JP2022054572A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、光による黄変や破れが抑制され、かつ、ディスプレイ用途に用いた際に輝度の低下や色ムラを長期間抑制することが可能な積層フィルムを提供することを課題とする。【解決手段】 ポリエステル樹脂(樹脂A)を主成分とする層(A層)と、前記樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂(樹脂B)を主成分とする層(B層)を交互に51層以上積層した積層構成部を有する積層フィルムであって、前記樹脂Aにおける多環芳香族炭化水素を含む構成単位が70mol%以上100mol%以下であり、前記樹脂Bにおける多環芳香族炭化水素を含む構成単位が30mol%以下であり、40℃90%RHの条件下において、青色LEDの光を9500cd/m2で168時間照射した時の色調変化Δbが-1.0以上10.0以下であることを特徴とする、積層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムに関する。
従来、光学特性が異なる2種以上の材料を光の波長レベルの層厚みで交互に積層することにより発現する光の干渉現象を利用して、特定の波長の光を選択的に反射させる光干渉多層膜が知られている。このような多層膜は、用いる材料の屈折率、層数、各層厚みを所望の光学的な設計とすることで、種々の性能を具備せしめることが可能であるため様々な光学用途向けに市販されている。例えば、コールドミラー、ハーフミラー、レーザーミラー、ダイクロイックフィルタ、熱線反射フィルム、近赤外カットフィルタ、単色フィルター、偏光反射フィルム等が挙げられる。
このような多層膜を溶融押出法にて得る場合、透明性、耐熱性、耐候性、耐薬品性、強度および寸法安定性などの理由から、一方の樹脂にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートといったポリエステル樹脂を主成分として使用し、もう一方の樹脂に、ポリエステル樹脂とは光学特性の異なる熱可塑性樹脂(例えば共重合ポリエステル)を使用した多層フィルムが知られている(特許文献1、2)。特に一方の樹脂にポリエチレンナフタレートを主成分として用いた場合、低屈折率の共重合ポリエステルとの屈折率差を大きく出来るため、より高い反射率を有する光干渉多層膜を得る場合に有用である。
特開2005-059332号公報 特開2004-249587号公報
しかしながら、溶融押出し法にてポリエチレンナフタレートを主成分とした層と低屈折率の共重合ポリエステルの層からなる多層膜を得た場合、ポリエチレンナフタレートは一般に耐光性が悪いことが知られており、光に曝され続ける用途(屋外用途やディスプレイ用途など)に適用し難い。例えば、光によるフィルムの黄変や破れが発生することがあるため、最終製品として適用できないという問題があった。
また、特に液晶ディスプレイ(LCD)や光源として青色LEDを用いる量子ドットテレビ(QLED)において、青色LEDは紫外線を含まないことが一般に知られている。ポリエチレンテレフタレートフィルムは青色LEDによる黄変や破れは通常起こらないが、より高波長に吸収帯域を持つポリエチレンナフタレートフィルムは青色LEDによる黄変や破れが起こりやすく、ディスプレイを長期間使用した場合に輝度の低下や色ムラが発生する問題があった。
本発明は、光による黄変や破れが抑制され、かつ、ディスプレイ用途に用いた際に輝度の低下や色ムラを長期間抑制することが可能な積層フィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため本発明の積層フィルムは以下の構成を有する。すなわち、ポリエステル樹脂(樹脂A)を主成分とする層(A層)と、前記樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂(樹脂B)を主成分とする層(B層)を交互に51層以上積層した積層構成部を有する積層フィルムであって、前記樹脂Aにおける多環芳香族炭化水素を含む構成単位が70mol%以上100mol%以下であり、前記樹脂Bにおける多環芳香族炭化水素を含む構成単位が30mol%以下であり、40℃90%RHの条件下において、青色LEDの光を9500cd/mで168時間照射した時の色調変化Δbが-1.0以上10.0以下であることを特徴とする、積層フィルム、である。
本発明によって、光による黄変や破れが抑制され、かつ、ディスプレイ用途に用いた際に輝度の低下や色ムラを長期間抑制することが可能な積層フィルムを得ることができる。当該積層フィルムは、光干渉多層膜として多岐に渡る用途で適用可能である。
以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。また、説明を簡略化する目的で一部の説明では光学特性の異なる2種のポリエステル樹脂が交互に積層された多層積層フィルムを例にとり説明するが、3種以上のポリエステル樹脂を用いた場合やポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂を用いる場合においても同様に理解されるべきものである。
本発明の積層フィルムは、ポリエステル樹脂(樹脂A)を主成分とする層(A層)を有する積層フィルムである。ポリエステル樹脂は一般的に熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂と比べて安価であり、かつ公知の溶融押出により簡便かつ連続的にシート化することができることから、低コストで積層フィルムを得ることが可能となる。ここでポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸とジオールとを、脱水縮合してエステル結合を形成させることによって合成される重縮合体をいう。主成分とは、層を構成する全成分中の50質量%を超えて100質量%以下を占める成分をいう。
本発明の積層フィルムにおいては、樹脂Aと樹脂Bは異なる樹脂である必要がある。ここでいう「異なる」とは、光学特性が異なることを指し、面内で任意に選択される直行する2方向および該面に垂直な方向から選ばれる方向のいずれかにおいて、屈折率が0.01以上異なることをいう。
また、樹脂Aと樹脂Bは、異なる融点または結晶化温度を有することが好ましい。「異なる融点または結晶化温度を有する」とは、後述の測定方法によって求められる融点と結晶化温度のいずれかが3℃以上異なることをいう。なお、一方の樹脂が融点を有しており、もう一方の樹脂が融点を有していない場合や、一方の樹脂が結晶化温度を有しており、もう一方の樹脂が結晶化温度を有していない場合も異なる融点または結晶化温度を有するものとする。樹脂Aと樹脂Bは、異なる融点および結晶化温度を有する組み合わせとすることがより好ましい。
また、本発明の積層フィルムは、A層とB層を交互に51層積層した積層構成部を有することが重要である。ここでいう交互に積層したとは、A層とB層がフィルム面と垂直な方向(厚み方向)に規則的な配列で積層されていることをいい、例えばA(BA)n(nは自然数)といったように規則的な配列で積層されたものである。ここで、交互に積層されるA層とB層の内、積層フィルムの表層を構成する層をA層とする。このように互いに光学特性の異なる樹脂を主成分とする層が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係よって特定される特定の波長の光を反射させることが可能となる。また、積層する層数が多いほど広い帯域に渡り高い反射率を得ることができる。上記観点から、層数は、好ましくは101層以上であり、より好ましくは201層以上である。
