JP2006348169A - ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂の製造方法およびポリエステル樹脂よりなる中空成形体 - Google Patents
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Abstract
生産性が高く色調が良好で加熱時の環状三量体の増加が少ないため金型汚れを発生させにくく、飲料充填容器用途に適したポリエステル樹脂とその製造方法を提供すること。
【解決手段】
(a) 0.1 ≦ M1 ≦ 500(ppm)(b) 0.1 ≦ M2 ≦ 500(ppm)(c) 0.1 ≦ S ≦ 500(ppm)(d) CT ≦ 0.5(重量%)を満足するポリエステル樹脂。(M1は、B、Ti、Ga、Mn、Co、Zn、Si、Zr、Sn、Sc、Y、La、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Sbの総含有量、M2はB、Al、Ga、Mn、Co、Si、Zr、Sn、Sc、Y、La、Sb、Geの総含有量、Sはイオウ原子の含有量(ppm)、CTは環状三量体の量(重量%)を示す。)
【選択図】なし
Description
(1)ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル樹脂であって、下記(a)、(b)、(c)、(d)を満足するポリエステル樹脂である。
(a) 0.1 ≦ M1 ≦ 500(ppm)
(b) 0.1 ≦ M2 ≦ 500(ppm)
(c) 0.1 ≦ S ≦ 500(ppm)
(d) CT ≦ 0.5(重量%)
(M1はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモンの総量を示し、M2はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルト、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アンチモン、ゲルマニウムの総量を示し、Sはポリエステル樹脂に含有されるイオウ原子の量(ppm)を示し、CTはポリエステル樹脂に含有される環状三量体の量(重量%)を示す。)
(2)さらに下記(e)を満足する(1)に記載のポリエステル樹脂。
(e) DEG ≦ 3.0(重量%)
(DEGはポリエステル樹脂中のジエチレングリコール単位の含有割合(重量%)を示す。)
(3)ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル樹脂であって、下記(a)、(b)、(c)、(e)を満足するポリエステル樹脂である。
(a) 0.1 ≦ M1 ≦ 500(ppm)
(b) 0.1 ≦ M2 ≦ 500(ppm)
(c) 0.1 ≦ S ≦ 500(ppm)
(e) DEG ≦ 3.0(重量%)
(M1はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモンの総量を示し、M2はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルト、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アンチモン、ゲルマニウムの総量を示し、Sはポリエステル樹脂に含有されるイオウ原子の量(ppm)を示し、DEGはポリエステル樹脂中のジエチレングリコール単位の含有割合(重量%)を示す。)
(4)芳香族カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体の低次縮合物を液相重縮合し、ついで固相重縮合させてポリエステル樹脂を製造する方法において、ホウ素、アルミニウム、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモン、ゲルマニウムから選ばれる元素の化合物と、イオウ化合物とを下記(c)(f)を満足するように添加してポリエステルの重合を行なうことを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法である。
(c) 0.1 ≦ S ≦ 500(ppm)
(f) 2 ≦ (ΣniMi/Wi)/(S/32)
(Sは生成ポリエステルに対するイオウ化合物由来のイオウ原子の量(ppm)を示し、Miは生成ポリエステルに対する元素i由来の原子の量(ppm)を示し、Wiは元素iの原子量を示し、niは元素iの化合物中の元素iの酸化数を示し、ΣniMi/Wiはすべての元素iのniMi/Wiの総和を示す。元素iはホウ素、アルミニウム、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモン、ゲルマニウムから選ばれる元素を示す。)
また本発明は下記(5)に示す中空成形体を提供する。
(5)(1)ないし(3)のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂、または(4)に記載の方法によって製造されるポリエステル樹脂からなることを特徴とする中空成形体。
