JP2002053744A - ポリエステル樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物およびその用途

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JP2002053744A
JP2002053744A JP2000239561A JP2000239561A JP2002053744A JP 2002053744 A JP2002053744 A JP 2002053744A JP 2000239561 A JP2000239561 A JP 2000239561A JP 2000239561 A JP2000239561 A JP 2000239561A JP 2002053744 A JP2002053744 A JP 2002053744A
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succinic acid
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Junji Tan
淳 二 丹
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明のポリエステル樹脂組成物は、
(A)コハク酸共重合ポリエステルの全構成単位を10
0モル%とするとき、コハク酸単位を24〜50モル%
含有し、芳香族ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有
し、コハク酸単位、芳香族ジカルボン酸単位およびエチ
レングリコール単位から選ばれる単位を合計で90モル
%以上含有するコハク酸共重合ポリエステル:1〜70
重量部と、(B)回収ポリエチレンテレフタレートを1
0〜100モル%の範囲で含有するポリエチレンテレフ
タレート樹脂:99〜30重量部とからなることを特徴
としている。 【効果】 本発明のポリエステル樹脂組成物は、回収ポ
リエチレンテレフタレートを有効利用しており、ガスバ
リア性および機械的特性のいずれにも優れる成形品を提
供することができる。本発明のポリエステル樹脂組成物
は、ガスバリア性を必要とするフィルムやブロー容器な
どの食品用包装材料、電子部品などの包装材料などに好
適に用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、コハク酸を共重合したポ
リエステルと、ポリエチレンテレフタレート樹脂とから
なるポリエステル樹脂組成物およびその用途に関する。
詳しくは、本発明は、コハク酸共重合ポリエステル
(A)と、回収ポリエチレンテレフタレートを含有する
ポリエチレンテレフタレート樹脂(B)とからなり、ガ
スバリア性および機械的特性に優れたポリエステル樹脂
組成物と、該樹脂組成物からなるシート、フィルムおよ
び中空成形品に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】食品包装等に高分子材料を用いる
場合、内容物の変質を防ぐためガス透過性が低いことが
望まれている。ポリエステル樹脂のうちでは、ポリエチ
レンテレフタレートが、成形性、機械物性、ガスバリア
性のバランスが優れるため各種の飲料容器などの食品包
装材料に使用される例が多かった。しかしながら、特に
長期保存性が求められる食品包装に対してはポリエチレ
ンテレフタレート樹脂をもってしてもガスバリア性が必
ずしも十分であるとはいえなかった。
【0003】このため、特公昭63−40444号公報
には、イソフタル酸とエチレングリコールおよび1,3
ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンの共重合体が
二酸化炭素、酸素透過性の低い樹脂として提案されてい
る。しかしながら、このポリエステル樹脂をポリエチレ
ンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルにガスバリ
ア性改良剤として添加しても、その効果は充分とはいえ
なかった。
【0004】本発明者は、上記のような状況を解決する
ため鋭意検討したところ、コハク酸を特定量含有するポ
リエステルにガスバリア性の改質性能があること見出
し、既に提案している(特願平11−369732
号)。一方、近年、回収された使用済みのペットボトル
などの再生利用が推進されている。一般に、回収された
使用済みのペットボトルは、塩ビボトルなどの異種樹脂
ボトル、金属などの異物、着色ペットボトルなどと分別
し、粉砕した後に界面活性剤などによる洗浄、すすぎ洗
浄、脱水および乾燥を行い、フレーク状に粉砕し、必要
に応じてペレット状に加工して再生原料とされている。
【0005】このような再生原料などの回収ポリエチレ
ンテレフタレートは、カーペット、衣料用、短繊維など
の繊維製品、植木鉢などの容器などの用途に用いられて
いるが、より広い用途での使用が求められていた。本発
明者はこのような状況に鑑みて鋭意研究した結果、コハ
ク酸単位を有する特定のポリエステルと、回収ポリエチ
レンテレフタレートを含有するポリエチレンテレフタレ
ート樹脂とからなる樹脂組成物が、ガスバリア性に優れ
ることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】本発明は、回収ポリエチレンテレフタレ
ートを含むポリエチレンテレフタレート樹脂を含み、ガ
スバリア性に優れたポリエステル樹脂組成物を提供する
ことを目的としている。また、本発明は、前記ポリエス
テル樹脂組成物からなり、ガスバリア性に優れたシー
ト、フィルムおよび中空成形体を提供することを目的と
している。
【0007】
【発明の概要】本発明のポリエステル樹脂組成物は、
(A)コハク酸共重合ポリエステルの全構成単位を10
0モル%とするとき、コハク酸単位を24〜50モル%
含有し、芳香族ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有
し、コハク酸単位、芳香族ジカルボン酸単位およびエチ
レングリコール単位から選ばれる単位を合計で90モル
