JP2004175838A - ポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法 - Google Patents

ポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004175838A
JP2004175838A JP2002340613A JP2002340613A JP2004175838A JP 2004175838 A JP2004175838 A JP 2004175838A JP 2002340613 A JP2002340613 A JP 2002340613A JP 2002340613 A JP2002340613 A JP 2002340613A JP 2004175838 A JP2004175838 A JP 2004175838A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
compound
polyester
titanium
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002340613A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuya Nagano
達也 長野
Keisuke Honda
圭介 本田
Kenichi Tsutsumi
賢一 堤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2002340613A priority Critical patent/JP2004175838A/ja
Publication of JP2004175838A publication Critical patent/JP2004175838A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

【課題】良好な色調を有するポリエステルを与える重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法を提供すること。
【解決手段】チタン化合物とリン化合物を、溶存酸素濃度が4.0mg/L以下の溶媒中にて混合することを特徴とするポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色調および熱安定性ともに良好なポリエステルを得ることができるポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルはその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、資材用、医療用に用いられている。その中でも、汎用性、実用性の点でポリエチレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。
【0003】
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
【0004】
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。
【0005】
また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れの原因になるなどの好ましくない特性を有しており、操業性を低下させる一因となっている。
【0006】
上記のような背景からアンチモン含有量が少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求められている。そこで、重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合、ゲルマニウム化合物が知られているが、ゲルマニウム化合物は非常に高価であり汎用的に用いることは難しい。
【0007】
そこで、本発明では上記の問題点を改良し、糸切れの少ないポリエステルを鋭意検討した結果、重合用触媒としてチタン化合物を含むことにより本発明の目的を達成できるという知見を得た。
【0008】
これに対し重合触媒としてチタン化合物とリン化合物とからなるチタン錯体をポリエステル重合用触媒として用いる提案がされている(例えば、特許文献1〜3参照)。この方法によれば触媒に起因した異物を少なくすることができるものの、得られるポリマーの色調は十分なものではない。したがって、チタン化合物のさらなる改善が求められている。
【0009】
そこで、本発明ではポリエステルの製造上および品質上の欠点を改善することについて鋭意検討した結果、チタン化合物とリン化合物を溶存酸素濃度が4.0mg/L以下の溶媒中にて混合することを特徴とするポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法により、本発明の目的を達成できるという知見を得た。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−524536号公報(第1頁)
【0011】
【特許文献2】
特開2002−512267号公報(第1頁)
【0012】
【特許文献3】
特開2002−293909号公報(第1頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記従来の問題を解消し、製糸性や製膜性が良好であり、かつ従来品に比べてポリエステルの色調および熱安定性に優れたポリエステルを得ることが可能なポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
ポリエステル重合用触媒としてのチタン化合物とリン化合物を、溶存酸素濃度が4.0mg/L以下の溶媒中にて混合することを特徴とするポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法によって、上記課題を解決できることが本発明において見出された。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体およびジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、繊維、フィルム、ボトル等の成形品として用いることが可能であれば特に限定はない。
【0016】
このようなポリエステルとして具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル共重合体において好適である。
【0017】
また、これらのポリエステルには、ジエチレングリコール以外に共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸等のオキシカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体等が共重合されていてもよい。
【0018】
