JP2005097580A - ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
異物が少なく、色調良好なポリエステル樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】
芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とからポリエステル樹脂組成物を製造する方法であって、(A)チタン化合物を重合触媒として用い固有粘度が0.6未満の重合体を得る工程、および(B)前記の工程で得た固有粘度が0.6未満の重合体に鎖連結剤を加えて固有粘度を0.6以上とする工程を含んでいるポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【選択図】 なし
異物が少なく、色調良好なポリエステル樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】
芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とからポリエステル樹脂組成物を製造する方法であって、(A)チタン化合物を重合触媒として用い固有粘度が0.6未満の重合体を得る工程、および(B)前記の工程で得た固有粘度が0.6未満の重合体に鎖連結剤を加えて固有粘度を0.6以上とする工程を含んでいるポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明はチタン化合物を触媒として用いたポリエスエル樹脂組成物およびその製造方法に関し、特に異物が少なく、色調が良好なポリエステル樹脂組成物およびその製造方法に関する。
ポリエステル樹脂はジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合によって得られ、特に、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるポリエチレンテレフタレート樹脂は汎用性、実用性の点で優れており、ポリエステルフィルムなどに好適に使用されている。
ポリエチレンテレフタレート樹脂をテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから高分子量のポリマーとして製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物やゲルマニウム化合物、チタン化合物が広く用いられている。しかしながら、これらの重合触媒を用いたポリエステル樹脂にはいくつかの好ましくない特性がある。
例えばアンチモン触媒を使用して得られたポリマーはアンチモン金属を含む異物を有しており、また触媒は重合活性と同時に分解活性も有しているため、得られたポリマーには黄味など着色がある。ゲルマニウム化合物を触媒として用いた場合には色調良好なポリマーが得られやすいが、ゲルマニウム化合物は非常に高価であり汎用的に用いることは難しいものであった。
異物を形成しにくい触媒としてはチタン化合物をあげることもできるが、チタン化合物を触媒として用いたポリマーには強い黄味があり、無色透明とはほど遠い。
そこで、かかる問題に対し、例えば特許文献1ではチタン化合物とリン化合物の反応析出物からなるコアシェル構造の合成触媒を用いたポリエステル樹脂組成物が、特許文献2では有機チタネート−配位子触媒系の残渣を含有したポリアルキレンアリレートが、特許文献3では多価カルボン酸とチタン化合物とリン化合物からなる触媒を用いたポリエステルの製造方法が、特許文献4ではチタン化合物、リン化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物を特定の比率含有したポリエステル樹脂が、特許文献5ではリン酸とチタンアルコキサイドを予め反応させた生成物を用いたポリエステルの製造方法が、特許文献6ではリン、チタン、コバルト、その他2価金属が特定量存在下で重合するポリエステルの製造方法が示されている。
しかしながら、これら従来の技術では、黄味の抑制効果が不十分であり、コバルトなど青みを有する添加物を用いた場合には、L値が低下してしまうなど満足できるものではなかった。
特開2003−12787号公報
特表2002−512281号公報
特開2002−293909号公報
特開2002−179781号公報
特開2000−239369号公報
特開2000−256452号公報
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、色調良好なポリエステル樹脂組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリエステル樹脂の着色は高温で長時間さらされる重合過程に原因があることを突き止め、高温にさらされる時間を短縮させるか、重合温度を低温化することで前記課題が解決できることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、ポリエステル樹脂に可溶なチタン化合物を含有し、チタン元素含有量が0.5〜150ppm(重量基準)であり、b値が12未満であるポリエステル樹脂組成物であることを特徴としている。また、本発明は、芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とからポリエステル樹脂組成物を製造する方法であって、(A)チタン化合物を重合触媒として用い固有粘度が0.6未満の重合体を得る工程、および(B)前記の工程で得た固有粘度が0.6未満の重合体に鎖連結剤を加えて固有粘度を0.6以上とする工程を含んでいるポリエステル樹脂組成物の製造方法を特徴としている。さらにまた、本発明は、芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とからポリエステル樹脂組成物を製造する方法であって、(A)チタン化合物を重合触媒として用い固有粘度が0.6未満の重合体を得る工程、および(C)前記の工程で得た固有粘度が0.6未満の重合体を、その重合体の融点(℃)−100℃から融点(℃)までの温度領域で固相重合することにより固有粘度を0.6以上とする工程を含んでいるポリエステル樹脂組成物の製造方法を特徴としている。
