JP2007039579A - ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】製膜工程での環状ダイマー析出量が少なく安定したフィルムの生産ができ、透明性に優れたポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】固有粘度が0.55〜1.60、環状ダイマーの含有量が1.5重量%以下であるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルに、例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジアルキルフェニルアルキルホスホン酸モノアルキルエステルの塩および/または(II)で表されるリン化合物を混合して製膜することにより、固有粘度が0.50〜1.50、環状ダイマーの含有量が1.5重量%以下であるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルムを得る。
Figure 2007039579

[式中、R、R、Rはそれぞれ水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基。xは0または1。]
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルムに関するものである。さらに詳しくは、環状ダイマーの含有量が少なく、製膜・加工工程での成形性に優れた性能を有すると共に、透明性も良好なポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関するものである。
ポリエステルは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。なでもポリトリメチレンテレフタレートフィルムは、近年、従来のポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルフィルムにはなかったソフトな風合い、優れた加工性が注目されている。
しかしながら、このポリトリメチレンテレフタレートは、重縮合時にオリゴマーである環状ダイマーが生成しやすく、この環状ダイマーは製膜工程でフィルム表面に異物として付着し、透明性を損なったりするほか、キャスティングドラムやローラーにオリゴマーが付着して加工安定性を低下させる問題を有している。
このような問題を解決するために、ポリトリメチレンテレフタレートを減圧下で固相重合を行なうことにより、オリゴマー含有量を1重量%以下に低下させたポリトリメチレンテレフタレートが提案されている(特許文献1)。確かにこの方法によれば、ポリトリメチレンテレフタレートチップ自体の環状ダイマー含有量は低減されるものの、該チップを成形する際に再溶融すると、環状ダイマーが再生してくるために根本的な改善とはなっていない。
一方、触媒の活性を低下させて環状ダイマーの含有量を低下させる方法として、リン酸系化合物を添加する方法が提案されている(特許文献2)。しかし、この方法では同時に環状ダイマー除去装置が併用されており、たとえこの方法により環状ダイマーの含有量が抑制されても、高価な環状ダイマー除去装置が必要になるという問題がある。
特開平8−311177号公報 特開2004−51921号公報
本発明は、上記背景技術を鑑みなされたもので、その目的は、溶融成形時の環状ダイマー再生の問題を抑制し、製膜工程でのオリゴマー析出が少なく、透明性などの品質に優れたポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究した結果、ポリトリメチレンテレフタレートに特定のリン化合物を配合すれば、溶融製膜時のオリゴマー再生が抑制され、環状ダイマーの含有量が少ない、品質の優れたフィルムが安定して製造できることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、
「全繰返し単位の90モル%以上がトリメチレンテレフタレート単位であり、固有粘度が0.50〜1.50、環状ダイマーの含有量が1.5重量%以下であることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルム。」が提供される。
また、本発明によれば、好ましい態様として、ポリエステルフィルム中のリン元素含有量がフィルム重量を基準として10〜1000ppmであること、ポリエステルフィルム中に、下記式(I)および/または(II)で表されるリン化合物を0.01〜0.5重量%配合してなること、の少なくともいずれかの要件を具備するポリエステル組成物が提供される。
Figure 2007039579
[上記式中、R,RおよびRは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、nは1〜5の整数である。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属原子であり、Mがアルカリ金属の場合、m=1、Mがアルカリ土類金属の場合、m=2である。]
Figure 2007039579
[上記式中、R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。xは0または1である。]
さらに、本発明によれば、「全繰返し単位の90モル%以上がトリメチレンテレフタレート単位であり、固有粘度が0.55〜1.60、環状ダイマーの含有量が1.5重量%以下であるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルに、上記式(I)および/または(II)で表されるリン化合物を溶融混合して製膜することを特徴とする上記のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルムの製造方法。」も提供される。
本発明のポリトリメチレン系ポリエステルフィルムは、溶融成形時の環状ダイマー再生が抑制されているので、フィルム中の該環状ダイマー含有量が1.5重量%以下と低減されており、製膜工程や後加工工程での該ダイマーによる汚染を防止できることにより工程安定性に優れている。さらに、透明性にも優れているので食品包装用途を始めとする様々な分野への適用拡大が期待でき、有用なものである。
本発明のフィルムを構成するポリエステルは、全繰返し単位の90モル%以上、好ましくは95モル%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなるポリエステルである。トリメチレンテレフタレート単位を構成する成分以外の共重合成分は、ジカルボン酸成分、ジオール成分、オキシカルボン酸成分のいずれでもよく、さらに、得られるポリエステルが実質的に線状である範囲内であれば、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3個以上のエステル形成性官能基を有するものを共重合しても構わない。