本発明のチタン化合物とリン化合物を溶存酸素濃度が4.0mg/L以下の溶媒中にて混合することを特徴とするポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法において、重合用触媒としてのチタン化合物は、酸化物や、主たる金属元素がチタンおよびケイ素からなる複合酸化物であることが好ましい。また、チタン化合物は酸化物やチタン化合物の置換基がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基、および水酸基から選ばれる少なくとも1種、あるいはいずれか1種または2種であるチタン化合物等が好ましく挙げられる。
【0019】
具体的なアルコキシ基には、テトラエトキシド、テトラプロポキシド、テトライソプロポキシド、テトラブトキシド、テトラ−2−エチルヘキソキシド等のチタンテトラアルコキシド、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物等が挙げられ、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、またはいずれか1種または2種であることがより好ましい。また、フェノキシ基には、フェノキシ、クレシレイト等が挙げられる。
【0020】
また、アシレート基には、ラクテート、ステアレート等のテトラアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸等が挙げられる。また、アミノ基には、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられ、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、いずれか1種または2種であることがより好ましい。また、これらの置換基を2種含んでなるジイソプロポキシビスアセチルアセトンやトリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
【0021】
また、チタン化合物のアルコキシ基またはアシレート基が脂肪族であることが好ましい。
【0022】
本発明におけるチタン酸化物としては、主たる金属元素がチタンおよびケイ素からなる複合酸化物や超微粒子酸化チタンが挙げられる。
【0023】
なお、本発明の触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体およびジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)〜(3)の反応全てまたは一部の素反応の反応促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応。
(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応。
(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応。
【0024】
したがって、繊維の艶消し剤等に無機粒子として一般的に用いられている酸化チタン粒子は上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、本発明の触媒としてのチタン化合物とは異なる。
【0025】
主たる金属元素がチタンおよびケイ素からなる複合酸化物および超微粒子酸化チタンの製造方法は、特に限定されないが、例えば、チタンのアルコキシド化合物を原料として、加水分解反応により製造する方法において、この加水分解の速度を制御することによって得られる。具体的には、例えば主原料であるチタンアルコキシド化合物に対して、ケイ素やジルコニウム等の少量の他の金属アルコキシド化合物や多価アルコール化合物を共存させ、両者の共沈法、部分加水分解法、配位化学ゾル・ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法とは2種あるいはそれ以上の成分を含有する所定の組成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行させる方法である。また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじめ加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分を加えさらに加水分解を進行させる方法である。また、配位化学ゾル・ゲル法とは、チタンアルコキシド原料とともに分子内に官能基を複数持つ多価アルコール化合物等を共存させ、両者の間であらかじめ反応物を形成させることによって、その後の加水分解反応の速度を制御しようとするものである。以上のような化合物の合成方法は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触媒調製」、アイピーシー(1993)等に記載されている。なお、触媒として用いる超微粒子酸化チタンは分子量が100000(g/mol)より小さいと触媒活性、異物抑制の点で好ましい。超微粒子酸化チタンの分子量はより好ましくは500〜100000(g/mol)、更に好ましくは1000〜50000(g/mol)、特に好ましくは1500〜20000(g/mol)である。
【0026】
本発明における触媒としてのチタン化合物は得られるポリマーに対してチタン原子換算で0.5〜150ppm添加すると重合活性が高く、得られるポリマーの熱安定性や色調も良好となり好ましい。より好ましくは1〜100ppm、更に好ましくは3〜50ppmである。
【0027】
また、チタン化合物と共に添加されるリン化合物の添加量は、リンをポリエステルに対してリン原子換算で0.1〜400ppmであることが好ましい。なお、製糸時におけるポリエステルの熱安定性や色調の観点からリン添加量は、1〜200ppmが好ましく、さらに好ましくは3〜100ppmである。
【0028】
なお、本発明において使用するリン化合物としては、リン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、いずれか1種または2種であることがより好ましい。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸系、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸系、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等のホスホン酸系化合物、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキルシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、およびビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、メチルホスフィン酸メチルエステル、ジメチルホスフィン酸メチルエステル、メチルホスフィン酸エチルエステル、ジメチルホスフィン酸エチルエステル、エチルホスフィン酸メチルエステル、ジエチルホスフィン酸メチルエステル、エチルホスフィン酸エチルエステル、ジエチルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸メチルエステル、フェニルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸フェニルエステル、ジフェニルホスフィン酸メチルエステル、ジフェニルホスフィン酸エチルエステル、ジフェニルホスフィン酸フェニルエステル、ベンジルホスフィン酸メチルエステル、ベンジルホスフィン酸エチルエステル、ベンジルホスフィン酸フェニルエステル、ビスベンジルホスフィン酸メチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸エチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸フェニルエステル等のホスフィン酸系、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリプロピルホスフィンオキサイド、トリイソプロピルホスフィンオキサイド、トリブチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、プロピル亜ホスホン酸、イソプロピル亜ホスホン酸、ブチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等の亜ホスホン酸系、メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、プロピル亜ホスフィン酸、イソプロピル亜ホスフィン酸、ブチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸、ジメチル亜ホスフィン酸、ジエチル亜ホスフィン酸、ジプロピル亜ホスフィン酸、ジイソプロピル亜ホスフィン酸、ジブチル亜ホスフィン酸、ジフェニル亜ホスフィン酸等の亜ホスフィン酸系、メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、メエルホスフィン、ジエチルホスフィン、トリエチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系等が挙げられ、これらの少なくとも1種、もしくは、いずれか1種または2種であることが好ましい。特に熱安定性および色調改善の観点から、リン酸系および/またはホスホン酸系であることが好ましく、中でも、リン酸系リン化合物が、リン酸および/またはリン酸エステル化合物、ホスホン酸系リン化合物が、ホスホン酸および/またはホスホン酸エステル化合物であることが好ましい
また、チタン化合物とリン化合物の混合量比は、チタン原子に対してリン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20であるとポリエステルの熱安定性や色調が良好となり好ましい。より好ましくはTi/P=0.2〜10であり、さらに好ましくはTi/P=0.3〜5である。
【0029】
本発明のポリエステル重合用触媒は、チタン化合物とリン化合物を溶存酸素濃度が4.0mg/L以下の溶媒中にて混合することが色調改善および熱安定性の観点から重要である。より好ましくは3.0mg/L以下、さらに好ましくは2.0mg/L以下である。酸素濃度は低いほど好ましいが、0.1mg/L以上であることが実用上の観点から好ましい。
【0030】
チタン化合物とリン化合物を混合する際の溶媒は、少なくとも90重量%がアルコール性有機化合物からなるものが好ましい。具体的なアルコール性有機化合物としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種、もしくは、これらのいずれか1種または2種であることが好ましい。その他の成分としてはアルコール性有機化合物と親和性のある溶媒ならば特に限定されないが、例えば、水、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0031】
また、上記溶媒中の溶存酸素濃度を低下させる方法は、触媒性能およびポリエステルの性質を悪化させない限り特に限定されないが、例えば、窒素気流を溶媒中に吹き込む、窒素雰囲気下にて激しく撹拌する、密封容器内にて減圧および窒素充填を繰り返す、減圧下にて冷却による溶媒の固化と液化を繰り返した後窒素雰囲気下にすることなどが挙げられる。
【0032】
本発明のポリエステル重合用触媒の合成方法は、(1)チタン化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液にリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。(2)前記ヒドロキシカルボン酸系化合物や多価カルボン酸系化合物等のチタン化合物の配位子を用いる場合は、チタン化合物または配位子化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液に配位子化合物またはチタン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。また、この混合溶液にさらにリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下することが、熱安定性および色調改善の観点から必要である。上記の反応条件は0〜200℃の温度で1分以上、好ましくは20〜100℃の温度で2〜100分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧でも良い。
【0033】
本触媒の添加時期については、エステル化およびエステル交換触媒能をももつことから、エステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて触媒を添加する方法がある。また、重縮合反応工程で添加する場合には、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前、あるいは該反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。さらに、色調改善および熱安定性の観点から、リン化合物を別途添加してもよい。この場合、チタン化合物を含む本発明のポリエステル重合用触媒とリン化合物が接触することによる触媒の失活を抑制するために、異なる反応槽に添加する方法や、同一の反応槽において本発明のポリエステル重合用触媒とリン化合物の添加間隔を1〜15分とする方法や添加位置を離す方法がある。
【0034】
本発明のポリエステルの製造方法においてはアンチモン化合物の添加量が金属原子換算で30ppm以下であることが好ましい。この範囲とすることで、成形加工時の問題が少なく、かつ比較的安価なポリマーを得ることができる。より好ましくは、10ppm以下、特には実質的に含有しないことが好ましい。
【0035】
本発明のポリエステルの製造方法において任意の時点でマンガン化合物をポリエステルに対するマンガン原子換算で1〜400ppm添加し、マンガン化合物とリン化合物の比率がマンガン原子とリン原子のモル比率としてMn/P=0.1〜200添加すると重合活性の低下を抑制することができ、それにより得られるポリマーの色調が良好となり好ましい。本発明のマンガン化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化マンガン、臭化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、マンガンアセチルアセトネート、酢酸マンガン四水塩、酢酸マンガン二水塩等が挙げられる。
