JP4910515B2 - ポリエステル重縮合用触媒、その製造方法及び該触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリエステル重縮合用触媒、その製造方法及び該触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル重縮合用触媒、詳しくはチタン元素、アルカリ土類金属元素、リン元素を含む液状のポリエステル重縮合用触媒及びその製造方法に関し、また、該重縮合用触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法及び該製造方法で得られたポリエステル樹脂に関する。
従来、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂は、化学的、物理的性質に優れていることから、ボトル等の容器、フィルム、シート、繊維等の各種用途に広範囲に使用されている。そのポリエステル樹脂は、一般に、ジカルボン酸成分とジオール成分とからエステル化反応若しくはエステル交換反応、及び溶融重縮合反応を経て、更に必要に応じ、特に容器用とする場合には固相重縮合反応させることにより製造されている。そして、その重縮合反応にはアンチモン、ゲルマニウム、チタン等の化合物が重縮合用触媒として使用されている。
ところが、アンチモン化合物を触媒としたポリエステル樹脂においては、特有のくすみを有することや、アンチモン化合物において懸念されている安全衛生性、環境への配慮等の点から、アンチモン化合物の使用量を低減化するか、それらに代わる重縮合用触媒の出現が強く望まれていた。
また、ゲルマニウム化合物を触媒としたポリエステル樹脂においては、透明性や安全衛生性等の面では好適であるものの、ゲルマニウム化合物自体が極めて高価であり経済的不利が避けられない等の点から、ゲルマニウム化合物についても、使用量を低減化するか、それらに代わる重縮合用触媒の出現が強く望まれていた。
一方、チタン化合物は、安価で、安全衛生性等への懸念もないことから注目され、アンチモン化合物やゲルマニウム化合物の代わりに使用されるに至っているが、チタン化合物を触媒としたポリエステル樹脂は、特有の黄味を有し、更に、熱安定性が劣る等品質上の欠点があった。
これに対し、特許文献1にはチタン化合物、マグネシウム化合物、リン化合物のそれぞれを、個別のエチレングリコール溶液として、分割して特定の割合で添加することで、品質の優れたポリエステル樹脂を製造する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、少なくとも3つの独立した触媒添加装置が必要となり、従来のアンチモン触媒などのポリエステル樹脂製造設備の転用が容易ではなく、新たな設備の増設が必要となるため更に投資が必要となりコスト高を招くことになる。
そこで、チタン元素、マグネシウム元素、リン元素を同一の触媒溶液中に含有し、安定に使用できるポリエステル重縮合用触媒が望まれていた。
このようなポリエステル重縮合用触媒として、特許文献2には、芳香族多価カルボン酸で処理されたアルコキシチタネート、アルカリ土類金属化合物、特定のリン化合物、エチレングリコールから成る触媒が開示されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、該触媒はエチレングリコール中での保存安定性に欠け、一日程度の保存で白濁し、金属成分が析出してスラリー状となる。そのため、該触媒をポリエステル樹脂の重縮合反応に供給する際、スラリー状であることから反応系に所望の濃度で精度よく添加するのが困難であり、また、スラリー状の触媒が触媒貯槽や触媒添加ライン中で沈降し、スケール化してしまうなど、取り扱い性に劣るという問題があることが判った。更に、該触媒の調製に際してはチタン化合物を芳香族多価カルボン酸で処理することが必須であるために、製造工程が複雑でコスト高になるという問題点があり、また、100℃以上の加熱工程を必要とすることも実際の製造にあたっては容易に実施することは難しい。
また、特許文献3にはエチレングリコール中などにチタン元素やアルカリ土類金属元素を含む均一な溶液触媒が開示されている。該特許文献では、この均一な触媒溶液の濁度を低く安定にするために溶液を酸性にしており、そのために溶液に有機酸、無機酸を加えることが開示されている。しかして、ポリエステル樹脂製造時には、通常リン化合物が安定剤として添加されるが、該文献にはリン化合物をこの均一溶液に添加することは何等示されていないので、ポリエステル樹脂製造時には別途リン化合物を安定剤として添加する必要がある。また、本特許文献の実施例により製造される均一な溶液触媒は含有するチタン濃度が低く、溶媒を多量に含むため製造コストが高くなるという問題点がある。そこで本発明者らは該触媒溶液のチタン濃度の高濃度化を検討したが、チタン濃度が高濃度になると、該触媒溶液の濁度及び粘度が高くなり白濁固化してしまい、重縮合反応への添加が困難になる等、取り扱いが著しく困難となるという問題点があることが分かった。
このように、同一の触媒溶液中にチタン元素、アルカリ土類金属元素、リン元素を含み、重縮合反応に対し一括して添加でき、チタン濃度を高くしても溶液が均一透明で溶液の粘度が低く取り扱いが容易であり、しかも工業的に製造が容易でかつコスト的に有利な液状ポリエステル重縮合用触媒及びその製造方法は今まで知られていない。
