JP2004292803A - ポリエステル重合触媒、その製造方法、及びそれを用いたポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【構成】 下記(1)の金属元素及び下記(2)の金属元素を少なくとも有する成分を含有し、その含有量が下記(a)を満たし、光路長10mmでの濁度が20%以下の液体状であることを特徴とするポリエステル重合触媒。
(1)周期表第4A族の金属元素からなる群より選択された少なくとも1種の金属元素
(2)周期表第2A族の金属元素、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム、及びゲルマニウムからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素
(a)上記(1)に由来する金属原子の総量をt(モル/触媒kg)とし、上記(2)に由来する金属原子の総量をm(モル/触媒kg)としたとき、m/tの値が以下の範囲となる。
0.50≦m/t≦3.50
【選択図】 なし
Description
(1)周期表第4A族の金属元素からなる群より選択された少なくとも1種の
金属元素
(2)周期表第2A族の金属元素、アルミニウム
、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム、及びゲルマニウムからなる群より
選択された少なくとも1種の金属元素
(a)上記(1)に由来する金属原子の総量をt(モル/触媒kg)とし、上記(2)に由来する金属原子の総量をm(モル/触媒kg)としたとき、m/tの値が以下の範囲となる。
0.50≦m/t≦3.50
(2)周期表第2A族の金属元素、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム、及びゲルマニウムからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素
(3)有機溶媒及び/又は水
(4)有機酸及び無機酸からなる群より選択された少なくとも1種の酸
本発明のポリエステル重合触媒は、下記(1)の金属元素及び下記(2)の金属元素を少なくとも有する成分を含有し、その含有量が下記(a)を満たす液体状のものである。
(1)周期表第4A族の金属元素からなる群より選択された少なくとも1種の金属元素
(2)周期表第2A族の金属元素、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム、及びゲルマニウムからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素
(a)上記(1)に由来する金属原子の総量をt(モル/触媒kg)とし、上記(2)に由来する金属原子の総量をm(モル/触媒kg)としたとき、m/tの値が以下の範囲となる。
0.50≦m/t≦3.50
なお、ここで、濁度は、ヘーズメーターにより、液状触媒を光路長10mmのセルに入れ、エチレングリコールを対照サンプルとして、23℃、50%RHで測定したものである。
前記(1)の金属元素及び前記(2)の金属元素を有する成分における各金属元素の量は、ポリエステル重合触媒1kgに対して、前記(1)の金属元素由来の原子の総量〔t〕が0<t≦4(モル/触媒kg)、前記(2)の金属元素由来の原子の総量〔m〕が0<m≦7(モル/触媒kg)〕であるのが好ましい。特に、前記(1)の金属元素がチタンで前記(2)の金属元素がマグネシウムである場合には、0<t≦3(モル/触媒kg)、0<m≦5(モル/触媒kg)〕であるのが好ましい。
m、tを前記範囲にすることにより、本発明のポリエステル重合触媒の濁度範囲を安定して本発明規定の好ましい範囲とすることができ、その結果、重縮合反応速度及び得られるポリエステルの色調を、好ましい範囲で安定して得ることが出来る。ここで、「濁度範囲を安定して本発明規定の好ましい範囲とすることができ」るとは、例えば、本発明の触媒の調製時に濁度の上昇を起こさないばかりでなく、本発明の触媒を高温下で貯留する時にも触媒成分の析出による濁度の上昇を起こさないことや、本発明の触媒を高温の重縮合反応系に添加する際に、添加配管の高温部分通過時での析出・スケーリングが抑止され、重合触媒添加の最後まで濁度の低い状態でスムースに添加されることなどを言うが、特にこれに限定されるものではない。
(3)有機溶媒及び/又は水
(4)有機酸及び無機酸からなる群より選択された少なくとも1種の酸
