JP2016050308A - ポリエステル組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高透明性及び良好な熱安定性を兼ね備え、更に良好なフィルム成型加工性を有するポリエステル樹脂及びその製造方法の提供。
【解決手段】原子数で換算してヨウ素0.01〜15mol/t、アルカリ金属0.1〜20mol/t、アルカリ土類金属又はマンガン0.1〜20mol/tを含むポリエステル樹脂。ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとジオールとをエステル化反応或いはエステル交換反応し、次いでアンチモン化合物を触媒として重縮合反応してポリエステル樹脂を製造するに際し、ヨウ素、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はマンガン及びリンを含む化学物質を添加すること、更にヨウ素の添加後にアンチモン触媒を添加するポリエステル樹脂の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高透明性および良好な熱安定性を兼ね備え、さらにフィルム成型加工性を有するポリエステル組成物およびその製造方法に関するものである。
ポリエステルは機械的強度、化学的安定性、透明性に優れ、かつ安価であるため、フィルム、繊維、ボトル、シート、容器などとして多く使用されている原料のひとつである。
通常、ポリエステルは、チップ化したあとに再溶融して成型加工するが、この際に250℃以上の熱履歴を受けると、ゲル化による異物発生により、成型機の口金汚れの増加、製造工程上のフィルター詰まりなどの好ましくない現象が発生する課題がある。
ポリエステルの熱安定性を向上するため、金属塩などを使用することは多いが、大量の金属塩の使用に伴い、ポリエステルの色調悪化および透明性劣化の課題があり、良好な熱安定性と高透明性の両立が求められている。
また、ポリエステルを用いるフィルム製膜時にはポリエステルの成型加工性が求められ、成型加工性が欠けていると、製膜時にはトラブルの多発により、フィルターの寿命は短くなる課題がある。
これらの課題に対して、以下の文献に示されるような検討がされてきている。
特許文献1では、銅塩およびハロゲン化物の少なくとも1つを有する二軸延伸ポリエステルフィルムが開示され、銅塩やヨウ化物を加えることでポリエステルフィルムの熱安定性が向上することが記載されている。しかし、銅塩を含有させる場合に、溶液ヘイズは高くなり、しかも製膜時にフィルム成型加工性が足りない懸念があり、その改善が求められている。
特許文献2では、ヨウ素および/またはヨウ素化合物を用いて、ポリエステルの透明性および色調が改善されたが、熱安定性についての改良には至っていない。
特許文献3には、ヨウ化第一銅を含有しているポリエステルフィルムが開示されており、ヨウ化第一銅を含有させることにより、熱安定性が向上することが記載されている。しかし、銅化合物の使用により溶液ヘイズが高くなり、かつ製膜時のポリエステルの成型加工性に劣る課題がある。
特開2010−265459号公報 特開昭58−2323号公報 特開昭62−177057号公報
本発明の目的は、高透明性および良好な熱安定性を兼ね備え、さらにフィルム成型加工性を有するポリエステル組成物およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、高透明性および良好な熱安定性を兼ね備え、さらにフィルム成型加工性を有するポリエステル組成物およびその製造方法を見出し、本発明に到達した。
本発明の目的は以下の手段によって達成される。
(1)ポリエステル組成物に対して、ヨウ素元素0.01〜15mol/t、アルカリ金属元素0.1〜20mol/t、およびアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素0.1〜20mol/tを含むポリエステル組成物。
(2)溶液ヘイズが10%以下である(1)に記載のポリエステル組成物。
(3)リン元素0.1〜10mol/tを含有し、アルカリ金属元素の含有量M、アルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素の含有量Mとリン元素含有量Pのモル比が、式(I)で表される関係を満たすことを特徴とする(1)または(2)に記載のポリエステル組成物。
0.3≦M/P≦4.5 (I)
M=(M+M/2)
(4)酸素1%と窒素99%の雰囲気下、300℃で6時間処理した後に測定されたゲル化率が10%以下である(1)〜(3)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
(5)アルカリ金属元素がカリウムである(1)〜(4)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
(6)ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルおよびジオールをエステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応してポリエステル組成物を製造するに際して、重縮合反応完結前にヨウ素元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素/マグネシウム元素/マンガン元素およびリン元素を含む化学物質を添加することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
(7)アンチモン化合物を重縮合反応触媒として用い、アンチモン化合物をヨウ素元素を含む化学物質添加の後に添加することを特徴とする(6)のポリエステル組成物の製造方法。