本発明のポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレートを主体とする。本発明のポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル樹脂は、ジカルボン酸単位とジオール単位からなり、全ジカルボン酸単位中にテレフタル酸を好ましくは90mol%以上、より好ましくは95mol%以上含み、全ジオール単位中にエチレングリコールを好ましくは90mol%以上、より好ましくは95mol%以上含む。テレフタル酸とエチレングリコールを前記範囲で含有する限りにおいて、下記に示す共重合モノマー単位を含んでも構わない。
(a) 0.1 ≦ M1 ≦ 500(ppm)
(b) 0.1 ≦ M2 ≦ 500(ppm)
(M1はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモンの総量を示し、M2はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルト、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アンチモン、ゲルマニウムの総量を示す。)
M1およびM2がそれぞれ前記範囲未満であるとポリエステル樹脂の生産性が低くなることがあり、一方、前記範囲を超えると、ポリエステル樹脂を溶融成形する際に色調などの品質が悪化することがある。
(c) 0.1 ≦ S ≦ 500(ppm)
(Sはポリエステル樹脂に含有されるイオウ原子の量(ppm)を示す。)
Sは0.1〜200ppmであることが好ましく、1〜100ppmであることがより好ましく、2〜50ppmであることがさらに好ましく、3〜30ppmであることが特に好ましい。
(f) 2 ≦ (ΣniMi/Wi)/(S/32)
ここで、Miは生成ポリエステルに対する元素i由来の原子の量(ppm)を示し、Wiは元素iの原子量を示し、niは元素iの化合物中の元素iの酸化数を示し、ΣniMi/Wiはすべての元素iのniMi/Wiの総和を示す。元素iはホウ素、アルミニウム、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモン、ゲルマニウムから選ばれる元素を示す。
(f)式を満足しない場合、ポリエステル樹脂中の環状三量体濃度が高くなることがあり、またポリエステル樹脂中のジエチレングリコールなど副生成物が増加することがある。
(f−2) 3 ≦ (ΣniMi/Wi)/(S/32) ≦ 1000
本発明のポリエステル樹脂においてはさらに好ましくは下記(f−3)を満足することが好ましい。
(f−3) 4 ≦ (ΣniMi/Wi)/(S/32) ≦ 100
アルミニウム含有量が前記範囲未満であると、ポリエステル樹脂の生産性が低くなることがあり、一方、前記範囲を超えると、ポリエステル樹脂を溶融成形する際に色調などの品質が悪化することがある。
チタン含有量が前記範囲未満であると、ポリエステル樹脂の生産性が低くなることがあり、一方、前記範囲を超えると、ポリエステル樹脂を溶融成形する際に色調などの品質が悪化することがある。
チタン原子とアルミニウム原子の重量比が前記範囲を外れると、ポリエステル樹脂の生産性と色調のバランスが悪化することがある。
MAが前記範囲未満であると、ポリエステル樹脂を溶融成形する際に色調などの品質が悪化することがあり、一方、前記範囲を超えると、得られるポリエステル成形体の透明性などの品質が悪化することがある。
(d) CT ≦ 0.5(重量%)
(CTはポリエステル樹脂に含有される環状三量体の量(重量%)を示す。)
本発明のポリエステル樹脂の環状三量体量CTは、0.40重量%以下であることがより好ましい。CTが前記範囲外であると、中空成形体等の成形時に金型汚れが起こりやすくなる。
また、本発明のポリエステル樹脂は、射出成形機を用いて280℃で成形して得られる成形体に含有される環状三量体量と、成形前のポリエステル樹脂に含有される環状三量体量との差が0.1重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以下であることがより好ましい。成形前後の環状三量体量の差が上記範囲外であると、中空成形体等の成形時に金型汚れが起こりやすくなる。
(e) DEG ≦ 3.0(重量%)
(DEGはポリエステル樹脂中のジエチレングリコール単位の含有割合(重量%)を示す。)
本発明のポリエステル樹脂のDEGは0.1〜3.0重量%であることが好ましく、0.5〜2.0重量%であることがより好ましく、0.8〜1.8重量%であることが特に好ましい。DEGが前記範囲未満であると、ポリエステル樹脂の成形性が悪化することがあり、一方、前記範囲を超えると、ポリエステル樹脂の耐熱性が低下することがある。
DEGを抑制する添加剤としては、塩基性化合物、たとえばトリエチルアミンなどの3級アミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム化合物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属化合物が挙げられる。またDEGを増加させる添加剤としては、硫酸などの無機酸、安息香酸などの有機酸が挙げられる。
本発明のポリエステルの製造方法は、芳香族カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体の低次縮合物を液相重縮合し、ついで固相重縮合させてポリエステル樹脂を製造する方法において、ホウ素、アルミニウム、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモン、ゲルマニウムから選ばれる元素の化合物と、イオウ化合物とを下記(c)(f)を満足するように添加してポリエステルの重合を行なうことを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法である。