【0036】
また、本発明のポリエステルの製造方法において任意の時点でさらにコバルト化合物を添加すると得られるポリマーの色調が良好となり好ましい。本発明のコバルト化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト四水塩等が挙げられる。
【0037】
また、得られるポリマーの色調やポリマーの熱安定性を向上させる目的で、従来既知のアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物等を添加してもよい。
【0038】
さらに、従来公知の酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カーボンブラック等の顔料のほか、従来公知の着色防止剤、安定剤、抗酸化剤等を添加しても差支えない。
【0039】
本発明のポリエステルの製造方法を説明する。具体例としてポリエチレンテレフタレートの例を記載するが特に限定されるものではない。
【0040】
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、本発明のチタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、通常既知の、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム等の化合物や本発明のチタン触媒を用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
【0041】
本発明の製造方法は、(1)または(2)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(1)または(2)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、艶消し剤として酸化チタン粒子や、コバルト化合物等の添加物を添加した後、重縮合触媒として本発明のチタン化合物を添加し重縮合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得るというものである。
【0042】
また、上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式で実施されるが、本発明の製造方法はそのいずれの形式にも適応し得る。
【0043】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエステル重合用触媒の溶存酸素濃度
酸素濃度計(飯島電子製DOメーターID−100)を用い、20℃で測定した。
(2)ポリエステル重合用触媒のチタン元素、リン元素、アンチモン元素およびマンガン元素の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)またはICP発光分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、SPS1700)により求めた。なお、必要に応じて、対象となるポリエステル中の酸化チタン粒子等の無機粒子の影響を除去するために次の前処理をした上で測定を行った。すなわち、ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解(溶媒100gに対してポリマー5g)し、該ポリマー溶液と同量のジクロロメタンを加えて溶液の粘性を調製した後、遠心分離器(回転数18000rpm、1時間)で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、上澄み液と同量のアセトン添加によりポリマーを再析出させ、そのあと3G3のガラスフィルター(IWAKI社製)で濾過、濾上物をさらにアセトン洗浄後、室温で12時間真空乾燥してアセトンを除去したものを粒子を除去したポリマーとする。
(3)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(4)ポリマーの色調
得られたポリマーを溶融状態から急冷し、チップ状に成形してから、石英ガラス製の容器に充填した状態でハンター型色差計(スガ試験機(株)製SMカラーコンピュータ型式SM−3)を用いて測定し、ハンターのL、b値を得た。
【0044】
ポリマー色調としてはb値が4以下であることが好ましく、より好ましくは3以下、特に好ましくは1.5以下である。
(5)溶液ヘイズ
測定する試料2.0gをオルソクロロフェノール20mLに溶解させ、ヘイズメーター(スガ試験機社製,HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法にて分析を行った。
【0045】
実施例1
A.触媒の調製
撹拌機、凝縮器および温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
【0046】
この生成物をエチレングリコール(39.0kg)に溶解し、リン酸の85重量%水溶液(179.0g、1.50モル)を添加した(Ti/P=0.67)。溶存酸素濃度が1.0mg/Lになるまで、100Lの密封性の高い容器内に窒素気流(5L/min)を吹き込むことで、窒素雰囲気下3時間、200rpmで撹拌した。溶媒組成はエチレングリコール98.2重量%、水1.8重量%。
B.ポリエチレンテレフタレートの製造方法
高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
【0047】
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、酸化チタン粒子のエチレングリコールスラリーを得られるポリマーに対して0.3重量%添加した。5分間撹拌した後、酢酸コバルトおよび酢酸マンガンのエチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してコバルト原子換算で30ppm、マンガン原子換算で15ppmとなるように加えた(Mn/P=0.85)。更に5分間撹拌した後、溶存酸素濃度1.0mg/Lの上記触媒溶液を、得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間であった。
【0048】
表1に示すように、得られたポリマーのIVは0.66、溶液ヘイズは1.1%、色調L値74、b値1.0と、色調は良好であった。
【0049】
【表1】
Figure 2004175838
【0050】
比較例1、2
添加前の触媒溶液の溶存酸素濃度が5.0あるいは8.0mg/Lであること以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行った。表2に示すように、ポリマーのb値が高く、溶液ヘイズは1.8あるいは2.1%と高かった。
【0051】
比較例3
触媒としてのチタン化合物を添加しないこと以外は実施例1と同様にして触媒調製および重合を行った。触媒がないため、全く重合が進行しなかった。
【0052】
比較例4
触媒調製時のリン化合物を添加しないこと以外は実施例1と同様にして触媒調製および重合を行った。リン化合物がないため、表2に示すように、ポリマーのb値が大変高かった。