本発明によれば、以下に説明するとおり、チタン化合物を触媒として用いながら色調の良好な異物の少ないポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
本発明で得られるポリエステル樹脂組成物は、芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とから合成されるポリマーを含み、繊維、フィルム、ボトル等の成型品として用いることができるものであれば特に限定はない。このようなポリエステル樹脂として例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキサンジメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等を挙げることができ、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
このようなポリエチレンテレフタレートとしてはジカルボン酸成分やグリコール成分に共重合成分を含有していてもよい。ジカルボン酸成分として例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体等を挙げることができ、グリコール成分としては例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物等またはそのエステル形成性誘導体が挙げられ、さらにはパラヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体を挙げることができる。
また本発明で得られるポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などが添加されていてもよい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂に可溶なチタン化合物を含有しており、チタン元素含有量は重量基準で0.5〜150ppmであることが重要である。チタン元素含有量が0.5ppm未満の場合、重合触媒としてのチタン元素量が少なく、重合に長時間を要するために、色調が悪化する傾向にある。一方、チタン元素含有量が150ppmを超える場合、耐熱性悪化により色調が悪くなりやすい。また、本発明のポリエステル樹脂組成物のb値は12未満であることが重要である。b値が12を超える場合、ポリエステル樹脂組成物が黄味を帯びフィルム用として適さないことがある。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は、その製造過程においてポリエステル樹脂組成物に付与される熱履歴を緩和することで色調の悪化を抑制する効果がある。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂は、通常、溶融重合法によって製造される。溶融重合法とは、ポリエステル樹脂の原料を熱によって溶融させ、溶融状態で反応を進めて重合し、最終的に溶融状態のポリエステル樹脂を得る方法である。このような溶融重合方法では、ポリエステル樹脂に付与される熱履歴が高温かつ長時間であるため、ポリエステル樹脂の重合反応が進む一方で熱による劣化も進んでいる。特にポリエステル樹脂の重合触媒としてチタン化合物を用いた場合には、ポリエステル樹脂の着色(黄味)が著しい。
上記した熱履歴を緩和させる手段は二つあり、一つは溶融状態にある時間を短くすることであり、もう一つは重合温度を低下させることである。
溶融重合の時間を短くするには重合速度を高める必要がある。通常、重合触媒の使用量を増量すれば重合時間が短くなるが、このために重合触媒であるチタン化合物使用量を増量すれば、たとえ重合時間が短縮されてもポリエステル樹脂の黄味は非常に強くなる。また、重合温度を単に低温化した場合、重合速度が大幅に遅延することから結果的に溶融時間が長くなり、これまた黄味が非常に強くなる。ポリエステル樹脂の黄味は、溶融重合後期に強くなることを本発明者らは見出しており、この溶融重合後期を省略することが必要であるが、溶融重合後期を省略したポリエステル樹脂は色調が良好な反面、重合度が小さいために溶融粘度が低く、成形加工が困難となっており、得られた成形体の機械特性も劣ったものである。
そこで本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法では、固有粘度が0.6未満の重合体に鎖連結剤を加えて溶融混練したりする方法や、固相重合する方法によって重合度や溶融粘度を高め、色調とポリエステル樹脂組成物の特性を両立させている。すなわち、鎖連結剤を加える工程や固相重合工程によって溶融重合後期工程を代替するのである。
本発明の第一の製造方法は、芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体を原料とし、(A)チタン化合物を重合触媒として用いて固有粘度が0.6未満の重合体を得る工程と、(B)前述の固有粘度が0.6未満の重合体に鎖連結剤を加えることで固有粘度を0.6以上とする工程の2つの工程を少なくとも含む製造方法である。固有粘度が0.6未満の重合体は溶融重合前期の重合体であり、重合度は低いものの色調は良好である。固有粘度は0.6未満であることが必要であるが、好ましくは0.5未満、さらに好ましくは0.4未満である。本発明において、固有粘度はオルトクロロフェノールを溶媒とし、25℃で測定したものである。
