JP6896998B2 - ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)下記式(I)〜(III)を満たし、かつ直径10μm以上のマンガン元素を含有する黒色異物が5個/10g以下であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
20ppm≦Mn元素含有量≦70ppm (I)
0.70≦Mn元素含有量(mol/t)/P元素含有量(mol/t)≦1.20 (II)
ゲル化率 ≦ 10.0wt% (III)
(2)下記式(IV)〜(VI)を満たし、かつ直径10μm以上のマンガン元素を含有するフィルム黒色異物が5個/10g以下であることを特徴とするポリエチレンテレフタレートフィルム。
20ppm≦Mn元素含有量≦70ppm (IV)
0.70≦Mn元素含有量(mol/t)/P元素含有量(mol/t)≦1.20 (V)
ゲル化率 ≦ 10.0wt% (VI)
(3)ジカルボン酸成分またはそのエステル形成誘導体成分と、ジオール成分とをエステル交換反応またはエステル化反応し、次いで重縮合反応してポリエステルを製造するに際して、ポリエステルのIV(固有粘度)が0.4以下の段階で、カラーマシンにて測定したa値が0以上0.5以下であるマンガン化合物のエチレングリコール溶液を添加し、かつ重縮合反応終了までの段階でリン化合物を添加し、かつその添加量が下記式(VII)、(VIII)を満たすことを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
20ppm≦Mn元素添加量≦70ppm (VII)
0.60≦Mn元素添加量(mol/t)/P元素添加量(mol/t)≦1.10 (VIII)
本発明に用いられるポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸成分とジオール成分を重縮合して得られるポリエステル樹脂を指す。
本発明におけるジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、鎖状脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸など種々のジカルボン酸成分を用いることができる。その中でも、ポリエステル組成物の機械的特性、耐熱性、耐加水分解性の観点から、芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。特には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が重合性、機械的特性から好ましい。
なお、本発明の効果の範囲を損なわない程度に、他のジカルボン酸やヒドロキシカルボン酸誘導体、ジオールが共重合されていてもよい。
20ppm≦Mn元素含有量≦70ppm (I)
下限として好ましくは25ppm以上、より好ましくは30ppm以上である。また、上限としてより好ましくは55ppm以下である。上記範囲とすることで、溶融成形時に発生するゲル組成物を抑制できるため成形体の欠点を抑制でき、また溶融比抵抗も小さくなることから成形性が向上する。
下限として好ましくは、0.75以上、より好ましくは0.80以上である。また上限として好ましくは1.10以下である。上記範囲とすることで、熱分解・加水分解を抑制することができることから耐久性が向上し、また溶融比抵抗も小さくなることから成形性が向上する。
また、本発明のポリエステルフィルムは、下記式(IV)で表されるように、マンガン元素を20ppm以上70ppm以下含有していることが必要である。
下限として好ましくは25ppm以上、より好ましくは30ppm以上である。また、上限としてより好ましくは55ppm以下である。上記範囲とすることで、ゲル組成物による欠点が少なくなるため、高透明性の求められる光学フィルムや離型フィルム等に供することができる。また溶融比抵抗も小さくなることから成形性が向上し、薄膜化や高速製膜が可能となる。
0.70≦Mn元素含有量(mol/t)/P元素含有量(mol/t)≦1.20 (V)
下限として好ましくは、0.75以上、より好ましくは0.80以上である。また上限として好ましくは1.10以下である。上記範囲とすることで、熱分解・加水分解を抑制することができることから耐久性が向上し、また溶融比抵抗も小さくなることから成形性が向上し、薄膜化や高速製膜が可能となる。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明のポリエステル樹脂組成物を用い、製膜することで上記特性を満たすことが可能となる。ポリエステルフィルムの厚みは特に制限しないが、通常の二軸延伸製膜にて得ることができる厚み5μm以上200μm以下であることが好ましい。本発明のポリエステルフィルムは、溶融比抵抗が低く、成形性が良好なポリエステル樹脂組成物を用いているため、静電印加製膜にて高速化及び薄膜化が可能である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ジカルボン酸成分またはそのエステル形成誘導体成分と、ジオール成分とをエステル交換反応またはエステル化反応し、次いで重縮合反応し、ポリエステルを製造するに際して、ポリエステルのIV(固有粘度)が0.4以下の段階で、カラーマシンにて測定したa値が0以上0.5以下であるマンガン化合物のエチレングリコール溶液を添加し、かつ重縮合反応終了までの段階でリン化合物を添加し、かつその添加量が下記式(VII)、(VIII)を満たすことで得ることができる。
