JP2004018730A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】色相を損なうことなくガスバリアー性や柔軟性に優れたポリエステル樹脂組成物を提供すること
【解決手段】ポリエステル樹脂とゲルマニウム化合物、リン化合物からなり、ゲルマニウム化合物とリン化合物の合計の含有量が10〜2000ppmで、ゲルマニウム元素とリン元素のモル比が20:1〜1:5の範囲にあり、マンガン、チタン、アンチモン、スズ、コバルト,クロム、いずれの遷移金属も5ppm以上含まないことを特徴とするポリエステル樹脂組成物を用いることを特徴とする。かかるポリエステル樹脂組成物を用いることにより、色相を損なうことなくガスバリアー性や柔軟性に優れたポリエステル樹脂組成物を得ることができる。かかるポリエステル樹脂組成物はボトル等の用途に用いられる。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリエステル樹脂とゲルマニウム化合物、リン化合物からなり、ゲルマニウム化合物とリン化合物の合計の含有量が10〜2000ppmで、ゲルマニウム元素とリン元素のモル比が20:1〜1:5の範囲にあり、マンガン、チタン、アンチモン、スズ、コバルト,クロム、いずれの遷移金属も5ppm以上含まないことを特徴とするポリエステル樹脂組成物を用いることを特徴とする。かかるポリエステル樹脂組成物を用いることにより、色相を損なうことなくガスバリアー性や柔軟性に優れたポリエステル樹脂組成物を得ることができる。かかるポリエステル樹脂組成物はボトル等の用途に用いられる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、コハク酸を共重合したポリエステル樹脂組成物とその製造方法、用途に関するものであり、更に詳しくは、ゲルマニウムとリンを含み色相が良好なコハク酸共重合ポリエステルと、溶融重縮合による製法、さらに、これを用いた結晶性ポリエステルの改質剤に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
食品包装等に高分子材料を用いる場合、内容物の変質を防ぐためガス透過性が低いことが望まれている。ポリエステル樹脂ではポリエチレンテレフタレートが成形性、機械物性、ガスバリア性のバランスが優れるため各種の飲料容器などの食品包装材料に使用される例が多かった。しかしながら、特に長期保存性が求められる食品包装に対してはポリエチレンテレフタレート樹脂をもってしてもガスバリア性が必ずしも十分であるとはいえなかった。このために、特公昭63−40444号公報にはイソフタル酸とエチレングリコールおよび1,3ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンの共重合体が二酸化炭素、酸素透過性の低い樹脂として提案されている。しかしながら、このポリエステル樹脂をポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルにガスバリア性改良剤として添加しても、その効果は充分とはいえなかった。
本発明者は、上記のような状況を解決するため鋭意検討した結果、コハク酸を特定量含有するポリエステルにガスバリア性の改質性能があること見出し特願2000−228568や特願2000−220480として提案した。しかしながら、コハク酸を主体に共重合したポリエステル樹脂は、テレフタル酸などの芳香族基を主体に共重合したポリエステルに比べ、製造プロセス中に着色しやすいという問題点があり、芳香族ポリエステルに配合した場合、その外観を損ねるという問題点があった。
【0003】
【発明の目的】
本発明は上記のような状況を改善するため、色相を悪化させることなく、ガスバリア性や柔軟性に優れたポリエステルを提供することを目標とする。
【0004】
【発明の概要】
本発明のポリエステル樹脂組成物は(A)ポリエステル樹脂の全構成単位を100モル%とするとき、炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸単位を24〜50モル%含有し、芳香族ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有し、脂肪族ジカルボン酸単位、芳香族ジカルボン酸単位および炭素数2〜10の脂肪族ジオール単位を合計で90モル%以上含有するポリエステル樹脂と(B)ゲルマニウム化合物、および(C)リン化合物とからなる樹脂組成物であり、
(B)ゲルマニウム化合物と(C)リン化合物の合計の含有量が元素換算で樹脂組成物に対して10〜2000ppmであり、ゲルマニウム元素とリン元素のモル比が20:1〜1:5の範囲にあり、Mn、Ti,Sb,Sn,Co,Cr,Zrから選ばれるいずれの遷移金属元素もそれぞれ5ppm以上含まないことを特徴とするポリエステル樹脂組成物である。
上記、ポリエステル樹脂(A)の芳香族ジカルボン酸単位がイソフタル酸単位および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸単位であることが好ましい。
また、(A)ポリエステル樹脂は全構成単位を100モル%とするとき、コハク酸単位を24〜49モル%含有し、イソフタル酸単位および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸単位1〜26モル%含有し、コハク酸単位、イソフタル酸単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位およびエチレングリコール単位を合計で90モル%以上含有するポリエステル樹脂であることが好ましい。
上記のポリエステル樹脂(A)はエステル形成能を有する官能数3以上のモノマー単位を0.001〜2モル%含有することが好ましい。
さらに、本発明はポリエステル樹脂組成物の製造において、(B)ゲルマニウム化合物および(C)リン化合物の存在下で重縮合されることを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法に関するものある。
また、本製造において、(B)ゲルマニウム化合物がゲルマニウム元素換算で仕込みジカルボン酸成分に対し0.0005〜0.5モル%の範囲で添加され、(C)リン化合物がリン元素換算で仕込みジカルボン酸成分に対し0.0005〜0.5モル%の範囲で添加され、そのゲルマニウム元素とリン元素のモル比が20:1〜1:5であることが好ましく、(B)ゲルマニウム化合物が二酸化ゲルマニウムであり、(C)リン化合物がリン酸であることが好ましい。
さらに、本発明は、上記に記載のポリエステル樹脂組成物からなることを特徴とする結晶性ポリエステルの改質剤に関するものであり、結晶性ポリエステルのガスバリア性改質剤であることがより好ましい。
【発明の詳細】
本発明はポリエステル樹脂組成物とその製造方法およびその用途に関するものである。まず、ポリエステル樹脂組成物から説明する。
ポリエステル樹脂組成物
本発明のポリエステル樹脂組成物は(A)ポリエステル樹脂、(B)ゲルマニウム化合物、(C)リン化合物とから構成される。
(A)ポリエステル樹脂
本発明のポリエステル樹脂は、全構成単位を100モル%とするとき、炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸の単位を少なくとも24〜50モル%含有し、芳香族ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有し、脂肪族ジカルボン酸単位、芳香族ジカルボン酸単位および炭素数2〜10の脂肪族ジオール単位を合計で90モル%以上含有するポリエステル樹脂である。
本発明のポリエステル樹脂に含有する炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸の単位としては具体的に、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などのジカルボン酸が例示でき、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましく、コハク酸が特に好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂に含有する芳香族ジカルボン酸の単位としては、具体的に、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−スルホンビス安息香酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−スルフィドビス安息香酸、4,4’−オキシビス安息香酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などが例示でき、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が特に好ましい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂に含有する炭素数2〜10の脂肪族ジオール単位としては、具体的に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、ドデカメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのジオールが例示でき、エチレングリコールが特に好ましい。
特に、本発明のポリエステル樹脂(A)はコハク酸単位を少なくとも24モル〜50モル%含み、コハク酸単位、イソフタル酸単位、2,6ナフタレンジカルボン酸単位、エチレングリコール単位を合計で90モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、 特に、全構成単位を100モル%とするとき、コハク酸とイソフタル酸および/または2,6ナフタレンジカルボン酸から構成される単位が合計で48〜50モル%であり、コハク酸の単位を24〜49モル%、好ましくは、30〜48モル%、イソフタル酸および/または2,6ナフタレンジカルボン酸の単位を26〜1モル%、好ましくは20〜2モル%、エチレングリコールの単位を45モル%以上含むのが好ましい。
また、本発明に用いるポリエステル樹脂(A)はエステル形成能を有する官能数3以上のモノマー単位を0.001〜2モル%含有することが好ましく、0.01〜0.4モル%含有するのがより好ましい。
官能数3以上のモノマー単位としては、3以上のカルボキシル基を有する多官能カルボン酸類、または3以上のヒドロキシル基を有する多官能アルコール類から導かれる単位、3以上のカルボキシル基およびヒドロキシル基を有する多官能ヒドロキシ酸類が挙げられる。
これらの中では、特に3以上のヒドロキシル基を有する多官能アルコール類から導かれる単位を含有するのが好ましい。具体的には、グリセリン、ジグリセリン、(トリスヒドロキシメチル)メタン、1,1,1−(トリスヒドロキシメチル)エタン、1,1,1−(トリスヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエルスリトール、ジペンタエリスリトールや、ソルビトール、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フルクトース、サッカロースなどの糖類、1,3,5トリスヒドロキシエトキシイソシアヌレートなどの窒素含有多価アルコールから導かれる単位が挙げられる。
これらの中でも、グリセリン、1,1,1(トリスヒドロキシメチル)エタン、1,1,1(トリスヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールから選ばれるのがより好ましい。
尚、ここで用いる全構成単位とは、酸やアルカリにより完全に加水分解した後得られる全ての単位のことである。
また、本発明のポリエステル(A)は、組成が範囲を外れない限り、下記に挙げた単位を10モル%以下、好ましくは、5モル%以下の範囲で含むことができる。
【0005】
これらの含有してもよいジカルボン酸の単位としては、具体的に、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸やが挙げられ、含有してもよいジオール類としては、具体的に、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノール類、ハイドロキノン、レゾルシンなどの芳香族基を含むジオール類が挙げられ、含有してもよいヒドロキシカルボン酸類の単位としては、グリコール酸、ジグリコール酸、乳酸、3ヒドロキシブチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシメチル安息香酸、m−ヒドロキシメチル安息香酸、p−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸、m−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸が挙げられる。
