JP2014012401A - 多層積層フィルムおよびこれを用いたガラス窓部材 - Google Patents

多層積層フィルムおよびこれを用いたガラス窓部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 偏光サングラス等の偏光子を介して見ても、干渉色の見えない多層積層フィルムならびにガラス窓部材を提供する。
【解決手段】 ガラス部材と組み合わせ用いるガラス窓部材用積層フィルムであって、異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された積層フィルムであって、かつ波長900〜1200nmの帯域における平均反射率が70%以上であり、かつ波長450nm以上700nm以下の帯域における平均反射率が20%以下であり、かつフィルム面に対して入射角度0°における波長590nmでのリタデーションが0nm以上400nm以下であることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムおよびこれを用いたガラス窓部材に関する。
近年、環境保護による二酸化炭素排出規制を受けて、夏場の外部、特に太陽光による熱の流入を抑制できる熱線カットガラスが自動車や電車などの乗り物、建物の窓ガラスとして注目されている。
このような熱線カットガラスの一例として、ガラス中や合わせガラスに用いられる中間膜中に熱線吸収材を含有させ、熱線を熱線吸収材にて遮断するもの(たとえば、特許文献1)、金属膜をガラス表面上にスパッタなどにより形成し熱線を反射させて遮断するもの、(たとえば特許文献2)屈折率の異なるポリマーが交互に積層されたポリマー多層積層フィルムをガラス及び中間膜の間に挿入して熱線を反射させて遮断するもの(たとえば特許文献3)などがある。この中で、熱線吸収材を用いる方法では、外部から入射される太陽光を熱エネルギーに変換するためその熱が室内へと放射されて熱線カット効率が低下する問題がある。加えて、熱線を吸収することでガラス温度が上昇し、外気温との差によりガラス本体が破損する場合もある。また、金属膜をガラス表面上にスパッタなどにより形成する方法では、熱線のみではなく可視光も反射するために着色しやすく、かつ電磁波も遮蔽するために内部で通信機器などが使用できない場合もある。
一方、ポリマー多層積層フィルムは、その層厚みを制御して、反射する波長を選択できるため、近赤外領域の光を選択的に反射することができ、可視光線透過率を維持しつつ熱線カット性能を向上させることができる。また、金属など電波を遮断するものを含まないために、優れた電波透過性を保持したものとなる。
ここで、上記のポリマー多層積層フィルムには、一般的に少なくとも1方向に延伸された延伸フィルムが用いられる場合が多い。しかし、非延伸フィルムを用いることが多い中間膜中への熱線吸収材の添加や、金属膜のガラス上へのスパッタの場合においてはリタデーションが低いのに対して、延伸フィルムにおいては、フィルムの屈折率がフィルムの幅方向、長さ方向、厚み方向の直交する3方向で異なることがあり、リタデーションが大きくなる場合がある。フィルムのリタデーションが特定の範囲にある場合、自然光(非偏光)の下では視認性に影響がないものの、偏光サングラス等の偏光子を介して見ると、干渉色が見える問題がある。このため、熱線カットガラスの主要な用途の一つとして考えられる自動車用途においては、運転時に偏光サングラスをかけることで干渉色によって運転にストレスを感じる場合がある。また、建築物の窓ガラス用途においても、干渉縞が見えることで特に視認性の求められる用途において適当でない場合がある。
特開2010−17854号公報 特許第3901911号公報 特許第4310312号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、偏光子を介して見ても干渉色が観測されがたい積層フィルム及び、該積層フィルムを用いたガラス窓部材を提供することを課題とする。
係る課題を解決するため、本発明は、ガラス部材と組み合わせて用いられる積層フィルムであって、該積層フィルムは異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された構成を有し、かつ波長900〜1200nmの帯域における平均反射率が70%以上であり、かつ波長450nm以上700nm以下の帯域における平均反射率が20%以下であり、かつフィルム面に対して入射角度0°、波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下であることを特徴とする積層フィルム、であることを本旨とする。
本発明によって、太陽光線や蛍光灯等の光源からの光線を、偏光子を介して見た場合においても、干渉色が抑制されて良好な視認性を備えた積層フィルム及び、該積層フィルムを用いたガラス窓部材を得ることができる。
以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。また、説明を簡略化する目的で一部の説明は異なる光学的性質の異なる2種の熱可塑性樹脂が交互に積層された積層フィルムを例にとり説明するが、3種以上の熱可塑性樹脂を用いた場合においても、同様に理解されるべきものである。
本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂からなる必要がある。熱可塑性樹脂は一般的に熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂と比べて安価であり、かつ公知の溶融押出により簡便かつ連続的にシート化することができることから、低コストで積層フィルムを得ることが可能となる。
また、本発明の積層フィルムにおいては、異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層されてなる必要がある。ここでいう異なる光学的性質とは、面内で任意に選択される直交する2方向および該面に垂直な方向から選ばれる方向のいずれかにおいて、屈折率が0.01以上異なることをいう。また、ここでいう交互に積層されてなるとは、異なる樹脂からなる層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいい、たとえば異なる光学的性質を有する2つの熱可塑性樹脂A、Bからなる場合、各々の層をA層,B層と表現すれば、A(BA)n(nは自然数)といったように規則的な配列で積層されたものである。このように光学的性質の異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係よって特定される特定の波長の光を反射させることが可能となる。また、積層する層数が50層未満の場合には、赤外領域において十分な帯域に渡り高い反射率を得られず充分な熱線カット性能を得ることができない。好ましくは、それぞれ400層以上であり、より好ましくは、それぞれ800層以上である。前述の干渉反射は、層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成できるようになり、高い熱線カット性能を備えた積層フィルムが得られるようになる。また、層数に上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることでのハンドリング性の悪化が生じ、特にフィルム厚みが厚くなることで合わせガラス化の工程での工程不良の原因ともなることに加えて、フィルム厚みと比例関係にあるリタデーションが大きくなりうるために、現実的にはそれぞれ1000層程度が実用範囲となる。
