JP2020050766A - ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた溶融成形性と帯電防止性、帯電防止剤のブリード抑制、泡や異物などの欠点抑制を兼ね備えたポリエステル樹脂組成物およびその製造方法を提供する。【解決手段】R1が1013Ω/□以下、ΔLogRが2.0以下、ΔIVが0.15以下であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。(R1とは、エタノールを染み込ませたガーゼで該ポリエステル樹脂組成物10往復した後、測定した表面比抵抗値である。ΔLogRとは、シート状のポリエステル樹脂組成物の表面比抵抗R2と上記R1の常用対数の差である。ΔIVとは、ポリエステル樹脂組成物のIV1と、該ポリエステル樹脂組成物を窒素雰囲気290℃60分間溶融後のIV2の差である。)【選択図】なし

Description

本発明は、優れた帯電防止性を有しながら帯電防止剤のブリードアウトや製品欠点に繋がる溶融成形時の泡や異物の発生を抑制したポリエステル樹脂組成物およびその製造方法に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは、機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、繊維、フィルムその他成形品として広く使用されている。しかしながら、ポリエステルは帯電しやすい欠点があり、このためさまざまなトラブルが起こる。例えば、フィルムに加工した場合、製膜加工工程でのロールへの張りつき、ゴミやほこりの吸引によるフィルム面の汚れ、印刷不良、フィルム同士の張りつきなどのトラブルが起こる。特に、グリーンシート用、液晶偏光板用、フォトレジスト用などの各種離型用ポリエステルフィルムでは、搬送時の帯電によるフィルム面の汚れだけでなく、フィルム中の泡や異物などの欠点がその製品の品位を低下するため、欠点抑制が要求されてきた。近年、上記のようなフィルムの要求特性はさらに向上してきており、帯電防止性と欠点抑制を兼ね備えたフィルムが求められてきている。
従来、上記課題に対して多くの方法が提案されている。その方法は、(i)フィルムに物理的、化学的処理を施す方法と、(ii)ポリエステル自体を改質する方法とに大別できる。(i)の方法では、処理を施す余分な工程が必要となり、製造コストが高くなる。一方、(ii)の方法として、これまで、アルキルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩といったイオン性界面活性剤をポリエステル中に練り込む方法が、経済性に優れるため一般的に採用されてきた。特に、界面活性剤の分散性向上とブリードアウトを促進する目的でポリオキシアルキレングリコールなどを併用するもの(特許文献1)が開示されている。
こうした低分子量の界面活性剤を利用する方法は、かかる界面活性剤がポリエステル表面に染み出し成形品表層に均一な層を形成することで初めて帯電防止効果が発現する。従って、表面の払拭、洗浄による帯電防止効果の低減、ブリードアウトした帯電防止剤の他物品への転写による表面汚染などの問題があった。
ブリードアウトを必要としない帯電防止剤として、例えば、ポリエステル樹脂に対してカーボンブラックなどの導電性フィラーを高充填した組成物がある。カーボンブラックは、経済的であり、表面抵抗率の低いものが得られるが、カーボンブラックは着色が著しく、さらに凝集体が欠点となり、一般的には加工性や材料強度などの問題が内在している。
この欠点を解消するために、カーボンブラックなどの導電性フィラーとは異なるブリードアウトを必要としない帯電防止性の付与方法として以下の文献に示されるような提案がなされている。
特許文献2では、熱可塑性樹脂と特定構造のポリマーポリオールに、金属塩ならびに特定構造のポリエステル化合物を添加することが提案されている。
特許文献3では、スチレン系樹脂、芳香族ポリエステル、ポリエーテルエステルアミドおよび有機イオン導電剤を所定量配合することが提案されている。
特開平3−231961号公報 特開2004−43616号公報 特開2008−248234号公報
しかしながら、特許文献2では、ポリエステルへ適用した具体的な開示が無く、ポリエステルへ適用した場合、溶融成形時に金属塩によりポリエステルが分解反応を起こし、溶融形成が困難であった。
また、特許文献3では、高温での加工成形時に有機イオン導電剤の分解が起こり、分解物による望ましくない着色やポリエステルの分解が起こり、泡や異物の発生抑制は十分ではなかった。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を克服して、優れた帯電防止性および帯電防止剤のブリードアウト抑制、泡や異物などの欠点抑制を兼ね備えたポリエステル樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく検討を行った結果、本発明により、優れた溶融成形性と帯電防止性、帯電防止剤のブリードアウト抑制、泡や異物などの欠点抑制を兼ね備えたポリエステル樹脂組成物およびその製造方法を見出した。
すなわち、本発明の目的は以下の手段によって達成される。
(1)Rが1013Ω/□以下、ΔLogRが2.0以下、ΔIVが0.15以下であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
(ここで、Rとは、5cm×5cmの白十字ガーゼを4枚重ね、純度98%以上のエタノール5mLを均一に染み込ませた後、10cm×10cmのシート状のポリエステル樹脂組成物に対して500gの重みで該ガーゼを10往復し、25℃、60RH%にて24時間静置した後、測定したシート状ポリエステル樹脂組成物の表面比抵抗値である。
ΔLogRとは、シート状のポリエステル樹脂組成物を25℃、60RH%にて24時間静置した後、表面比抵抗測定機にて測定した表面比抵抗Rと上記Rの常用対数の差である、Log10(R)−Log10(R)である。
ΔIVとは、ポリエステル樹脂組成物のIVと、該ポリエステル樹脂組成物を窒素雰囲気290℃60分間溶融後のIVの差である、IV−IVである。)
(2)ポリエステルに対し、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール1〜20wt%、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩1〜10wt%、塩基性化合物10〜400ppm配合することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(3)重縮合反応終了までの段階でポリアルキレンオキシドグリコールおよびアルカリ化合物を添加し、塩基性化合物の添加と同時または添加後に、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩を添加することを特徴とする(2)に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(4)ポリアルキレンオキシドグリコールがポリエチレンオキシドグリコールである(2)または(3)に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(5)ポリアルキレンオキシドグリコールの数平均分子量が1000〜10000g/モルである(2)〜(4)に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(6)塩基性化合物がKOHである(2)〜(5)に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(7)パーフルオロアルカンスルホンイミド塩がカリウムを含むことを特徴とする(2)〜(6)に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(8)パーフルオロアルカンスルホンイミド塩がビストリフルオロメタンスルホンイミドを含むことを特徴とする(2)〜(7)に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、優れた溶融成形性と帯電防止性、帯電防止剤のブリードアウト抑制、泡や異物などの欠点抑制を兼ね備えたポリエステル樹脂組成物およびその製造方法を提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、Rが1013Ω/□以下であることが必要である。