ここで、成分(3)の有機溶媒としては、アルコール類が好ましく、ポリエステルの原料であるジオール類等のポリエステル反応液と親和性の高い有機溶媒がより好ましい。それらの有機溶媒としては、例えば、炭素数が1〜20程度のモノオール或いはポリオール、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール等のモノオール、及び、後述する本発明のポリエステルの製造に用いられる一成分としてのエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール等のジオールやポリオール等が挙げられ、中でも、ジオールが好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
この場合、好ましい水の量としては、ポリエステル重合触媒全体に対する重量濃度として、下限は、通常は1%、好ましくは2%、さらに好ましくは3%、上限は、通常は30%、好ましくは20%、さらに好ましくは10%である。
また、前記成分(4)の酸の含有量は、ポリエステル重合触媒全体に対して、50重量%以下であるのが好ましい。
また、ここで成分(4)の酸の本発明の触媒中の含有割合〔A〕(モル/触媒kg)は、成分(2)の金属元素由来の原子の総量〔m〕(モル/触媒kg)に対して、両者の量比〔A/m〕として、下限は、通常は1.6、好ましくは2.0、より好ましくは2.5であり、上限は、通常は15、好ましくは8.0、より好ましくは5.0、更に好ましくは4.0である。A/mが前記範囲であることにより、本発明のポリエステル重合触媒の濁度範囲やpHを安定して本発明規定の好ましい範囲とすることができ、その結果、重縮合反応速度及び得られるポリエステルの色調や透明性を、好ましい範囲で安定して得ることが出来る。
ここで、前記(1)の周期表第4A族の金属元素の化合物、及び前記(2)の周期表第2A族の金属元素、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム、及びゲルマニウムの化合物としては、それら金属元素の酸化物、水酸化物、アルコキシド、脂肪酸塩、蓚酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物、及び錯化合物等が挙げられる。なお、これらの中で、有機溶媒又は水に不溶性の固体系化合物は不適である。
例えば、前記成分(3)として有機溶媒及び水を用いる場合には、(3)に、(2)と(4)とを同時に又は逐次(順序はどちらでもよい)に加え、撹拌、混合した後、該混合液に(1)を加えて撹拌、混合する方法が好ましい。
前記製造方法により製造される本発明のポリエステル重合触媒は、例えば前記(1)の金属元素の化合物と前記(2)の金属元素の化合物との単なる混合物である場合、両者が何らかの反応により複合化して複合化合物を形成している場合、或いは、前記(1)の金属元素の化合物と前記(2)の金属元素の化合物と両者の複合化合物が共存している場合、及び、それらの各場合において、更に前記成分(3)の有機溶媒及び/又は水、又は/及び、前記成分(4)の酸をも含めた複合化合物を形成している場合、等のいずれであってもよく、濁度が前記範囲を満足していることが必須となる。
エステル化反応は、例えば、単一のエステル化反応槽、又は、複数のエステル化反応槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エチレングリコールの還流下、反応で生成する水と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら、エステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が、通常90%以上、好ましくは93%以上に達するまで行われる。また、得られるエステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体の数平均分子量は500〜5,000であるのが好ましい。
