JP4983043B2 - ポリエステル重縮合用触媒、その製造方法およびポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
これに対し、特許文献1にはチタン化合物、マグネシウム化合物、リン化合物のそれぞれを、個別にエチレングリコール溶液とし、分割して特定の割合で添加することで、品質の優れたポリエステルを製造する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、それぞれの化合物に応じ少なくとも3つの独立した触媒添加装置が必要となり、従来のアンチモン触媒などのポリエステル製造設備の転用が容易ではなく、新たな設備の増設が必要となるため更に投資が必要となり、経済的に不利である。
そこで、チタン原子、マグネシウムのようなアルカリ土類金属原子、及びリン原子を同一触媒内に含有し、安定に使用できるポリエステル重縮合用触媒が望まれていた。
また、更なる要旨は、ジカルボン酸成分とジオール成分とから重縮合反応によりポリエステルを製造する方法において、重縮合用触媒として上記該ポリエステル重縮合用液状触媒を用いることを特徴とするポリエステルの製造方法に存する。
なお、本明細書中において、「ppm」や「%」は、「モルppm」「モル%」等と特記する場合を除き、「重量ppm」、「重量%」を意味する。
本発明のポリエステル重縮合用液状触媒は、アルコールと、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン酸ジエステル化合物を混合して得られる液状触媒である。この触媒においては、リン化合物としてリン酸ジエステルを使用することを必須とし、リン酸ジエステルを用いることにより重縮合反応活性をより高めることができる。
1価及び/又は2価のアルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このようなリン酸ジエステル化合物の具体例としては、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの炭素数1〜8のアルキル基を有するジエステルが挙げられ、これらのリン酸ジエステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
0.5≦Ti/M≦2.0 (1)
0.5≦Ti/P≦2.0 (2)
0.25≦M/P≦4.0 (3)
式(1)のTi/Mの下限は0.75が更に好ましく、上限は1.5が更に好ましい。又、式(2)のTi/Pの下限は0.75が更に好ましく、上限は1.5が更に好ましい。一方、式(3)のM/Pの下限は0.56が更に好ましく、上限は2.0が更に好ましい。
次に、本発明のポリエステル重縮合用液状触媒の製造方法を説明する。
本発明の重縮合用液状触媒は、アルコールと、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン酸ジエステル化合物を混合し溶解させることによって製造することができる。
(a):エタノールに酢酸マグネシウム・四水和物、ジブチルホスフェート、及びテトラ−n−ブチルチタネートを混合、溶解し均一溶液とする工程、
(b):工程(a)で得られた均一溶液からエタノール、低沸物などを留去し濃縮液とする工程、
(c):工程(b)で得られた濃縮液にエチレングリコールを加えて混合し、均一液とする工程
(d):工程(c)で得られた均一液から再度エタノール、低沸物などを留去し、触媒液中のアルコールの主成分がエチレングリコールである液状触媒を得る工程。
更に、場合によっては、工程(b)を経ずに、工程(a)で得られた均一溶液にエチレングリコール加えて混合し、均一液とする工程(c)に移行することも可能である。
本発明のポリエステルの製造方法には、上述の本発明のポリエステル重縮合用液状触媒を用いること以外は特に制限されず、基本的には、ポリエステルの慣用の製造方法を用いることができる。
以下に、ポリエステルの慣用の製造方法の一例として、ポリエチレンテレフタレートの製造を例に本発明のポリエステルの製造方法を説明する。
例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、又は水蒸気雰囲気下、或いは水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で、通常60〜180℃、好ましくは150〜170℃の温度で加熱して樹脂粒状体表面を結晶化させた後、不活性ガス雰囲気下、及び/又は、絶対圧力1.3×10〜1.3×103Pa程度の減圧下で、通常、樹脂の粘着温度直下〜粘着温度より80℃低い温度、好ましくは粘着温度より10〜60℃低い温度で、粒状体同士が膠着しないように流動等させながら、通常50時間以下の時間で加熱処理して固相重縮合させることができる。この固相重縮合により、得られるポリエステルを更に高重合度化させ得ると共に、反応副生物のアセトアルデヒドや低分子オリゴマー等を低減化することができる。
