JP7154138B2 - 液晶表示装置、偏光板及び偏光子保護フィルム - Google Patents
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Description
項1.
フィルム流れ方向に対し45度方向の熱収縮率とフィルム流れ方向に対し-45度方向の熱収縮率の差の絶対値が0.4%以下であることを特徴とする、ポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルム。
項2.
ポリエステルフィルムのリタデーションが4000~30000nmであり、Nz係数が1.7以下である、項1に記載の偏光子保護フィルム。
項3.
ポリエステルフィルムの面配向度が0.13以下である、項1又は2に記載の偏光子保護フィルム。
項4.
偏光子の両側に偏光子保護フィルムを積層した構成からなり、
少なくとも片側の偏光子保護フィルムが項1~3のいずれかに記載の偏光子保護フィルムである、偏光板。
項5.
偏光子の両側に偏光子保護フィルムを積層した構成からなり、
一方の偏光子保護フィルムがトリアセチルセルロースフィルムからなり、
もう一方の偏光子保護フィルムが項1~3のいずれかに記載の偏光子保護フィルムである、偏光板。
項6.
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は連続した発光スペクトルを有する白色光源であり、
前記偏光板は偏光子の両側に偏光子保護フィルムを積層した構成であり、
入射光側に配置される偏光板の偏光子保護フィルムの少なくとも一方、及び出射光側に配置される偏光板の偏光子保護フィルムの少なくとも一方が、
項1~3いずれかに記載の偏光子保護フィルムである、液晶表示装置。
項7.
前記入射光側に配置される偏光板の入射光側の偏光子保護フィルム及び前記出射光側に配置される偏光板の出射光側の偏光子保護フィルムが、
項1~3のいずれかに記載の偏光子保護フィルムである、項6に記載の液晶表示装置。
本発明の偏光子保護フィルムは、ポリエステルフィルムからなり、フィルム流れ方向に対し45度方向の熱収縮率とフィルム流れ方向に対し-45度方向の熱収縮率の差の絶対値(以降、「斜め方向の熱収縮率差」又は「熱収縮率差」と簡略化して呼ぶことがある)が0.4%以下であることが好ましい。前記熱収縮率の差の絶対値は好ましくは0.3%以下であり、より好ましくは0.2%以下である。熱収縮率差の値は小さいほど好ましいことから下限は0%である。フィルム流れ方向に対し45度の方向と、フィルム流れ方向に対し-45度の方向は、当然ながら互いに直交する。また、フィルム流れ方向に対し45度方向の熱収縮率、及び-45度方向の熱収縮率は、いずれも1.0%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.6%以下が更に好ましい。
本発明における斜め方向の熱収縮率差とは、ポリエステルフィルムを85℃で30分間、水中で加熱処理した際の、フィルム流れ方向に対して45°方向の熱収縮率とフィルム流れ方向に対して-45°方向の熱収縮率との差の絶対値のことである。具体的には、上記熱処理の前後で、ポリエステルフィルムの流れ方向に対して45°方向及び-45°方向の長さを測定し、それらを比較して各方向についての熱収縮率を求め、次いで45°方向の熱収縮率と-45°方向の熱収縮率とを比較して、熱収縮率の差を求めることができる。
以下、虹斑抑制の観点から、ポリエステルフィルムのリタデーション、Nz係数、面配向度について好ましい範囲の説明をする。
本発明で使用される偏光子保護フィルムに用いられるポリエステルフィルムは、特に限定されるものではないが、4000~30000nmのリタデーションを有することが好ましい。リタデーションが4000nm以上であれば、液晶表示装置を斜め方向から観察したときに干渉色を抑えられ、良好な視認性を確保することができる。配向ポリエステルフィルムの好ましいリタデーションは4500nm以上、次に好ましくは5000nm以上、より好ましくは6000nm以上、更に好ましくは8000nm以上、より更に好ましくは10000nm以上である。
偏光子保護フィルムに用いるポリエステルフィルムは、上述のリタデーションの範囲であることに加えて、|ny-nz|/|ny-nx|で表されるNz係数が1.7以下であることが好ましい。Nz係数は次のようにして求めることができる。分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA-6004型分子配向計)を用いてフィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向とこれに直交する方向の二軸の屈折率(ny、nx、但しny>nx)、及び厚さ方向の屈折率(nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR-4T、測定波長589nm)によって求める。こうして求めたnx、ny、nzを、|ny-nz|/|ny-nx|で表される式に代入して、Nz係数を求めることができる。
ポリエステルフィルムのリタデーション値及びNz係数を上記の特定範囲に制御することに加え、(nx+ny)/2-nzで表される面配向度を特定値以下にすることにより、より確実に一対の偏光板の両方に偏光子保護フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた場合の虹斑を完全に解消することができる。ここで、nx、ny及びnzの値は、Nz係数と同様の方法で求められる。配向ポリエステルフィルムの面配向度は0.13以下が好ましく、より好ましくは0.125以下、さらの好ましくは0.12以下である。面配向度を0.13以下にすることで、液晶表示装置を斜め方向から観察した場合に角度によって観察される虹斑をより完全に解消することができる。面配向度は0.08以上が好ましく、より好ましくは0.1以上である。面配向度が0.08未満では、フィルム厚みが変動し、リタデーションの値がフィルム面内で不均一になる場合がある。