固有粘度が0.6未満の重合体を得る工程(A)は、例えば溶融重合法によって反応を進め、重合体の溶融粘度が所定値に達する以前に反応を終了すればよい。例えばバッチ式重合法の場合、重合体の溶融粘度は、重合装置の撹拌棒にかかるトルクを電気的に検出することによって知ることができ、具体的には撹拌モーターの消費電力を検出すればよい。一方、連続式重合法の場合には重合時間によって調節してもよい。
工程(A)において、ジカルボン酸とジオールを原料とする場合にはエステル化反応によって低重合体を得ることができ、これに続いて重縮合反応を進めることで固有粘度が0.6未満の重合体を得ることができる。エステル化反応はジカルボン酸とジオールのみから反応を進めてもよいが、溶融した低重合体にジカルボン酸とジオールの混合スラリーを徐々に添加して進める方が反応し易いので好ましい。またエステル化は特に触媒を必要としないので、この段階では無触媒でもかまわない。チタン化合物触媒は任意の時期に添加すればよく、重縮合反応前に添加することが好ましい。
工程(A)において、ジカルボン酸エステルとジオールを原料とする場合には、エステル交換反応によって低重合体を得ることができ、これに続いて重縮合反応を進めることで固有粘度が0.6未満の重合体を得ることができる。エステル交換反応には通常触媒が必要であり、例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、亜鉛化合物を用いればよい。特にこれらのカルボン酸塩が好適であり、チタン化合物をエステル交換触媒を兼ねて使用してもよい。
工程(B)では工程(A)で得られた重合体に鎖連結剤を加える。溶融混練をしても構わない。
工程(A)と(B)は連続的に継続しても良いし、一旦工程(A)で得られた重合体をチップ化したのち鎖連結剤を加え、溶融混練してもよい。
連続的に各工程を継続する場合、工程(A)にて所定の重合度(固有粘度)に達したことを撹拌トルクなどで判定したのち反応装置内に所定量の鎖連結剤を添加し、そのまま溶融撹拌して所定の溶融粘度に達した後に重合装置から吐出すればよい。
一旦工程(A)で得られた重合体をチップ化したのち鎖連結剤を加えたり溶融混練したりする場合、ベント式2軸押出機を使用することが好ましい。ベント式2軸押出機ではチップの乾燥が不要であり、混練能力も高いために鎖連結剤と重合体が反応しやすく好適である。
鎖連結剤の添加は常温で行っても構わないし、もちろんポリエステル樹脂組成物の融点以上の温度で行っても構わない。また、溶融混練はポリエステル樹脂組成物の融点以上で実施すればよいが、あまり高温であればポリエステル樹脂組成物の黄味が強くなる。好ましい範囲はポリエステル樹脂組成物の融点〜融点+50℃の範囲である。
本発明における鎖連結剤に特に限定はないが、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物およびカプロラクタム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4フェニレンビスオキサゾリン、1,3フェニレンビスオキサゾリン、ポリエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエーテル、カルボニルビスカプロラクタム等を挙げることができる。これらの中でもポリエチレングリコール・ジグリシジルエーテルや1,4フェニレンビスオキサゾリン、1,3フェニレンビスオキサゾリン、カルボニルビスカプロラクタムが好ましい。
これら鎖連結剤は、ポリエステル樹脂組成物に対して0.1〜5重量%添加すればよく、好ましくは0.2〜2重量%の範囲である。
鎖連結剤と固有粘度が0.6未満の重合体とを効率的に反応させるため、ポリエステル樹脂組成物の特性を損なわない範囲で鎖連結用触媒を用いてもかまわない。鎖連結用触媒は例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物が好ましく、特に酢酸塩やステアリン酸塩等のカルボン酸塩が好ましい。具体的には酢酸リチウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。これら鎖連結用触媒の使用量は、ポリエステル樹脂組成物に対して0.01〜0.5重量%の範囲が好ましい。鎖連結用触媒は、鎖連結剤と同時にポリエステル樹脂組成物へ添加、溶融混練すればよい。
本発明の第二の製造方法は、芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とを原料とし、(A)チタン化合物を重合触媒として用いて固有粘度が0.6未満の重合体を得る工程と、(C)前述の固有粘度が0.6未満の重合体を、その重合体の融点(℃)−100℃から融点(℃)までの温度領域で固相重合することで固有粘度を0.6以上とする工程の2つの工程を少なくとも含むポリエステル樹脂組成物の製造方法である。工程(A)に関しては上記した第一の製造方法と同様であり、固有粘度が0.6未満の重合体は溶融重合前期の重合体であり、重合度は低いものの色調は良好である。固有粘度は0.6未満であることが必要であるが、好ましくは0.5未満、さらに好ましくは0.4未満である。
第二の製造方法では、工程(A)が終了した段階で、固有粘度が0.6未満である重合体を一旦チップ化する。チップ化された重合体は、その融点−100℃から融点までの範囲の温度で固相重合する。固相重合は連続式でもバッチ式でもよいが、重合度の上昇に合わせて温度を昇温させることが好ましい。固相重合中の雰囲気は100Pa以下の減圧下であることが好ましいが、窒素等の不活性ガス気流下で行ってもよい。
第二の製造方法では、ポリエステル樹脂組成物に含有される環状三量体の量を低減させることができる。環状三量体量としては、0.2〜0.7重量%の範囲が好ましい。環状三量体量を0.2重量%未満とするには長時間の固相重合が必要となり、得られるポリエステル樹脂組成物の色調が不良となりやすい。一方、0.7重量%を超える場合、成型品から環状三量体が析出しやすくなり、これが欠点となる場合がある。ポリエステル樹脂組成物の色調と環状三量体量は、ポリエステル樹脂組成物を用いる用途に応じて、適宜バランスさせてやるとよい。また、カルボキシル末端基量は5〜15当量/tの範囲が色調の点から好ましく、5当量/t未満では延伸時のフィルムと延伸ロールとの密着性が損なわれやすく、フィルムにキズがつきやすくなる。一方、15当量/tを越える場合、ポリエステル樹脂組成物の黄味が強くなってくる。