前述の干渉反射は、層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成できるようになり、高い光線カット性能を備えた積層フィルムが得られるようになる。また、層数に上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることでのハンドリング性の悪化が生じるために、現実的にはそれぞれ1,001層以内が実用範囲となる。なお、本発明における積層構成部とは、前記A層と前記B層が交互に51層以上積層されてなる構成部のことを示す。
本発明の積層フィルムのA層はポリエステル樹脂(樹脂A)を主成分とするが、樹脂Aにおける多環芳香族炭化水素を含む構成単位が70mol%以上100mol%以下であることが重要である。「多環芳香族炭化水素を含む構成単位が70mol%以上100mol%以下」とは、樹脂Aのジカルボン酸単位全体を100mol%としたときに、多環芳香族炭化水素を含むジカルボン酸単位が70mol%以上100mol%以下であること、樹脂Aのジオール単位全体を100mol%としたときに、多環芳香族炭化水素を含むジオール単位が70mol%以上100mol%以下であること、若しくはその両方を満たすことを意味する。樹脂Aにおける多環芳香族炭化水素を含む構成単位が70mol%未満であると、樹脂Aの屈折率が十分に高くならないため反射率が低下し、また30mol%以上の異なる成分を含むため透明性が悪化するなどの問題も生じる。
多環芳香族炭化水素とは芳香環が縮合した炭化水素の総称であり、多環芳香族炭化水素を含む構成単位としてはナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、ピレンなどを含む構成単位が挙げられる。中でも、工業化されているナフタレンを含む構成単位が好ましく、樹脂Aがナフタレンジカルボン酸単位を含むことがより好ましい。樹脂Aがナフタレンジカルボン酸単位を含む態様とするために、ジカルボン酸構成成分として2,6-ナフタレンジカルボン酸を好ましく用いることができる。
本発明の積層フィルムはポリエステル樹脂(樹脂A)を主成分とする層(A層)と、樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂(樹脂B)を主成分とする層(B層)を交互に51層以上積層することで特定の波長帯域の光を反射するが、一般に樹脂の屈折率はガラス転移温度(Tg)に比例して増減する。そのため、積層フィルムの表層を構成するA層の主成分である樹脂Aが、屈折率の高いナフタレンジカルボン酸単位を含むことで、Tgのより高い樹脂が表層を構成することとなる。
通常、積層フィルムを製造するための延伸は、積層フィルムを構成する樹脂の中で最も高いTg近傍の温度で行われるため、ガラス転移温度のより低い樹脂が表層にある場合、延伸ロールなどで融着し延伸ムラやフィルム品位の悪化を引き起こす。そのため、ナフタレンジカルボン酸単位を相対的に多く含むA層を最表層とすることで、A層のガラス転移温度が相対的に高くなり、延伸ロールなどへの樹脂融着を抑えつつ、製膜時に樹脂Aを主成分とする層を延伸可能な温度での製膜が可能となる。その結果、樹脂の融着による工程の汚染が抑制でき、積層フィルムの品位の向上に繋がるため好ましい。
本発明の積層フィルムは、光による色調悪化軽減の観点から、40℃90%RHの条件下において、青色LEDの光を9500cd/mで168時間照射した時の色調変化Δbが-1.0以上10.0以下であることが重要である。色調変化Δbは、正の値が大きいほど黄色を示し、負の値が大きいほど青色を示す表色系であるb*の変化を表す指標であり、後述の(6)青色LED照射試験(色調変化Δb)の方法で測定することができる。
色調変化Δbが10.0よりも高いと黄変によってフィルムの色調が悪化するほか、ディスプレイ用途に用いた際には輝度の低下や色ムラが発生する。上記観点から色調変化Δbは、-1.0以上5.0以下が好ましく、さらに好ましくは-1.0以上2.0以下が好ましい。青色LEDによる劣化が著しく少なく、フィルムが全く黄変していない場合にb*が0.0~-1.0の負の値を示すことがある。そのため、Δbが-1.0以上0.0以下である場合には、青色LEDによる劣化が著しく少ないことが示唆され、この態様もまた好ましい。青色LEDの光を9500cd/mで168時間照射した時の色調変化Δbを-1.0以上10.0以下とするには、後述の通り波長400~420nmの光の平均透過率を20%以上70%以下とする方法を用いることができる。
また、上記の色調変化と同様に、40℃90%RHの条件下において、青色LEDの光を9500cd/mで168時間照射したときの波長420~450nmの平均透過率の変化が0%以上10%以下であることもまた好ましい。色目の変化は人間の目に対応する分光応答度である三刺激値と呼ばれるX,Y,Zの値によって測定され、b*はZの値(波長400~500nmに主な分布を持つ分光応答度)によって計測される。中でもポリエステルフィルムの黄変は波長420~450nmの透過率変化によって影響を受ける。これらの観点から、40℃90%RHの条件下において、青色LEDの光を9500cd/mで168時間照射した時の波長420~450nmの平均透過率の変化は0%以上5%以下が好ましく、さらに好ましくは0%以上2%以下が好ましい。
40℃90%RHの条件下において、青色LEDの光を9500cd/mで168時間照射したときの波長420~450nmの平均透過率の変化を0%以上10%以下又は上記の好ましい範囲とする方法としては、例えば後述の通り、波長400~420nmの光の平均透過率を20%以上70%以下とする方法を用いることができる。
本発明の積層フィルムは、波長420nmの光の透過率が70%以上100%以下であることが好ましく、より好ましくは80%以上100%以下であり、更に好ましくは85%以上100%以下である。例えば、波長420~800nmの光は透過し、近赤外線の波長900~1,200nm(全太陽光の強度の約18%)の光を反射することにより、無色透明でしかも高い熱線カット性能を持つ積層フィルムとすることができる。波長420nmの光の透過率が70%以上であることにより、透過光での色味が黄色くなることが抑えられ、ディスプレイ用途においては輝度の低下などの弊害が軽減される。
波長420nmの光の透過率を70%以上100%以下又は上記の好ましい範囲とする手段としては、例えば、積層フィルムにおける波長320~400nmに極大吸収波長を有する複素環式化合物(紫外線吸収剤)量を、波長420nmにおいて光の透過率が70%になるように調整する方法が挙げられる。
本発明の積層フィルムは上記に加えて、着色や黄変を軽減する観点から、波長400~420nmの光の平均透過率が20%以上70%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以上60%以下であり、更に好ましくは20%以上50%以下である。波長400~420nmの光の平均透過率が20%以上であると積層フィルム面の黄ばみが軽減され、70%以下であると光照射に伴う積層フィルムの黄変や劣化が軽減できる。
ポリエチレンナフタレートは波長約400nm以下の波長の光を吸収する特性があり、波長約330nm以下の波長の光を吸収するポリエチレンテレフタレートと比べて紫外線をより多く吸収する。このことから、一般にポリエチレンナフタレートフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルムと比べて耐光性が悪く、紫外線を含む光が照射される環境下での長期使用によりフィルムが黄変したり破れが発生したりする問題がある。特に、ディプレイに用いられる青色LEDは波長400~500nmに極大発光波長を有し、紫外線領域には発光波長を有さないため、青色LEDの光を長時間照射してもポリエチレンテレフタレートは劣化しにくいが、ポリエチレンナフタレートはポリエチレンテレフタレートよりも高い波長の光を吸収するため青色LEDの光を長時間照射すると黄変や劣化が生じる。
