JP2002201345A - ポリエステル樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物およびその用途

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JP2002201345A
JP2002201345A JP2000398930A JP2000398930A JP2002201345A JP 2002201345 A JP2002201345 A JP 2002201345A JP 2000398930 A JP2000398930 A JP 2000398930A JP 2000398930 A JP2000398930 A JP 2000398930A JP 2002201345 A JP2002201345 A JP 2002201345A
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polyester
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Junji Tan
淳 二 丹
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明のポリエステル樹脂組成物は、
(A)コハク酸共重合ポリエステルの全構成単位を10
0モル%とするとき、コハク酸単位を24〜50モル%
含有し、芳香族ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有
し、コハク酸単位、芳香族ジカルボン酸単位およびエチ
レングリコール単位を合計で90モル%以上含有するコ
ハク酸共重合ポリエステル:1〜70重量部と、(B)
結晶性ポリエステル(但し(A)を除く):99〜30
重量部とから構成され、そのランダム化率が20〜80
%の範囲にあることを特徴としている。 【効果】 本発明のポリエステル樹脂組成物は、ガスバ
リア性および耐熱性のいずれにも優れる成形品を提供す
ることができ、ガスバリア性を必要とするフィルムやブ
ロー容器などの食品用包装材料、電子部品などの包装材
料、医療用材料などに好適に用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、コハク酸を共重合したポ
リエステルと、結晶性ポリエステルとからなるポリエス
テル樹脂組成物およびその用途に関する。詳しくは、本
発明は、コハク酸単位と芳香族ジカルボン酸単位を有す
るコハク酸共重合ポリエステル(A)と、結晶性ポリエ
ステル(B)とからなり、ランダム化率が所定の範囲に
ある、ガスバリア性および耐熱性に優れたポリエステル
樹脂組成物と、該樹脂組成物からなるシート、フィルム
およびブロー中空容器等の成形品に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】食品包装等に高分子材料を用いる
場合、内容物の変質を防ぐためガス透過性が低いことが
望まれている。ポリエステル樹脂のうちでは、ポリエチ
レンテレフタレートが成形性、機械物性、ガスバリア性
のバランスに優れるため各種の飲料容器などの食品包装
材料に使用される例が多かった。しかしながら、特に長
期保存性が求められる食品包装に対してはポリエチレン
テレフタレート樹脂をもってしてもガスバリア性が必ず
しも十分であるとはいえなかった。
【0003】このため、特公昭63−40444号公報
には、イソフタル酸とエチレングリコールおよび1,3-ビ
ス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンの共重合体が二酸
化炭素、酸素透過性の低い樹脂として提案されてきてい
る。しかしながら、このポリエステル樹脂をポリエチレ
ンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルにガスバリ
ア性改良剤として添加しても、その効果は充分とはいえ
なかった。
【0004】本発明者は、上記のような状況を解決する
ため鋭意検討したところ、コハク酸を特定量含有するポ
リエステルにガスバリア性の改質性能があることを見出
し、既に提案している(特願平11−369732
号)。しかしながら、結晶性ポリエステルと、コハク酸
を主体にしたポリエステルを混合する場合、その混合状
態によってはガスバリア性が発現しなかったり、または
結晶性が低下することで耐熱性が低下したりする問題点
があった。
【0005】本発明者は、このような状況に鑑みて鋭意
検討した結果、コハク酸単位を有する特定のポリエステ
ルと結晶性ポリエステルを適当な範囲内で反応させて得
られるポリエステル樹脂組成物が、ガスバリア性および
耐熱性の双方において優れることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0006】
【発明の目的】本発明は、コハク酸単位を含有するポリ
エステルと、結晶性ポリエステルとからなり、ランダム
化率が所定の範囲内にある、ガスバリア性および耐熱性
に優れたポリエステル樹脂組成物を提供することを目的
としている。また、本発明は、前記ポリエステル樹脂組
成物からなる、ガスバリア性および耐熱性に優れたシー
ト、フィルムおよびブロー中空容器等の成形品を提供す
ることを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明のポリエステル樹脂組成物は、
(A)コハク酸共重合ポリエステルの全構成単位を10
0モル%とするとき、コハク酸単位を24〜50モル%
含有し、芳香族ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有
し、コハク酸単位、芳香族ジカルボン酸単位およびエチ
レングリコール単位を合計で90モル%以上含有するコ
ハク酸共重合ポリエステル:1〜70重量部と、(B)
結晶性ポリエステル(但し(A)を除く):99〜30
重量部とから構成され、そのランダム化率が20〜80
%の範囲にあることを特徴としている。
【0008】このようなポリエステル樹脂組成物は、コ
ハク酸共重合ポリエステル(A)の芳香族ジカルボン酸
単位が、イソフタル酸単位および/または2,6-ナフタレ
ンジカルボン酸単位であることも好ましい。また、本発
明のポリエステル樹脂組成物は、(A)コハク酸共重合
ポリエステルの全構成単位を100モル%とするとき、
コハク酸単位を24〜49モル%含有し、イソフタル酸
単位および/または2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を
合計で1〜26モル%含有し、コハク酸単位、イソフタ
ル酸単位、2,6-ナフタレンジカルボン酸単位およびエチ
レングリコール単位を合計で90モル%以上含有するコ
ハク酸共重合ポリエステル:1〜70重量部と、(B)
結晶性ポリエステル(但し(A)を除く):99〜30
重量部とから構成され、そのランダム化率が20〜80
%の範囲であることも好ましい。
【0009】このような本発明のポリエステル樹脂組成
物は、コハク酸共重合ポリエステル(A)が、エステル
形成能を有する官能数3以上のモノマー単位を0.00
1〜2モル%含有することも好ましく、また、このよう
なエステル形成能を有する官能数3以上のモノマー単位
が、グリセリン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エ
タン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、ペ
ンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールより
なる群から選ばれる1種以上から導かれる単位であるこ
とも好ましい。コハク酸共重合ポリエステル(A)のエ
ステル形成能を有する官能数3以上のモノマー単位が、
多官能アルコールから導かれる単位であることも好まし
く、また、グリセリン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチ
ル)エタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパ
ン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトー
ルよりなる群から選ばれる1種以上から導かれる単位で
あることも好ましい。
【0010】また、本発明のポリエステル樹脂組成物
は、結晶性ポリエステル(B)が、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、
ポリトリメチレン2,6ナフタレート、ポリブチレン2,6ナ
フタレート、ポリエチレンイソフタレートよりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種類の結晶性ポリエステルであ
ることも好ましい。
【0011】このような本発明のポリエステル樹脂組成
物は、ポリエステル樹脂組成物の炭酸ガス透過係数Pc
が結晶性ポリエステル(B)の炭酸ガス透過係数Pbよ
り小さいことも好ましい。本発明のシートまたはフィル
ムは、上述した本発明のポリエステル樹脂を成形してな
る。また、本発明のブロー中空容器は、本発明のポリエ
ステル樹脂を成形してなる。本発明のチューブ、繊維ま
たは不織布は、上述した本発明のポリエステル樹脂を成
形してなる。
【0012】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明のポリエステル樹脂組成物は、コハク酸
共重合ポリエステル(A)と、結晶性ポリエステル
(B)とを含有し、特定のランダム化率を有する。コハク酸共重合ポリエステル(A) 本発明のポリエステル樹脂組成物を構成するコハク酸共
重合ポリエステル(A)は、全構成単位を100モル%
とするとき、コハク酸単位を24〜50モル%、芳香族
ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有し、コハク酸単
位、芳香族ジカルボン酸単位およびエチレングリコール
単位を合計で90モル%以上含有している。
【0013】ここで、コハク酸共重合ポリエステルの全
構成単位とは、コハク酸共重合ポリエステルを酸やアル
カリにより完全に加水分解したときに得られる全ての単
位を意味する。本発明で用いるコハク酸共重合ポリエス
テル(A)としては、このうち特に、コハク酸共重合ポ
リエステルの全構成単位を100モル%とするとき、コ
ハク酸単位と芳香族ジカルボン酸単位が合計で48〜5
0モル%であり、コハク酸単位を24〜50モル%、好
ましくは30〜48モル%含有し、芳香族ジカルボン酸
単位を26〜0モル%、好ましくは20〜2モル%含有