本発明の積層フィルムにおいては、波長900〜1200nmでの平均反射率が70%以上であることが必要である。太陽光は可視光領域に主に強度分布を備えており、波長が大きくなるにつれてその強度分布は小さくなる傾向にある。しかし、高い透明性が求められる用途で使用するために、可視光領域よりもやや大きな波長900〜1200nm(全太陽光の強度の約18%)の光を効率的に反射することにより、高い熱線カット性能を付与することができる。好ましくは、波長900〜1200nmでの平均反射率が80%以上であり、より好ましくは波長900〜1200nmでの平均反射率が90%以上である。波長900〜1200nmでの平均反射率が大きくなるに従い、高い熱線カット性能を付与することが可能となる。このようなフィルムは、光学特性の異なる2種以上の樹脂の面内屈折率の差を大きくすることにより実現できるので、二軸延伸フィルムとする場合は結晶性である熱可塑性樹脂からなる樹脂からなる層と、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解される熱可塑性樹脂からなる層が交互に積層された積層フィルムとすればよい。
同様に、本発明のガラス窓部材は、少なくとも1枚のガラス部材と少なくとも本発明として説明される積層フィルムとが貼り合わされてなるものであるが、本発明のガラス窓部材においては、ガラス窓部材の少なくとも一方の面において、波長900〜1200nmの帯域における平均反射率が60%以上である必要がある。より好ましくは、ガラス窓部材の両面において波長900〜1200nmの帯域における平均反射率が60%以上であることである。また、ガラス窓部材の少なくとも一方の面において、波長900〜1200nmの帯域における平均反射率が70%以上であることが望ましい。前者の場合、ガラス窓部材のいずれの面においても高い熱線カット性能を付与できるようになる。また、後者の場合においては、高い熱線カット性能を付与することが可能となる。このように少なくともガラス窓部材の一方の面において、波長900〜1200nmの帯域における平均反射率が60%以上とするためには、積層フィルムにおけるガラス窓部材の少なくとも一方の面において、波長900〜1200nmの帯域における平均反射率が70%以上とすることが必要となる。また、ガラス面に積層フィルムが貼り合わされた構成となっており、貼り合わせは接着剤を介して行っても良く、また、ガラス部材と積層フィルム間に衝撃吸収層などの他の層を設けても構わない。積層フィルムが表面となる構成とすることで積層フィルムでの反射を抑制することが可能となるものの、一方で、特に外部からの熱線をカットすることを目的とする本発明のガラス窓部材においては、耐候性・耐久性の観点で問題となることもある。その場合、外部に波長900〜1200nmにおける吸収の少ない部材を設けることも好ましく、その場合には部材における光の透過率が85%以上であることが好ましい。このような部材を用いた場合には、積層フィルムで反射された光をほとんど吸収することなく外部へと反射することができるため、効率的に光を反射することが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいては、波長450〜700nmでの平均反射率が20%以下である必要がある。波長450〜700nmの帯域での反射がある場合、反射光または透過光が着色するために、特に自動車のフロントガラスのように高い透明性が求められる用途においては適応できなくなるおそれがある。波長450〜700nmでの平均反射率が20%以下であることにより、可視光の反射に伴う反射光および透過光の着色を抑制でき、高い透明性が求められる用途に好適なフィルムとなるものである。波長400〜700nmでの平均反射率は、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。波長400〜700nmでの平均反射率を低くするほど、透明性の高いフィルムが得られるようになる。このようなフィルムは、すべての隣接する2種の熱可塑性樹脂からなる層の光学厚み(層厚み×屈折率)の比を1に高精度に制御したりや、表面にAR(反射防止)処理を施すことで得ることができる。
同様に、本発明のガラス窓部材においても、上記と同様に波長450〜700nmでの平均反射率が20%以下である必要がある。これは、ガラスおよびフィルムからなるガラス窓部材のいずれの面においても満足する必要があり、いずれか一方でも満たさない場合には、透過光が着色する原因となる。好ましくは波長400〜700nmでの平均反射率が15%以下で、より好ましくは10%以下である。波長400〜700nmでの平均反射率が低下するほど、透明性の高いガラス窓部材が得られるようになる。
本発明の積層フィルムにおいては、フィルム面に対して入射角度0°で波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下であることが必要である。ここではいうリタデーションが0nm以上400nm以下であるとは、フィルムのいずれかの場所において3.5cm四方の範囲で計測したリタデーションが0nm以上400nm以下であることをいう。偏光板のように入射光の一方の偏光を強く透過し、他方の偏光を遮蔽する偏光子を介してリタデーションをもつフィルムを通してリタデーションが0nm以上400nm以下であることにより、偏光子を介して見ても干渉色が観測されがたい積層フィルムを得ることが容易となる。リタデーションは、各々の層における屈折率の異方性(複屈折率)と各層の厚みや、各層の配向の向きにより規定されるものである。ここで、本発明の積層フィルムに代表される延伸フィルムにおいては、延伸時に熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bが一般に同一方向に配向する傾向があるため、熱可塑性樹脂Aからなる層の複屈折率と層厚みの総和の積と熱可塑性樹脂Bからなる層の副屈折率と層厚みの総和の積となる。このことから、入射角度0°における波長590nmでのリタデーションが0nm以上400nm以下とするためには、各々の樹脂における複屈折率を抑制することが必要となるが、その方法については後述のとおり、製膜条件により熱可塑性樹脂Aならびに熱可塑性樹脂の配向状態を制御することや、一方の熱可塑性樹脂を非晶性樹脂に代えること、完全に融解させて非晶性樹脂と同様の状態とすることで達成される。