溶融重縮合における反応条件の例としては、単一の重縮合槽を用いる場合、通常250〜290℃程度の温度、常圧から漸次減圧として、最終的に、絶対圧力を、通常1.3〜0.013kPa(10〜0.1Torr)程度とし、攪拌下に1〜20時間程度の反応時間とする方法が一般的である。また、複数の重縮合槽を用いる場合の一例としては、第1段目の重縮合槽における反応温度を、下限は通常250℃、好ましくは260℃、上限は通常290℃、好ましくは280℃、反応圧力を絶対圧力で、上限を通常65kPa(500Torr)、好ましくは26kPa(200Torr)、下限を通常1.3kPa(10Torr)、好ましくは2kPa(15Torr)とし、最終段における反応温度を、下限は通常265℃、好ましくは270℃、上限は通常300℃、好ましくは295℃、反応圧力を絶対圧力で、上限を通常1.3kPa(10Torr)、好ましくは0.65kPa(5Torr)、下限を通常0.013kPa(0.1Torr)、好ましくは0.065kPa(0.5Torr)とする方法が挙げられる。更に、中間段を用いる場合の反応条件としては、上記条件の中間の条件が選択され、例えば、3段反応装置における第2段の反応条件の一例として、反応温度を、下限は通常265℃、好ましくは270℃、上限は通常295℃、好ましくは285℃、反応圧力は絶対圧力で、上限は通常6.5kPa(50Torr)、好ましくは4kPa(30Torr)、下限は通常0.13kPa(1Torr)、好ましくは0.26kPa(2Torr)とする方法が挙げられる。
なお、本発明のポリエステル重合触媒の反応系への添加は、反応設備や仕込みポンプの能力等に応じて、エチレングリコール等の溶媒で希釈して行ってもよい。
(I) 0.002≦T≦1
(II) 0.04≦M≦5
(III) 0.02≦P≦4
(I') 0.002≦T≦0.5
(I'') 0.002≦T≦0.2
(II') 0.04≦M≦3
(III') 0.02≦P≦3
(III'') 0.02≦P≦2
(I1) 0.020≦T1 ≦0.200
(II1) 0.040≦M1 ≦0.400
(III1) 0.020≦P1 ≦0.300
(I1') 0.060≦T1 ≦0.100
(I1'') 0.070≦T1 ≦0.090
(II1') 0.060≦M1 ≦0.300
(II1'') 0.110≦M1 ≦0.220
(III1') 0.050≦P1 ≦0.200
(III1'') 0.080≦P1 ≦0.180
(III1''') 0.090≦P1 ≦0.150
(IV1) 0.50≦M1 /P1 ≦3.00
(IV1') 0.90≦M1 /P1 ≦1.80
(IV1'') 1.10≦M1 /P1 ≦1.50
(V1) 0.20≦M1 /T1 ≦4.00
(V1') 0.50≦M1 /T1 ≦3.50
(V1'') 1.00≦M1 /T1 ≦2.90
(V1''') 1.50≦M1 /T1 ≦2.40
(VI1) 3.0≦P1 /M1 /T1 ≦19.0
(VI1') 5.0≦P1 /M1 /T1 ≦15.0
(VI1'') 8.0≦P1 /M1 /T1 ≦12.0
また、本発明の製造方法により製造されるポリエステルは、例えば280℃で射出成形した厚さ5mmの成形板におけるヘーズが5.0%以下であるのが好ましく、3.0%以下であるのが更に好ましい。更に、270℃で射出成形した厚さ5mmの成形板におけるヘーズが40%以下であるのが好ましく、20%以下であるのが更に好ましく、10%以下であるのが特に好ましい。
本発明の製造方法により製造されるポリエステルは、例えば、射出成形によってプリフォームに成形した後、延伸ブロー成形することによって、或いは、押出成形によって成形したパリソンをブロー成形することによって、ボトル等に成形することができる。また、押出成形によってシートに成形した後、熱成形することによってトレイや容器等に成形し、或いは、該シートを二軸延伸してフィルム等とすることによって、特に飲食品の包装資材等として有用なものとなる。中でも、射出成形によって得られたプリフォームを二軸延伸するブロー成形法よってボトルを成形するのに好適であり、例えば、炭酸飲料、アルコール飲料、醤油、ソース、みりん、ドレッシング等の液体調味料等の容器として、更には、ヒートセットを施して、果汁飲料、ビタミン飲料、フレーバーティー、ミネラルウォーター等の飲料等の容器として、好適に用いられる。
実施例1
<<ポリエステル重合触媒の製造>>
常圧、室温下で、攪拌機付き調製槽に、エチレングリコール41重量部と水4重量部との混合液を入れ、該混合液に、酢酸マグネシウム4水和物1.5重量部を加えて攪拌し、溶解させ、更に、乳酸の98重量%水溶液3.8重量部(触媒1kgに対して乳酸0.777モル/kg)を加えて攪拌、混合した後、テトラ−n−ブチルチタネート2.4重量部を加えて、30分間攪拌し、溶解させることにより、ポリエステル重合触媒A−3を製造した。この触媒A−3は、チタン原子を6,200ppm(0.129モル/kg)、マグネシウム原子を3,100ppm(0.128モル/kg)含有し、以下に示す方法により測定した、pHが4であり、また、光路長10mmでの濁度が5%のものであった。この触媒の各種組成・分析値を表1に示す。
東亜ディーケーケー社製自動滴定装置「AUT−501型」を用い、大気下で、pH電極を液状触媒に浸して測定値を読み取った。