本発明の製造方法は工程(A)、(B)の組み合わせ、工程(A)、(C)の組み合わせにより構成するとよいが、工程(A)、(B)のあとに固相重合工程をさらに組み合わせてもかまわない。固相重合工程が組み合わさった場合には、ポリエステル樹脂組成物に含まれるオリゴマーが低減するため好ましい。その際、この固相重合工程は、上記の工程(C)であることが好ましい。
ポリエステル樹脂組成物の色調は黄味ができるだけ少ないことが好ましい。この黄味を表す指標としてたとえばb値があるが、このb値は12未満であることが好ましい。本発明におけるb値とは、ハンター型色差計を用いて測定したものであり、L値、a値、b値で表示されるもののうちb値のことをいう。b値は黄味を示す指標であり、b値が大きい場合には黄味が強く、b値が小さい場合には黄味が弱いことを示す。本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法によれば、このb値を12未満とすることが可能となる。該値が12以上である場合、黄味が強いために光学用フィルムとして使用することが困難となる。b値は小さいほど黄味が弱いが、好ましくは10以下であり、特に好ましくは8以下である。またL値は60以上であることが光学フィルム用としては好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は、上記した第一および第二の方法いずれにおいても、少なくともチタン化合物を重合触媒として用いることが必要である。使用するチタン化合物量はポリエステル樹脂組成物に対してチタン金属として0.5〜150ppmの範囲が好ましく、さらには1〜50ppmの範囲が好ましく、2〜20ppmが最も好ましい。0.5ppm未満であれば溶融重合前期段階においても重合時間が長くなり、生産性が低下してくる。一方150ppmを超える場合には、ポリエステル樹脂組成物の色調が悪化してくる。
なお、上記規定は、換言すれば、チタン金属の含有量が式(1)を満たしていることと同義である。
0.5≦TI≦150 ・・・(1)
(TIはポリエステル樹脂組成物1t当たりのチタン元素の重量(g))
重合触媒として用いるチタン化合物に特に限定はないが、例えば、置換基が下記一般式(1)〜(6)で表される官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種であるチタン化合物、チタン酸化物等を挙げることができる。
(TIはポリエステル樹脂組成物1t当たりのチタン元素の重量(g))
重合触媒として用いるチタン化合物に特に限定はないが、例えば、置換基が下記一般式(1)〜(6)で表される官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種であるチタン化合物、チタン酸化物等を挙げることができる。
(式(1)〜式(5)中、R1〜R3はそれぞれ独立に
水素
炭素数1〜30の炭化水素基
アルコキシ基、水酸基、カルボニル基、アセチル基、カルボキシル基、エステル基およびアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜30の炭化水素基
を表す。)
本発明における式(1)の官能基としては、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、2−エチルヘキソキシド等のアルコキシ基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物からなる官能基が挙げられる。
水素
炭素数1〜30の炭化水素基
アルコキシ基、水酸基、カルボニル基、アセチル基、カルボキシル基、エステル基およびアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜30の炭化水素基
を表す。)
本発明における式(1)の官能基としては、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、2−エチルヘキソキシド等のアルコキシ基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物からなる官能基が挙げられる。
また、式(2)としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物からなる官能基が挙げられる。
また、式(3)としては、フェノキシ、クレシレイト、サリチル酸等からなる官能基が挙げられる。
また、式(4)としては、ラクテート、ステアレート等のアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸からなる官能基が挙げられる。
また、式(5)としては、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等からなる官能基が挙げられる。
中でも式(1)及び/または式(4)が含まれていることがポリマーの熱安定性及び色調の観点から好ましい。
また、チタン化合物としてこれら式(1)〜式(6)の置換基の2種以上を含んでなるチタンジイソプロポキシビスアセチルアセトナートやチタントリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
本発明においてポリエステル樹脂組成物は、チタン化合物と共にリンがポリエステル樹脂組成物に対してリン原子換算で0.1〜400ppm(重量基準)含有されていることが好ましい。ポリエステル樹脂組成物の熱安定性や色調の観点からリン含有量は、1〜200ppmが好ましく、さらに好ましくは3〜100ppmである。