本発明の積層フィルムにおいては、幅方向の端部から10cm内側に入った箇所および幅方向の中央の箇所において、フィルム面に対して入射角度0°で波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下であることが好ましい。また、フィルムの幅方向が特定できない場合においては、上下左右の両辺から10cm内側に入った箇所およびそれらの中央の箇所において、リタデーションが0nm以上400nmであることとする。このような場合、フィルムのいずれの箇所においても偏光子を介して見ても干渉色が観測されがたい積層フィルムを得ることが容易となることから、特に大面積のガラス窓部材に用いた場合においても、干渉色のない高品位のガラス窓部材とすることが可能となる。このような積層フィルムを得るためには、後述のとおり横延伸工程ならびに熱処理条件を調整することによって達成されるものである。
本発明の積層フィルムにおいては、フィルム中央の箇所における配向角に対して、幅方向の端部から10cm内側に入った箇所での配向角の差が±30°以下であることも好ましい。ここでいう配向角とはフィルムの幅方向を0°としたときにフィルム面内で屈折率が最も大きくなる方向をさす。また、フィルムの幅方向が特定できない場合には、上下左右の両辺から10cm内側に入った箇所の中央の箇所において、任意に設定した方向を基準に配向角を計測し、フィルム上下左右の両辺から10cm内側の位置での配向角と中央位置での配向角との差が±20°以下であることとする。偏光子を介したときに見られる色づきの程度は、フィルムのリタデーションと偏光子に対する配向角によって決定される。ここで、リタデーションの値によっては、フィルム面内での配向角のばらつきにより、透過光の強度が変化し、色目や輝度のムラとして観測される場合がある。そこで、配向角の差が20°以下であれば、フィルム面内での色目や明るさのばらつきを抑えることが可能となり、フィルムのいずれの箇所においても偏光子を介して見ても均一な見た目のサンプルとすることが可能となる。好ましくは、配向角の差が15°以下であり、さらに好ましくは10°以下である。配向角の差が小さくなるにしたがい、偏光子を介してみたときの干渉色や明るさのばらつきは視認されにくいものとなる。
本発明の積層フィルムにおいては、150℃で1時間加熱したのちのフィルム面に対して入射角度0°で波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下であることも好ましい。一部のガラス窓部材においては、100℃以上の高温条件下の加工が必要となる場合がある。その場合、積層フィルムのリタデーションが0nm以上400nm以下であっても、加工工程においてリタデーションの値が変化し400nmより大きな値となるおそれがあることから、本発明の積層フィルムは150℃1時間加熱したのちのフィルム面に対して入射角度0°で波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下であることが望ましい。そのようにすることで、高温条件下での加工が必要な場合においても、偏光子を介して見ても干渉色が観測されがたい積層フィルムとすることが可能となる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリアセタールなどの鎖状ポリオレフィン、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性および汎用性の観点から、特にポリエステルを用いることがより好ましい。これらは、共重合体であっても、混合物であってもよい。
このポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールあるいはそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも高い屈折率を発現するテレフタル酸と2,6ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂が、例えば、上記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体などを用いることが好ましい。
本発明の積層フィルムにおいては、隣接する異なる光学的性質を有する熱可塑性樹脂によって構成される層の面内平均屈折率の差が0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上0.15以下である。面内平均屈折率の差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られないために熱線カット性能が不足する場合がある。この達成方法としては、少なくとも一つの熱可塑性樹脂が結晶性であり、かつ少なくとも一つの熱可塑性樹脂が非晶性もしくは非晶性熱可塑性樹脂と結晶性熱可塑性樹脂の混合物であることである。この場合、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において容易に屈折率差を設けることが可能となる。
本発明の積層フィルムに用いる異なる光学的性質を有する各熱可塑性樹脂の好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂のSP値(溶解性パラメータともいう)の差の絶対値が、1.0以下であることが第一に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなり、また積層精度を高める上で有利である。より好ましくは、異なる光学的性質を有するポリマーは同一の繰り返し単位を含むことが好ましい。たとえば、一方の熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、高精度な積層構造が実現しやすい観点から、エチレンテレフタレート単位を含むことが好ましい。
また、本発明の積層フィルムに用いる異なる光学的性質を有する各熱可塑性樹脂の好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂のガラス転移温度差が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度の差が20℃より大きい場合には積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、熱線カット性能にばらつきが生じる原因となる。また、積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすいためである。さらに、本発明の課題とするリタデーションは、前述のとおり熱可塑性樹脂Aからなる層の複屈折率と層厚みの総和の積と熱可塑性樹脂Bからなる層の副屈折率と層厚みの総和の積となるため、フィルムの厚みムラを抑制することでリタデーションの均一化にとっても重要となる。