Rとは、5cm×5cmの白十字ガーゼを4枚重ね、純度98%以上のエタノール5mLを均一に染み込ませた後、10cm×10cmのシート状のポリエステル樹脂組成物に対して500gの重みで該ガーゼを10往復し、25℃、60RH%にて24時間静置した後、測定するシート状ポリエステル樹脂組成物の表面比抵抗値である。上記上限以下とすることで、帯電防止性に優れる。Rとしては、1012Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは1011Ω/□以下である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ΔLogRが2.0以下であることが必要である。ΔLogRとは、シート状のポリエステル樹脂組成物を25℃、60RH%にて24時間静置した後、表面比抵抗測定機にて測定した表面比抵抗Rと上記Rの対数の差である、Log10(R)−Log10(R)で評価する。
ΔLogRは帯電防止剤のブリードアウトが少ない程小さく、ΔLogRを上記上限以下とすることで、帯電防止性に優れ、かつ他物品に接触したときに、物品への帯電防止剤成分の転写を抑制でき、物品の汚染を抑制できる。例えばフィルムの溶融成形時において、キャストロールや搬送ロールへの帯電防止剤の転写を抑制でき、フィルム表面の品位やロール清掃回数低減により生産性が良好になる。また、例えば工程フィルムとして使用する場合、製品への帯電防止剤の転写による製品の汚染を抑制できる。ΔLogRとしては、1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.0以下である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ΔIVが0.15以下であることが必要である。ΔIVとは、ポリエステル樹脂組成物のIVと、該ポリエステル樹脂組成物を窒素雰囲気290℃60分間溶融後のIVの差である、IV−IVで算出する。ΔIVを上記上限以下とすることで、例えばフィルムの溶融成形時において、口金吐出の安定性が増すため、厚みムラを抑制でき、他の原料と積層した場合は積層ムラを抑制でき、帯電防止性を均一に付与することが可能となる。また成形後の機械特性が良好であるため、加熱延伸加工が可能となる。さらに、溶融成形時に分解物による異物や泡の発生による欠点の発生を抑制できる。ΔIVとしては、溶融成形性の観点から0.10以下であることが好ましく、より好ましくは0.05以下である。
本発明におけるポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸成分とジオール成分とを主原料として重縮合して得られるポリエステル樹脂を指す。主原料とは、樹脂中のジカルボン酸成分およびジオール成分から得られる構成単位が、合計で70モル%以上であることを示す。より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
本発明におけるジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸類、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。その中でも、ポリエステル樹脂組成物の溶融成形性や、加工性の観点から、芳香族ジカルボン酸成分であることが好ましい。さらには、ジカルボン酸成分として95mol%以上が芳香族ジカルボン酸成分であることが耐酸化分解性の点から好ましく、中でもテレフタル酸であることが溶融成形性と加工性の両立の点から好ましい。
本発明におけるジオール成分としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香環式ジオールが挙げられる。またゲル化しない範囲で、ジオール以外にもトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。特に、ジオール成分として80モル%以上が脂肪族ジオールであることが好ましい。その中でも、例えば、組成物をフィルムにした際の伸度および柔軟性といった機械的特性の観点からエチレングリコールが特に好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂は、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分を含むことが好ましい。具体的には、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、ポリエチレンオキシドグリコール、ポリ(1、2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1、3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重合体などが挙げられ、中でも、ポリエチレンオキシドグリコールが好ましく用いられる。
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量としては、1000以上10000以下であることでポリエステル樹脂組成物中でのポリ(アルキレンオキシド)グリコールの分散性が向上し、帯電防止性の向上、帯電防止剤のブリードアウト抑制、また溶融成形時(フィルムなど)の口金からの吐出安定性も良好となるため好ましい。また、ポリエステル樹脂組成物中でのポリ(アルキレンオキシド)グリコールの分散性が向上することで、透明性の高い成形体を得られやすく、より広い用途で好適に用いることができるため好ましい。より好ましい数平均分子量の下限は2000以上であり、上限は6000以下であることがより好ましい。
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの含有量としては、1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。上記下限以上とすることで、帯電防止性に優れ、帯電防止剤のブリードアウトを抑制でき、上記上限以下とすることで、溶融成形性と機械物性が良好となり好ましい。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの含有量の下限として帯電防止性の観点から、2wt%以上であることがより好ましい。上限は、ポリエステル樹脂組成物の機械特性や溶融成型性の観点から10wt%以下であることがより好ましい。
なお、本発明の効果の範囲を損なわない程度に、他のジカルボン酸やヒドロキシカルボン酸誘導体、ジオールが共重合されていてもよい。各成分において、共重合成分を5mol%以下とすることにより融点降下による耐熱性の低下、結晶性の低下を抑制できる点で好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂は、良好な帯電防止性を付与でき、ブリードアウトが少ない帯電防止剤として、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩を含むことが好ましい。パーフルオロアルカンスルホンイミド塩とは、式(1)で表される。
Figure 2020050766
(1)
式中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のパーフルオロアルキル基を表し、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表す。nは該当する金属の価数と同数の整数を示す。
アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、アルカリ土類金属としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)が挙げられ、この中でもイオン密度が高くポリエステル樹脂組成物中の含有量を少なく抑えることができる点から、アルカリ金属が好ましく、さらに好ましくは、Li、Na、Kであり、溶融成形性の観点からは特にKおよびNaが好ましい。
パーフルオロアルカンスルホンイミドとしては、トリフルオロメタンスルホニルイミド、ペンタフルオロエタンスルホニルイミド、ヘプタフルオロプロパンスルホニルイミド、ノナフルオロブタンスルホニルイミドが挙げられる。この中でも、溶融成形性、帯電防止性、帯電防止剤のブリード抑制の観点からトリフルオロメタンスルホニルイミドが好ましい。
パーフルオロアルカンスルホンイミド塩として、具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドマグネシウム、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム、カリウム ノナフルオロ−N−[(トリフルオロメタン)スルホニル]ブタンスルホニルアミド、ナトリウム ノナフルオロ−N−[(トリフルオロメタン)スルホニル]ブタンスルホニルアミド、リチウム ノナフルオロ−N−[(トリフルオロメタン)スルホニル]ブタンスルホニルアミドなどが挙げられる。溶融成形性、帯電防止性、帯電防止剤のブリード抑制の観点から特に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムであることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩の含有量としては、1wt%以上10wt%以下であることが好ましい。上記下限以上とすることで、帯電防止性を向上でき、上記上限以下とすることで、溶融成形性と機械物性を良好にすることができる。パーフルオロアルカンスルホンイミド塩の含有量の下限として帯電防止性の観点から、1.5wt%以上であることがより好ましい。上限は、帯電防止剤のブリードアウト抑制、ポリエステル樹脂組成物の機械特性や溶融成形性の観点から8wt%以下であることがより好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、フェノール系酸化防止剤を含有することが溶融成形性を向上できる点で好ましい。フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等が挙げられ、中でもペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]はポリエステル樹脂組成物中への分散性が良好であるため好ましい。酸化防止剤の含有量としては、0.01wt%以上0.5wt%以下であることが好ましい。含有量が上記範囲である場合、溶融成形性が良好であり、酸化防止剤による着色や異物発生を抑制できる。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)の総含有量M(単位モル/トン)と、リンの含有量P(単位モル/トン)の比であるM/Pが0.5以上であることが溶融成形性を向上できる点で好ましい。M/Pが上記下限以上となることで、溶融時のポリエステルの熱分解を抑制でき、また例えばフィルムに成形するときの静電印加性が向上するため、表面特性に優れたフィルムを得ることができる点で好ましい。溶融成形性の観点から、M/Pは0.7以上がさらに好ましい。
マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)の総含有量Mは0.1モル/トン以上30モル/トン以下であることが好ましい。Mが上記下限以上であることで、溶融成形性が良好となり、Mが上記上限以下であることで、異物の発生を抑制できる。
リンの含有量Pは、上記M/Pの好ましい範囲内であれば特に制限はないが、溶融成形性や異物低減の点から0.1モル/トン以上10モル/トン以下であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、塩基性化合物を含有することが溶融成形性を向上できる点で好ましい。塩基性化合物は、金属水酸化物であることが好ましく、アルカリ金属水酸化物であることがさらに好ましく、その中でも水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムは着色や異物発生を抑制できる点で特に好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩の含有量S(単位:モル/トン)と塩基性化合物の含有量K(単位:モル/トン)の比であるK/Sが0.001以上0.1以下であることが溶融成形性の向上と帯電防止剤のブリード抑制の点で好ましく、下限は0.005以上がさらに好ましく、上限は0.05以下であることがさらに好ましい。
塩基性化合物の含有量Kは、上記K/Sの好ましい範囲内であれば特に制限はないが、溶融成形性や異物低減の点から0.1モル/トン以上15モル/トン以下であることが好ましい。
次に、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法について記載する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、全ポリエステルに対し、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール1〜20wt%、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩1〜10wt%、および塩基性化合物10〜400ppmを配合することで得られる。
本発明においてポリ(アルキレンオキシド)グリコール、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩、および塩基性化合物をポリエステルに導入する方法としては、例えば、ポリエステル重縮合反応が完結するまでにそれぞれの化合物を添加する方法、溶融ポリエステル中へそれぞれの化合物を添加混錬する方法、それぞれの化合物を含む複数のポリエステルを溶融混錬する方法などが挙げられる。中でも、ポリエステル重合反応が完結するまでにポリ(アルキレンオキシド)グリコール、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩、および塩基性化合物を添加する方法が、余分な工程を必要としないため製造コストを低く抑えることができ、また各化合物のポリエステル樹脂組成物中への分散性が良好で帯電防止性を向上でき、帯電防止剤のブリードアウトを抑制できるため、好ましい。
ポリエステル重縮合反応は、ジカルボン酸成分またはそのエステルとジオール成分を主原料とし、次の2段階の工程からなる。すなわち、(A)エステル化反応、または(B)エステル交換反応からなる1段階目の工程と、それに続く(C)重縮合反応からなる2段階目の工程である。
本発明のポリエステル組成物を製造する原料は、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとジオール成分を用いることができ、それぞれは1種類でも、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニル4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、ダイマー酸、またはこれらのアルキルエステルなどが挙げられる。本発明でいうジカルボン酸エステルとは、先に述べたジカルボン酸の低級アルキルエステル、酸無水物、アシル塩化物などであり、メチルエステル、エチルエステル、ヒドロキシエチルエステルなどが好ましく用いられる。本発明のジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしてより好ましい態様は、融点が高く、フィルムや繊維などに加工しやすいポリエステル樹脂組成物を得ることができる点で、テレフタル酸またはそのエステルである。
ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノールなどの脂環式ジオール、2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、イソソルビドなどの環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、その他パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香環式ジオールが例示できる。またジオール以外にも本発明の効果を損なわない範囲で、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。本発明の効果を十分果たすことができる点、およびフィルムや繊維などに加工しやすいポリエステル樹脂組成物を得ることができる点でエチレングリコールが好ましい。
ポリエステル重縮合反応において、1段階目の工程のうち、(A)エステル化反応の工程は、ジカルボン酸成分とジオール成分とを所定温度でエステル化反応させ、所定量の水が留出するまで反応をおこない、低重合体を得る工程である。エステル化反応により低重合体を得る場合、エステル化反応性、耐熱性の観点から、エステル化反応開始前のジカルボン酸成分とジオール成分のモル比(ジオール成分/ジカルボン酸成分)は、1.05以上1.40以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは1.05以上1.30以下、さらに好ましくは1.05以上1.20以下である。上記範囲とすることで、良好な反応性を有し、またジオール成分の2量体などの副生成物の生成を抑制できることから、溶融成形性を良好にすることができる。
また(B)エステル交換反応の工程は、ジカルボン酸アルキルエステルとジオール成分とをエステル交換反応させ、所定量のアルコールが留出するまで反応をおこない、低重合体を得る工程である。エステル交換反応にて低重合体を得る場合、反応性、耐熱性の観点から、ジカルボン酸アルキルエステルとジオール成分のモル比(ジオール成分/ジカルボン酸アルキルエステル)は1.7以上2.3以下の範囲であることが好ましい。上記範囲とすることで、エステル交換反応を効率的に進行させることができ、ジオール成分の2量体の副生を抑えることができることから、溶融成形性を良好にすることができる。
2段階目の工程のうち、(C)重縮合反応は、(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応で得られた低重合体からポリエステル樹脂組成物を得る工程である。
また、本発明の製造方法は、バッチ重合、半連続重合、連続重合が適用できる。
ポリエステル重縮合反応において、(A)エステル化反応に用いられる触媒は、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウムなどの化合物を用いても構わないが、重縮合反応段階での熱分解や異物の発生などの観点から、エステル化反応は無触媒で実施することが好ましい。ここで、(A)エステル化反応は無触媒においてもカルボン酸の自己触媒作用によって、反応は十分に進行する。また、(B)エステル交換反応に用いられる触媒としては、公知のエステル交換触媒を用いることができる。エステル交換触媒としては、有機マンガン化合物、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機コバルト化合物、有機リチウム化合物などが挙げられ、具体的には、炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酸化物、水酸化物などがあるが、これに限定されるものではない。
また、(C)重縮合反応に用いられる触媒は、公知の重縮合触媒を用いることが出来る。例えば、アンチモン、チタン、アルミニウム、スズ、ゲルマニウムなどの化合物などが挙げられる。アンチモン化合物としては、アンチモンの酸化物、アンチモンのカルボン酸塩、アンチモンアルコキシドなどが挙げられる。チタン化合物としては、チタンキレート錯体、チタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物などが挙げられる。アルミニウム化合物としては、カルボン酸アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート化合物、塩基性アルミニウム化合物などが挙げられる。スズ化合物としては、アルキル基を持つスズ化合物、ヒドロキシル基を持つスズ化合物などが挙げられる。ゲルマニウム化合物としては、ゲルマニウムの酸化物、ゲルマニウムアルコキシドなどが挙げられる。上記の重縮合触媒化合物は、水和物であってもよい。この中でも、重合時間および色調、製造コストの観点から、アンチモン化合物またはチタン化合物を重縮合反応触媒として用いることが好ましい。
本発明の製造方法において、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールを1wt%以上20wt%以下配合することが必要である。上記下限以上とすることで、帯電防止性に優れ、帯電防止剤のブリードアウトを抑制でき、上記上限以下とすることで、溶融成形性と機械物性が良好となる。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの配合量の下限として帯電防止性、帯電防止剤のブリードアウト抑制の観点から、2wt%以上であることが好ましい。上限は、ポリエステル樹脂組成物の機械特性や溶融成型性の観点から10wt%以下であることが好ましい。
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの種類については、先に記載のとおりであるが、特にポリエチレンオキシドグリコールが帯電防止性や帯電防止剤のブリードアウト抑制の観点から好ましく用いられる。
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量としては、1000以上10000以下であることでポリエステル樹脂組成物中でのポリ(アルキレンオキシド)グリコールの分散性が向上し、帯電防止性の向上、帯電防止剤のブリードアウト抑制、また溶融成形時(フィルムなど)の口金からの吐出安定性も良好となる傾向にあり好ましい。また、ポリエステル樹脂組成物中でのポリ(アルキレンオキシド)グリコールの分散性が向上することで、透明性の高い成形体を得られやすく、より広い用途で好適に用いることができるため好ましい。より好ましい数平均分子量の下限は2000以上であり、上限は6000以下であることがより好ましい。
ポリエステル重縮合反応において、ポリアルキレンオキシドグリコールは、ジオール成分として(A)エステル化反応、または(B)エステル交換反応からなる1段階目の工程と、それに続く(C)重縮合反応からなる2段階目の工程のいずれの段階で添加してもよいが、溶融成形性を良好にすることができる点で(C)重縮合反応からなる2段階目の工程にて添加されることが好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂は、帯電防止剤としてパーフルオロアルカンスルホンイミド塩を1wt%以上10wt%以下配合することが必要である。上記下限以上とすることで、帯電防止性を向上でき、上記上限以下とすることで、溶融成形性と機械物性を良好にすることができる。パーフルオロアルカンスルホンイミド塩の配合量の下限は、帯電防止性の観点から、1.5wt%以上であることが好ましく、上限は、帯電防止剤のブリードアウト抑制、ポリエステル樹脂組成物の機械特性や溶融成形性の観点から8wt%以下であることが好ましい。
パーフルオロアルカンスルホンイミド塩の種類については、先に記載のとおりであるが、溶融成形性、帯電防止性、帯電防止剤のブリードアウト抑制の観点から特に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムであることが好ましい。