<触媒の濁度>
日本電色社製ヘーズメーター「NDH−300A」を用い、液状触媒を光路長10mmのセルに入れ、エチレングリコールを対照サンプルとして、23℃、50%RHで、全光線透過率〔Tt (%)〕、及び拡散透過率〔Td (%)〕を測定し、以下の式により算出した。
〔Td /Tt 〕×100(%)
平均重合度6のエチレンテレフタレートオリゴマー60重量部が予め仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105 Paに保持されたエステル化反応槽に、テレフタル酸43重量部とエチレングリコール19重量部のスラリーを4時間かけて供給してエステル化反応を行い、供給終了後も更に1時間かけてエステル化反応を行った後、得られたエステル化反応生成物60重量部を重縮合槽に移送した。引き続いて、エステル化反応生成物が移送された重縮合槽に、その配管より、エチルアシッドホスフェートを、エチレングリコールの溶液として、得られるポリエステル1トン当たり燐原子としての総量Pが0.210モル/トンとなる量で添加し、5分後、前記で得られた触媒A−3 0.048重量部(得られるポリエステル1トン当たりのマグネシウム原子としての総量Mが0.103モル/トン、チタン原子としての総量Tが0.104モル/トンとなる量)を添加した後、系内を2時間30分かけて250℃から280℃まで昇温すると共に、1時間で常圧から4×102 Paに減圧して同圧を保持しつつ、得られるポリエステルの固有粘度〔η1 〕が0.60dl/gとなるまで溶融重縮合させた後、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷後、チップ状にカットすることにより、溶融重縮合ポリエステルチップを製造した。
冷凍粉砕したポリエステル試料0.50gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1:1)の混合液を溶媒として、濃度(c)を1.0g/dlとし、溶融重縮合ポリエステルにおいては110℃で、固相重縮合ポリエステルにおいては120℃で、30分間で溶解させた後、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、溶媒との相対粘度(ηrel )を測定し、この相対粘度(ηrel )−1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求める。同じく濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度〔η1 〕、及び〔η2 〕として求めた。
溶融重縮合速度(V1 )=〔η1 〕/溶融重縮合時間(Tm )
固相重縮合速度(V2 )=(〔η2 〕−〔η1 〕)/固相重縮合時間(Ts )
更に、得られた固相重縮合ポリエステルチップについて、以下に示す方法で、触媒等由来の金属原子含有量、色調b値、及び成形板としてのヘーズを測定し、結果を表2に示した。
ポリエステル試料2.5gを、硫酸存在下に過酸化水素で常法により灰化、完全分解後、蒸留水にて50mlに定容したものについて、JOBIN YVON社製プラズマ発光分光分析装置「ICP−AES JY46P型」を用いて定量し、ポリエステル1トン中の、チタン原子としての総量T(モル/トン)、マグネシウム原子としての総量M(モル/トン)、及び燐原子としての総量P(モル/トン)を算出した。
ポリエステル試料を、内径30mm、深さ12mmの円柱状の粉体測色用セルに充填し、日本電色工業社製測色色差計「ND−300A」を用いて、JIS Z8730の参考1に記載される、Lab表色系によるハンターの色差式の色座標b値を、反射法により測定セルを90度ずつ回転させて4箇所測定した値の単純平均値として求めた。
ポリエステルチップを、ESPEC社製イナートオーブン「IPHH−201型」中で、40リットル/分の窒素気流下160℃で4時間乾燥させた後、名機製作所社製射出成形機「M−70AII−DM」にて、シリンダー温度280℃、背圧5×105 Pa、射出率40cc/秒、保圧力35×105 Pa、金型温度25℃、成形サイクル約75秒で、図1に示される形状の、縦50mm、横100mmで、横方向に6mmから3.5mmまで段差0.5mmの6段階の厚みを有する段付成形板を射出成形し(なお、図1において、Gはゲート部である。)
、得られた成形板における厚み5.0mm部(図1におけるC部)について、日本電色社製ヘーズメーター「NDH−300A」を用いて測定した。
<<ポリエステルの製造>>
