JP2005220276A - ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

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前田憲
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堀秀史
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Abstract

【課題】 色調が良好で特に飲料充填容器に適したポリエステル樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
液相重縮合反応が終了したポリエステル樹脂を、還元性試薬と接触させることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。接触方法としては
(1)還元性試薬でポリエステル樹脂の表面を被覆する
(2)還元性試薬をポリエステル樹脂に混合する
(3)還元性試薬の水および/または有機溶媒の溶液にポリエステル樹脂を浸漬させる
ことが好ましく、また還元性試薬としては下記の群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。
(a)ハイドライド化合物
(b)ヒドラジン誘導体
(c)含硫黄化合物(ただし硫黄原子の酸化数が6より小さい)

Description

本発明はポリエステル樹脂の製造方法に関し、詳しくは、色調が良好なポリエステル樹脂を得るポリエステル樹脂の製造方法に関する。
ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレートは、機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリア性に優れており、ジュース、清涼飲料、炭酸飲料等の飲料充填容器の素材をはじめとしてフィルム、シート、繊維等の素材として好適に使用されている。
このようなポリエステル樹脂は、通常テレフタル酸等のジカルボン酸と、エチレングリコール等の脂肪族ジオールを原料として製造される。具体的には、まず、芳香族ジカルボン酸類と脂肪族ジオール類とのエステル化反応により低次縮合物(エステル低重合体)を形成し、次いで重縮合触媒の存在下にこの低次縮合物を脱グリコール反応(液相重縮合)させて、高分子量化している。また、飲料充填容器の素材として用いる場合には、通常、固相重縮合を行い、さらに分子量を高めている。さらにこのポリエステル樹脂は、たとえば射出成形機械等の成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形し、あるいはさらに熱処理(ヒートセット)して中空成形容器に成形される。
このようなポリエステル樹脂の製造方法においては、重縮合触媒として、従来、アンチモン化合物またはゲルマニウム化合物などが用いられてきたが、近年、チタン化合物を重縮合触媒の材料として利用するために多くの検討が行われている。
しかしながら、一般的に、チタン化合物を重縮合触媒として用いてポリエステル樹脂を製造すると、重合時の黄色着色が大きくなる傾向がある。また、チタン化合物を重縮合触媒として用いて製造されたポリエステル樹脂を溶融成形すると、溶融成形時の黄色着色が大きくなる傾向がある。このようにポリエステル樹脂が黄色に着色すると、飲料充填容器用途に用いる際には特に美観の面で好ましくない。
このようなポリエステル樹脂の黄色着色を防ぐための方法として、たとえば、ポリエステル樹脂に青色系染料を添加する方法が提案されている(特許文献1)が、このような方法では、黄色味は低減するものの樹脂色調の明るさ(L値)が低下する問題がある。
特開平3−231918号公報
本発明は上記のような状況にかんがみてなされたもので、色調が良好で特に飲料充填容器に適したポリエステル樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題の解決を目指して鋭意検討した結果、ポリエステル樹脂を製造する際に、液相重縮合反応が終了したポリエステル樹脂を、還元性試薬と接触させることにより色調に優れたポリエステル樹脂を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)液相重縮合反応が終了したポリエステル樹脂を、還元性試薬と接触させることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
さらに本発明の好ましい態様は次のとおりである;
(2)還元性試薬でポリエステル樹脂の表面を被覆することを特徴とする(1)に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
(3)還元性試薬をポリエステル樹脂に混合することを特徴とする(1)に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
(4)還元性試薬の水および/または有機溶媒の溶液にポリエステル樹脂を浸漬させることを特徴とする(1)に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
(5)還元性試薬として下記の群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
(a)ハイドライド化合物
(b)ヒドラジン誘導体
(c)酸化数が6より小さい硫黄原子を含む含硫黄化合物
(6)ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを、チタン系触媒の存在下に重縮合させて得られたポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)ないし(5)のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
本発明により、色調が良好で飲料充填容器用途に適したポリエステル樹脂を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とからなるものである。
ここで、芳香族ジカルボン酸としては、たとえば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などを使用することができる。
また、脂肪族ジオールとしては、たとえば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを使用することができる。
