JP2005120261A - ポリエステル樹脂およびそれよりなる中空成形体 - Google Patents
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Abstract
成形時にアセトアルデヒド発生が少なく金型汚れを発生させにくいポリエステル樹脂を提供すること。
【解決手段】
芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを重縮合させることにより製造されるポリエステル樹脂であって、下記(a)、(b)、(c)を満足するポリエステル樹脂;
(a)アルカリ金属を、アルカリ金属原子として0.1〜40ppm含有する。
(b)ΔCT≦0.05(重量%)
ΔCT=[CT]1−[CT]0
([CT]0および[CT]1はそれぞれ温度290℃で成形したときの成形前と成形後のポリエステルに含有される環状三量体含有量(重量%)を示す。)
(c)[CT]0≦0.50(重量%)
Description
このようなポリエステル樹脂は、通常テレフタル酸等のジカルボン酸と、エチレングリコール等の脂肪族ジオールを原料として製造される。具体的には、まず、芳香族ジカルボン酸類と脂肪族ジオール類とのエステル化反応により低次縮合物(エステル低重合体)を形成し、次いで重縮合触媒の存在下にこの低次縮合物を脱グリコール反応(液相重縮合)させて、高分子量化している。また、飲料充填容器の素材として用いる場合には、通常、固相重縮合を行い、さらに分子量を高めるとともに、飲料の味に悪影響を与えるアセトアルデヒド等の低分子副生物を揮散除去している。さらにこのポリエステル樹脂は、たとえば射出成形機械等の成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形し、あるいはさらに熱処理(ヒートセット)して中空成形容器に成形される。
一方、中空成形容器を成形する際に生成する副生物、特にアセトアルデヒドは飲料の異味異臭の原因となるため低減が求められている。
(a)アルカリ金属を、アルカリ金属原子として0.1〜40ppm含有する。
(b)ΔCT≦0.05(重量%)
(式中、ΔCTは、ポリエステル樹脂にもともと含有される環状三量体量と、そのポリエステル樹脂を本文記載の方法で射出成形機を用いて成形温度290℃で成形して得られる成形体に含有される環状三量体量から、下記計算式を用いて求められる。
ΔCT=[CT]1−[CT]0
[CT]0および[CT]1はそれぞれ前記成形前と成形後の環状三量体含有量(重量%)を示す。)
(c)[CT]0≦0.50(重量%)
またポリエステル樹脂はさらに下記(d)を満足することが望ましい;
(d) 10 ≦ [COOH] ≦35 (当量/トン)
(式中、[COOH]は、ポリエステル樹脂のカルボキシル基濃度(当量/トン)を示す。)
また、脂肪族ジオールとしては、たとえば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
さらに本発明では、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトール等の多官能性化合物を原料として使用することができる。
四塩化チタンなどのハロゲン化チタン化合物;
α−チタン酸、β−チタン酸、チタン酸アンモニウム、チタン酸ナトリウムなどのチタン酸化合物;
硫酸チタン、硝酸チタンなどの無機酸チタン塩化合物;
テトラフェニルチタン、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライドなどのチタン有機金属化合物;
テトラフェノキシチタンなどのアリーロキシチタン化合物;
テトラキス(トリメチルシロキシ)チタン、テトラキス(トリフェニルシロキシ)チタンなどのシロキシチタン化合物;
酢酸チタン、乳酸チタン、クエン酸チタン、酒石酸チタンなどの有機酸チタン塩化合物;
テトラキス(ジエチルアミノ)チタン、チタンテトラピロリドなどのチタンアミド化合物;または
チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、ポリ(ジブチルチタネート)、クロロチタントリイソプロポキシド、チタンアセテートトリイソプロポキシド、アンモニウムヘキサエトキシチタネート、ナトリウムヘキサエトキシチタネート、チタンビス(2,4−ペンタンジオナート)ジイソプロポキシド、チタンビス(アンモニウムラクテート)ジイソプロポキシド、チタンビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシドなどのチタンアルコキシド類など、およびそれらの加水分解物が挙げられる。
ここで、ポリエステル樹脂を重縮合する際のチタン化合物の添加量は得られるポリエステル樹脂に対してチタン原子として1ppm以上であることが好ましく、2ppm以上であることがより好ましく、3ppm以上であることがさらに好ましい。
リン化合物としては、たとえば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ-n-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニホスファイト等の亜リン酸エステル類;メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等のリン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸等のリン化合物が挙げられる。
アルカリ金属含有量が0.1ppmを下回ると、ポリエステル樹脂を成形する際のアセトアルデヒド生成量が多くなることがあり、また、アルカリ金属量が40ppmを上回ると、ポリエステル樹脂成形体の透明性が悪化するなど樹脂性能が低下することがある。