好ましく用いられる共重合成分としては、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸など、また、ジオール成分として、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンなど、オキシカルボン酸成分として、4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、ω−ヒドロキシカプロン酸などが例示され、これらは単独または二種以上を使用することができる。
上記ポリエステルの製造方法については特に限定する必要はなく、テレフタル酸をトリメチレングリコールと直接エステル化させた後に重合させる方法、テレフタル酸のエステル形成性誘導体をトリメチレングリコールとエステル交換反応させた後に重合させる方法のいずれを採用してもよい。
また用いられるポリエステルの重合触媒についても特に限定する必要はないが、チタン化合物が好ましく、なかでも、触媒起因の異物低減の点からポリエステルに可溶性の有機系チタン化合物であることが好ましい。好ましく用いられる有機系チタン化合物としては例えば、酢酸チタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどのアルコキシチタンなどが挙げられるほか、これらチタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させた生成物などが好ましく挙げられる。これらチタン化合物の使用量は特に制限する必要はないが、重縮合反応性、得られるポリエステルの色相、耐熱性の観点から、全ジカルボン酸成分に対し、チタン元素量として2〜150ミリモル%程度含有されていることが好ましい。
なお、テレフタル酸のエステル形成性誘導体をトリメチレングリコールとエステル交換反応させた後、重合させる方法を採用する場合には、エステル交換反応触媒として、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物など、通常、ポリエステルのエステル交換反応触媒として用いられる触媒を併用してもよい。しかし、通常は上述のチタン化合物をエステル交換反応触媒および重合触媒の両方の役割で用いる方法が好ましく採用される。
上記のポリトリメチレン系ポリエステルから構成される本発明のポリエステルフィルムは、該フィルム中の環状ダイマー含有量が1.5重量%以下である必要がある。該環状ダイマー含有量が1.5重量%を超える場合には、製膜工程での加工安定性が低下するだけでなく、フィルムヘーズが低下したり、例えば磁気記録材料などに加工する際に該環状ダイマーが表面に析出して磁気記録特性などが低下したりするなどの品質面での問題を引起すので好ましくない。該環状ダイマー含有量は1.4重量%以下、特に1.3重量%以下であることが好ましい。
ところでポリトリメチレンテレフタレート中のオリゴマーは、下記構造で示すような線状オリゴマー(1)と環状オリゴマー(2)の混合物であることが知られているが、その約90重量%は環状ダイマー(式(2)において、qが1に相当する構造を有する)である。この環状ダイマーは、オリゴマーの中で特に高い昇華性、ブリードアウト性を有するので、上記に示したような問題を引き起こす主たる原因物質となる。
H(OCHCHCHOOC−Ph−CO)OCHCHCHOH …(1)
Figure 2007039579
〔式中、p≦10、q=1〜4である。〕
本発明のポリエステルフィルムは、その固有粘度が0.5〜1.5である必要がある。該固有粘度が0.5未満の場合にはフィルムの機械的強度が不十分となり、逆に1.5を超える場合には、製膜時の成形性が低下して得られるフィルムの品質が低下するので好ましくない。該固有粘度は0.55〜1.45であることが好ましく、特に0.6〜1.4であることが最も好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの固有粘度を上記の範囲とするためには、固相重合されたポリトリメチレン系ポリエステルチップが好ましく使用される。この固相重合の具体例としては、ポリエステルチップを融点以下の高温状態下、好ましくは190〜210℃の範囲に保持し、150Pa以下の高真空下、または窒素気流下にて、数時間から数十時間攪拌または静置させておく方法が挙げられる。また、この固相重合は、連続式であっても回分式であってもよい。
次に本発明のポリエステルフィルムは、含有されているリン元素量がポリエステルフィルム重量を基準として10〜1000ppmの範囲であることが好ましい。該リン元素含有量が10ppmより少ない場合には、溶融製膜時の環状ダイマー再生量が多くなり、フィルム中の環状ダイマー含有量を1.5重量%以下とすることが難しくなる場合がある。一方、リン元素含有量が1000ppmを超える場合には、フィルムの耐熱性が低下する場合がある。本発明においては、このリン元素含有量は、15〜700ppmの範囲が好ましく、20〜500ppmの範囲がさらに好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、上述したリン元素含有量を満たすために、ポリエステルフィルム中に下記一般式(I)および/または(II)で表されるリン化合物を0.01〜0.5重量%配合してなるものであることが好ましい。ここで、下記リン化合物の配合量が0.01重量%未満の場合には、溶融製膜時の環状ダイマー再生量が多くなる傾向があり、一方、0.5重量%を超える場合には、フィルムの耐熱性が低下する場合がある。該リン化合物の配合量は、0.03〜0.3重量%の範囲がさらに好ましい。
Figure 2007039579
[上記式中、R,RおよびRは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、nは1〜5の整数である。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属原子であり、Mがアルカリ金属の場合、m=1、Mがアルカリ土類金属の場合、m=2である。]
Figure 2007039579
[上記式中、R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。xは0または1である。]
上記一般式(I)において、R、RおよびRに好ましい炭素数1〜10の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、フェニル基、ベンジル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基である。また、nは1〜5の整数であり、好ましくは1または2である。さらに、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属原子であり、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカルシウムである。