なお、本発明のポリエステル樹脂組成物に含有されるリンは、ポリエステル樹脂組成物の製造過程でリン化合物として添加される。このようなリン化合物としてはリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系のいずれか1種または2種であることが好ましく、特に熱安定性及び色調改善の観点から、リン酸系及び/またはホスホン酸系であることが好ましい。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸系、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等のホスホン酸系化合物が挙げられ、これらのいずれか1種または2種であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物においてはアンチモン化合物を含まないか、あるいはポリエステル樹脂組成物に対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有することが好ましい。この範囲とすることで、ポリエステル樹脂組成物中でのアンチモン金属異物の発生等が少なく、かつ比較的安価なポリマーを得ることができる。より好ましくは、10ppm以下、特には実質的に含有しないことが好ましい。
また、チタン化合物のチタン原子に対してリン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20であるとポリエステル樹脂組成物の熱安定性や色調が良好となり好ましい。より好ましくはTi/P=0.2〜10であり、さらに好ましくはTi/P=0.3〜5である。
本発明で用いるチタン化合物及びリン化合物は、工程(A)のポリエステル重合反応系にそのまま添加してもよいが、予めエチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステル樹脂を形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じてチタン化合物またはリン化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法において任意の時点でさらにコバルト化合物を添加すると得られるポリマーの色調が良好となり好ましい。この場合に用いるコバルト化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト四水塩等が挙げられる。
さらには、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素を含有せしめることが異物形成抑制、重合活性、ポリエステル樹脂溶融時の体積比抵抗の点から好ましく、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の含有量が5〜100ppm(重量基準)であることが好ましい。中でも、特にカルシウム、マグネシウム、リチウム、カリウム元素を5〜100ppm(重量基準)ポリエステル樹脂組成物に含有させることが好ましい。
本発明の製造方法で得られるポリエステル樹脂組成物は色調が良好であり、フィルムとした際には色調が良好であり、異物も少ないことから光学部材に使用される光学用ポリエステルフィルムとして好適である。
次に、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法を説明する。具体例としてポリエチレンテレフタレートの例を記載するが特に限定されるものではない。
ポリエチレンテレフタレート場合、工程(A)は通常、次のいずれかのプロセスでとなる。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、チタン化合物の存在下重縮合反応によって固有粘度が0.6未満の重合体を得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、チタン化合物の存在下重縮合反応によって固有粘度が0.6未満の重合体を得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、チタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コバルト、リチウム等の元素を含む化合物やチタン化合物触媒を用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加してもよい。
本発明においては、(1)または(2)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(1)または(2)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、必要に応じて易滑剤として無機、有機粒子等の添加物を添加した後、重縮合触媒として上記したチタン化合物を添加し重縮合反応を行い、固有粘度が0.6未満のポリエチレンテレフタレートを得ることができる。
工程(B)は、工程(A)から連続して継続しても良いし、一旦工程(A)が終了した段階で重合体をチップ化し、その後進めてもよい。
工程(A)から連続して継続する場合、重合体の固有粘度が0.6未満の段階で重合装置内の圧力を常圧にもどし、鎖連結剤と必要に応じて鎖連結触媒を溶融状態の重合体に添加する。添加後そのまま撹拌するか、または再度反応系内を減圧状態にして撹拌をおこない、鎖連結反応を進める。反応終了後、重合体をガット状に吐出し、水槽で冷却・固化した後カッターにてチップとする。
工程(A)終了後一旦チップ化した場合、該チップと鎖連結剤、さらに必要に応じて鎖連結触媒を共にベント式2軸押出機に供給し、ベント孔から真空引きしながら溶融混練して押出てチップを得る。溶融混練時の温度はポリエステル樹脂組成物の融点〜融点+50℃の温度範囲で行えばよい。