また、本発明では、芳香族ジカルボン酸とともに、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を原料として使用することができる。また、脂肪族ジオールとともに、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類等の芳香族ジオール等を原料として使用することができる。
また、本発明では、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸類を原料として使用することができる。
さらに本発明では、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトール等の多官能性化合物を原料として使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合させてポリエステル樹脂を製造する。
その際、チタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物などを重縮合触媒として用いることができる。チタン化合物を重縮合触媒として用いることが好ましい。
ここで、チタン化合物としては、たとえば、
四フッ化チタン、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、ヘキサフロロチタン酸などのハロゲン化チタン化合物;
α−チタン酸、β−チタン酸、チタン酸アンモニウム、チタン酸ナトリウム、ペルオキソチタン酸錯体、アナターゼなどのチタン酸化合物;
硫酸チタン、硝酸チタン、リン酸チタン、ケイ酸チタンなどの無機酸チタン塩化合物;
テトラメチルチタン、テトラエチルチタン、テトラベンジルチタン、テトラフェニルチタン、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライドなどのチタン有機金属化合物;
テトラフェノキシチタンなどのアリーロキシチタン化合物;
テトラキス(トリメチルシロキシ)チタン、テトラキス(トリフェニルシロキシ)チタンなどのシロキシチタン化合物;
酢酸チタン、プロピオン酸チタン、乳酸チタン、クエン酸チタン、酒石酸チタン、シュウ酸チタニルカリウム、有機スルホン酸チタン、有機ホスホン酸チタンなどの有機酸チタン塩化合物;
テトラキス(ジエチルアミノ)チタン、チタンテトラピロリドなどのチタンアミド化合物;または下記に詳述されるアルコキシチタン化合物など、およびそれらの加水分解物が挙げられる。
上記のチタン化合物の加水分解物を得る方法には、たとえば欧州特許EP1013692号公報記載の方法を用いることができる。
なお、上記のアルコキシチタン化合物としては、たとえば、
チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシドなどのチタンテトラアルコキシド類;
ポリ(ジブチルチタネート)、Ti7O4(OC2H5)20、Ti16O16(OC2H5)32などの縮合チタンアルコキシド類;
クロロチタントリイソプロポキシド、ジクロロチタンジエトキシドなどのハロゲン置換チタンアルコキシド類;
チタンアセテートトリイソプロポキシド、チタンメタクリレートトリイソプロポキシドなどのカルボン酸基置換チタンアルコキシド類;
チタントリス(ジオクチルピロホスフェート)イソプロポキシド、チタン(モノエチルホスフェート)トリイソプロポキシドなどのホスホン酸基置換チタンアルコキシド類;
チタントリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキシドなどのスルホン酸基置換チタンアルコキシド類;
アンモニウムヘキサエトキシチタネート、ナトリウムヘキサエトキシチタネート、カリウムヘキサエトキシチタネート、ナトリウムヘキサ−n−プロポキシチタネートなどのアルコキシチタネート類;
チタンビス(2,4−ペンタンジオナート)ジイソプロポキシド、チタンビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドなどのβ−ジケトネート置換チタンアルコキシド類;
チタンビス(アンモニウムラクテート)ジイソプロポキシドなどのα−ヒドロキシカルボン酸置換チタンアルコキシド類;および
チタンビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシド、2−アミノエトキシチタントリイソプロポキシドなどのアミノアルコール置換チタンアルコキシド類などが挙げられる。
これらの中では、四塩化チタン、α−チタン酸、酢酸チタン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、およびそれらの加水分解物が好ましい。
これらのチタン化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらのチタン化合物は、必要に応じて、溶媒、たとえば水やアルコール類で希釈するなど、他の化合物と組み合わせて用いることができる。
ここで、ポリエステル樹脂を重縮合する際のチタン化合物の添加量は、得られるポリエステル樹脂に対してチタン原子として1〜100ppm以上であることが好ましく、2〜50ppmであることがより好ましく、3〜30ppmであることがさらに好ましい。
チタン化合物の添加量が前記範囲未満であると、ポリエステル樹脂の生産性が低くなることがあり、一方、前記範囲を超えると、得られるポリエステル樹脂の色調などの品質が悪化することがある。
本発明のポリエステル樹脂を製造する際には、リン化合物の存在下に重縮合を行ってもよい。
リン化合物としては、たとえば、
トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ-n-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;
トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;
メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等の酸性リン酸エステル類;
メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸などの有機ホスホン酸およびそのエステル類;および
リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン化合物およびそれらの塩などが挙げられる。