波長400~420nmの光の平均透過率を20%以上70%以下とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、積層フィルムにおける波長320~400nmに極大吸収波長を有する複素環式化合物(紫外線吸収剤)量を、波長400~420nmにおいて光の透過率が20%以上70%以下になるように調整する方法が挙げられる。
本発明の積層フィルムは、積層フィルムの全成分を100質量%としたときに、複素環式化合物を0.1質量%以上10質量%以下含むことが好ましい。より好ましくは0.6質量%以上5質量%以下であり、更に好ましくは1.1質量%以上3質量%以下である。複素環式化合物とは環の中に少なくとも2種類の異なる元素(炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、ホウ素などから選ばれる)を含む環状化合物のことである。複素環式化合物を含有することで、積層フィルムは、熱可塑性樹脂を構成する多環芳香族炭化水素(芳香環やナフタレン環等)では吸収されにくい波長の光をより多く吸収することができる。積層フィルムの全成分を100質量%としたときに、複素環式化合物を0.1質量%以上含むことにより、十分な耐光性を実現でき、複素環式化合物を10質量%以下含むことにより積層フィルム面が黄色く着色されることや、ヘイズが悪化することを軽減できる。
本発明の積層フィルムにおける複素環式化合物は、ベンゾトリアゾール骨格やトリアジン骨格を有する紫外線吸収剤が好ましい。ここで紫外線吸収剤とは、波長300~400nmの領域に最大となる極大波長を有する化合物を指す。本発明における極大波長とは、複数の極大ピークを有する場合、最大の吸光度を有するピーク波長を指す。
本発明の積層フィルムにおいて、複素環式化合物は複数種類を含有させてもよい。また、複素環式化合物は、A層のみ、B層のみに含有させても、A層およびB層の両層に含有させてもよい。特に、複素環式化合物は主に紫外線から積層フィルムを保護する目的で含まれるため、ナフタレンジカルボン酸単位を含むA層に含有することが好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、上述の光線透過率を達成する場合において利用可能な複素環式化合物としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系、ベンゾオキサジノン系、サリチル酸系、インドール系をはじめとする、多種の骨格の複素環式化合物を利用することができる。2種以上の複素環式化合物を併用する場合は、互いに同系の複素環式化合物を組み合わせてもよく、異なる系の複素環式化合物を組み合わせてもよい。
以下に本発明の積層フィルムにおいて用いることができる具体例を例示するが、極大波長が320nm~380nmの波長領域に存するものに対しては化合物名の後に(※)を付している。本発明における複素環式化合物は、320~400nmの間に極大吸収波長を有する紫外線吸収剤であることが好ましい。極大波長が320nmより小さい場合、長波長側の紫外線領域を十分にカットすることは難しく、また、400nmを超えて430nm以下の可視光短波長領域に最大となる極大波長を有する色素との組み合わせを行った場合であっても、波長300~400nmにおける領域において10%以上の光線透過率を示す、カット不十分な領域を発生してしまうことが多い。そのため、波長300~400nmの紫外線領域における光線透過率の最大値を10%以下とするためには(※)を付した紫外線吸収剤を利用することが好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(※)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(※)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(※)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(※)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(※)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三アミルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(※)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル)-ベンゾトリアゾール(※)、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-第三ブチル-4-メチルフェノール(※)、2,2’-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール(※)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-第三オクチル-6-ベンゾトリアゾリル)フェノール(※)、2-(5-ブチルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-第三ブチル-4-メチルフェノール(※)、2-(5-へキシルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-第三ブチル-4-メチルフェノール(※)、2-(5-オクチルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-第三ブチル-4-メチルフェノール(※)、2-(5-ドデシルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-第三ブチル-4-メチルフェノール(※)、2-(5-オクタデシルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-第三ブチル-4-メチルフェノール(※)、2-(5-シクロヘキシルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-第三ブチル-4-メチルフェノール(※)、2-(5-プロペンオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-第三ブチル-4-メチルフェノール(※)、2-(5-(4-メチルフェニル)オキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-第三ブチル-4-メチルフェノール(※)、2-(5-ベンジルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-第三ブチル-4-メチルフェノール(※)、2-(5-へキシルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ第三ブチルフェノール(※)、2-(5-オクチルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ第三ブチルフェノール(※)、2-(5-ドデシルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ第三ブチルフェノール(※)、2-(5-第二ブチルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ第三ブチルフェノール(※)などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾフェノン(※)、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-ベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシ-ベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