次に工程(A)と(C)を組み合わせた場合、工程(A)終了後に一旦重合体をチップ化しておく。チップはバッチ式または連続式固相重合装置へと仕込み、固相重合を行う。固相重合中の雰囲気は100Pa以下の減圧下で行うことが好ましいが、窒素気流中で行ってもよい。固相重合の温度は、重合体の融点−100℃から融点までの範囲内で行うことが好ましく、重合体の重合度上昇にしたがって温度を上げることが好ましい。またチップの融着を防止するため、固相重合初期には低温からスタートしてチップを結晶化し、結晶化後に所定の温度まで昇温することが好ましい。
このようにして色調良好かつ異物をほとんど有しないポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
次にポリエステルフィルムを製造する場合、上記によって得たポリエステル樹脂組成物を用意し、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは減圧下で行い、押出機に供給する。
押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量が均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂がろ過される。さらに、樹脂は、ダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。
積層フィルムとする場合には、例えば、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出されたポリエステル樹脂組成物をフィードブロックやスタティックミキサー、マルチマニホールドダイ等を用いて積層する方法等を使用することができる。このようにしてダイから吐出された積層構造を有するシートもしくは単膜シートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出し、冷却固化し、キャスティングフィルムを得る。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させるのが好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸しても構わない。二軸延伸とは、縦方向および横方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに縦および/または横方向に再延伸を行ってもよい。
ここで、縦方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸をいい、例えば、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては、2〜15倍が好ましく、より好ましくは2.5〜7倍が特に好ましく用いられる。
また、こうして得られたフィルムの表面に、グラビアコーターやメタリングバー等のコーティング技術を用いて、コーティングを施すことにより、易接着層や易滑層を付与しても構わない。
また、横方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、例えば、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、2〜10倍が好ましい。
また、同時二軸延伸の場合には、テンター内にてフィルムの両端をクリップで把持しながら搬送しつつ、縦方向および横方向に同時に延伸するものであり、この方法を用いてもよい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましく、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。本発明のフィルムにおいては、熱処理温度としては120℃〜240℃であることが、平面性、寸法安定性等の点からは好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは色調が良好であり、液晶表示装置、プラズマ表示装置、ブラウン管表示装置など、光学表示装置の保護フィルムや偏光フィルム、光拡散フィルムなどに好ましく使用することができる。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエステル樹脂組成物中のチタン元素、リン元素、アンチモン元素及びアルカリ土類元素の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により、含有量既知のサンプルで予め作成した検量線を用い、金属含有量に換算して求めた。
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により、含有量既知のサンプルで予め作成した検量線を用い、金属含有量に換算して求めた。
(2)ポリマーの固有粘度IV
オルトクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
オルトクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(3)ポリエステル樹脂組成物の色調測定
スガ試験機株式会社製SMカラーコンピュータ“SM−3”型を用い、ハンターのL値、a値、b値を測定した。なお、固相重合したポリエステル樹脂組成物は結晶化により白色化しているので、290℃にて一旦溶融して再チップ化したのち測定した。
スガ試験機株式会社製SMカラーコンピュータ“SM−3”型を用い、ハンターのL値、a値、b値を測定した。なお、固相重合したポリエステル樹脂組成物は結晶化により白色化しているので、290℃にて一旦溶融して再チップ化したのち測定した。
(4)ポリエステル樹脂組成物中の環状三量体の定量
ポリエステル樹脂組成物1gを20mlのオルトクロロフェノールに溶解し、内部標準を添加する。さらにメタノールを加えてポリマーを析出させて、遠心分離によって上澄みを採取し、液体クロマトグラフを用いて定量した。