これらの中では、トリ-n-ブチルホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、フェニルホスホン酸、リン酸、ピロリン酸などが好ましい。
これらのリン化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらのリン化合物は、必要に応じて、溶媒、たとえば水やアルコール類で希釈するなど、他の化合物と組み合わせて用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂中のリン含有量は、リン原子として1ppm以上であることを必須とし、1〜100ppmであることが好ましく、2〜50ppmであることがより好ましい。
リン含有量が前記範囲未満であると、得られるポリエステル樹脂の色調などの品質が悪化することがあり、一方、前記範囲を超えると、ポリエステル樹脂の生産性が低くなることがある。
本発明のポリエステル樹脂を製造する際には、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物および窒素化合物の存在下に重縮合を行ってもよい。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法において、必要に応じて用いられるアルカリ金属化合物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物である。
リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物としては、これらの元素の単体、水素化物、酸化物、硫化物、水酸化物、有機金属化合物、アルコキシド、酢酸塩などの脂肪酸塩、炭酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、アミノ酸塩、硫酸塩、有機スルホン酸塩、リン酸塩、有機ホスホン酸塩、硝酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、アルミン酸塩、塩化物などのハロゲン化物、アセチルアセトナート塩などが挙げられる。
これらの化合物の中では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド、酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウムなどが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法において、必要に応じて用いられるアルカリ土類金属化合物は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物である。
ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物としては、これらの元素の単体、水素化物、酸化物、硫化物、水酸化物、有機金属化合物、アルコキシド、酢酸塩などの脂肪酸塩、炭酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、アミノ酸塩、硫酸塩、有機スルホン酸塩、リン酸塩、有機ホスホン酸塩、硝酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、アルミン酸塩、塩化物などのハロゲン化物、アセチルアセトナート塩などが挙げられる。
これらの化合物の中では、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法において、必要に応じて用いられる窒素化合物は、アンモニア、ヒドロキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピロリジン、モルホリン、1,4,7−トリアザシクロノナン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、アミノエタノール、アニリン、ピリジンなどのアミン化合物、および、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム化合物などが挙げられる。
これらの化合物の中では、トリエチルアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどが好ましい。
上記のアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物および窒素化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらの化合物は、必要に応じて、水、アルコール類などの溶媒で希釈するなど、他の化合物と組み合わせて用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、アルカリ金属、アルカリ土類金属および窒素の含有量が、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子および窒素原子の総量として1ppm以上であることが好ましく、1〜500ppmであることがより好ましく、2〜200ppmであることがさらに好ましい。
アルカリ金属、アルカリ土類金属および窒素の含有量が前記範囲内であると、得られるポリエステル樹脂の色調やアセトアルデヒド含有量などの樹脂品質が向上できることがある。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法においては、必要に応じて硫黄化合物を用いることができる。硫黄化合物を用いると、ポリエステル樹脂の生産性が向上するとともに色調などの品質が向上できることがある。
上述した、必要に応じて用いられる硫黄化合物としては、
硫黄単体;
硫化アンモニウム、硫化ナトリウムなどのサルファイド化合物;
亜硫酸、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウムなどのスルフィン酸化合物;
硫酸、硫酸水素ナトリウム、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸化合物;および
三酸化硫黄、過硫酸、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウムなどその他の無機硫黄化合物などが挙げられる。
これらの中では、硫酸、p−トルエンスルホン酸などが好ましい。