特開2004−124068号公報 特開2004−224858号公報 特開2004―292803号公報
本発明は、ポリエステル重縮合用触媒としてチタン化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物を含む触媒を用いたポリエステル樹脂の製造における前述の問題に解決を与えることを目的としてなされたものである。すなわち本発明の課題は、チタン元素、アルカリ土類金属元素、リン元素を同一の触媒溶液中に含み、重縮合反応に対し一括して添加でき、チタン濃度を高くしても安定性に優れ溶液が均一透明で溶液の粘度が低く取り扱いが容易であり、しかも工業的に製造が容易でかつコスト的に有利な液状ポリエステル重縮合用触媒及びその製造方法、並びにその触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法及び該製造方法で得られたポリエステル樹脂を提供することである。
本発明者らは特定の条件下で製造された、チタン元素、アルカリ土類金属元素、リン元素を含む触媒溶液が上記課題に対して顕著な効果があることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、一価アルコール、アルカリ土類金属化合物、酸性リン酸エステル化合物、及び下記一般式(I)により表されるアルコキシチタネートを混合して得られ、且つ下記1)〜3)を満たすことを特徴とする液状のポリエステル重縮合用触媒に存する。
[式(I)中、R、R、R及びRは各々が炭素数2〜5のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
1) 0.1≦M/P≦3 (モル比)
2) 0.1≦T/P≦5 (モル比)
3) 0.01≦W1/W2≦15(重量比)
(ただし、T、M、Pはそれぞれ得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子のモル濃度(T)、アルカリ土類金属化合物由来のアルカリ土類金属原子のモル濃度(M)、及び酸性リン酸エステル化合物由来のリン原子のモル濃度(P)を表し、W1は得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子の重量濃度、及びW2は得られる重縮合用触媒中の一価アルコールの重量濃度を表す。)
本発明の別の要旨は、ポリエステル重縮合用触媒の製造方法であって、一価アルコール、下記一般式(I)により表されるアルコキシチタネート、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物を混合する工程(i)、並びに工程(i)で得られた混合物を蒸留し、一価アルコールの一部を除去する工程(ii)を有しているか、或いは一価アルコールとアルカリ土類金属化合物とを混合する工程(iii)、並びに工程(iii)で得られた混合物と下記一般式(I)により表されるアルコキシチタネート及び酸性リン酸エステル化合物とを混合する工程(iv)を有しており、かつ得られるポリエステル重縮合用触媒が下記1)〜3)を満たすことを特徴とする液状のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
[式(I)中、R、R、R及びRは各々が炭素数2〜5のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
1) 0.1≦M/P≦3 (モル比)
2) 0.1≦T/P≦5 (モル比)
3) 0.01≦W1/W2≦15(重量比)
(ただし、T、M、Pはそれぞれ得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子のモル濃度(T)、アルカリ土類金属化合物由来のアルカリ土類金属原子のモル濃度(M)、及び酸性リン酸エステル化合物由来のリン原子のモル濃度(P)を表し、W1は得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子の重量濃度、及びW2は得られる重縮合用触媒中の一価アルコールの重量濃度を表す。)
本発明の更なる別の要旨は、ジカルボン酸成分とジオール成分とから重縮合反応によりポリエステル樹脂を製造する方法において、重縮合反応触媒として、一価アルコール、アルカリ土類金属化合物、酸性リン酸エステル化合物、及び上記一般式(I)により表されるアルコキシチタネートを混合して得られ、且つ上記1)〜3)を満たす液状のポリエステル重縮合用触媒を用いることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法、並びに該製造方法で得られたポリエステル樹脂に存する。
本発明によれば、アンチモン、ゲルマニウムなどの化合物を含まず、チタン元素、アルカリ土類金属元素、リン元素を同一の触媒溶液中に含み、重縮合反応へ一括して添加することが可能であって、その触媒溶液中のチタン濃度を高くしても安定性に優れ、溶液が均一透明で溶液の粘度が低く取り扱いが容易であり、しかも工業的に製造が容易でかつコスト的に有利な液状ポリエステル重縮合用触媒を得ることができる。本発明の該重縮合用触媒を用いることにより効率的にポリエステル樹脂を製造することができるので、工業的に極めて有用な触媒である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に限定されるものではない。