(c) 0.1 ≦ S ≦ 500(ppm)
(f) 2 ≦ (ΣniMi/Wi)/(S/32)
(Sは生成ポリエステルに対するイオウ化合物由来のイオウ原子の量(ppm)を示し、Miは生成ポリエステルに対する元素i由来の原子の量(ppm)を示し、Wiは元素iの原子量を示し、niは元素iの化合物中の元素iの酸化数を示し、ΣniMi/Wiはすべての元素iのniMi/Wiの総和を示す。元素iはホウ素、アルミニウム、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモン、ゲルマニウムから選ばれる元素を示す。)
(f)式を満足しない場合、ポリエステル樹脂中の環状三量体濃度が高くなることがあり、またポリエステル樹脂中のジエチレングリコールなど副生成物が増加することがある。一方、(c)式を満足しない場合、ポリエステル樹脂の生産性が低くなることがあり、またポリエステル樹脂を溶融成形する際の環状三量体の増加量が大きくなることがある。
(c−2) 1 ≦ S ≦ 200(ppm)
(f−2) 3 ≦ (ΣniMi/Wi)/(S/32) ≦ 1000
本発明のポリエステルの製造方法においてはさらに好ましくは下式(c−3)(f−3)を満足することが好ましい。
(c−3) 2 ≦ S ≦ 100(ppm)
(f−3) 4 ≦ (ΣniMi/Wi)/(S/32) ≦ 100
(a) 0.1 ≦ M1 ≦ 500(ppm)
(b) 0.1 ≦ M2 ≦ 500(ppm)
(M1はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモンの総量を示し、M2はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルト、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アンチモン、ゲルマニウムの総量を示す。)
(a)(b)のいずれかを満足しない場合、ポリエステル樹脂の生産性が低くなることがあり、またポリエステル樹脂中の環状三量体濃度が高くなることがある。
フッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化水酸化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウムなどのハロゲン化アルミニウム化合物;
炭酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムなどの無機酸アルミニウム塩化合物;
硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムリチウム、硫酸アルミニウムアンモニウムなどのアルミニウムミョウバン類;
水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミン酸アンモニウム、アルミン酸ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムなどのその他の無機アルミニウム化合物;
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、メチルアルモキサンなどのアルミニウム有機金属化合物;
トリフェノキシアルミニウムなどのアリーロキシアルミニウム化合物;
トリス(トリメチルシロキシ)アルミニウム、トリス(トリフェニルシロキシ)アルミニウムなどのシロキシアルミニウム化合物;
酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、有機スルホン酸アルミニウム、有機ホスホン酸アルミニウムなどの有機酸アルミニウム塩化合物;
トリス(ジエチルアミノ)アルミニウム、アルミニウムトリピロリドなどのアルミニウムアミド化合物;
アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−n−プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド、アルミニウムトリ−2−エチルヘキソキシドなどのアルミニウムアルコキシド類;
およびそれらの加水分解物が挙げられる。
四フッ化チタン、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、ヘキサフロロチタン酸などのハロゲン化チタン化合物;
α−チタン酸、β−チタン酸、チタン酸アンモニウム、チタン酸ナトリウム、ペルオキソチタン酸錯体、アナターゼなどのチタン酸化合物;
硫酸チタン、硫酸チタニル、硝酸チタン、リン酸チタン、ケイ酸チタンなどの無機酸チタン塩化合物;
テトラメチルチタン、テトラエチルチタン、テトラベンジルチタン、テトラフェニルチタン、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライドなどのチタン有機金属化合物;
テトラフェノキシチタンなどのアリーロキシチタン化合物;
テトラキス(トリメチルシロキシ)チタン、テトラキス(トリフェニルシロキシ)チタンなどのシロキシチタン化合物;
