JP2004210874A - ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルム Download PDF

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純 坂本
Yoshihiro Honma
良宏 本間
Masatoshi Aoyama
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Abstract

【課題】オリゴマーが少なく、電気絶縁用途に好適なポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】チタン元素を0.5〜50ppm(重量基準)含有し、リン元素を0.1〜100ppm(重量基準)含有し、アンチモン元素の含有量が30ppm(重量基準)以下であり、クロロホルム抽出率が1wt%未満であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【従来の技術】
ポリエステル樹脂はジカルボン酸成分とジオール成分の重縮合によって得られ、特に、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるポリエチレンテレフタレート樹脂は汎用性、実用性の点で優れており、ポリエステルフィルムなどに好適に使用されている。
【0002】
ポリエステルフィルムを電気絶縁用途に使用するには、優れた電気絶縁性と共に低分子量体(以下オリゴマーという)含有量が少ないことが求められている。
【0003】
例えばポリエチレンテレフタレートは通常、環状三量体を1〜1.3重量%含有し、さらにテレフタル酸やモノヒドロキシエチルテレフタル酸、ビスヒドロキシエチルテレフタレートなどの線状体オリゴマーも含んでいる。
【0004】
このようなオリゴマーは製膜時の口金汚れやフィルム欠点の原因となるが、特に冷凍機用の密閉型モーターの電気絶縁用途にこれらフィルムを使用すると、フィルムからモーターの冷媒によってオリゴマーが抽出され、これが冷凍機の各所に析出して不具合の原因となっている。
【0005】
またポリエチレンテレフタレート樹脂をテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから高分子量のポリマーとして製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物やゲルマニウム化合物が広く用いられているが、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
【0006】
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーはアンチモン金属を含む異物を含有しており、フィルム成形に際してはフィルターの目詰まりや筋状欠点の発生原因となり、異物による電気絶縁特性の低下などが問題となる。
【0007】
上記のような背景からオリゴマーや異物の原因となるアンチモン含有量が少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求められている。そこで、重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合、これまではゲルマニウム化合物が用いられることが多かったが、ゲルマニウム化合物は非常に高価であり汎用的に用いることは難しいものであった。
【0008】
そこで、かかる問題に対し、例えば特許文献1では触媒量を特定の範囲としたオリゴマー含有量の少ないポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートを含有したポリエステル樹脂組成物が、特許文献2ではチタン触媒にて重合したのち固相重合した共重合ポリエステルが、特許文献3ではチタンなどの触媒で重合し、固相重合したポリエステルにリン化合物を配合したポリエステルが、特許文献4ではチタンなどの触媒によって重合したポリエステルを小さな球体とし、熱処理したポリエステルが示されている。
【0009】
しかしながら、これら従来の技術では、一旦減少したオリゴマーがフィルム成形工程中に再生したり、触媒を失活させたことによりフィルム成形時の静電印加特性まで悪化するなど十分なものではなかった。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−40853号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平10−87806号公報
【0012】
【特許文献3】
特開平10−251393号公報
【0013】
【特許文献4】
特開2001−131267号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
固相重合によってオリゴマーを減少させても、その後の溶融成形工程にてオリゴマーが再生したり、またこれを抑制するためにポリエステル中に含有される金属触媒成分を失活させればフィルム成型時の静電印加特性が悪化するなど上記した従来技術には問題点があった。
【0015】
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、オリゴマーの含有量および溶融成型時の再生量が少なく、フィルム製膜時の静電印加特性にすぐれたポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは特定量のチタン化合物、リン化合物、アンチモン化合物からなるポリエステル組成物によって前記課題が解決できることを見いだし本発明に至った。すなわち本発明はチタン元素を0.5〜50ppm(重量基準)含有し、リン元素を0.1〜100ppm(重量基準)含有し、アンチモン元素の含有量が30ppm(重量基準)以下であり、クロロホルム抽出率が0.1wt%以上1wt%未満であるポリエステル樹脂組成物を特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、チタン元素を0.5〜50ppm(重量基準)含有し、リン元素を0.1〜100ppm(重量基準)含有し、アンチモン元素の含有量が30ppm(重量基準)以下であり、クロロホルム抽出率が0.1wt%以上1wt%未満であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物である。上記のチタン元素は、重合用触媒として主にチタン化合物を用いた際に残留するものである。