上記の硫黄化合物は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらの化合物は、必要に応じて、水、アルコール類などの溶媒で希釈するなど、他の化合物と組み合わせて用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法においては、さらに必要に応じてその他の化合物を用いることができる。
上述した、必要に応じて用いられるその他化合物は、
ホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ジルコニウム、ニッケル、銅、ケイ素、スズからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物である。
ホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ジルコニウム、ニッケル、銅、ケイ素、スズからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物としては、これらの元素の酢酸塩などの脂肪酸塩、これらの元素の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物などのハロゲン化物、これらの元素のアセチルアセトナート塩、これらの元素の酸化物などが挙げられるが、酢酸塩または炭酸塩が好ましい。
本発明で必要に応じて用いられるその他化合物の好ましい具体的化合物として以下のものが挙げられる。
ホウ素化合物としては、酸化ホウ素、臭化ホウ素、フッ化ホウ素などが挙げられ、特に酸化ホウ素が好ましい。
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムトリ-sec-ブトキシドなどが挙げられ、特にアルミン酸ナトリウムが好ましい。
ガリウム化合物としては、塩化ガリウム、硝酸ガリウム、酸化ガリウムなどが挙げられ、特に酸化ガリウムが好ましい。
マンガン化合物としては、酢酸マンガンなどの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、マンガンのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸マンガンまたは炭酸マンガンが好ましい。
鉄化合物としては、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、乳酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、ナフテン酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、酸化鉄(III)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、シュウ酸三カリウム鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトナート、フマル酸鉄(III)、四酸化三鉄などが挙げられ、特に鉄(III)アセチルアセトナートが好ましい。
コバルト化合物としては、酢酸コバルトなどの脂肪酸コバルト塩、炭酸コバルト、塩化コバルト、コバルトのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸コバルトまたは炭酸コバルトが好ましい。
亜鉛化合物としては、酢酸亜鉛などの脂肪酸亜鉛塩、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛のアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸亜鉛または炭酸亜鉛が好ましい。
ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムブトキシド、炭酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウムなどが挙げられ、特にジルコニウムブトキシドが好ましい。
ニッケル化合物としては、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、ギ酸ニッケル、水酸化ニッケル、硫化ニッケル、ステアリン酸ニッケルなどが挙げられ、特に酢酸ニッケルが好ましい。
銅化合物としては、酢酸銅、臭化銅、炭酸銅、塩化銅、クエン酸銅、2−エチルヘキサン銅、フッ化銅、ギ酸銅、グルコン酸銅、水酸化銅、銅メトキシド、ナフテン酸銅、硝酸銅、酸化銅、フタル酸銅、硫化銅などが挙げられ、特に酢酸銅が好ましい。
ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられ、特にテトラエトキシシランが好ましい。
スズ化合物としては、酢酸スズ、塩化スズ、酸化スズ、シュウ酸スズ、硫酸スズなどが挙げられ、特に酢酸スズが好ましい。
これらのその他化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、アンチモン化合物およびゲルマニウム化合物を用いることも可能であるが、アンチモン化合物およびゲルマニウム化合物は用いないことが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂に含有される金属量に制限はないが、好ましくは全金属原子の合計量として40ppm未満であることが望ましく、30ppm以下であることがより望ましい。金属含有量が前記範囲を超えると、使用後のポリエステル樹脂の廃棄処分や再資源化の際にその設備の負担が大きくなることがある。
特に、重金属の含有量は10ppm以下であることが好ましく、4ppm以下であることがさらに好ましい。
ここで、重金属としては、土屋健三郎編「金属中毒学」、医歯薬出版(1983)に分類されているように、ラジウム、スカンジウムとイットリウムを除く3族元素、チタンを除く4族元素、5族から12族の全元素、ホウ素とアルミニウムを除く13族元素、炭素とケイ素を除く14族元素、窒素とリンとヒ素を除く15族元素、酸素と硫黄とセレンを除く16族元素を指す。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合させてポリエステル樹脂を製造する。以下その一例について説明する。
(エステル化工程)
まず、ポリエステル樹脂を製造するに際して、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化させる。
具体的には、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。