酢酸チタン、プロピオン酸チタン、乳酸チタン、クエン酸チタン、酒石酸チタン、シュウ酸チタニルカリウム、シュウ酸チタニルナトリウム、有機スルホン酸チタン、有機ホスホン酸チタンなどの有機酸チタン塩化合物;
テトラキス(ジエチルアミノ)チタン、チタンテトラピロリドなどのチタンアミド化合物;または下記に詳述されるアルコキシチタン化合物など、およびそれらの加水分解物が挙げられる。
チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシドなどのチタンテトラアルコキシド類;
ポリ(ジブチルチタネート)、Ti7O4(OC2H5)20、Ti16O16(OC2H5)32などの縮合チタンアルコキシド類;
クロロチタントリイソプロポキシド、ジクロロチタンジエトキシドなどのハロゲン置換チタンアルコキシド類;
チタンアセテートトリイソプロポキシド、チタンメタクリレートトリイソプロポキシドなどのカルボン酸基置換チタンアルコキシド類;
チタントリス(ジオクチルピロホスフェート)イソプロポキシド、チタン(モノエチルホスフェート)トリイソプロポキシドなどのホスホン酸基置換チタンアルコキシド類;
チタントリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキシドなどのスルホン酸基置換チタンアルコキシド類;
アンモニウムヘキサエトキシチタネート、ナトリウムヘキサエトキシチタネート、カリウムヘキサエトキシチタネート、ナトリウムヘキサ−n−プロポキシチタネート、マグネシウムナトリウムヘキサ−n−プロポキシチタネートなどのアルコキシチタネート類;
チタンビス(2,4−ペンタンジオナート)ジイソプロポキシド、チタンビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドなどのβ−ジケトネート置換チタンアルコキシド類;
チタンビス(アンモニウムラクテート)ジイソプロポキシドなどのα−ヒドロキシカルボン酸置換チタンアルコキシド類;および
チタンビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシド、2−アミノエトキシチタントリイソプロポキシドなどのアミノアルコール置換チタンアルコキシド類などが挙げられる。
これらの化合物の中では、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどが好ましい。
硫黄単体;
硫化アンモニウム、硫化ナトリウムなどのサルファイド化合物;
亜硫酸、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウムなどのスルフィン酸化合物;
硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸類;
硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムリチウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウムなどの硫酸塩;
三酸化硫黄、過硫酸、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウムなどその他の無機硫黄化合物;
硫酸ジメチル、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、などのその他の有機硫黄化合物などが挙げられる。
トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ-n-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;
トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;
メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等の酸性リン酸エステル類;
メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸などの有機ホスホン酸およびその塩またはエステル類;および
リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン化合物およびそれらの塩などが挙げられる。
上述した、必要に応じて用いられる窒素化合物としては、たとえば、アンモニア、ヒドロキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピロリジン、モルホリン、1,4,7−トリアザシクロノナン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、アミノエタノール、アニリン、ピリジンなどのアミン化合物、および、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム化合物などが挙げられる。