本発明により、高透明性および良好な熱安定性を兼ね備え、さらにフィルム成型加工性を有するポリエステル組成物およびその製造方法を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル組成物を構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分およびジオール成分からなるものであり、中でも、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、またはこれらのエステル、ジオール成分としてエチレングリコールを用いて得られるものであって、本発明の効果を十分奏する点からポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明のポリエステルは本発明の効果を損なわない範囲で主構成成分以外の共重合成分が含まれていてもよい。
本発明のポリエステル組成物とは、ポリエステル組成物に対して、ヨウ素元素0.01〜15mol/t、アルカリ金属元素0.1〜20mol/t、およびアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素0.1〜20mol/tを含むポリエステル組成物である。
本発明のポリエステル組成物は、高透明性および良好な熱安定性を兼ね備え、さらにフィルム成型加工性を有するため、特定の量のヨウ素元素、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素を含有していることが重要である。これは、ヨウ素元素の作用による熱安定性の付与と、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素の作用による透明性とフィルム成型加工性の付与の両立効果が得れるからである。具体的には、ヨウ素元素の作用により、ポリマーの熱劣化の原因となる酸素ラジカルを捕捉し、ポリマーの劣化を防ぎ、ポリエステル組成物の熱安定性を向上させる。また、ポリマーにフィルム成型加工性を付与するには、特定の金属元素を含有することは重要であり、金属含有量が多いほど、フィルム成型加工性は向上するが、透明性が劣る。フィルム成型加工性と透明性を両立させるために、金属種の選択およびその含有量の制御は重要である。アルカリ金属元素群から選ばれる元素およびアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素群から選ばれる元素を併用することにより、フィルム成型加工性と透明性の両立ができる。
なお、本発明でいうヨウ素元素、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素を含有するとは、ポリエステル組成物が含有している各元素の含有量であってポリマー中での化学的な形態は問わない。
本発明のポリエステル組成物に含まれるヨウ素元素の量は、0.01mol/t以上15mol/t以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは、0.05mol/t以上10mol/t以下であり、さらに好ましくは、0.1mol/t以上7mol/t以下である。この範囲を満たすことで、良好な熱安定性を有するポリエステル組成物を提供することが可能である。ヨウ素元素の含有量は0.01mol/tより低いと、熱安定性向上効果は不十分となり、15mol/tより高いと、金属種の失活により、重合遅延および着色の可能性がある。
本発明のポリエステル組成物に含まれるアルカリ金属元素の量は、0.1mol/t以上20mol/t以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは、0.5mol/t以上15mol/t以下であり、さらに好ましくは、1.5mol/t以上10mol/t以下である。この範囲を満たすことで、透明性およびフィルム成型加工性を有するポリエステル組成物を提供することが可能である。アルカリ金属元素の含有量は上記範囲より低いと、フィルム成型加工性の向上効果はなく、上記範囲より高いと、内部粒子が形成しやすくなり、溶液ヘイズは高くなる。また、着色する可能性もある。
本発明のポリエステル組成物に含まれるアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素の合計量は、0.1mol/t以上20mol/t以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは、1mol/t以上4mol/t以下である。この範囲を満たすことで、透明性およびフィルム成型加工性を有するポリエステル組成物を提供することが可能である。アルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素の含有量は上記範囲より低いと、フィルム成型加工性を向上させることは困難であり、上記範囲より高いと、溶液ヘイズは高くなり、透明度に劣る可能性がある。
ポリエステル組成物の透明性およびフィルム成型加工性を両立させるため、金属種の選択およびその含有量の制御は重要である。アルカリ金属元素もしくはアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素を単独で用いるよりも、併用することにより、フィルム成型加工性と透明性の両立ができる。
本発明の特徴として、特定の量のヨウ素元素、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素を含有することにより、ポリエステル組成物に優れる熱安定性、さらに高透明性およびフィルム成型加工性を付与することを見出したものである。
本発明のポリエステル組成物の透明性は、該ポリエステル組成物の溶液ヘイズで評価する。溶液ヘイズが小さければ小さいほど、良好な透明性のポリマーとなる。