このようなスラリーには芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体1モルに対して、通常1.005〜1.5モル、好ましくは1.01〜1.2モルの脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体が含まれる。このスラリーは、エステル化反応工程に連続的に供給される。
エステル化反応は好ましくは2個以上のエステル化反応基を直列に連結した装置を用いて脂肪族ジオールが還流する条件下で、反応によって生成した水を精留塔で系外に除去しながら行う。
エステル化反応工程は通常多段で実施され、第1段目のエステル化反応は、通常、反応温度が240〜270℃、好ましくは245〜265℃であり、圧力が0.02〜0.3MPaG(0.2〜3kg/cm2 G)、好ましくは0.05〜0.2MPaG(0.5〜2kg/cm2G)の条件下で行われ、また最終段目のエステル化反応は、通常、反応温度が250〜280℃、好ましくは255〜275℃であり、圧力が0〜0.15MPaG(0〜1.5kg/cm2G)、好ましくは0〜0.13MPaG(0〜1.3kg/cm2 G)の条件下で行われる。
エステル化反応を2段階で実施する場合には、第1段目および第2段目のエステル化反応条件がそれぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2段目から最終段の1段前までエステル化反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件であればよい。
例えば、エステル化反応が3段階で実施される場合には、第2段目のエステル化反応の反応温度は通常245〜275℃、好ましくは250〜270℃であり、圧力は通常0〜0.2MPaG(0〜2kg/cm2 G)、好ましくは0.02〜0.15MPaG(0.2〜1.5kg/cm2G)であればよい。
これらの各段におけるエステル化反応率は、特に制限はされないが、各段階におけるエステル化反応率の上昇の度合いが滑らかに分配されることが好ましく、さらに最終段目のエステル化反応生成物においては通常90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。
このエステル化工程により、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応物である低次縮合物(エステル低重合体)が得られ、この低次縮合物の数平均分子量が500〜5,000程度である。
上記のようなエステル化工程で得られた低次縮合物は、次いで重縮合(液相重縮合)工程に供給される。
(液相重縮合工程)
液相重縮合工程においては、重縮合触媒の存在下に、エステル化工程で得られた低次縮合物を、減圧下で、かつポリエステル樹脂の融点以上の温度(通常250〜280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応の脂肪族ジオールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。
重縮合反応は、1段階で行ってもよく、複数段階に分けて行ってもよい。例えば、重縮合反応が複数段階で行われる場合には、第1段目の重縮合反応は、反応温度が250〜290℃、好ましくは260〜280℃、圧力が0.07〜0.003MPaG(500〜20Torr)、好ましくは0.03〜0.004MPaG(200〜30Torr)の条件下で行われ、最終段の重縮合反応は、反応温度が265〜300℃、好ましくは270〜295℃、圧力が1〜0.01kPaG(10〜0.1Torr)、好ましくは0.7〜0.07kPaG(5〜0.5Torr)の条件下で行われる。
重縮合反応を3段階以上で実施する場合には、第2段目から最終段目の1段前間での重縮合反応は、上記1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の条件で行われる。例えば、重縮合工程が3段階で行われる場合には、第2段目の重縮合反応は通常、反応温度が260〜295℃、好ましくは270〜285℃で、圧力が7〜0.3kPaG(50〜2Torr)、好ましくは5〜0.7kPaG(40〜5Torr)の条件下で行われる。
重縮合触媒として、必要に応じてチタン化合物、リン化合物、およびさらに必要に応じてその他の化合物は、重縮合反応時に存在していればよい。このためこれらの化合物の添加は、原料スラリー調製工程、エステル化工程、液相重縮合工程等のいずれの工程で行ってもよい。また、触媒全量を一括添加しても、複数回に分けて添加してもよい。
また、これらの化合物はあらかじめ脂肪族ジオールに混合した混合触媒を調製して添加することが好ましい。混合触媒を調製する際には、溶解助剤を用いてもよい。溶解助剤としては、水、水酸化ナトリウムなどの塩基化合物、ヒドロキシカルボン酸などのキレート配位子化合物、あるいは、グリセリンなどの3価以上の多価アルコールなどを用いることができるが、水、水酸化ナトリウム、あるいはグリセリンを用いることが好ましい。なお、混合触媒中のチタン濃度はチタン原子として0.5重量%以上であることが好ましい。
また、これらの化合物同士は同じ工程で添加しても、別の工程で添加してもよい。
好ましくは、チタン化合物とアルカリ金属化合物とをあらかじめ脂肪族ジオールに混合した混合触媒を調製して添加することが好ましい。
これらの混合触媒は均一透明な溶液であることが好ましい。すなわち、溶液のHAZE値が、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であることが望ましい。溶液のHAZE値は、たとえば日本電色工業(株)製ND−1001DPなどの装置を用いて測定することができる。溶液のHAZE値が前記範囲内であると、得られるポリエステル樹脂の透明性が向上できることがある。
以上のような液相重縮合工程で得られる液相重縮合ポリエステル樹脂の固有粘度[IV]は0.40〜1.0dl/g、好ましくは0.50〜0.90dl/gであることが望ましい。なお、この液相重縮合工程の最終段目を除く各段階において達成される固有粘度は特に制限されないが、各段階における固有粘度の上昇の度合いが滑らかに分配されることが好ましい。
この重縮合工程で得られる液相重縮合ポリエステル樹脂は、通常、溶融押し出し成形されて粒状(チップ状)に成形される。
この液相重縮合工程においては、得られる液相重縮合ポリエステル樹脂のCOOH基濃度を好ましくは60当量/トン以下、より好ましくは55〜10当量/トン、さらに好ましくは50〜15当量/トンとする。液相重縮合ポリエステル樹脂中のCOOH基濃度を上記範囲にすると、固相重合後のポリエステル樹脂の透明性が高くなる。