)、などが挙げられる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ第三ブチルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ第三アミルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,6-ジ第三ブチルフェニル-3’,5’-ジ第三ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-5-メチルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジビフェニル-s-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-s-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-s-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-s-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-s-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-s-トリアジン(※)、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-s-トリアジン(※)、2-(4-イソオクチルオキシカルボニルエトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン(※)、2-(4,6-ジフェニル-s-トリアジン-2-イル)-5-(2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ)フェノールなどが挙げられる。
ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、2,2’-p-フェニレンビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(※)、2,2’-p-フェニレンビス(6-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-p-フェニレンビス(6-クロロ-4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(※)、2,2’-p-フェニレンビス(6-メトキシ-4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-p-フェニレンビス(6-ヒドロキシ-4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(ナフタレン-2,6-ジイル)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(※)、2,2’-(ナフタレン-1,4-ジイル)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(※)、2,2’-(チオフェン-2,5-ジイル)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(※)などを挙げることができる。
その他の紫外線吸収剤として、サリチル酸系では、たとえば、フェニルサリチレート、t-ブチルフェニルサリチレート、p-オクチルフェニルサリチレート等、その他では、天然物系(たとえば、オリザノール、シアバター、バイカリン等)、生体系(たとえば、角質細胞、メラニン、ウロカニン等)なども利用することが出来る。無機系の紫外線吸収剤はベースとなる樹脂と相溶せず、ヘイズの上昇につながり、画像表示した際の視認性を悪化させるため、例えばディスプレイ用途の積層フィルムにおいて利用することは好ましくない。
本発明に用いる紫外線吸収剤は、上記した紫外線吸収剤と基本化学構造を同じくして、酸素原子を同族の硫黄原子に置換したものを用いてもよい。具体的には、エーテル基をチオエーテル基、ヒドロキシル基をメルカプト基、アルコシキ基をチオ基に変換したものを用いてもよい。硫黄原子を有する置換基を含む紫外線吸収剤を用いることで、加熱して樹脂に練り混む際に紫外線吸収剤の熱分解を抑制することが出来る。また、硫黄原子の利用、ならびに、適切なアルキル鎖を選択することにより、紫外線吸収剤間の分子間力を抑えて、融点を低下させることが可能となるため、熱可塑性樹脂との相溶性を高めることが出来る。相溶性を高めることにより、高濃度添加した場合にも、光学フィルムの重要なファクターである透明性を維持することが可能となる。
さらに、本発明で用いる紫外線吸収剤は、波長320~400nmの波長範囲に極大吸収波長を有することに加え、紫外線吸収剤を構成する官能基のアルキル鎖が長いものが好ましい。アルキル鎖が長くなることで、分子間相互作用が抑えられて環構造のパッキングが起こりにくくなるため、フィルムを熱処理した際に、紫外線吸収剤同士が結晶構造を形成しにくくなり、フィルムの白化を抑制することに繋がる。官能基に含まれるアルキル基の長さは、18以下が好ましく、より好ましくは4以上10以下、さらに好ましくは6以上8以下である。アルキル鎖の長さが必要以上に長い場合は、反応点が分子内に埋もれて紫外線吸収剤の収率低下を招くため、現実的ではない。
紫外線吸収剤は、熱可塑性樹脂に添加剤として混練しても良く、熱可塑性樹脂の末端基や側鎖と反応させ、共重合してもよい。フィルムを構成する熱可塑性樹脂と共重合し固定することで、加熱時の分子熱運動に伴うブリードアウトを抑制することが出来るため、透明性を維持したまま、紫外線カット性能を長期にわたり保持することが可能となる。
また、積層構成部の一方の面または両面に上述の紫外線吸収剤を含有するC層を有していてもよい。C層は、積層構成部の上に直接コーティングされてもよく、後述の製造方法に記載の通り、易滑性や易接着性などの機能を付与できるインライン水系コーティング層を設けた上にコーティングされてもよく、紫外線吸収剤を含有するフィルムやシートのラミネートによって形成されてもよい。
C層は積層構成部を傷や打痕などから保護するために高透明で耐久性があることが好ましく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂を単独または混合して使用できる。硬化性や可撓性、生産性の点において、硬化性樹脂Cはポリアクリレート樹脂に代表されるアクリル樹脂などの活性エネルギー線硬化型樹脂からなることが好ましい。
また、C層は積層フィルムを他部材と貼り合わせて使用するための粘着層であってもよい。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を単独または混合して使用できる。特に、粘着力を高める観点から、アクリレートオリゴマーとポリイソシアネートから形成される2液型の粘着剤からなる層とすることが好ましい。
さらに、C層は本発明の積層構成部と同様の多層積層構造を有する層であってもよい。例えば、波長400~420nmの光の平均透過率が20%以上70%以下となるように干渉反射波長を制御した積層フィルムをC層として用いることで、前述の複素環式化合物によって光を吸収する効果と同様の耐光性向上効果を得ることができる。
本発明の積層フィルムは、少なくとも一方の表面において、連続して50nm以上1000nm以下にわたり反射率が70%以上100%以下である反射帯域を少なくとも一つ有することが好ましい。このような構成とすることで、特定の波長の光を選択的に反射させる光干渉多層膜として様々な用途に好適な積層フィルムとすることができる。また、前述の波長400~420nmの光の平均透過率が20%以上70%以下となる構成と組み合わせることで、従来耐光性が必要であった用途に向けてもポリエチレンナフタレートを含む積層フィルムを適用することが可能となり、ポリエチレンテレフタレートからなる光干渉多層膜では困難であった高い反射率を有する高機能な積層フィルムを得ることが出来る。