%以上含有するコハク酸共重合ポリエステル:1〜70
重量部と、(B)回収ポリエチレンテレフタレートを1
0〜100モル%の範囲で含有するポリエチレンテレフ
タレート樹脂:99〜30重量部とからなることを特徴
としている。
【0008】このようなポリエステル樹脂組成物は、コ
ハク酸共重合ポリエステル(A)の芳香族ジカルボン酸
単位が、イソフタル酸単位および/または2,6-ナフタレ
ンジカルボン酸単位であることも好ましい。また、本発
明のポリエステル樹脂組成物は、(A)コハク酸共重合
ポリエステルの全構成単位を100モル%とするとき、
コハク酸単位を24〜49モル%含有し、イソフタル酸
単位および/または2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を
合計で1〜26モル%含有し、コハク酸単位、イソフタ
ル酸単位、2,6-ナフタレンジカルボン酸単位およびエチ
レングリコール単位を合計で90モル%以上含有するコ
ハク酸共重合ポリエステル:1〜70重量部と、(B)
回収ポリエチレンテレフタレートを10〜100モル%
の範囲で含有するポリエチレンテレフタレート樹脂:9
9〜30重量部とからなることを特徴としている。
【0009】これらのポリエステル樹脂組成物では、コ
ハク酸共重合ポリエステル(A)が、エステル形成能を
有する官能数3以上のモノマー単位を0.001〜2モ
ル%含有することも好ましい。また、コハク酸共重合ポ
リエステル(A)のエステル形成能を有する官能数3以
上のモノマー単位が、多官能アルコールから導かれる単
位であることも好ましく、また、グリセリン、1,1,1-ト
リス(ヒドロキシメチル)エタン、1,1,1-トリス(ヒド
ロキシメチル)プロパン、ペンタエリスリトールおよび
ジペンタエリスリトールよりなる群から選ばれる1種以
上から導かれる単位であることも好ましい。さらに、ポ
リエチレンテレフタレート樹脂(B)が、回収ポリエチ
レンテレフタレートを50〜100モル%の範囲で含有
することも好ましい。またこれらのポリエステル樹脂組
成物は、コハク酸共重合ポリエステル(A)とポリエチ
レンテレフタレート(B)とが相溶していることも好ま
しい。
【0010】また、本発明のシートおよびフィルムは、
上述した本発明のポリエステル樹脂組成物を成形してな
り、本発明の中空成形品は、上述した本発明のポリエス
テル樹脂組成物をブロー成形してなる。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明のポリエステル樹脂組成物は、コハク酸
共重合ポリエステル(A)と、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂(B)とからなる。コハク酸共重合ポリエステル(A) 本発明のポリエステル樹脂組成物を構成するコハク酸共
重合ポリエステル(A)は、コハク酸共重合ポリエステ
ルの全構成単位を100モル%とするとき、コハク酸単
位を24〜50モル%含有し、芳香族ジカルボン酸単位
を0〜26モル%含有し、コハク酸単位、芳香族ジカル
ボン酸単位およびエチレングリコール単位から選ばれる
単位を合計で90モル%以上含有する。
【0012】ここで、コハク酸共重合ポリエステルの全
構成単位とは、コハク酸共重合ポリエステルを酸やアル
カリにより完全に加水分解したときに得られる全ての単
位を意味する。本発明で用いるコハク酸共重合ポリエス
テル(A)としては、このうち特に、コハク酸共重合ポ
リエステルの全構成単位を100モル%とするとき、コ
ハク酸とイソフタル酸および/または芳香族ジカルボン
酸単位を合計で48〜50モル%含有し、コハク酸の単
位を24〜49モル%、好ましくは30〜48モル%含
有し、芳香族ジカルボン酸の単位を0〜26モル%、好
ましくは1〜26モル%、より好ましくは2〜20モル
%含有し、エチレングリコールの単位を45モル%以上
含有するのが望ましい。また、このようなコハク酸共重
合ポリエステル(A)は、全構成単位を100モル%と
するとき、官能数3以上のモノマー単位を0.001〜
2モル%、好ましくは0.01〜0.3モル%含有する
のがより望ましい。
【0013】芳香族ジカルボン酸単位としては、イソフ
タル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、
フタル酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレ
ンジカルボン酸、4,4’-スルホンビス安息香酸、4,4’-
ビフェニルジカルボン酸、4,4’-スルフィドビス安息香
酸、4,4’-オキシビス安息香酸、ジフェノキシエタンジ
カルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から導かれる単位
が挙げられ、特に、イソフタル酸単位および/または2,
6-ナフタレンジカルボン酸単位が好ましい。
【0014】また、本発明で用いるコハク酸共重合ポリ
エステル(A)は、コハク酸共重合ポリエステルの全構
成単位を100モル%とするとき、コハク酸単位を24
〜49モル%含有し、イソフタル酸単位および/または
2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を合計で1〜26モル
%含有し、コハク酸単位、イソフタル酸単位、2,6-ナフ
タレンジカルボン酸単位およびエチレングリコール単位
を合計で90モル%以上含有することも望ましい。
【0015】このうち特に、コハク酸共重合ポリエステ
ルの全構成単位を100モル%とするときに、コハク酸
とイソフタル酸および/または2,6-ナフタレンジカルボ
ン酸から構成される単位が合計で48〜50モル%であ
り、コハク酸の単位を24〜49モル%、好ましくは3
0〜48モル%含有し、イソフタル酸および/または
2,6ナフタレンジカルボン酸の単位を26〜1モル
%、好ましくは20〜2モル%含有し、エチレングリコ
ールの単位を45モル%以上含有するのが望ましい。ま
た、このようなコハク酸共重合ポリエステル(A)は、
全構成単位を100モル%とするとき、官能数3以上の
モノマー単位を0.001〜2モル%、好ましくは0.