ポリエステル重縮合反応において、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩は、ジオール成分として(A)エステル化反応、または(B)エステル交換反応からなる1段階目の工程と、それに続く(C)重縮合反応からなる2段階目の工程のいずれの段階で添加してもよいが、重合反応性や溶融成形性を良好にすることができる点で(C)重縮合反応からなる2段階目の工程にて添加されることが好ましい。特に、後述する塩基性化合物の添加と同時、または塩基性化合物の添加より後に添加されることが、重合反応性を良好に出来るため好ましい。
本発明の製造方法において、塩基性化合物は、10ppm以上400ppm以下配合することが必要である。上記範囲内とすることで、溶融成形性、帯電防止剤のブリードアウト抑制、機械物性が良好となる。塩基性化合物の配合量の下限として溶融成形性の観点から、20ppm以上であることが好ましい。上限は、ポリエステル樹脂組成物の機械特性や溶融成型性の観点から200ppm以下であることが好ましい。塩基性化合物は、金属水酸化物であることが好ましく、アルカリ金属水酸化物であることがさらに好ましく、その中でも水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムは着色や異物発生を抑制できる点で特に好ましい。
本発明の製造方法において、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩の配合量T(単位:モル/トン)と塩基性化合物の配合量L(単位:モル/トン)の比であるL/Tが0.001以上0.2以下であることが溶融成形性の向上と帯電防止剤のブリードアウト抑制の点で好ましく、下限は0.005以上がさらに好ましく、上限は0.1以下であることがさらに好ましい。
ポリエステル重縮合反応において、塩基性化合物は、(A)エステル化反応、または(B)エステル交換反応からなる1段階目の工程と、それに続く(C)重縮合反応からなる2段階目の工程のいずれの段階で添加してもよいが、ポリエステル樹脂組成物中での分散性を良好にすることができる点で(C)重縮合反応からなる2段階目の工程にて添加されることが好ましい。
ポリエステル重縮合反応において、塩基性化合物は、その添加態様、形式およびポリエステル組成物中での形態は問わないが、金属水酸化物であることが好ましく、アルカリ金属水酸化物であることがさらに好ましい。アルカリ金属水酸化物を用いると、より色調の優れるポリエステル組成物が得られる。その中でも、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムが特に好ましい。水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを用いると、特に溶融成形性に優れるポリエステル樹脂組成物が得られる。溶媒は水、あるいはポリエステルの原料であるグリコールなどを用いることができるが、取り扱い性、得られたポリエステルの品質などの点からポリエステルの原料と同じグリコールが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレートであればエチレングリコールを用いることが好ましい。
本発明の製造方法において、フェノール系酸化防止剤を配合することが溶融成形性をさらに高めることができる点で好ましい。本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法で用いるフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF製、Irganox1010)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸(サンケミカル社製、サイアノックスCY1790)等が挙げられ、中でもIrganox1010はポリエステル樹脂組成物中への分散性が良好となるため好ましい。酸化防止剤の配合量としては、0.01wt%以上1.0wt%以下であることが好ましい。添加量が上記範囲である場合、溶融成形性を向上でき、酸化防止剤による着色や異物発生を抑制できる。
ポリエステル重縮合反応において、(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応終了から、(C)重縮合反応終了までの間にフェノール系酸化防止剤を添加することが好ましい。上記範囲にて添加することで、ポリエステル樹脂組成物の製造工程における酸化防止剤の失活を抑制し、ポリエステル樹脂組成物中の分散性が良好になることで、熱分解を効果的に抑制できる。
本発明の製造方法において、Mg、Mn、Ca、Zn、Coの総配合量N(単位モル/トン)と、リンの配合量Q(単位モル/トン)の比であるN/Qが0.5以上となるように配合することが溶融成形性を向上できる点で好ましい。N/Qが上記下限以上となることで、溶融時のポリエステルの熱分解を抑制でき、また例えばフィルムに成形するときの静電印加性が向上するため、表面特性に優れたフィルムを得ることができる点で好ましい。溶融成形性の観点から、N/Qは0.7以上がさらに好ましい。
Mg、Mn、Ca、Zn、Coの総配合量Nは0.1モル/トン以上30モル/トン以下となるように配合することが好ましい。Nが上記下限以上であることで、溶融成形性が良好となり、Nが上記上限以下であることで、異物の発生を抑制できる。
リンの配合量Qは、上記M/Pの好ましい範囲内であれば特に制限はないが、溶融成形性や異物低減の点から0.1モル/トン以上10モル/トン以下となるように配合することが好ましい。
ポリエステル重縮合反応において、Mg、Mn、Ca、Zn、Co、リンを含む化合物は(A)エステル化反応、または(B)エステル交換反応からなる1段階目の工程と、それに続く(C)重縮合反応からなる2段階目の工程のいずれの段階で添加してもよいが、ポリエステル樹脂組成物中での分散性を良好にすることができる点で(C)重縮合反応からなる2段階目の工程にて添加されることが好ましい。
本発明の製造方法において、高分子量のポリエステル組成物を得るため、固相重合を行ってもよい。固相重合は、装置・方法は特に限定されないが、ポリエステル組成物を不活性ガス雰囲気下または減圧下で加熱処理されることで実施される。不活性ガスはポリエステル組成物に対して不活性なものであればよく、例えば窒素、ヘリウム、炭酸ガスなどを挙げることができるが、経済性から窒素が好ましく用いられる。また、減圧条件では、より高真空にすることが固相重合反応に要する時間を短くできるため有利であり、具体的には110Pa以下を保つことが好ましい。
本発明で得られたポリエステル組成物は、公知の成形加工方法で成形することができ、フィルム、繊維、ボトル、射出成形品など各種製品に加工することができる。
本発明のポリエステル組成物を各製品に加工する際に、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、顔料および染料を含む着色剤、滑剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、核剤、可塑剤、離型剤などの添加剤を1種以上添加することもできる。
以下、本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法の具体例を挙げるが、これに制限されない。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレートが仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸とエチレングリコール(テレフタル酸に対し1.15倍モル)のスラリーをスネークポンプにて徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とする。
こうして得られた255℃のエステル化反応物を重合装置に移送し、ポリアルキレンオキシドグリコール、フェノール系酸化防止剤、Mg、Mn、Ca、Zn、Coを含む化合物、リン化合物、重縮合触媒、塩基性化合物を添加する。その後、パーフルオロアルキルスルホンイミド塩を添加する。これらの操作の際は、エステル化物が固化しないように、反応系内の温度を240〜255℃に保つことが好ましい。