これらの窒素化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらの化合物は、必要に応じて、水、アルコール類などの溶媒で希釈するなど、他の化合物と組み合わせて用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合させることを特徴とする。芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とは、芳香族ジカルボン酸およびその塩、エステル、酸無水物または酸塩化物などを指す。脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とは、脂肪族ジオールおよびそのアルコキシド、エステルまたはエーテルなどを指す。以下、ポリエステル樹脂の製造方法の一例について説明する。
まず、ポリエステル樹脂を製造するに際して、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化させる。
具体的には、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。
上記のようなエステル化工程で得られた低次縮合物は、次いで重縮合(液相重縮合)工程に供給される。
液相重縮合工程においては、エステル化工程で得られた低次縮合物を、減圧下で、かつポリエステル樹脂の融点以上の温度(通常250〜280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応の脂肪族ジオールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。
この重縮合工程で得られる液相重縮合ポリエステル樹脂は、通常、溶融押し出し成形されて粒状(チップ状)に成形される。
この液相重縮合工程で得られるポリエステル樹脂は、所望によりさらに固相重縮合することができる。
固相重縮合工程に供給される粒状ポリエステル樹脂は、予め、固相重縮合を行う場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重縮合工程に供給してもよい。
本発明によって得られるポリエステル樹脂からボトル、シート、フィルム、繊維などを成型する方法としては、従来公知の方法を採用することができる。
例えば、ボトルを成形する場合には、上記ポリエステル樹脂を溶融状態でダイより押出してチューブ状パリソンを形成し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、金型に着装することにより中空成形体を製造する方法、上記ポリエステル樹脂から射出成形によりプリフォームを製造し、該プリフォームを延伸適性温度まで加熱し、次いでプリフォームを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、金型に着装することにより中空成形体を製造する方法などがある。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
元素分析
リンの定量:シート状に溶融成形したポリエチレンテレフタレートを用いて、蛍光X線分析により、ポリエチレンテレフタレートに含まれるリン元素を定量した。
金属元素の定量:乾式灰化法で試料を分解後、酸に溶解し、ICP発光分析でポリエチレンテレフタレートに含まれる金属元素を定量した。
固有粘度(IV)
ポリエチレンテレフタレート0.5gをフェノール/テトラクロロエタン(1/1重量比)混合溶媒100mlに加熱溶解した後、冷却して25℃で測定された溶液粘度から固有粘度を算出した。
アセトアルデヒドの定量
フリーザーミルを用いて冷凍粉砕したポリエチレンテレフタレート2.0gをバイアル瓶に投入して内部標準物質(アセトン)と水を入れて密栓し、120±2℃の乾燥機で1時間加熱した。冷却後、上澄み液をガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製GC−6A)にて測定し、ポリエチレンテレフタレートに含まれるアセトアルデヒド量として算出した。
環状3量体オリゴマー(CT)の定量
ポリエチレンテレフタレート0.1gをオルトクロロフェノールに溶解した後、テトラヒドロフランで再析出して濾過して線状ポリエステルを除いた後、濾液を液体クロマトグラフィー(島津製作所製LC7A)に供給してポリエチレンテレフタレートに含まれる環状3量体オリゴマーを定量した。
ジエチレングリコール(DEG)の定量
ポリエチレンテレフタレートを1g秤量し、モノエタノールアミン3ml中にて280℃で加熱し加水分解した。放冷後、高純度テレフタル酸で中和し、溶液をNo.5C濾紙にてろ過した。得られたろ液1μlをガスクロマトグラフに注入してジエチレングリコール含量を定量した。
ポリエチレンテレフタレートの溶融処理
ポリエチレンテレフタレートを、除湿Air:0.2L/分流通下で170℃で4時間乾燥した。乾燥したポリエチレンテレフタレートを、シリンダー内の温度を310℃に設定したメルトインデックサ(東洋精機製作所(株)F−B01)に6g入れ、シリンダー内で7分間加熱溶融した後、5kgの荷重にてオリフィスより押し出し、アルミニウム板上に採取した。採取したポリエチレンテレフタレートを円盤状に急冷した。
ΔCT
上記記載の方法で溶融処理を行なったポリエチレンテレフタレートに含まれる環状3量体量(重量%)から原料ポリエチレンテレフタレートに含まれる環状3量体(重量%)の量を引いた値をΔCTとした。