ポリエステル樹脂組成物1gを20mlのオルトクロロフェノールに溶解し、内部標準を添加する。さらにメタノールを加えてポリマーを析出させて、遠心分離によって上澄みを採取し、液体クロマトグラフを用いて定量した。
(5)カルボキシル末端基濃度
ポリエステル樹脂組成物をオルトクレゾール/クロロホルム(重量比7/3)に90〜100℃で溶解し、アルカリで電位差測定して求めた。
ポリエステル樹脂組成物をオルトクレゾール/クロロホルム(重量比7/3)に90〜100℃で溶解し、アルカリで電位差測定して求めた。
参考例1(コロイダルシリカ粒子の製造)
40重量部のエチルアルコールに4重量部の飽和アンモニア水を混合し、これを撹拌しながら4重量部の4ペンチルケイ素を添加して平均粒子径が0.2μmのコロイダルシリカを得た。ついでエチレングリコールを100重量部添加し、加熱することでエチルアルコールおよび水を留出させ、コロイダルシリカのエチレングリコールスラリーを得た。
40重量部のエチルアルコールに4重量部の飽和アンモニア水を混合し、これを撹拌しながら4重量部の4ペンチルケイ素を添加して平均粒子径が0.2μmのコロイダルシリカを得た。ついでエチレングリコールを100重量部添加し、加熱することでエチルアルコールおよび水を留出させ、コロイダルシリカのエチレングリコールスラリーを得た。
参考例2
触媒A.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして減圧下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
触媒A.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして減圧下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
実施例1
(工程A)
高純度テレフタル酸100重量部とエチレングリコール43重量部のスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約120重量部が仕込まれ、温度が250℃に保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけて水を留出させながらエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の120重量部を重縮合槽に移送した。
(工程A)
高純度テレフタル酸100重量部とエチレングリコール43重量部のスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約120重量部が仕込まれ、温度が250℃に保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけて水を留出させながらエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の120重量部を重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、リン酸を0.007重量部添加し、さらに酢酸マグネシウム4水塩を0.05重量部、さらに参考例2のチタン触媒を0.015重量部添加した。ついで、参考例1にて調製したコロイダルシリカのエチレングリコールスラリーをポリマー中の粒子濃度が0.1重量%となるように添加した。
その後、低重合体を攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を100Paまで下げた。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。得られたポリマーの固有粘度は0.50であった。
(工程B)
得られたポリマーを減圧乾燥し、1,4フェニレンビスオキサゾリン(以下BOXと略称)をポリマーに対して0.5重量%ブレンドした原料を準備した。L/Dが60であるベント式2軸押出機に該原料を供給し、ベント孔から排気しながら285℃で溶融混練し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてペレットを得た。
得られたポリマーを減圧乾燥し、1,4フェニレンビスオキサゾリン(以下BOXと略称)をポリマーに対して0.5重量%ブレンドした原料を準備した。L/Dが60であるベント式2軸押出機に該原料を供給し、ベント孔から排気しながら285℃で溶融混練し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてペレットを得た。
得られたポリマーの固有粘度は0.62,色調はL値、a値、b値がそれぞれ65、−0.2、6.0であり、黄味が少ない色調良好なものであった。
実施例2
(工程A)
実施例1と同様の条件で重合を行った。所定の撹拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻した後、反応系から少量のサンプルを取り出し、そのまま連続してポリマーを吐出することなく工程(B)へ移行した。なお少量サンプルの固有粘度は実施例1と同様0.5であった。
(工程A)
実施例1と同様の条件で重合を行った。所定の撹拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻した後、反応系から少量のサンプルを取り出し、そのまま連続してポリマーを吐出することなく工程(B)へ移行した。なお少量サンプルの固有粘度は実施例1と同様0.5であった。
(工程B)
工程Aの重合反応容器にBOXをポリマーに対して0.5重量%相当添加し、そのまま溶融撹拌した。撹拌トルクがさらに所定の値に上昇した時点でポリマーを冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングしてペレットを得た。