【0053】
比較例5
チタン化合物とリン化合物の混合溶液の代わりに、触媒として三酸化アンチモン(住友金属鉱山社製)を、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で400ppm添加したこと以外は実施例1と同様に重合を行った。表2に示すように、色調は良好であったものの、ヘイズが高かった。
【0054】
【表2】
Figure 2004175838
【0055】
実施例2〜4
添加前の触媒溶液の溶存酸素濃度を変えたこと以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行った。表1に示すように、いずれも良好な色調のポリマーを与えた。
【0056】
実施例5〜8
触媒調製時に用いる溶媒およびその割合を変えたこと以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行った。表3に示すように、いずれも良好な色調のポリマーを与えた。
【0057】
【表3】
Figure 2004175838
【0058】
実施例9〜10
チタン化合物の添加量を変えたこと以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行った。表4に示すように、いずれも良好な色調のポリマーを与えた。
【0059】
【表4】
Figure 2004175838
【0060】
実施例11〜12
リン化合物の添加量を変えたこと以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行った。表5に示すように、いずれも良好な色調のポリマーを与えた。
【0061】
【表5】
Figure 2004175838
【0062】
実施例13〜14
Mnの添加量を変えたこと以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行った。表6に示すように、いずれも良好な色調のポリマーを与えた。
【0063】
【表6】
Figure 2004175838
【0064】
実施例15
触媒の調製以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行い、表7に示すように、良好な色調のポリマーを得た。
【0065】
なお、以下に触媒の調製方法を記す。
【0066】
撹拌機、凝縮器および温度計を備えた1Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この生成物をエチレングリコール(39.0kg)に溶解し、リン酸の85重量%水溶液(179.0g、1.50モル)を添加した(Ti/P=0.67)。続いて、溶存酸素濃度が1.0mg/Lになるまで、100Lの密封容器内に窒素気流(5L/min)を吹き込むことで、窒素雰囲気下3時間、200rpmで撹拌した。溶媒組成はエチレングリコール約99.3重量%、水約0.7重量%。
【0067】
実施例16
触媒の調製以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行い、表7に示すように、良好な色調のポリマーを得た。
【0068】
なお、以下に触媒の調製方法を記す。
【0069】
撹拌機、凝縮器および温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にマレイン酸(348g、3.00モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトラブトキシド(345g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりブタノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してブタノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
【0070】
この生成物をエチレングリコール(39.0kg)に溶解し、リン酸の85重量%水溶液(179.0g、1.50モル)を添加した(Ti/P=0.67)。続いて、溶存酸素濃度が1.0mg/Lになるまで、100Lの密封容器内に窒素気流(5L/min)を吹き込むことで、窒素雰囲気下3時間、200rpmで撹拌した。溶媒組成はエチレングリコール98.2重量%、水1.8重量%。
【0071】
実施例17
触媒の調製以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行い、表7に示すように、良好な色調のポリマーを得た。
【0072】
なお、以下に触媒の調製方法を記す。
【0073】
撹拌機、凝縮器および温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にイミノ二酢酸(333g、2.50モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
【0074】
この生成物をエチレングリコール(39.0kg)に溶解し、リン酸の85重量%水溶液(179.0g、1.50モル)を添加した(Ti/P=0.67)。続いて、溶存酸素濃度が1.0mg/Lになるまで、100Lの密封容器内に窒素気流(5L/min)を吹き込むことで、窒素雰囲気下3時間、200rpmで撹拌した。溶媒組成はエチレングリコール98.2重量%、水1.8重量%。
【0075】
実施例18〜20
アコーディス社製のチタンおよびケイ素からなる複合酸化物(商品名:C−94、以降Ti/Si複合酸化物と記す)の0.15重量%エチレングリコール溶液を、チタンとリン化合物の混合溶液の代わりに添加すること以外は実施例1と同様に重合を行った。表7に示すように、良好な色調およびヘイズの低いポリマーを得た。
【0076】
【表7】
Figure 2004175838
【0077】
実施例21〜25
触媒調製時に用いるリン化合物を変更したこと以外は実施例1と同様に、触媒調製および重合を行った。表8に示すように、いずれも良好な色調のポリマーを与えた。
【0078】
【表8】
Figure 2004175838
【0079】
【発明の効果】
本発明のポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法によれば、色調および熱安定性共に良好なポリエステルを得ることができる。

Claims (15)

  1. チタン化合物とリン化合物を、溶存酸素濃度が4.0mg/L以下の溶媒中にて混合することを特徴とするポリエステル重合用触媒。
  2. 請求項1記載の重合用触媒を用いたことを特徴とするポリエステルの製造方法。
  3. 溶媒の少なくとも90重量%がアルコール性有機化合物からなることを特徴とする請求項2記載のポリエステルの製造方法
  4. チタン化合物をポリエステルに対するチタン原子換算で0.5〜150ppm、リン化合物をポリエステルに対するリン原子換算で0.1〜400ppm、アンチモン化合物をポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下、チタン化合物とリン化合物のモル比率がチタン原子とリン原子のモル比率としてTi/P=0.1〜20となるように添加することを特徴とする請求項2または3記載のポリエステルの製造方法。