上記の条件を満たすための樹脂の組合せの一例として、本発明の積層フィルムでは、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がスピログリコールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールカルボキシレート単位含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、少なくともひとつの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、少なくともひとつの熱可塑性樹脂がスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を用いて得られるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を用いて得られるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さく、接着性にも優れるため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
また、本発明の積層フィルムにおいては、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり単一の組成であっても少量の他の繰り返し単位が共重合され、あるいは、少量の他のポリエステル樹脂がブレンドされたものであって良く、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がシクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルであることが好ましい。シクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。シクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になることがなりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、少なくともひとつの熱可塑性樹脂がシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくいものである。
本発明の積層フィルムにおいては、示差走査熱量測定において融点が一つのみ観測されることが好ましい。これは、一方の熱可塑性樹脂が結晶性であり、かつ他方の熱可塑性樹脂が非晶状態にあることを示す。このように他方の熱可塑性樹脂が非晶状態であれば、非晶状態にある熱可塑性樹脂からなる層の複屈折率を大幅に抑制することが可能となり、フィルム面に対して入射角度0°で波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下とすることが容易となる。
また、本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1種の樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であり、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも1種が非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。ここでいう結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、融解熱量が5J/g以上であることをいう。一方、非晶性とは、同様に融解熱量が5J/g未満であることをいう。結晶性ポリエステル樹脂は、延伸・熱処理工程において配向結晶化させることにより、延伸前の非晶状態のときよりも高い面内屈折率とすることができる。一方、非晶性ポリエステル樹脂の場合においては、熱処理工程においてガラス転移点温度をはるかに超える温度で熱処理を行うことにより、延伸工程で生じる若干の配向も完全に緩和でき、非晶状態の低い屈折率を維持できるものである。このように、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との間に容易に屈折率差を設けることができるため、後述のとおり波長900〜1200nmでの平均反射率を高めることが可能となることに加えて、フィルム面に対して入射角度0°で波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションを0nm以上400nm以下とすることが容易となる。また、より好ましくは、結晶性ポリエステルの示差走査熱量測定(DSC)における融解熱量が20J/g以上であることが好ましい。この場合、延伸・熱処理工程においてより強く配向結晶化させることができるため、容易に非晶性樹脂ポリエステル樹脂との屈折率差を設けることができるものである。
また、本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1種の樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であり、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも1種が前記結晶性のポリエステル樹脂の融点より30℃以上低い融点を備えたポリエステル樹脂であることもまた好ましい。2種類の結晶性ポリエステル樹脂の融点の差が30℃以上ある場合、2種の結晶性ポリエステル樹脂の融点の間の温度にて熱処理を行うことにより、低融点のポリエステル樹脂を融解・非晶化させる配向を緩和することでき、結果として2種のポリエステル樹脂間の屈折率差を設けることが可能となる。その結果、波長900〜1200nmでの平均反射率を高めることが可能となることに加えて、フィルム面に対して入射角度0°における波長590nmでのリタデーションが0nm以上400nm以下とすることが容易となる。
本発明の積層フィルムにおいては、フィルム幅方向ならびに長手方向の厚みムラが5%以下であることが好ましい。ここでの厚みムラは、得られたフィルムの幅方向および長手方向の全長を計測して得られた値とするが、ロール形態のフィルムの場合には2000mmの測定長にて計測して得られた値とする、リタデーションは前述のとおり熱可塑性樹脂Aからなる層の複屈折率と層厚みの総和の積と熱可塑性樹脂Bからなる層の副屈折率と層厚みの総和の積であることから、フィルムの厚みムラを抑制することによりリタデーションのばらつきを抑制することができる。フィルム幅方向ならびに流れ方向の厚みムラが5%以下とするためには、前述のとおり熱可塑性樹脂のガラス転移温度を制御することや、後述の製膜条件により達成できるものである。
本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムの長手方向と幅方向のヤング率の差が0.2GPa以下とすることが好ましい。このように積層フィルムのヤング率の差を0.2GPa以下とすることで、もともとの積層フィルムのフィルム面に対して入射角度0°で波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下とすることが容易となることに加えて、各種加工工程において積層フィルムに外力が加わった場合においても配向状態に異方性が生じにくく、加工工程後もリタデーションが0nm以上400nm以下で保つことが容易となるものである。このような積層フィルムを得るためには、製膜条件を適宜調整することで可能となる。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を熱可塑性樹脂A,熱可塑性樹脂Bの二種の熱可塑性樹脂を用いた例にとって以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるわけではない。また、積層フィルムの積層構造の形成自体は、特開2007−307893号公報の〔0053〕〜〔0063〕段の記載を参考とすれば実現できるものである。