(B)ゲルマニウム化合物、(C)リン化合物、その他金属化合物
本発明におけるゲルマニウム化合物は、いかなる形のゲルマニウム化合物でもよく、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、具体的には二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム、テトラヒドロキシエトキシゲルマニウが例示される。さらには、ポリエステル樹脂の原料やポリエステル樹脂との反応物でもよい。これらは、触媒として添加した結果、または、触媒が重合反応に関与した結果樹脂組成物中に存在する。触媒として添加する場合、これらの中では二酸化ゲルマニウムが好ましく、本発明で用いる二酸化ゲルマニウムは、その触媒性能を向上させるため、酸やグリコールなどに溶解した形で用いるのが好ましい。例えば、Li、Na又はKの炭酸塩を二酸化ゲルマニウムとともに反応混合物に添加する方法、二酸化ゲルマニウムを含窒素化合物で処理した処理液を使用する方法、テトラアルキルアンモニウムメタゲルマネート等の易溶解性二酸化ゲルマニウム誘導体を触媒として使用する方法、エチレングリコール中で二酸化ゲルマニウムを炭酸アンモニウム等のアンモニア発生源となる化合物とともに加熱し二酸化ゲルマニウムを溶解させた後に、加熱継続下窒素バブリング等によって溶液中のアンモニアを除去する方法、有機カルボン酸で二酸化ゲルマニウムを処理する方法、二酸化ゲルマニウムをグリコールに加熱溶解し濃縮する方法、塩基性アミノ化合物存在下で結晶性二酸化ゲルマニウムをエチレングリコールに加熱溶解する反応において生成する水を反応液から除去しながら調整する方法などで調整された二酸化ゲルマニウムの溶液を用いるのが好ましい。
本発明におけるリン化合物は、いかなる形のリン化合物でもよく、リン酸、リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エステルや、リンとポリエステル樹脂の原料やポリエステル樹脂との反応物が例示される。これらは、安定剤として添加した結果樹脂組成物中に存在する。安定剤として添加する場合、本発明で用いるリン化合物は、リン酸、リン酸誘導体、亜リン酸、亜リン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。より具体的には、リン酸、ポリリン酸、リン酸モノフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸トリフェニル、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル等のリン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリメチル等の亜リン酸エステル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチル等のホスホン酸エステル等が挙げられる。さらには、リン系安定剤として公知のホスファイト化合物やホスホナイト化合物が挙げられる。具体的には、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチル−ジフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4′−イソプロピリデンフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4′−ブチルデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ・ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4′−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス〔4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)〕・1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、フェニル・4,4′−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス〔4,4′−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)〕ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、4,4′−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’,2”−ニトリロ トリエチル−トリス[3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’ビフェニル−2,2’−ジイル]ホスファイト)、ビス(2,4−t−ブチル−6−メチルフェニル)・エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスフォナイトなどの化合物があげられる。
これらの中では、リン酸、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチルが好ましく、リン酸が性能上、経済上より好ましい。
本樹脂組成物中のゲルマニウム化合物(B)とリン化合物(C)の含有量は、これらに由来のゲルマニウム元素とリン元素として、その合計が樹脂組成物の重量に対して10〜2000ppmの範囲で含有することが好ましく、20〜400ppmの範囲で含有することが好ましい。
また本樹脂組成物中のゲルマニウム化合物(B)に由来のゲルマニウム元素とリン化合物(C)に由来のリン元素のモル比は20:1〜1:5であることが好ましく、10:1〜1:2であることがより好ましく、5:1〜1:1であることがさらに好ましい。このような範囲であると、重合活性に優れ、色相が良好な樹脂組成物が得られる。
さらに、本発明の樹脂組成物はマンガン、チタン、アンチモン、コバルト、クロム、ジルコニウムから選ばれる遷移金属元素をそれぞれ5ppm以上含まないことを特徴とし、好ましくは3ppm以上含まないことが望ましい。これ以上含有すると、樹脂組成物の色相を悪化させるため好ましくない。
ポリエステル樹脂組成物の製造方法
【0006】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、(B)ゲルマニウム化合物および(C)リン化合物の存在下での重縮合反応により製造されることを特徴とする。溶融重縮合反応で製造すると各種のジカルボン酸や各種のグリコールを共重合するのが容易になる。
本発明のコハク酸共重合ポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、例えば、コハク酸などのジカルボン酸とエチレングリコールなどのジオールを直接エステル化したのち、溶融重縮合反応を行ってもよく、コハク酸ジメチルエステルなどのジカルボン酸ジエステルとエチレングリコールなどのジオールをエステル交換したのち、溶融重縮合反応を行っても良い。また、無水コハク酸などの酸無水物とエチレングリコールなどのジオールを反応させエステル化したのち、溶融重縮合反応を行ってもよい。これらの反応においてゲルマニウム化合物およびリン化合物を添加する時期については任意であるが、エステル化反応が終了し、溶融重縮合反応を開始する前に添加するのが好ましい。
溶融重縮合の方法としては、まず、コハク酸や無水コハク酸などのジカルボン酸や酸無水物、またはその低級アルコールエステルからなるジカルボン酸原料と、エチレングリコールなどのジオール原料とをエステル化反応または、エステル化交換反応を行い、低重合体を製造する。
低重合体を製造するエステル化反応の方法としては、所定量のコハク酸、イソフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸原料と、エチレングリコールなどのジオール原料と、場合によっては官能数3以上のアルコールとを、100〜240℃の温度条件で、加圧あるいは常圧にて、脱水縮合を行う方法が挙げられる。
または、所定量の無水コハク酸、イソフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸原料と、エチレングリコールなどのジオール原料とを、100〜230℃の温度条件で、加圧あるいは常圧にて、脱水縮合を行う方法が挙げられる。
これら、上記の反応は、ジカルボン酸原料合計1モルに対して、ジオール原料1.01〜2モル、好ましくは1.03〜1.5モル、場合によっては官能数3以上のアルコールを0.00001〜0.02モル、好ましくは0.001〜0.004モルの割合で仕込み、反応させるのが好ましい。
上記の反応は、全く触媒を添加しなくてもよいし、濃硫酸やp−トルエンスルホン酸などの酸や金属錯体などの触媒の存在下行っても良いが、無触媒で行うのが好ましい。
一方の低重合体を製造するエステル交換反応の方法としては、所定量のコハク酸、イソフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸などの低級アルコールジエステルからなるジカルボン酸原料と、エチレングリコールを主体とするジオール原料と、官能数3以上のアルコールとを、100〜230℃の温度で常圧下に、低級モノアルコールを留出しながらエステル交換を行う方法が挙げられる。
または、所定量のコハク酸無水物とイソフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸などの低級アルコールジエステルからなるジカルボン酸原料と、エチレングリコールを主体とするジオール原料と、官能数3以上のアルコールとを、100〜230℃の温度で常圧下に、低級モノアルコールを留出しながらエステル交換を行う方法が挙げられる。
これら、上記の反応は、ジカルボン酸原料合計1モルに対して、ジオール原料1.01〜3モル、好ましくは1.2〜2.2モル、場合によっては官能数3以上のアルコールを0.00001〜0.02モル、好ましくは0.001〜0.004モルの割合で仕込み、反応させるのが好ましい。
上記の反応には、通常、各種の金属錯体の存在下に行われるが、本発明ではマンガン、チタン、アンチモン、コバルト、クロム、ジルコニウムの遷移金属から選ばれる金属錯体を触媒として用いるのは好ましくない。これらを用いると樹脂組成物の色相が悪化するため好ましくない。
次いで、上記のような方法で得た低重合体を、重合触媒と安定剤の存在下に、200〜300℃,好ましくは220〜280℃の温度条件、10Torr以下好ましくは2Torr以下の減圧条件にてエチレングリコールなどのジオールを主体とする成分を留出しながら溶融重縮合を行うのが好ましい。
ここで用いる重合触媒としては、ゲルマニウム化合物が好ましい。その他の重合触媒としては、ナトリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属などの金属の有機錯体、酸化物、単体を用いることができるが、マンガン、チタン、アンチモン、バナジウム、コバルト、クロム、ジルコニウム、銅から選ばれる遷移金属の有機錯体、酸化物、単体は、樹脂組成物の色相を悪化させるため用いないことが好ましい。本発明で用いるゲルマニウム化合物は、いかなる形のゲルマニウム化合物でもよく、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、さらに具体的には二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラヒドロキシエトキシゲルマニウ、テトラメトキシゲルマニウムなどが例示され、二酸化ゲルマニウムが好ましい。これらのゲルマニウム化合物はその触媒性能を向上させるため、酸やグリコールなどに溶解した形で用いるのが好ましい。
さらに、本発明においては、ゲルマニウム化合物がゲルマニウム元素換算で仕込みジカルボン酸成分に対し0.0005〜0.5モル%の範囲で添加されるのが好ましく、0.001〜0.2モル%の範囲で添加されるのがより好ましく、0.01〜0.1モル%の範囲で添加されるのが特に好ましい。