20ppm≦Mn元素添加量≦100ppm (VII)
0.60≦Mn元素添加量(mol/t)/P元素添加量(mol/t)≦1.10 (VIII)
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法において、ジカルボン酸成分またはそのエステル形成誘導体成分と、ジオール成分とをエステル交換反応またはエステル化反応し、次いで重縮合反応し、ポリエステルを製造するに際して、カラーマシンにて測定したa値が0以上0.5以下であるマンガン化合物のエチレングリコール溶液を添加することが必要である。上限として好ましくは、0.4以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。また、a値が0とは赤色も緑色も呈していないことを示しており、より0に近いことが異物抑制の観点から好ましい。上記範囲とすることで、マンガン元素を含有する異物を5個/10g以下にすることが可能である。この異物は、マンガン化合物が酸化劣化し、酸化マンガンに変異することで発生する黒色異物である。ポリエステル製造中に触媒として添加するマンガン化合物のエチレングリコール溶液が酸化劣化すると、溶液の色調は徐々に薄桃色から黒褐色へと変化し、異物の要因となる。触媒として使用するマンガン化合物のエチレングリコール溶液の色調が上記範囲を満たすことで、黒色異物のない良好なポリエステル樹脂を製造することができる。本発明においては、マンガン化合物の酸化劣化を防ぐため、窒素パージにて保管や、遮光容器での保管、または触媒溶液調整後、触媒溶液の色調が変化しないうちにポリエステル重合に供することで異物発生を抑制している。本発明においては、このa値によって、触媒溶液の色調変化・酸化劣化の度合いを評価しており、上記範囲を満足することでポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムの黒色異物を抑制することが可能となる。
20ppm≦Mn元素添加量≦100ppm (VII)
下限としてより好ましくは25ppm以上であり、さらに好ましくは30ppm以上である。上限としては70ppm以下がより好ましく、さらに好ましくは55ppm以下である。上記範囲とすることで、溶融成形時に発生するゲル組成物を抑制できるため成形体の欠点を抑制でき、また溶融比抵抗も小さくなることから成形性が向上する。
また、マンガン化合物のエチレングリコール溶液は、2wt%以上10wt%以下で調整することが好ましい。上記範囲とすることで、ジエチレングリコールなどの副生成物を抑制することができる。マンガン化合物のエチレングリコール溶液の調整及び保管時は、窒素雰囲気下とすることや遮光容器を用いることで、マンガン化合物の酸化劣化を抑制することが可能である。
0.60≦Mn元素添加量(mol/t)/P元素添加量(mol/t)≦1.10 (VIII)
下限としてより好ましくは、0.65以上、さらに好ましくは0.70以上である。また上限としてより好ましくは1.00以下である。上記範囲とすることで、熱分解・加水分解を抑制することができることから耐久性が向上し、また耐熱性が向上することからゲル化を抑制することが可能である。さらに、溶融比抵抗も小さくなることから成形性が向上する。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレートが仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸とエチレングリコール(テレフタル酸に対し1.15倍モル)のスラリーをスネークポンプにて徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とする。
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
Mauliceの方法によって測定した。(文献 M.J.Maulice,F.Huizinga,Anal.Chem.Acta、22、363(1960)) 。
ポリエステル樹脂組成物またはポリエステルフィルムを溶融プレス機で円柱状に成型し、理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて測定した。
原子吸光法((株)日立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度型180−80、フレーム:アセチレン空気)にて定量を行った。
マンガン化合物のエチレングリコール溶液をシャーレに液深1cmとなるように入れ、カラーマシン(スガ試験機(株)製:SM−T45)にてa値を測定した。