なお、本明細書中、「ppm」や「%」は、「モルppm」、「モル%」等と特記する場合を除き、「重量ppm」、「重量%」を意味する。
<ポリエステル重縮合用触媒>
本発明のポリエステル重縮合用触媒は一価アルコール、アルカリ土類金属化合物、酸性リン酸エステル化合物、及び下記一般式(I)により表されるアルコキシチタネートを混合して得られ、且つ下記1)〜3)を満たすことよりなる液状のポリエステル重縮合用触媒であり、該触媒は均一透明で粘度が低い溶液である。
[式(I)中、R、R、R及びRは各々が炭素数2〜5のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
1) 0.1≦M/P≦3 (モル比)
2) 0.1≦T/P≦5 (モル比)
3) 0.01≦W1/W2≦15(重量比)
(ただし、T、M、Pはそれぞれ得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子のモル濃度(T)、アルカリ土類金属化合物由来のアルカリ土類金属原子のモル濃度(M)、及び酸性リン酸エステル化合物由来のリン原子のモル濃度(P)を表し、W1は得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子の重量濃度、及びW2は得られる重縮合用触媒中の一価アルコールの重量濃度を表す。)
本発明における「液状の触媒」(「液状触媒」と言うこともある)とは、一価アルコールを媒体とした、金属の固体状加水分解物などの固体を実質的に含まない液体状の触媒を指す。本発明の液状触媒が実質的に固体を含まないことは、該液状触媒を光路長10mmのセルに入れて測定したときのヘーズ(濁度)が20%以下であることにより示される。
本発明の重縮合触媒に使用される一価アルコールは、アルカリ土類金属化合物、酸性リン酸エステル化合物およびチタン化合物を混合して均一で透明な溶液を形成するものであれば特に制限はない。一価のアルコールとしては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノールなどの炭素数1〜8の一価の脂肪族アルコールが挙げられるが、これらの中、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノールなどの炭素数1〜4の脂肪族アルコールが好ましく挙げられ、中でもエタノールが溶質に対して溶解性が高く特に好ましい。
本発明の重縮合用触媒に使用されるアルコキシチタネートは上記一般式(I)で表され、式(I)中、R、R、R及びRは各々が炭素数2〜5のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。アルキル基としては、具体的には、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられるが、これらの中でも、炭素数3〜4のアルキル基が好ましい。
アルコキシチタネートの具体例としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−t−ブチルチタネートなどのテトラアルコキシチタネートが挙げられ、中でも、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい。
本発明の重縮合触媒に使用されるアルカリ土類金属化合物はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物などの無機化合物、有機酸塩、その水和物などが挙げられるが、有機酸塩及び/またはその水和物が好ましい。なかでも好ましい化合物としてはマグネシウム、カルシウム等の有機酸塩及び/またはその水和物が挙げられるが、特にマグネシウム化合物が触媒活性の点で好ましい。マグネシウム化合物としては、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなどの無機化合物、酢酸マグネシウム、ラク酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの有機酸塩、マグネシウムアルコキシドなどが挙げられる。なかでも酢酸マグネシウムおよびその水和物がアルコールに対する溶解度が高く、触媒の調製が容易なので好ましい。
本発明の重縮合触媒に使用される酸性リン酸エステル化合物の好ましい例としては、下記式(a)及び/又は(b)の構造を有する少なくとも1個のOH基を有するリン酸のエステル構造を有するものが挙げられる。
(式(a)及び(b)中において、R、R'、R”はそれぞれ独立して炭素数1以上8以下のアルキル基、シクロヘキシル基、アリール基を表す。)
アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基等が挙げられる。アリール基としては、具体的にはフェニル基等が挙げられる。
このような酸性リン酸エステル化合物の具体例としては、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェートなどが挙げられ、これらの中、炭素数2〜4のアルキルエステル、特にエチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェートが好ましい。酸性リン酸エステル化合物には、モノエステル体とジエステル体があるが、その混合物が特に好ましい。モノエステル体とジエステル体の混合重量比は、80:20〜20:80の範囲が好ましく、さらに好ましくは、30:70〜70:30、特に好ましくは、40:60〜60:40の範囲である。