01〜0.3モル%含有するのがより望ましい。
【0016】これらのコハク酸共重合ポリエステル
(A)の構成単位として含まれていてもよい、エステル
形成能を有する官能数3以上のモノマー単位としては、
3以上のカルボキシル基を有する多官能カルボン酸類、
または3以上のヒドロキシル基を有する多官能アルコー
ル類から導かれる単位、3以上のカルボキシル基および
ヒドロキシル基を有する多官能ヒドロキシ酸類から導か
れる単位が挙げられる。
【0017】これらの中では、特に3以上のヒドロキシ
ル基を有する多官能アルコール類から導かれる単位が好
ましい。具体的には、グリセリン、ジグリセリン、トリ
ス(ヒドロキシメチル)メタン、1,1,1-トリス(ヒドロ
キシメチル)エタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチ
ル)プロパン、ペンタエルスリトール、ジペンタエリス
リトールや、ソルビトール、グルコース、ラクトース、
ガラクトース、フルクトース、サッカロースなどの糖
類、1,3,5トリスヒドロキシエトキシイソシアヌレート
などの窒素含有多価アルコールから導かれる単位が挙げ
られる。
【0018】このような官能数3以上のモノマー単位と
しては、これらのなかでも、グリセリン、1,1,1-トリス
(ヒドロキシメチル)エタン、1,1,1-トリス(ヒドロキ
シメチル)プロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタ
エリスリトールから選ばれる1種以上から導かれる単位
がより好ましく挙げられる。また、本発明で用いるコハ
ク酸共重合ポリエステル(A)は、上述した構成を満た
す範囲で、その他の構成単位を通常10モル%以下、好
ましくは5モル%以下の範囲で含有していてもよい。
【0019】コハク酸共重合ポリエステル(A)が含有
していてもよい、その他の構成単位としては、上述した
以外のジカルボン酸単位、ジオール単位、ヒドロキシカ
ルボン酸単位などが挙げられる。具体的には、上述した
以外のジカルボン酸単位としては、マロン酸、グルタル
酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、
アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ジグリコール酸な
どの脂肪族ジカルボン酸から導かれる単位、シクロヘキ
サンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸から導かれ
る単位などが挙げられる。
【0020】なお、本発明で用いるコハク酸共重合ポリ
エステル(A)が、イソフタル酸および/または2,6-ナ
フタレンジカルボン酸から導かれる単位を含有すると
き、その他の構成単位として、イソフタル酸および2,6-
ナフタレンジカルボン酸以外の芳香族ジカルボン酸単位
を含有していてもよいことはいうまでもなく、具体的に
は、テレフタル酸、フタル酸、2,7-ナフタレンジカルボ
ン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-スルホンビ
ス安息香酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ス
ルフィドビス安息香酸、4,4’-オキシビス安息香酸、ジ
フェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸から導かれる単位を挙げることができる。
【0021】ジオール単位としては、具体的には、ジエ
チレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパ
ンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ドデカメチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ルなどの脂肪族ジオールから導かれる単位、シクロヘキ
サンジメタノールなどの脂環族ジオールから導かれる単
位、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-
ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-
ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス[4-(2-ヒドロキシ
エトキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス(4-β-ヒドロ
キシエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノール類、
ハイドロキノン、レゾルシンなどの芳香族基を含むジオ
ール類から導かれる単位などが挙げられる。
【0022】また、ヒドロキシカルボン酸類の単位とし
ては、グリコール酸、乳酸、3ヒドロキシブチル酸、p-
ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロ
キシメチル安息香酸、m-ヒドロキシメチル安息香酸、p-
(2-ヒドロキシエチル)安息香酸、m-(2-ヒドロキシエチ
ル)安息香酸から導かれる単位などが挙げられる。本発
明で用いるコハク酸共重合ポリエステル(A)の分子量
は任意であるが、数平均分子量が40000以下、好ま
しくは20000以下、さらに好ましくは10000以
下であることが望ましい。このような分子量であれば、
ポリエチレンテレフタレート樹脂(B)と混合する際、
混合時間を短縮することができ好ましい。
【0023】このようなコハク酸共重合ポリエステル
(A)は、ポリエステルの製造方法として一般的に採用
されているいずれの方法に準じて製造されたものであっ
てもよいが、特に、溶融重縮合反応により製造されるの
が好ましい。溶融重縮合反応により、コハク酸共重合ポ
リエステル(A)を製造すると、イソフタル酸やナフタ
レンジカルボン酸などの共重合成分を容易に導入するこ
とができるため望ましい。以下、コハク酸共重合ポリエ
ステル(A)を溶融重縮合反応によって製造する場合に
ついて説明する。
【0024】本発明で用いるコハク酸共重合ポリエステ
ル(A)を溶融重縮合反応によって製造する方法として
は、上述した各構成単位を導くモノマーを用いて低重合
体を製造した後、低重合物を溶融重縮合する方法がいず
れも好ましく挙げられる。このような方法としては、例
えば、(i) コハク酸などのジカルボン酸とエチレングリ
コールなどのジオールを直接エステル化したのち、溶融
重縮合反応を行う方法、(ii) コハク酸ジメチルエステ
ルなどのジカルボン酸ジエステルとエチレングリコール