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
また、複数の熱可塑性樹脂からなる多層積層フィルムを作製する場合には、複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述と同様にキャスティングフィルムが得られる。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、リタデーションを値を抑制できる点や幅方向のリタデーションや配向角の均一性を付与できる点、ヤング率などの機械特性を等方化する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
ここで、特に本発明の積層フィルムにおいては、縦延伸における配向を強めることも好ましい。通常の逐次2軸延伸においては、フィルム幅方向において配向が強くなる傾向があり、これがリタデーションの原因となる。ここで、縦延伸における配向を強めることにより、フィルム幅方向と流れ方向の配向状態を同程度に調整でき、フィルム面に対して入射角度0°で波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下とすることが容易となる。配向を強めるために好ましい延伸条件は、ガラス転移温度―5℃から+5℃の範囲で延伸することであり、例えばガラス転移温度が約80℃のポリエチレンテレフタレートを用いた場合には75〜85℃の範囲で3.5倍以上に延伸することが好ましい。この場合、単にリタデーションを抑制できるのみでなく、フィルム幅方向のリタデーションの均一性やフィルム厚みムラの抑制にも効果的である。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
ここで、特に本発明の積層フィルムにおいては、フィルム幅方向のリタデーションの抑制ならびにフィルム幅方向のリタデーションや配向角の均一性の向上のためにフィルム幅方向への延伸時に段階的に延伸温度を低温から高温へと昇温する方法や、フィルム幅方向への延伸時に高延伸倍率で延伸したのちに低延伸倍率で延伸する方法などを採用することも好ましい。リタデーションや配向角の幅方向均一性の低下の原因の一つは、幅方向延伸時にフィルム流れ方向に働く延伸応力に伴うことが多い。ここで、上記の方法を採用することにより、フィルム幅方向への延伸時にフィルム流れ方向で生じる応力を抑制でき、相対的にフィルム幅方向の応力を高めることができるため、フィルム幅方向でのリタデーションや配高角の均一化を達成できるものである。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、成形用フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
ここで、特に本発明の積層フィルムにおいては、フィルム幅方向のリタデーションを抑制するためにフィルム幅方向に延伸したのちに、一旦ガラス転移温度以下に冷却した後に熱処理を行うことも好ましい。この場合、ガラス転移温度以下に冷却することでフィルム幅方向への延伸工程におけるフィルム流れ方向の延伸応力を抑制することが可能となり、結果としてフィルム幅方向でのリタデーションの均一性を高められるものである。
また、本発明の積層フィルムにおいては、熱処理時の温度を段階的に昇温することも好ましい。より好ましくは、フィルム幅方向への延伸終了時の温度をT1、熱処理開始時の温度をT2、熱処理工程の最高温度をT3とした場合、T2はT1+10℃以上であり、かつT3−10℃以下であることであり、さらに好ましくはT2が(T1+T3)/2±10℃の範囲にあることである。このように、熱処理温度を段階的に昇温することでも、フィルム幅方向への延伸工程におけるフィルム流れ方向の延伸応力を抑制することが可能となり、結果としてフィルム幅方向でのリタデーションの均一性を高められるものである。
また、本発明の積層フィルムにおいては、熱処理工程においてもフィルム幅方向へフィルム幅方向への延伸工程終了後のフィルム幅に対して1.01倍以上1.2倍以下で延伸することも好ましい。熱処理工程においては、フィルム長手方向への応力はほとんど生じないため、幅方向でのリタデーションや配向角の均一性を向上させることができる。一方、熱処理工程でのフィルム幅方向への延伸倍率が1.2倍より大きくなった場合には、フィルムに厚みムラが生じ、逆にリタデーションが悪化する場合もある。
また、本発明の積層フィルムにおいては、延伸後の熱処理温度を少なくとも一つの熱可塑性樹脂の融点以下であり、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも一つの融点以上とすることが好ましい。この場合、一方の熱可塑性樹脂は高い配向状態を保持する一方、他方の熱可塑性樹脂の配向は緩和されるために、容易にこれらの樹脂の屈折率差を設けることができることに加えて、かつフィルム面に対して入射角度0°で波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下とすることが容易となる。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
次に、得られた積層フィルムをガラス窓部材に用いる方法を説明する。
ガラス窓部材の一例として、ガラス窓部材のガラス面に本積層フィルムを張り合わせる方法が考えられる。このとき、積層フィルムの少なくとも一方の面には、接着層が設けられる。接着層は特に限定されるものではないが、フィルムの基材ならびにガラス窓部材に用いられる基材のいずれに対しても良好な接着性を備えていることが必要である。また、ガラス窓部材に用いる基材も特に限定されるものではなく、ガラスであってもポリカーボネートやアクリル樹脂のような硬質の樹脂であってもよい。上記の接着層の形成方法も特に限定されるものではないものの、接着層の組成や形成時に用いる溶媒の種類によっては、100℃以上の高温条件下において硬化・乾燥を施す必要があり、その際に150℃1時間加熱したのちのフィルム面に対して入射角度0°で波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下である積層フィルムであれば、加工後も偏光子を介して見ても干渉色が観測されがたいガラス窓部材とすることが可能となる。また、ガラス窓部材に接着されていない他方の面においては、表面保護層や着色層、熱線吸収層などの機能層を設けることもまた好ましいものである。
