JP6459175B2 - 液晶表示装置及び偏光板 - Google Patents
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Description
項1.
光源側偏光板及び視認側偏光板、並びに、これらの偏光板の間に配置される液晶セルを含む液晶表示装置であり、
光源側偏光板の光源側偏光子保護フィルム又は視認側偏光板の視認側偏光子保護フィルムの少なくとも一方が、下記条件Aを満たし、
光源側偏光板の液晶セル側偏光子保護フィルム又は視認側偏光板の液晶セル側偏光子保護フィルムの少なくとも一方が、下記条件Bを満たす、
液晶表示装置。
条件A:フィルム流れ方向に対して+45度方向の熱収縮率とフィルム流れ方向に対して−45度方向の熱収縮率との差が0.4%以下
条件B:面内リタデーション(Re)が10nm以下であり、且つ、厚み方向リタデーション(Rth)が20nm以下
項2.
液晶セルがインプレーンスイッチング(IPS)型液晶セルである、請求項1に記載の液晶表示装置。
項3.
偏光子の両面に偏光子保護フィルムが設けられた偏光板であり、一方の偏光子保護フィルムが下記条件Aを満たし、他方の偏光子保護フィルムが下記条件Bを満たす、偏光板。
条件A:フィルム流れ方向に対して+45度方向の熱収縮率とフィルム流れ方向に対して−45度方向の熱収縮率との差が0.4%以下
条件B:面内リタデーション(Re)が10nm以下であり、且つ、厚み方向リタデーション(Rth)が20nm以下
以下に、条件Aを満たす偏光子保護フィルム(以下、「偏光子保護フィルムA」とも称する)に関して説明する。
偏光子保護フィルムAは、特に限定されるものではないが、4000〜30000nmのリタデーションを有することが好ましい。リタデーションが4000nm以上であれば、液晶表示装置を斜め方向から観察したときに干渉色が抑えられ、良好な視認性を確保することができる。偏光子保護フィルムAの好ましいリタデーションは4500nm以上、次に好ましくは5000nm以上、より好ましくは6000nm以上、更に好ましくは8000nm以上、より更に好ましくは10000nm以上である。
偏光子保護フィルムAは、上述のリタデーションの範囲であることに加えて、|ny−nz|/|ny−nx|で表されるNz係数が1.7以下であることが好ましい。Nz係数は次のようにして求めることができる。分子配向計(例えば、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)を用いてフィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向とこれに直交する方向の二軸の屈折率(ny、nx、但しny>nx)、及び厚み方向の屈折率(nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)によって求める。こうして求めたnx、ny、nzを、|ny−nz|/|ny−nx|で表される式に代入して、Nz係数を求めることができる。
偏光子保護フィルムAのリタデーション値及びNz係数を上記の特定範囲に制御することに加え、(nx+ny)/2−nzで表される面配向度を特定値以下にすることにより、より確実に虹斑を解消することができる。ここで、nx、ny及びnzの値は、Nz係数と同様の方法で求められる。フィルムの面配向度は0.13以下が好ましく、より好ましくは0.125以下、さらの好ましくは0.12以下である。面配向度が0.13以下にすることで、液晶表示装置を斜め方向から観察した場合に角度によって観察される虹斑を完全に解消することができる。面配向度は0.08以上が好ましく、より好ましくは0.10以上である。面配向度が0.08未満では、フィルム厚みが変動し、リタデーションの値がフィルム面内で不均一になる場合がある。
偏光子保護フィルムAは、そのリタデーション(Re)と厚み方向リタデーション(Rth)との比(Re/Rth)が、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上である。上記リタデーションと厚み方向リタデーションの比(Re/Rth)が大きいほど、複屈折の作用は等方性を増し、観察角度による虹状の色斑の発生が生じ難くなるためである。完全な1軸性(1軸対称)フィルムでは上記リタデーションと厚み方向リタデーションの比(Re/Rth)は2となる。しかし、完全な1軸性(1軸対称)フィルムに近づくにつれ配向方向と直行する方向の機械的強度が著しく低下する。
観察角度による虹斑を抑制する観点から、偏光子保護フィルムAのリタデーションの変動を抑制することが好ましく、その為にはフィルムの厚み斑が小さいことが好ましい。フィルムの厚み斑は5%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましく、4%以下であることがよりさらに好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
偏光子保護フィルムAの厚みは、特に制限されないが、通常15〜300μmであり、好ましくは15〜200μmである。フィルム厚みが15μm未満では、フィルムの力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じる場合がある。特に好ましい厚みの下限は25μmである。一方、偏光子保護フィルムAの厚みの上限は、300μmを超えると偏光板の厚みが厚くなりすぎてしまい好ましくない。偏光子保護フィルムとしての実用性の観点から、厚みの上限は200μmが好ましい。特に好ましい厚みの上限は一般的なTACフィルムと同等程度の100μmである。
偏光子保護フィルムAは、偏光子に含まれるヨウ素色素等の光学機能性色素の劣化を抑制する観点から、波長380nmの光線透過率が20%以下であることが望ましい。380nmの光線透過率は15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。前記光線透過率が20%以下であれば、光学機能性色素の紫外線による変質を抑制することができる。光線透過率は、フィルムの平面に対して垂直方向に測定した値であり、分光光度計(例えば、日本分光株式会社製分光光度計V7100)を用いて測定することができる。