などのジオールをエステル交換したのち、溶融重縮合反
応を行う方法、(iii) 無水コハク酸などのジカルボン酸
無水物とエチレングリコールなどのジオールを反応さ
せ、溶融重縮合反応を行う方法などが挙げられる。
【0025】低重合体の製造は、上述したジカルボン酸
単位を導くジカルボン酸原料、すなわちコハク酸や無水
コハク酸を主体とするジカルボン酸や酸無水物、または
その低級アルコールエステルからなるジカルボン酸原料
と、エチレングリコールを主体とするジオール原料と、
必要に応じて上述した官能数3以上のモノマー単位を導
く3官能アルコールなどの多官能化合物原料とを用い
て、エステル化反応またはエステル交換反応することに
より行う。
【0026】低重合体を製造するエステル化反応の方法
としては、所定量のジカルボン酸原料と、所定量のジオ
ール原料と、所定量の多官能化合物原料とを、100〜
230℃の温度条件で、加圧あるいは常圧にて、脱水縮
合を行う方法が挙げられる。このようなエステル化で
は、ジカルボン酸原料合計1モルに対して、ジオール原
料を通常1.01〜3モル、好ましくは1.1〜2.2
モル、多官能化合物原料を用いる場合には通常5×10
-6〜0.01モル、好ましくは0.0001〜0.00
5モルの割合で仕込み、反応させるのが好ましい。
【0027】このようなエステル化反応は、触媒の存在
下に行ってもよく、触媒を用いずに行ってもよい。エス
テル化反応で用いることのできる触媒としては、濃硫酸
やp-トルエンスルホン酸などの酸や2-エチルオクタン酸
スズなどの金属錯体などの触媒が挙げられる。また、低
重合体を製造するエステル交換反応の方法としては、ジ
カルボン酸原料として、ジカルボン酸の低級アルコール
ジエステル、または、コハク酸無水物とコハク酸以外の
ジカルボン酸類との低級アルコールジエステルを用い
て、所定量のジカルボン酸原料と、所定量のジオール原
料と、必要に応じて所定量の多官能化合物原料とを、1
00〜230℃の温度で常圧下に、低級モノアルコール
を留出しながらエステル交換を行う方法が挙げられる。
【0028】このようなエステル交換では、ジカルボン
酸原料合計1モルに対して、ジオール原料を通常1.0
1〜3モル、好ましくは1.2〜2.2モル、多官能化
合物原料を用いる場合には通常5×10-6〜0.01モ
ル、好ましくは0.0001〜0.005モルの割合で
仕込み、反応させるのが好ましい。このようなエステル
交換反応は、酢酸マンガンや酢酸マグネシウムなどの金
属錯体触媒の存在下に行うのが好ましい。
【0029】次いで、上記のような方法で得たコハク酸
単位を有する低重合体を溶融重縮合する。溶融重縮合
は、重合触媒の存在下に、通常200〜300℃、好ま
しくは220〜280℃の温度条件で、通常10Tor
r以下、好ましくは2Torr以下の減圧条件にて、エ
チレングリコールを主体とする成分を留出しながら行う
のが好ましい。
【0030】溶融重縮合で用いる重合触媒としては、ナ
トリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアル
カリ土類金属や、アルミニウム、亜鉛、スズ、チタン、
銅、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、ゲルマニウ
ム、鉄、アンチモン、バナジウムなどの金属の有機錯
体、酸化物、単体を用いることができるが、特に、亜
鉛、スズ、チタン、コバルト、ゲルマニウム、アンチモ
ンなどの遷移金属の有機錯体あるいは酸化物が好まし
く、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、酢酸アン
チモンが特に好ましく用いられる。
【0031】さらに、これらの反応は、各種安定剤や着
色防止剤の存在下で行ってもよい。安定剤や着色防止剤
としては、リン化合物や、ヒンダードフェノール化合物
などが挙げられる。これらの中では、特にリン化合物を
含有するのが好ましい。リン化合物としては、リン酸、
亜リン酸、ポリリン酸などの無機リン化合物、トリメチ
ルリン酸やジフェニルリン酸などのリン酸エステル化合
物、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4ジーt-ブチ
ルフェニル)ホスファイトなどの亜リン酸エステル化合
物などが挙げられる。
【0032】コハク酸共重合ポリエステル(A)を製造
する際、このような溶融重縮合の工程において、3官能
以上のアルコールなどの多官能モノマー単位を有する低
重合物を用いると、官能数3以上のモノマー単位を全く
含まない低重合物を溶融重縮合する場合に比べ、重合速
度が速く、より短時間で効率的に所望の分子量のコハク
酸共重合ポリエステルを得ることができ好ましい。
【0033】このような方法によれば、所望の分子量の
コハク酸共重合ポリエステル(A)を製造することがで
き、通常、数平均分子量が40000以下、好ましくは
20000以下、さらに好ましくは10000以下であ
るコハク酸共重合ポリエステル(A)を好適に製造する
ことができる。本発明に係るコハク酸共重合ポリエステ
ル(A)が、多官能アルコールなどの官能数3以上のモ
ノマー単位を含む場合には、重合速度が早く、効率よく
製造することができるため好ましい。
【0034】上述したコハク酸共重合ポリエステル
(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して
用いてもよい。ポリエチレンテレフタレート樹脂(B) 本発明のポリエステル樹脂組成物を構成するポリエチレ
ンテレフタレート樹脂(B)は、回収ポリエチレンテレ
フタレートを10〜100モル%、好ましくは50〜1
00モル%、より好ましくは70〜100モル%の範囲
で含有するのが望ましい。
【0035】このようなポリエチレンテレフタレート樹
脂(B)は、通常、「回収ポリエチレンテレフタレー
ト」と、「原料ポリエチレンテレフタレート」とからな
る。本明細書において、「原料ポリエチレンテレフタレ
ート」とは、ジカルボン酸とジオールとから通常ペレッ
ト状で製造されたポリエチレンテレフタレートであっ
て、加熱溶融状態で成形機を通過させて、ボトル、プリ
フォームなどの成形体に成形された履歴がないものをい
う。また、「回収ポリエチレンテレフタレート」とは、
原料ポリエチレンテレフタレートを、少なくとも1回加
熱溶融状態で成形機を通過させたものをいい、粉砕した
ものが好ましく、ペレタイズしたものがより好ましい。
原料ポリエチレンテレフタレートを加熱溶融状態で成形
機を通過させる処理は、原料ポリエチレンテレフタレー
トからなるペレット(チップ)を加熱溶融し、プリフォ
ーム、ボトルなどの所望形状に成形することによって行
われる。
【0036】ポリエチレンテレフタレート樹脂(B)に