本発明のポリエステル組成物は溶液ヘイズが10%以下であることが好ましい。より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは1.5%以下である。この範囲を満たすことで、高透明性が要求されるフィルムなどに好適なポリエステル組成物を提供することが可能となる。本範囲より大きくなると、透明性が低下することから好ましくなく、透明性が低下することで成型品の透過光量が低下する。
本発明のポリエステル組成物は、良好な色調および熱安定性を付与するために、リン元素0.1mol/t以上10mol/t以下を含有していることが好ましい。より好ましくは、0.5mol/t以上5mol/t以下である。リン元素の含有量は上記範囲より低いと、着色する可能性があり、上記範囲より高いと、金属種失活の可能性がある。
さらに、本発明においては、ポリエステル組成物中のアルカリ金属元素の含有量M、アルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素の含有量Mとリン元素含有量Pのモル比が、式(I)で表される関係を満たすことは重要である。
0.3≦M/P≦4.5 (I)
M=(M+M/2)
M/Pを上記の数値範囲内にすることで、得られる組成物の透明性およびフィルム成型加工性が良好になる。M/Pの下限としては、0.3以上であることが好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。また、M/Pの上限としては、4.5以下であることが好ましく、3.0以下であることがさらに好ましい。M/Pが0.3以上の場合は、フィルム成型加工性は十分となる。一方、M/Pが4.5以下の場合は、金属成分による着色や分解もなく、溶液ヘイズも低く良好である。
本発明のポリエステル組成物の熱安定性は、該ポリエステル組成物を酸素1%かつ窒素99%雰囲気下、300℃で6時間加熱処理した際のゲル化率で評価する。ポリエステル組成物を再溶融する製膜工程においては、再溶融時のポリマーの熱劣化を抑制するために窒素パージを実施するが、製膜混練機の軸封部から、微量の酸素が混入する。本発明のゲル化率の測定条件はこの工程の窒素パージ下での製膜プロセスを想定した条件であり、ゲル化率が小さければ小さいほど、良好な製膜耐熱性を有するものとなる。
本発明のポリエステル組成物は、上記条件で処理した際のゲル化率が10%以下であることが好ましい。より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。この範囲を満たすことで、高熱安定性が要求されるフィルムなどに好適なポリエステル組成物を提供することが可能となる。
本発明のアルカリ金属はカリウムであることが好ましい。カリウムは他のアルカリ金属、例えばナトリウムなどに比較して溶液ヘイズが低く良好である。なお、カリウムより原子番号の大きいアルカリ金属は経済性の点から好ましくない。
本発明のジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとジオールを主原料として得られるポリエステル組成物の製造方法は、次の2段階の工程からなる。すなわち、(A)エステル化反応、または(B)エステル交換反応からなる1段階目の工程と、それに続く(C)重合反応からなる2段階目の工程である。
本発明のポリエステル組成物を製造する原料は、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとジオールを用いて得ることができ、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルおよびジオールをそれぞれ単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。中でも、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、またはこれらのエステルが好ましく、特にジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールを用いて得られるポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明のジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニル4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、ダイマー酸、ステアリン酸、またはそれらのアルキルエステルなどが挙げられる。本発明でいうジカルボン酸エステルとは、先に述べたジカルボン酸の低級アルキルエステル、酸無水物、アシル塩化物などであり、メチルエステル、エチルエステル、ヒドロキシエチルエステルなどが好ましく用いられる。本発明のジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしてより好ましい態様は、融点は高く、フィルムや繊維などに加工しやすいポリエステル組成物を得ることができる点で、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、またはこれらのエステルである。