ポリエステルフィルムは、そのリタデーション(Re)と厚さ方向リタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上である。上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が大きいほど、複屈折の作用は等方性を増し、観察角度による虹状の色斑の発生が生じ難くなるためである。完全な1軸性(1軸対称)フィルムでは上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)は2となる。しかし、後述するように完全な1軸性(1軸対称)フィルムに近づくにつれ配向方向と直行する方向の機械的強度が著しく低下する。
ポリエステルフィルムのリタデーションの変動を抑制する為には、フィルムの厚み斑が小さいことが好ましい。この観点から、ポリエステルフィルムの厚み斑は5%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましく、4%以下であることがよりさらに好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
ポリエステルフィルムの厚みは、特に制限されないが、通常15~300μmであり、好ましくは15~200μmである。フィルム厚みが15μm未満では、フィルムの力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じる場合がある。特に好ましい厚みの下限は25μmである。一方、偏光子保護フィルムの厚みの上限は、300μmを超えると偏光板の厚みが厚くなりすぎてしまい好ましくない。偏光子保護フィルムとしての実用性の観点から、厚みの上限は200μmが好ましい。特に好ましい厚みの上限は一般的なTACフィルムと同等程度の100μmである。
ポリエステルフィルムは、偏光子に含まれるヨウ素色素等の光学機能性色素の劣化を抑制する観点から、波長380nmの光線透過率が20%以下であることが望ましい。380nmの光線透過率は15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。前記光線透過率が20%以下であれば、光学機能性色素の紫外線による変質を抑制することができる。光線透過率は、フィルムの平面に対して垂直方法に測定したものであり、分光光度計(例えば、日本分光株式会社製分光光度計V-7100)を用いて測定することができる。
配向ポリエステルフィルムには、紫外線吸収剤以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、各種の添加剤を含有させることも好ましい様態である。添加剤として、例えば、無機粒子、耐熱性高分子粒子、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、帯電防止剤、耐光剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、ゲル化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。また、高い透明性を奏するためにはポリエステルフィルムに実質的に粒子を含有しないことも好ましい。「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。
本発明においては、偏光子との接着性を改良のために、配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とする易接着層を有することが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の内、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、及びポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
ポリエステルフィルムの偏光子が配置される面とは反対側の面に、写り込み防止やギラツキ抑制、キズ抑制等を目的として、種々の機能層、すなわちハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層、低反射防止層、及び反射防止防眩層、帯電防止層からなる群より選択される1種以上の機能層を配向ポリエステル表面に設けることも好ましい様態である。種々の機能層を設けるに際して、配向ポリエステルフィルムはその表面に易接着層を有することが好ましい。その際、反射光による干渉を抑える観点から、易接着層の屈折率を、機能層の屈折率と配向ポリエステルフィルムの屈折率の相乗平均近傍になるように調整することが好ましい。易接着層の屈折率の調整は、公知の方法を採用することができ、例えば、バインダー樹脂に、チタンやジルコニウム、その他の金属種を含有させることで容易に調整することができる。
本発明の保護フィルムである配向ポリエステルフィルムは、一般的なポリエステルフィルムの製造方法に従って製造することができる。例えば、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理を施す方法が挙げられる。一軸延伸フィルムでも、二軸延伸フィルムであっても良い。
本発明の偏光板は、ヨウ素で染色されたポリビニルアルコール系フィルム等からなる偏光子の両側を2枚の偏光子保護フィルムが挟んだ構成であり、前記2枚の偏光子保護フィルムのうち少なくとも一方が、斜め方向の熱収縮率差が特定のポリエステルフィルムであることが好ましい。偏光子と偏光子保護フィルムは接着剤を介して積層され、通常、70℃~120℃の範囲で10分~60分ほど熱処理して偏光板が得られる。
本発明の液晶表示装置では、上記特定のポリエステルフィルムが、一対の偏光板の両方の偏光子保護フィルムとして使用されることが好ましい。一対の偏光板とは、液晶に対して入射光側に配置される偏光板と液晶に対して出射光側に配置される偏光板との組合せを意味する。即ち、当該ポリエステルフィルムは、入射光側の偏光板と出射光側の偏光板の両方の偏光板に用いられることが好ましい。当該ポリエステルフィルムは、各偏光板を構成する二枚の偏光子保護フィルムのうち少なくとも一方として使用されていれば良い。
一般に、液晶表示装置は、バックライト光源に対向する側から画像を表示する側(視認側又は出射光側)に向かう順に、後面モジュール、液晶セル及び前面モジュールを有する。後面モジュール及び前面モジュールは、一般に、透明基板と、その液晶セル側表面に形成された透明導電膜と、その反対側に配置された偏光板とから構成されている。ここで、偏光板は、後面モジュールでは、バックライト光源に対向する側に配置され、前面モジュールでは、画像を表示する側(視認側又は出射光側)に配置されている。