偏光子保護フィルムとして用いるフィルムには、紫外線吸収剤以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、各種の添加剤を含有させることも好ましい様態である。添加剤として、例えば、無機粒子、耐熱性高分子粒子、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、帯電防止剤、耐光剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、ゲル化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。また、高い透明性を奏するためにはフィルムに実質的に粒子を含有しないことも好ましい。「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。
偏光子保護フィルムAとしてポリエステルフィルムを用いる場合は、偏光子との接着性を改良のために、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とする易接着層を有することが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の内、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、及びポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
偏光子保護フィルムAの偏光子が配置される面とは反対側の面に、写り込み防止やギラツキ抑制、キズ抑制等を目的として、種々の機能層、すなわちハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層、低反射防止層、及び反射防止防眩層、帯電防止層からなる群より選択される1種以上の機能層を配向ポリエステル表面に設けることも好ましい様態である。種々の機能層を設けるに際して、偏光子保護フィルムはその表面に易接着層を有することが好ましい。その際、反射光による干渉を抑える観点から、易接着層の屈折率を、機能層の屈折率と偏光子保護フィルムの屈折率の相乗平均近傍になるように調整することが好ましい。易接着層の屈折率の調整は、公知の方法を採用することができ、例えば、バインダー樹脂に、チタンやジルコニウム、その他の金属種を含有させることで容易に調整することができる。
偏光子保護フィルムとして用いるフィルムは、一般的なフィルムの製造方法に従って製造することができる。例えば、ポリエステルフィルムの場合、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理を施す方法が挙げられる。偏光子保護フィルムは、一軸延伸フィルムでも、二軸延伸フィルムであっても良い。
式(a): n=(nTE×2+nTM)/3
[式中、nTEはフィルム平面方向の偏光で測定した屈折率であり、nTMはフィルム面法線方向の偏光で測定した屈折率である。]
式(b): Re=(nx−ny)×d
式(c): Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxはフィルム面内の遅相軸(x)方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸(y)方向の屈折率であり、nzはフィルムの膜厚方向(フィルム面法線方向)の屈折率であり、dはフィルム膜厚(nm)である。遅相軸はフィルム面内で屈折率が最大となる方向であり、進相軸はフィルム面内で屈折率が最小となる方向である。]
偏光板は、ヨウ素で染色されたポリビニルアルコール系フィルム等からなる偏光子の両側を2枚の偏光子保護フィルムで挟んだ構成である。前記2枚の偏光子保護フィルムの組合せとしては、偏光子保護フィルムAと一般偏光子保護フィルムとの組合せ、一般偏光子保護フィルムと偏光子保護フィルムBとの組合せ、偏光子保護フィルムAと偏光子保護フィルムBとの組合せを挙げることができる。これらのいずれの偏光板も本発明の液晶表示装置の構成部材として用いることができる。これらの中でも、偏光子保護フィルムAと偏光子保護フィルムBとを組合せた偏光板が好ましい。なお、ここで一般偏光子保護フィルムとは、上述する条件A及びBのいずれをも満たさない偏光子保護フィルムであり、好ましくは、比較的リタデーションの低いTACフィルム、COPフィルム、アクリルフィルムなどである。
一般に、液晶表示装置は、バックライト光源側から画像を表示する側(視認側又は出射光側)に向かう順に、後面モジュール、液晶セル及び前面モジュールを有する。後面モジュール及び前面モジュールは、一般に、透明基板と、その液晶セル側表面に形成された透明導電膜と、その反対側に配置された偏光板とを含む。ここで、偏光板は、後面モジュールでは、バックライト光源側に配置され、前面モジュールでは、画像を表示する側に配置されている。
スリットロールの各切り出し部から切り出された後述する偏光子保護フィルム1〜15を一辺21cmの正方形状に切り出し、23℃、65%RHの雰囲気で2時間以上放置した。この試料の中央を中心とする直径20cmの円を描き、縦方向(フィルム流れ方向)を0°として、+45°、−45°方向に円の中心を通る直線を引き、各方向の直径を測定し、処理前の長さとした。次いで、切り出した試料を85℃で30分間、水中で加熱処理した後、切り出した表面に付着した水分を拭き取り、風乾してから23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置し、上述したように各直径方向に引いた直線の長さを測定して処理後の長さとした。次いで、下記の式に従って、熱収縮率を求めた。