本発明のジオールはとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノールなどの飽和脂環式1級ジオール、2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、イソソルビドなどの環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、その他シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、アダマンジオールなどの各種脂環式ジオールや、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香環式ジオールが例示できる。またジオール以外にも本発明の効果を損なわない範囲で、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。フィルムや繊維などに加工しやすいポリエステル組成物を得ることができる点でエチレングリコールが好ましい。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、ヨウ素元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素/マグネシウム元素/マンガン元素およびリン元素を含む化学物質を添加することを特徴とする。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、ヨウ素元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素/マグネシウム元素/マンガン元素およびリン元素を含む添加物は前記(A)または(B)工程、それに続く(C)工程のいずれの段階で添加してもよいが、熱安定性、透明性およびフィルム成型加工性に優れるポリエステル組成物を製造する点で、(B)工程もしくは(C)工程で添加することは好ましい。
本発明のヨウ素元素を提供する添加物はその添加様態、形式およびポリマー中での形態は問わない。無機ヨウ素化合物、有機ヨウ素化合物のいずれもよい。例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化銅、ヨウ化マンガン、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化水素、ヨウ素酸、ヨウ素酸アンモニウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨードメタン、ヨウ化エチル、ヨウ化イソプロピル、ヨード酢酸エチル、ヨードシクロヘキサン、ヨードベンゼン、ヨード安息香酸などを挙げることができ、これらは2種以上を併用することもできる。この中で、ヨウ化カリウム、ヨウ化マンガンの使用は特に好ましい。ヨウ素単体を用いる場合、その沸点は低いので、ポリエステル組成物中のヨウ素含有量を保つため、多量に添加する必要がある。
本発明のアルカリ金属元素を提供する添加物はその添加様態、形式およびポリマー中での形態は問わないが、安全上アルカリ金属単体を用いることは好ましくない。アルカリ金属化合物としては、ヨウ化物、臭化物、塩化物などのハロゲン化物、酢酸塩、ヨウ素酸化物、プロピオン酸塩などの脂肪族カルボン酸塩、安息香酸塩などの芳香族カルボン酸塩、水酸化物、メチラート、エチラート、エチレングリコラートなどのアルコラートを挙げることができ、具体的にはヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピリン酸ナトリウム、プロピオン酸リチウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、カリウムメチラート、カリウムグリコラート、ブチルカリウムなどを挙げることができる。この中で、アルカリ金属ハロゲン化物およびアルカリ金属酢酸塩の使用が好ましい。なお、本発明において、アルカリ金属を含む化合物は1種でもよいが、2種以上を併用することもできる。
本発明のアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素を提供する添加物はその添加様態、形式およびポリマー中での形態は問わないが、フィルム成型加工性に優れる点で、アルカリ土類金属、マグネシウムおよびマンガンの金属化合物が好ましい。例えば、ヨウ化物、臭化物、塩化物などのハロゲン化物、酢酸塩、プロピオン酸塩などの脂肪族カルボン酸塩、安息香酸塩などの芳香族カルボン酸塩、水酸化物、メチラート、エチラート、エチレングリコラートなどのアルコラートを挙げることができ、具体的にはヨウ化マグネシウム、ヨウ化マンガン、ヨウ化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化マンガン、臭化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸マンガン、プロピオン酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸マンガン、安息香酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、水酸化カルシウム、マグネシウムグリコラートなどを挙げることができる。これらは2種以上を併用することもできる。
本発明のリン元素を提供する添加物はその添加様態、形式およびポリマー中での形態は問わないが、リン化合物の使用は好ましく、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ホスフィンオキサイド、亜ホスホン酸、亜ホスフィン酸、ホスフィン、ホスフェート、ホスファイト、ホスホネートおよびホスフィネートなどからなる群から選ばれる。リン元素を含有する添加物1種でもよいが、2種以上を併用することもできる。
1段階目の工程のうち、(A)エステル化反応の工程は、ジカルボン酸とジオールとを所定温度でエステル化反応させ、所定量の水が留出するまで反応をおこない、低重合体を得る工程である。また(B)エステル交換反応の工程は、ジカルボン酸エステルとジオールとを所定の温度でエステル交換反応させ、所定量のアルコールが留出するまで反応をおこない、低重合体を得る工程である。