ポリステル樹脂組成物またはポリエステルフィルムを凍結粉砕機(Sprex CertiPerp社製)にて粉砕し、ステンレスビーカーに0.5g秤量した。真空乾燥機を用いて、50℃で2時間真空乾燥した後、酸素/窒素濃度1%流通下(流量0.5L/分)、300℃で6時間加熱処理を行った。これを、20mlのo−クロロフェノールで、160℃で1時間溶解し、放冷した。この溶液を、ガラスフィルター(柴田科学(株)製、3GP40)を使用してろ過し、ジクロロメタンにてガラスフィルターを洗浄した。ガラスフィルターを130℃で2時間乾燥し、ろ過前後のろ過器の重量の増加分より、ポリエステル重量(0.5g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
ポリエステル樹脂組成物を飽和水蒸気下、155℃で4時間湿熱処理し、処理前後のCOOH末端基量を測定することで、COOH末端基増加量(ΔCOOH)を算出した。
なお、処理装置は次の加熱処理装置を使用した。
PRESSER COOKER 306SIII(HIRAYAMA製作所(株)製) 。
ポリエステル樹脂150gを純水置換した50φ試験管に入れ、180℃で3時間真空乾燥した。その後、290℃、50分窒素流通下で溶融し、電極を溶融ポリマーに挿入した。電極間に5000Vの電圧を加えたときの電流量から抵抗値を算出することで溶融比抵抗を求めた。
なお電極は、銅板(22cm2)2枚の間にテフロン(登録商標)のスペーサーを挟み、銅板間が9mmとなるように作成した。
ポリエステル樹脂組成物2gを20mlのフェノール/1,1,2,2,テトラクロロエタンの3/2(容積比)混合溶液に溶解し、光路長20mmのセルを用い、ヘイズメーター(スガ試験機(株)製 HZ−1)によって積分球式光電光度法にて分析を行った。
ポリエステル樹脂組成物10gをオーツカ光学(株)製ENV−Bを用いて黒色異物をマーキングした。マーキングした黒色異物について、SEM(日立製電界放射型走査電子顕微鏡:型番S−4000)にて異物を観察、EDX(堀場製作所製:型番SuperXerophyS−779XI)にて含有金属分析を実施することで、マンガン元素を含有し、直径が10μm以上ある異物数を計測した。
ポリエステルフィルム10gをオーツカ光学(株)製ENV−Bを用いて黒色異物をマーキングした。マーキングした黒色異物について、SEM(日立製電界放射型走査電子顕微鏡:型番S−4000)にて異物を観察、EDX(堀場製作所製:型番SuperXerophyS−779XI)にて含有金属分析を実施することで、マンガン元素を含有し、直径が10μm以上ある異物数を計測した。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
この得られたポリエステル樹脂組成物を180℃で3時間真空乾燥し、窒素雰囲気下で押し出し機に供給した。押出温度280℃でTダイから吐出させ、キャスティングドラム(20℃)にて急冷し、静電印加法にてシート化した。このシートを縦延伸温度90℃、縦延伸倍率3.6倍、横延伸温度110℃、横延伸倍率3.6倍で延伸し、熱処理を210℃で3秒行い、厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
マンガン化合物の添加量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムの特性を表1に示す
実施例2にて得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、ゲル化率が低く、異物もないことから、光学フィルムや離型フィルムに供することができる物性を有していた。
実施例3〜6で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、ゲル化率が低く、異物もないことから、光学フィルムや離型フィルムに好適な物性を有していた。また、耐加水分解性も良好であり、溶融比抵抗が低いことから成形性も良好であった。
実施例7にて得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、ゲル化率は低く、溶融比抵抗も低いことから成形性も良好であった。また、異物もないことから、光学フィルムや離型フィルムに供すことのできる物性を有していた。
比較例1で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、マンガン化合物を添加していないため、ゲル化率・ΔCOOH・溶融比抵抗が増加した。
比較例2で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、マンガン化合物の添加量少ないため、ゲル化率・ΔCOOHが増加した。
比較例3で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、マンガン化合物の添加量が多いため、ΔCOOH・溶液ヘイズが増加した。
リン酸の添加量を表2の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムの特性を表2に示す。
実施例8で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、ゲル化率は低く、溶融比抵抗も低いことから成形性も良好であった。また、異物もないことから、光学フィルムや離型フィルムに供すことのできる物性を有していた。