液相重縮合工程において、例えば脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸のモル比を0.98〜1.3、好ましくは1.0〜1.2とすることにより、液相重合温度を275〜295℃としたときに液相重縮合ポリエステル樹脂中のCOOH基濃度を60当量/トン以下とすることができる。
(固相重縮合工程)
この液相重縮合工程で得られるポリエステル樹脂は、所望によりさらに固相重縮合することができる。
固相重縮合工程に供給される粒状ポリエステル樹脂は、予め、固相重縮合を行う場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重縮合工程に供給してもよい。
このような予備結晶化工程は、粒状ポリエステル樹脂を乾燥状態で通常、120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度に1分から4時間加熱することによって行うことができる。またこのような予備結晶化は、粒状ポリエステル樹脂を水蒸気雰囲気、水蒸気含有不活性ガス雰囲気下、または水蒸気含有空気雰囲気下で、120〜200℃の温度で1分間以上加熱することによって行うこともできる。
予備結晶化されたポリエステル樹脂は、結晶化度が20〜50%であることが望ましい。
なお、この予備結晶化処理によっては、いわゆるポリエステル樹脂の固相重縮合反応は進行せず、予備結晶化されたポリエステル樹脂の固有粘度は、液相重縮合後のポリエステル樹脂の固有粘度とほぼ同じであり、予備結晶化されたポリエステル樹脂の固有粘度と予備結晶化される前のポリエステル樹脂の固有粘度との差は、通常0.06dl/g以下である。
固相重縮合工程は、少なくとも1段からなり、温度が190〜230℃、好ましくは195〜225℃であり、圧力が120〜0.001kPa、好ましくは98から0.01kPaの条件下で、窒素、アルゴン、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行われる。使用する不活性ガスとしては窒素ガスが望ましい。
ポリエステル樹脂と不活性ガスの流量はバッチ式の場合、ポリエステル樹脂1kgに対し、0.1〜50Nm3/hrであり、連続式の場合、ポリエステル樹脂1kg/hrに対し、0.01〜2Nm3/hrである。
固相重合の雰囲気として使用される不活性ガスは常に純粋な不活性ガスを使用してもよく、また固相重合工程から排出される不活性ガスを循環再使用してもよい。固相重合工程から排出された不活性ガスには、水、エチレングリコール、アセトアルデヒドなどの縮合物、分解物が含有されている。循環再使用の際には縮合物、分解物を含んだ不活性ガスでもよく、また縮合物、分解物を除去、精製した不活性ガスでもよい。
このような固相重縮合工程を経て得られた粒状ポリエステル樹脂には、例えば特公平7-64920号公報記載の方法で水処理を行ってもよく、この水処理は、粒状ポリエステル樹脂を水、水蒸気、水蒸気含有不活性ガス、水蒸気含有空気などと接触させることにより行われる。
このようにして得られたポリエステル樹脂の固有粘度は、通常0.70dl/g以上、好ましくは0.75〜1.0dl/gであることが望ましい。
このようにして得られたポリエステル樹脂のCOOH基濃度は好ましくは10〜35当量/トン、より好ましくは12〜30当量/トンである。
上記のようなエステル化工程と重縮合工程とを含むポリエステル樹脂の製造工程はバッチ式、半連続式、連続式のいずれでも行うことができる。
このようにして製造されたポリエステル樹脂は、従来から公知の添加剤、例えば、安定剤、離型剤、帯電防止剤、分散剤、核剤、染顔料等の着色剤などが添加されていてもよく、これらの添加剤はポリエステル樹脂製造時のいずれかの段階で添加してもよく、成形加工前、マスターバッチにより添加したものであってもよい。
これに伴い、上記の添加剤は、粒状ポリエステル樹脂の粒子内部に一様の濃度で含有されていてもよいし、粒状ポリエステル樹脂の粒子表面近傍に濃縮されて含有されていてもよいし、また粒状ポリエステル樹脂の一部の粒子に他の粒子より高濃度で含有されていてもよい。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法では、上記のようなポリエステル樹脂の製造工程において、液相重縮合が終了したポリエステル樹脂を、還元性試薬と接触させる。ここで、ポリエステル樹脂として、さらに固相重縮合まで終了したポリエステル樹脂を用いてもよい。また、還元性試薬と接触させたポリエステル樹脂をあらためて固相重縮合工程に供してもよい。このポリエステル樹脂は、通常粒状であるが、粉状、ストランド状であってもよい。
本発明において、還元性試薬とは、還元を起こすことのできる物質を指し、たとえば、
水素;
ヨウ化水素、硫化水素などの水素化合物;
水素化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウムなどのハイドライド化合物;
アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛などの電気的陽性の大きい金属;
アスコルビン酸等還元能を有する有機化合物;
ヒドラジン、ヒドラジン水和物、フェニルヒドラジン、アセトヒドラジドなどのヒドラジン誘導体;および
硫黄の酸化数が6より小さい硫黄化合物が挙げられる。
酸化数が6より小さい硫黄化合物とは、硫黄原子の酸化数が+6であるもの、すなわち三酸化イオウや硫酸及びその塩等を除く含硫黄化合物を指し、具体的には
硫化ナトリウム等の硫化物;
二酸化イオウ、亜硫酸ナトリウム等の低級酸化物および塩;
チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウムなどチオ硫酸塩およびチオン酸塩;
などが挙げられる。
これら還元性試薬の中ではハイドライド化合物、ヒドラジン誘導体、および酸化数が6より小さい硫黄化合物が好ましく、とりわけ水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン水和物、亜二チオン酸ナトリウムが望ましい。
このような還元性試薬をポリエステル樹脂と接触させる方法に特に制限はないが、好ましくは、(1)還元性試薬でポリエステル樹脂の表面を被覆する、(2)還元性試薬をポリエステル樹脂に混合する、(3)還元性試薬の水および/または有機溶媒の溶液にポリエステル樹脂を浸漬させる、のいずれかの方法によることが好ましい。