また、これらの反応は、各種安定剤の存在下で行うことが好ましい。安定剤としては、リン化合物やヒンダードフェノール類が挙げられるが、リン化合物が好ましい。本発明で用いるリン化合物はいかなる形のリン化合物でもよく、リン酸、ポリリン酸、リン酸モノフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸トリフェニル、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル等のリン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリメチル等の亜リン酸エステル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチル等のホスホン酸エステル等やリン系安定剤として公知のホスファイト化合物やホスホナイト化合物が挙げられる。
これらの中では、リン酸、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチルが好ましく、リン酸が性能上、経済上より好ましい。
本発明においては、リン化合物がリン元素換算で仕込みジカルボン酸成分に対し0.0005〜0.5モル%の範囲で添加されるのが好ましく、0.001〜0.2モル%の範囲で添加されるのがより好ましく、0.01〜0.1モル%の範囲で添加されるのが特に好ましい。
また、本発明においては、添加されるゲルマニウム化合物由来のゲルマニウム元素とリン化合物由来のリン元素のモル比が20:1〜1:5であることが好ましく、10:1〜1:1であることがより好ましく、5:1〜2:1であることがさらに好ましい。このような範囲であると、重合活性に優れ、色相が良好な樹脂組成物が得られる。
また、このようにして得られたポリエステル樹脂組成物の25℃のテトラクロロエタン/フェノール=1/1の混合溶液中で測定した固有粘度IVは0.5dl/g以上であることが好ましく、0.7〜2.5dl/gであることがより好ましい。
樹脂改質剤、ガスバリア性改質剤
本発明の樹脂改質剤は、本発明の樹脂組成物から選ばれる少なくとも1種類の樹脂組成物からなることを特徴とする。本樹脂組成物は、ガラス転移温度が低く、色相が良好なため、結晶性ポリエステルのガスバリア性や柔軟性、耐衝撃性、低温衝撃性、ヒートシール性の物性を、色相を悪化させることなく改質することが出来る。
樹脂改質剤は、他の少なくとも1種類の結晶性ポリエステル100重量部に対し、1〜400重量部の範囲で、好ましくは、5〜150重量部、さらに好ましくは、10〜100重量部の範囲で添加することができる。このような範囲で添加すると、結晶性ポリエステル(B)の結晶性を保持しながら、各種の目的の物性を向上させることができ好ましい。
本発明のガスバリア性改良剤を添加する結晶性ポリエステル(B)としては、具体的に、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、ポリトリメチレン2,6ナフタレート、ポリブチレン2,6ナフタレート、ポリヘキサメチレン2,6ナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンイソフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ポリヘキサメチレンイソフタレート、ポリ1,4シクロヘキサンジメタノールテレフタレートの芳香族結晶性ポリエステルや、ポリグリコール酸、ポリ乳酸などの脂肪族結晶性ポリエステルが挙げられる。
これらの中では、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリ乳酸の結晶性ポリエステルが特に好ましい。
また、上記の結晶性ポリエステル(B)は、結晶性を有してさえいればそれぞれ20モル%以下の共重合成分を含んでいてもかまわない。尚、結晶性の有無は、DSC、広角X線回折などの公知の方法で知ることができる。
樹脂改質剤は、上記のような結晶性ポリエステル(B)と溶融混合して添加するのが好ましい。または、溶融混合後さらに固相重合を行っても構わない。溶融混合を行う温度は、樹脂改質剤の流動温度以上、具体的には、110℃以上、かつ結晶性ポリエステル(B)の融点以上の温度であればどの温度でも構わないが、180〜300℃の温度範囲、好ましくは220〜290℃の温度範囲であることが望ましい。また、溶融混合を行う時間は、30秒〜4時間の間が好ましく、1分〜2時間の間がより好ましい。
【0007】
この溶融混合を行う装置としては、一軸押出機、二軸押出機、プラストミル、ニーダーあるいは、攪拌装置、減圧装置の付いた反応器などが挙げられる。また、この溶融混合は不活性気体雰囲気下および/または減圧下で行われるのが望ましい。
これらの混合は、樹脂改質剤と結晶性ポリエステル(B)以外に、触媒や安定剤、カップリング剤の存在下でおこなわれても良い。触媒や安定剤は、樹脂改質剤や結晶性ポリエステル(B)に、あらかじめ含有していてもよく、溶融混合の際に、添加しても構わない。触媒としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、あるいはマンガン、亜鉛、スズ、コバルト、チタン、アンチモン、ゲルマニウムなどの金属やそれらを含む有機・無機化合物が例示される。また、安定剤や着色防止剤としては、リン化合物や、ヒンダードフェノール化合物などが例示される。
これらの中では、特にリン化合物が好ましい。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸などの無機リン化合物、トリメチルリン酸やジフェニルリン酸などのリン酸エステル化合物、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4ジーt−ブチルフェニル)ホスファイトなどの亜リン酸エステル化合物などがあげられる。このようなリン化合物を含有していると、少なくとも色相が良好な樹脂組成物が得られる。
また、カップリング剤としては、ポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基と反応するジ無水カルボン酸化合物やジエポキシ化合物、ジオキサゾリン化合物、ジイソシアネート化合物が挙げられる。これらの中でも、無水ピロメリット酸、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどが好ましく、無水ピロメリット酸がより好ましい。
このようなカップリング剤を用いると、分子量が向上し、機械物性が良好な樹脂組成物が得られるだけでなく、混合性が良好になり、容易に性能の良好な樹脂組成物を得ることができる。
本発明の樹脂改質剤の中でも、ガスバリア性改質剤に用いる場合、コハク酸を共重合しおたポリエステル樹脂(A)を含むポリエステル樹脂組成物からなることが好ましい。このようなポリエステル樹脂組成物を構成するポリエステル(A)としては、コハク酸とエチレングリコールおよび反応中に生ずる若干量のエチレングリコールの2量体、3量体などからなる完全脂肪族のコハク酸共重合ポリエステルでも好ましく、コハク酸およびイソフタル酸とエチレングリコールおよび反応中に生ずる若干量のエチレングリコールの2量体、3量体などからなる芳香族を含むコハク酸共重合ポリエステルでも好ましく、コハク酸および2,6ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールおよび反応中に生ずる若干量のエチレングリコールの2量体、3量体などからなる芳香族を含むコハク酸共重合ポリエステルでも好ましく、コハク酸およびイソフタル酸および2,6ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとからなる芳香族を含むコハク酸共重合ポリエステルでも好ましい。
上記のような中では、特にイソフタル酸および/または2,6ナフタレンジカルボン酸を共重合したような芳香族を含むコハク酸共重合ポリエステルが好ましい。このような芳香族を含むコハク酸共重合ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートなどの芳香族結晶性ポリエステルに混合する際、完全脂肪族ポリエステルより混合性が良好で、ガスバリア性の良好な樹脂を容易に得ることができ好ましい。
このようなポリエステル樹脂組成物からなるガスバリア性改良剤は、他の少なくとも1種類の結晶性ポリエステル(B)100重量部に対し、1〜400重量部の範囲で、好ましくは、5〜150重量部、さらに好ましくは、10〜100重量部の範囲で添加することができる。このような範囲で添加すると、結晶性ポリエステル(B)の結晶性を保持しながら、ガスバリア性を向上させることができ好ましい。
ガスバリア改良剤は、上記のような結晶性ポリエステル(B)と溶融混合して添加するのが好ましい。または、溶融混合後さらに固相重合を行っても構わない。溶融混合を行う温度は、ガスバリア改良剤の流動温度以上、具体的には、110℃以上、かつ結晶性ポリエステル(B)の融点以上の温度であればどの温度でも構わないが、180〜300℃の温度範囲、好ましくは220〜290℃の温度範囲であることが望ましい。また、溶融混合を行う時間は、30秒〜4時間の間が好ましく、1分〜2時間の間がより好ましい。
【0008】
この溶融混合を行う装置としては、一軸押出機、二軸押出機、プラストミル、ニーダーあるいは、攪拌装置、減圧装置の付いた反応器などが挙げられる。また、この溶融混合は不活性気体雰囲気下および/または減圧下で行われるのが望ましい。
これらの混合は、樹脂改質剤と結晶性ポリエステル(B)以外に、触媒や安定剤、カップリング剤の存在下でおこなわれても良い。触媒や安定剤は、樹脂改質剤や結晶性ポリエステル(B)に、あらかじめ含有していてもよく、溶融混合の際に、添加しても構わない。触媒としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、あるいはマンガン、亜鉛、スズ、コバルト、チタン、アンチモン、ゲルマニウムなどの金属やそれらを含む有機・無機化合物が例示される。また、安定剤や着色防止剤としては、リン化合物やは、ヒンダードフェノール化合物などが例示される。
これらの中では、特にリン化合物が好ましい。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸などの無機リン化合物、トリメチルリン酸やジフェニルリン酸などのリン酸エステル化合物、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4ジーt−ブチルフェニル)ホスファイトなどの亜リン酸エステル化合物などがあげられる。このようなリン化合物を含有していると、少なくとも色相が良好な樹脂組成物が得られる。
また、カップリング剤としては、ポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基と反応するジ無水カルボン酸化合物やジエポキシ化合物、ジオキサゾリン化合物、ジイソシアネート化合物が挙げられる。これらの中でも、無水ピロメリット酸、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどが好ましく、無水ピロメリット酸がより好ましい。
このようなカップリング剤を用いると、分子量が向上し、機械物性が良好な樹脂組成物が得られるだけでなく、混合性が良好になり、容易に性能の良好な樹脂組成物を得ることができる。
溶融温度、溶融時間、溶融混合の装置等、溶融条件の選択は、ガスバリア性改良剤や結晶性ポリエステル(B)の混合比、分子量、触媒や安定剤の有無により、適宜選択される。例えば、ラボプラストミルなどの常圧条件で溶融混練を行う装置を用いて、IVが0.6〜0.9dl/gのポリエチレンテレフタレートとIVが0.8〜1.2dl/gのコハク酸・イソフタル酸・エチレングリコール共重合体からなるガスバリア性改良剤を、触媒の存在下混合する場合には、270〜290℃の温度範囲で、5分から15分の間、溶融混合されるのが好ましい。ガスバリア性改良剤および/または結晶性ポリエステルの分子量がこれより大きい場合には、さらに長時間溶融混合されるのが好ましく、触媒が存在しないか失活している場合には、さらに長時間溶融混合されるのが好ましく、リン酸エステルなどの安定剤が存在している場合にも、さらに長時間溶融混合されるのが好ましい。また、この混合が減圧下で行われる場合には、より短時間で溶融混合されるのが好ましく、二軸押出機などの強混練な条件下では、より短時間で溶融混合されるのが好ましい。
【0009】