本発明の液状のポリエステル重縮合用触媒はチタン元素、アルカリ土類金属元素及びリン元素を含むが、液状触媒中に含まれるチタン原子(T)とアルカリ土類金属原子(M)とリン原子(P)の各原子のモル比は下記式1)及び2)を満たすことが必要である。また、液状触媒中のチタン原子の重量濃度(W1)と一価アルコールの重量濃度(W2)の比は下記式3)の範囲である。
1) 0.1≦M/P≦3 (モル比)
2) 0.1≦T/P≦5 (モル比)
3) 0.01≦W1/W2≦15 (重量比)
式1)のM/P(モル比)が3を超えると、液状触媒中で混合されるチタン化合物とアルカリ土類金属化合物が反応し不溶性の化合物を生成し易い傾向となる。また、M/Pが0.1未満であると触媒活性が低下する傾向となる。M/Pの下限は、0.2が好ましく、上限は2が好ましい。
式2)のT/P(モル比)が5を超えると、液状触媒中においてチタンおよびリンより成る不溶性の化合物を生じ易い場合があり、T/Pが0.1未満であると、触媒活性が低下する傾向となる。T/Pの下限は、0.2が好ましく、上限は3が好ましい。
式3)のW1/W2(重量比)が15を超えると液状触媒が均一とならず不溶性の化合物を含み易い傾向となり、取り扱い上問題を生ずる。またW1/W2が0.01未満であると触媒活性種が少なく、重縮合反応に多量の触媒液が必要となる。W1/W2の値は使用するチタン化合物及び一価アルコールの種類にもよるが、W1/W2の下限は、0.02が好ましく、上限は10が好ましい。
上記式1)〜3)を満たす本発明の液状触媒は、均一で透明な低粘度の溶液である。この溶液の粘度は6Pa・s以下が好ましく、より好ましくは1Pa・s以下、さらに好ましくは0.2Pa・s以下である。粘度が6Pa・sを超えると、液状触媒の触媒貯槽などへの移送が困難となるなど取り扱い上問題が生ずる場合がある。
また、液状触媒中のチタン原子の濃度は、通常1〜15重量%であり、好ましくは3〜12重量%である。
<触媒の製造方法>
本発明の液状のポリエステル重縮合用触媒の製造方法について説明する。本発明の液状触媒は、一価アルコール、アルカリ土類金属化合物、酸性リン酸エステル化合物及び上記一般式(I)により表されるアルコキシチタネートを混合することにより製造することができる。
本発明の液状触媒を効率的でかつ高性能に製造する代表的な方法として以下の2つの製造方法が挙げられる。
第1の触媒製造方法
一価アルコール、上記一般式(I)により表されるアルコキシチタネート、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物を混合する工程(i)、並びに工程(i)で得られた混合物を蒸留し、一価アルコールの一部を除去する工程(ii)を有しており、かつ得られるポリエステル重縮合用触媒が上記1)〜3)を満たすことよりなる液状のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
第2の触媒製造方法
一価アルコールとアルカリ土類金属化合物とを混合する工程(iii)、並びに工程(iii)で得られた混合物と上記一般式(I)により表されるアルコキシチタネート及び酸性リン酸エステル化合物とを混合する工程(iv)を有しており、かつ得られるポリエステル重縮合用触媒が上記1)〜3)を満足することよりなる液状のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
第1の製造方法の代表例としては、以下の方法が挙げられる。即ち、原料投入口、撹拌機などを付設した調製槽に一価アルコール、該アルコキシチタネート、アルカリ土類金属化合物、および酸性リン酸エステル化合物を投入し攪拌混合して反応させる。反応条件は、常圧下10〜120℃、好ましくは20〜40℃、5〜60分間で反応させる。(工程(i))。次に、工程(i)で得られた混合物を減圧下で蒸留を行い、一価アルコールの一部を除去する(工程(ii))。蒸留は150℃以下、好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下の温度で工程(i)の反応器に留出管を備えた設備またはエバポレーター等を用いて実施され、均一透明な触媒液を得る。
第2の製造方法では、原料投入口、撹拌機などを付設した調製槽に一価アルコール、アルカリ土類金属化合物を投入して混合し反応させて均一の溶液を得る(工程(iii))。
ここで、工程(iii)及びそれに続く工程(iv)の温度条件は、使用する触媒原料に応じ40℃以上、使用する一価アルコールの沸点以下の温度範囲で適宜選定される。
工程(iii)の反応は常圧下で実施され、加温することでより速やかに均一溶液を得ることができるので、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは40〜80℃にて反応させることが望ましい。5〜60分間で均一な透明溶液を得る。次に、工程(iii)で得られた混合溶液に該アルコキシチタネート、及び酸性リン酸エステル化合物を投入し撹拌混合して反応させる(工程(iv))。工程(iv)の反応条件は常圧下で実施され、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは40〜80℃にて反応させ、5〜60分で均一透明な触媒液を得る。