【0018】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであり、繊維、フィルム、ボトル等の成型品として用いることができるものであれば特に限定はない。このようなポリエステルとして例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキサンジメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等をあげることができ、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0019】
このようなポリエチレンテレフタレートとしてはジカルボン酸成分やグリコール成分に共重合成分を含有していてもよい。ジカルボン酸成分として例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体等をあげることができ、グリコール成分としては例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物等またはそのエステル形成性誘導体が挙げられ、さらにはパラヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体を挙げることができる。
【0020】
また本発明のポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などが添加されていてもよい。
【0021】
重合用触媒としてチタン化合物を用いる場合、チタン化合物の置換基がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるチタン化合物が好ましく、またチタン酸化物も好ましく用いられる。
【0022】
アルコキシ基の具体例としては、例えば、テトラエトキシド、テトラプロポキシド、テトライソプロポキシド、テトラブトキシド、テトラ−2−エチルヘキソキシド等のチタンテトラアルコキシド、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系官能基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系官能基、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系官能基が挙げられ、特に脂肪族アルコキシ基が好ましい。また、フェノキシ基としては、例えば、フェノキシ、クレシレイト等が挙げられる。また、アシレート基としては、例えば、ラクテート、ステアレート等のテトラアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系官能基、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸系官能基が挙げられ、特に脂肪族アシレート基が好ましい。また、アミノ基としては、例えば、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。また、これらの置換基を2種含んでなるジイソプロポキシビスアセチルアセトンやトリエタノールアミネートイソプロポキシド等も好ましい。
【0023】
本発明ではこれらチタン化合物のうちでも特にテトラアルコキシチタン化合物が異物形成の観点から好ましい。
【0024】
本発明におけるチタン酸化物としては、主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物や超微粒子酸化チタンが挙げられる。
【0025】
なお、本発明において触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)〜(3)の反応全てまたは一部の素反応の反応促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応
(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応
従って、繊維の艶消し剤等に無機粒子として一般的に用いられている酸化チタン粒子は上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、本発明において触媒として用いるチタン化合物とは異なる。
【0026】
主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物及び超微粒子酸化チタンの製造方法は、特に限定されないが、例えば、チタンのアルコキシド化合物を原料として、加水分解反応により製造する方法において、この加水分解の速度を制御することによって得られる。具体的には、例えば主原料であるチタンアルコキシド化合物に対して、ケイ素やジルコニウム等の少量の他の金属アルコキシド化合物や多価アルコール化合物を共存させ、両者の共沈法、部分加水分解法、配位化学ゾル・ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法とは2種あるいはそれ以上の成分を含有する所定の組成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行させる方法である。また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじめ加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分を加えさらに加水分解を進行させる方法である。また、配位化学ゾル・ゲル法とは、チタンアルコキシド原料とともに分子内に官能基を複数持つ多価アルコール化合物等を共存させ、両者の間であらかじめ反応物を形成させることによって、その後の加水分解反応の速度を制御しようとするものである。以上のような化合物の合成方法は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触媒調製」、アイピーシー(1993)等に記載されている。なお、触媒として用いる超微粒子酸化チタンは数平均分子量が100,000より小さいと触媒活性、異物抑制の点で好ましい。超微粒子酸化チタンの数平均分子量はより好ましくは500〜100,000、更に好ましくは1,000〜50,000、特に好ましくは1,500〜20,000である。
【0027】