さらに、溶融混合にて得られたポリエステル樹脂組成物は、さらに、その融点以下の温度で、減圧下あるいは不活性気流下にて20分〜100時間の範囲で保持し、固相重合を行ってもよい。固相重合の方法は公知の方法を採用することができ、例えば、不活性ガス雰囲気下にポリエステル樹脂組成物のペレットを80℃〜融解ピーク温度以下30℃の温度範囲の下に1〜300分保つことにより予備結晶化を行った後、100℃〜融解ピーク温度以下20℃の温度範囲で1〜100時間保つことにより固相重合を行うことができる。固相重合を行った樹脂は、分子量が大きくなり、機械的強度の向上に寄与するのとともに、低分子成分含有量が低減するため好ましい。
【0010】
【本発明の効果】
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、脂肪族ジカルボン酸が共重合されているにもかかわらず、ゲルマニウムとリンを含み、特定の遷移金属を含まないため色相が良好で効率よく製造される。これを結晶性ポリエステルに添加することで、色相を悪化させることなく、ガスバリア性や柔軟性などの諸物性が改良された樹脂組成物を提供することができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を、実施例により具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
尚、各樹脂、樹脂組成物の物性は以下の方法で実施した。
〔ポリエステル樹脂組成物中のジエチレングリコールの含有量〕
ポリエステル樹脂組成物をモノエタノールアミンで分解したのち、ガスクロマトグラフィーを使用して定量した。
〔ポリエステル樹脂組成物中の金属元素、リン元素量〕
高周波プラズマ発光分光装置を用い、ポリエステル樹脂組成物中に含まれる各種金属元素およびリン元素を定量した。
〔ポリエステル樹脂組成物の色相〕
得られたペレットの色相は微小表面測色計(スガ試験機製)により、Lab値により示した。a値、b値が0に近く、L値が大きいほど色相は白色に近く良好な色相を示していると言える。
〔ポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度、融解ピーク温度〕
示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製 Pyris1)を用いて測定した。あらかじめよく乾燥させたペレットから切り出した試料をサンプルパンに10mg秤量し、ヘリウム雰囲気中、室温から200℃まで昇温(昇温速度 320℃/分)して200℃で10分間保持した後、−100℃まで急冷(降温速度 320℃/分)して−100℃で10分間保持し、次いで200℃までの昇温(昇温速度=10℃/分)過程で測定を行った。ガラス転移温度と融解ピーク温度は付属の解析ソフトで測定した。
〔ポリエステル樹脂組成物のガスバリア性〕
所定の方法で得た厚さ100μmのフィルムについて、炭酸ガス透過性の評価に用いた。25℃における炭酸ガス透過係数をガス透過率測定装置(ジーエルサイエンス社製)を用いて測定し、この値で評価した。透過係数の値が小さいほど、ガスバリア性は優れる。
〔ポリエステル樹脂組成物の機械物性〕
所定の方法で得た厚さ0.5mmのプレスシートについて、23℃、相対湿度50%の条件中に3日間放置した後、ダンベル型の試料を切り出し、引張試験機インストロン4501(インストロン社製)を用い、23℃、相対湿度50%の条件下で、ひずみ速度100%/分の条件で引張試験を行った。
【実施例1】
無水コハク酸 100.1g、エチレングリコール 65.2g、1,1,1(トリスヒドロキメチル)エタン 0.30gとを攪拌装置、留出管を装備したガラス製反応器に仕込んだ。留出管は真空ポンプと減圧調整器からなる真空装置に接続されており、蒸発物を留去可能な構造となっている。
まず、反応器を充分に窒素置換を行った後、常圧窒素雰囲気下にて、130℃から240℃まで3時間30分かけて攪拌しながら昇温し、水を留去しながらエステル化反応を行った。引き続き、得られた化合物に二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液 (二酸化ゲルマニウム濃度 6.9wt%)を0.455gおよびリン酸のエチレングリコール溶液(リン酸濃度 1wt%) 0.98gを添加し、充分に窒素置換した後、常圧窒素気流下240℃から250℃まで30分かけて昇温した。その後、真空ポンプを作動させ、1時間かけ270℃、1Torrまでの昇温・減圧を行い、引き続き、30分かけて280℃までの昇温を行った。その状態で重縮合を行い、3時間後適当な溶融粘度に達したため、系内に窒素ガスを導入して、常圧に戻し反応を終了させた。その後、反応容器からポリエステル樹脂組成物のストランドを採取し、ペレット化を行った。得られたペレットは白色であり、良好な色相であった。得られたポリエステル樹脂組成物の組成および元素含有量を表1に示す。尚、ポリエステル樹脂組成物の組成はジエチレングリコール含有量のみ定量し、それ以外は、仕込みモノマー比からの推定値である。
【実施例2】
無水コハク酸 95.1g、イソフタル酸 8.31g、エチレングリコール65.2g、1,1,1(トリスヒドロキシメトキシ)エタン 0.30gとを反応器に仕込み、実施例1と同様にエステル交換を行った。さらに、実施例1と同量の二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液とリン酸のエチレングリコール溶液とを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A2)を取り出しペレットを得た。得られたペレットは白色であり、良好な色相であった。
【実施例3】
無水コハク酸 90.1g、イソフタル酸 16.6g、エチレングリコール65.2g、1,1,1(トリスヒドロキシメトキシ)エタン 0.30gとを反応器に仕込み、実施例1と同様にエステル交換を行った。さらに、実施例1と同量の二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液とリン酸のエチレングリコール溶液とを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A2)を取り出しペレットを得た。得られたペレットは白色であり、良好な色相であった。
【実施例4】
アジピン酸 131.5g、無水コハク酸 10.0g、エチレングリコール65.2g、ペンタエリスリトール 0.27gとを反応器に仕込み、実施例1と同量の二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液とリン酸のエチレングリコール溶液とを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A2)を取り出しペレットを得た。得られたペレットは白色であり、良好な色相であった。
【比較例1】
コハク酸ジメチル 146.1g、エチレングリコール 124.1g、1,1,1(トリスヒドロキシメトキシ)エタン 0.30gと酢酸マンガン4水和物 0.12gとを反応器に仕込み、130℃から240℃まで3時間30分かけて攪拌しながら昇温し、メタノールを留去しながらエステル交換反応を行った。さらに、実施例1と同量の二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液を添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A4)を取り出した。ペレットは強い赤味を帯びており色相は良好ではなかった。
【比較例2】
比較例1と同様のモノマー組成で、比較例1と同様にエステル交換反応を行った。さらに、実施例1と同量の二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液とリン酸のエチレングリコール溶液とを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A4)を取り出した。ペレットは強い赤味を帯びており色相は良好ではなかった。
【比較例3】
比較例1と同様のモノマー組成で、比較例1と同様にエステル交換反応を行った。さらに、さらに、酢酸アンチモンのエチレングリコール溶液(酢酸アンチモン濃度5wt%) 1.79gとリン酸のエチレングリコール溶液(リン酸濃度1wt%) 0.98gとを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A4)を取り出した。得られたペレットは茶褐色であり色相は良好ではなかった。
【比較例4】
比較例1と同様のモノマー組成で、比較例1と同様にエステル交換反応を行った。さらに、さらに、チタン酸テトラブチルのエチレングリコール溶液(チタン酸テトラブチル濃度5wt%) 2.04gとリン酸のエチレングリコール溶液(リン酸濃度 1wt%) 0.98gとを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A4)を取り出した。得られたペレットは茶褐色であり色相は良好ではなかった。
【比較例5】
実施例1のモノマー組成で、実施例1と同様にエステル化反応を行った。さらに、ジブチルスズマレートのエチレングリコール溶液(ジブチルスズマレート 濃度5wt%) 2.08gとリン酸のエチレングリコール溶液(リン酸濃度 1wt%) 0.98gとを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A4)を取り出した。得られたペレットは茶褐色であり色相は良好ではなかった。
【比較例6】
実施例1のモノマー組成で、実施例1と同様にエステル化反応を行った。さらに、二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液 (二酸化ゲルマニウム濃度 6.9wt%)を0.455gのみを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂を取り出した。得られたペレットは淡い黄色に着色してあり、比較例1〜5に比べると改善されているが、実施例に比べ色相は良好とは言えなかった。
【実施例6】
真空乾燥機で充分に乾燥した市販のポリエチレンテレフタレート(Tm=252℃、 IV=0.82dl/g)80重量部に、改質剤として、実施例2と同様の方法で得たポリエステル樹脂組成物を20重量部添加し、定量フィーダーおよびベント付き30mmφ二軸押出機(プラスチック工業研究所製;L/D=47.5)にて、シリンダ温度280℃の条件で混合、樹脂組成物を得た。次いで、得られたポリエステル樹脂組成物(C1)ペレットを120℃に設定した真空乾燥機で6時間減圧乾燥を行った。その後、2枚の真鍮板、アルミ板および離型フィルムの間に所定量はさみ、280℃で溶融させ10MPaで1分間圧縮した後、0℃の温度に設定した圧縮成形機で再び10MPaで圧縮冷却し、厚さ0.5mmのシートおよび厚さ100μmのフィルムを成形した。
上記の方法で得た厚さ100μmのフィルムは、炭酸ガス透過性の評価に用い、厚さ0.5mmのプレスシートは引張試験に用いた。評価結果を表2に示す。
【実施例7】
改質剤のポリエステル樹脂組成物を30重量部添加した以外は実施例6と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得、評価を行った。結果を表2に示す。
【比較例7】
ポリエチレンテレフタレートについて同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。実施例6,7に比べ炭酸ガス透過係数が大きくガスバリア性に劣っている。ポリエステル樹脂組成物が改質剤になっていることが判る。
【表1】
【表2】
【表3】
【発明の技術分野】
本発明は、コハク酸を共重合したポリエステル樹脂組成物とその製造方法、用途に関するものであり、更に詳しくは、ゲルマニウムとリンを含み色相が良好なコハク酸共重合ポリエステルと、溶融重縮合による製法、さらに、これを用いた結晶性ポリエステルの改質剤に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
食品包装等に高分子材料を用いる場合、内容物の変質を防ぐためガス透過性が低いことが望まれている。ポリエステル樹脂ではポリエチレンテレフタレートが成形性、機械物性、ガスバリア性のバランスが優れるため各種の飲料容器などの食品包装材料に使用される例が多かった。しかしながら、特に長期保存性が求められる食品包装に対してはポリエチレンテレフタレート樹脂をもってしてもガスバリア性が必ずしも十分であるとはいえなかった。このために、特公昭63−40444号公報にはイソフタル酸とエチレングリコールおよび1,3ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンの共重合体が二酸化炭素、酸素透過性の低い樹脂として提案されている。しかしながら、このポリエステル樹脂をポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルにガスバリア性改良剤として添加しても、その効果は充分とはいえなかった。