その後、重合装置内の温度を290℃まで徐々に昇温しながら、重合装置内の圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させる。所定の撹拌トルクに到達した段階で反応を終了とし、反応系内を窒素ガスで常圧にし、溶融ポリマーを冷水中にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂組成物を得る。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、溶融成形性と帯電防止性に優れ、帯電防止剤のブリードや泡や異物などの欠点が少ない。したがって、フィルム、繊維、成形体など各種用途に好適に用いることができ、特に表面特性が製品として重要である光学フィルムや離型フィルムなどの高品位フィルムに用いることが可能である。
本発明のポリエステルフィルムとしては、未延伸フィルムや一軸延伸フィルム、逐次二軸延伸フィルム、同時二軸延伸フィルムなどのフィルム状成形体が挙げられる。中でも、一軸方向以上に延伸されたフィルムが好ましい。さらに好ましくは、特に表面特性が製品として重要である光学フィルムや離型フィルムなどの高品位フィルムがよい。
このようにして得られたポリエステルフィルムは、上記の如く、必要に応じて一軸以上に延伸することができる。好適な例を挙げれば、溶融押出後のフィルムを縦方向および横方向に延伸することにより、強度を付与することができる。さらに縦方向および横方向に段階的に延伸してさらに強度を付与してもよい。
本発明のポリエステルフィルムとしては、本発明のポリエステル樹脂組成物から構成される単膜フィルムでも、本発明のポリエステル樹脂組成物を少なくとも1層有する積層フィルムでもよい。特に積層フィルムの場合は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる層を少なくとも片表面に有する積層フィルムが好ましい。本発明のポリエステル樹脂組成物からなる層がフィルム表面に存在する場合、帯電防止性を効果的に発現できるため好ましい。
以下実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。以下記載する方法は、本発明のポリエステル樹脂組成物ペレットなど単成分の場合の測定方法を記載しているが、積層フィルムなどのように複数樹脂からなる成形体の場合、各層の樹脂を削り出すなどして単離し、分析を行う。
(1)ポリエステル樹脂組成物の固有粘度(IV、IV、ΔIV)
オルトクロロフェノール10mlに、測定試料を100℃で溶解させ(溶液濃度C(測定試料重量/溶液体積)=0.08g/mL)、粘度計を用いてその溶液の25℃での粘度を測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(α)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度とした。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C (α)
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、以下の(i)〜(iv)の方法を用いて測定を行った。
(i)オルトクロロフェノール10mLに測定試料を溶解させ、溶液濃度が0.08g/mLよりも濃い溶液を作成する。ここで、オルトクロロフェノールに供した測定試料の重量を測定試料重量とする。
(ii)次に、不溶物を含む溶液を濾過し、不溶物の重量測定と、濾過後の濾液の体積測定を行う。
(iii)濾過後の濾液にオルトクロロフェノールを追加して、(測定試料重量(g)−不溶物の重量(g))/(濾過後の濾液の体積(mL)+追加したオルトクロロフェノールの体積(mL))が、0.08g/mLとなるように調整する。
(例えば、測定試料重量1.00g/溶液体積10mLの濃厚溶液を作成したときに、該溶液を濾過したときの不溶物の重量が0.02g、濾過後の濾液の体積が9.9mLであった場合は、オルトクロロフェノールを5.1mL追加する調整を実施する。((1.00g−0.20g)/(9.9mL+0.1mL)=0.08g/mL))
粘度計を用いて(iv)(iii)で得られた溶液の25℃での粘度を測定し、得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、上記式(α)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度とする。
なお、粘度計は次の自動粘度計装置を使用した。
VMR−052UPC・F10((株)離合社製)。
試料8gを温度160℃、1Torr以下で8時間真空乾燥し、窒素雰囲気下、温度290℃で60分間溶融して、氷浴中で急冷し溶融処理試料を得た。溶融処理前の固有粘度IVと、溶融処理試料後の固有粘度IVを求め、ΔIV(IV−IV)を算出した。
(2)ポリエステル樹脂組成物のMg、Mn、Ca、Co、Znおよびリン、アルカリ金属元素含有量
試料1gを白金皿にとり、700℃にて1.5hrかけて完全に灰化させ、つぎに灰化物を0.25N塩酸水溶液20mLに溶かし、0.1N塩酸水溶液となるように純水を加え、測定試料とした。
上記の溶液Aを測定試料として、原子吸光分析法(フレーム:アセチレン−空気)にて定量を行った。測定吸光度が1.0を超える場合、0.1N塩酸水溶液を用いて希釈して、測定吸光度が1.0を超えない濃度で定量を行った。
なお、原子吸光分光光度計は次の装置を使用した。
AA−6300(島津製作所(株)製)。
(3)ポリエステル樹脂組成物の組成分析(ポリアルキレンオキシドグリコールの含有量および数平均分子量、パーフルオロアルキルスルホンイミド塩の含有量、フェノール系酸化防止剤の含有量)
測定試料を重ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒に溶解し、H−NMR観察し、各ピークを帰属し、その積分比から、ポリアルキレンオキシドグリコール成分の含有量(wt%)およびその数平均分子量、パーフルオロアルキルスルホンイミド塩の含有量(wt%)、フェノール系酸化防止剤の含有量(wt%)を求めた。
なお、1H−NMR測定器は次の装置を使用した。
GSX−400(日本電子(株)製)。
(4)二軸延伸フィルムの作成方法
ポリエステル樹脂組成物を160℃で8時間真空乾燥し、押出機に投入し、280℃で溶融押出し、フィルターを経て口金に移送した。次に口金から押出されたシート状の溶融物を静電印加により、表面温度25℃の冷却ドラム上に冷却固化させたシート状の未延伸フィルムを作成した。未延伸フィルムを延伸ロールにて、95℃で縦方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルムを作成した。さらにこの一軸延伸フィルムを115℃熱風雰囲気下で幅方向に3.5倍延伸後、200℃で熱固定し、厚み20μmの二軸延伸フィルム状のポリエステル樹脂組成物を作成した。
(5)ポリエステル樹脂組成物の表面比抵抗値(R、R、ΔLogR)
上記(4)にて作成した二軸延伸フィルムを、25℃、60RH%の室内にて24時間静置して、測定試料とした。測定は3回場所を変えて行い、表面比抵抗値の常用対数で平均を算出した。
なお、表面比抵抗測定条件は以下の通りである。
メーカー:(株)アドバンテスト
デジタル超高抵抗/微少電流計:8340A
レジスティビティ・チェンバ:12704A
印加電圧:500V。
5cm×5cmのガーゼ(白十字(株)製)を4枚重ね、純度98%以上のエタノール5mLを均一に染み込ませた後、上記(4)にて作成した二軸延伸フィルムを10cm×10cmのサイズとして、この二軸延伸フィルムに対して500gの重みで該ガーゼを10往復し、フィルムの表面比抵抗値Rを測定した。エタノールを染み込ませたガーゼによる処理をする前の表面比抵抗値Rと、上記Rの対数の差である、ΔLogR(Log10(R)−Log10(R))を算出した。