エステル化反応生成物が移送された重縮合槽に、その配管より、触媒A−3に代えて、テトラ−n−ブチルチタネートを0.5重量%エチレングリコール溶液として、チタン原子としての総量Tが0.104モル/トンとなる量で添加し、5分後に、酢酸マグネシウム4水和物を0.6重量%エチレングリコール溶液として、得られるポリエステル1トン当たりのマグネシウム原子としての総量Mが0.103モル/トンとなる量で添加し、更に5分後に、エチルアシッドホスフェートを、エチレングリコールの溶液として、得られるポリエステル1トン当たり燐原子としての総量Pが0.210モル/トンとなる量で添加したこと、の外は実施例1と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表2に示す。
<<ポリエステルの製造>>
エステル化反応生成物が移送された重縮合槽に、その配管より、エチルアシッドホスフェートを、エチレングリコールの溶液として、得られるポリエステル1トン当たり燐原子としての総量Pが0.210モル/トンとなる量で添加した後、5分後に、触媒A−3に代えて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6重量%エチレングリコール溶液とテトラ−n−ブチルチタネートの0.5重量%エチレングリコール溶液とを混合して(なお、この混合時には白沈が生成し、混合物の濁度は光路長10mmで55%であった。)、得られるポリエステル1トン当たりのマグネシウム原子としての総量Mが0.103モル/トンで、チタン原子としての総量Tが0.104モル/トンとなる量で添加したこと、の外は実施例1と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表2に示す。
<<ポリエステル重合触媒の製造>>
1,000mlのガラス製ビーカーに脱イオン水500mlを入れ、無水水酸化マグネシウム0.15gを加え、攪拌して分散させた後、氷浴にて冷却させ、次いで、攪拌下に四塩化チタン5gを滴下した。液性が酸性となって水酸化マグネシウムが溶解し、塩化水素の発生が止まった時点で氷浴から取り出し、攪拌下に25%アンモニア水を液のpHが8となるまで滴下することにより、含チタン複合水酸化物の沈澱物を生じさせた。生成した含チタン複合水酸化物の沈澱物を、2,500回転で15分間の遠心沈降により上澄液と分離した後、脱イオン水で5回洗浄し、次いで、2,500回転で15分間の遠心沈降により固液分離し、70℃、10torrで18時間減圧乾燥させることにより、ポリエステル重合触媒Bとしての固体状含チタン化合物を製造した。得られた固体状含チタン化合物は、チタン原子:マグネシウム原子のモル比が91:9、チタン原子:水酸基のモル比が1:0.3のものであった。
エステル化反応生成物が移送された重縮合槽に、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコールの溶液を添加しなかったこと、及び、配管より、触媒A−3に代えて、前記で得られた触媒Bを、その10μm程度の粉砕物をエチレングリコールに分散させた1重量%スラリー(なお、このスラリーの濁度は光路長10mmで50%であった。)として、且つ、得られるポリエステル1トン当たりのチタン原子としての総量Tが0.251モル/トンとなる量で添加したこと、の外は実施例1と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表2に示す。なお、触媒Bのエチレングリコールスラリーの配管からの添加時、配管内のスケーリングによると思われる圧力上昇及び変動が生じ、長時間の安定な添加は困難であった。
<<ポリエステル重合触媒の製造>>
(特開2003−82084号公報の参考例11に準じた例)
1000mlガラス製ビーカーに脱イオン水500mlを秤取し、無水水酸化マグネシウム0.15gを加えて分散させた。氷浴にて冷却した後撹拌しながら四塩化チタン5gを滴下した。液性は、滴下とともに酸性となり、分散していた水酸化マグネシウムは溶解した。塩化水素の発生が止まったら氷浴より取り出し、室温下で撹拌しながら25%アンモニア水を滴下し、液のpHを9にした。これに、室温下で攪拌しながら15%酢酸水溶液を滴下し、液のpHを5にした。生成した含チタン複合水酸化物の沈殿物を濾過により分離した。この沈殿物を脱イオン水で5回洗浄した。洗浄後の沈殿物を、20重量%エチレングリコール含有水に30分間浸した後、固液分離は洗浄時同様に濾過により行った。洗浄後の含チタン複合水酸化物を40℃、1.3kPa(10Torr)、20時間の減圧乾燥で水分を除去し、固体状含チタン化合物を得た。得られた固体状含チタン化合物はエチレングリコールに溶解する前に10〜20μm程度の粒子に粉砕した。