そのほかのガラス窓部材の一例としては、本発明の積層フィルムを合わせガラスの構成要素の一つとしたガラス窓部材が考えられる。これは、自動車のフロントガラスなどの安全ガラスに用いられる手法であるが、この場合、特に好ましい構成は、2枚の中間膜の間に本発明の積層フィルムを挟み込み、さらにこの中間膜−積層フィルム−中間膜の積層体を2枚のガラスで挟み込んだ構成である。このような合わせガラスの工程においても、積層フィルムと中間膜、ガラスを一体化させる合わせガラス工程において100℃以上の高温条件で処理する場合が多く、その際に150℃1時間加熱したのちのフィルム面に対して入射角度0°における波長590nmでのリタデーションが0nm以上400nm以下である積層フィルムであれば、加工後も偏光子を介して見ても干渉色が観測されがたいガラス窓部材とすることが可能となる。本構成に用いる中間膜、ガラスは特に限定されるものではなく、必要に応じて、熱線吸収中間膜、遮音中間膜、熱線反射ガラス、熱線吸収ガラスなどのほかの機能を備えた中間膜、ガラスを用いることも好ましい。
以下、本発明の積層フィルムの実施例を用いて説明する。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuOやOsOなどを使用した染色技術を用いた。
(2)反射率
5cm×5cmで切り出したサンプルを日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で反射率測定を行った。反射率測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。反射率測定では、サンプルの長手方向を上下方向にして、積分球の後ろに設置した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定し、方位角0度における反射率を得た。
(3)熱可塑性樹脂A,Bの屈折率
JIS K7142(1996)A法に従って測定した。
(4)リタデーション・配向角
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いた。3.5cm×3.5cmで切り出したフィルムサンプルを装置に設置し、入射角0°における波長590nmのレタデーションを測定した。サンプリングは、幅600mmのフィルムロール上の中央部ならびに一方の端から10cmの位置よりサンプリングした。
(5)熱可塑性樹脂A,Bの融解熱量、融点
熱可塑性樹脂A、Bからサンプル質量5gを採取し、示差走査熱量分析計(DSC) セイコー電子工業(株)製ロボットDSC−RDC220を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定、算出した。測定は25℃から290℃まで5℃/分で昇温しこのときの融点±20℃の範囲におけるベースラインからの積分値を融解熱量とした。また、ここでの融点とは、DSCのベースラインからの差異が最大となる点とした。ここで、融解熱量が20J/g以上の樹脂を結晶性樹脂、5J/g以下である樹脂を非晶性樹脂とした。
(6)厚みムラ
アンリツ社製 フィルムシックネステスターKG601Aを用い、フィルムの幅方向および流れ方向に速度3m/秒で1m走行させフィルム厚みを測定した。アンリツ社製 広範囲電子マイクロメータK306Cにてフィルム厚みを読み取り、次式にて厚みムラを算出した。測定長は、フィルム幅方向は600mm、長手方向は2000mmとした。
厚みムラ(%)=(最大厚さ−最小厚さ)/平均厚さ×100
(7)ヤング率
サンプルは、フィルムの幅方向の中央部から、長手方向に15cm、幅方向に1.5cmで切り出し長手方向のヤング率測定用サンプルとした。同様に、幅方向に15cm、長手方向に1.5cmで切り出し幅方向のヤング率測定用サンプルとした。弾性率、破断強度、破断伸度は、引張試験機(東洋測機社製テンシロンUTM−III)で、試験長10cmで把持し、速度20cm/minで引っ張り、記録された応力−歪み曲線をもとにJIS K 7113の方法により求めた。
(実施例1)
光学特性の異なる2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aは固有粘度0.65、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも表す、なお、延伸・熱処理後のフィルムでの面内屈折率は約1.66であった)[東レ製F20S]を用い、非晶性の熱可塑性樹脂Bとして固有粘度0.72で非晶性であるポリエチレンテレフタレートの共重合体(スピログリコール成分20mol%共重合したPETであり、以下SPG共重合PET1とも表す。延伸・熱処理後のフィルムでの面内屈折率は1.550であった)を用いた。
このようにして準備した熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、それぞれ、ベント付き二軸押出機にて280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、401層のフィードブロックにて合流させた。なお、両表層部分は熱可塑性樹脂Aとなるようにし、かつ隣接する熱可塑性樹脂Aからなる層Aと熱可塑性樹脂Bからなる層Bの層厚みは、ほぼ同じになるようにした。つづいて401層フィードブロックにて合流させ、T−ダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。なお、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの重量比が約1:1になるように吐出量を調整し、隣接する層の厚み比が約1となるにようにした。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.8倍延伸し、その後一旦冷却した。延伸時のフィルム温度は85℃であった。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、90℃の熱風で予熱後、100℃の温度で横方向に均一な延伸速度で3.8倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に1%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは幅方向において十分に低いものであったが、配向角の均一性は低いものとなっていた。
続いて、得られたフィルムの一方の面に接着層を設けたのちに、厚み2mmのガラスにはりあわせてガラス窓部材とした。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、幅方向のいずれの場所においても着色などは確認されないもの、幅方向での明るさの違いは若干みられた。結果を表1に示す。
(実施例2)
縦延伸倍率を3.3倍とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低いものであったが、実施例1と比較して幅方向の端部周辺では若干リタデーションが高くなっており、配向角の均一性も若干低下していた。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、着色などは確認されないものであったが、一方でフィルム幅方向端部周辺に相当する位置では、若干の着色や明るさの違いが見られるものであった。結果を表1に示す。