(6)帯電防止剤のブリードアウト量
上記(4)にて作成した5cm×5cmの二軸延伸フィルムを150℃で3時間乾燥し、80φシャーレに5mLメタノールを入れ、乾燥後のプレスシートを10分浸す。10分後、プレスシートを取り出し、メタノール溶液を液体クロマトグラフィー(以降LCと記す)の試料とした。メタノール中に含まれる帯電防止剤量(ppm)はLC装置を用いて求め、帯電防止剤のブリード量とした。帯電防止剤のブリードアウト量がそれぞれ、50ppm以上を「×」、10ppm以上50ppm未満を「○」、10ppm未満を「◎」として評価した。
LC測定条件は以下の通りである。
メーカー:(株)島津製作所
機種名:LC20A
カラム:Inertsil OSD−3 3.0×250mm、5μm(GLサイエンス)
移動相:A(0.1%リン酸水溶液)、B(アセトニトリル)
タイムプログラム:移動相のB成分率について以下のように変更した。
0分から15分 B:15%
15分から16分 B:15→30%
16分から35分 B:30→80%
35分から40分 B:80→100%
40分から45分 B:100%
流量:0.8mL/分
注入量:10μL
カラム温度:45℃。
(7)溶融成形性
上記(4)の二軸延伸フィルムの作成を行い、口金からの吐出状態を観察して、厚みムラが大きく製膜できない場合「×」、厚みムラはあるが製膜できる場合「△」、厚みムラはほとんどなく製膜できる場合「○」、均一に吐出され製膜できる場合「◎」として評価した。
(8)帯電防止性
上記(4)にて作成した二軸延伸フィルムをロール状に巻き取り、その後20m/分の速さで20m巻き出しを行い、巻き出し部を観察して、放電が発生した場合「×」、放電はないが巻き出し後フィルム同士の張りつきがある場合「○」、放電がなく巻き出し後フィルム同士の張りつきもない場合「◎」として評価した。
(9)欠点量
上記(4)にて作成した二軸延伸フィルムを採取し、偏光板2枚の間にフィルムを置き、クロスニコル状態で目視にて検査を行い、フィルムの欠点を確認した。フィルム5mについて欠点を確認し、短径と長径の平均径が5μm以上の欠点について欠点量を求めた。欠点量の個数が、それぞれ5個/m以上を「×」、1個/m以上5個/m未満を「○」、1個/m未満を「◎」として評価した。
(10)透明性
上記(4)にて作成した二軸延伸フィルムの外観を観察し、以下のように判断した。
A:濁りなく透明である。
B:濁りあるが、透明である。
C:不透明である。
(実施例1)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート95重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸77重量部とエチレングリコール33重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
こうして得られた255℃のエステル化反応物95重量部(PET90重量部相当)を重合装置に移送し、80℃で溶融したポリエチレンオキシドグリコール(数平均分子量4000g/モル)8重量部、Irganox1010(BASF製)0.1重量部を添加し、5分撹拌後、酢酸マグネシウム1水和物0.03重量部のエチレングリコール溶液、三酸化二アンチモン0.03重量部のエチレングリコールスラリー、水酸化ナトリウム0.005重量部のエチレングリコール溶液を添加した。次いでビストリフルオロメタンスルホンイミドカリウム2重量部を添加した。その後、ホスホノ酢酸トリエチル0.03重量部のエチレングリコール溶液を添加した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.65相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水中にストランド状に吐出、チップ状にカッティングした。
得られたチップを160℃で8時間真空乾燥し、押出機に投入し、280℃で溶融押出し、フィルターを経て口金に移送した。次に口金から押出されたシート状の溶融物を静電印加により、表面温度25℃の冷却ドラム上に冷却固化させたシート状の未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを延伸ロールにて、95℃で縦方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルムを得た。さらにこの一軸延伸フィルムを115℃熱風雰囲気下で幅方向に3.5倍延伸後、200℃で熱固定し、厚み20μmの二軸延伸フィルム状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
実施例1で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融成形性および帯電防止性が良好で、帯電防止剤のブリードアウト量および欠点量が少なかった。また、得られた二軸延伸フィルムはやや濁りはあるが透明であった。
(実施例2〜5、比較例1〜2)
ポリアルキレンオキシドグリコールのポリエステルに対する配合量を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
実施例2〜5で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融成形性および帯電防止性が良好で、帯電防止剤のブリードアウト量および欠点量が少なかった。
実施例2および3で得られた二軸延伸フィルムは透明であった。
実施例4および5で得られた二軸延伸フィルムはやや濁りがあるが透明であった。
比較例1で得られたポリエステル樹脂組成物は、Rが1013Ω/□を超え帯電防止性が不十分であり、帯電防止剤のブリードアウト量と欠点量も増大した。
比較例2で得られたポリエステル樹脂組成物は、ΔIVが0.15を超えたため、溶融吐出時の厚みムラが大きく二軸延伸フィルムの取得ができず、未延伸フィルムにおける帯電防止剤のブリードアウト量と欠点量が増大した。
(実施例6〜9)
ポリアルキレンオキシドグリコールの分子量を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
実施例6〜9で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融成形性および帯電防止性が良好で、帯電防止剤のブリードアウト量および欠点量が少なかった。
実施例6および7で得られた二軸延伸フィルムは透明であった。
実施例8で得られた二軸延伸フィルムはやや濁りがあるが透明であった。
実施例9で得られた二軸延伸フィルムは不透明であった。
Figure 2020050766
(実施例10〜13、比較例3および4)
帯電防止剤のポリエステルに対する配合量を表2に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表2に示す。
実施例10〜13で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融成形性および帯電防止性が良好で、帯電防止剤のブリードアウト量および欠点量が少なかった。
実施例10で得られた二軸延伸フィルムは透明であった。
実施例11および12で得られた二軸延伸フィルムはやや濁りがあるが透明であった。
実施例13で得られた二軸延伸フィルムは不透明であった。
比較例3で得られたポリエステル樹脂組成物は、帯電防止剤を配合しておらず帯電防止性が不十分であった。
比較例4で得られたポリエステル樹脂組成物は、ΔIVが0.15を超えたため、溶融吐出時の厚みムラが大きく二軸延伸フィルムの取得ができず、未延伸フィルムにおける帯電防止剤のブリードアウト量と欠点量が増大した。
(実施例14および15、比較例5)
配合する帯電防止剤と塩基性化合物を表2に示す化合物に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表2に示す。