本発明における触媒としてのチタン化合物は得られるポリマーに対してチタン原子重量換算で0.5〜50ppm添加すると、ポリエステル組成物中にチタン元素が0.5〜50ppm(重量基準)含まれることになり、重合活性が高く、得られるポリマーのオリゴマー再生速度が遅く、電気絶縁特性も良好となるため好ましい。より好ましくは1〜30ppm、更に好ましくは3〜20ppmである。チタン原子重量換算で0.5ppm未満であれば重合活性が不足しており、一方50ppmを超える場合にはチタン触媒起因の異物が発生して電気絶縁特性が悪化したり、低減させた低分子量物の再生速度が速くなる。
【0028】
ポリエステルの低分子量物は平衡反応によって生成し、ポリエステル中の触媒量が多ければ生成(再生)の速度は速くなる。なお、上記チタン化合物中のチタン元素は得られる樹脂組成物中にそのまま保存される。
【0029】
本発明のポリエステル組成物は、チタン元素と共にリン元素をポリエステル組成物に対してリン原子重量換算で0.1〜100ppm含有されている。なお、製膜時におけるポリエステルの熱安定性や色調の観点、および低分子量物の再生速度の観点からリン元素含有量は、1〜80ppmが好ましく、さらに好ましくは3〜50ppmである。リン原子重量換算で0.1ppm未満では触媒起因の異物が形成され易く、また低分子量物の再生速度が速くなり、また得られたポリエステルの色調や耐熱性が悪化する。一方、100ppmを超える場合にも触媒起因の異物が形成されやすく、また重合反応の時間がかかるようになりポリエステル樹脂の生産性が低下する。
【0030】
なお、本発明のポリエステル組成物に含有されるリン(リン酸やリン酸エステル系化合物、ホスホン酸やホスホン酸エステル化合物)は、ポリエステルの製造過程で添加したリン化合物の残渣である。このようなリン化合物としてはリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系およびホスフィン系からなる群から選ばれる少なくとも1種のリン系化合物であることが好ましく、特にリン酸やリン酸エステル化合物、ホスホン酸やホスホン酸エステル化合物が好ましい。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸系、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸系、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等のホスホン酸系化合物、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキルシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、メチルホスフィン酸メチルエステル、ジメチルホスフィン酸メチルエステル、メチルホスフィン酸エチルエステル、ジメチルホスフィン酸エチルエステル、エチルホスフィン酸メチルエステル、ジエチルホスフィン酸メチルエステル、エチルホスフィン酸エチルエステル、ジエチルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸メチルエステル、フェニルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸フェニルエステル、ジフェニルホスフィン酸メチルエステル、ジフェニルホスフィン酸エチルエステル、ジフェニルホスフィン酸フェニルエステル、ベンジルホスフィン酸メチルエステル、ベンジルホスフィン酸エチルエステル、ベンジルホスフィン酸フェニルエステル、ビスベンジルホスフィン酸メチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸エチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸フェニルエステル等のホスフィン酸系、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリプロピルホスフィンオキサイド、トリイソプロピルホスフィンオキサイド、トリブチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、プロピル亜ホスホン酸、イソプロピル亜ホスホン酸、ブチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等の亜ホスホン酸系、メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、プロピル亜ホスフィン酸、イソプロピル亜ホスフィン酸、ブチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸、ジメチル亜ホスフィン酸、ジエチル亜ホスフィン酸、ジプロピル亜ホスフィン酸、ジイソプロピル亜ホスフィン酸、ジブチル亜ホスフィン酸、ジフェニル亜ホスフィン酸等の亜ホスフィン酸系、メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、メエルホスフィン、ジエチルホスフィン、トリエチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系が挙げられ、これらのいずれか1種または2種であることが好ましい。特に熱安定性、異物形成抑制、色調改善の観点から、リン酸系及び/またはホスホン酸系のリン系化合物であることが好ましい。
【0031】
本発明のポリエステル組成物においてはアンチモン元素の含有量が金属原子重量換算で30ppm以下である。この範囲とすることで、成形加工時の口金汚れやフィルターの詰まり、異物の発生、電気絶縁特性の悪化、等が少なく、かつ低分子量物の再生速度が比較的遅いポリマーを得ることができる。より好ましくは、10ppm以下、特には実質的に含有しないことが好ましい。
【0032】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、クロロホルム抽出率が0.1wt%以上1wt%未満である。クロロホルム抽出率とは、ポリエステル1重量部に対して40重量部のクロロホルムを加え、クロロホルムの沸点にて加熱還流を12時間おこない、ポリエステルを濾過した後に重量を測定し、抽出操作前の重量C、抽出操作後の重量Dから、((C−D)/C)×100%として得られる数値である。
【0033】
クロロホルム抽出率は0.1wt%以上0.8%未満であることが好ましく、さらには0.1wt%以上0.6%未満である。