し、エチレングリコール単位を45モル%以上含有する
のが好ましい。
【0014】芳香族ジカルボン酸単位としては、イソフ
タル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、
フタル酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレ
ンジカルボン酸、4,4'-スルホンビス安息香酸、4,4'-ビ
フェニルジカルボン酸、4,4'-スルフィドビス安息香
酸、4,4'-オキシビス安息香酸、ジフェノキシエタンジ
カルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から導かれる単位
が挙げられ、特に、イソフタル酸単位および/または2,
6-ナフタレンジカルボン酸単位が好ましい。
【0015】また、本発明で用いるコハク酸共重合ポリ
エステル(A)は、コハク酸共重合ポリエステルの全構
成単位を100モル%とするとき、コハク酸単位を24
〜49モル%含有し、イソフタル酸単位および/または
2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を合計で1〜26モル
%含有し、コハク酸単位、イソフタル酸単位、2,6-ナフ
タレンジカルボン酸単位およびエチレングリコール単位
を合計で90モル%以上含有することも望ましい。
【0016】このうち特に、コハク酸共重合ポリエステ
ルの全構成単位を100モル%とするときに、コハク酸
とイソフタル酸および/または2,6-ナフタレンジカルボ
ン酸から構成される単位が合計で48〜50モル%であ
り、コハク酸の単位を24〜49モル%、好ましくは、
30〜48モル%、イソフタル酸および/または2,6
ナフタレンジカルボン酸の単位を26〜1モル%、好ま
しくは20〜2モル%、エチレングリコールの単位を4
5モル%以上含有するのが好ましい。
【0017】コハク酸共重合ポリエステル(A)は、上
記構成単位以外にさらに、エステル形成能を有する官能
数3以上のモノマー単位を含有してもよい。このような
官能数3以上のモノマー単位は、コハク酸共重合ポリエ
ステル(A)の全構成単位を100モル%とするとき、
0.001〜2モル%、好ましくは0.01〜0.3モ
ル%含有するのが好ましい。
【0018】これらのコハク酸共重合ポリエステル
(A)を構成するエステル形成能を有する官能数3以上
のモノマー単位としては、3以上のカルボキシル基を有
する多官能カルボン酸類、または3以上のヒドロキシル
基を有する多官能アルコール類から導かれる単位、3以
上のカルボキシル基およびヒドロキシル基を有する多官
能ヒドロキシ酸類から導かれる単位が挙げられる。
【0019】これらの中では、特に3以上のヒドロキシ
ル基を有する多官能アルコール類から導かれる単位が好
ましい。具体的には、グリセリン、ジグリセリン、トリ
ス(ヒドロキシメチル)メタン、1,1,1-トリス(ヒドロ
キシメチル)エタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチ
ル)プロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリス
リトールや、ソルビトール、グルコース、ラクトース、
ガラクトース、フルクトース、サッカロースなどの糖
類、1,3,5トリスヒドロキシエトキシイソシアヌレート
などの窒素含有多価アルコールから導かれる単位などが
挙げられる。
【0020】本発明で用いるコハク酸共重合ポリエステ
ル(A)では、官能数3以上のモノマー単位として、こ
れらのなかでも、グリセリン、1,1,1-トリス(ヒドロキ
シメチル)エタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)
プロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリト
ールから選ばれる1種以上から導かれる単位がより好ま
しく挙げられる。
【0021】また、本発明で用いるコハク酸共重合ポリ
エステル(A)は、上述した構成を満たす範囲で、その
他の構成単位を通常10モル%以下、好ましくは5モル
%以下の範囲で含有していてもよい。コハク酸共重合ポ
リエステル(A)が含有していてもよい、その他の構成
単位としては、上述した以外のジカルボン酸単位、ジオ
ール単位、ヒドロキシカルボン酸単位などが挙げられ
る。
【0022】具体的には、上述した以外のジカルボン酸
単位としては、マロン酸、グルタル酸、フマル酸、マレ
イン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカ
ンジカルボン酸、ジグリコール酸などの脂肪族ジカルボ
ン酸から導かれる単位、シクロヘキサンジカルボン酸な
どの脂環族ジカルボン酸から導かれる単位などが挙げら
れる。
【0023】なお、本発明で用いるコハク酸共重合ポリ
エステル(A)が、イソフタル酸および/または2,6-ナ
フタレンジカルボン酸から導かれる単位を含有すると
き、その他の構成単位として、イソフタル酸および2,6-
ナフタレンジカルボン酸以外の芳香族ジカルボン酸単位
を含有していてもよいことはいうまでもなく、具体的に
は、テレフタル酸、フタル酸、2,7-ナフタレンジカルボ
ン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4'-スルホンビ
ス安息香酸、4,4'-ビフェニルジカルボン酸、4,4'-スル
フィドビス安息香酸、4,4'-オキシビス安息香酸、ジフ
ェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸
から導かれる単位を挙げることができる。
【0024】ジオール単位としては、具体的には、ジエ
チレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパ
ンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ドデカメチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ルなどの脂肪族ジオールから導かれる単位、シクロヘキ
サンジメタノールなどの脂環族ジオールから導かれる単
位、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-
ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-
ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス[4-(2-ヒドロキシ
エトキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス(4-β-ヒドロ
キシエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノール類、
ハイドロキノン、レゾルシンなどの芳香族基を含むジオ
ール類から導かれる単位などが挙げられる。
【0025】また、ヒドロキシカルボン酸類の単位とし
ては、グリコール酸、乳酸、3ヒドロキシブチル酸、p-
ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロ
キシメチル安息香酸、m-ヒドロキシメチル安息香酸、p-
(2-ヒドロキシエチル)安息香酸、m-(2-ヒドロキシエチ
ル)安息香酸から導かれる単位などが挙げられる。本発
明で用いるコハク酸共重合ポリエステル(A)の分子量
は任意であるが、数平均分子量が40000以下、好ま
しくは20000以下、さらに好ましくは10000以
下であることが望ましい。このような分子量であれば、
結晶性ポリエステル(B)と混合する際、混合時間を短
縮することができ好ましい。
【0026】このようなコハク酸共重合ポリエステル
(A)は、ポリエステルの製造方法として一般的に採用
されているいずれの方法に準じて製造されたものであっ
てもよいが、特に、溶融重縮合反応により製造されるの
が好ましい。溶融重縮合反応により、コハク酸共重合ポ
リエステル(A)を製造すると、イソフタル酸やナフタ
レンジカルボン酸などの共重合成分を容易に導入するこ
とができる。以下、コハク酸共重合ポリエステル(A)
を溶融重縮合反応によって製造する場合について説明す
る。
【0027】本発明で用いるコハク酸共重合ポリエステ
ル(A)を溶融重縮合反応によって製造する方法として
は、上述した各構成単位を導くモノマーを用いて低重合
体を製造した後、低重合物を溶融重縮合する方法がいず
れも好ましく挙げられる。このような方法としては、例
えば、(i) コハク酸などのジカルボン酸とエチレングリ
コールなどのジオールを直接エステル化したのち、溶融
重縮合反応を行う方法、(ii) コハク酸ジメチルエステ
ルなどのジカルボン酸ジエステルとエチレングリコール
などのジオールをエステル交換したのち、溶融重縮合反
応を行う方法、(iii) 無水コハク酸などのジカルボン酸
無水物とエチレングリコールなどのジオールを反応さ
せ、溶融重縮合反応を行う方法などが挙げられる。
【0028】低重合体の製造は、上述したジカルボン酸
単位を導くジカルボン酸原料、すなわちコハク酸や無水
コハク酸を主体とするジカルボン酸や酸無水物、または
その低級アルコールエステルからなるジカルボン酸原料
と、エチレングリコールを主体とするジオール原料と、
必要に応じて、上述した官能数3以上のモノマー単位を
導く3官能アルコールなどの多官能化合物原料とを用い
て、エステル化反応またはエステル交換反応することに
より行う。
【0029】低重合体を製造するエステル化反応の方法
としては、所定量のジカルボン酸原料と、所定量のジオ
ール原料と、所定量の多官能化合物原料とを、100〜
230℃の温度条件で、加圧あるいは常圧にて、脱水縮
合を行う方法が挙げられる。このようなエステル化で
は、ジカルボン酸原料合計1モルに対して、ジオール原
料を通常1.01〜3モル、好ましくは1.1〜2.2
モル、多官能化合物原料を通常5×10-6〜0.01モ
ル、好ましくは0.0001〜0.005モルの割合で
仕込み、反応させるのが好ましい。
【0030】このようなエステル化反応は、触媒の存在
下に行ってもよく、触媒を用いずに行ってもよい。エス
テル化反応で用いることのできる触媒としては、濃硫酸
やp-トルエンスルホン酸などの酸や2-エチルオクタン酸
スズなどの金属錯体などの触媒が挙げられる。また、低
重合体を製造するエステル交換反応の方法としては、ジ
カルボン酸原料として、ジカルボン酸の低級アルコール
ジエステル、または、コハク酸無水物とコハク酸以外の
ジカルボン酸類との低級アルコールジエステルを用い
て、所定量のジカルボン酸原料と、所定量のジオール原