後述する偏光子保護フィルム1~15(オフラインアニール処理を行ったもの、及び、同処理を行っていないもの)を、各々一辺21cmの正方形状に切り出し、23℃、65%RHの雰囲気で2時間以上放置した。このフィルム上に、直径20cmの円をその中心がフィルムの中心となるように描き、縦方向(フィルム引出し方向)を0°として、45°、-45°方向に円の中心を通る直線を引き、各方向の直径を測定した。このフィルムを85℃で30分間、水中で加熱処理した後、表面に付着した水分と拭き取り、風乾してから23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した。その後、上述したように各直径方向に引いた直線の長さを測定した。そして、熱処理前の直径の長さと熱処理後の直径の長さとを比較し、各方向における熱収縮率を求め、更にそれらを比較して熱収縮率の差の絶対値を求めた。この測定を同一のスリットロールでフィルムの幅方向に3点サンプリングして行い、その平均を熱収縮率差とした。測定の結果、オフラインアニール処理をしたものは、同一スリットロール内の各3点においても熱収縮率差は0.4%以下であるとともに、45度方向、及び-45度方向の熱収縮率も1.0%以下であった。
PVAフィルムからなる偏光子の一方の面に、トリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)張り合わせ、もう一方の面に後述する方法で作製したポリエステルフィルムを張り合わせた。各フィルムは接着剤を介して偏光子に貼り合せた。その後、オーブンで85℃30分間加熱処理をして、偏光板を製造した。なお、偏光子の偏光軸と、ポリエステルフィルムの主配向軸が互いに垂直になるように貼り合せた。こうして得られた2枚の偏光板を、ポリエステルフィルムが2つの偏光子の外側に来るようにクロスニコルに配置し、日本分光株式会社製分光光度計V7100を用いて、550~600nmの波長における最大光線透過率を測定した。
○ :最大光線透過率が0.02%以下
× :最大光線透過率が0.02%超
リタデーションとは、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|nx-ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性及び異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA-6004型分子配向計)を用いてフィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向が長辺となるように4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(nx,ny)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR-4T、測定波長589nm)を用いて測定し、前記二軸の屈折率の差の絶対値(|nx-ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、リタデーション(Re)を求めた。
|ny-nz|/|ny-nx|で得られる値をNz係数とした。ただし、ny>nxとなるように、ny及びnxの値を選択した。
(nx+ny)/2-nzで得られる値を面配向度(△P)とした。
厚さ方向リタデーションとは、フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz(=|nx-nz|)、△Nyz(=|ny-nz|)にそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られるリタデーションの平均を示すパラメーターである。リタデーションの測定と同様の方法でnx、ny、nzとフィルム厚みd(nm)を求め、(△Nxz×d)と(△Nyz×d)との平均値を算出して厚さ方向リタデーション(Rth)を求めた。
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に後述する方法で作成したポリエステルフィルムを偏光子の偏光軸とポリエステルフィルムの配向主軸が垂直になるように貼り付け、その反対側の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板を作成した。得られた偏光板を液晶を挟んで両側に一枚ずつ、各偏光板がクロスニコルの条件下になるよう配置して液晶表示装置を作製した。各偏光板は、前記ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように配置された。液晶表示装置の光源には、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色LEDを光源(日亜化学、NSPW500CS)に用いた。このような液晶表示装置の正面、及び斜め方向から目視観察し、虹斑の発生有無について、以下のように判定した。
A: いずれの方向からも虹斑の発生無し。
A’:斜め方向から観察したときに、角度によって極薄い虹斑が観察される。
B: 斜め方向から観察したときに、角度によって薄い虹斑が観察される。
C: 斜め方向から観察したときに、虹斑が観察される。
D: 正面方向及び斜め方向から観察したときに、虹斑が観察される。
東洋精機製作所製エレメンドルフ引裂試験機を用いて、JIS P-8116に従い、各フィルムの引裂き強度を測定した。引裂き方向はフィルムの配向主軸方向と平行となるように行ない、以下のように判定した。なお、配向主軸方向の測定は分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA-6004型分子配向計)で測定した。
○:引裂き強度が50mN以上
×:引裂き強度が50mN未満