また、特にディスプレイ用途で使用される青色LEDは波長420~530nmに相対放射強度分布を備えているが、例えば本発明の積層フィルムを波長550~750nmに反射帯域を有するものとして併用することで、干渉反射フィルムの特徴である角度依存性により斜めから入射する青色LED光のみを反射する機能を有する部材として活用することができ、ディスプレイの輝度向上などに効果が発揮される。
なお、積層フィルムの少なくとも一方の表面において、連続して50nm以上1000nm以下にわたり反射率が70%以上100%以下である反射帯域を少なくとも一つ有することにより、前述の波長400~420nmの光の平均透過率が20%以上70%以下とすることも可能である。このような構成とすることで、紫外線吸収剤を含有することなく波長400~420nmの光の平均透過率が20%以上70%以下とすることが出来るため、コストや無色透明性の観点から好ましい。上記観点から、当該反射帯域は連続して100nm以上500nm以下にわたることがより好ましい。
積層フィルムを、連続して50nm以上1000nm以下にわたり反射率が70%以上100%以下である反射帯域を少なくとも一つ有するものとするための方法は、例えば、樹脂Aと樹脂Bの面内屈折率差を調整する方法が挙げられる。より具体的には、光学特性の異なる2種以上の樹脂の面内屈折率の差を大きくすることにより同帯域の反射率を高くすることができる。好ましい態様として、例えば、二軸延伸フィルムとする場合において、樹脂Aを結晶性であるポリエステル樹脂とし、樹脂Bを、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解される熱可塑性樹脂(低屈折率の共重合ポリエステルが好ましく用いられる)とする態様が挙げられる。
また、上述の反射帯域を有するための別の手段としては、隣接するA層とB層の厚みの比(A層厚み/B層厚み)が0.7以上、1.4以下である積層構成部を有する構成とする方法も挙げられる。ここで、積層構成部は、隣接するA層とB層の光学厚みが下記(1)(2)式を同時に満たすことが好ましい。
Figure 2022054572000001
Figure 2022054572000002
ここでλは反射波長、nαはα層の面内屈折率、dαはα層の厚み、nβはβ層の面内屈折率、dβはβ層の厚み、mは次数であり、自然数である。(1)式と(2)式とを同時に満たす層厚み分布を持つことで偶数次の反射を解消できる。そのため、例えば、波長900nm~1,200nmの範囲における平均反射率を高くしつつ、可視光領域である波長400~800nmの範囲における平均反射率を低くすることができる。そのため、透明でかつ、熱線カット性能の高いフィルムを得ることができる。一般的に熱可塑性樹脂を成形し、延伸した後のフィルムの屈折率としては、約1.4~1.9となるため、隣接するA層とB層の厚みの比(A層の厚み/B層の厚み)を0.7以上1.4以下とすることで、偶数次の反射を抑制したフィルムを得ることができる。従って、隣接するA層とB層の厚みの比(A層の厚み/B層の厚み)を0.7以上1.4以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.8以上1.2以下である。
本発明の積層フィルムにおいて、表層となる層の厚みは層厚み全体に対して1%以上20%以下であることが好ましい。表層となる層の厚みを前述の範囲とすることで、特に表層周辺の層の厚みを精度よく積層することが可能となり、反射率、透過率の制御が容易となる。
本発明の積層フィルムにおいて、B層は樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂(樹脂B)を主成分とする層であり、樹脂Bは、前述の樹脂Aと異なる光学特性を有する熱可塑性樹脂からなる。前述の樹脂Aと異なる光学特性を有する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。中でも、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有するポリエステル樹脂であることが好ましい。
また、積層フィルムの反射帯域における反射率向上の観点から、樹脂Bにおける多環芳香族炭化水素を含む構成単位が30mol%以下であることも重要である。本発明の積層フィルムは、A層とB層の屈折率差が高いほど反射率の高いフィルムが得られるため、樹脂Aが高い屈折率を有する場合に、樹脂Bに多環芳香族炭化水素を含む構成単位を多く有するほど反射率が低下する原因となる。さらには多環芳香族炭化水素を含む構成単位を有さないことが好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、樹脂Aや樹脂Bに用いられる、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有するポリエステル樹脂のジカルボン酸構成成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸)、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
また、ジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4’-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。好ましくは、ジカルボン酸構成成分として、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸が挙げられ、ジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
本発明の積層フィルムにおいては、前記積層構成部の少なくとも一方の表面の屈折率が1.68以上1.80以下であることが好ましい。屈折率が1.68よりも低い場合には、反射率が30%以上となる反射帯域を有することが困難となる。屈折率が1.80よりも高い場合には樹脂Aと樹脂Bの積層性が悪化し、フィルムの白濁やA層とB層界面での剥離が顕著となる。
この達成方法の例としては、樹脂Aと樹脂Bの多環芳香族炭化水素を含む構成単位の比率差を大きくする方法が挙げられる。具体例としては、樹脂Aを、ナフタレンジカルボン酸単位を含むものとし、樹脂Bを、ナフタレンジカルボン酸単位を含まないものとすることが挙げられる。このような構成とすることで、A層とB層との屈折率差を設けることができ、より反射性能に優れた光干渉多層膜を得ることが容易となる。また、A層とB層の屈折率差を大きくするために、樹脂Bを非晶性樹脂とすることも好ましい。
本発明の積層フィルムにおいては、A層とB層の面内平均屈折率の差が0.05以上であることが好ましい。より好ましくは0.12以上であり、さらに好ましくは0.14以上0.35以下である。面内平均屈折率の差が0.05より小さい場合には、反射率が30%以上となる反射帯域を有することが困難となることがある。
この達成方法の例としては、樹脂Aを結晶性樹脂とし、かつ樹脂Bを非晶性樹脂もしくは非晶性樹脂と結晶性樹脂の混合物とすることが挙げられる。この場合、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において容易に屈折率差を設けることが可能となる。面内平均屈折率の差が0.35より大きい場合には、樹脂の積層性が悪化し積層そのものが困難になり、また耐熱性やハンドリング性に劣った積層フィルムとなることがある。
本発明の積層フィルムの示差走査熱量測定により求められる融解熱量は、5J/g以上であることが好ましい。より好ましくは10J/g以上であり、更に好ましくは20J/g以上である。このような構成とすることで、結晶性の高い樹脂を含む積層フィルムとすることができ、A層とB層の屈折率差をより高くすることができる。