ICP分析法により測定した溶液中のチタン含有量は0.12重量%であり、前記の方法により測定したこの溶液の光路長10mmでの濁度は5%であった。
エステル化反応生成物が移送された重縮合槽に、その配管より、触媒A−3に代えて、触媒Dを、得られるポリエステル1トン当たりチタン原子としての総量Tが0.104モル/トンとなる量で添加したことの外は、実施例1と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表2に示す。
<<ポリエステル重合触媒の製造>>
酢酸マグネシウム4水和物の量を3.0重量部としたこと、の外は、実施例1におけると同様にして、ポリエステル重合触媒A−1を製造した。この触媒A−1は、チタン原子を6,200ppm(0.129モル/kg)、マグネシウム原子を6,200ppm(0.255モル/kg)含有し、pHが4であり、また、光路長10mmでの濁度が5%のものであった。この触媒の各種組成・分析値を表1に示す。
スラリー調製槽、及びそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、及び2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを、毎時、865重量部と485重量部で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3重量%エチレングリコール溶液を、毎時6.0重量部で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製し、このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPa(0.5kg/cm2 G)、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPa(0.05kg/cm2 G)、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。そのとき、以下に示す方法により測定したエステル化率は、第1段目においては85%、第2段目においては95%であった。
試料を乳鉢で粉砕し、その1.0gをビーカーに精秤し、これにジメチルホルムアミド40mlを加えて攪拌しながら180℃で20分間加熱して溶解させた後、180℃のジメチルホルムアミド10mlでビーカー壁を洗浄し、室温まで冷却する。この溶液を、メトローム社製ポテンショグラフ「E−536型」自動滴定装置にて、複合pH電極「EA−120」を用い、0.1N KOHメタノール溶液で滴定した。得られた滴定曲線の変曲点から求めた滴定量〔A(ml)〕と、JIS K8006の方法により調製、標定した、0.1N KOHメタノール溶液のファクター〔f1 〕、及び試料重量〔W(g)〕とから、下式により、遊離の末端カルボキシル基量〔AV(meg/g)〕を求めた。
AV(meg/g)={A×f1 ×(1/10)}/W
SV(meg/g)={(Vb −Vs )×f2 ×(1/2)}/W
エステル化率(%)={(SV−AV)/SV}×100
<<ポリエステル重合触媒の製造>>
酢酸マグネシウム4水和物の添加量を変更すること以外は、実施例2−1のポリエステル重合触媒A−1の製造と同様に操作して、ポリエステル重合触媒A−2、A−4〜A−6を製造した。この触媒の各種組成・分析値を表1に示す。
触媒A−1に代えて、触媒A−2〜A−6を、得られるポリエステル1トン当たりのチタン原子としての総量Tが表3に示す値となる量で添加したこと、の外は、実施例2−1と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表3に示す。
<<ポリエステルの製造>>
触媒A−1に代えて、酢酸マグネシウム4水和物をエチレングリコール溶液として第2段目のエステル化反応槽に添加し、テトラ−n−ブチルチタネートをエチレングリコール溶液として第2段目のエステル化反応槽から第1段目の溶融重縮合槽への移送配管中のエステル化反応生成物に添加したこと、の外は実施例2−1と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表3に示す。
(特開平7−207010号公報の実施例1の触媒組成液を用いた例)
<<ポリエステル重合触媒の製造>>