しかし、酸化チタンを本発明の重縮合用液状触媒と混合して添加すると重縮合用触媒の活性が低下する傾向となるので好ましくなく、重縮合用触媒と酸化チタンとは別個に添加するほうが好ましい。重縮合用触媒と酸化チタンを混合すると、重縮合用触媒としての活性を有するチタン化合物成分が、酸化チタンの表面に吸着されるため、重縮合反応の活性が低下するものと考えられる。
尚、以下の実施例において、ポリエステル及び重縮合用液状触媒中の金属原子含有量、ポリエステル重縮合用液状触媒のpH、濁度(ヘーズ)、及び保存安定性は、下記に従って測定した。
また、得られたポリエステルの固有粘度[η]、末端カルボキシル基量、及び重縮合反応速度は、下記に従って測定した。
ポリエステル試料の場合は5gを、重縮合用液状触媒の場合は0.1gを、硫酸存在下に過酸化水素で常法により灰化、完全分解後、蒸留水にて50mlに定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBIN YVON社製ICP−AES「JY46P型」)を用いて定量し、ポリエステル樹脂1トン中のモル量に換算した。
東亜DKK社製自動滴定装置(AUT−501型)を用い、大気下で、pH電極を液状触媒に浸して測定した。
日本電色社製ヘーズメーター「NDH−300A」を用い、液状触媒を光路長10mmのセルに入れ、エチレングリコールを対照サンプルとして、23℃、50%RHで、全光線透過率〔Tt (%)〕、及び拡散透過率〔Td (%)〕を測定し、以下の式により算出した。
ヘーズ(%)=〔Td /Tt 〕×100
液状触媒を50mlサンプル瓶中に入れて密栓後、室温(23℃)で静置して、経時的にヘーズ測定及び/または析出物の有無を確認した。
チップ状ポリエステルを凍結粉砕した試料0.25gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として、濃度(c)を1.0g/dLとして、溶融重縮合ポリエステルの場合は110℃で30分間、固相重縮合ポリエステルの場合は120℃で30分間保持することにより溶解させた。得られた溶液につき、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、溶媒との相対粘度(ηrel )を測定し、この相対粘度(ηrel )−1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求めた。同様にして濃度(c)を0.5g/dL、0.2g/dL、0.1g/dLとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度[η](dL/g)として求めた。
ポリエステルチップを粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。又、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料抜きで同様の操作を実施し、以下の式によって酸価を算出した。
[ここで、Aは、滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは、ポリエステル樹脂の試料の量(g)、fは、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。]
なお、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.lNの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで力価既知の0.1Nの塩酸を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)以下の式によって力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1Nの塩酸の力価×0.1Nの塩酸の採取量(μl)/0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)
固相重縮合速度Ksは下記式によって求められる。
Ks=([η]s−[η]m)/固相重縮合時間
(ここで[η]sは固相重縮合後のポリエステルの固有粘度、[η]mは溶融重縮合のポリエステルの固有粘度である。)
<重縮合用液状触媒Aの調製>
300ml摺り栓付きの三角フラスコ中にエタノール(特級、純度99.6%以上)を50g入れ、次に酢酸マグネシウム・四水和物8.59gを添加し、スターラーで20分間攪拌して、ほぼ均一に溶解させた。次にジブチルホスフェート(商品名:DBP、城北化学工業(株))を15分かけて8.41g入れ、更に、テトラ-n-ブチルチタネート13.64gを5分かけて添加し、10分間攪拌することで均一溶液を得た。最後にクエン酸(無水)16.10gを添加し、室温で約30分攪拌し、均一溶液を得た。溶液中の各成分の割合は、Ti/Mg/P/クエン酸=1/1/1/2.1(モル比)である。