このような積層フィルムとするためには、樹脂Aと樹脂Bのうち、屈折率の高い方の樹脂の結晶性を高くすることが好ましく、特にナフタレンジカルボン酸をより多く含む樹脂の融解熱量を5J/g以上とすることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、内部ヘイズが3.0%以下であることが好ましい。内部ヘイズとはフィルムの表面での光散乱を除外したフィルム内部のヘイズ(濁度)を表す指標であり、内部ヘイズを低くすることで、透明でしかも特定の波長の光を反射する積層フィルムとすることができる。そのため、内部ヘイズが3.0%以下である積層フィルムは、ハーフミラーや熱線反射フィルムなど透明性が求められる用途にも広く適用できる。上記観点から、より好ましくは内部ヘイズが1.0%以下であり、更に好ましくは0.5%以下である。
内部ヘイズを3.0%以下又は前述の好ましい範囲とするためには、A層中の樹脂A以外の成分の種類や量を調整することや、B層中の樹脂B以外の成分の種類や量を調整することで達成される。たとえば、A層中に樹脂Aのみを有することが最も好ましく、樹脂A以外の成分を含む場合であっても、相溶性パラメータ(SP値)のより近い樹脂をより少量含む場合であれば内部ヘイズを3.0%以下とすることが可能となる。このような構成とすることで、樹脂との相溶性・分散性に優れる為に内部ヘイズを小さくすることが出来る。上記の条件を満たすための樹脂の組合せの一例として、樹脂Aとしてポリエチレンナフタレート樹脂、樹脂Bとして、ポリエチレンテレフタレート70質量部~90質量部に対して、シクロヘキサンジメタノールを20mol%~40mol%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂を10質量部~30質量部混合したものの組合せが挙げられる。
A層とB層の屈折率差を設ける目的で、樹脂Aとしてジカルボン酸構成成分にナフタレンジカルボン酸を含むポリエチレンナフタレートを用いると、ポリエチレンナフタレートのガラス転移温度は約120℃であるため、樹脂Bに低屈折率の樹脂を用いた場合にガラス転移温度の乖離が起こりやすく、層の界面で剥離が起こることがある。
本発明者らが、ガラス転移温度を下げるために、ポリエチレンナフタレートに共重合成分を加える検討を行ったところ、パラキシレングリコールやイソフタル酸のように芳香環を有する成分や、ブタンジオールやジエチレングリコールのような炭素数の少ないエーテルグリコール成分を用いた場合には、ガラス転移温度を低下させる効果は大きく得られないことが判った。そのため、芳香環を有する成分や炭素数の少ないエーテルグリコール成分を共重合成分として加えることでポリエチレンナフタレートのガラス転移温度を下げようとすると、共重合量を多くする必要が生じ、その結果屈折率が低下し積層フィルムの反射率が低下してしまう。そのため、たとえば下記式(1)で表される成分と共重合させることで、樹脂Aの高い屈折率を維持しつつガラス転移温度を低下させることが容易となる。
-O-(C2n-O)- ・・・式(1)
(m、nは、m×nが5以上となる自然数をあらわす。)。
ここでm×nは6以上が好ましく、より好ましくは8以上である。式(1)で表される構造を有する化合物としては、具体的にはポリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリブチレングリコール、テトラブチレングリコール等が挙げられる。
式(1)で表される構造を有する化合物をポリエステル樹脂が主成分である層に含む場合は、ポリエステル樹脂の全ジオール構成成分に対して0.5mol%以上40mol%以下含むことが好ましい。より好ましくは1mol%以上20mol%以下、更に好ましくは2mol%以上10mol%以下である。前述の範囲で式(1)にて表される構造を有する化合物を含有せしめると、積層構成部の層間での剥離が抑制され、また容易に積層フィルムの反射率を好適な範囲とすることができる。このような構成とすることで、高い屈折率を有するため光干渉多層膜に好ましく用いられるナフタレンジカルボン酸をジカルボン酸構成成分として含むポリエステル樹脂を用いてもガラス転移温度を低くすることが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいては、積層構成部を構成する樹脂Aが結晶性ポリエステル樹脂であり、かつ樹脂Bが非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。ここでいう結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、融解熱量が5J/g以上であることをいう。一方、非晶性とは、同様に融解熱量が5J/g未満であることをいう。結晶性ポリエステル樹脂は、延伸・熱処理工程において配向結晶化させることにより、延伸前の非晶状態のときよりも高い面内屈折率とすることができる。一方、非晶性ポリエステル樹脂の場合においては、熱処理工程においてガラス転移温度をはるかに超える温度で熱処理を行うことにより、延伸工程で生じる若干の配向も完全に緩和でき、非晶状態の低い屈折率を維持できるものである。このように、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との間に容易に屈折率差を設けることができるため、前述のとおり反射率が20nm以上連続して30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有することが可能となる。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を、樹脂Aとして結晶性ポリエステル樹脂、樹脂Bとして非晶性ポリエステル樹脂を用いた例にとって以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるわけではない。また、積層フィルムの積層構造の形成自体は、特開2007-307893号公報の〔0053〕~〔0063〕段の記載を参考とすれば実現できるものである。
樹脂Aおよび樹脂Bをペレットなどの形態で用意する。必要に応じて、ペレットを熱風中あるいは真空下で乾燥した後、別々の押出機に供給する。押出機内においてペレットを融点以上の温度にて加熱溶融し、ギヤポンプ等でその押出量を均一化して、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除く。
その後、溶融した各樹脂を積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも容易となる。このような積層装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することも容易である。
このようにして所望の層構成に積層した溶融多層積層体を、ダイにて目的の形状に成形した後、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出し、冷却固化してキャスティングフィルムを得る。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に溶融樹脂シートを密着させて急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出して、溶融樹脂シートをキャスティングドラム等の冷却体に密着させて急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸されることが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸してもよいし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。なお、長手方向とはフィルムが走行する方向、幅方向とは長手方向にフィルム面内で直交する方向をいう。