ガラス製容器にエチレングリコール50gを仕込み、20℃の温度でテトラ−n−ブチルチタネート0.37gを混合した後、これに5重量%水酸化ナトリウム水溶液0.5g(チタン触媒に対して58モル%)を添加し、ついでこれを均一撹拌することにより、均一な触媒組成液を調製した。この触媒組成液をポリエステル重合触媒Cとする。
触媒A−1に代えて、触媒C 0.231重量部(得られるポリエステル1トン当たり、ナトリウム原子としての総量が0.049モル/トン、チタン原子としての総量Tが0.084モル/トンとなる量)で添加したこと、の外は、実施例2−1と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表3に示す。
<<ポリエステルの製造>>
触媒Dに代えて、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を第2段目のエステル化反応槽に、得られるポリエステル1トン当たり、ナトリウム原子としての総量が0.049モル/トンとなるように添加し、テトラ−n−ブチルチタネートをエチレングリコール溶液として第2段目のエステル化反応槽から第1段目の溶融重合槽への移送配管中のエステル化反応生成物に、得られるポリエステル1トン当たり、チタン原子としての総量Tが0.084モル/トンとなる量で添加したこと、の外は、比較例2−2と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表3に示す。
<<ポリエステル重合触媒の製造>>
酢酸マグネシウム4水和物の添加量を変更すること以外は、実施例2−1のポリエステル重合触媒A−1の製造と同様に操作して、ポリエステル重合触媒A−7、A−8を製造した。この触媒の各種分析値を表1に示す。
触媒A−1に代えて、触媒A−7、A−8を、得られるポリエステル1トン当たりのチタン原子としての総量Tが表3に示す値となる量で添加したこと、の外は、実施例2−1と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表3に示す。
<<ポリエステル重合触媒の製造>>
水を添加しないこと以外は、実施例2−1のポリエステル重合触媒A−1の製造と同様に操作して、ポリエステル重合触媒A−9を製造した。この触媒の各種組成・分析値を表1に示す。
触媒A−1に代えて、触媒A−9を添加したこと、の外は、実施例2−1と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表3に示す。
<<ポリエステル重合触媒>>
実施例2−7で得たポリエステル重合触媒A−9を、70℃で1週間貯蔵した。このもの(「A−9’」と呼ぶ)の濁度を、前記の方法に従って測定したところ、16%であった。
触媒A−9に代えて、触媒A−9’を添加したこと、の外は、実施例2−7と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表3に示す。
<<ポリエステル重合触媒の製造>>
水の添加量を変更すること以外は、実施例2−1のポリエステル重合触媒A−1の製造と同様に操作して、ポリエステル重合触媒を製造したところ、濁度が悪化したポリエステル重合触媒A−10が得られた。この触媒の各種組成・分析値を表1に示す。
触媒A−1に代えて、触媒A−10を添加したこと、の外は、実施例2−1と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表3に示す。
実施例2−1と比べ、比較例2−7では濁度が悪化した重縮合触媒を使用した。その結果、重縮合速度が遅く、得られたポリエステルは色調と透明性が悪化していた。
<<ポリエステルの製造>>
実施例2−1で得られた触媒A−1を、第2段目のエステル化反応槽に連続的に添加したこと、の外は実施例2−1と同様にして、溶融重縮合させ、引き続いて固相重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表3に示す。
<<ポリエステルの製造>>
エステル化反応槽に、ジメチルテレフタレート100重量部とエチレングリコール70重量部とを仕込み、窒素雰囲気下、150℃で融解させた後、エステル交換触媒として酢酸カルシウム1水和物と酢酸マグネシウム4水和物を、得られるポリエステルに対する残存量が、カルシウム原子として68ppm、マグネシウム原子として47ppmとなる量で添加し、240℃まで3時間かけて昇温し、常圧でメタノールと過剰のエチレングリコールを留去しながら、エステル交換反応させた後、トリメチルホスフェートを、得られるポリエステルに対する残存量が、燐原子として30ppmとなる量で添加して、実質的にエステル交換反応を終了させた。