本発明におけるポリエステル組成物の製造方法において、ジカルボン酸とジオールからエステル化反応物を得る際、エステル化反応性、耐熱性の観点から、エステル化反応開始前のジカルボン酸成分とジオール成分のモル比(ジオール成分/ジカルボン酸成分)は、1.05以上1.40以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは1.05以上1.30以下、さらに好ましくは1.05以上1.20以下である。モル比を1.05以上1.40以下にすることによって、エステル化反応を効率的に進行させることができ、ジオール成分の2量体の副生を抑えることができ、その結果として、得られるポリエステル組成物の耐熱性を良好にすることができる。モル比が1.05未満であると、エステル化反応が効率的に進まないため、タイムサイクルが長くなる場合がある。また、モル比が1.40を超えると、副生するジオール成分の2量体によって耐熱性が低下する場合がある。
また、本発明におけるポリエステル組成物の製造方法において、ジカルボン酸アルキルエステルとジオールからエステル交換反応(B)を経てエステル化物を得る際、エステル化反応性、耐熱性の観点から、エステル化反応開始前のジカルボン酸アルキルエステルとジオールのモル比(ジオール/ジカルボン酸アルキルエステル)は1.7以上2.3以下の範囲であることが好ましい。ジオールのモル比を1.7〜2.3にすることによって、エステル化反応を効率的に進行させることができ、またジオール成分の2量体の副生を抑えることができ、その結果として、得られるポリエステル組成物の耐熱性を良好にすることができる。モル比が1.7を下回る場合は、エステル化反応が効率的に進行しないため、タイムサイクルが長くなる場合がある。一方、モル比が2.3を超えると、副生するジオール成分の2量体によって耐熱性が低下する場合がある。
2段階目の工程のうち、(C)重合反応は、(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応で得られた低重合体が添加された反応器内を減圧することにより重合反応を開始し、反応器内の温度、圧力および攪拌速度を調整し重合反応を行い、攪拌トルクが所定の値に到達した時、すなわちポリエステルが所望の粘度に到達した時まで重合を行うことにより、高分子量ポリエステル組成物を得る工程である。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、(A)エステル化反応に用いられる触媒は、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウムなどの化合物を用いても構わないが、重縮合反応段階での熱分解や異物の発生などの観点から、エステル化反応は無触媒で実施することが好ましい。ここで、(A)エステル化反応は無触媒においてもCOOH末端基による自己触媒作用によって、反応は十分に進行する。また、(B)エステル交換反応に用いられる触媒としては、公知のエステル交換触媒であるエステル交換触媒及び助触媒としては、有機マンガン化合物、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機コバルト化合物、有機リチウム化合物などが好ましく使用される。具体的には、炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酸化物、水酸化物などがあるが、これに限定されるものではない。
また、(C)重合反応に用いられる触媒は、公知の重縮合触媒を用いることが出来る。例えば、アンチモン、チタン、アルミニウム、スズ、ゲルマニウムなどの化合物などが挙げられる。
アンチモン化合物としては、アンチモンの酸化物、アンチモンカルボン酸、アンチモンアルコキシドなどが挙げられる。
チタン化合物としては、チタンキレート錯体、チタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物などが挙げられる。
アルミニウム化合物としては、カルボン酸アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート化合物、塩基性アルミニウム化合物などが挙げられる。
スズ化合物としては、アルキル基を持つスズ化合物、ヒドロキシル基を持つスズ化合物などが挙げられる。
ゲルマニウム化合物としては、ゲルマニウムの酸化物、ゲルマニウムアルコキシドなどが挙げられる。
上記の金属化合物は、水和物であってもよい。
さらに、安定剤、色調調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、もしくは消泡剤またはその他の添加剤などを必要に応じて配合してもよい。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、重合時間および色調の観点から、アンチモン化合物を重合反応触媒として用いることが好ましい。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、アンチモン化合物をヨウ素元素を含む化学物質添加の後に添加することが好ましい。ヨウ素元素を含む化学物質、特にヨウ素イオンを持つ化合物を用いる場合、アンチモン化合物をヨウ素元素を含む化学物質の前に添加すると、ヨウ素イオンの強い還元性により、アンチモン化合物が還元され、アンチモンメタルが生成し、溶液ヘイズおよび色調の悪化などの好ましくない現象が生じる。そのため、ヨウ素元素を含む化学物質の添加の後にアンチモン化合物を添加することが好ましく、ヨウ素元素を含む化学物質を均一に分散してからアンチモン化合物を添加することがさらに好ましい。