(実施例3)
横延伸時に、3段階で95℃、100℃、105℃と延伸温度を高温化して延伸した以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、実施例1と比較してリタデーションは幅方向において十分に低く、配向角の均一性もよいものであった。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、幅方向のいずれの場所においても着色や明るさの違いなどはほとんど確認されないものであった。結果を表1に示す。
(実施例4)
横延伸時に、3段階で95℃、100℃、140℃と延伸温度を高温化して延伸した以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、実施例3と比較してもリタデーションは幅方向において十分に低く、配向角の均一性もよいものであった。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、幅方向のいずれの場所においても着色や明るさの違いなどはほとんど確認されないものであった。結果を表1に示す。
(実施例5)
横延伸時に、延伸速度を2段階で変化させ、延伸区間の最初の25%の区間において、フィルム幅方向へ3.0倍の延伸を行い、残り75%の区間において3.8倍まで延伸させたこと以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、実施例1と比較してリタデーションは幅方向において十分に低く、配向角の均一性もよいものであった。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、幅方向のいずれの場所においても着色や明るさの違いなどはほとんど確認されないものであった。結果を表1に示す。
(実施例6)
横延伸後に中間冷却ゾーンを設け、一旦70℃までフィルム温度を低下させたこと以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、実施例1と比較してリタデーションは幅方向において十分に低く、配向角の均一性もよいものであった。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、幅方向のいずれの場所においても着色や明るさの違いなどは確認されないものであった。結果を表1に示す。
(実施例7)
熱処理工程において、熱処理区間の最初の25%の区間における熱処理温度を190℃、残り75%の区間において240℃とした以外は、実施例4と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、実施例4と比較してさらにリタデーションや配向角の均一性もよいものであった。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、幅方向のいずれの場所においても着色や明るさの違いなどは確認されないものであった。結果を表1に示す。
(実施例8)
さらに熱処理工程において、熱処理区間の最初の25%の区間においてフィルム幅方向へ1.1倍延伸した以外は、実施例7と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、実施例7と比較してさらに配向角の均一性もよいものであった。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、幅方向のいずれの場所においても着色や明るさの違いなどは確認されないものであった。結果を表1に示す。
(実施例9)
さらに横延伸後に中間冷却ゾーンを設け、一旦70℃までフィルム温度を低下させてこと以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、実施例8と比較してさらに配向角の均一性もよいものであった。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、幅方向のいずれの場所においても着色や明るさの違いなどは確認されないものであった。結果を表1に示す。
(実施例10)
熱可塑性樹脂Bとして、融点210℃、屈折率1.564のイソフタル酸共重合ポリシクロヘキサンジカルボンテレフタレート(以下PCT/Iとも表す)を用いた以外、実施例1と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであったが、若干900〜1200nmの反射率が低いものであった。また、リタデーションは十分に低いものであったが、幅方向の端部周辺では若干リタデーションが高くなっていた。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、着色などは確認されないものであったが、一方でフィルム幅方向端部周辺に相当する位置では、若干の着色が見られるものであった。結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例1と同様に積層フィルムを得て、得られた積層フィルムをガラス、ポリエチレンビニルアルコール、積層フィルム、ポリエチレンビニルアルコール、ガラスの順に重ね合わせて後に150℃、1時間オートクレーブで圧着させてガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは幅方向において十分に低いものであった。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、幅方向のいずれの場所においても着色などは確認されないものであった。結果を表1に示す。
(実施例12)
熱可塑性樹脂Bとして固有粘度0.72で非晶性であるポリエチレンテレフタレートの共重合体(スピログリコール成分20mol%、ブチレングリコール成分5mol%共重合したPETであり、以下SPG共重合PET2とも表す(延伸・熱処理後のフィルムの面内屈折率は1.550であった))を用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは幅方向において十分に低いものであった。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、幅方向のいずれの場所においても着色などは確認されないものであった。結果を表1に示す。
(実施例13)
実施例12と同様に積層フィルムを得て、得られた積層フィルムをガラス、ポリエチレンビニルアルコール、積層フィルム、ポリエチレンビニルアルコール、ガラスの順に重ね合わせた後に150℃、1時間オートクレーブで圧着させてガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは幅方向において十分に低いものであった。一方で、150℃で1時間加熱した後のレタデーションは大きく変化しているものであった。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。一方、リタデーションは高くなっており、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見た場合に若干の着色が見られるものであった。結果を表1に示す。