熱収縮率=((処理前の試料の長さ)−(処理後の試料の長さ))/(処理前の試料の長さ)×100尚、同一のスリットロールでフィルム幅方向に3点サンプリングし、その平均を熱収縮率差とした。このようにして求めた+45°及び−45°の方向の熱収縮率の大きい方の値から小さい方の値を除し、斜め方向の熱収縮率差を求めた。
PVAフィルムからなる偏光子の一方の面に、後述の製造例4で作成したセルロースアシレートフィルム(厚み80μm)を、他方の面に後述する方法で作製した偏光子保護フィルム1を〜15のいずれかを、接着剤を介して貼り合せ、オーブンで85℃30分間加熱処理をして、偏光板を製造した。なお、偏光子の偏光軸と、ポリエステルフィルムの主配向軸が互いに垂直になるように貼り合せた。こうして得られた2枚の偏光板を、ポリエステルフィルムが2つの偏光子の外側に来るようにクロスニコルに配置し、日本分光株式会社製分光光度計V7100を用いて、550〜600nmの波長における最大光線透過率を測定した。
○ :最大光線透過率が0.02%以下
× :最大光線透過率が0.02%超
リタデーションとは、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|nx−ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性及び異方性を示す尺度である。後述する偏光子保護フィルム1〜15の二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)を用いてフィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向が長辺となるように4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(nx,ny)、及び厚み方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)を用いて測定し、前記二軸の屈折率の差の絶対値(|nx−ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、リタデーション(Re)を求めた。
|ny−nz|/|ny−nx|で得られる値をNz係数とした。ただし、ny>nxとなるように、ny及びnxの値を選択した。
(nx+ny)/2−nzで得られる値を面配向度(△P)とした。
厚み方向リタデーションとは、フィルム厚み方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz(=|nx−nz|)、△Nyz(=|ny−nz|)にそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られるリタデーションの平均を示すパラメーターである。リタデーションの測定と同様の方法でnx、ny、nzとフィルム厚みd(nm)を求め、(△Nxz×d)と(△Nyz×d)との平均値を算出して厚み方向リタデーション(Rth)を求めた。
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に後述する偏光子保護フィルム1〜15のいずれかを偏光子の偏光軸とポリエステルフィルムの配向主軸が垂直になるように貼り付け、その反対側の面に後述の製造例4で作製したセルロースアシレートフィルム(厚み8μm)を貼り付けて偏光板を作成した。得られた偏光板を液晶を挟んで両側に一枚ずつ、各偏光板がクロスニコルの条件下になるよう配置して液晶表示装置を作製した。各偏光板は、前記ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように配置された。液晶表示装置の光源には、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色LEDを光源(日亜化学、NSPW500CS)に用いた。このような液晶表示装置の正面、及び斜め方向から目視観察し、虹斑の発生有無について、以下のように判定した。
A’:斜め方向から観察したときに、角度によって極薄い虹斑が観察される。
B: 斜め方向から観察したときに、角度によって薄い虹斑が観察される。
C: 斜め方向から観察したときに、虹斑が観察される。
D: 正面方向及び斜め方向から観察したときに、虹斑が観察される。
東洋精機製作所製エレメンドルフ引裂試験機を用いて、JIS P−8116に従い、各フィルムの引裂き強度を測定した。引裂き方向はフィルムの配向主軸方向と平行となるように行ない、以下のように判定した。なお、配向主軸方向の測定は分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)で測定した。
○:引裂き強度が50mN以上
×:引裂き強度が50mN未満
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)10質量部、粒子を含有しないPET(A)(固有粘度が0.62dl/g)90質量部を混合し、混練押出機を用い、紫外線吸収剤含有するポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
常法によりエステル交換反応及び重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%及び5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%及びネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n−ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を水50質量部に分散させた後、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部にサイリシア310の水分散液0.54質量部を加えて、撹拌しながら水20質量部を加えて、接着性改質塗布液を得た。