ヨウ素元素を含む化学物質とアンチモン化合物の添加時間の間隔については特に規定しないが、両者とも(C)重合反応で添加する場合、20秒から60分の時間間隔が好ましく、10分から30分の時間間隔がさらに好ましい。両者の添加時間の間隔は20秒以上であればヨウ素元素を含む化学物質を均一に分散することが可能となり、溶液ヘイズが良好となる。60分以下であればヨウ素飛散が少ないので望ましい。
ヨウ素元素を含む化学物質の添加時・添加後およびアンチモン化合物の添加時・添加後では、反応系内を攪拌することが添加物をより均一に分散できるので好ましい。
また、本発明においてさらに高分子量のポリエステル組成物を得るため、さらに固相重合を行ってもよい。固相重合は、装置・方法は特に限定されないが、不活性ガス雰囲気下または減圧下で加熱処理されることで実施される。不活性ガスはポリエステルに対して不活性なものであればよく、例えば窒素、ヘリウム、炭酸ガスなどを挙げることができるが、経済性から窒素が好ましく用いられる。また、減圧下としては、より減圧条件にすることが固相重合反応に要する時間を短くできるため有利であるが、110Pa以上を保つことが好ましい。
本発明のポリエステル組成物は、バッチ重合、半連続重合、連続重合で生産することができる。
本発明にて得られるポリエステル組成物は、公知の成形加工方法で成形することができ、フィルム、繊維、ボルト、射出成形品など各種製品に加工することができる。
本発明のポリエステル組成物を各製品に加工する際に、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、顔料および染料を含む着色剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、核剤、可塑剤、離型剤などの添加剤を1種以上添加することもできる。
本発明のポリエステル組成物は、熱安定性、高透明性に優れることを活かし、フィルム、繊維、ボルト、射出成形品など各製品として利用することができ、特にフィルム成形加工性が優れるため、フィルムの生産に使われることが好ましい。
製膜方法には、一般的な方法を採用することができる。キャスト法、インフレーション法、T−ダイ法、ホットプレス法等の製造法が採用できるが、好ましくは、キャスト法である。
キャスト方法は溶融した樹脂をギアーポンプで計量した後にTダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム上に、密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸のフィルムを得ることが好ましい。特に良好な平面性や均一な厚みが要求されるため、静電印加法が特に好ましく採用できる。
さらにフィルムを一軸延伸、二軸延伸および/または厚み方向に延伸することができる。二軸延伸の延伸方式は特には限定されず、逐次二軸延伸方式、同時二軸延伸方式などの方法を採用できる。
これらの製品は、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品、自動車用部品、電気・電子部品またはその他の用途として有用である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステルの固有粘度(IV)
オルソクロロフェノール(OCP)を溶媒として用い、25℃で測定した。
(2)ポリエステル組成物中のヨウ素元素の定量
JISZ7302に準じ試料を秤量して燃焼管内で燃焼させ、発生したガスを溶液に吸収させ、吸収液の一部を紫外吸収検出器を用いたイオンクロマトグラフィーICA2000(東亜DDK(株)製)により分析した。
(3)ポリエステル組成物中のアルカリ金属元素の定量
原子吸光分析法(日立製作所:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレン−空気)にて定量を行った。
(4)ポリエステル組成物中のアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素、およびリン元素の定量
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて測定した。
(5)溶液ヘイズ
測定する試料約2gをオルソクロロフェノール20mL に溶解させ、ヘイズメーター(スガ試験機社製)HGM−2DP型を用い、積分球式光電光度法にて測定を行った。
(6)ゲル化率
ポリエステル組成物1gを凍結粉砕機(Sprex CertiPerP社製、6750−115)により粉砕して直径300μm以下の粉体状とした後、真空乾燥機(東京理化機械製、VOS−451SD)を用いて、150℃、12時間真空乾燥させた。その後、オーブン(ヤマト科学社製、DN410I)中で、酸素1%雰囲気下、300℃で6時間熱処理したものを、50mlのオルソクロロフェノール(OCP)中、150℃で0.5時間溶解させた。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20〜30μm)で濾過し、洗浄、真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分により、フィルターに残留したOCP不溶物の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル組成物(1g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
(7)フィルム成型加工性
キャストされたシート表面2.25mm(1.5mm×1.5mm)に光を当て、その反射光を顕微鏡で見てクレーターなどの表面凹凸が認められるかどうかで判定する。判定基準は、全く表面に凹凸が見られない場合を◎、表面に凹凸があるが、その数は50個以下、かつ深さが0.1μm未満と浅く、延伸によって消失する場合を○、表面に凹凸があるが、その数は50個以上、かつ深さが0.1μm未満と浅く、延伸によって消失する場合を△、全面に凹凸が見られ、かつ延伸によって消失しない場合を×とした。