【0034】
0.1wt%未満とするにはポリエステル樹脂から溶媒によって抽出するなど、重合操作以外の工程が必要となるため実用的ではなく、1wt%以上であれば特に電気絶縁用途フィルムとして不適である。
【0035】
クロロホルムによって抽出される成分は、例えばポリエチレンテレフタレートの場合、環状三量体、テレフタル酸、モノエチルヒドロキシテレフタル酸、ビスヒドロキシエチルテレフタレートなどのオリゴマーである。
【0036】
クロロホルム抽出率を1wt%未満とする方法は、上記したチタン化合物とリン化合物を用いて本発明の範囲となるチタン、リン量となるように添加して溶融重合する方法や、一旦溶融重合したのち固相重合して重合度を高め、オリゴマーを減少させる方法がある。
【0037】
固相重合の条件としては、200Pa以下の減圧下または窒素などの不活性ガス流雰囲気下において、150℃〜240℃の温度範囲において2時間〜100時間かけて固相重合することが好ましい。
【0038】
また、ポリエステル組成物の固有粘度は、低分子量物低減や電気絶縁特性の観点から0.7以上2以下が好ましく、さらには0.8以上1.8以下である。
【0039】
固有粘度が0.7未満ではポリエステル樹脂組成物の溶融成形の際にオリゴマーが再生しやすく、2を超える場合には溶融粘度が非常に高まるために溶融成形が困難になったり、オリゴマー量が固有粘度の割に低減しなくなる。
【0040】
このようにして得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融前の試料のクロロホルム抽出率(wt%)Aと300℃にて30分保持して溶融させた後の試料のクロロホルム抽出率(wt%)Bが0.5≧B−Aの関係を満たすことが好ましく、さらには0.3≧B−Aである。
【0041】
ポリエステル組成物をチタン触媒によって重合しただけではB−A値は0.5以下とすることは困難である。すなわちリン元素量を0.1〜100ppmの範囲とすることが必要である。ポリエステル樹脂を300℃に溶融した場合、オリゴマーが再生し、これによってクロロホルム抽出率が増大する。この再生速度は温度が高いほど、また触媒の活性が高いほど速い。リン元素量を本願の範囲とすることで触媒の活性を適性な範囲にコントロールすることができ、B−A値を0.5以下にすることができる。リン元素量が多いほどチタン触媒の活性は低下するのでリン元素を分割してポリエステル樹脂に添加することが好ましい。
【0042】
分割添加は、例えばポリエステル重合時にリン化合物を添加し、固相重合を経て溶融押出成形の際にさらに同種または異種のリン化合物を添加するなどの方法である。また、線状オリゴマーはポリエステルの加水分解によっても生成するため、ポリエステル樹脂のカルボキシル基末端を減少させることも有効である。具体的にはカルボジイミド化合物をポリエステル樹脂に溶融混練することでカルボキシル基末端を封鎖する方法である。カルボジイミド化合物の添加はポリエステル重合終了後が好ましく、溶融成型時にポリエステル樹脂に添加することが最も好ましい。
【0043】
重合する際には、アルカリ土類金属元素を含有せしめることが重合活性、ポリエステルフィルム製造時の静電印加性の点から好ましく、アルカリ土類金属元素の含有量が5〜100ppm(重量基準)であることが好ましい。中でも、特にカルシウム、マグネシウム元素を5〜100ppm(重量基準)ポリエステル樹脂組成物に含有させることが好ましい。
【0044】
また、リン元素に対するチタン元素のモル比(Ti/P)が0.1〜20であるとポリエステルの熱安定性や色調が良好となり好ましい。より好ましくはTi/Pは0.2〜10であり、さらに好ましくは0.3〜5である。
【0045】
本発明の触媒としてのチタン化合物及びリン化合物は、ポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、重合用触媒の粒子化を抑制するには、予め該化合物をエチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じて該化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。添加時期はエステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて触媒を添加する方法がある。しかしながらチタン化合物は重合触媒として使用することが好ましく、重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前、あるいは該反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。この場合、チタン化合物とリン化合物が接触することによる触媒の失活を抑制するために、異なる反応槽に添加する方法や、同一の反応槽においてチタン化合物とリン化合物の添加間隔を1〜15分とする方法や添加位置を離す方法がある。
【0046】
また、本発明のチタン化合物を予めリン化合物と反応させた触媒とする場合には、(1)チタン化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液にリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する、(2)前記ヒドロキシカルボン酸系化合物や多価カルボン酸系化合物等のチタン化合物の配位子を用いる場合は、チタン化合物または配位子化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液に配位子化合物またはチタン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。また、この混合溶液にさらにリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下すると、熱安定性及び色調改善の観点から好ましい。上記の反応条件は0〜200℃の温度で1分以上、好ましくは20〜100℃の温度で2〜100分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧でも良い。また、上記溶媒としては、チタン化合物、リン化合物及びカルボニル基含有化合物の一部または全部を溶解し得るものから選択することができるが、好ましくは、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ベンゼン、キシレンから選ばれる。