上記一般式(I)の具体例としては、カルシウムビス(エチル((3,5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、マグネシウムビス(エチル((3,5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カルシウムビス(エチル((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、マグネシウムビス(エチル((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カルシウムビス(エチル((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)、マグネシウムビス(エチル((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)、ナトリウムエチル(((3,5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カリウムエチル(((3,5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、ナトリウムエチル(((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カリウムエチル(((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、ナトリウムエチル(((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)、カリウムエチル(((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)などが例示される。
また、上記式(II)において、R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であるが、炭素数1〜10の炭化水素基として好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、フェニル基、ベンジル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基である。また、xは0または1である。これらの中でもx=0の場合、R,Rは水素原子Rはフェニル基が最も好ましく、x=1の場合、R,RおよびRはいずれも水素原子が最も好ましい。なお、3価のリン元素にOH基が結合したものは、下記式で表される5価のリン元素に酸素が結合した互変異性体として表すこともできる。
=(P=O)H
上記一般式(II)の具体例は、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸ジメチル、フェニルホスフィン酸ジエチル、フェニルホスフィン酸ジフェニル、ベンジルホスフィン酸、ベンジルホスフィン酸ジメチル、ベンジルホスフィン酸ジエチル、ベンジルホスフィン酸ジフェニルなどが例示される。
なお、上記リン化合物のポリエステルフィルム中の配合量は、リン元素の定量分析のほか、核磁気共鳴スペクトルによって定量することができる。
上記式(I)および/または(II)で表されるリン化合物のポリエステル中への配合方法については特に限定はない。例えば、ポリエステル重合時の任意の段階で重合工程に添加する方法、製造されたポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルを製膜する段階、あるいはそれより前の段階で、粉体、液体、あるいは溶媒に溶解・分散させたリン化合物を二軸押出機などによって溶融ブレンドする方法、マスターバッチ方式での溶融ブレンド方法など任意の方法を採用することができる。
以上に説明した本発明のポリエステルフィルムは、例えば以下の方法により製造することができる。すなわち、環状ダイマーの含有量が1.5重量%以下で、且つ固有粘度が0.55〜1.6の範囲にあるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルを温度240〜280℃で溶融して製膜し、次いで定法にしたがって延伸・熱処理すればよい。たとえば温度240〜240℃で溶融押出し、キャスティングドラムで20〜40℃に冷却・固化して未延伸シートを得た後、温度40〜80℃の雰囲気で逐次延伸あるいは同時延伸により、面積倍率が通常最大で20倍程度までの延伸し、続いて温度100〜200℃で熱セットすることにより、所望の延伸フィルムとすることができる。なお、縦、横への延伸は夫々1段でも良く、また多段に延伸とすることも可能である。
なお、ポリエステルの固有粘度が上記範囲から外れる場合には、得られるポリエステルフィルムの固有粘度を所望の範囲とすることが難しくなる。また、得られるフィルム中の環状ダイマー含有量を1.5重量%以下に保持するために、ポリエステルの製膜が完了する以前の段階で、上記式(I)および/または(II)で表されるリン化合物を溶融混合することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルム中には、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重縮合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤などを含んでいてもよい。特に滑剤としてシリコーン、架橋ポリスチレンなどに代表される有機滑剤やアルミナ、シリカ、炭酸カルシウムなどに代表される無機滑剤を含有していることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、本発明における各種特性は、以下の測定方法にしたがった。
(1)固有粘度
ポリエステルフィルムの固有粘度は、オルトクロロフェノールを溶媒に用いて35℃恒温下オストワルト型粘度計を用いて測定した。
(2)ポリエステル中のリン量の測定
サンプルを加熱溶融して、円形ディスクを作成し、(株)リガク製、蛍光X線装置ZSX100e型を用いて定量した。
(3)環状ダイマー含有量
Waters社製、486型液体クロマトグラフにWaters社製GPCカラム TSKgel G2000H8を2本接続した装置を用いた。展開溶剤としてクロロホルムを使用し、サンプル1mgをヘキサフルオロイソプロパノール1mlに溶解してクロロホルムで10mlに希釈したサンプルを注入して、標準の環状ダイマーの検量線からポリマー中の重量百分率を求めた。
(4)フィルムヘーズ
サンプルの表面に傷などが発生していない箇所をサンプリングし、日本電色工業製濁度計(HDH−1001P)にて測定した。
(5)ポリエステル中のリン化合物含有量の定量
サンプルを重水素化トリフルオロ酢酸/重水素化クロロホルム=1/1混合溶媒に溶解後、日本電子(株)製JEOL A−600、超伝導FT−NMRを用いて核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定した。そのスペクトルパターンから常法に従って、リン化合物含有量を定量した。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100重量部とトリメチレングリコール70.5重量部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.053重量部を撹拌機、精留塔およびメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。反応開始後3時間で内温は210℃に達した。