<重縮合用液状触媒B>
300ml摺り栓付きの三角フラスコ中にエタノール(特級、純度99.6%以上)を50g入れ、次に酢酸マグネシウム・四水和物8.58gを添加し、スターラーで20分間攪拌して、ほぼ均一に溶解させた。次にジブチルホスフェート(商品名:DBP、城北化学工業(株))を15分かけて8.41g入れ、更に、テトラ-n-ブチルチタネート13.64gを5分かけて添加し、10分間攪拌することで均一溶液を得た。溶液中の各成分の割合は、Ti/Mg/P=1/1/1(モル比)である。
次に、オイルバスを60℃に設定したエバポレーターを用いて、内容物が55.61gとなるまで、エタノールを留去した。次にエチレングリコール31.56gを添加した。このエチレングリコール溶液中の低沸物を10Torr、オイルバス温度60℃にて40分かけて留去し、48.62gの流動性ある重縮合用液状触媒Bを得た。
B液中のチタン濃度はチタン原子として3.8重量%であった。また、B液のpHは5.9であり、B液のヘーズは4.1%であった。B液の2週間後のヘーズは5.0であり、1ヵ月後にはヘーズが18%まで上昇していたが析出物は見られなかった。
<重縮合用触媒C>
100ml摺り栓付きナスフラスコ中にエチレングリコール41gにテトラ−n−ブチルチタネート2.4gを加えて、常圧窒素雰囲気下で4時間攪拌し、溶解させて得られた液を重縮合触媒Cとした。C液中のチタン濃度はチタン原子として0.8重量%であった。2日後に白色析出物が見られた。
<重縮合用触媒D>
実施例2において、ジブチルホスフェート8.41gをモノブチルホスフェート(商品名:JAMP-4P、城北化学工業(株))6.17gに変えた以外は実施例2と同様にして触媒調製を実施し、白色スラリー状の重縮合用液状触媒Dを得た。pHは5.5であった。調製後のD液のヘーズは100%であった。触媒液は、2週間後には大量の沈殿物が見られた。
<重縮合用触媒E>
常圧、室温下で、100ml摺り栓付きナスフラスコ中にエチレングリコール41gと水4gとの混合液を入れ、該混合液に酢酸マグネシウム・四水和物3.0gを加えてスターラーで攪拌して、溶解させ、更に、乳酸の98重量%水溶液3.8gを加えて攪拌、混合した後、テトラ−n−ブチルチタネート2.4gを加えて、30分間攪拌し、溶解させることにより、重縮合触媒Eを調製した。この触媒液E中のチタン濃度は、チタン原子として0.62重量%、マグネシウム濃度は、マグネシウム原子として0.62重量%であり、溶液は均一液である。また、触媒液のpHは4.0であり、ヘーズは0.5%であった。触媒液は、触媒調製3ヵ月後においても、全く同様なヘーズが維持されていた。
<重縮合用触媒F>
常圧、室温(23℃)下で、1L摺り栓付き三角フラスコ中において、エチレングリコール300gに酢酸マグネシウム・四水和物23.3gを懸濁させ、次にテトラ−n−ブチルチタネート36.8gを添加して、室温で混合・攪拌を行った。5時間後、大量の白色スラリーが生成している状況が観察された。1週間室温で静置した後、溶液は白色析出物と透明な溶媒とに分離していた。析出物を濾別し、アセトン及びジエチルエーテルで洗浄し、その後、減圧乾燥して白色析出物25g(重合触媒F)を回収した。析出物中の金属分析を行ったところ、チタン、マグネシウムをそれぞれ19重量%、9.5重量%含有していた。
(比較例5)
常圧、室温(23℃)下で、200ml摺り栓付き三角フラスコ中において、エチレングリコール73.5gにクエン酸(無水)3.68gを添加し、次いで酢酸マグネシウム・4水和物2.33gを懸濁させ、更にテトラ−n−ブチルチタネート3.68gを添加して、室温で混合・攪拌を行った。一昼夜攪拌したが、均一に溶解せずに白色沈殿が多量に生成している状況が観察された。溶液中の理論チタン濃度は0.62重量%である。このように実施例1および2と比較して、チタン濃度が希薄であるにもかかわらず、リン酸ジエステルの非存在下では析出物が生成し。均一触媒液が得られないことが分かる。
<ポリエステルの製造>
実施例1で得られたポリエステル重縮合用液状触媒Aを用いてポリエステルを製造した。
<原料オリゴマーの製造>
テレフタル酸ジメチル2012kg(10.4×103モル)とエチレングリコール1286kg(20.7×103モル)とをエステル化反応槽に供給して溶解後、エチレングリコールに溶解させた酢酸カルシウムを、カルシウム原子として0.20kg(エステル交換反応により得られる生成物に対して100ppm)となるように添加し、220℃に保持しつつ、生成するメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応が終了した後、このエステル化反応槽に、テレフタル酸1721kg(10.4×103モル)とエチレングリコール772kg(12.4×103モル)とをスラリー調製槽で攪拌・混合して得られたスラリーを3時間かけて連続的に供給し、常圧下、250℃でエステル化反応を行い、供給開始から約4時間後に、反応液の約50%を取り出し重縮合反応槽に移送した。