(1)の還元性試薬でポリエステル樹脂の表面を被覆する方法としては、たとえば、スプレー塗布、あるいはポリエステル樹脂と還元性試薬とを容器内で振とうして付着させる方法などが挙げられる。
還元性試薬はポリエステル樹脂の表面を完全に覆っても、一部を覆っても構わない。
この際、ポリエステル樹脂を被覆する還元性試薬の量はポリエステル樹脂に対して1重量%以下であることが好ましい。
なお、この方法では、還元性試薬でポリエステル樹脂の表面を被覆した時点では黄色着色の低減が十分でないことがあるが、引き続いてポリエステル樹脂を溶融成形する際に、還元性試薬が着色物質と反応することにより黄色着色が十分に低減される。
(2)の還元性試薬をポリエステル樹脂に混合する方法としては、たとえば、液相重縮合反応器の出口から抜き出される溶融ポリエステル樹脂と還元性試薬をインライン混合する方法、あるいはポリエステル樹脂のペレットと還元性試薬とを混練装置で混合する方法などが挙げられる。
この際、ポリエステル樹脂に混合される還元性試薬の量は1重量%以下であることが好ましい。
(3)の還元性試薬の水および/または有機溶媒の溶液にポリエステル樹脂を浸漬させる方法としては、連続式、バッチ式のいずれの方法でもよい。
還元性試薬の水および/または有機溶媒の溶液中の還元性試薬の濃度は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは1〜20重量%であることが望ましい。
還元性試薬の溶媒に有機溶媒を用いる際の有機溶媒としては、メタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類が好ましい。溶媒は2種以上を組み合わせて用いてもよく、有機溶媒と水の混合溶媒として用いてもよい。
ポリエステル樹脂と還元性試薬溶液との接触温度は通常0℃〜100℃、好ましくは10〜95℃の範囲であり、接触時間は通常5分〜10時間、好ましくは30分〜6時間であることが望ましい。
ポリエステル樹脂を還元性試薬の溶液に浸漬させた後は、ポリエステル樹脂と還元性試薬の溶液とを分離し、必要に応じて乾燥する。
上記のようにポリエステル樹脂を還元性試薬と接触させることにより、黄色着色の主原因である不飽和化合物が還元、分解されて無色の化合物に転換され、その結果、ポリエステル樹脂の色調の明るさを損なうことなく黄色着色を低減することが可能になる。
本発明のポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂中に含有されるアセトアルデヒド量[AA]0が4ppm以下であることが好ましく、3ppm以下であることがより好ましく、2ppm以下であることがさらに好ましい。[AA]0が上記範囲外であると、得られたポリエステルから成形された容器の内容物の味やにおいに悪影響を与えることがある。
本発明のポリエステル樹脂は、所定の方法で射出成形機を用いて成形して得られる成形体に含有されるアセトアルデヒド量[AA]1と、成形前のポリエステル樹脂に含有されるアセトアルデヒド量[AA]0との差ΔAAが15ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。ΔAAが上記範囲外であると、得られたポリエステルから成形された容器の内容物の味やにおいに悪影響を与えることがある。
本発明のポリエステル樹脂は、ポリエステル中に含有される環状三量体量[CT]0が0.50重量%以下であることが好ましく、0.40重量%以下であることがより好ましい。[CT]0が上記範囲外であると、中空成形体等の成形時に金型汚れが起こりやすくなる。
また、本発明のポリエステル樹脂は、所定の方法で射出成形機を用いて成形して得られる成形体に含有される環状三量体量[CT]1と、成形前のポリエステル樹脂に含有される環状三量体量[CT]0との差ΔCTが0.1重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以下であることがより好ましい。ΔCTが上記範囲外であると、中空成形体等の成形時に金型汚れが起こりやすくなる。
ここで、射出成形機を用いてポリエステル樹脂を成形して成形体を得る方法、および、環状三量体含有量の測定方法は以下のとおりとする。
成形時の成形温度は290±10℃、成形サイクルは約65±10秒とする。
さらに具体的には、粒状ポリエステル樹脂2kgを温度140℃、圧力10torrの条件で16時間以上棚段式の乾燥機を用いて乾燥して、粒状ポリエステル樹脂の水分を50ppm以下にする。
次に、乾燥された粒状ポリエステル樹脂を名機製作所(株)製M−70B射出成形機により、成形時には露点が−70℃の窒素をホッパー上部、スクリューフィーダーシュート部に各5ノルマル立方メートル/時間の割合でフィードし、バレル設定温度290℃、また成形機のC/C/C/ノズル先の温度を260℃/290℃/290℃/300℃の各温度にして、金型冷却温度15℃の条件下で射出成形して、段付角板状の成形物を得る。
段付角板状成形物の射出成形は、計量15秒、射出3秒前後となるようにして、乾燥された粒状ポリエステル樹脂をホッパーより射出成形機に供給して行う。また成形サイクルは約65秒前後とする。なお段付角板状成形物1個あたりの重量は72グラムであり、環状三量体量測定用資料は、射出成形開始後11個〜15個目のいずれか1個を用いて行う。
段付角板状成形物は、図1に示すような形状を有しており、7mmから2mmまで段差1mmの6段階の厚みを有する。この段付角板状成形物の4mm部分を切り取り、チップ状に切断し、環状三量体量測定用試料として用いる。
所定量の環状三量体量測定用試料をo−クロロフェノールに加熱溶解した後、テトラヒドロフランで再析出してろ過して線状ポリエステルを除いた後、得られたろ液を液体クロマトグラフィー(島津製作所製LC7A)に供給してポリエステル樹脂中に含まれる環状三量体の量を求め、この値を測定に用いたポリエステル樹脂の量で割って、ポリエステル樹脂中に含まれる環状三量体含有量(重量%)とする。
本発明のポリエステル樹脂は、カラーb値が7以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂のカラーb値が上記範囲外であると、ボトル等の中空成形体の黄色味が強くなる傾向がある。
また、本発明のポリエステル樹脂は、所定の方法で射出成形機を用いて成形して得られる成形体のカラーb値と、成形前のポリエステル樹脂のカラーb値との差Δbが10以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましい。Δbが上記範囲外であると、ボトル等の中空成形体の黄色味が強くなる傾向がある。