本発明者は、上記のような状況を解決するため鋭意検討した結果、コハク酸を特定量含有するポリエステルにガスバリア性の改質性能があること見出し特願2000−228568や特願2000−220480として提案した。しかしながら、コハク酸を主体に共重合したポリエステル樹脂は、テレフタル酸などの芳香族基を主体に共重合したポリエステルに比べ、製造プロセス中に着色しやすいという問題点があり、芳香族ポリエステルに配合した場合、その外観を損ねるという問題点があった。
【0003】
【発明の目的】
本発明は上記のような状況を改善するため、色相を悪化させることなく、ガスバリア性や柔軟性に優れたポリエステルを提供することを目標とする。
【0004】
【発明の概要】
本発明のポリエステル樹脂組成物は(A)ポリエステル樹脂の全構成単位を100モル%とするとき、炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸単位を24〜50モル%含有し、芳香族ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有し、脂肪族ジカルボン酸単位、芳香族ジカルボン酸単位および炭素数2〜10の脂肪族ジオール単位を合計で90モル%以上含有するポリエステル樹脂と(B)ゲルマニウム化合物、および(C)リン化合物とからなる樹脂組成物であり、
(B)ゲルマニウム化合物と(C)リン化合物の合計の含有量が元素換算で樹脂組成物に対して10〜2000ppmであり、ゲルマニウム元素とリン元素のモル比が20:1〜1:5の範囲にあり、Mn、Ti,Sb,Sn,Co,Cr,Zrから選ばれるいずれの遷移金属元素もそれぞれ5ppm以上含まないことを特徴とするポリエステル樹脂組成物である。
上記、ポリエステル樹脂(A)の芳香族ジカルボン酸単位がイソフタル酸単位および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸単位であることが好ましい。
また、(A)ポリエステル樹脂は全構成単位を100モル%とするとき、コハク酸単位を24〜49モル%含有し、イソフタル酸単位および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸単位1〜26モル%含有し、コハク酸単位、イソフタル酸単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位およびエチレングリコール単位を合計で90モル%以上含有するポリエステル樹脂であることが好ましい。
上記のポリエステル樹脂(A)はエステル形成能を有する官能数3以上のモノマー単位を0.001〜2モル%含有することが好ましい。
さらに、本発明はポリエステル樹脂組成物の製造において、(B)ゲルマニウム化合物および(C)リン化合物の存在下で重縮合されることを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法に関するものある。
また、本製造において、(B)ゲルマニウム化合物がゲルマニウム元素換算で仕込みジカルボン酸成分に対し0.0005〜0.5モル%の範囲で添加され、(C)リン化合物がリン元素換算で仕込みジカルボン酸成分に対し0.0005〜0.5モル%の範囲で添加され、そのゲルマニウム元素とリン元素のモル比が20:1〜1:5であることが好ましく、(B)ゲルマニウム化合物が二酸化ゲルマニウムであり、(C)リン化合物がリン酸であることが好ましい。
さらに、本発明は、上記に記載のポリエステル樹脂組成物からなることを特徴とする結晶性ポリエステルの改質剤に関するものであり、結晶性ポリエステルのガスバリア性改質剤であることがより好ましい。
【発明の詳細】
本発明はポリエステル樹脂組成物とその製造方法およびその用途に関するものである。まず、ポリエステル樹脂組成物から説明する。
ポリエステル樹脂組成物
本発明のポリエステル樹脂組成物は(A)ポリエステル樹脂、(B)ゲルマニウム化合物、(C)リン化合物とから構成される。
(A)ポリエステル樹脂
本発明のポリエステル樹脂は、全構成単位を100モル%とするとき、炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸の単位を少なくとも24〜50モル%含有し、芳香族ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有し、脂肪族ジカルボン酸単位、芳香族ジカルボン酸単位および炭素数2〜10の脂肪族ジオール単位を合計で90モル%以上含有するポリエステル樹脂である。
本発明のポリエステル樹脂に含有する炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸の単位としては具体的に、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などのジカルボン酸が例示でき、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましく、コハク酸が特に好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂に含有する芳香族ジカルボン酸の単位としては、具体的に、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−スルホンビス安息香酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−スルフィドビス安息香酸、4,4’−オキシビス安息香酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などが例示でき、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が特に好ましい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂に含有する炭素数2〜10の脂肪族ジオール単位としては、具体的に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、ドデカメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのジオールが例示でき、エチレングリコールが特に好ましい。
特に、本発明のポリエステル樹脂(A)はコハク酸単位を少なくとも24モル〜50モル%含み、コハク酸単位、イソフタル酸単位、2,6ナフタレンジカルボン酸単位、エチレングリコール単位を合計で90モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、 特に、全構成単位を100モル%とするとき、コハク酸とイソフタル酸および/または2,6ナフタレンジカルボン酸から構成される単位が合計で48〜50モル%であり、コハク酸の単位を24〜49モル%、好ましくは、30〜48モル%、イソフタル酸および/または2,6ナフタレンジカルボン酸の単位を26〜1モル%、好ましくは20〜2モル%、エチレングリコールの単位を45モル%以上含むのが好ましい。
また、本発明に用いるポリエステル樹脂(A)はエステル形成能を有する官能数3以上のモノマー単位を0.001〜2モル%含有することが好ましく、0.01〜0.4モル%含有するのがより好ましい。
官能数3以上のモノマー単位としては、3以上のカルボキシル基を有する多官能カルボン酸類、または3以上のヒドロキシル基を有する多官能アルコール類から導かれる単位、3以上のカルボキシル基およびヒドロキシル基を有する多官能ヒドロキシ酸類が挙げられる。
これらの中では、特に3以上のヒドロキシル基を有する多官能アルコール類から導かれる単位を含有するのが好ましい。具体的には、グリセリン、ジグリセリン、(トリスヒドロキシメチル)メタン、1,1,1−(トリスヒドロキシメチル)エタン、1,1,1−(トリスヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエルスリトール、ジペンタエリスリトールや、ソルビトール、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フルクトース、サッカロースなどの糖類、1,3,5トリスヒドロキシエトキシイソシアヌレートなどの窒素含有多価アルコールから導かれる単位が挙げられる。
これらの中でも、グリセリン、1,1,1(トリスヒドロキシメチル)エタン、1,1,1(トリスヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールから選ばれるのがより好ましい。
尚、ここで用いる全構成単位とは、酸やアルカリにより完全に加水分解した後得られる全ての単位のことである。
また、本発明のポリエステル(A)は、組成が範囲を外れない限り、下記に挙げた単位を10モル%以下、好ましくは、5モル%以下の範囲で含むことができる。
【0005】
これらの含有してもよいジカルボン酸の単位としては、具体的に、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸やが挙げられ、含有してもよいジオール類としては、具体的に、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノール類、ハイドロキノン、レゾルシンなどの芳香族基を含むジオール類が挙げられ、含有してもよいヒドロキシカルボン酸類の単位としては、グリコール酸、ジグリコール酸、乳酸、3ヒドロキシブチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシメチル安息香酸、m−ヒドロキシメチル安息香酸、p−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸、m−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸が挙げられる。
(B)ゲルマニウム化合物、(C)リン化合物、その他金属化合物
本発明におけるゲルマニウム化合物は、いかなる形のゲルマニウム化合物でもよく、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、具体的には二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム、テトラヒドロキシエトキシゲルマニウが例示される。さらには、ポリエステル樹脂の原料やポリエステル樹脂との反応物でもよい。これらは、触媒として添加した結果、または、触媒が重合反応に関与した結果樹脂組成物中に存在する。触媒として添加する場合、これらの中では二酸化ゲルマニウムが好ましく、本発明で用いる二酸化ゲルマニウムは、その触媒性能を向上させるため、酸やグリコールなどに溶解した形で用いるのが好ましい。例えば、Li、Na又はKの炭酸塩を二酸化ゲルマニウムとともに反応混合物に添加する方法、二酸化ゲルマニウムを含窒素化合物で処理した処理液を使用する方法、テトラアルキルアンモニウムメタゲルマネート等の易溶解性二酸化ゲルマニウム誘導体を触媒として使用する方法、エチレングリコール中で二酸化ゲルマニウムを炭酸アンモニウム等のアンモニア発生源となる化合物とともに加熱し二酸化ゲルマニウムを溶解させた後に、加熱継続下窒素バブリング等によって溶液中のアンモニアを除去する方法、有機カルボン酸で二酸化ゲルマニウムを処理する方法、二酸化ゲルマニウムをグリコールに加熱溶解し濃縮する方法、塩基性アミノ化合物存在下で結晶性二酸化ゲルマニウムをエチレングリコールに加熱溶解する反応において生成する水を反応液から除去しながら調整する方法などで調整された二酸化ゲルマニウムの溶液を用いるのが好ましい。