製膜条件は以下の通りである。
ポリエステル組成物を減圧乾燥機にて乾燥し、押出機に供給した。
ポリエステル組成物は押出機にて280℃で溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルターを介した後、Tダイに供給しシート状に成形した後、ワイヤー状電極にて静電印加しながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.0倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で200℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、10μmであった。
(実施例1)
250℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245〜250℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とし、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHT)を得た。
こうして得られたBHTを試験管に投入し、255℃で溶融状態を保持した後、得られたポリマー1tあたり1.43molの(a)リン酸トリメチル、得られたポリマー1tあたり2.56molの(b)ヨウ化カリウム、得られたポリマー1tあたり2.56molの(c)酢酸マンガン(II)、得られたポリマー1tあたり0.29molの(d)三酸化アンチモンを、(a)(b)(c)および(d)の順で添加した。(b)と(c)は連続で添加し、(b)を添加した後、20分間攪拌してから(d)を添加した。各化合物を添加後、反応を開始した。反応器内を255℃から290℃まで90分間かけて徐々に昇温するとともに、圧力を常圧から150Pa以下まで90分かけて減圧し、290℃で所定トルクまで重合反応させた。重合反応終了後、溶融物をストランド状に吐出して冷却後、カッティングしてペレット状のポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物の特性を表1に示す。
得られたポリエステル組成物は、透明性、熱安定性、フィルム成型加工性いずれも良好であった。
(実施例2〜17、比較例1〜10)
ヨウ素元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、マグネシウム元素、マンガン元素、リン元素の添加様態および/または添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応し、次いて重縮合反応してポリエステル組成物を得た。
実施例2〜7で得られたポリエステル組成物は、透明性、熱安定性、フィルム成型加工性いずれも良好であった。
実施例8〜11で得られたポリエステル組成物は、酢酸マンガン(II)の代わりに酢酸マグネシウムを使用し、透明性、熱安定性、フィルム成型加工性いずれも良好であった。
実施例12で得られたポリエステル組成物は、ヨウ化カリウムの代わりにヨウ化ナトリウムを使用し、透明性、熱安定性、フィルム成型加工性いずれも良好であったが、溶液ヘイズはヨウ化カリウムを用いる場合よりは高かった。
実施例13でリン種をリン酸トリメチルからリン酸に変えたが、得られたポリエステル組成物は、透明性、熱安定性、フィルム成型加工性いずれも良好であった。
実施例14〜16で得られたポリエステル組成物は、ヨウ化マンガン(II)を使用し、同じ添加量のヨウ化カリウムと比較し、ヨウ素の含有量は高く、透明性、熱安定性、フィルム成型加工性いずれも良好であった。
実施例17で得られたポリエステル組成物は、ヨウ化カリウムの代わりにヨウ素酸カリウムを使用し、透明性、熱安定性、フィルム成型加工性いずれも良好であった。
比較例1で得られたポリエステル組成物は、ヨウ素元素を添加していなかったため、ゲル化率は高くなり熱安定性が不十分であった。
比較例2で得られたポリエステル組成物は、ヨウ素単体を添加したが、ヨウ素の沸点は低いため、含有量は検出限度(0.01mol/t)以下であった。また、アルカリ金属元素を添加せず、ゲル化率は高くなり熱安定性が不十分であった。
比較例3で得られたポリエステル組成物は、アルカリ土類金属元素を添加していなく、M/Pの値は低くなり、フィルム成型加工性が不十分であった。
比較例4、5で得られたポリエステル組成物は、ヨウ素元素の含有量は高く、溶液ヘイズは高くなり、透明性に劣っていた。
比較例6、7で得られたポリエステル組成物は、カリウム元素またはマグネシウム元素を大量に含有し、M/Pの値は高く、溶液ヘイズは高くなり、透明度に劣っていた。また、比較例6の場合、アルカリ金属元素の含有量は多く、得られたポリエステル組成物は黄色く着色した。
比較例8で得られたポリエステル組成物は、マグネシウム元素の含有量は少なく、M/Pの値は低くなり、フィルム成型加工性が不十分であった。
比較例9で得られたポリエステル組成物は、ヨウ素元素およびカリウム元素の含有量は少なく、ゲル化率は高くなり熱安定性が不十分であった。
比較例10で得られたポリエステル組成物は、ヨウ素元素、カリウム元素、マグネシウム元素を含有していたが、各成分の含有量は少なく、熱安定性およびフィルム成型加工性は目標品質に達していなかった。
エステル交換反応し、次いで重縮合反応してポリエステル組成物を得た。
(実施例18)
テレフタル酸ジメチル86.3重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル14.8重量部、エチレングリコール62.6重量部(ジカルボン酸成分の2倍モル)の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。