このようにして、実質的に触媒成分(酢酸カルシウム)を含有しないテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化生成物(オリゴマー)を製造した。エステル化反応槽から重縮合反応槽に移送する途中で、このエステル化生成物の一部を抜き出し、窒素雰囲気下で冷却・固化させることで、以下の溶融重縮合反応で使用する原料オリゴマーとした。この原料オリゴマーのエステル化反応率は96%であり、また、原料オリゴマーの固有粘度は0.11dL/gであった。
前記原料オリゴマー156gをトルクメータ付属攪拌装置付き重縮合反応器にいれ、系内を窒素で置換した後、オイルバス(260℃一定)中でオリゴマーの溶解を行った。以下、オリゴマー溶解開始時間を0時間として時間を表記する。60分後にオリゴマーが完全に溶解していることを確認後、50rpmで攪拌を開始、70分後に、上記実施例1で得た触媒Aをエチレングリコールにて希釈したものを得られるポリエステル中のチタン原子濃度が4ppmとなるように3mL添加した。80分後に減圧を開始し、140分後に270Pa(絶対圧力)まで減圧した。減圧操作は圧力の対数値が時間に逆比例するように行った。重縮合温度は、80分から160分の間に260℃から290℃まで一定速度で昇温した。到達固有粘度が0.50〜0.60(dL/g)の範囲に入るように、溶融重縮合反応を行った。
得られたポリエステルチップ2gをアルミ箔製カップ(底部直径4.5cm、上部直径:7.0cm、深さ:5.0cm)にチップ同士が重ならないように並べ、内温60℃に設定されたイナートオーブン(ヤマト科学社製、I/O DN4101)中の中央部に設置した。30L/hの窒素流通下で、60℃から160℃まで30分で昇温させ、160℃で2時間乾燥、結晶化を行った。その後、30分かけて210℃まで昇温し、210℃で16時間固相重縮合を行った。固相重縮合終了後、30分かけて60℃まで降温した後、チップを回収した。固相重縮合後のチップの固有粘度は0.83dL/gであった。この結果を表−1に示す。
溶融重縮合反応用触媒として、触媒Aの代わりに実施例2で得た触媒Bを用いた以外は実施例3と同様にして重縮合反応及び固相重縮合を行った。溶融重縮合時間は2時間17分であり、得られたポリエステルの固有粘度は0.57dL/gであった。また、固相重縮合16時間後のポリエステルチップの固有粘度は0.85dL/gであった。この結果を表−1に示す。
実施例3において、触媒Aの代わりに比較例1で得られた触媒Cを用い、触媒Cをエチレングリコール1.5mlで希釈して添加後、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液を、得られるポリエステル中のリン原子濃度が2.6ppmとなるように1.5mL添加した以外は実施例3と同様に重縮合反応及び固相重縮合を行った。溶融重縮合時間3時間30分で、固有粘度は0.58dL/g、カラーb値は13.0のポリエステルを得た。また、固相重縮合16時間後のポリエステルチップの固有粘度は0.81dL/gであった。この結果を表−1に示す。
重縮合反応用触媒として触媒Aの代わりに比較例2で得られた触媒Dを用いた以外は実施例3と同様に重縮合反応及び固相重縮合を行った。溶融重縮合時間3時間17分で、固有粘度は0.58dL/gのポリエステルを得た。また、固相重縮合16時間後、ポリエステルの固有粘度が0.82dL/gのポリエステルチップを得た。この結果を表−1に示す。
比較例5において触媒Cの代わりに比較例3で得られた触媒Eを用いた以外は比較例5と同様にして重縮合反応及び固相重縮合を行った。溶融重縮合時間2時間57分で、固有粘度は0.58dL/gのポリエステルを得た。また、固相重縮合16時間後のポリエステルチップの固有粘度は0.79dL/gであった。この結果を表−1に示す。
比較例5において触媒Cの代わりに比較例4で得られた触媒Fを用いた以外は比較例5と同様にして重縮合反応及び固相重縮合を行った。溶融重縮合時間2時間27分で、固有粘度は0.58dL/gのポリエステルを得た。また、固相重縮合16時間後のポリエステルチップの固有粘度は0.79dL/gであった。この結果を表−1に示す。
Ks=([η]s−[η]m)/16
この結果より、ジブチルホスフェートを用いた触媒が、溶融重縮合、固相重縮合の両方において極めて高い重縮合活性を示すことは明らかである。
Claims (19)
- アルコールと、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン酸ジエステル化合物を混合して得られる触媒液であって、該触媒液中におけるチタン原子の濃度が3〜5重量%であり、且つチタン原子とアルカリ土類金属原子(M)とのモル比Ti/M(原子換算)が0.5≦Ti/M≦2.0であることを特徴とするポリエステル重縮合用液状触媒。