料と、所定量の多官能化合物原料とを、100〜230
℃の温度で常圧下に、低級モノアルコールを留出しなが
らエステル交換を行う方法が挙げられる。
【0031】このようなエステル交換では、ジカルボン
酸原料合計1モルに対して、ジオール原料を通常1.0
1〜3モル、好ましくは1.2〜2.2モル、多官能化
合物原料を通常5×10-6〜0.01モル、好ましくは
0.0001〜0.005モルの割合で仕込み、反応さ
せるのが好ましい。このようなエステル交換反応は、酢
酸マンガンや酢酸マグネシウムなどの金属錯体触媒の存
在下に行うのが好ましい。
【0032】次いで、上記のような方法で得たコハク酸
単位を有する低重合体を溶融重縮合する。溶融重縮合
は、重合触媒の存在下に、通常200〜300℃、好ま
しくは220〜280℃の温度条件で、通常10Tor
r以下、好ましくは2Torr以下の減圧条件にて、エ
チレングリコールを主体とする成分を留出しながら行う
のが好ましい。
【0033】溶融重縮合で用いる重合触媒としては、ナ
トリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアル
カリ土類金属や、アルミニウム、亜鉛、スズ、チタン、
銅、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、ゲルマニウ
ム、鉄、アンチモン、バナジウム、などの金属の有機錯
体、酸化物、単体を用いることができるが、特に、亜
鉛、スズ、チタン、コバルト、ゲルマニウム、アンチモ
ンなどの遷移金属の有機錯体あるいは酸化物が好まし
く、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、酢酸アン
チモンが特に好ましく用いられる。
【0034】さらに、これらの反応は、各種安定剤や着
色防止剤の存在下で行ってもよい。安定剤や着色防止剤
としては、リン化合物や、ヒンダードフェノール化合物
などが挙げられる。これらの中では、特にリン化合物を
含有するのが好ましい。リン化合物としては、リン酸、
亜リン酸、ポリリン酸などの無機リン化合物、トリメチ
ルリン酸やジフェニルリン酸などのリン酸エステル化合
物、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4ジーt-ブチ
ルフェニル)ホスファイトなどの亜リン酸エステル化合
物などが挙げられる。
【0035】コハク酸共重合ポリエステル(A)を製造
する際には、このような溶融重縮合の工程において、3
官能以上のアルコールなどの多官能モノマー単位を有す
る低重合物を用いる場合は、官能数3以上のモノマー単
位を全く含まない低重合物を溶融重縮合する場合に比
べ、重合速度が速く、より短時間で効率的に所望の分子
量のコハク酸共重合ポリエステルを得ることができ好ま
しい。
【0036】このような方法によれば、所望の分子量の
コハク酸共重合ポリエステル(A)を製造することがで
き、通常、数平均分子量が40000以下、好ましくは
20000以下、さらに好ましくは10000以下であ
るコハク酸共重合ポリエステル(A)を好適に製造する
ことができる。本発明に係るコハク酸共重合ポリエステ
ル(A)において、多官能アルコールなどの官能数3以
上のモノマー単位を含む場合、重合速度が早く、効率よ
く製造することができる。
【0037】上述したコハク酸共重合ポリエステル
(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して
用いてもよい。結晶性ポリエステル(B) 本発明で用いる結晶性ポリエステル(B)としては、融
点以下30〜90℃の温度範囲に24時間以上保持して
充分にアニールした状態における結晶化度が、通常5%
以上、好ましくは10〜80%である結晶性ポリエステ
ルが望ましい。
【0038】具体的には、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポ
リエチレン2,6ナフタレート、ポリトリメチレン2,
6ナフタレート、ポリブチレン2,6ナフタレート、ポ
リヘキサメチレン2,6ナフタレート、ポリエチレンイ
ソフタレート、ポリトリメチレンイソフタレート、ポリ
ブチレンイソフタレート、ポリヘキサメチレンイソフタ
レート、ポリ1,4シクロヘキサンジメタノールテレフ
タレートの芳香族結晶性ポリエステルや、ポリ乳酸、ポ
リカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエ
チレンアジペート、ポリブチレンアジペートなどの脂肪
族結晶性ポリエステルが挙げられる。
【0039】本発明で用いる結晶性ポリエステル(B)
としては、これらのうち、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、ポリ
トリメチレン2,6ナフタレート、ポリブチレン2,6
ナフタレート、ポリエチレンイソフタレートから選ばれ
る結晶性ポリエステルが特に好ましい。以下、これらに
ついてさらに詳細に説明する。
【0040】<ポリエチレンテレフタレート>結晶性ポ
リエステル(B)として用いられるポリエチレンテレフ
タレートは、テレフタル酸またはそのエステル誘導体か
ら導かれるジカルボン酸単位と、エチレングリコールま
たはそのエステル誘導体から導かれるジオール(ジヒド
ロキシ)単位およびその他ヒドロキシカルボン酸単位な
どとからなる。
【0041】このポリエチレンテレフタレートのジカル
ボン酸、ジオール、その他ヒドロキシカルボン酸などの
単位を計100モル%とするとき、テレフタル酸の単位
およびエチレングリコールの単位以外の単位を20モル
%以下の範囲で含有しても構わない。含有してもよいジ
カルボン酸の単位としては、具体的に、フタル酸、イソ
フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレ
ンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4'-
スルホンビス安息香酸、4,4'-ビフェニルジカルボン
酸、4,4'-スルフィドビス安息香酸、4,4'-オキシビス安
息香酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族
ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマ
ル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライ
ン酸、デカンジカルボン酸、ジグリコール酸などの脂肪
族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂
環族ジカルボン酸が挙げられる。
【0042】また、含有してもよいジオール類として
は、具体的に、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジ
オール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、
1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ドデ
カメチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘ
キサンジメタノールなどの脂環族ジオール、1,3-ビス
(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエ
トキシ)ベンゼン、ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フ
ェニル]スルホン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン、ビスフェノール類、ハイドロキノ
ン、レゾルシンなどの芳香族基を含むジオール類などが
挙げられる。
【0043】また、含有してもよいヒドロキシカルボン
酸類の単位としては、グリコール酸、乳酸、3ヒドロキ
シブチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息
香酸、p-ヒドロキシメチル安息香酸、m-ヒドロキシメチ
ル安息香酸、p-(2-ヒドロキシエチル)安息香酸、m-(2-
ヒドロキシエチル)安息香酸が挙げられる。さらに本発
明で用いられるポリエチレンテレフタレートは、本発明
の目的を損なわない範囲であれば、3以上のカルボキシ
ル基を有する多官能カルボン酸類、または3以上のヒド
ロキシ基を有する多官能ジオールから導かれる単位を含
有していてもよく、たとえばトリメシン酸、無水ピロメ
リット酸などの多官能カルボン酸類、グリセリン、トリ
メチロールメタン、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,
1-トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど
の多官能アルコール類から導かれる単位を含有していて
もよい。
【0044】<ポリトリメチレンテレフタレート>ま
た、結晶性ポリエステル(B)として用いられるポリト
リメチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはその
エステル誘導体から導かれるジカルボン酸単位と、トリ
メチレングリコールまたはそのエステル誘導体から導か
れるジオール(ジヒドロキシ)単位およびその他ヒドロ
キシカルボン酸の単位などとからなる。
【0045】このポリトリメチレンテレフタレートのジ
カルボン酸、ジオール、その他ヒドロキシカルボン酸な
どの単位を計100モル%とするとき、テレフタル酸の
単位およびトリメチレングリコールの単位以外の単位を
20モル%以下の範囲で含有しても構わない。含有して
もよいジカルボン酸の単位としては、具体的に、フタル
酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-
ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン
酸、4,4'-スルホンビス安息香酸、4,4'-ビフェニルジカ
ルボン酸、4,4'-スルフィドビス安息香酸、4,4'-オキシ
ビス安息香酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの
芳香族ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、フマル酸、マレイン酸アジピン酸、セバシン酸、ア
ゼライン酸、デカンジカルボン酸、ジグリコール酸など
の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸な