内容物を180℃で溶解した後、重合反応で得られるポリエステル組成物の量に基づき、得られたポリマー1tあたり2.56molのヨウ化カリウム、得られたポリマー1tあたり2.56molの酢酸マンガン(II)を添加し攪拌した。
60分かけて190℃まで昇温し、さらに60分かけて200℃まで昇温した後、さらに90分かけて240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出した後、得られたポリマー1tあたり1.43molのリン酸トリメチルと得られたポリマー1tあたり0.29molの三酸化アンチモンを加え、5分間撹拌してエステル交換反応を終了した。
その後、反応物を重合装置に仕込み、反応器内を235℃から290℃まで90分間かけて徐々に昇温するとともに、圧力を常圧から150Pa以下まで90分かけて減圧し、290℃で所定トルクまで重合反応させた。重合反応終了後、溶融物をストランド状に吐出して冷却後、カッティングしてペレット状のポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物は、透明性、熱安定性、フィルム成型加工性いずれも良好であった。
比較例11はヨウ化カリウムも代わりに酢酸カリウムを使用し、その他は実施例18と同様に行った。ヨウ素元素を添加していなかったため、ゲル化率は高くなり熱安定性は不十分であった。
(実施例19)
(d)三酸化アンチモン、(a)リン酸トリメチル、(b)ヨウ化カリウム、(c)酢酸マンガン(II)を、(d)(a)(b)および(c)の順で添加した。(b)と(c)は連続で添加し、(d)を添加した後、20分間攪拌してから(b)を添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
(実施例20)
(d)三酸化アンチモン、(a)リン酸トリメチル、(b)ヨウ化カリウム、(c)酢酸マンガン(II)を、(d)(a)(b)および(c)の順で添加した。(b)と(c)は連続で添加し、(d)を添加した後、20分間攪拌してから(b)を添加した以外は、実施例3と同様に実施した。
(実施例21)
(d)三酸化アンチモン、(a)リン酸トリメチル、(b)ヨウ化カリウム、(c)酢酸マグネシウムを、(d)(a)(b)および(c)の順で添加した。(b)と(c)は連続で添加し、(d)を添加した後、20分間攪拌してから(b)を添加した以外は、実施例9と同様に実施した。
(実施例22)
(d)三酸化アンチモン、(a)リン酸トリメチル、(b)ヨウ化ナトリウム、(c)酢酸マンガン(II)を、(d)(a)(b)および(c)の順で添加した。(b)と(c)は連続で添加し、(d)を添加した後、20分間攪拌してから(b)を添加した以外は、実施例12と同様に実施した。
(実施例23)
(d)三酸化アンチモン、(a)リン酸トリメチル、(b)ヨウ化マンガン(II)、(c)酢酸マンガンカリウムを、(d)(a)(b)および(c)の順で添加した。(b)と(c)は連続で添加し、(d)を添加した後、20分間攪拌してから(b)を添加した以外は、実施例14と同様に実施した。
実施例19〜23は、三酸化アンチモンをヨウ素元素を含む化学物質の添加後に添加する実施例より溶液ヘイズが若干は高くなったが、合格レベルであった。
Figure 2016050308

Claims (7)

  1. ポリエステル組成物に対して、ヨウ素元素0.01〜15mol/t、アルカリ金属元素0.1〜20mol/t、およびアルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素0.1〜20mol/tを含むポリエステル組成物。
  2. 溶液ヘイズが10%以下である請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. リン元素0.1〜10mol/tを含有し、アルカリ金属元素の含有量M、アルカリ土類金属元素、マグネシウム元素またはマンガン元素の含有量Mとリン元素含有量Pのモル比が、式(I)で表される関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル組成物。
    0.3≦M/P≦4.5 (I)
    M=(M+M/2)
  4. 酸素1%と窒素99%の雰囲気下、300℃で6時間処理した後に測定されたゲル化率が10%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  5. アルカリ金属がカリウムである請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  6. ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルおよびジオールをエステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応してポリエステル組成物を製造するに際して、ヨウ素元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素/マグネシウム元素/マンガン元素およびリン元素を含む化学物質を添加することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
  7. アンチモン化合物を重縮合反応触媒として用い、アンチモン化合物をヨウ素元素を含む化学物質添加の後に添加することを特徴とする請求項6のポリエステル組成物の製造方法。
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