実施例9〜11で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、ゲル化率が低く、異物もないことから、光学フィルムや離型フィルムに好適な物性を有していた。また、耐加水分解性も良好であり、溶融比抵抗が低いことから成形性も良好であった。
実施例12で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、ゲル化率は低く、溶融比抵抗も低いことから成形性も良好であった。また、異物もないことから、光学フィルムや離型フィルムに供すことのできる物性を有していた。
比較例4で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、Mn元素含有量とP元素含有量の比が大きいため、ゲル化率、ΔCOOHが増加した。
比較例5で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、リン酸の添加量が多く、Mn元素含有量とP元素含有量の比が小さいため、重合が遅延しCOOH・ΔCOOHが増加、溶液ヘイズも増加した。
水酸化カリウムの添加量を表3の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムの特性を表3に示す。
実施例13で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、ゲル化率・ΔCOOHは良好であり、異物もないことから、光学フィルムや離型フィルムに供することができる物性を有していた。
実施例14〜17で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、ゲル化率が低く、異物もないことから、光学フィルムや離型フィルムに好適な物性を有していた。また、耐加水分解性も良好であり、溶融比抵抗が低いことから成形性も良好であった。
実施例18で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、異物はなく、成形性も良好であることから、光学フィルムや離型フィルムに供することができる物性を有していた。
添加するマンガン化合物のエチレングリコール溶液のa値を表4の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムの特性を表4に示す。
実施例19〜22で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、ゲル化率が低く、異物もないことから、光学フィルムや離型フィルムに好適な物性を有していた。また、耐加水分解性も良好であり、溶融比抵抗が低いことから成形性も良好であった。
実施例23で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、成形性・ゲル化率・ΔCOOHは良好であり、光学フィルムや離型フィルムに供することができる物性を有していた。
比較例6で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、マンガン化合物のエチレングリコール溶液のa値が高いため、異物およびフィルム異物が増加した。
添加するリン化合物をリン酸からリン酸トリメチルに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムの特性を表5に示す。
実施例24で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、成形性・ΔCOOHは良好であり、異物もないことから光学フィルムや離型フィルムに供することができる物性を有していた。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
この得られたポリエステル樹脂組成物を180℃で3時間真空乾燥し、窒素雰囲気下で押し出し機に供給した。押出温度280℃でTダイから吐出させ、キャスティングドラム(20℃)にて急冷し、静電印加法にてシート化した。このシートを縦延伸温度90℃、縦延伸倍率3.6倍、横延伸温度110℃、横延伸倍率3.6倍で延伸し、熱処理を210℃で3秒行い、厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムの特性を表4に示す。
比較例7で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、マンガン化合物を使用していないため、ゲル化率・溶液ヘイズが増加した。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
この得られたポリエステル樹脂組成物を180℃で3時間真空乾燥し、窒素雰囲気下で押し出し機に供給した。押出温度280℃でTダイから吐出させ、キャスティングドラム(20℃)にて急冷し、静電印加法にてシート化した。このシートを縦延伸温度90℃、縦延伸倍率3.6倍、横延伸温度110℃、横延伸倍率3.6倍で延伸し、熱処理を210℃で3秒行い、厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムの特性を表5に示す。
比較例8で得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムは、マンガン化合物を使用していないため、ゲル化率・溶液ヘイズが増加した。