【0047】
本発明において、任意の時点でマンガン化合物をポリエステル樹脂組成物に対するマンガン原子重量換算で1〜400ppm含有せしめ、リン元素に対するマンガン元素のモル比率(Mn/P)が0.1〜200となるように制御すると、重合活性の低下を抑制することができ、それにより得られるポリマーの色調が良好となり好ましい。本発明のマンガン化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化マンガン、臭化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、マンガンアセチルアセトネート、酢酸マンガン四水塩、酢酸マンガン二水塩等が挙げられる。
【0048】
また、得られるポリマーの色調やポリマーの耐熱性を向上させる目的で、種々のアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物等を添加してもよい。
【0049】
本発明のポリエステルフィルムは、次に、本発明のポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムの製造方法を説明する。具体例としてポリエチレンテレフタレートの例を記載するが特に限定されるものではない。
【0050】
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、本発明のチタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム等の元素を含む化合物や本発明のチタン触媒を用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加してもよい。
【0051】
本発明においては、(1)または(2)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(1)または(2)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、必要に応じて艶消し剤として酸化チタン粒子や、コバルト化合物等の添加物を添加した後、重縮合触媒として上記したチタン化合物を添加し重縮合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得ることができる。
【0052】
また、上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式で実施されるが、本発明の製造方法はそのいずれの形式にも適応し得る。
【0053】
一旦チップ化されたポリエチレンテレフタレートは減圧状態で室温からゆっくり200℃程度まで加熱し、この状態で15時間かけて固相重合する。
【0054】
次にポリエステルフィルムの製造では、上記によって得たポリエステル樹脂組成物を用意し、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは減圧下で行い、押出機に供給する。
【0055】
押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂がろ過される。さらに、樹脂は、ダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。
【0056】
固相重合によって低減した低分子量物を再生させないためには、押出機にタンデム型押出機を用い、1段目のシリンダーでポリエステルを完全に溶融し、2段目のシリンダーではポリマー温度をポリマーが固化したり結晶化しない程度の温度まで低温化することが好ましい。
【0057】
積層フィルムとする場合には、例えば、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出されたポリエステル樹脂をフィールドブロックやスタティックミキサー、マルチマニホールドダイ等を用いて積層する方法等を使用することができる。ここでスタティックミキサーとしては、パイプミキサー、スクエアーミキサー等が挙げられるが、本発明ではスクエアーミキサーを用いることが好ましい。
【0058】
積層に際しては本発明のポリエステル樹脂組成物からなる層が少なくとも片表面を構成することが好ましい。
【0059】
このようにしてダイから吐出された積層構造を有するシートもしくは単膜シートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させるのが好ましい。
【0060】
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸しても構わない。二軸延伸とは、縦方向および横方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに縦および/または横方向に再延伸を行ってもよい。
【0061】
ここで、縦方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸をいい、例えば、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては、2〜15倍が好ましく、より好ましくは2.5〜7倍がとくに好ましく用いられる。
【0062】
また、こうして得られたフィルムの表面に、グラビアコーターやメタリングバー等のコーティング技術を用いて、コーティングを施すことにより、易接着層や易滑層を付与しても構わない。
【0063】
また、横方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、例えば、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、2〜10倍が好ましい。
【0064】
また、同時二軸延伸の場合には、テンター内にてフィルムの両端をクリップで把持しながら搬送しつつ、縦方向および横方向に同時に延伸するものであり、この方法を用いてもよい。
【0065】
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましく、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。本発明のフィルムにおいては、熱処理温度としては120℃〜240℃であることが、平面性、寸法安定性等の点からは好ましい。
【0066】