<<ポリエステルの製造>>
エステル交換反応生成物に、触媒A−1に代えて、テトラ−n−ブチルチタネートを、得られるポリエステルに対する残存量が、チタン原子として3ppmとなる量で添加したこと、の外は実施例4と同様にして、溶融重縮合させてポリエステルを製造し、同様に評価した。結果を表4に示す。
前記各実施例・比較例で用いた触媒の高温貯留下での安定性を以下の手順で試験し、結果を表1に示した。
即ち、前記各実施例・比較例で用いた触媒を、70℃で1週間貯蔵したのちの触媒の濁度を、前記の方法に従って測定し、濁度が10%以下の場合を○、10%を越え20%以下の場合を△、20%を越える場合を×で示した。
Claims (15)
- 下記(1)の金属元素及び下記(2)の金属元素を少なくとも有する成分を含有し、その含有量が下記(a)を満たし、光路長10mmでの濁度が20%以下の液体状であることを特徴とするポリエステル重合触媒。
(1)周期表第4A族の金属元素からなる群より選択された少なくとも1種の金属元素
(2)周期表第2A族の金属元素、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム、及びゲルマニウムからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素
(a)上記(1)に由来する金属原子の総量をt(モル/触媒kg)とし、上記(2)に由来する金属原子の総量をm(モル/触媒kg)としたとき、m/tの値が以下の範囲となる。
0.50≦m/t≦3.50 - pHが7以下である請求項1に記載のポリエステル重合触媒。
- 更に下記の成分(3)を含有する請求項1又は2に記載のポリエステル重合触媒。
(3)有機溶媒及び/又は水 - (3)が有機溶媒及び水である請求項3に記載のポリエステル重合触媒。
- (3)の有機溶媒がアルコール類である請求項3又は4に記載のポリエステル重合触媒。
- 更に下記の成分(4)を含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリエステル重合触媒。
(4)有機酸及び無機酸からなる群より選択された少なくとも1種の酸 - (4)の酸が有機酸である請求項6に記載のポリエステル重合触媒。
- (4)の有機酸が脂肪族カルボン酸類である請求項7に記載のポリエステル重合触媒。
- (1)の金属元素がチタンである請求項1乃至8いずれか1項に記載のポリエステル重合触媒。
- (2)の金属元素が、周期表第2A族の金属元素、鉄、及び亜鉛からなる群より選択された少なくとも1種である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポリエステル重合触媒。
- (2)の金属元素が、マグネシウムである請求項10に記載のポリエステル重合触媒。
- 下記(1)の金属元素の化合物、下記(2)の金属元素の化合物、下記(3)、及び下記(4)を、0〜200℃の温度下で5分間以上攪拌することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポリエステル重合触媒の製造方法。
(1)周期表第4A族の金属元素からなる群より選択された少なくとも1種の金属元素
(2)周期表第2A族の金属元素、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム、及びゲルマニウムからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素
(3)有機溶媒及び/又は水
(4)有機酸及び無機酸からなる群より選択された少なくとも1種の酸 - 請求項12に記載のポリエステル重合触媒の製造方法であって、(1)の金属元素を含む化合物が、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、アセチル−トリ−i−プロピルチタネート、酢酸チタン、蓚酸チタン、塩化チタンからなる群より選択された少なくとも1種の化合物であるポリエステル重合触媒の製造方法。
- 請求項12又は13に記載の方法により得られたポリエステル重合触媒。
- テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応及び重縮合反応を経てポリエステルを製造するにおいて、該重縮合反応を、請求項1乃至11及び14のいずれか1項に記載のポリエステル重合触媒の存在下で行うことを特徴とするポリエステルの製造方法。
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