まず、逐次二軸延伸の場合について説明する。長手方向への延伸(縦延伸)は、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸であり、通常は、ロールの周速差により施す。この縦延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行ってもよい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2~15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンナフタレートの共重合樹脂を用いた場合には、2~7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂A,Bのうちガラス転移温度の高い樹脂(通常は樹脂A)のガラス転移温度~当該ガラス転移温度+100℃の範囲が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
その後、一軸延伸されたフィルムに幅方向の延伸(横延伸)を施す。幅方向の延伸は、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸であり、通常は、テンターを用いて、フィルムの幅方向両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2~15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンナフタレートの共重合樹脂を用いた場合には、2~7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂A,Bのうちガラス転移温度の高い樹脂のガラス転移温度~当該ガラス転移温度+120℃の範囲が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
また、本発明の積層フィルムにおいては、延伸後の熱処理温度をポリエステル樹脂Aの融点以下、かつ樹脂Bの融点以上とすることが好ましい。この場合、樹脂Aは高い配向状態を保持する一方、樹脂Bの配向は緩和されるために、容易にこれらの樹脂の屈折率差を高くすることができる。
次に、同時二軸延伸の場合について説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6~50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンナフタレートの共重合樹脂を用いた場合には、面積倍率として8~30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率差を小さく、より好ましくは0にするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂A,Bのうちガラス転移温度の高い樹脂のガラス転移温度~ガラス転移温度+120℃の範囲が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。
こうして得られた積層フィルムは、光による黄変や破れが抑制され、かつ、ディスプレイ用途に用いた際に輝度の低下や色ムラを長期間抑制することが可能なものであり、建材、自動車、液晶ディスプレイなど種々の用途に用いられ、特に特定の波長の光を反射させる光学フィルムとして利用できる。
以下、本発明の光源ユニットについて説明する。本発明の光源ユニットは、波長400~500nmに極大発光波長を有する光源と、本発明の積層フィルムとを有する。ここで光源ユニットとは、光源とともにレンズやミラー等の光学系部材が組み込まれ、光学設計が施された器具のことをいい、その具体例としては各種ディスプレイや照明装置が挙げられる。本発明の積層フィルムは光による黄変や破れが抑制されたものであるため、これを備える光源ユニットをディスプレイ等に用いることで、ディスプレイの耐久性を高め、輝度の低下や色ムラを長期間抑制することが可能となる。また、上記特徴を有することから、本発明の光源ユニットは、画像表示装置や電子機器に好適に用いることができる。
以下、本発明の積層フィルムの実施例を用いて説明する。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H-7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10,000~40,000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。なお、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuOやOsOなどを使用した染色技術を用いた。
(2)反射率、透過率
5cm×5cmで切り出したサンプルを分光光度計U-4100 Spectrophotomater((株)日立製作所製)に付属の積分球を用いた基本構成で反射率測定を行った。反射率測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として、相対反射率として算出した。反射率測定では、サンプルの長手方向を上下方向にして、積分球の後ろに設置した。透過率測定では、サンプルの長手方向を上下方向にして、積分球の前に設置した。なお、測定条件は下記の通りとし、方位角0度における反射率を得た。
<測定条件>
スリット:2nm(可視)/自動制御(赤外)
ゲイン:2
走査速度:600nm/分。
(3)融解熱量、融点、ガラス転移温度、結晶化温度
質量が5gとなるようにフィルムサンプルを切り出し、示差走査熱量分析計(DSC)ロボットDSC-RDC220(セイコー電子工業(株)製)を用い、JIS K 7122(1987年)およびJIS K 7121(1987年)に従って測定、算出した。測定は25℃から290℃まで5℃/分で昇温し、このときの融点±20℃の範囲におけるベースラインからの積分値を融解熱量とした。また、ここでの融点とは、DSCのベースラインからの差異が最大となる点とした。ここで、樹脂Aまたは樹脂B単独のペレット等を測定する場合、融解熱量が5J/g以上の樹脂を結晶性樹脂、5J/g未満である樹脂を非晶性樹脂とした。
(4)組成分析
積層フィルムの組成は以下の方法により確認した。すなわち、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)により重量ピークを確認した。次に、フーリエ変換型赤外分光(FT-IR)にて、推定される構造が有する各原子間の結合に由来するピークの有無を確認した。さらに、プロトン核磁気共鳴分光法(H-NMR、13C-NMR)にて、構造式上の水素原子または炭素原子の位置に由来する化学シフトの位置と水素原子の個数に由来するプロトン吸収線面積を確認し、これらの結果から判断した。
(5)内部ヘイズ
一辺が5cmの正方形状の積層フィルムサンプルを3点準備し、次にサンプルを常態(23℃、相対湿度50%)において、40時間放置した。それぞれのサンプルを濁度計「NDH5000」(日本電色工業(株)製)を用いてJIS K 7136(2000)に準じて測定した。なお、フィルム表面の凹凸による光散乱を除去するために、測定は流動パラフィンで満たされた石英セルにサンプルを浸した状態で行った。全ての積層フィルムサンプルの測定値を平均して、当該積層フィルムの内部ヘイズの値とした。
(6)青色LED照射試験(色調変化Δb)