  5. マンガン化合物を、ポリエステルに対してマンガン原子換算で1〜400ppm、マンガン化合物とリン化合物の添加比率が、マンガン原子とリン原子のモル比率としてMn/P=0.1〜200となるように添加することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
  6. リン化合物が、リン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、およびホスフィン系から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法
  7. リン酸系リン化合物が、リン酸および/またはリン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項6記載のポリエステルの製造方法。
  8. ホスホン酸系リン化合物が、ホスホン酸および/またはホスホン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項6記載のポリエステルの製造方法。
  9. チタン化合物が、酸化物であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
  10. チタン化合物が、主たる金属元素がチタンおよびケイ素からなる複合酸化物であることを特徴とする請求項9記載のポリエステルの製造方法。
  11. チタン化合物の置換基が、アルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基、および水酸基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
  12. チタン化合物のアルコキシ基が、テトラアルコキシ基であることを特徴とする請求項11記載のポリエステルの製造方法。
  13. チタン化合物のアルコキシ基が、β−ジケトン系化合物、ヒドロキシカルボン酸系化合物、およびケトエステル系化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項11記載のポリエステルの製造方法。
  14. チタン化合物のアシレート基が、多価カルボン酸系化合物、および含窒素多価カルボン酸系化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項11記載のポリエステルの製造方法。
  15. チタン化合物のアルコキシ基またはアシレート基が、脂肪族であることを特徴とする請求項13または請求項14記載のポリエステルの製造方法。
JP2002340613A 2002-11-25 2002-11-25 ポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法 Pending JP2004175838A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002340613A JP2004175838A (ja) 2002-11-25 2002-11-25 ポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002340613A JP2004175838A (ja) 2002-11-25 2002-11-25 ポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004175838A true JP2004175838A (ja) 2004-06-24

Family

ID=32703182

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002340613A Pending JP2004175838A (ja) 2002-11-25 2002-11-25 ポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004175838A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005290291A (ja) * 2004-04-02 2005-10-20 Teijin Fibers Ltd ポリエステル製造用浮遊性チタン触媒及びこれを用いて製造したポリエステル
JP2006176627A (ja) * 2004-12-22 2006-07-06 Teijin Fibers Ltd ポリエステル重合用触媒、それを用いたポリエステル及びその製造方法
JP2006249330A (ja) * 2005-03-11 2006-09-21 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステルの製造方法
WO2008029842A1 (en) * 2006-09-06 2008-03-13 Toray Industries, Inc. Polyester resin composition, process for production thereof, and laminated polyester film
JP2008063417A (ja) * 2006-09-06 2008-03-21 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いたフィルム
JP2008201838A (ja) * 2007-02-16 2008-09-04 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JP2009001656A (ja) * 2007-06-21 2009-01-08 Toray Ind Inc ポリエステルの製造方法およびそれを用いたフィルム
JP2010521565A (ja) * 2007-03-20 2010-06-24 シャンハイ ヒューアミング ハイ−テック(グループ)カンパニー,リミテッド ポリエステル又はコポリエステルに用いられるチタン含有液状触媒の製造方法
CN103539926A (zh) * 2012-07-12 2014-01-29 中国石油化工股份有限公司 钛系聚酯的生产方法
JP2014227466A (ja) * 2013-05-22 2014-12-08 帝人株式会社 ポリエステル製造用触媒およびそのポリエステル製造用触媒の製造方法
JP2017160325A (ja) * 2016-03-09 2017-09-14 東レ株式会社 ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法
US10059799B2 (en) 2014-09-17 2018-08-28 Sulzer Chemtech Ag Method for stabilizing a condensed phase composition including a cyclic ester in a process of manufacturing a polyester or of lactide