1,000mlガラス製ビーカーに脱イオン水500mlを秤取し、氷浴にて冷却した後撹拌しながら四塩化チタン5gを滴下した。塩化水素の発生が止まったら氷浴より取り出し、室温下で撹拌しながら25%アンモニア水を滴下し、液のpHを9にした。これに、室温下で攪拌しながら15%酢酸水溶液を滴下し、液のpHを5にした。生成した沈殿物を濾過により、分離した。洗浄後の沈殿物を、30重量%エチレングリコール含有水でスラリー濃度2.0重量%のスラリーとして30分間保持した後、二流体ノズル式のスプレードライヤーを用いて温度90℃で造粒乾燥を行い、固体状の加水分解物(固体状含チタン化合物)を得た。
ICP分析法により測定した固体状含チタン化合物中の金属チタン含量は、34.8重量%であり、炭素含有量は11.6重量%、チタンと炭素との重量比(Ti/C)は3であった。
200mlガラス製フラスコにエチレングリコール102gとグリセリン18gを秤取し、これに参考例1で調製された固体状含チタン化合物3.38gを添加し、120℃で30分間加熱して溶解させた。ICP分析法により測定したこのチタン含有溶液中の金属チタン含量は1.0重量%であった。また、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、ND−1001DP)を用いて測定したこの溶液のHAZE値は1.0%であった。
200mlガラス製フラスコにエチレングリコール90gを秤取し、これに硫酸アルミニウムナトリウム12水和物(和光純薬株式会社製試薬特級)10gを添加し溶解させた。
200mlガラス製フラスコにエチレングリコール97.9gとグリセリン18gを秤取し、これにアルミン酸ナトリウム(和光純薬株式会社製試薬1級、アルミニウム/ナトリウム重量比=1/1)4.1gを添加し溶解させた。溶液中のアルミニウム濃度は、0.93wt%であった。
200mlガラス製フラスコにエチレングリコール91.2gを秤取し、これに硫酸水素ナトリウム1水和物(和光純薬株式会社製試薬特級)8.8gを添加し溶解させた。
200mlガラス製フラスコに蒸留水90.4gを秤取し、これに硫酸アルミニウムアンモニウム12水和物(和光純薬株式会社製試薬特級)9.6gを添加し溶解させた。
100mlガラス製フラスコにエチレングリコール67.2gを秤取し、これに85%リン酸(和光純薬株式会社製試薬特級)0.8gを添加し溶解させた。
200mlのガラス製フラスコにエチレングリコール98g、酢酸マグネシウム四水和物2gを秤量し、溶解させた。一方、50mlのガラス製フラスコにエチレングリコール9.37g、硫酸(和光純薬株式会社製試薬特級)0.63gを秤量し、溶解させた。得られた酢酸マグネシウム四水和物エチレングリコール溶液5.6gと硫酸エチレングリコール溶液0.815gを20mlのガラス製フラスコに秤量し、混合した。
高純度テレフタル酸 12.81kg、エチレングリコール 4.93kg、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド20%水溶液 6.88gを圧力1.7kg/cm2G、260℃の窒素雰囲気下にて6時間、撹拌しながら反応させ、固有粘度0.28dl/gの低次縮合物を得た。この反応により生成した水は常時系外に留去した。
このように液相重合して得られたポリエチレンテレフタレートはさらに、窒素雰囲気下170℃、2時間乾燥するとともに結晶化を行なった後、窒素雰囲気下215℃で16時間固相重合を行なった。得られた固重品ポリエチレンテレフタレートの密度は1.40g/cm3であった。得られた固重品ポリエチレンテレフタレートの固有粘度を測定し、それより固相重縮合速度を算出した。結果を表1に示した。
実施例1において、触媒として、調製例1で得られた触媒を0.13g、調製例2で得られた触媒を0.29g、調製例3で得られた触媒を0.28g、調製例6で得られたリン酸エチレングリコール溶液0.7gのかわりに、調製例4で得られた触媒を0.66g、調製例6で得られたリン酸エチレングリコール溶液0.7gを用いた以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示した。
実施例1において、触媒として、調製例1で得られた触媒を0.13g、調製例2で得られた触媒を0.29g、調製例3で得られた触媒を0.28g、調製例6で得られたリン酸エチレングリコール溶液0.7gのかわりに、調製例5で得られた触媒を0.76g、調製例6で得られたリン酸エチレングリコール溶液0.7gを用いた以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示した。
実施例1において、触媒として、調製例1で得られた触媒を0.13g、調製例2で得られた触媒を0.29g、調製例3で得られた触媒を0.28g、調製例6で得られたリン酸エチレングリコール溶液0.7gのかわりに、調製例1で得られた触媒を0.19g、調製例4で得られた触媒を0.45g、調製例6で得られたリン酸エチレングリコール溶液0.7gを用いた以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示した。
実施例1において、触媒として、調製例1で得られた触媒を0.13g、調製例2で得られた触媒を0.29g、調製例3で得られた触媒を0.28g、調製例6で得られたリン酸エチレングリコール溶液0.7gのかわりに、調製例1で得られた触媒を0.19g、調製例3で得られた触媒を0.23g、調製例6で得られたリン酸エチレングリコール溶液0.7gを用いた以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示した。