一辺が15cmの正方形状の積層フィルムサンプルを用意し、測色計(コニカミノルタ(株)製 CM-3600d)を用いてb*値を3回測定してその平均値を求めた。その後、フィルムサンプルの中心に光が当たるように、フィルムサンプルから5mm離れた位置に青色LED(Cree,Inc.製 XP-G3 Royal Blue)を配置し、40℃90%RH条件下においてフィルムサンプルの表面に青色LEDの光を9500cd/mで168時間照射した。次いで、照射面の中心部を切り出し、同様にb*値を3回測定してその平均値を求めた。照射後のb*値の平均値から照射前のb*値の平均値を差し引いて、得られた値を色調変化Δbとした。なお、測色計の測定条件は、測定モード「透過」、D65光源、視野角10°とした。
(各実施例及び各比較例で用いた成分)
・共重合PEN:ポリエチレングリコール(平均分子量400)を樹脂Aの全ジオール構成成分に対して6mol%共重合したポリエチレン2,6-ナフタレート(固有粘度0.62、融点245℃)
・PEN:ポリエチレン2,6-ナフタレート(固有粘度0.62、融点267℃)
・PET:ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製、固有粘度0.65、融点256℃、ガラス転移温度81℃)
・樹脂(1):全ジオール構成成分に対してシクロヘキサンジメタノールを31mol%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.73、非晶性樹脂(融点なし)、ガラス転移温度79℃)と、ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製、固有粘度0.65、融点256℃、ガラス転移温度81℃)を82:18の質量比となるように混合したもの(融点225℃、ガラス転移温度77℃)
・樹脂(2):シクロヘキサンジメタノールを31mol%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.73、非晶性樹脂(融点なし))
・添加剤(1):インドール系の紫外線吸収剤(オリエント化学工業(株)製、BONASORB UA-3911)
・添加剤(2):ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤(ケミプロ化成(株)製、KEMISORB279)
・添加剤(3):トリアジン系の紫外線吸収剤(アデカ(株)製、アデカスタブ LA-F70)。
(実施例1)
A層の原料として、共重合PEN(樹脂A)と添加剤(1)を99.5:0.5(質量比)で混合したものを、B層の原料として、樹脂(1)をそれぞれ準備した。準備した各原料を、それぞれベント付き二軸押出機にて280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、449層のフィードブロックにて合流させて、両表層部分がA層となるように交互に積層した。次いで、T-ダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化してキャストフィルムを得た。なお、A層の原料とB層の原料の質量比が約1:1になるように吐出量を調整した。
得られたキャストフィルムを、樹脂Aのガラス転移温度+10℃の温度に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、キャストフィルムの両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.6倍延伸し、その後一旦冷却して一軸延伸フィルムを得た。続いて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施して濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に、ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂/ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂/平均粒径140nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、樹脂Aのガラス転移温度+20℃の温度で横方向に均一な延伸速度で4.0倍に延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に2%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた積層フィルムの厚みは60μmであった(表層厚膜層(1μm A層)/積層ユニット(58μm)/表層厚膜層(1μm A層))。評価結果を表1に示す。
(実施例2~18、比較例1~17)
各層の組成、層構成を表1のとおりとした以外は実施例1と同様に積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。なお、層構成は使用するフィードブロックを交換することにより、厚みはキャスティングドラムの回転速度の調節により調整した。
Figure 2022054572000003
本発明の積層フィルムは、特定の波長の光を反射させる光学フィルムとして利用でき、例えば建材、自動車、液晶ディスプレイなど種々の用途に用いられる。

Claims (10)

  1. ポリエステル樹脂(樹脂A)を主成分とする層(A層)と、前記樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂(樹脂B)を主成分とする層(B層)を交互に51層以上積層した積層構成部を有する積層フィルムであって、前記樹脂Aにおける多環芳香族炭化水素を含む構成単位が70mol%以上100mol%以下であり、前記樹脂Bにおける多環芳香族炭化水素を含む構成単位が30mol%以下であり、40℃90%RHの条件下において、青色LEDの光を9500cd/mで168時間照射した時の色調変化Δbが-1.0以上10.0以下であることを特徴とする、積層フィルム。
  2. 前記樹脂Aがナフタレンジカルボン酸単位を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 少なくとも一方の表面において、連続して50nm以上1000nm以下にわたり反射率が70%以上100%以下である反射帯域を少なくとも一つ有する、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 波長420nmの光の透過率が70%以上100%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 波長400~420nmの光の平均透過率が20%以上70%以下である、請求項1~4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 40℃90%RHの条件下において、青色LEDの光を9500cd/mで168時間照射したときの波長420~450nmの光の平均透過率の変化量が0%以上10%以下である、請求項1~5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 積層フィルムの全成分を100質量%としたときに、複素環式化合物を0.1質量%以上10質量%以下含む、請求項1~6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 波長400~500nmに極大発光波長を有する光源と、請求項1~7のいずれかに記載の積層フィルムを含む、光源ユニット。
  9. 請求項8に記載の光源ユニットを備える、画像表示装置。
  10. 請求項9に記載の画像表示装置を備える、電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024029607A1 (ja) * 2022-08-03 2024-02-08 Toppanホールディングス株式会社 調光シート

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