離強度]
成形用加飾シート(積層フィルムと異素材をはりあわせたもの)を長さ25cm、幅1.5cmの寸法に切り出し、プラスチック基板に貼りつける。このとき、フィルム厚みが厚い方をプラスチック基板側とする。その後、成形用加飾シートの片方約10〜15cmを接着剤層を境として剥離させる。剥離が困難な場合は、溶剤を用い接着剤を取り除き剥離させる。剥離させたフィルムをインストロンタイプの引っ張り試験器を用いさらに剥離させ、剥離の際の強度をn=3で測定した。なお、剥離させる際はプラスチック基板は地面と水平になるよう設置し、かつ、プラスチック基板と剥離フィルムの角度が90°となるように設置する。測定は下記の条件とした。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTAー100”
試料サイズ:幅15mm×試長間50mm
引張り速度:200mm/min
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
剥離距離50mm分の平均の剥離強度を用いた。
[接着剤層厚み]
成形用加飾シートをサンプルサイズ20cm×5cmの寸法に切り出して質量を測定し、その後、溶剤にて接着剤層を取り除き再度質量測定を行う(n=3)。この質量差から接着剤層の厚みを算出した。
[全光線透過率]
サンプルを5cm×5cmで切り出し、直読式ヘイズメータHGM−2DP(スガ試験機器製作所製)を用いn=3で測定した。
[表面電位測定]
「TRek Model 523−1CE」を使用し、巻取られたシートロールの巻取りロール上出し右側、中央、上出し左側を測定し、n数3のそれぞれの平均値を求めた。
[ディンプル変形欠陥]
熱処理後のシートロールの巻芯部から50mの位置から1m角のカットサンプルを切り出し、次いで、下地に黒フィルム(東レ“ルミラー(登録商標)”X35S)黒フィルムを敷きその上に切り出したサンプルを置き、500〜1,000ルックスの蛍光灯環境下で、欠陥の長径をJIS P8208(最新改訂1998/11/20)/P8145(制定1976/03/01)一般ドットケージにて目視測定した長径0.10〜1.0mmの凹みをピックアップし、それらについて中心部の凹み深さをレーザー顕微鏡(KEYENCE製 VK−9710)にて測定し、深さが0.1〜0.5μmの凹み欠陥の個数を数えた。これをシート両面について行い、合計をディンプル変形欠陥の個数とした。
本実施例で用いた接着剤は以下の通りである。
<接着剤>
三井化学ポリウレタン株式会社製ウレタンプレポリマー溶液“タケネート A−971”5質量部、三井化学ポリウレタン株式会社製ウレタンプレポリマー溶液“タケラック A−3”0.5質量部を酢酸エチル5質量部に溶解させたものを用いた。
(実施例1)
ポリエステルAとして、固有粘度0.8のポリエチレンテレフタレート(以下PETと称す)を用いた。またポリエステルBとしてシクロヘキサンジメタノールが27mol%共重合された共重合ポリエステル(以下、PETGと称す)を用いた。これらポリエステルAおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
ポリエステルAおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流したポリエステルAおよびBは、スタティックミキサーに供給し、ポリエステルAが452層、ポリエステルBが451層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、積層厚み比がA/B=1.5になるよう、吐出量にて調整した。このようにして得られた計903層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、85℃から100℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.2倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、テンター内でリラックス率3%および150℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは41μmであった。
得られたフィルムにウレタン系熱硬化型接着剤をウェット厚みで7g/m2塗布し、乾燥温度70℃から90℃で速度20m/minで乾燥後、東レルミラー 厚み100μmのU46と、ニップ圧力0.4MPa、温度40℃でニップロールで貼り合わせを行った。
貼り合わせ後の搬送工程で、搬送ロールとシートの接触角度が、60〜180°となる直径100mm搬送ロール17本に、距離Lが80mm、距離Dが20mmとなる位置に0.2mmφタングステンをバネで両端部を把持して接地した。シート巻取り部にはイオン電流(イオン電流測定器 除電モニターSW001)が±0.3μA以上を発生する交流式電圧印加方式(コロナ放電式)除電器を、除電電極の針先が巻取りコアの中心に向けてダブルで設置。設置距離は被除電物であるシートロールと除電電極の針先が巻き長増加による距離をふまえ、50mm以下のところへ設置した。巻取りコアは、電位抵抗が0.1MΩ以下の導電性ゴムコアを用いた。得られた結果を表1に示した。
(実施例2)
積層装置としては、801層マルチマニホールドダイを用いた以外は、実施例1と同様の装置・条件で、ラミネートシートを得た。得られた結果を表1に示した。
(実施例3)
接着剤層の厚みを3μmとした以外は実施例1と同様にしてシートを得た。得られた結果
を表1に示した。
(比較例1)
積層フィルムの厚みを変えた以外は実施例1と同様にしてシートを得た。得られた結果を表1に示した。
(比較例2)
ラミネート加工時の除電処理を行わない以外は実施例1と同様にしてシートを得た。得られた結果を表1に示した。
(比較例3)
ラミネート加工を行わない以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られた結果を表1に示した。
Figure 0005659738
1 搬送ロールの中心
2 搬送ロール
3 シート
4 接点
5 剥離点
6 搬送ロールに対するシートの接触角度
7 搬送ロールとの最短距離Mが25〜80mmの範囲
8 シートとの最短距離Dが1〜20mmの範囲
9 自己放電除電器
10 剥離領域

Claims (3)

  1. 2枚のポリエステルフィルムが接着剤層を介して貼り合わせされた
    成形用加飾シートであって、
    少なくとも1枚のポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレートからなるポリエステルAを主成分とする層とジオール成分中にシクロヘキサンジメタノールが25mol%〜30mol%共重合したポリエステルからなるポリエステルBを主成分とする層とが厚み方向に少なくとも800層以上、規則的に、積層された厚みが30〜60μmのフィルムであり、
    前記接着剤層の厚み[t(a)]が1〜30μmであり、
    前記成形用加飾シートは
    全厚みが100μm以上300μm以下、
    そのシートの波長350〜450nmの平均反射率が40%以上、かつ、550〜1000nmの平均反射率が10%以下で
    長径0.10〜1.0mm、深さ0.1〜0.5μmの凹みが1m当たり両面合わせて10個以下であることを特徴とする
    ダイクロイックブルー成形用加飾シート。
  2. 全光線透過率が68%以上84%以下である
    請求項1に記載のダイクロイックブルー成形用加飾シート。
  3. 前記2枚のポリエステルフィルムの試験幅が15mm、剥離速度が200mm/min、剥離角度が90°の条件下で測定した剥離強度が、0.3kg/cm以上である
    請求項1または2に記載のダイクロイックブルー成形用加飾シート。
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