どの脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
【0046】また、含有してもよいジオール類として
は、具体的に、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,
6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ドデカ
メチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラ
エチレングリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキ
サンジメタノールなどの脂環族ジオール、1,3-ビス(2-
ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒドロキ
シエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼン、ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル]スルホン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパン、ビスフェノール類、ハイドロキノン、
レゾルシンなどの芳香族基を含むジオール類、が挙げら
れる。
【0047】また、含有してもよいヒドロキシカルボン
酸類の単位としては、グリコール酸、乳酸、3ヒドロキ
シブチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息
香酸、p-ヒドロキシメチル安息香酸、m-ヒドロキシメチ
ル安息香酸、p-(2-ヒドロキシエチル)安息香酸、m-(2-
ヒドロキシエチル)安息香酸が挙げられる。さらに本発
明で用いられるポリトリメチレンテレフタレートは、本
発明の目的を損なわない範囲であれば、3以上のカルボ
キシル基を有する多官能カルボン酸類、または3以上の
ヒドロキシ基を有する多官能ジオールから導かれる単位
を含有していてもよく、たとえばトリメシン酸、無水ピ
ロメリット酸などの多官能カルボン酸類、グリセリン、
トリメチロールメタン、1,1,1-トリメチロールエタン、
1,1,1-トリメチロールプロパン、ペンタエルスリトール
などの多官能アルコール類から導かれる単位を含有して
いてもよい。
【0048】<ポリブチレンテレフタレート>結晶性ポ
リエステル(B)として用いられるポリブチレンテレフ
タレートは、テレフタル酸またはそのエステル誘導体か
ら導かれるジカルボン酸単位と、1,4ブタンジオールま
たはそのエステル誘導体から導かれるジオール(ジヒド
ロキシ)単位およびその他ヒドロキシカルボン酸の単位
などとからなる。
【0049】このポリブチレンテレフタレートのジカル
ボン酸、ジオール、その他ヒドロキシカルボン酸などの
単位を計100モル%とするとき、テレフタル酸の単位
および1,4ブタンジオールの単位以外の単位を20モル
%以下の範囲で含有することが好ましい。含有してもよ
いジカルボン酸の単位としては、具体的に、フタル酸、
イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフ
タレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,
4'-スルホンビス安息香酸、4,4'-ビフェニルジカルボン
酸、4,4'-スルフィドビス安息香酸、4,4'-オキシビス安
息香酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族
ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマ
ル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライ
ン酸、デカンジカルボン酸、ジグリコール酸などの脂肪
族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂
環族ジカルボン酸が挙げられる。
【0050】また、含有してもよいジオール類として
は、具体的に、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、
1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ドデ
カメチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘ
キサンジメタノールなどの脂環族ジオール、1,3-ビス
(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエ
トキシ)ベンゼン、ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フ
ェニル]スルホン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン、ビスフェノール類、ハイドロキノ
ン、レゾルシンなどの芳香族基を含むジオール類、が挙
げられる。
【0051】また、含有してもよいヒドロキシカルボン
酸類の単位としては、グリコール酸、乳酸、3ヒドロキ
シブチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息
香酸、p-ヒドロキシメチル安息香酸、m-ヒドロキシメチ
ル安息香酸、p-(2-ヒドロキシエチル)安息香酸、m-(2-
ヒドロキシエチル)安息香酸が挙げられる。さらに本発
明で用いられるポリブチレンテレフタレートは、本発明
の目的を損なわない範囲であれば、3以上のカルボキシ
ル基を有する多官能カルボン酸類、または3以上のヒド
ロキシ基を有する多官能ジオールから導かれる単位を含
有していてもよく、たとえばトリメシン酸、無水ピロメ
リット酸などの多官能カルボン酸類、グリセリン、トリ
メチロールメタン、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,
1-トリメチロールプロパン、ペンタエルスリトールなど
の多官能アルコール類から導かれる単位を含有していて
もよい。
【0052】<ポリエチレン2,6-ナフタレート>結晶性
ポリエステル(B)として用いられるポリエチレン2,6-
ナフタレートは、2,6-ナフタレンジカルボン酸またはそ
のエステル誘導体から導かれるジカルボン酸単位と、エ
チレングリコールまたはそのエステル誘導体から導かれ
るジオール(ジヒドロキシ)単位およびその他ヒドロキ
シカルボン酸単位などとからなる。
【0053】このポリエチレン2,6ナフタレートのジカ
ルボン酸、ジオール、その他ヒドロキシカルボン酸など
の単位を計100モル%とするとき、2,6ナフタレンジ
カルボン酸の単位およびエチレングリコールの単位以外
の単位を20モル%以下の範囲で含有することが好まし
い。含有してもよいジカルボン酸の単位としては、具体
的に、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,7-ナ
フタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、
4,4'-スルホンビス安息香酸、4,4'-ビフェニルジカルボ
ン酸、4,4'-スルフィドビス安息香酸、4,4'-オキシビス
安息香酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香
族ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フ
マル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼラ
イン酸、デカンジカルボン酸、ジグリコール酸などの脂
肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの
脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
【0054】また、含有してもよいジオール類として
は、具体的に、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジ
オール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、
1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ドデ
カメチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘ
キサンジメタノールなどの脂環族ジオール、1,3-ビス
(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエ
トキシ)ベンゼン、ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フ
ェニル]スルホン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン、ビスフェノール類、ハイドロキノ
ン、レゾルシンなどの芳香族基を含むジオール類、が挙
げられる。
【0055】また、含有してもよいヒドロキシカルボン
酸類の単位としては、グリコール酸、乳酸、3ヒドロキ
シブチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息
香酸、p-ヒドロキシメチル安息香酸、m-ヒドロキシメチ
ル安息香酸、p-(2-ヒドロキシエチル)安息香酸、m-(2-
ヒドロキシエチル)安息香酸が挙げられる。さらに本発
明で用いられるポリエチレン2,6-ナフタレートは、本発
明の目的を損なわない範囲であれば、3以上のカルボキ
シル基を有する多官能カルボン酸類、または3以上のヒ
ドロキシ基を有する多官能ジオールから導かれる単位を
含有していてもよく、たとえばトリメシン酸、無水ピロ
メリット酸などの多官能カルボン酸類、グリセリン、1,
1,1-トリメチロールメタン、1,1,1-トリメチロールエタ
ン、1,1,1-トリメチロールプロパン、ペンタエルスリト
ールなどの多官能アルコール類から導かれる単位を含有
していてもよい。 <ポリトリメチレン2,6ナフタレート>結晶性ポリエス
テル(B)として用いられるポリトリメチレン2,6ナフ
タレートは、2,6-ナフタレンジカルボン酸またはそのエ
ステル誘導体から導かれるジカルボン酸単位と、1,3-プ
ロパンジオールまたはそのエステル誘導体から導かれる
ジオール(ジヒドロキシ)単位およびその他ヒドロキシ
カルボン酸単位などとからなる。