本発明におけるリン化合物は、いかなる形のリン化合物でもよく、リン酸、リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エステルや、リンとポリエステル樹脂の原料やポリエステル樹脂との反応物が例示される。これらは、安定剤として添加した結果樹脂組成物中に存在する。安定剤として添加する場合、本発明で用いるリン化合物は、リン酸、リン酸誘導体、亜リン酸、亜リン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。より具体的には、リン酸、ポリリン酸、リン酸モノフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸トリフェニル、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル等のリン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリメチル等の亜リン酸エステル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチル等のホスホン酸エステル等が挙げられる。さらには、リン系安定剤として公知のホスファイト化合物やホスホナイト化合物が挙げられる。具体的には、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチル−ジフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4′−イソプロピリデンフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4′−ブチルデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ・ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4′−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス〔4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)〕・1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、フェニル・4,4′−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス〔4,4′−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)〕ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、4,4′−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’,2”−ニトリロ トリエチル−トリス[3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’ビフェニル−2,2’−ジイル]ホスファイト)、ビス(2,4−t−ブチル−6−メチルフェニル)・エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスフォナイトなどの化合物があげられる。
これらの中では、リン酸、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチルが好ましく、リン酸が性能上、経済上より好ましい。
本樹脂組成物中のゲルマニウム化合物(B)とリン化合物(C)の含有量は、これらに由来のゲルマニウム元素とリン元素として、その合計が樹脂組成物の重量に対して10〜2000ppmの範囲で含有することが好ましく、20〜400ppmの範囲で含有することが好ましい。
また本樹脂組成物中のゲルマニウム化合物(B)に由来のゲルマニウム元素とリン化合物(C)に由来のリン元素のモル比は20:1〜1:5であることが好ましく、10:1〜1:2であることがより好ましく、5:1〜1:1であることがさらに好ましい。このような範囲であると、重合活性に優れ、色相が良好な樹脂組成物が得られる。
さらに、本発明の樹脂組成物はマンガン、チタン、アンチモン、コバルト、クロム、ジルコニウムから選ばれる遷移金属元素をそれぞれ5ppm以上含まないことを特徴とし、好ましくは3ppm以上含まないことが望ましい。これ以上含有すると、樹脂組成物の色相を悪化させるため好ましくない。
ポリエステル樹脂組成物の製造方法
【0006】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、(B)ゲルマニウム化合物および(C)リン化合物の存在下での重縮合反応により製造されることを特徴とする。溶融重縮合反応で製造すると各種のジカルボン酸や各種のグリコールを共重合するのが容易になる。
本発明のコハク酸共重合ポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、例えば、コハク酸などのジカルボン酸とエチレングリコールなどのジオールを直接エステル化したのち、溶融重縮合反応を行ってもよく、コハク酸ジメチルエステルなどのジカルボン酸ジエステルとエチレングリコールなどのジオールをエステル交換したのち、溶融重縮合反応を行っても良い。また、無水コハク酸などの酸無水物とエチレングリコールなどのジオールを反応させエステル化したのち、溶融重縮合反応を行ってもよい。これらの反応においてゲルマニウム化合物およびリン化合物を添加する時期については任意であるが、エステル化反応が終了し、溶融重縮合反応を開始する前に添加するのが好ましい。
溶融重縮合の方法としては、まず、コハク酸や無水コハク酸などのジカルボン酸や酸無水物、またはその低級アルコールエステルからなるジカルボン酸原料と、エチレングリコールなどのジオール原料とをエステル化反応または、エステル化交換反応を行い、低重合体を製造する。
低重合体を製造するエステル化反応の方法としては、所定量のコハク酸、イソフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸原料と、エチレングリコールなどのジオール原料と、場合によっては官能数3以上のアルコールとを、100〜240℃の温度条件で、加圧あるいは常圧にて、脱水縮合を行う方法が挙げられる。
または、所定量の無水コハク酸、イソフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸原料と、エチレングリコールなどのジオール原料とを、100〜230℃の温度条件で、加圧あるいは常圧にて、脱水縮合を行う方法が挙げられる。
これら、上記の反応は、ジカルボン酸原料合計1モルに対して、ジオール原料1.01〜2モル、好ましくは1.03〜1.5モル、場合によっては官能数3以上のアルコールを0.00001〜0.02モル、好ましくは0.001〜0.004モルの割合で仕込み、反応させるのが好ましい。
上記の反応は、全く触媒を添加しなくてもよいし、濃硫酸やp−トルエンスルホン酸などの酸や金属錯体などの触媒の存在下行っても良いが、無触媒で行うのが好ましい。
一方の低重合体を製造するエステル交換反応の方法としては、所定量のコハク酸、イソフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸などの低級アルコールジエステルからなるジカルボン酸原料と、エチレングリコールを主体とするジオール原料と、官能数3以上のアルコールとを、100〜230℃の温度で常圧下に、低級モノアルコールを留出しながらエステル交換を行う方法が挙げられる。
または、所定量のコハク酸無水物とイソフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸などの低級アルコールジエステルからなるジカルボン酸原料と、エチレングリコールを主体とするジオール原料と、官能数3以上のアルコールとを、100〜230℃の温度で常圧下に、低級モノアルコールを留出しながらエステル交換を行う方法が挙げられる。
これら、上記の反応は、ジカルボン酸原料合計1モルに対して、ジオール原料1.01〜3モル、好ましくは1.2〜2.2モル、場合によっては官能数3以上のアルコールを0.00001〜0.02モル、好ましくは0.001〜0.004モルの割合で仕込み、反応させるのが好ましい。
上記の反応には、通常、各種の金属錯体の存在下に行われるが、本発明ではマンガン、チタン、アンチモン、コバルト、クロム、ジルコニウムの遷移金属から選ばれる金属錯体を触媒として用いるのは好ましくない。これらを用いると樹脂組成物の色相が悪化するため好ましくない。
次いで、上記のような方法で得た低重合体を、重合触媒と安定剤の存在下に、200〜300℃,好ましくは220〜280℃の温度条件、10Torr以下好ましくは2Torr以下の減圧条件にてエチレングリコールなどのジオールを主体とする成分を留出しながら溶融重縮合を行うのが好ましい。
ここで用いる重合触媒としては、ゲルマニウム化合物が好ましい。その他の重合触媒としては、ナトリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属などの金属の有機錯体、酸化物、単体を用いることができるが、マンガン、チタン、アンチモン、バナジウム、コバルト、クロム、ジルコニウム、銅から選ばれる遷移金属の有機錯体、酸化物、単体は、樹脂組成物の色相を悪化させるため用いないことが好ましい。本発明で用いるゲルマニウム化合物は、いかなる形のゲルマニウム化合物でもよく、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、さらに具体的には二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラヒドロキシエトキシゲルマニウ、テトラメトキシゲルマニウムなどが例示され、二酸化ゲルマニウムが好ましい。これらのゲルマニウム化合物はその触媒性能を向上させるため、酸やグリコールなどに溶解した形で用いるのが好ましい。
さらに、本発明においては、ゲルマニウム化合物がゲルマニウム元素換算で仕込みジカルボン酸成分に対し0.0005〜0.5モル%の範囲で添加されるのが好ましく、0.001〜0.2モル%の範囲で添加されるのがより好ましく、0.01〜0.1モル%の範囲で添加されるのが特に好ましい。
また、これらの反応は、各種安定剤の存在下で行うことが好ましい。安定剤としては、リン化合物やヒンダードフェノール類が挙げられるが、リン化合物が好ましい。本発明で用いるリン化合物はいかなる形のリン化合物でもよく、リン酸、ポリリン酸、リン酸モノフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸トリフェニル、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル等のリン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリメチル等の亜リン酸エステル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチル等のホスホン酸エステル等やリン系安定剤として公知のホスファイト化合物やホスホナイト化合物が挙げられる。
これらの中では、リン酸、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチルが好ましく、リン酸が性能上、経済上より好ましい。
本発明においては、リン化合物がリン元素換算で仕込みジカルボン酸成分に対し0.0005〜0.5モル%の範囲で添加されるのが好ましく、0.001〜0.2モル%の範囲で添加されるのがより好ましく、0.01〜0.1モル%の範囲で添加されるのが特に好ましい。
また、本発明においては、添加されるゲルマニウム化合物由来のゲルマニウム元素とリン化合物由来のリン元素のモル比が20:1〜1:5であることが好ましく、10:1〜1:1であることがより好ましく、5:1〜2:1であることがさらに好ましい。このような範囲であると、重合活性に優れ、色相が良好な樹脂組成物が得られる。
また、このようにして得られたポリエステル樹脂組成物の25℃のテトラクロロエタン/フェノール=1/1の混合溶液中で測定した固有粘度IVは0.5dl/g以上であることが好ましく、0.7〜2.5dl/gであることがより好ましい。
樹脂改質剤、ガスバリア性改質剤
本発明の樹脂改質剤は、本発明の樹脂組成物から選ばれる少なくとも1種類の樹脂組成物からなることを特徴とする。本樹脂組成物は、ガラス転移温度が低く、色相が良好なため、結晶性ポリエステルのガスバリア性や柔軟性、耐衝撃性、低温衝撃性、ヒートシール性の物性を、色相を悪化させることなく改質することが出来る。
樹脂改質剤は、他の少なくとも1種類の結晶性ポリエステル100重量部に対し、1〜400重量部の範囲で、好ましくは、5〜150重量部、さらに好ましくは、10〜100重量部の範囲で添加することができる。このような範囲で添加すると、結晶性ポリエステル(B)の結晶性を保持しながら、各種の目的の物性を向上させることができ好ましい。