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005290291A (ja) * 2004-04-02 2005-10-20 Teijin Fibers Ltd ポリエステル製造用浮遊性チタン触媒及びこれを用いて製造したポリエステル
JP4660109B2 (ja) * 2004-04-02 2011-03-30 帝人ファイバー株式会社 ポリエステル製造用浮遊性チタン触媒
JP2006176627A (ja) * 2004-12-22 2006-07-06 Teijin Fibers Ltd ポリエステル重合用触媒、それを用いたポリエステル及びその製造方法
JP2006249330A (ja) * 2005-03-11 2006-09-21 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステルの製造方法
JP2008063417A (ja) * 2006-09-06 2008-03-21 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いたフィルム
WO2008029842A1 (en) * 2006-09-06 2008-03-13 Toray Industries, Inc. Polyester resin composition, process for production thereof, and laminated polyester film
KR101310587B1 (ko) * 2006-09-06 2013-09-23 도레이 카부시키가이샤 폴리에스테르 수지 조성물, 그의 제조 방법 및 적층 폴리에스테르 필름
US9238710B2 (en) 2006-09-06 2016-01-19 Toray Industries, Inc. Polyester resin composition, production method thereof and laminate polyester film
JP2008201838A (ja) * 2007-02-16 2008-09-04 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JP2010521565A (ja) * 2007-03-20 2010-06-24 シャンハイ ヒューアミング ハイ−テック(グループ)カンパニー,リミテッド ポリエステル又はコポリエステルに用いられるチタン含有液状触媒の製造方法
JP2009001656A (ja) * 2007-06-21 2009-01-08 Toray Ind Inc ポリエステルの製造方法およびそれを用いたフィルム
CN103539926A (zh) * 2012-07-12 2014-01-29 中国石油化工股份有限公司 钛系聚酯的生产方法
JP2014227466A (ja) * 2013-05-22 2014-12-08 帝人株式会社 ポリエステル製造用触媒およびそのポリエステル製造用触媒の製造方法
US10059799B2 (en) 2014-09-17 2018-08-28 Sulzer Chemtech Ag Method for stabilizing a condensed phase composition including a cyclic ester in a process of manufacturing a polyester or of lactide
US10066054B2 (en) 2014-09-17 2018-09-04 Sulzer Chemtech Ag Continuous method for manufacturing a polyester from cyclic ester monomer
JP2017160325A (ja) * 2016-03-09 2017-09-14 東レ株式会社 ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4338975B2 (ja) 金属含有組成物およびそれを使用する方法
JP4329427B2 (ja) ポリエステル組成物及びそれからなる繊維
JP2005015630A5 (ja)
JP2004531594A5 (ja)
JP2010100806A (ja) ポリエステル重合触媒およびそれを用いるポリエステルの製造方法
JP2004175838A (ja) ポリエステル重合用触媒およびそれを用いたポリエステルの製造方法
JP4415239B2 (ja) ポリエステルおよびその製造方法
JP4269704B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP2004189962A (ja) ポリエステル重合用触媒及びそれを用いたポリエステルの製造方法
JP5702065B2 (ja) 有機ヒドロキシ酸を用いて製造された、非析出性のアルカリ/アルカリ土類金属及びアルミニウム組成物
JP2003171454A (ja) ポリエステルおよびその製造方法
JP2004300615A (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP2008513546A (ja) チタンとアルミニウムとを含む組成物、およびポリエステルの製造
JP2000063504A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2004256719A (ja) ポリエステル重合用触媒及びそれを用いたポリエステルの製造方法
JP2004339302A (ja) 繊維用ポリエステル組成物の製造方法
JP2001261806A (ja) 成形加工性に優れたポリエステル
JP2004292657A (ja) ポリエステル重合用触媒及びそれを用いたポリエステルの製造方法
JP2002356547A (ja) ポリエステル組成物及びその製造方法
JP2001019751A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2004210874A (ja) ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルム
JP2004238769A (ja) ポリエステル延伸糸
JP2005139247A (ja) ポリエステル重合用触媒及びそれを用いたポリエステルの製造方法
JP2004204396A (ja) ポリエステルモノフィラメントおよび工業用織物
JP2007002093A (ja) ポリエステル重合用触媒及びそれを用いたポリエステルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050909

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070801

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070807

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071218