テレフタル酸ジメチル101.0重量部、エチレングリコール64.6重量部(ジカルボン酸成分の2倍モル)の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解した後、マンガン化合物としてカラーマシンにて測定したa値が0.15である酢酸マンガン4水和物0.025重量部(マンガン元素として55ppm)の5wt%エチレングリコール溶液、三酸化二アンチモンを0.03重量部添加し撹拌した。240℃まで昇温しながらメタノールを留出させ、所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.016重量部(リン元素として43ppm)、水酸化カリウム0.008重量部(カリウム元素として5ppm)を加え、エステル交換反応を終了した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.65相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂組成物を得た。
この得られたポリエステル樹脂組成物を180℃で3時間真空乾燥し、窒素雰囲気下で押し出し機に供給した。押出温度280℃でTダイから吐出させ、キャスティングドラム(20℃)にて急冷し、静電印加法にてシート化した。このシートを縦延伸温度90℃、縦延伸倍率3.6倍、横延伸温度110℃、横延伸倍率3.6倍で延伸し、熱処理を210℃で3秒行い、厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物及びポリエステルフィルムの特性を表5に示す。
Claims (8)
- 下記式(I)〜(III)を満たし、かつ直径10μm以上のマンガン元素を含有する黒色異物が5個/10g以下であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
20ppm≦Mn元素含有量≦70ppm (I)
0.70≦Mn元素含有量(mol/t)/P元素含有量(mol/t)≦1.20 (II)
ゲル化率 ≦ 10.0wt% (III)
(なおゲル化率は、酸素濃度1%の窒素雰囲気下、300℃ で6時間加熱処理した際のゲル化率であり、樹脂組成物0.5gを酸素/窒素濃度1%流通下(流量0.5L/分)、300℃で6時間加熱処理後、20mlのo−クロロフェノール(160℃、1時間)に溶解し、放冷、ろ過後のろ過器の重量増分より、樹脂組成物に対する重量分率を求めたものである。) - 飽和水蒸気下で155℃、4時間湿熱処理した際のCOOH末端基増加量(ΔCOOH)が85.0eq/ton以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- アルカリ金属元素含有量が3ppm以上30ppm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 溶融比抵抗(290℃、窒素流通下で溶融)が15.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 下記式(IV)〜(VI)を満たし、かつ直径10μm以上のマンガン元素を含有するフィルム黒色異物が5個/10g以下であることを特徴とするポリエチレンテレフタレートフィルム。
20ppm≦Mn元素含有量≦70ppm (IV)
0.70≦Mn元素含有量(mol/t)/P元素含有量(mol/t)≦1.20 (V)
ゲル化率 ≦ 10.0wt% (VI)
(なおゲル化率は、酸素濃度1%の窒素雰囲気下、300℃ で6時間加熱処理した際のゲル化率であり、樹脂組成物0.5gを酸素/窒素濃度1%流通下(流量0.5L/分)、300℃で6時間加熱処理後、20mlのo−クロロフェノール(160℃、1時間)に溶解し、放冷、ろ過後のろ過器の重量増分より、樹脂組成物に対する重量分率を求めたものである。) - ジカルボン酸成分またはそのエステル形成誘導体成分と、ジオール成分とをエステル交換反応またはエステル化反応し、次いで重縮合反応してポリエステルを製造するに際して、ポリエステルのIV(固有粘度)が0.4以下の段階で、カラーマシンにて測定したa値が0以上0.5以下であるマンガン化合物のエチレングリコール溶液を添加し、かつ重縮合反応終了までの段階でリン化合物を添加し、かつその添加量が下記式(VII)、(VIII)を満たすことを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
20ppm≦Mn元素添加量≦70ppm (VII)
0.60≦Mn元素添加量(mol/t)/P元素添加量(mol/t)≦1.10 (VIII) - 重縮合反応が終了するまでの段階でアルカリ金属化合物を添加し、その添加量がアルカリ金属元素として3ppm以上30ppm以下であることを特徴とする請求項6記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
- リン化合物がリン酸であることを特徴とする請求項6または7に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
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