- アルカリ土類金属化合物がアルカリ土類金属の有機酸塩及び/またはその水和物であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル重縮合用液状触媒。
- アルカリ土類金属化合物がマグネシウム化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル重縮合用液状触媒。
- リン酸ジエステル化合物が下記の一般式(I)で表されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用液状触媒。
- リン酸ジエステル化合物がジブチルホスフェートであることを特徴とする請求項4に記載のポリエステル重縮合用液状触媒。
- アルコールが炭素数1〜8の1価及び/または2価の脂肪族アルコールであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用液状触媒。
- 2価の脂肪族アルコールがエチレングリコール及び/または1,4−ブタンジオールであることを特徴とする請求項6に記載のポリエステル重縮合用液状触媒。
- チタン化合物がテトラアルキルチタネートであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用液状触媒。
- テトラアルキルチタネートがテトラブチルチタネート及び/またはテトラプロピルチタネートであることを特徴とする請求項8に記載のポリエステル重縮合用液状触媒。
- 触媒液中におけるチタン化合物とアルカリ土類金属化合物とのモル比Ti/M(原子換算)、チタン化合物とリン酸ジエステル化合物とのモル比Ti/P(原子換算)及びアルカリ土類金属化合物とリン酸ジエステル化合物とのモル比M/P(原子換算)がそれぞれ下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用液状触媒。
0.5≦Ti/M≦2.0 (1)
0.5≦Ti/P≦2.0 (2)
0.25≦M/P≦4.0 (3) - 触媒液の10mm光路長でのヘーズが20%以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用液状触媒。
- 触媒液がアルコールと、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物及びリン酸ジエステル化合物、さらに脂肪族カルボン酸を混合することによって得られることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用液状触媒。
- 炭素数1〜8の1価及び/または2価のアルコールと、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン酸ジエステル化合物を混合する工程(A)を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のポリエステル重縮合用液状触媒の製造方法。
- 上記工程(A)で得られる混合物が、炭素数1〜8の1価のアルコールと該1価のアルコールよりも沸点の高い炭素数2〜8の2価のアルコールを含有する混合物であり、該混合物から1価のアルコールを除去する工程(B)を有することを特徴とする請求項13に記載のポリエステル重縮合用液状触媒の製造方法。
- 1価のアルコールがエタノールであり、2価のアルコールがエチレングリコール及び/または1,4−ブタンジオールであることを特徴とする請求項13または14に記載のポリエステル重縮合用液状触媒の製造方法。
- 2価のアルコールが、エチレングリコール及び/または1,4−ブタンジオールであり、アルカリ土類金属化合物がマグネシウム化合物であり、かつ、当該アルコールに対してマグネシウム化合物、リン酸ジエステル、およびチタン化合物をこの順序で添加し、混合することを特徴とする請求項13に記載のポリエステル重縮合用液状触媒の製造方法。
- アルカリ土類金属化合物が酢酸マグネシウム及び/またはその水和物であり、リン酸ジエステルがジブチルホスフェートであり、かつチタン化合物がテトラブチルチタネートであることを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用液状触媒の製造方法
- ジカルボン酸成分とジオール成分とから重縮合反応によりポリエステルを製造する方法において、重縮合反応触媒として請求項1乃至12のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用液状触媒を用いることを特徴とするポリエステルの製造方法。
- ジカルボン酸成分が、テレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、ジオール成分がエチレングリコールを主成分とすることを特徴とする請求項18に記載のポリエステルの製造方法。
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