【0056】このポリトリメチレン2,6ナフタレートの
ジカルボン酸、ジオール、その他ヒドロキシカルボン酸
などの単位を計100モル%とするとき、2,6ナフタレ
ンジカルボン酸の単位および1,3-プロパンジオールの単
位以外の単位を20モル%以下の範囲で含有することが
好ましい。含有してもよいジカルボン酸の単位として
は、具体的に、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル
酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカ
ルボン酸、4,4'-スルホンビス安息香酸、4,4'-ビフェニ
ルジカルボン酸、4,4'-スルフィドビス安息香酸、4,4'-
オキシビス安息香酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸
などの芳香族ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グル
タル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン
酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ジグリコール
酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸などの脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
【0057】また、含有してもよいジオール類として
は、具体的に、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,
6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ドデカ
メチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラ
エチレングリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキ
サンジメタノールなどの脂環族ジオール、1,3-ビス(2-
ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒドロキ
シエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼン、ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル]スルホン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパン、ビスフェノール類、ハイドロキノン、
レゾルシンなどの芳香族基を含むジオール類、が挙げら
れる。
【0058】また、含有してもよいヒドロキシカルボン
酸類の単位としては、グリコール酸、乳酸、3ヒドロキ
シブチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息
香酸、p-ヒドロキシメチル安息香酸、m-ヒドロキシメチ
ル安息香酸、p-(2-ヒドロキシエチル)安息香酸、m-(2-
ヒドロキシエチル)安息香酸が挙げられる。さらに本発
明で用いられるポリトリメチレン2,6ナフタレートは、
本発明の目的を損なわない範囲であれば、3以上のカル
ボキシル基を有する多官能カルボン酸類、または3以上
のヒドロキシ基を有する多官能ジオールから導かれる単
位を含有していてもよく、たとえばトリメシン酸、無水
ピロメリット酸などの多官能カルボン酸類、グリセリ
ン、1,1,1-トリメチロールメタン、1,1,1-トリメチロー
ルエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、ペンタエル
スリトールなどの多官能アルコール類から導かれる単位
を含有していてもよい。 <ポリブチレン2,6ナフタレート>結晶性ポリエステル
(B)として用いられるポリブチレン2,6ナフタレート
は、2,6-ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル誘
導体から導かれるジカルボン酸単位と、1,4-ブタンジオ
ールまたはそのエステル誘導体から導かれるジオール
(ジヒドロキシ)単位およびその他ヒドロキシカルボン
酸単位などとからなる。
【0059】このポリブチレン2,6ナフタレートのジカ
ルボン酸、ジオール、その他ヒドロキシカルボン酸など
の単位を計100モル%とするとき、2,6ナフタレンジ
カルボン酸の単位および1,4-ブタンジオールの単位以外
の単位を20モル%以下の範囲で含有することが好まし
い。含有してもよいジカルボン酸の単位としては、具体
的に、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,7-ナ
フタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、
4,4'-スルホンビス安息香酸、4,4'-ビフェニルジカルボ
ン酸、4,4'-スルフィドビス安息香酸、4,4'-オキシビス
安息香酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香
族ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フ
マル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼラ
イン酸、デカンジカルボン酸、ジグリコール酸などの脂
肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの
脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
【0060】また、含有してもよいジオール類として
は、具体的に、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、
1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ドデ
カメチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘ
キサンジメタノールなどの脂環族ジオール、1,3-ビス
(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエ
トキシ)ベンゼン、ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フ
ェニル]スルホン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン、ビスフェノール類、ハイドロキノ
ン、レゾルシンなどの芳香族基を含むジオール類、が挙
げられる。
【0061】また、含有してもよいヒドロキシカルボン
酸類の単位としては、グリコール酸、乳酸、3ヒドロキ
シブチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息
香酸、p-ヒドロキシメチル安息香酸、m-ヒドロキシメチ
ル安息香酸、p-(2-ヒドロキシエチル)安息香酸、m-(2-
ヒドロキシエチル)安息香酸が挙げられる。さらに本発
明で用いられるポリブチレン2,6-ナフタレートは、本発
明の目的を損なわない範囲であれば、3以上のカルボキ
シル基を有する多官能カルボン酸類、または3以上のヒ
ドロキシ基を有する多官能ジオールから導かれる単位を
含有していてもよく、たとえばトリメシン酸、無水ピロ
メリット酸などの多官能カルボン酸類、グリセリン、1,
1,1-トリメチロールメタン、1,1,1-トリメチロールエタ
ン、1,1,1-トリメチロールプロパン、ペンタエルスリト
ールなどの多官能アルコール類から導かれる単位を含有
していてもよい。
【0062】<ポリエチレンイソフタレート>結晶性ポ
リエステル(B)として用いられるは、イソフタル酸ま
たはそのエステル誘導体から導かれるジカルボン酸単位
と、エチレングリコールまたはそのエステル誘導体から
導かれるジオール(ジヒドロキシ)単位およびその他ヒ
ドロキシカルボン酸単位などとからなる。
【0063】このポリエチレンイソフタレートのジカル
ボン酸、ジオール、その他ヒドロキシカルボン酸などの
単位を計100モル%とするとき、イソフタル酸の単位
およびエチレングリコールの単位以外の単位を20モル
%以下の範囲で含有することが好ましい。含有してもよ
いジカルボン酸の単位としては、具体的に、フタル酸、
テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフ
タレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,
4'-スルホンビス安息香酸、4,4'-ビフェニルジカルボン
酸、4,4'-スルフィドビス安息香酸、4,4'-オキシビス安
息香酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族
ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマ
ル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライ
ン酸、デカンジカルボン酸、ジグリコール酸などの脂肪
族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂
環族ジカルボン酸が挙げられる。
【0064】また、含有してもよいジオール類として
は、具体的に、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジ
オール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、
1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ドデ
カメチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘ
キサンジメタノールなどの脂環族ジオール、1,3-ビス
(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエ
トキシ)ベンゼン、ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フ
ェニル]スルホン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン、ビスフェノール類、ハイドロキノ
ン、レゾルシンなどの芳香族基を含むジオール類が挙げ