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンズオキサジノン-4-オン)10質量部、粒子を含有しないPET(A)(固有粘度が0.62dl/g)90質量部を混合し、混練押出機を用い、紫外線吸収剤含有するポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
常法によりエステル交換反応及び重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%及び5-スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%及びネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n-ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を水50質量部に分散させた後、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部にサイリシア310の水分散液0.54質量部を加えて、撹拌しながら水20質量部を加えて、接着性改質塗布液を得た。
基材フィルム中間層用原料として粒子を含有しないPET(A)樹脂ペレット90質量部と紫外線吸収剤を含有したPET(B)樹脂ペレット10質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層II層用)に供給し、また、PET(A)を常法により乾燥して押出機1(外層I層及び外層III用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、I層、II層、III層の厚さの比は10:80:10となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
未延伸フィルムの厚みを変更することにより、厚み約100μmとすること以外は偏光子保護フィルム1と同様にして一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に1.5倍延伸した後、偏光子保護フィルム1と同様の方法で幅方向に4.0倍延伸して、フィルム厚み約50μmの二軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム3と同様の方法で、走行方向に2.0倍、幅方向に4.0倍延伸して、フィルム厚み約50μmの二軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法で、中間層に紫外線吸収剤を含有するPET樹脂(B)を用いずに、フィルム厚み50μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法で、走行方向に1.0倍、幅方向に3.5倍延伸して、フィルム厚み約75μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、未延伸フィルムの厚みを変更し、横延伸倍率を3.8倍、延伸温度を135℃として、厚み約100μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、横延伸倍率を3.8倍、延伸温度を135℃として、厚み約50μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、横延伸倍率を3.8倍として、厚み50μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、横延伸倍率を4.2倍、延伸温度を135℃として、厚み約50μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、未延伸フィルムの厚みを変更し、横延伸倍率を3.8倍に変更することにより、厚み38μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、未延伸フィルムの厚みを変更することにより、厚みを38μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム3と同様の方法で、走行方向に1.8倍、幅方向に2.0倍延伸して、フィルム厚み約275μmの二軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム3と同様の方法で、走行方向に3.6倍、幅方向に4.0倍延伸して、フィルム厚み約38μmの二軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、未延伸フィルムの厚みを変更することにより、厚み約10μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、オフラインアニール処理したかったものの2種類を作成した。
Claims (3)
- リタデーションが8000~30000nmであり、Nz係数が1.7以下であり、面配向度が0.104~0.130であり、且つ、フィルム流れ方向に対し45度方向の熱収縮率とフィルム流れ方向に対し-45度方向の熱収縮率の差の絶対値(ここで、前記熱収縮率は85℃で30分間、水中で加熱処理した際の熱収縮率である)の幅方向における平均値が0.4%以下であることを特徴とする、横一軸延伸ポリエステルフィルムからなるロール状の偏光子保護フィルムの製造方法であって、
未延伸ポリエステルフィルムを横一軸延伸した後、熱処理工程を経て、両端部を裁断してミルロールにすること、
前記ミルロールを3等分してスリットロールにすること、及び
前記熱処理工程後の冷却工程で生じる斜め方向の応力を緩和させること
を含み、
前記偏光子保護フィルムは、前記3等分されたスリットロールのうち、端位置のスリットロールのフィルムである、製造方法(但し、面配向度が0.104である前記偏光子保護フィルムの製造方法を除く)。 - 前記偏光子保護フィルムの面配向度が0.117~0.130である、請求項1に記載の製造方法。
- 80℃以上120℃以下、10秒以上90分間以下の条件でオフラインアニール処理することにより、前記熱処理工程後の冷却工程で生じる斜め方向の応力を緩和させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
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