実施例1において、触媒として、調製例1で得られた触媒を0.13g、調製例2で得られた触媒を0.29g、調製例3で得られた触媒を0.28g、調製例6で得られたリン酸エチレングリコール溶液0.7gのかわりに、調製例1で得られた触媒を0.38g、調製例6で得られたリン酸エチレングリコール溶液0.7gを用いた以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示した。
実施例1において、触媒として二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液を0.74g、8.2重量%リン酸エチレングリコール溶液0.49gを用いて重合を行い、固相重合終了後のポリエチレンテレフタレートを90℃、4時間加圧加熱水中で処理した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表2に示した。
Claims (8)
- ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル樹脂であって、下記(a)、(b)、(c)、(d)を満足するポリエステル樹脂。
(a) 0.1 ≦ M1 ≦ 500(ppm)
(b) 0.1 ≦ M2 ≦ 500(ppm)
(c) 0.1 ≦ S ≦ 500(ppm)
(d) CT ≦ 0.5(重量%)
(M1はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモンの総量を示し、M2はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルト、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アンチモン、ゲルマニウムの総量を示し、Sはポリエステル樹脂に含有されるイオウ原子の量(ppm)を示し、CTはポリエステル樹脂に含有される環状三量体の量(重量%)を示す。) - さらに下記(a’) (b’)を満足する請求項1に記載のポリエステル樹脂。
(a’) 3 ≦ M1 ≦ 30(ppm)
(b’) 2 ≦ M2 ≦ 100(ppm) - さらに下記(e)を満足する請求項1に記載のポリエステル樹脂。
(e) DEG ≦ 3.0(重量%)
(DEGはポリエステル樹脂中のジエチレングリコール単位の含有割合(重量%)を示す。) - ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル樹脂であって、下記(a)、(b)、(c)、(e)を満足するポリエステル樹脂。
(a) 0.1 ≦ M1 ≦ 500(ppm)
(b) 0.1 ≦ M2 ≦ 500(ppm)
(c) 0.1 ≦ S ≦ 500(ppm)
(e) DEG ≦ 3.0(重量%)
(M1はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモンの総量を示し、M2はポリエステル樹脂に含有されるホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルト、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アンチモン、ゲルマニウムの総量を示し、Sはポリエステル樹脂に含有されるイオウ原子の量(ppm)を示し、DEGはポリエステル樹脂中のジエチレングリコール単位の含有割合(重量%)を示す。) - さらに下記(a’) (b’)を満足する請求項4に記載のポリエステル樹脂。
(a’) 3 ≦ M1 ≦ 30(ppm)
(b’) 2 ≦ M2 ≦ 100(ppm) - 芳香族カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体の低次縮合物を液相重縮合し、ついで固相重縮合させてポリエステル樹脂を製造する方法において、ホウ素、アルミニウム、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモン、ゲルマニウムから選ばれる元素の化合物と、イオウ化合物とを下記(c)(f)を満足するように添加してポリエステルの重合を行なうことを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
(c) 0.1 ≦ S ≦ 500(ppm)
(f) 2 ≦ (ΣniMi/Wi)/(S/32)
(Sは生成ポリエステルに対するイオウ化合物由来のイオウ原子の量(ppm)を示し、Miは生成ポリエステルに対する元素i由来の原子の量(ppm)を示し、Wiは元素iの原子量を示し、niは元素iの化合物中の元素iの酸化数を示し、ΣniMi/Wiはすべての元素iのniMi/Wiの総和を示す。元素iはホウ素、アルミニウム、チタン、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ケイ素、ジルコニウム、スズ、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンチモン、ゲルマニウムから選ばれる元素を示す。) - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂からなる中空成形体。
- 請求項6に記載の方法によって製造されるポリエステル樹脂からなる中空成形体。
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