含まれていてもよい原料ポリエチレンテレフタレート
は、テレフタル酸またはそのエステル誘導体(たとえ
ば、低級アルキルエステル、フェニルエステルなど)か
ら導かれるジカルボン酸単位と、エチレングリコールま
たはそのエステル誘導体から導かれるジオール(ジヒド
ロキシ)単位と、その他のヒドロキシカルボン酸単位な
どとからなる。
【0037】この原料ポリエチレンテレフタレートのジ
カルボン酸、ジオール、その他ヒドロキシカルボン酸な
どの単位を計100モル%とするとき、テレフタル酸の
単位およびエチレングリコールの単位以外の単位を20
モル%以下の範囲で含有しても構わない。含有してもよ
いジカルボン酸の単位としては、具体的に、フタル酸、
イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフ
タレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,
4’-スルホンビス安息香酸、4,4’-ビフェニルジカルボ
ン酸、4,4’-スルフィドビス安息香酸、4,4’-オキシビ
ス安息香酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、
フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼ
ライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボ
ン酸が挙げられる。
【0038】また、含有してもよいジオール類として
は、具体的に、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジ
オール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、
1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ドデ
カメチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘ
キサンジメタノールなどの脂環族ジオール、1,3-ビス
(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエ
トキシ)ベンゼン、ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フ
ェニル]スルホン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン、ビスフェノール類、ハイドロキノ
ン、レゾルシンなどの芳香族基を含むジオール類、が挙
げられる。
【0039】また、含有してもよいヒドロキシカルボン
酸類の単位としては、グリコール酸、ジグルコール酸、
乳酸、3ヒドロキシブチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、
m-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシメチル安息香酸、
m-ヒドロキシメチル安息香酸、p-(2-ヒドロキシエチル)
安息香酸、m-(2-ヒドロキシエチル)安息香酸が挙げられ
る。
【0040】さらに本発明で用いられるポリエチレンテ
レフタレート樹脂(B)に含まれていてもよい原料ポリ
エチレンテレフタレートは、本発明の目的を損なわない
範囲であれば、3以上のカルボキシル基を有する多官能
カルボン酸類、または3以上のヒドロキシ基を有する多
官能ジオールから導かれる単位を含有していてもよく、
たとえばトリメシン酸、無水ピロメリット酸などの多官
能カルボン酸類、グリセリン、トリメチロールメタン、
1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプ
ロパン、ペンタエルスリトールなどの多官能アルコール
類から導かれる単位を含有していてもよい。
【0041】ポリエチレンテレフタレート樹脂(B)に
含有される回収ポリエチレンテレフタレートとしては、
上述した原料ポリエチレンテレフタレートを、少なくと
も1回、加熱溶融状態で成形機を通過させて、成形体に
成形された履歴のあるものをいずれも好ましく用いるこ
とができる。回収ポリエチレンテレフタレートは、押出
成形、射出成形、ブロー成形など、どのような方法で加
熱溶融状態で成形された履歴を有していてもよく、ま
た、プリフォーム、ボトルなど、どのような成形体に成
形された履歴を有していてもよい。
【0042】このような回収ポリエチレンテレフタレー
トとしては、ポリエチレンテレフタレート成形体を粉砕
あるいはペレット化したものが挙げられ、たとえば、ペ
ットボトルを粉砕してなるフレークを挙げることができ
る。ペットボトルを粉砕してなるフレークは、粉砕物の
形状がフレーク状(簿片状)であるペットボトルの粉砕
物であり、このようなフレークとしては、回収された使
用済みのペットボトルを分別、粉砕し、界面活性剤など
による洗浄、すすぎ洗浄、脱水および乾燥を行ったフレ
ーク状物を好適に用いることができる。
【0043】本発明で用いるポリエチレンテレフタレー
ト樹脂(B)は、実質上線状であり、このことは該ポリ
エチレテレフタレートがo-クロロフェノールに溶解する
ことによって確認される。また、本発明で用いるポリエ
チレンテレフタレート樹脂(B)は、フェノールとテト
ラクロルエタンとの1:1(重量比)混合溶媒中で25
℃で測定される極限粘度[η]が、通常0.3〜1.5
dl/g、好ましくは0.5〜1.2dl/gの範囲に
あることが望ましい。
【0044】ポリエステル樹脂組成物 本発明のポリエステル樹脂組成物は、上述したコハク酸
共重合ポリエステル(A):1〜70重量部、好ましく
は3〜65重量部、より好ましくは5〜60重量部と、
上述したポリエチレンテレフタレート樹脂(B):99
〜30重量部、好ましくは97〜35重量部、より好ま
しくは95〜40重量部とからなる。
【0045】このような本発明のポリエステル樹脂組成
物は、上述したコハク酸共重合ポリエステル(A)とポ
リエチレンテレフタレート樹脂(B)との所定量を溶融
混合して得るのが好ましい。また、溶融混合後さらに固
相重合を行って得ることも好ましい。溶融混合を行う温
度は、コハク酸共重合ポリエステル(A)の流動温度以
上、かつポリエチレンテレフタレート樹脂(B)の融点
以上の温度であればよく、特に限定されるものではない
が、180〜300℃の温度範囲、好ましくは220〜
290℃の温度範囲であることが望ましい。また、溶融
混合を行う時間は、30秒〜4時間の間が好ましく、1
分〜2時間の間がより好ましい。
【0046】この溶融混合を行う装置としては、一軸押
出機、二軸押出機、プラストミル、ニーダーあるいは、