られる。
【0065】また、含有してもよいヒドロキシカルボン
酸類の単位としては、グリコール酸、乳酸、3ヒドロキ
シブチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息
香酸、p-ヒドロキシメチル安息香酸、m-ヒドロキシメチ
ル安息香酸、p-(2-ヒドロキシエチル)安息香酸、m-(2-
ヒドロキシエチル)安息香酸が挙げられる。さらに本発
明で用いられるポリエチレンイソフタレートは、本発明
の目的を損なわない範囲であれば、3以上のカルボキシ
ル基を有する多官能カルボン酸類、または3以上のヒド
ロキシ基を有する多官能ジオールから導かれる単位を含
有していてもよく、たとえばトリメシン酸、無水ピロメ
リット酸などの多官能カルボン酸類、グリセリン、1,1,
1-トリメチロールメタン、1,1,1-トリメチロールエタ
ン、1,1,1-トリメチロールプロパン、ペンタエルスリト
ールなどの多官能アルコール類から導かれる単位を含有
していてもよい。
【0066】上記のような結晶性ポリエステル(B)
は、単独で用いてもよいし、2種以上組合わせて用いて
もよい。また、これら上記に示される結晶性ポリエステ
ル(B)は、通常のポリエステル樹脂を製造するのに一
般的に採用されているいずれの方法に準じて製造された
ものであっても良く、例えば、溶融重縮合により製造さ
れたものでよい。さらに、上記の結晶性ポリエステル
(B)は、固相重合されたものであってもよい。
【0067】また、上記の結晶性ポリエステル(B)の
25℃のテトラクロロエタン/フェノール=1/1の混
合溶液中で測定した極限粘度[η]は0.4dl/g以
上であることが好ましく、0.5〜2.0dl/gであ
ることがより好ましい。さらに上記の結晶性ポリエステ
ル(B)の結晶性は、DSC、広角X線回折などの公知
の方法で知ることができる。
【0068】結晶性ポリエステル(B)のDSC(指差
走査熱量計)で測定する融解ピーク温度は50〜300
℃の範囲にあることが好ましい。ここで、DSCの融解
ピーク温度は、常圧の窒素あるいはヘリウム気流下で、
樹脂組成物を溶融成形加工可能な温度で一度、溶融させ
た後、−10℃/分程度の冷却速度で室温まで急冷し固
化させた後、再度溶融温度まで10℃/分の昇温速度で
測定することにより得られる。また、その条件で測定し
たピークの面積から融解熱が求められるが、その融解熱
ΔHfbは1(J/g)以上であることが好ましく、1
0(J/g)以上であることがより好ましい。
【0069】さらに、上記のような結晶性ポリエステル
としては、一度使用された後、分別回収された結晶性ポ
リエステル、特に回収されたポリエチレンテレフタレー
ト樹脂も好適に用いることができる。ポリエステル樹脂組成物 本発明のポリエステル樹脂組成物は、上述した(A)コ
ハク酸共重合ポリエステル:1〜70重量部、好ましく
は3〜65重量部、より好ましくは5〜60重量部と、
上述した(B)結晶性ポリエステル(但し(A)を除
く):99〜30重量部、好ましくは97〜35重量
部、より好ましくは95〜40重量部とからなる。
【0070】また、本発明の(A)コハク酸共重合ポリ
エステル 1〜70重量部と(B)結晶性ポリエステル
(但し(A)を除く) 99〜30重量部とからなるポ
リエステル樹脂組成物のランダム化率は、20〜80%
の範囲であることが好ましく、25〜75%の範囲であ
ることがより好ましく、30〜70%の範囲であること
が更に好ましい。
【0071】また、ポリエステル樹脂組成物の炭酸ガス
透過係数Pcが結晶性ポリエステル(B)の炭酸ガス透
過係数Pbより小さいことも好ましい。 <ランダム化率>本発明におけるランダム化率とは、ポ
リエステル樹脂組成物を構成する(A)コハク酸共重合
ポリエステルおよび(B)結晶性ポリエステルの各成分
が、最初の状態からどれだけエステル交換したかの度合
いを示し、全く未反応の状態の場合のランダム化率を0
(%)であるとし、理想的なランダム体を仮定した場合
のランダム化率を100(%)であるとする。
【0072】本発明のポリエステル樹脂組成物における
ランダム化率は、NMRなどの方法により各構成成分を
求め、さらにその構成成分の結合のパターンを、各構成
成分の割合を求めることにより得ることができる。以
下、ランダム化率の算出方法について具体的に説明す
る。樹脂組成物の各構成成分や組成比が判っている場合
は、(A)コハク酸共重合ポリエステル、(B)結晶性
ポリエステルのいずれかについて、エステル交換の度合
い(ランダム化率)を定量して求めることができる。
【0073】まず、各構成セグメントのモル分率を求
め、次いで、(A)、(B)いずれかの成分について、
好ましくは(B)結晶性ポリエステル成分を構成するセ
グメントの結合の状態について定量を行う。例えば、
(A)がコハク酸−エチレングリコール共重合体、
(B)がポリエチレンテレフタレートの場合、(A)は
主としてコハク酸単位(以下「SA」と略記する)とエ
チレングリコール単位(以下「EG」と略記する)から
構成され、(B)は主としてテレフタル酸単位(以下
「TA」と略記する)とエチレングリコール単位(以下
「EG」と略記する)から構成される。EG部のプロト
ンのシグナルに着目すると、その化学シフトから、EG
隣接部の結合は、TA−EG−TA、TA−EG−
SA、SA−EG−SAの三種類が存在することがわ
かる。これらの割合を定量することで、エステル交換の
度合いがわかる。
【0074】構成成分全体に占める(B)のモル分率を
b(モル%)とすると、全く未反応のブレンドの場
合、両末端がTAであるEG()のモル分率は、mb
/2(モル%)である。また、理想的にランダムなポリ
マーの場合、両末端がTAであるEGのモル分率は、
(mb2/200(モル%)であることになる。測定さ
れた両末端TAのEGモル分率を(mol-TT)(モル
%)とすると、ランダム化率R(%)=(mol-TT−mb
/2)/((mb2/200−mb/2)×100であ
らわすことができる。
【0075】同様に、の結合やの結合でもこのラン
ダム化率を求めることができるが、これらの値は殆ど等
しいため、最も求めやすい結合について求めればよい。
ランダム化率が20〜80%の範囲、好ましくは25〜
75%の範囲、より好ましくは30〜70%の範囲であ
ると、ガスバリア性が良好で、しかも結晶性をよく保持
しており、耐熱性に優れた樹脂組成物となる。逆に、ラ
ンダム化率が20%以下であると、樹脂組成物のガスバ
リア性は良好ではない。また、ランダム化率が80%以
上だと、結晶性が低下し、その結果、樹脂組成物の耐熱
性は劣る。
【0076】また、樹脂組成物を構成する各構成成分や
組成比が不明の場合も、(B)をある1種の特定の結晶
性ポリエステルであると決定することで、ランダム化率
を推定することが可能である。(B)を特定の結晶性ポ
リエステルに決定する方法としては、NMRで樹脂組成
物の構成単位の情報を得、(B)を構成すべき成分とそ
れ以外の成分に分ける方法が挙げられる。
【0077】例えば、(B)が芳香族ポリエステルであ
る場合、樹脂組成物の構成成分中、TAと2,6ナフタ
レンジカルボン酸単位(以下「NDC」と略記する)の
うち、より多く検出された芳香族ジカルボン酸がTAで
ある場合には、(B)はポリエチレンテレフタレート
(以下「PET」と略記する)、ポリプロピレンテレフ
タレート(以下「PTT」と略記する)、ポリブチレン
テレフタレート(以下「PBT」と略記する)のいずれ
かであると決定する。多く検出された芳香族ジカルボン
酸がNDCの場合、(B)はポリエチレン2,6ナフタ
レート(以下「PEN」と略記する)、ポリプロピレン
2,6ナフタレート(以下「PTN」と略記する)、ポ
リブチレン2,6ナフタレート(以下「PBN」と略記
する)であると決定する。
【0078】さらに、EGが41モル%以上の場合は、
(B)はPETあるいはPENであると決定する。これ
以外の場合には、EG以外のジオール単位で1,3プロパ
ンジオール単位(以下「PDO」と略記する)が最も多
いときは、(B)はPTTあるいはPTNであると決
め、1,4ブタンジオール単位(以下BDOと略す)が最
も多い場合、(B)はPBTあるいはPBNであると決
める。
【0079】次いで、以上の方法で特定した(B)につ
いて仮想のモル分率(mb)(モル%)を計算する。P
ET、PTT、PBTの場合、TA、またはEG、PD
O、BDOで少ない方のモル分率×2が(B)のモル分
率であり、PEN、PTN、PBNの場合、NDC、ま
たはEG、PDO、BDOで少ない方のモル分率×2が
(B)のモル分率である。
【0080】また、mb以外の部分が全て(A)コハク
酸共重合ポリエステル由来の成分であると仮定して、上
に示したのと同様の方法でランダム化率を算出すること
ができる。 <引張弾性率、炭酸ガス透過係数>本発明では、引張弾
性率は、樹脂組成物から成形したフィルムをダンベル型
に切り出し、引張試験機 インストロン4501(イン
ストロン社製)を用いて、23℃、相対湿度50%の条
件下で、ひずみ速度100%/分の条件で測定すること
で評価する。
【0081】また、炭酸ガス透過係数は、25℃におけ
る炭酸ガス透過係数を、ガス透過率測定装置GPM−2
50(ジーエルサイエンス社製)により測定する。な
お、透過係数の値が小さいほど、ガスバリア性は優れ
る。 <樹脂組成物の製造法>このようなランダム化率が20
〜80%のポリエステル樹脂組成物は、上述したコハク
酸共重合ポリエステル(A)と結晶性ポリエステル
(B)とを所定量、溶融混合して得ることが好ましい。
また、溶融混合後さらに固相重合を行って得ることも好
ましい。
【0082】溶融混合を行う温度は、コハク酸共重合ポ
リエステル(A)の流動温度以上、かつ結晶性ポリエス
テル(B)の融点以上の温度であればよく、特に限定さ
れるものではないが、180〜300℃の温度範囲、好
ましくは220〜290℃の温度範囲であることが望ま
しい。また、溶融混合を行う時間は、30秒〜4時間の
間が好ましく、1分〜2時間の間がより好ましい。
【0083】この溶融混合を行う装置としては、一軸押
出機、二軸押出機、プラストミル、ニーダーあるいは、
攪拌装置、減圧装置の付いた反応器などが挙げられる。
また、この溶融混合は不活性気体雰囲気下および/また
は減圧下で行われるのが望ましい。これらの溶融混合
は、コハク酸共重合ポリエステル(A)と結晶性ポリエ
ステル(B)以外に、触媒や安定剤の存在下で行っても
よい。触媒や安定剤は、コハク酸共重合ポリエステル
(A)や結晶性ポリエステル(B)に、あらかじめ含有
していてもよく、溶融混合の際に添加してもよい。
【0084】溶融混合時に用いることのできる触媒とし
ては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、あるいはマン