本発明のフィルムはオリゴマー含有量が少なく、電気絶縁用途、特に密閉型モーター用電気絶縁フィルムに好適である。また磁気記録材料として用いても表面に欠点となるオリゴマー粒が生成しないので好ましく用いることができる。
【0067】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
【0068】
(1)ポリエステル樹脂組成物中のチタン元素、アルカリ土類金属元素、リン元素、アンチモン元素の含有量
理学電機社製蛍光X線装置(型番3270)を用い、ポリマ8gを溶融し板状に成型し、蛍光X線の強度を測定した。この値を含有量既知のサンプルで予め作成した検量線を用い、金属含有量に換算した。
【0069】
(2)ポリエステル樹脂の固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として、25℃で測定した。
【0070】
(3)クロロホルム抽出率
ポリエステル樹脂組成物を400メッシュの金網で篩い分け、金網上に残ったポリエステル樹脂組成物をサンプルとする。
【0071】
ポリエステル1重量部に対して40重量部のクロロホルムを加え、クロロホルムの沸点(61.2℃)にて加熱還流を12時間おこなう。
【0072】
加熱還流が終了したらクロロホルム、ポリエステル樹脂組成物を常温まで自然に放冷し、ADVANTEC製定量濾紙NO.6を用いてポリエステル樹脂組成物とクロロホルムを分離し、濾紙上のポリエステル樹脂組成物に対してさらに10重量部のクロロホルムで洗浄する。濾過および洗浄したポリエステル樹脂は常温にて自然乾燥させた後に重量を測定し、抽出操作前の重量C、抽出操作後の重量Dから、((C−D)/C)×100%として計算した。
【0073】
(4)溶融時のクロロホルム抽出率変化の測定
ポリエステルチップを180℃で3時間以上減圧乾燥しサンプルとする。
【0074】
溶融処理は試験管に入れたチップを窒素ガス気流下にて300℃のオイルバスで溶融し、30分保持する。溶融前のクロロホルム抽出率(wt%)Aと300℃にて30分保持した後のクロロホルム抽出率(wt%)Bを測定し、B−A(%)を計算した。
【0075】
(5)フィルム表面のオリゴマー個数
フィルムを熱風乾燥機中で80℃の熱風で24時間熱処理した。熱処理したフィルムの片面をブロアーにて空気を吹き付けて付着ゴミを除去し、アルミニウムを蒸着し、微分干渉顕微鏡にて200倍に拡大してフィルム表面に析出したオリゴマー粒の個数をカウントした。10視野観察した平均値をフィルム表面1mm2当たりの個数へ換算し、1桁目を四捨五入した。ポリマー中に含まれる粒子や異物が作るフィルム表面突起も観察できるが、これらはフィルム表面と連続した突起として観察され、一方オリゴマーはフィルム表面とはつながっていない不連続な粒のように観察されるので見分けることができる。
【0076】
参考例1(シリカ粒子の製造)
4塩化珪素1当量に対し、酸素1当量および水素1当量を気化器において気化させ、酸水素炎中において1,000℃で加水分解を行い、シリカ粒子を得た。得られた粒子はエチレングリコールと混合したのち分散処理を施した。
【0077】
参考例2(クエン酸キレートチタン化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)を仕込み、これにクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、その後イソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして減圧下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。これをエチレングリコールで希釈し、チタン化合物1重量%のエチレングリコール溶液を得た。これを触媒Aとした。
【0078】
参考例3(乳酸キレートチタン化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた1Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節した。その反応混合物を15分間撹拌し、その反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加え、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。これをエチレングリコールで希釈し、チタン化合物1重量%のエチレングリコール溶液を得た。これを触媒Bとした。
【0079】
参考例4(チタンアルコキシド化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節した。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。これをエチレングリコールで希釈し、チタン化合物1重量%のエチレングリコール溶液を得た。これを触媒Cとした。
【0080】
実施例1
(ポリエチレンテレフタレートの製造)
高純度テレフタル酸100重量部とエチレングリコール43重量部のスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約120重量部が仕込まれ、温度が250℃に保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけて水を留出させながらエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の120重量部を重縮合槽に移送した。
【0081】
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、ジエチルホスホノ酢酸エチルを0.015重量部添加し、さらに酢酸マグネシウム4水塩を0.035重量部、さらに参考例4の触媒Cをチタン元素として5ppmとなるように添加した。ついで、参考例1にて調製したシリカのエチレングリコールスラリーをポリマー中の粒子濃度が0.2%となるように添加した。
【0082】
その後、低重合体を攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を100Paまで下げた。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。
【0083】
得られたポリマーペレットは固相重合装置へ投入し、装置内を100Paまで減圧し、室温から200℃まで8時間かけて昇温し、200℃に到達したらそのまま15時間保持し固相重合を実施した。