攪拌装置、減圧装置の付いた反応器などが挙げられる。
また、この溶融混合は不活性気体雰囲気下および/また
は減圧下で行われるのが望ましい。これらの溶融混合
は、コハク酸共重合ポリエステル(A)とポリエチレン
テレフタレート樹脂(B)以外に、触媒や安定剤の存在
下で行ってもよい。触媒や安定剤は、コハク酸共重合ポ
リエステル(A)やポリエチレンテレフタレート樹脂
(B)に、あらかじめ含有していてもよく、溶融混合の
際に添加してもよい。
【0047】溶融混合時に用いることのできる触媒とし
ては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、あるいはマン
ガン、亜鉛、スズ、コバルト、チタン、アンチモン、ゲ
ルマニウムなどの金属やそれらを含む有機・無機化合物
が例示される。また、安定剤や着色防止剤としては、リ
ン化合物や、ヒンダードフェノール化合物などが例示さ
れる。
【0048】これらの中では、特にリン化合物が好まし
い。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ポリリン
酸などの無機リン化合物、トリメチルリン酸やジフェニ
ルリン酸などのリン酸エステル化合物、トリフェニルホ
スファイト、トリス(2,4ジーt-ブチルフェニル)ホスフ
ァイトなどの亜リン酸エステル化合物などがあげられ
る。このようなリン化合物を含有していると、少なくと
も色相が良好な樹脂組成物が得られるため好ましい。
【0049】溶融温度、溶融時間、溶融混合の装置等、
溶融条件の選択は、コハク酸共重合ポリエステル(A)
やポリエチレンテレフタレート樹脂(B)の混合比、分
子量、触媒や安定剤の有無により、適宜選択される。た
とえば、ラボプラストミルなどの常圧条件で溶融混練を
行う装置を用いて、数平均分子量が6000〜3000
0のコハク酸・イソフタル酸・エチレングリコール共重
合体と、極限粘度[η]が0.6〜0.9dl/gのポ
リエチレンテレフタレートとを、触媒の存在下に混合す
る場合には、270〜290℃の温度範囲で、3〜40
分間溶融混合されるのが好ましい。
【0050】コハク酸共重合ポリエステル(A)および
/またはポリエチレンテレフタレート樹脂(B)の分子
量がこれより大きい場合には、さらに長時間溶融混合さ
れるのが好ましく、触媒が存在しないか失活している場
合には、さらに長時間溶融混合されるのが好ましく、リ
ン酸エステルなどの安定剤が存在している場合にも、さ
らに長時間溶融混合されるのが好ましい。また、この混
合が減圧下で行われる場合には、より短時間で溶融混合
されるのが好ましく、より強混練な条件下では、より短
時間で溶融混合されるのが好ましい。
【0051】また、溶融混合にて得られたポリエステル
樹脂組成物は、さらに、その融点以下の温度で、減圧下
あるいは不活性気流下にて20分〜100時間の範囲で
保持し、固相重合を行ってもよい。固相重合の方法は、
公知の方法を採用することができ、たとえば、不活性ガ
ス雰囲気下にポリエステル樹脂組成物のペレットを80
℃〜融解ピーク温度以下30℃の温度範囲の下に1〜3
00分保つことにより予備結晶化を行った後、130℃
〜融解ピーク温度以下20℃の温度範囲で1〜100時
間保つことにより固相重合を行うことができる。固相重
合を行った樹脂は、分子量が大きくなり、機械的強度が
向上するとともに、低分子成分含有量が低減するため好
ましい。
【0052】上記のような方法で、コハク酸共重合ポリ
エステル(A)とポリエチレンテレフタレート樹脂
(B)を溶融混合して、あるいは溶融混合後固相重合し
て得られる本発明のポリエステル樹脂組成物は、コハク
酸共重合ポリエステル(A)とポリエチレンテレフタレ
ート樹脂(B)とが相溶していることが望ましい。相溶
しているかどうかは、例えばガラス状態、あるいは溶融
状態での樹脂組成物の透明性、電子顕微鏡観察、固体粘
弾性におけるガラス転移挙動の観察、DSCでのガラス
転移挙動の観察などにより判断することができる。
【0053】本発明において、相溶している状態とは、
以下の4つの事象のうち、2つ以上を同時に満たす状態
であることをいう。 樹脂組成物の結晶の全くないガラス状態あるいは溶融
状態における0.5mm厚のプレスシートの内部ヘイズ
値が5%以下である状態である。 透過型電子顕微鏡で観察した樹脂組成物の面積0.1
mm2中に長さ1μm以上の不連続相の数が平均2個以
下の状態である。 固体粘弾性においてのガラス転移に伴うtanδのピー
ク(ショルダーは含めない)が一つの状態である。 DSCで観察されるガラス転移の比熱変化が単一温度
域にて起こるような状態である。
【0054】ポリエステル樹脂組成物が相溶している
と、樹脂組成物成形体のガスバリア性は非相溶のものよ
りも高く、透明性も有するため、容器、包装材料として
好ましく用いることができる。さらに、本発明のポリエ
ステル樹脂組成物は、耐熱安定剤、耐候安定剤、架橋
剤、滑剤、核剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔
料あるいは染料などの各種配合剤を、本発明の目的を損
なわない範囲で含有していてもよい。
【0055】本発明のポリエステル樹脂組成物は、ガス
バリア性および機械物性に優れるため、食品や機械部品
などの包装材料、具体的には、ブロー容器、フィルム、
シートに好適に用いることができる。また、繊維、不織
布、発泡体などの素材として、また、他のポリエステル
樹脂や他の熱可塑性樹脂との多層成形体用材料としても
好適に使用することができる。
【0056】フィルム、シートおよび中空成形品 本発明のフィルムおよびシートは、コハク酸共重合ポリ
エステル(A)と、ポリエチレンテレフタレート樹脂
(B)とからなる、上述した本発明の樹脂組成物を成形
してなる。このようなフィルムおよびシートは、ガスバ
リア性および機械的特性に優れるため、食品や機械部品
などの包装材料などに特に好適に使用することができ、
特に食品包装用フィルムとして好適に使用することがで
きる。
【0057】本発明のフィルムおよびシートは、延伸ま
たは未延伸のいずれであってもよく、樹脂からフィルム
またはシートを成形する公知のいかなる方法によって成
形されてもよい。本発明のフィルムおよびシートを成形
する方法としては、具体的には、押出成形、射出成形、
空冷または水冷インフレーション成形、ブロー成形、押
出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成
形、カレンダー成形、発泡成形などが挙げられる。
【0058】たとえば、本発明のフィルムおよびシート
を、押出成形により製造する場合には、従来公知の押出
装置および成形条件を採用することができ、たとえば単
独スクリュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押
出機などを用いて、溶融した本発明のポリエステル樹脂
組成物をTダイなどから押し出すことにより、未延伸の
フィルムまたはシートに成形することができる。
【0059】また、本発明のフィルムおよびシートを、
射出成形により製造する場合には、従来公知の射出成形
装置および成形条件を採用することができ、本発明のポ
リエステル樹脂組成物を所望の形状および厚さに射出成
形して製造することができる。押出成形あるいは射出成
形により得られたフィルムおよびシートは、さらに延伸
して成形してもよい。
【0060】延伸したフィルムまたはシートは、上述の
押出フィルムまたはシートなどの、未延伸のフィルムま
たはシートを、たとえばテンター法(縦横延伸、横縦延
伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法などの公知の延伸方
法により延伸して得ることができる。未延伸のフィルム
またはシートを延伸する際の延伸倍率は、未延伸のフィ
ルムまたはシートの厚さなどにもよるが、二軸延伸の場
合には通常2〜70倍程度、また一軸延伸の場合には通
常1.5〜10倍程度であるのが望ましい。延伸後のフ
ィルムまたはシートの厚さは、その用途にもよるが、5
〜200μm程度であるのが好ましい。
【0061】このような本発明のフィルムおよびシート
は、単層であってもよく、多層構造であってもよく、本
発明のポリエステル樹脂組成物以外の樹脂からなるシー
トまたはフィルムとの多層構造であってもよい。また、
本発明の中空成形品は、コハク酸共重合ポリエステル
(A)と、ポリエチレンテレフタレート樹脂(B)とか
らなる、上述した本発明の樹脂組成物をブロー成形して
なる。中空成形品としては、液体充填用ボトル、炭酸飲
料充填用ボトル等の飲料用ボトル、容器、タンク、パイ
プ等が挙げられ、特に飲料用ボトルが好ましい。
【0062】このような本発明の中空成形品は、ガスバ
リア性および機械的特性に優れている。本発明の中空成
形品は、ブロー成形を伴う方法で成形されればよいが、
中空成形品の前駆体であるプリフォームを、押出成形、
射出成形などにより一旦成形し、ので形成したプリフォ
ームをブロー成形することにより、目的とする中空成形
品を好適に製造することができる。この方法によれば、
複雑な形状の中空成形品の成形が可能であるため好まし
い。
【0063】ブロー成形の条件は特に限定されるもので
はなく、従来公知のポリエステル樹脂をブロー成形する
条件を適宜採用することができる。
【0064】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物は、特
定のコハク酸共重合ポリエステル(A)と、回収ポリエ
チレンテレフタレートを含有するポリエチレンテレフタ
レート樹脂(B)とからなるため、回収ポリエチレンテ
レフタレートを有効利用しており、ガスバリア性および
機械的特性のいずれにも優れる成形品を提供することが
できる。本発明のポリエステル樹脂組成物は、ガスバリ
ア性を必要とするフィルムやブロー容器などの食品用包
装材料、電子部品などの包装材料などに好適に用いるこ
とができる。
【0065】また、本発明のフィルム、シートおよび中
空成形体は、回収ポリエチレンテレフタレートを有効利
用しており、ガスバリア性に優れ、かつ機械的特性にも
優れており、食品用包装材料、電子部品などの表層材料
として好適である。
【0066】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。なお、以下の製造例、実施例および比較
例において、各樹脂および樹脂組成物の物性は、以下の
方法により測定あるいは評価した。 〔ポリエステルの組成〕核磁気共鳴装置(NMR;日本
電子製 LA500型)を用いて、1H核についてのス
ペクトルから算出して求めた。 〔ポリエステルの分子量〕ゲルパーミエーションクロマ
トグラフ(GPC)を用いてポリスチレン換算の数平均
分子量を測定した。 〔ポリエステルおよび樹脂組成物のガスバリア性〕所定
の方法で得た厚さ100μmのフィルムについて、ガス
透過率測定装置GPM−250(ジーエルサイエンス社
製)を用いて、25℃における炭酸ガス透過係数を測定
した。なお、透過係数の値が小さいほど、ガスバリア性
は優れることが示される。
【0067】
【製造例1】コハク酸ジメチル 131.5g、イソフ
タル酸ジメチル 58.3g、エチレングリコール 14
9.0g、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン
0.29gおよび酢酸マンガン4水和物 0.15g
を、攪拌装置と留出管を装備したガラス製反応器に仕込
んだ。留出管は真空ポンプと減圧調整器からなる真空装
置に接続されており、蒸発物を留去可能な構造となって
いる。
【0068】まず、反応器を充分に窒素置換を行った
後、常圧窒素雰囲気下にて、160℃から220℃まで
3時間かけて攪拌しながら昇温し、さらに1時間保持
し、メタノールを留去しながらエステル交換反応を行っ
た。引き続き、得られた化合物に二酸化ゲルマニウム
0.034gをエチレングリコール 3.16gととも
に添加し、充分に窒素置換した後、常圧窒素気流下22
0℃で1時間攪拌した。
【0069】その後、真空ポンプを作動させ、1時間か
け240℃までの昇温を行い、さらに1時間かけて26
0℃、1Torrまでの昇温・減圧を行い、引き続き、
30分かけて270℃までの昇温を行い、さらに、その
状態で、3時間攪拌を続けて重縮合を行った。以上のよ
うな重縮合反応後、系内に窒素ガスを導入して、常圧に
戻し、反応容器からポリエステル樹脂(A1)を取り出
した。
【0070】得られたポリエステル樹脂(A1)の組成
は、コハク酸単位が37.3モル%、イソフタル酸単位
が12.8モル%、エチレングリコール単位が46.7
モル%、ジエチレングリコール単位が3.2モル%、1,
1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン単位が0.1モ
ル%であった。また、GPCにて測定された数平均分子
量は24000であった。
【0071】
【実施例1】充分に洗浄を行ったペットボトルを粉砕
し、充分に乾燥して、回収ポリエチレンテレフタレート
樹脂フレーク(B1)を得た。次いで、製造例1で得た
ポリエステル樹脂(A1)20重量部と、回収ポリエチ
レンテレフタレート樹脂フレーク(B1)80重量部と
を、攪拌装置および留出管を装備したガラス製反応器に
仕込んだ。反応機を130℃に保ち、2時間減圧下で脱
水を行った後、反応器を280℃に加熱した。20分間
の余熱の後に、常圧窒素雰囲気下で10分間攪拌し、さ
らに1Torrまでの減圧を行い、15分間攪拌を行っ