ガン、亜鉛、スズ、コバルト、チタン、アンチモン、ゲ
ルマニウムなどの金属やそれらを含む有機・無機化合物
が例示される。また、安定剤や着色防止剤としては、リ
ン化合物や、ヒンダードフェノール化合物などが例示さ
れる。
【0085】これらの中では、特にリン化合物が好まし
い。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ポリリン
酸などの無機リン化合物、トリメチルリン酸やジフェニ
ルリン酸などのリン酸エステル化合物、トリフェニルホ
スファイト、トリス(2,4ジーt-ブチルフェニル)ホスフ
ァイトなどの亜リン酸エステル化合物などがあげられ
る。このようなリン化合物を含有していると、少なくと
も色相が良好な樹脂組成物が得られるため好ましい。
【0086】所定のランダム化率になるような溶融混合
の条件は、(A)、(B)の組成、分子量によって異な
るが、例えば、2軸押出機を用いて(A)として[η]=
1.2のコハク酸−エチレングリコール共重合体と、
(B)として[η]=0.8のポリエチレンテレフタレー
トとからなる樹脂組成物を調整する場合、285℃で8
〜25分、溶融混合することにより調整される。また、
2軸押出機を用いて(A)として[η]=1.2のコハク
酸−エチレングリコール共重合体と、(B)として[η]
=0.6のポリエチレンテレフタレートとからなる樹脂
組成物を調整する場合、285℃で5〜15分、溶融混
合することにより調整される。
【0087】また、これらの溶融時間より短い混合時間
で調整された樹脂組成物は、さらに固相重合を行うこと
でそのランダム化率を向上させることが可能である。例
えばランダム化率が10%程度の樹脂組成物に対して、
160〜220℃、6〜40時間、窒素気流下で固相重
合を行えば、ランダム化率が向上し、本発明の範囲に調
整することも可能である。
【0088】ランダム化率を調整する方法としては、溶
融混合時間、溶融温度、溶融剪断速度、触媒濃度、固相
重合時間、固相重合温度、固相重合雰囲気などを調整す
ることが挙げられるが、所定のランダム化率を得るのに
好ましい方法としては、例えば、押出機にて溶融混合を
行い、ストランドの透明感を観察しながら、フィード量
を調整する方法が挙げられる。透明感のあるストランド
が得られ、かつフィード量が最大、すなわち滞留時間が
最短となるような樹脂組成物であれば、そのランダム化
率は、少なくとも本発明で定める範囲に入る。
【0089】また、本発明のランダム化率が20〜80
%のポリエステル樹脂組成物をより短時間に効率的に得
る方法としては、(A)を(B)と、より相溶化しやす
い組成にすることが望ましい。(A)を(B)と、より
相溶化しやすい組成にする方法としては、例えば、
(B)としてポリエチレンテレフタレートなどの芳香族
ポリエステルを用いる場合、(A)として、イソフタル
酸や2,6ナフタレンジカルボン酸などの芳香族成分を含
有しているコハク酸−エチレングリコール共重合体であ
ることが好ましい。
【0090】相溶しているかどうかは、例えばガラス状
態、あるいは溶融状態での樹脂組成物の透明性、電子顕
微鏡観察、固体粘弾性におけるガラス転移挙動の観察、
DSCでのガラス転移挙動の観察などにより判断するこ
とができる。本発明において、相溶している状態とは、
以下の4つの事象のうち、2つ以上を同時に満たす状態
であることをいう。 樹脂組成物の結晶の全くないガラス状態あるいは溶融
状態における0.5mm厚のプレスシートの内部ヘイズ
値が5%以下である状態である。 透過型電子顕微鏡で観察した樹脂組成物の面積0.1
mm2中に長さ1μm以上の不連続相の数が平均2個以
下の状態である。 固体粘弾性においてのガラス転移に伴うtanδのピー
ク(ショルダーは含めない)が一つの状態である。 DSCで観察されるガラス転移の比熱変化が単一温度
域にて起こるような状態である。
【0091】ポリエステル樹脂組成物が相溶している
と、樹脂組成物成形体のガスバリア性は非相溶のものよ
りも高く、透明性も有するため、容器、包装材料として
好ましく用いることができる。さらに、本発明のポリエ
ステル樹脂組成物は、耐熱安定剤、耐候安定剤、架橋
剤、滑剤、核剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔
料あるいは染料などの各種配合剤を、本発明の目的を損
なわない範囲で含有していてもよい。
【0092】本発明のポリエステル樹脂組成物は、ガス
バリア性および耐熱性に優れるため、食品や機械部品な
どの包装材料、医薬品容器などの医療用材料等の用途に
好適であり、具体的には、ブロー成形ボトル、多層ボト
ル、アンプルなどのボトルあるいは容器、ガスバリアフ
ィルム、多層フィルム、紙ラミネートフィルムなどのフ
ィルム、壁紙、床シート、遮音シートなどのシート等の
用途に好適に用いることができる。また、繊維、不織
布、発泡体などの素材として、また、他のポリエステル
樹脂や他の熱可塑性樹脂との多層成形体用材料としても
好適に使用することができる。
【0093】フィルム、シートなどの成形品 本発明のフィルムおよびシートは、コハク酸共重合ポリ
エステル(A)と、結晶性ポリエステル(B)とからな
る、上述した本発明の樹脂組成物を成形してなる。この
ようなフィルムおよびシートは、ガスバリア性および耐
熱性に優れるため、食品や機械部品などの包装材料など
に特に好適に使用することができ、特に食品包装用フィ
ルムとして好適に使用することができる。
【0094】本発明のフィルムおよびシートは、延伸ま
たは未延伸のいずれであってもよく、樹脂からフィルム
またはシートを成形する、公知のいかなる方法によって
成形されてもよい。本発明のフィルムおよびシートを成
形する方法としては、具体的には、押出成形、射出成
形、空冷または水冷インフレーション成形、ブロー成
形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真
空成形、カレンダー成形、発泡成形などが挙げられる。
【0095】たとえば、本発明のフィルムおよびシート
を、押出成形により製造する場合には、従来公知の押出
装置および成形条件を採用することができ、たとえば単
独スクリュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押
出機などを用いて、溶融した本発明のポリエステル樹脂
組成物をTダイなどから押し出すことにより、未延伸の
フィルムまたはシートに成形することができる。
【0096】また、本発明のフィルムおよびシートを、
射出成形により製造する場合には、従来公知の射出成形
装置および成形条件を採用することができ、本発明のポ
リエステル樹脂組成物を所望の形状および厚さに射出成
形して製造することができる。押出成形あるいは射出成
形により得られたフィルムおよびシートは、さらに延伸
して成形してもよい。
【0097】延伸したフィルムまたはシートは、上述の
押出フィルムまたはシートなどの、未延伸のフィルムま
たはシートを、たとえばテンター法(縦横延伸、横縦延
伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法などの公知の延伸方
法により延伸して得ることができる。未延伸のフィルム
またはシートを延伸する際の延伸倍率は、未延伸のフィ
ルムまたはシートの厚さなどにもよるが、二軸延伸の場
合には通常2〜70倍程度、また一軸延伸の場合には通
常2〜10倍程度であるのが望ましい。延伸後のフィル
ムまたはシートの厚さは、その用途にもよるが、5〜2
00μm程度であるのが好ましい。
【0098】このような本発明のフィルムおよびシート
は、単層であってもよく、多層構造であってもよく、本
発明のポリエステル樹脂組成物以外の樹脂からなるシー
トまたはフィルムとの多層構造であってもよい。また、
本発明のブロー中空容器は、コハク酸共重合ポリエステ
ル(A)と、結晶性ポリエステル(B)とからなる、上
述した本発明の樹脂組成物をブロー成形してなる。ブロ
ー中空容器としては、例えば、液体充填用ボトル、炭酸
飲料充填用ボトル等の飲料用ボトル、容器、タンク、パ
イプ等が挙げられ、特に飲料用ボトルが好ましい。
【0099】このような本発明のブロー中空容器は、ガ
スバリア性および耐熱性に優れている。本発明のブロー
中空容器は、ブロー成形を伴う方法で成形されればよい
が、中空容器の前駆体であるプリフォームを、押出成
形、射出成形などにより一旦成形した後、形成したプリ
フォームをブロー成形することにより、目的とする中空
成形品を好適に製造することができる。この方法によれ
ば、複雑な形状の中空容器の成形が可能であるため好ま
しい。
【0100】このような本発明の中空容器は、単層であ
ってもよく、多層構造であってもよく、本発明のポリエ
ステル樹脂組成物以外の樹脂との多層構造であってもよ
い。ブロー成形の条件は特に限定されるものではなく、
従来公知のポリエステル樹脂をブロー成形する条件を適
宜採用することができる。また、本発明のポリエステル
樹脂組成物は、チューブ、繊維または不織布の材料とし
ても好適に用いられる。本発明のチューブ、繊維または
不織布は、従来公知の方法により製造することができ
る。
【0101】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物は、特
定のコハク酸共重合ポリエステル(A)と、結晶性ポリ
エステル樹脂(B)とからなり、所定のランダム化率を
有するため、ガスバリア性および耐熱性のいずれにも優
れる成形品を提供することができる。本発明のポリエス
テル樹脂組成物は、ガスバリア性を必要とするフィルム
やブロー容器などの食品用包装材料、電子部品などの包
装材料、医療用材料などに好適に用いることができる。
【0102】本発明のポリエステル樹脂組成物を構成す
るコハク酸共重合ポリエステル(A)は、官能数3以上
のモノマーを含んでもよく、この場合、重合速度が早く
効率よく製造される。また、本発明のフィルム、シー
ト、ブロー中空容器、チューブ、繊維または不織布は、
ガスバリア性に優れ、かつ耐熱性にも優れており、食品
用包装材料、電子部品などの表層材料、医療用材料とし
て好適である。
【0103】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。なお、製造例、実施例、比較例におい
て、各樹脂および樹脂組成物の物性は以下の方法により
測定・評価した。 〔樹脂組成物の組成およびランダム化率〕核磁気共鳴装
置(NMR;日本電子製 LA500型)を用いて、1
H核についてのスペクトルから算出し、求めた。 〔樹脂組成物の引張弾性率および引張強度〕所定の方法
で得た厚さ0.5mmのプレスシートについて、23
℃、相対湿度50%の条件下で3日間放置した後、ダン