アルカリ金属はポリエステル樹脂製造のいずれかの段階でアルカリ金属化合物を添加することにより添加される。
また、本発明のポリエステル樹脂は、環状三量体量[CT]0が0.50重量%以下であることが必須であり、好ましくは0.40重量%以下であることが望ましい。[CT]0が0.50重量%より大きいと、中空成形体等の成形時に金型汚れが起こりやすくなる。
成形時の成形温度は290℃、成形サイクルは約65±10秒とする。
次に、乾燥された粒状ポリエステル樹脂を名機製作所(株)製M−70B射出成形機により、成形時には露点が−70℃の窒素をホッパー上部、スクリューフィーダーシュート部に各5ノルマル立方メートル/時間の割合でフィードし、バレル設定温度290℃、また成形機のC1/C2/C3/ノズル先の温度を260℃/290℃/290℃/300℃の各温度にして、金型冷却温度15℃の条件下で射出成形して、段付角板状の成形物を得る。
段付角板状成形物は、図1に示すような形状を有しており、7mmから2mmまで段差1mmの6段階の厚みを有する。この段付角板状成形物の4mm部分を切り取り、チップ状に切断し、環状三量体量測定用試料として用いる。
また、本発明のポリエステル樹脂は前記射出成形方法により成形された成形体のヘーズが、5mm厚において20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
まず、ポリエステル樹脂を製造するに際して、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化させる。
具体的には、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。
エステル化反応は好ましくは2個以上のエステル化反応基を直列に連結した装置を用いてエチレングリコールが還流する条件下で、反応によって生成した水を精留塔で系外に除去しながら行う。
例えば、エステル化反応が3段階で実施される場合には、第2段目のエステル化反応の反応温度は通常245〜275℃、好ましくは250〜270℃であり、圧力は通常0〜0.2MPaG(0〜2kg/cm2 G)、好ましくは0.02〜0.15MPaG(0.2〜1.5kg/cm2 G)であればよい。
上記のようなエステル化工程で得られた低次縮合物は、次いで重縮合(液相重縮合)工程に供給される。
液相重縮合工程においては、重縮合触媒の存在下に、エステル化工程で得られた低次縮合物を、減圧下で、かつポリエステル樹脂の融点以上の温度(通常250〜280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応の脂肪族ジオールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。
この重縮合工程で得られるポリエステル樹脂は、通常、溶融押し出し成形されて粒状(チップ状)に成形される。
この液相重縮合工程で得られるポリエステル樹脂は、所望によりさらに固相重縮合することができる。
固相重縮合工程に供給される粒状ポリエステル樹脂は、予め、固相重縮合を行う場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重縮合工程に供給してもよい。
なお、この予備結晶化処理によっては、いわゆるポリエステル樹脂の固相重縮合反応は進行せず、予備結晶化されたポリエステル樹脂の固有粘度は、液相重縮合後のポリエステル樹脂の固有粘度とほぼ同じであり、予備結晶化されたポリエステル樹脂の固有粘度と予備結晶化される前のポリエステル樹脂の固有粘度との差は、通常0.06dl/g以下である。
ポリエチレンテレフタレートと不活性ガスの流量はバッチ式の場合、ポリエチレンテレフタレート1kgに対し、0.1〜50Nm3/hrであり、連続式の場合、ポリエチレンテレフタレート1kg/hrに対し、0.01〜2Nm3/hrである。
これに伴い、上記の添加剤は、粒状ポリエステル樹脂の粒子内部に一様の濃度で含有されていてもよいし、粒状ポリエステル樹脂の粒子表面近傍に濃縮されて含有されていてもよいし、また粒状ポリエステル樹脂の一部の粒子に他の粒子より高濃度で含有されていてもよい。
たとえば、ボトルを成形する場合には、上記ポリエステル樹脂から射出成形によりプリフォームを製造し、該プリフォームを延伸適性温度まで加熱し、次いでプリフォームを所望形状の金型中に保持した後、空気を吹き込み、金型に着装することにより中空成形体を製造する方法などがある。
チタン、アルカリの定量
ICP分析法により定量した。
固有粘度
ポリエステル樹脂0.1gをテトラクロロエタン/フェノール混合液(混合比:1/1(重量比))20cc中に加熱溶解した後、冷却して25℃で測定された溶液粘度から算出した。
段付角版の成形
[0020][0021]に記載の方法で行った。
[CT] 0 、[CT] 1 、ΔCT
[0021][0022]に記載の方法で測定した。
アセトアルデヒド
アセトアルデヒド含有量は、試料2.0gを秤量し、フリーザーミルを用いて冷凍粉砕し、次いで粉砕試料は窒素置換したパイアル瓶に投入、さらに内部標準物質(アセトン)と水を入れて密栓し、パイアル瓶は120±2℃の乾燥機で1時間加熱した後、上澄み液をガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製GC−6A)にて測定した。
ヘーズ
段付角板の5mm厚部について、ヘイズメーター NDH−20D(商品名、日本電色工業(株)製)を用いて3回測定し、その平均値により評価した。
ポリエステル樹脂のCOOH基濃度の測定