た。その後、反応器からポリエステル樹脂組成物(C
1)を取りだし、ペレット化を行った。
【0072】次いで、得られたポリエステル樹脂組成物
(C1)ペレットを真空乾燥機でよく乾燥させた後、2
枚の真鍮板、アルミ板および離型フィルムの間に所定量
はさみ、280℃で溶融させ、10MPaで1分間圧縮
した後、0℃の温度に設定した圧縮成形機で再び10M
Paで圧縮冷却し、厚さ100μmのフィルムを成形し
た。得られたフィルムを用いて、上述の方法によりガス
バリア性(炭酸ガス透過係数)を評価した。結果を表1
に示す。
【0073】
【実施例2】実施例1において、ポリエステル樹脂(A
1)を40重量部、回収ポリエチレンテレフタレート樹
脂フレーク(B1)を60重量部用いたこと以外は、実
施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物(C2)を
得た。次いで、実施例1と同様にして厚さ100μmの
フィルムを成形し、ガスバリア性を評価した。結果を表
1に示す。
【0074】
【比較例1】回収ポリエチレンテレフタレート樹脂フレ
ーク(B1)を用いて、実施例1と同様にして厚さ10
0μmのフィルムを成形し、ガスバリア性を評価した。
結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/00 CFD C08J 5/18 CFD 4J029 5/18 CFD B29K 67:00 // B29K 67:00 B29L 22:00 B29L 22:00 B65D 1/00 A Fターム(参考) 3E033 AA01 AA03 BA17 BA18 FA03 3E086 AD04 BA15 BB03 CA01 CA31 4F071 AA44 AA44X AA45X AA46 AH04 BA01 BB03 BB09 BC01 BC04 4F208 AA24K AG07 AH55 LA01 LA04 LB01 LG01 LG22 LG28 4J002 CF03W CF04W CF06X CF08W FD030 FD150 GG00 4J029 AA03 AB07 AC02 AD01 AE01 AE03 BA03 CA04 CB04A CB05A CB06A CB10A CB12B CC05A CC06A CE01 CF13 CH02 DB02 DB06 FC03 FC04 FC05 FC08 FC29 HA01 HB01 JE163 KB02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)コハク酸共重合ポリエステルの全構
    成単位を100モル%とするとき、 コハク酸単位を24〜50モル%含有し、 芳香族ジカルボン酸単位を0〜26モル%含有し、 コハク酸単位、芳香族ジカルボン酸単位およびエチレン
    グリコール単位を合計で90モル%以上含有するコハク
    酸共重合ポリエステル:1〜70重量部と、(B)回収
    ポリエチレンテレフタレートを10〜100モル%の範
    囲で含有するポリエチレンテレフタレート樹脂:99〜
    30重量部とからなることを特徴とするポリエステル樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】コハク酸共重合ポリエステル(A)の芳香
    族ジカルボン酸単位が、イソフタル酸単位および/また
    は2,6-ナフタレンジカルボン酸単位である請求項1に記
    載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(A)コハク酸共重合ポリエステルの全構
    成単位を100モル%とするとき、 コハク酸単位を24〜49モル%含有し、 イソフタル酸単位および/または2,6-ナフタレンジカル
    ボン酸単位を合計で1〜26モル%含有し、 コハク酸単位、イソフタル酸単位、2,6-ナフタレンジカ
    ルボン酸単位およびエチレングリコール単位を合計で9
    0モル%以上含有するコハク酸共重合ポリエステル:1
    〜70重量部と、(B)回収ポリエチレンテレフタレー
    トを10〜100モル%の範囲で含有するポリエチレン
    テレフタレート樹脂:99〜30重量部とからなること
    を特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】コハク酸共重合ポリエステル(A)が、エ
    ステル形成能を有する官能数3以上のモノマー単位を
    0.001〜2モル%含有する、請求項1〜3のいずれ
    かに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】コハク酸共重合ポリエステル(A)のエス
    テル形成能を有する官能数3以上のモノマー単位が、多
    官能アルコールから導かれる単位である、請求項4に記
    載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】コハク酸共重合ポリエステル(A)のエス
    テル形成能を有する官能数3以上のモノマー単位が、グ
    リセリン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、
    1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエ
    リスリトールおよびジペンタエリスリトールよりなる群
    から選ばれる1種以上から導かれる単位である、請求項
    4または5に記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】ポリエチレンテレフタレート樹脂(B)
    が、回収ポリエチレンテレフタレートを50〜100モ
    ル%の範囲で含有する、請求項1〜6のいずれかに記載
    のポリエステル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】コハク酸共重合ポリエステル(A)とポリ
    エチレンテレフタレート(B)とが相溶していることを
    特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステ
    ル樹脂組成物。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載のポリエス
    テル樹脂組成物を成形してなるシートまたはフィルム。
  10. 【請求項10】請求項1〜8のいずれかに記載のポリエ
    ステル樹脂組成物をブロー成形してなる中空成形品。
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