ベル型の試料を切り出し、引張試験機インストロン45
01(インストロン社製)を用い、23℃、相対湿度5
0%の条件下で、ひずみ速度100%/分の条件で引張
試験を行い、ヤング率(弾性率)および引張強度を測定
した。 〔樹脂組成物のガスバリア性〕所定の方法で得た厚さ1
00μmのフィルムについて、炭酸ガス透過性の評価に
用いた。25℃における炭酸ガス透過係数をガス透過率
測定装置GPM−250(ジーエルサイエンス社製)を
用いて測定し、この値で評価した。なお、透過係数の値
が小さいほど、ガスバリア性は優れる。 〔樹脂組成物の耐熱性〕所定の条件で成形された厚さ1
00μmのフィルムから、幅2mm、長さ2cmの短冊
状の試料を切り出し、TMA(セイコー電子工業(株)
製)を用い、0.1MPaの応力をかけ、窒素気流下、
毎分2℃/min.の昇温条件でクリープ試験を実施
し、5%以上の歪みになった温度を測定し、耐熱性を評
価した。
【0104】
【製造例1】無水コハク酸 500.4g、エチレング
リコール 403.7g、1,1,1(トリスヒドロキシメ
チル)エタン 1.2gとを攪拌装置、留出管を装備し
たガラス製反応器に仕込んだ。留出管は真空ポンプと減
圧調整器からなる真空装置に接続されており、蒸発物を
留去可能な構造となっている。
【0105】まず、反応器の窒素置換を充分に行った
後、常圧窒素雰囲気下にて、160℃から220℃まで
3時間かけて攪拌しながら昇温し、さらに1時間保持
し、水を留去しながらエステル化反応を行った。引き続
き、得られた化合物に、二酸化ゲルマニウム 0.15
gをエチレングリコール 13.1gとともに添加し、
充分に窒素置換した後、常圧窒素気流下、220℃で1
時間攪拌した。その後、真空ポンプを作動させ、2時間
かけ260℃、1Torrまでの昇温・減圧を行い、引
き続き、1時間30分かけて275℃までの昇温を行っ
た。その状態で、4時間30分攪拌を続け重縮合を行っ
た。以上のような重縮合反応後、系内に窒素ガスを導入
して、常圧に戻し、反応容器からポリエステル樹脂(A
1)を取り出した。
【0106】
【製造例2】結晶性ポリエステルとして市販のポリエチ
レンテレフタレート(B1;Tm=252℃)80重量
部と、コハク酸共重合ポリエステルとして、ポリエステ
ル(A1)を20重量部とを、真空乾燥機で充分に乾燥
した後、二軸押出機(ハーケ社製)にて、シリンダ温度
280℃の条件でブレンドを行い、ポリエステル樹脂組
成物(C1)を得た。
【0107】
【製造例3】次いで、さらにポリエステル樹脂組成物
(C1)を、二軸押出機で再ブレンドを行い、ポリエス
テル樹脂組成物(C2)を得た。
【0108】
【製造例4】製造例3で得たポリエステル樹脂組成物
(C2)を、200℃、窒素ガス気流下に保持し、24
時間かけて固相重合を行い、ポリエステル樹脂組成物
(C3)を得た。
【0109】
【製造例5】結晶性ポリエステルとして市販のポリエチ
レンテレフタレート(B1;Tm=252℃)80重量
部と、コハク酸共重合ポリエステルとして、ポリエステ
ル(A1)を20重量部とを、攪拌装置、留出管を装備
したガラス製反応器に仕込み、反応器を280℃に加熱
し、20分間の予熱の後に、常圧窒素雰囲気下で10分
間攪拌したのち、1Torrまでの減圧を行い、そのま
ま50分間攪拌を行ったのち、ポリエステル樹脂組成物
(C4)を得た。
【0110】
【実施例1、比較例1〜3】上記で得たポリエステル樹
脂組成物(C1)〜(C4)についてNMRを用い、組
成分析を実施し、ポリエステル樹脂組成物のランダム化
率Rを下式の計算式で求めた。結果を表1に示す。 R(%)=(mol-TT−mb/2)/((mb2/200
−mb/2)×100 ここで、mol-TTは両末端がテレフタル酸単位(TA)
であるエチレングリコール単位(EG)、またはジエチ
レングリコール単位(DEG)のモル分率(%)であ
り、mbは、PETのモル分率、即ちテレフタル酸残基
×2のモル分率(%)である。
【0111】次いで、得られたポリエステル樹脂組成物
(C1)ペレットを真空乾燥機でよく乾燥させた後、2
枚の真鍮板、アルミ板および離型フィルムの間に所定量
はさみ、280℃で溶融させ10MPaで1分間圧縮し
た後、0℃の温度に設定した圧縮成形機で再び10MP
aで圧縮冷却し、厚さ0.5mmのシートおよび厚さ1
00μmのフィルムを成形した。
【0112】上記の方法で得た厚さ100μmのフィル
ムは、炭酸ガス透過性の評価に用い、厚さ0.5mmの
プレスシートは引張試験に用いた。また、得られた10
0μmのフィルムは、120℃で10分間熱処理を行っ
た後、耐熱性を評価した。これらの評価結果を表1に示
す。表1に示されるように、特定のランダム化率に入る
樹脂組成物は、ガスバリア性、耐熱性のバランスに優れ
ている。
【0113】
【参考例1】ポリエチレンテレフタレート(B1)につ
いて同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0114】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D01F 6/92 307 D01F 6/92 307A 4L047 D04H 1/42 D04H 1/42 T Fターム(参考) 3E086 AA21 AD30 BA02 BA15 BB01 BB03 BB41 CA01 CA27 CA31 4F071 AA44 AA44X AA45 AA45X AA46 AF08Y AH05 BA01 BB05 BB06 BB09 BB13 BC01 BC04 BC05 BC07 4J002 CF03W CF05X CF06X CF07X CF08X GG00 4J029 AA03 AB07 AC02 AD10 AE01 AE03 AE18 BA03 CA04 CB05A CC06A FC02 FC03 FC04 FC05 FC08 KE05 4L035 DD20 EE20 FF05 4L047 AA21 BB06 CB03 CB05 CC12

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)コハク酸共重合ポリエステルの全構
    成単位を100モル%とするとき、 コハク酸単位を24〜50モル%含有し、 芳香族ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有し、 コハク酸単位、芳香族ジカルボン酸単位およびエチレン
    グリコール単位を合計で90モル%以上含有するコハク
    酸共重合ポリエステル:1〜70重量部と、(B)結晶
    性ポリエステル(但し(A)を除く):99〜30重量
    部とから構成され、 そのランダム化率が20〜80%の範囲にあることを特
    徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】コハク酸共重合ポリエステル(A)の芳香
    族ジカルボン酸単位が、イソフタル酸単位および/また
    は2,6-ナフタレンジカルボン酸単位である請求項1に記
    載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(A)コハク酸共重合ポリエステルの全構
    成単位を100モル%とするとき、 コハク酸単位を24〜49モル%含有し、 イソフタル酸単位および/または2,6-ナフタレンジカル
    ボン酸単位を合計で1〜26モル%含有し、 コハク酸単位、イソフタル酸単位、2,6-ナフタレンジカ
    ルボン酸単位およびエチレングリコール単位を合計で9
    0モル%以上含有するコハク酸共重合ポリエステル:1
    〜70重量部と、(B)結晶性ポリエステル(但し
    (A)を除く):99〜30重量部とから構成され、 そのランダム化率が20〜80%の範囲にあることを特
    徴とするポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】コハク酸共重合ポリエステル(A)が、エ
    ステル形成能を有する官能数3以上のモノマー単位を
    0.001〜2モル%含有することを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】上記エステル形成能を有する官能数3以上
    のモノマー単位が、グリセリン、1,1,1-トリス(ヒドロ
    キシメチル)エタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチ
    ル)プロパン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエ
    リスリトールよりなる群から選ばれる1種以上から導か
    れる単位であることを特徴とする請求項4に記載のポリ
    エステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】結晶性ポリエステル(B)が、ポリエチレ
    ンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、
    ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタ
    レート、ポリトリメチレン2,6ナフタレート、ポリブチ
    レン2,6ナフタレート、ポリエチレンイソフタレートよ
    りなる群から選ばれる少なくとも1種類の結晶性ポリエ
    ステルである、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエ
    ステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】ポリエステル樹脂組成物の炭酸ガス透過係
    数Pcが結晶性ポリエステル(B)の炭酸ガス透過係数
    Pbより小さいことを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    かに記載のポリエステル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7に記載のポリエステル樹脂組
    成物を成形してなるシートまたはフィルム。
  9. 【請求項9】請求項1〜7に記載のポリエステル樹脂組
    成物を成形してなるブロー中空容器。
  10. 【請求項10】請求項1〜7に記載のポリエステル樹脂
    組成物を成形してなるチューブ。
  11. 【請求項11】請求項1〜7に記載のポリエステル樹脂
    組成物を成形してなる繊維または不織布。
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