本発明のガスバリア性改良剤を添加する結晶性ポリエステル(B)としては、具体的に、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、ポリトリメチレン2,6ナフタレート、ポリブチレン2,6ナフタレート、ポリヘキサメチレン2,6ナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンイソフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ポリヘキサメチレンイソフタレート、ポリ1,4シクロヘキサンジメタノールテレフタレートの芳香族結晶性ポリエステルや、ポリグリコール酸、ポリ乳酸などの脂肪族結晶性ポリエステルが挙げられる。
これらの中では、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリ乳酸の結晶性ポリエステルが特に好ましい。
また、上記の結晶性ポリエステル(B)は、結晶性を有してさえいればそれぞれ20モル%以下の共重合成分を含んでいてもかまわない。尚、結晶性の有無は、DSC、広角X線回折などの公知の方法で知ることができる。
樹脂改質剤は、上記のような結晶性ポリエステル(B)と溶融混合して添加するのが好ましい。または、溶融混合後さらに固相重合を行っても構わない。溶融混合を行う温度は、樹脂改質剤の流動温度以上、具体的には、110℃以上、かつ結晶性ポリエステル(B)の融点以上の温度であればどの温度でも構わないが、180〜300℃の温度範囲、好ましくは220〜290℃の温度範囲であることが望ましい。また、溶融混合を行う時間は、30秒〜4時間の間が好ましく、1分〜2時間の間がより好ましい。
【0007】
この溶融混合を行う装置としては、一軸押出機、二軸押出機、プラストミル、ニーダーあるいは、攪拌装置、減圧装置の付いた反応器などが挙げられる。また、この溶融混合は不活性気体雰囲気下および/または減圧下で行われるのが望ましい。
これらの混合は、樹脂改質剤と結晶性ポリエステル(B)以外に、触媒や安定剤、カップリング剤の存在下でおこなわれても良い。触媒や安定剤は、樹脂改質剤や結晶性ポリエステル(B)に、あらかじめ含有していてもよく、溶融混合の際に、添加しても構わない。触媒としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、あるいはマンガン、亜鉛、スズ、コバルト、チタン、アンチモン、ゲルマニウムなどの金属やそれらを含む有機・無機化合物が例示される。また、安定剤や着色防止剤としては、リン化合物や、ヒンダードフェノール化合物などが例示される。
これらの中では、特にリン化合物が好ましい。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸などの無機リン化合物、トリメチルリン酸やジフェニルリン酸などのリン酸エステル化合物、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4ジーt−ブチルフェニル)ホスファイトなどの亜リン酸エステル化合物などがあげられる。このようなリン化合物を含有していると、少なくとも色相が良好な樹脂組成物が得られる。
また、カップリング剤としては、ポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基と反応するジ無水カルボン酸化合物やジエポキシ化合物、ジオキサゾリン化合物、ジイソシアネート化合物が挙げられる。これらの中でも、無水ピロメリット酸、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどが好ましく、無水ピロメリット酸がより好ましい。
このようなカップリング剤を用いると、分子量が向上し、機械物性が良好な樹脂組成物が得られるだけでなく、混合性が良好になり、容易に性能の良好な樹脂組成物を得ることができる。
本発明の樹脂改質剤の中でも、ガスバリア性改質剤に用いる場合、コハク酸を共重合しおたポリエステル樹脂(A)を含むポリエステル樹脂組成物からなることが好ましい。このようなポリエステル樹脂組成物を構成するポリエステル(A)としては、コハク酸とエチレングリコールおよび反応中に生ずる若干量のエチレングリコールの2量体、3量体などからなる完全脂肪族のコハク酸共重合ポリエステルでも好ましく、コハク酸およびイソフタル酸とエチレングリコールおよび反応中に生ずる若干量のエチレングリコールの2量体、3量体などからなる芳香族を含むコハク酸共重合ポリエステルでも好ましく、コハク酸および2,6ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールおよび反応中に生ずる若干量のエチレングリコールの2量体、3量体などからなる芳香族を含むコハク酸共重合ポリエステルでも好ましく、コハク酸およびイソフタル酸および2,6ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとからなる芳香族を含むコハク酸共重合ポリエステルでも好ましい。
上記のような中では、特にイソフタル酸および/または2,6ナフタレンジカルボン酸を共重合したような芳香族を含むコハク酸共重合ポリエステルが好ましい。このような芳香族を含むコハク酸共重合ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートなどの芳香族結晶性ポリエステルに混合する際、完全脂肪族ポリエステルより混合性が良好で、ガスバリア性の良好な樹脂を容易に得ることができ好ましい。
このようなポリエステル樹脂組成物からなるガスバリア性改良剤は、他の少なくとも1種類の結晶性ポリエステル(B)100重量部に対し、1〜400重量部の範囲で、好ましくは、5〜150重量部、さらに好ましくは、10〜100重量部の範囲で添加することができる。このような範囲で添加すると、結晶性ポリエステル(B)の結晶性を保持しながら、ガスバリア性を向上させることができ好ましい。
ガスバリア改良剤は、上記のような結晶性ポリエステル(B)と溶融混合して添加するのが好ましい。または、溶融混合後さらに固相重合を行っても構わない。溶融混合を行う温度は、ガスバリア改良剤の流動温度以上、具体的には、110℃以上、かつ結晶性ポリエステル(B)の融点以上の温度であればどの温度でも構わないが、180〜300℃の温度範囲、好ましくは220〜290℃の温度範囲であることが望ましい。また、溶融混合を行う時間は、30秒〜4時間の間が好ましく、1分〜2時間の間がより好ましい。
【0008】
この溶融混合を行う装置としては、一軸押出機、二軸押出機、プラストミル、ニーダーあるいは、攪拌装置、減圧装置の付いた反応器などが挙げられる。また、この溶融混合は不活性気体雰囲気下および/または減圧下で行われるのが望ましい。
これらの混合は、樹脂改質剤と結晶性ポリエステル(B)以外に、触媒や安定剤、カップリング剤の存在下でおこなわれても良い。触媒や安定剤は、樹脂改質剤や結晶性ポリエステル(B)に、あらかじめ含有していてもよく、溶融混合の際に、添加しても構わない。触媒としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、あるいはマンガン、亜鉛、スズ、コバルト、チタン、アンチモン、ゲルマニウムなどの金属やそれらを含む有機・無機化合物が例示される。また、安定剤や着色防止剤としては、リン化合物やは、ヒンダードフェノール化合物などが例示される。
これらの中では、特にリン化合物が好ましい。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸などの無機リン化合物、トリメチルリン酸やジフェニルリン酸などのリン酸エステル化合物、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4ジーt−ブチルフェニル)ホスファイトなどの亜リン酸エステル化合物などがあげられる。このようなリン化合物を含有していると、少なくとも色相が良好な樹脂組成物が得られる。
また、カップリング剤としては、ポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基と反応するジ無水カルボン酸化合物やジエポキシ化合物、ジオキサゾリン化合物、ジイソシアネート化合物が挙げられる。これらの中でも、無水ピロメリット酸、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどが好ましく、無水ピロメリット酸がより好ましい。
このようなカップリング剤を用いると、分子量が向上し、機械物性が良好な樹脂組成物が得られるだけでなく、混合性が良好になり、容易に性能の良好な樹脂組成物を得ることができる。
溶融温度、溶融時間、溶融混合の装置等、溶融条件の選択は、ガスバリア性改良剤や結晶性ポリエステル(B)の混合比、分子量、触媒や安定剤の有無により、適宜選択される。例えば、ラボプラストミルなどの常圧条件で溶融混練を行う装置を用いて、IVが0.6〜0.9dl/gのポリエチレンテレフタレートとIVが0.8〜1.2dl/gのコハク酸・イソフタル酸・エチレングリコール共重合体からなるガスバリア性改良剤を、触媒の存在下混合する場合には、270〜290℃の温度範囲で、5分から15分の間、溶融混合されるのが好ましい。ガスバリア性改良剤および/または結晶性ポリエステルの分子量がこれより大きい場合には、さらに長時間溶融混合されるのが好ましく、触媒が存在しないか失活している場合には、さらに長時間溶融混合されるのが好ましく、リン酸エステルなどの安定剤が存在している場合にも、さらに長時間溶融混合されるのが好ましい。また、この混合が減圧下で行われる場合には、より短時間で溶融混合されるのが好ましく、二軸押出機などの強混練な条件下では、より短時間で溶融混合されるのが好ましい。
【0009】
さらに、溶融混合にて得られたポリエステル樹脂組成物は、さらに、その融点以下の温度で、減圧下あるいは不活性気流下にて20分〜100時間の範囲で保持し、固相重合を行ってもよい。固相重合の方法は公知の方法を採用することができ、例えば、不活性ガス雰囲気下にポリエステル樹脂組成物のペレットを80℃〜融解ピーク温度以下30℃の温度範囲の下に1〜300分保つことにより予備結晶化を行った後、100℃〜融解ピーク温度以下20℃の温度範囲で1〜100時間保つことにより固相重合を行うことができる。固相重合を行った樹脂は、分子量が大きくなり、機械的強度の向上に寄与するのとともに、低分子成分含有量が低減するため好ましい。
【0010】
【本発明の効果】
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、脂肪族ジカルボン酸が共重合されているにもかかわらず、ゲルマニウムとリンを含み、特定の遷移金属を含まないため色相が良好で効率よく製造される。これを結晶性ポリエステルに添加することで、色相を悪化させることなく、ガスバリア性や柔軟性などの諸物性が改良された樹脂組成物を提供することができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を、実施例により具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
尚、各樹脂、樹脂組成物の物性は以下の方法で実施した。
〔ポリエステル樹脂組成物中のジエチレングリコールの含有量〕
ポリエステル樹脂組成物をモノエタノールアミンで分解したのち、ガスクロマトグラフィーを使用して定量した。
〔ポリエステル樹脂組成物中の金属元素、リン元素量〕
高周波プラズマ発光分光装置を用い、ポリエステル樹脂組成物中に含まれる各種金属元素およびリン元素を定量した。
〔ポリエステル樹脂組成物の色相〕
得られたペレットの色相は微小表面測色計(スガ試験機製)により、Lab値により示した。a値、b値が0に近く、L値が大きいほど色相は白色に近く良好な色相を示していると言える。
〔ポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度、融解ピーク温度〕
示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製 Pyris1)を用いて測定した。あらかじめよく乾燥させたペレットから切り出した試料をサンプルパンに10mg秤量し、ヘリウム雰囲気中、室温から200℃まで昇温(昇温速度 320℃/分)して200℃で10分間保持した後、−100℃まで急冷(降温速度 320℃/分)して−100℃で10分間保持し、次いで200℃までの昇温(昇温速度=10℃/分)過程で測定を行った。ガラス転移温度と融解ピーク温度は付属の解析ソフトで測定した。