液相重縮合工程を経たポリエチレンテレフタレートをo−クレゾールに加熱溶解し、クロロホルムを加え電位差滴定装置を用いてNaOH水溶液を標準溶液として滴定する。
ボトルの成形
粒状ポリエステル樹脂を、除湿エア乾燥機を用いて170℃、4時間乾燥した。乾燥後の樹脂中の水分量は40ppm以下であった。乾燥したポリエチレンテレフタレートを日精ASB機械株式会社製ASB−50を用いて、シリンダー温度265〜275℃、成形サイクル26±1秒で成形し、プリフォームを得た。
(なお、延伸後に60秒間加熱したのはボトル白化を加速させて評価するためであり、ボトル製造時の加熱時間は0.1〜30秒間で十分である。)
(参考例1)
ICP分析法により測定した固体状含チタン化合物中の金属チタン含量は、34.8重量%であった。
エステル化反応物(低次縮合物)は、平均滞留時間が3.5時間になるように制御して、連続的に系外に抜き出した。
上記で得られたエチレングリコールとテレフタル酸との低次縮合物の数平均分子量は、600〜1,300(3〜5量体)であった。
その際各触媒の添加量としては、チタン原子に換算して、生成ポリエチレンテレフタレートに対し15ppmとなるように参考例1の溶液を添加し、さらに水酸化ナトリウムのエチレングリコール溶液をナトリウム原子に換算して生成ポリエチレンテレフタレートに対し15ppmとなるように加え、さらにリン酸をリン原子に換算して生成ポリエチレンテレフタレートに対し6ppmとなるように加え、280℃、0.1kPa(1Torr)の条件下で重縮合を行い、固有粘度が0.52dl/gの液重品ポリエチレンテレフタレートを得た。所要時間は0.7時間であった。
[CT]0は0.33重量%、[CT]1は0.38重量%、ΔCTは0.05重量%であった。固重品ポリエチレンテレフタレートのアセトアルデヒド含有量は1.0ppm、COOH基濃度は30当量/トンであった。また、段付角板のヘーズは15%、プリフォームのアセトアルデヒド含有量は7.3ppmであった。
ボトルを500本成形したが、すべて透明なボトルが得られた。
(比較例1)
上記で得られたエチレングリコールとテレフタル酸との低次縮合物の数平均分子量は、600〜1,300(3〜5量体)であった。
その際各触媒の添加量としては、チタン原子に換算して、生成ポリエチレンテレフタレートに対し15ppmとなるように参考例1の溶液を添加し、さらにリン酸をリン原子に換算して生成ポリエチレンテレフタレートに対し6ppmとなるように加え、280℃、0.1kPa(1Torr)の条件下で重縮合を行い、固有粘度が0.52dl/gの液重品ポリエチレンテレフタレートを得た。所要時間は0.7時間であった。
得られた固重品ポリエチレンテレフタレートを加圧下150℃の熱水に2時間浸漬した。
ボトルを500本成形したが、すべて透明なボトルが得られた。
(参考例2)
得られた固重品ポリエチレンテレフタレートを加圧下150℃の熱水に2時間浸漬した。
[CT]0は0.24重量%、[CT]1は0.29重量%、ΔCTは0.05重量%であった。固重品ポリエチレンテレフタレートのアセトアルデヒド含有量は1.0ppm、COOH基濃度は8当量/トンであった。また、段付角板のヘーズは40%、プリフォームのアセトアルデヒド含有量は7.3ppmであった。
B 段付角板状成形物の中間部分
C 段付角板状成形物の最も薄い部分
Claims (3)
- 芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体と重縮合させることにより製造されるポリエステル樹脂であって、下記(a)、(b)、(c)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂。
(a)アルカリ金属を、アルカリ金属原子として0.1〜40ppm含有する。
(b)ΔCT≦0.05(重量%)
(式中、ΔCTは、ポリエステル樹脂にもともと含有される環状三量体量と、そのポリエステル樹脂を射出成形機を用いて成形温度290℃で成形して得られる成形体に含有される環状三量体量から、下記計算式を用いて求められる。
ΔCT=[CT]1−[CT]0
[CT]0および[CT]1はそれぞれ前記成形前と成形後のポリエステルに含有される環状三量体含有量(重量%)を示す。)
(c)[CT]0≦0.50(重量%) - 下記(d)を満足することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂。
(d) 10 ≦ [COOH] ≦35 (当量/トン)
(式中、[COOH]は、ポリエステル樹脂のカルボキシル基濃度(当量/トン)を示す。) - 請求項1または請求項2に記載のポリエステル樹脂からなることを特徴とする中空成形体。
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JP2003357574A JP2005120261A (ja) | 2003-10-17 | 2003-10-17 | ポリエステル樹脂およびそれよりなる中空成形体 |
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JP2006348169A (ja) * | 2005-06-16 | 2006-12-28 | Mitsui Chemicals Inc | ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂の製造方法およびポリエステル樹脂よりなる中空成形体 |
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2003
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