次いで、得られた反応生成物を撹拌機およびグリコール留出コンデンサーを設けた別の反応器に移し、カルシウムビス(エチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)(商品名:イルガノックス1425、チバスペシャリティケミカルズ社製、一般式(I)においてR=R=t−ブチル基、R=エチル基、n=1、M=Ca)1.06重量部を添加後、210℃から265℃に徐々に昇温すると共に、常圧から70Paの高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.70dl/gとなる時点で重合反応を打ち切った。溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。
得られたチップ10重量部に対し、固有粘度0.93、環状ダイマー含有量1.05重量%のポリトリメチレンテレフタレートチップ(シェル社製:コルテラCP50921P)90重量部をチップブレンドし、75℃で1時間、125℃で5時間乾燥後、押し出し機に供給、260℃で溶融し吐出ダイからシート状に押し出し、キャスティングドラムの温度を30℃に設定して厚さ200μmの未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを縦方向に60℃で3倍、続いて70℃で横方向に3.3倍に延伸した後、180℃で熱処理した。得られた延伸フィルムの厚さは20μmであった。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
なお、ポリマー量にして約5Kg、時間にして30分間製膜した後にキャスティングドラムの表面を目視観察したところ、オリゴマーの析出による汚れは認められず、テスト前の状態と変らない鏡面状態を保っていた。
[実施例2〜4]
実施例1において、カルシウムビス(エチル((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)の代わりに表1に示す化合物を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
固有粘度0.93、環状ダイマー含有量1.05重量%のポリトリメチレンテレフタレートチップ(シェル社製:コルテラCP50921P)を75℃で1時間、125℃で5時間乾燥後、二軸押出機を用いて260℃で再溶融し、サイドフィーダーからカルシウムビス(エチル((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)を含有量が0.1重量%となるように調節しながら添加し、実施例1と同様にそのまま溶融製膜した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、固有粘度0.93、環状ダイマー含有量1.05重量%のポリトリメチレンテレフタレートチップ(シェル社製:コルテラCP50921P)のみを溶融し製膜したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例1と同じく、ポリマー量にして約5Kg製膜後にキャスティングドラムを観察したところ、析出オリゴマーが表面に付着してうっすらと白色を呈していた。
Figure 2007039579
表1から、本発明のポリエステルフィルムは、製膜工程における環状ダイマーの発生量が少なく、製膜工程の汚れを抑制して長時間安定状態を保つ効果があることがわかる。
以上に説明した本発明のポリエステルフィルムは、製膜工程での環状ダイマー析出量が少ないので透明性に優れ、包装材料などを始めとする種々の用途に好適に使用することができる他、長時間安定して製膜することができるので、生産性の向上に寄与するところも大である。

Claims (4)

  1. 全繰返し単位の90モル%以上がトリメチレンテレフタレート単位であり、固有粘度が0.50〜1.50、環状ダイマーの含有量が1.5重量%以下であることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステルフィルム中のリン元素含有量が、該ポリエステルフィルム重量を基準として10〜1000ppmである請求項1記載のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステルフィルム中に、下記式(I)および/または(II)で表されるリン化合物を0.01〜0.5重量%配合してなる請求項1または2記載のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルム。
    Figure 2007039579
    [上記式中、R,RおよびRは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、nは1〜5の整数である。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属原子であり、Mがアルカリ金属の場合、m=1、Mがアルカリ土類金属の場合、m=2である。]
    Figure 2007039579
    [上記式中、R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。xは0または1である。]
  4. 全繰返し単位の90モル%以上がトリメチレンテレフタレート単位であり、固有粘度が0.55〜1.60、環状ダイマーの含有量が1.5重量%以下であるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルに、下記式(I)および/または(II)で表されるリン化合物を溶融混合して製膜することを特徴とする請求項1記載のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルフィルムの製造方法。
    Figure 2007039579
    [上記式中、R,RおよびRは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、nは1〜5の整数である。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属原子であり、Mがアルカリ金属の場合、m=1、Mがアルカリ土類金属の場合、m=2である。]
    Figure 2007039579
    [上記式中、R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。xは0または1である。]
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012519754A (ja) * 2009-03-03 2012-08-30 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー ポリ(トリメチレンテレフタレート)成形用樹脂およびその成形品
WO2023182808A1 (ko) * 2022-03-25 2023-09-28 도레이첨단소재 주식회사 폴리에스테르 다층 필름 및 이의 제조방법

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