実施例14および15で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融成形性および帯電防止性が良好で、帯電防止剤のブリードアウト量および欠点量が少なかった。
実施例14で得られた二軸延伸フィルムは不透明であった。
実施例15および12で得られた二軸延伸フィルムはやや濁りがあるが透明であった。
比較例5で得られたポリエステル樹脂組成物は、Rが1013Ω/□を超え、ΔRogRが2.0を超えたため、帯電防止性が不十分であり、帯電防止剤のブリードアウト量が増大した。
Figure 2020050766
(実施例16〜19、比較例6および7)
塩基性化合物の配合量を表3に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例16〜19で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融成形性および帯電防止性が良好で、帯電防止剤のブリードアウト量および欠点量が少なかった。
実施例16〜19で得られた二軸延伸フィルムはやや濁りがあるが透明であった。
比較例6で得られたポリエステル樹脂組成物は、ΔIVが0.15を超えたため、溶融吐出時の厚みムラが大きく二軸延伸フィルムの取得ができず、未延伸フィルムにおける帯電防止剤のブリードアウト量と欠点量が増大した。
比較例7で得られたポリエステル樹脂組成物は、ΔIVが0.15を超えたため、溶融吐出時の厚みムラが大きく二軸延伸フィルムの取得ができず、未延伸フィルムにおける帯電防止剤のブリードアウト量と欠点量が増大した。
(実施例20および21)
配合する塩基性化合物を表3に示す化合物に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表2に示す。
実施例20および21で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融成形性および帯電防止性が良好で、帯電防止剤のブリードアウト量および欠点量が少なかった。また、得られた二軸延伸フィルムは透明であった。
(実施例22〜25)
酢酸マグネシウム一水和物の配合量を表3に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例22〜25で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融成形性および帯電防止性が良好で、帯電防止剤のブリードアウト量および欠点量が少なかった。
実施例22および25で得られた二軸延伸フィルムはやや濁りがあるが透明であった。
実施例23および24で得られた二軸延伸フィルムは透明であった。
Figure 2020050766
(参考例)ポリエステル樹脂A
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)を重合装置に移送し、酢酸マグネシウム1水和物0.03重量部のエチレングリコール溶液、三酸化二アンチモン0.03重量部のエチレングリコールスラリーを添加した。次いで、ホスホノ酢酸トリエチル0.03重量部のエチレングリコール溶液を添加した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.62相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水中にストランド状に吐出、チップ状にカッティングして、ポリエステル樹脂Aを得た。
(実施例26)
実施例5で得たチップとポリエステル樹脂Aのチップを50/50の重量比にて混合し、160℃で8時間真空乾燥し、押出機に投入し、実施例1と同様に、二軸延伸フィルム状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表4に示す。
実施例26で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融成形性および帯電防止性、帯電防止剤のブリード抑制、欠点抑制は良好であった。また、得られた二軸延伸フィルムは透明であった。
(実施例27)
実施例12で得たチップとポリエステル樹脂Aのチップを50/50の重量比にて混合し、実施例26と同様に、二軸延伸フィルム状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表4に示す。
実施例27で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融成形性および帯電防止性、帯電防止剤のブリード抑制、欠点抑制は良好であった。また、得られた二軸延伸フィルムはやや濁りがあるが透明であった。
Figure 2020050766

Claims (8)

  1. が1013Ω/□以下、ΔLogRが2.0以下、ΔIVが0.15以下であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
    (ここで、Rとは、5cm×5cmのガーゼを4枚重ね、純度98%以上のエタノール5mLを均一に染み込ませた後、10cm×10cmのシート状の該ポリエステル樹脂組成物に対して500gの重みで該ガーゼを10往復し、25℃、60RH%にて24時間静置した後、測定したシート状ポリエステル樹脂組成物の表面比抵抗値である。
    ΔLogRとは、シート状のポリエステル樹脂組成物を25℃、60RH%にて24時間静置した後、測定した表面比抵抗Rと上記Rの常用対数の差である、Log10(R)−Log10(R)である。
    ΔIVとは、ポリエステル樹脂組成物の固有粘度IVと、該ポリエステル樹脂組成物を窒素雰囲気290℃60分間溶融後の固有粘度IVの差である、IV−IVである。)
  2. ジカルボン酸またはジカルボン酸エステル成分およびジオール成分をエステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応するポリエステル樹脂組成物の製造方法において、重縮合反応終了までの段階で、ポリエステルに対し、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール1〜20wt%、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩1〜10wt%、塩基性化合物10〜400ppm配合することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  3. 重縮合反応終了までの段階でポリアルキレンオキシドグリコールおよびアルカリ化合物を添加し、塩基性化合物の添加と同時または添加後に、パーフルオロアルカンスルホンイミド塩を添加することを特徴とする請求項2に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  4. ポリアルキレンオキシドグリコールがポリエチレンオキシドグリコールである請求項2または3に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  5. ポリアルキレンオキシドグリコールの数平均分子量が1000〜10000g/モルである請求項2〜4に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  6. 塩基性化合物がKOHおよび/またはNaOHである請求項2〜5に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  7. パーフルオロアルカンスルホンイミド塩がカリウムを含むことを特徴とする請求項2〜6に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  8. パーフルオロアルカンスルホンイミド塩がビストリフルオロメタンスルホンイミドを含むことを特徴とする請求項2〜8に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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