特許第4854510の実施例101に記載の方法に準じて、セルロースアシレートフィルムを製造した。得られたフィルムの物性は、Re=1nm,Rth=6nm,|Re(700)−Re(400)|=1nm,|Rth(700)−Rth(400)|=12nmであった。
(偏光子保護フィルム1)
基材フィルム中間層用原料として粒子を含有しないPET(A)樹脂ペレット90質量部と紫外線吸収剤を含有したPET(B)樹脂ペレット10質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層II層用)に供給し、また、PET(A)を常法により乾燥して押出機1(外層I層及び外層III用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、I層、II層、III層の厚さの比は10:80:10となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
未延伸フィルムの厚みを変更することにより、厚み約100μmとすること以外は偏光子保護フィルム1と同様にして一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に1.5倍延伸した後、偏光子保護フィルム1と同様の方法で幅方向に4.0倍延伸して、フィルム厚み約50μmの二軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム3と同様の方法で、走行方向に2.0倍、幅方向に4.0倍延伸して、フィルム厚み約50μmの二軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法で、中間層に紫外線吸収剤を含有するPET樹脂(B)を用いずに、フィルム厚み50μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法で、走行方向に1.0倍、幅方向に3.5倍延伸して、フィルム厚み約75μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、未延伸フィルムの厚みを変更し、横延伸倍率を3.8倍、延伸温度を135℃として、厚み約100μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理したなったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、横延伸倍率を3.8倍、延伸温度を135℃として、厚み約50μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、横延伸倍率を3.8倍として、厚み50μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、横延伸倍率を4.2倍、延伸温度を135℃として、厚み約50μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、未延伸フィルムの厚みを変更し、横延伸倍率を3.8倍に変更することにより、厚み38μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、未延伸フィルムの厚みを変更することにより、厚みを38μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム3と同様の方法で、走行方向に1.8倍、幅方向に2.0倍延伸して、フィルム厚み約275μmの二軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム3と同様の方法で、走行方向に3.6倍、幅方向に4.0倍延伸して、フィルム厚み約38μmの二軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、未延伸フィルムの厚みを変更することにより、厚み約10μmの一軸配向PETフィルムからなるスリットロールを得た。偏光子保護フィルム1と同様にオフラインアニール処理をしたもの、及びオフラインアニール処理しなかったものの2種類を作成した。
Claims (3)
- 光源側偏光板及び視認側偏光板、並びにこれらの偏光板の間に配置される液晶セルを含む液晶表示装置であり、
光源側偏光板の光源側偏光子保護フィルム又は視認側偏光板の視認側偏光子保護フィルムの少なくとも一方が、下記条件Aを満たし、
光源側偏光板の液晶セル側偏光子保護フィルム又は視認側偏光板の液晶セル側偏光子保護フィルムの少なくとも一方が、下記条件Bを満たす、
液晶表示装置。
条件A:フィルム流れ方向に対して+45度方向の熱収縮率とフィルム流れ方向に対して−45度方向の熱収縮率との差が0.4%以下であり、4500〜30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルム
条件B:面内リタデーション(Re)が10nm以下であり、且つ、厚み方向リタデーション(Rth)が20nm以下 - 液晶セルがインプレーンスイッチング(IPS)型液晶セルである、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 偏光子の両面に偏光子保護フィルムが設けられた偏光板であり、一方の偏光子保護フィルが下記条件Aを満たし、他方の偏光子保護フィルムが下記条件Bを満たす、偏光板。
条件A:フィルム流れ方向に対して+45度方向の熱収縮率とフィルム流れ方向に対して−45度方向の熱収縮率との差が0.4%以下であり、4500〜30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルム
条件B:面内リタデーション(Re)が10nm以下であり、且つ、厚み方向リタデーション(Rth)が20nm以下
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