【0084】
得られたポリマーの固有粘度は0.82であり、クロロホルム抽出率は0.4wt%、300℃で30分保持した後のクロロホルム抽出率は0.7%であった。ポリマー特性を表1に示す。
【0085】
(ポリエステルフィルムの製膜)
前記のポリエチレンテレフタレート樹脂を減圧乾燥機にて乾燥し、タンデム型押出機に供給した。
【0086】
ポリエチレンテレフタレート樹脂は1段目のシリンダーにて290℃で溶融状態とし、2段目のシリンダーにてポリマー温度を278℃とした。さらにギヤポンプおよびフィルタを介した後、Tダイに供給しシート状に成形した後、ワイヤー状電極にて静電印加しながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
【0087】
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.2倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で190℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、180μmであった。
【0088】
得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0089】
実施例2〜4
添加するチタン触媒量や種類、アルカリ土類金属化合物、リン元素添加量および固相重合時間を変更する以外は実施例1と同様にポリエステル樹脂およびフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0090】
実施例5
重合触媒として三酸化アンチモンを追加してチタン触媒と同時に添加する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂およびフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0091】
実施例6
押出前の乾燥処理が終了した実施例1のポリエステル組成物100重量部に対してリン化合物として旭電化工業(株)製“アデカスタブAX−71”を0.11重量部添加し、後は実施例1と同様の条件によってフィルムを製膜した。リン化合物を後添加したことでオリゴマー再生量はさらに低減した。結果を表1に示す。
【0092】
実施例7
実施例6の“アデカスタブAX−71”の代わりにカルボジイミド化合物として日清紡績(株)製“カルボジライト HMV−8CA”を1重量部用いる以外は実施例6と同様にしてフィルムを製膜した。結果を表1に示す。
【0093】
比較例1
三酸化アンチモンを重合触媒とし、リン化合物添加量を0.01重量部とする以外は実施例1と同様にポリマーを重合してフィルムを製膜した。
【0094】
300℃で30分保持した後のオリゴマー再生量がおおく、得られたフィルム上のオリゴマー粒も非常に多いものであった。
【0095】
比較例2
チタン元素量を0.4ppm、リン含有量を10ppmとなるように添加する以外は実施例1と同様にして重合したが、フィルムが形成できる重合度を有した樹脂を得ることができなかった。
【0096】
【表1】
Figure 2004210874
【0097】
【発明の効果】
オリゴマー含有量および溶融時のオリゴマー再生量が少ないポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムを得ることができ、電気絶縁用フィルムとして好適に使用することができる。

Claims (11)

  1. チタン元素を0.5〜50ppm(重量基準)含有し、リン元素を0.1〜100ppm(重量基準)含有し、アンチモン元素の含有量が30ppm(重量基準)以下であり、クロロホルム抽出率が0.1wt%以上1wt%未満であるポリエステル樹脂組成物。
  2. 固有粘度が0.7〜2dl/gである、請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 式(1)を満足する、請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
    0.5≧B−A ・・・ (1)
    ただし、
    A:溶融前の試料のクロロホルム抽出率(wt%)
    B:300℃にて30分保持して溶融させた後の試料のクロロホルム抽出率(wt%)
  4. チタン化合物を重合触媒として用いた、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. アルカリ土類金属元素を5〜100ppm(重量基準)含有している、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. リン酸、リン酸エステル化合物、ホスホン酸およびホスホン酸エステル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のリン化合物を含んでいる、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. アルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有しているチタン化合物を含有している、請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  8. チタン化合物がアルコキシ基を含み、このアルコキシ基がβ−ジケトン系官能基、ヒドロキシ多価カルボン酸系官能基およびケトエステル系官能基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である、請求項7に記載のポリエステル樹脂組成物。
  9. チタン化合物がアシレート基を含み、このアシレート基が多価カルボン酸系官能基または含窒素多価カルボン酸系官能基である、請求項7に記載のポリエステル樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を含み、80℃で24時間熱処理した後にフィルム表面に析出するオリゴマー粒個数が1,000個/mm2未満であるポリエステルフィルム。
  11. 請求項10に記載のポリエステルフィルムを用いてなる電気絶縁用ポリエステルフィルム。
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