工程Aの重合反応容器にBOXをポリマーに対して0.5重量%相当添加し、そのまま溶融撹拌した。撹拌トルクがさらに所定の値に上昇した時点でポリマーを冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングしてペレットを得た。
結果を表1に示すが黄味の少ない色調良好なポリマーであった。
実施例3〜5
(工程A)
実施例1と同様の方法でポリマーを得た。実施例5では重合終了判定の撹拌トルクを小さく設定した。
(工程A)
実施例1と同様の方法でポリマーを得た。実施例5では重合終了判定の撹拌トルクを小さく設定した。
(工程B)
鎖連結剤の種類や鎖連結触媒の有無などを変更する以外は実施例1と同様にL/Dが60のベント式2軸押出機を用い、実施例1と同様の条件で溶融混練した。なお、鎖連結触媒の添加量はポリマーに対する重量%値であり、添加は鎖連結剤と同時に工程Aで得たポリマーにブレンドした。結果を表1に示すが、色調良好なポリマーが得られた。
鎖連結剤の種類や鎖連結触媒の有無などを変更する以外は実施例1と同様にL/Dが60のベント式2軸押出機を用い、実施例1と同様の条件で溶融混練した。なお、鎖連結触媒の添加量はポリマーに対する重量%値であり、添加は鎖連結剤と同時に工程Aで得たポリマーにブレンドした。結果を表1に示すが、色調良好なポリマーが得られた。
実施例6、7
(工程A)
実施例1に比較してチタン量を増量、リン量をわずかに減量した条件で重合を行い、固有粘度がそれぞれ0.43、0.55のポリマーチップを得た。
(工程A)
実施例1に比較してチタン量を増量、リン量をわずかに減量した条件で重合を行い、固有粘度がそれぞれ0.43、0.55のポリマーチップを得た。
(工程C)
ポリマーを固相重合装置に仕込み、装置内圧力を100Pa以下とした。ポリマーの温度を室温から10時間かけて180℃まで昇温した。その後温度と圧力を3時間以上保持したのちヒーターを切って装置内を窒素ガスでブローし、チップ温度を室温まで冷却した。
ポリマーを固相重合装置に仕込み、装置内圧力を100Pa以下とした。ポリマーの温度を室温から10時間かけて180℃まで昇温した。その後温度と圧力を3時間以上保持したのちヒーターを切って装置内を窒素ガスでブローし、チップ温度を室温まで冷却した。
チップは結晶化により白色化していた。色調を測定するため得られたチップを290℃で溶融したのち急冷してチップを得、色調を測定した。結果を表1に示すが色調良好なポリマーが得られた。
比較例1
実施例1の工程Aにおいて、重合反応をさらに進めて工程Aのみで固有粘度が0.62であるポリマーを得た。得られたポリマーの黄味はb値が12以上と強いものであった。
実施例1の工程Aにおいて、重合反応をさらに進めて工程Aのみで固有粘度が0.62であるポリマーを得た。得られたポリマーの黄味はb値が12以上と強いものであった。
比較例2
比較例1で得られたポリマーを用い、実施例1の工程Bを実施した。しかしながら、黄味のさらに強いポリマーしか得られなかった。
比較例1で得られたポリマーを用い、実施例1の工程Bを実施した。しかしながら、黄味のさらに強いポリマーしか得られなかった。
Claims (8)
- ポリエステル樹脂に可溶なチタン化合物を含有し、チタン元素含有量が0.5〜150ppm(重量基準)であり、b値が12未満であるポリエステル樹脂組成物。
- 芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とからポリエステル樹脂組成物を製造する方法であって、(A)チタン化合物を重合触媒として用い固有粘度が0.6未満の重合体を得る工程、および(B)前記の工程で得た固有粘度が0.6未満の重合体に鎖連結剤を加えて固有粘度を0.6以上とする工程を含んでいるポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 鎖連結剤がイソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物およびカプロラクタム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項2に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 固有粘度が0.6未満の重合体に鎖連結剤をベント式2軸押出機によって加えることにより溶融混練し、固有粘度を0.6以上とする、請求項2または3に記載のポリエスエル樹脂組成物の製造方法。
- 芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とからポリエステル樹脂組成物を製造する方法であって、(A)チタン化合物を重合触媒として用い固有粘度が0.6未満の重合体を得る工程、および(C)前記の工程で得た固有粘度が0.6未満の重合体を、その重合体の融点(℃)−100℃から融点(℃)までの温度領域で固相重合することにより固有粘度を0.6以上とする工程を含んでいるポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- チタン金属の含有量が式(1)を満たしている、請求項2〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
0.5≦TI≦150 ・・・(1)
(TIはポリエステル樹脂組成物1t当たりのチタン元素の重量(g)) - 環状三量体の含有量を0.2〜0.7重量%の範囲とし、かつカルボキシル末端基量を5〜15当量/トンの範囲とする、請求項5または6に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- ポリエステル樹脂組成物のb値が12未満である、請求項2〜7のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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