本発明のポリエステル樹脂は、カラーL値が75以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましく、85以上であることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂のカラーL値が上記範囲外であると、ボトル等の中空成形体の色調が暗くなる傾向がある。
なお、カラーL値はポリエステル樹脂を加熱結晶化させた後、45°拡散方式色差計(日本電色工業(株)製SQ−300H)などを用いて測定される。
本発明のポリエステル樹脂を275℃で成形して得られる段付き角板状成形体の5mm厚のヘイズは好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下である。
このようにして得られたポリエステル樹脂を275℃で成形して得られる段付き角板状成形体の4mm厚のヘイズは好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下である。
本発明によって得られるポリエステル樹脂は各種成形体の素材として使用することができ、例えば、溶融成形してボトルなどの中空成形体、シート、フィルム、繊維等に使用されるが、ボトルに使用することが好ましい。
本発明によって得られるポリエステル樹脂からボトル、シート、フィルム、繊維などを成型する方法としては、従来公知の方法を採用することができる。
例えば、ボトルを成形する場合には、上記ポリエステル樹脂を溶融状態でダイより押出してチューブ状パリソンを形成し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、金型に着装することにより中空成形体を製造する方法、上記ポリエステル樹脂から射出成形によりプリフォームを製造し、該プリフォームを延伸適性温度まで加熱し、次いでプリフォームを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、金型に着装することにより中空成形体を製造する方法などがある。
本発明のポリエステル樹脂よりなるボトルは、特に色相に優れ、透明性に優れ、高品質である。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本明細書において、ポリエステル樹脂の固有粘度は、ポリエステル樹脂0.1gをテトラクロロエタン/フェノール混合液(混合比:1/1(重量比))20cc中に加熱溶解した後、冷却して25℃で測定された溶液粘度から算出される。
ポリエステル樹脂中の金属含有量はICP分析法により測定した。
また、粒状ポリエステル樹脂の色調は45°拡散方式色差計(日本電色工業(株)製SQ−300H)で測定した。
高純度テレフタル酸とエチレングリコールから常法にしたがい製造された、固有粘度が0.61dl/gであり、L値が69.9であり、b値が11.3であり、チタン含有量が14ppmであり、ナトリウムが含有量14ppmであり、リン含有量6ppmである粒状ポリエチレンテレフタレート30gを、ガラス容器内で10重量%の亜二チオン酸ナトリウム水溶液200gに浸漬させた。次に、ガラス容器を外部より加熱し、内温を80℃に保ち、6時間保持した後、脱水乾燥し、さらに窒素気流中で170℃、2時間加熱して結晶化させた。得られたポリエチレンテレフタレートのL値は90.3であり、b値は6.3であった。
実施例1で用いたものと同等の粒状ポリエチレンテレフタレート30gを、ガラス容器内で10重量%のヒドラジン一水和物水溶液200gに浸漬させた。次に、ガラス容器を外部より加熱し、内温を80℃に保ち、6時間保持した後、脱水乾燥し、実施例1と同様に結晶化させた。得られたポリエチレンテレフタレートのL値は90.2であり、b値は7.0であった。
実施例1で用いたものと同等の粒状ポリエチレンテレフタレート30gを、ガラス容器内で3重量%の水素化ホウ素ナトリウムおよび14重量%の水酸化ナトリウムの水溶液200gに浸漬させた。次に、ガラス容器を外部より加熱し、内温を80℃に保ち、6時間保持した後、脱水乾燥し、実施例1と同様に結晶化させた。得られたポリエチレンテレフタレートのL値は90.1であり、b値は5.3であった。
[比較例1]
実施例1で用いたものと同等の粒状ポリエチレンテレフタレート30gを、還元性試薬の水溶液に浸漬させることなく、実施例1と同様に結晶化させた。得られたポリエチレンテレフタレートのL値は89.3であり、b値は8.1であった。
[比較例2]
実施例1で用いたものと同等の粒状ポリエチレンテレフタレート30gを、ガラス容器内で水に浸漬させた。次に、ガラス容器を外部より加熱し、内温を80℃に保ち、6時間保持した後、脱水乾燥し、実施例1と同様に結晶化させた。得られたポリエチレンテレフタレートのL値は89.3であり、b値は8.2であった。
本発明の環状三量体量測定用試料として用いる段付角板状成形物を示す図である。
符号の説明
A 段付角板状成形物の最も厚い部分
B 段付角板状成形物の中間部分
C 段付角板状成形物の最も薄い部分

Claims (6)

  1. 液相重縮合反応が終了したポリエステル樹脂を、還元性試薬と接触させることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 還元性試薬でポリエステル樹脂の表面を被覆することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 還元性試薬をポリエステル樹脂に混合することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 還元性試薬の水および/または有機溶媒の溶液にポリエステル樹脂を浸漬させることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 還元性試薬として下記の群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
    (a)ハイドライド化合物
    (b)ヒドラジン誘導体
    (c)硫黄原子の酸化数が6より小さい含硫黄化合物
  6. ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを、チタン系触媒の存在下に重縮合させて得られたポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。

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