〔ポリエステル樹脂組成物のガスバリア性〕
所定の方法で得た厚さ100μmのフィルムについて、炭酸ガス透過性の評価に用いた。25℃における炭酸ガス透過係数をガス透過率測定装置(ジーエルサイエンス社製)を用いて測定し、この値で評価した。透過係数の値が小さいほど、ガスバリア性は優れる。
〔ポリエステル樹脂組成物の機械物性〕
所定の方法で得た厚さ0.5mmのプレスシートについて、23℃、相対湿度50%の条件中に3日間放置した後、ダンベル型の試料を切り出し、引張試験機インストロン4501(インストロン社製)を用い、23℃、相対湿度50%の条件下で、ひずみ速度100%/分の条件で引張試験を行った。
【実施例1】
無水コハク酸 100.1g、エチレングリコール 65.2g、1,1,1(トリスヒドロキメチル)エタン 0.30gとを攪拌装置、留出管を装備したガラス製反応器に仕込んだ。留出管は真空ポンプと減圧調整器からなる真空装置に接続されており、蒸発物を留去可能な構造となっている。
まず、反応器を充分に窒素置換を行った後、常圧窒素雰囲気下にて、130℃から240℃まで3時間30分かけて攪拌しながら昇温し、水を留去しながらエステル化反応を行った。引き続き、得られた化合物に二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液 (二酸化ゲルマニウム濃度 6.9wt%)を0.455gおよびリン酸のエチレングリコール溶液(リン酸濃度 1wt%) 0.98gを添加し、充分に窒素置換した後、常圧窒素気流下240℃から250℃まで30分かけて昇温した。その後、真空ポンプを作動させ、1時間かけ270℃、1Torrまでの昇温・減圧を行い、引き続き、30分かけて280℃までの昇温を行った。その状態で重縮合を行い、3時間後適当な溶融粘度に達したため、系内に窒素ガスを導入して、常圧に戻し反応を終了させた。その後、反応容器からポリエステル樹脂組成物のストランドを採取し、ペレット化を行った。得られたペレットは白色であり、良好な色相であった。得られたポリエステル樹脂組成物の組成および元素含有量を表1に示す。尚、ポリエステル樹脂組成物の組成はジエチレングリコール含有量のみ定量し、それ以外は、仕込みモノマー比からの推定値である。
【実施例2】
無水コハク酸 95.1g、イソフタル酸 8.31g、エチレングリコール65.2g、1,1,1(トリスヒドロキシメトキシ)エタン 0.30gとを反応器に仕込み、実施例1と同様にエステル交換を行った。さらに、実施例1と同量の二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液とリン酸のエチレングリコール溶液とを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A2)を取り出しペレットを得た。得られたペレットは白色であり、良好な色相であった。
【実施例3】
無水コハク酸 90.1g、イソフタル酸 16.6g、エチレングリコール65.2g、1,1,1(トリスヒドロキシメトキシ)エタン 0.30gとを反応器に仕込み、実施例1と同様にエステル交換を行った。さらに、実施例1と同量の二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液とリン酸のエチレングリコール溶液とを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A2)を取り出しペレットを得た。得られたペレットは白色であり、良好な色相であった。
【実施例4】
アジピン酸 131.5g、無水コハク酸 10.0g、エチレングリコール65.2g、ペンタエリスリトール 0.27gとを反応器に仕込み、実施例1と同量の二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液とリン酸のエチレングリコール溶液とを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A2)を取り出しペレットを得た。得られたペレットは白色であり、良好な色相であった。
【比較例1】
コハク酸ジメチル 146.1g、エチレングリコール 124.1g、1,1,1(トリスヒドロキシメトキシ)エタン 0.30gと酢酸マンガン4水和物 0.12gとを反応器に仕込み、130℃から240℃まで3時間30分かけて攪拌しながら昇温し、メタノールを留去しながらエステル交換反応を行った。さらに、実施例1と同量の二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液を添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A4)を取り出した。ペレットは強い赤味を帯びており色相は良好ではなかった。
【比較例2】
比較例1と同様のモノマー組成で、比較例1と同様にエステル交換反応を行った。さらに、実施例1と同量の二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液とリン酸のエチレングリコール溶液とを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A4)を取り出した。ペレットは強い赤味を帯びており色相は良好ではなかった。
【比較例3】
比較例1と同様のモノマー組成で、比較例1と同様にエステル交換反応を行った。さらに、さらに、酢酸アンチモンのエチレングリコール溶液(酢酸アンチモン濃度5wt%) 1.79gとリン酸のエチレングリコール溶液(リン酸濃度1wt%) 0.98gとを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A4)を取り出した。得られたペレットは茶褐色であり色相は良好ではなかった。
【比較例4】
比較例1と同様のモノマー組成で、比較例1と同様にエステル交換反応を行った。さらに、さらに、チタン酸テトラブチルのエチレングリコール溶液(チタン酸テトラブチル濃度5wt%) 2.04gとリン酸のエチレングリコール溶液(リン酸濃度 1wt%) 0.98gとを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A4)を取り出した。得られたペレットは茶褐色であり色相は良好ではなかった。
【比較例5】
実施例1のモノマー組成で、実施例1と同様にエステル化反応を行った。さらに、ジブチルスズマレートのエチレングリコール溶液(ジブチルスズマレート 濃度5wt%) 2.08gとリン酸のエチレングリコール溶液(リン酸濃度 1wt%) 0.98gとを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂(A4)を取り出した。得られたペレットは茶褐色であり色相は良好ではなかった。
【比較例6】
実施例1のモノマー組成で、実施例1と同様にエステル化反応を行った。さらに、二酸化ゲルマニウムのシュウ酸水溶液 (二酸化ゲルマニウム濃度 6.9wt%)を0.455gのみを添加し、実施例1と同様の方法で重縮合を行い、ポリエステル樹脂を取り出した。得られたペレットは淡い黄色に着色してあり、比較例1〜5に比べると改善されているが、実施例に比べ色相は良好とは言えなかった。
【実施例6】
真空乾燥機で充分に乾燥した市販のポリエチレンテレフタレート(Tm=252℃、 IV=0.82dl/g)80重量部に、改質剤として、実施例2と同様の方法で得たポリエステル樹脂組成物を20重量部添加し、定量フィーダーおよびベント付き30mmφ二軸押出機(プラスチック工業研究所製;L/D=47.5)にて、シリンダ温度280℃の条件で混合、樹脂組成物を得た。次いで、得られたポリエステル樹脂組成物(C1)ペレットを120℃に設定した真空乾燥機で6時間減圧乾燥を行った。その後、2枚の真鍮板、アルミ板および離型フィルムの間に所定量はさみ、280℃で溶融させ10MPaで1分間圧縮した後、0℃の温度に設定した圧縮成形機で再び10MPaで圧縮冷却し、厚さ0.5mmのシートおよび厚さ100μmのフィルムを成形した。
上記の方法で得た厚さ100μmのフィルムは、炭酸ガス透過性の評価に用い、厚さ0.5mmのプレスシートは引張試験に用いた。評価結果を表2に示す。
【実施例7】
改質剤のポリエステル樹脂組成物を30重量部添加した以外は実施例6と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得、評価を行った。結果を表2に示す。
【比較例7】
ポリエチレンテレフタレートについて同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。実施例6,7に比べ炭酸ガス透過係数が大きくガスバリア性に劣っている。ポリエステル樹脂組成物が改質剤になっていることが判る。
【表1】
【表2】
【表3】
Claims (4)
- (A)ポリエステル樹脂の全構成単位を100モル%とするとき、炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸単位を24〜50モル%含有し、芳香族ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有し、脂肪族ジカルボン酸単位、芳香族ジカルボン酸単位および炭素数2〜10の脂肪族ジオール単位を合計で90モル%以上含有するポリエステル樹脂と(B)ゲルマニウム化合物、および(C)リン化合物とからなる樹脂組成物であり、
(B)ゲルマニウム化合物と(C)リン化合物の合計の含有量が元素換算で樹脂組成物に対して10〜2000ppmであり、ゲルマニウム元素とリン元素のモル比が20:1〜1:5の範囲にあり、Mn、Ti,Sb,Sn,Co,Cr,Zrから選ばれるいずれの遷移金属元素もそれぞれ5ppm以上含まないことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。 - ポリエステル樹脂(A)の芳香族ジカルボン酸単位がイソフタル酸単位および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸単位である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
- (A)ポリエステル樹脂の全構成単位を100モル%とするとき、コハク酸単位を24〜50モル%含有し、イソフタル酸単位および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸単位0〜26モル%含有し、コハク酸単位、イソフタル酸単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位およびエチレングリコール単位を合計で90モル%以上含有するポリエステル樹脂と(B)ゲルマニウム化合物、および(C)リン化合物とからなる樹脂組成物であり、
(B)ゲルマニウム化合物と(C)リン化合物の合計の含有量が元素換算で樹脂組成物に対して10〜2000ppmであり、ゲルマニウム元素とリン元素のモル比が20:1〜1:5の範囲にあり、Mn,Ti,Sb,Sn,V,Co,Cr,Zr,Cuから選ばれるいずれの遷移金属元素もそれぞれ5ppm以上含まないことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。 - (A)ポリエステル樹脂の全構成単位を100モル%とするとき、コハク酸単位を少なくとも24〜49モル%含有し、イソフタル酸単位および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸単位1〜26モル%含有し、コハク酸単位、イソフタル酸単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位およびエチレングリコール単位を合計で90モル%以上含有するポリエステル樹脂と(B)ゲルマニウム化合物、および(C)リン化合物とからなる樹脂組成物であり、
(B)ゲルマニウム化合物と(C)リン化合物の合計の含有量が元素換算で樹脂組成物に対して10〜2000ppmであり、ゲルマニウム元素とリン元素のモル比が20:1〜1:5の範囲にあり、Mn、Ti,Sb,Sn,Co,Cr,Zrから選ばれるいずれの遷移金属元素もそれぞれ5ppm以上含まないことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
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