(実施例14)
熱可塑性樹脂Aとして実施例1に記載のPETを、熱可塑性樹脂Bとして屈折率1.49のアクリル樹脂を用い、実施例1と同様にキャストフィルムを得た。ここで、得られたキャストフィルムは、延伸・熱処理を実施せず、一方の面に接着層を設けたのちに、厚み2mmのガラスにはりあわせてガラス窓部材とした。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。ただし、実施例1と比較すると900〜1200nmの反射率はやや低いものであった。また、リタデーションは幅方向において非常に低いものであった。
得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。また、リタデーションは十分に低く、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ても、幅方向のいずれの場所においても着色などは確認されないものであった。結果を表1に示す。
(比較例1)
縦延伸倍率を3.3倍、縦延伸温度を90℃とした以外は実施例1と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。しかし、リタデーションは実施例1と比較して高いものであった。
また、得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであった。しかし、リタデーションの高さを反映して、偏光サングラスをとおしてガラス窓部材を見ると若干着色したものであった。結果を表1に示す。
(比較例2)
熱可塑性樹脂Bとして、シクロヘキサンジメタノール共重合PET(以下、CHDM共重合PETともあらわす、延伸・熱処理後のフィルムの面内屈折率は1.575であった)以外は実施例1と同様に積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであったが、900〜1200nmにおける反射率が低いものであった。
また、得られたガラス窓部材は、900〜1200nmの光を反射しつつも高い透明性を保持しており、可視光領域の波長400〜700nmにおいてほぼ平坦な反射率分布を備えたものであったが、900〜1200nmにおける反射率が低く、熱線カット性能に乏しいものであった。結果を表1に示す。
(比較例3)
熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの重量比を0.7:1となるように吐出量を調整した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムならびにガラス窓部材を得た。
得られた積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、900〜1200nmのでの平均反射率は実施例1と比較して若干低下しており、一方で可視光領域の波長400〜700nmにおいて反射ピークが見られることでフィルムが色づいて見えるものであった。
また、得られたガラス窓部材でもフィルム同様に色づきがみられ、ガラス部材として用いるには適当なものではなかった。結果を表1に示す。
Figure 2014012401
本発明の積層フィルムならびにガラス窓部材は、特に自動車や電車、建物などのガラス窓部材に用いられるものである。

Claims (9)

  1. ガラス部材と組み合わせて用いられる積層フィルムであって、該積層フィルムは異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された構成を有し、かつ波長900〜1200nmの帯域における平均反射率が70%以上であり、かつ波長450nm以上700nm以下の帯域における平均反射率が20%以下であり、かつフィルム面に対して入射角度0°、波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記積層フィルムの幅方向両端部から10cm内側に入った箇所および幅方向中央の箇所において、フィルム面に対して入射角度0°、波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記積層フィルムのフィルム中央の箇所における配向角に対して、幅方向の端部から10cm内側に入った箇所での配向角の差が±30°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記積層フィルムを150℃1時間加熱したのちのフィルム面に対して入射角度0°、波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記熱可塑性樹脂において、熱可塑性樹脂の1つが結晶性の熱可塑性樹脂であり、他の1つの熱可塑性樹脂が非晶性の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記熱可塑性樹脂において、少なくとも1種の熱可塑性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であり、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも1種が非晶性ポリエステル樹脂または前記結晶性のポリエステル樹脂の融点より30℃以上低い融点を持つ結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 前記積層フィルムにおけるフィルム幅方向に600nm、長手方向に2000mm以上の長さがあり、かつフィルム幅方向ならびに長手方向の厚みムラが5%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 前記積層フィルムの長手方向と幅方向のヤング率の差が0.2GPa以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 少なくとも1枚のガラス部材と、少なくとも1枚の積層フィルムとが貼りあわされてなるガラス窓部材であって、該ガラス窓部材の一方の面において、波長900〜1200nmの帯域における平均反射率が60%以上でありかつ波長450nm以上700nm以下の帯域における平均反射率が20%以下であり、かつガラス窓部材表面に対して入射角度0°、波長590nmの光線を入射させたときのリタデーションが0nm以上400nm以下であり、かつ前記積層フィルムが異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された積層フィルムであることを特徴とするガラス窓部材。
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