上記の第1及び第2製造方法において、使用する一価アルコール、アルコキシチタネート、アルカリ土類金属化合物、および酸性リン酸エステル化合物の使用量は、得られた液状触媒が、上記1)〜3)に規定する各原子の割合を満たすように選定される。
また、得られた液状触媒は空気中での取り扱いが可能だが、3ヶ月以上の長期保存の場合は窒素などの不活性ガス雰囲気下で保存することが好ましい。
<ポリエステル樹脂の製造方法>
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、本発明の前記ポリエステル重縮合用触媒を用いること以外は特に制限されず、基本的には、ポリエステル樹脂の慣用の製造方法を用いることが出来る。
以下にポリエステル樹脂の慣用の製造方法の一例として、ポリエチレンテフタレートの製造を例に本発明のポリエステル樹脂の製造方法を述べる。
ポリエチレンテレフタレートの製造方法としては、例えば、テレフタル酸若しくはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応槽でエステル化反応させ、若しくは、エステル交換触媒の存在下にエステル交換反応させた後、得られたエステル化反応生成物若しくはエステル交換反応生成物であるポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送し、本発明の重縮合触媒の存在下に溶融重縮合させ、必要に応じて更に固相重縮合する方法が挙げられる。また、この製造方法は連続式でも、回分式でもよく、特に制限はされない。
ポリエステル樹脂の製造に用いられる主原料は、ジカルボン酸成分及びジオール成分である。ジカルボン酸成分としては、ジカルボン酸成分に占めるテレフタル酸若しくはそのエステル形成性誘導体の割合が80モル%以上であることを「主成分とする」と言い、90モル%以上、さらには95モル%以上、特には97モル%以上とするのが好ましい。また、ジオール成分に占めるエチレングリコールの割合が80モル%以上であることを「主成分とする」と言い、90モル%以上、さらには95モル%以上、特には97モル%以上とするのが好ましい。テレフタル酸若しくはそのエステル形成性誘導体のジカルボン酸成分に占める割合、及びエチレングリコールのジオール成分に占める割合が前記範囲未満では、得られるポリエステル樹脂の成形体としての機械的強度、ガスバリア性、及び耐熱性が低下する傾向がある。
なお、テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、炭素数1〜4程度のアルキル基を有するアルキルエステル、及びハロゲン化物等が挙げられる。また、テレフタル酸若しくはそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びにこれらの炭素数1〜4程度のアルキル基を有するアルキルエステル、及びハロゲン化物等が挙げられ、これらの一種又は二種以上が共重合成分として用いられてもよい。
また、エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えばジエチレングリコールが挙げられ、そのジエチレングリコールのジオール成分に占める割合は、反応系内で副生する分も含め3モル%以下であるのが好ましく、1.5モル%以上、3モル%以下であるのが更に好ましい。
また、その他のジオール成分として、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等の一種又は二種以上が共重合成分として用いられてもよい。
更にまた、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ヘネイコサノール、オクタコサノール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分等の一種又は二種以上が共重合成分として用いられてもよい。
本発明において、テレフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体を主成分とする前記ジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とする前記ジオール成分、及び必要に応じて用いられる前記共重合成分とを、エステル化反応若しくはエステル交換反応させるにあたり、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比を、下限として通常1.02、好ましくは1.03、上限として通常2.0、好ましくは1.7の範囲で選定し、各成分を混合、調製するのが一般的である。
なお、エステル交換反応の場合は、一般にエステル交換触媒を用いる必要があり、かつ、該触媒を多量に用いる必要があることから、本発明におけるポリエステル樹脂の製造方法としては、エステル化反応を経て製造する方法が好ましい。
エステル化反応は、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールとを上記モル比の範囲で混合してスラリーとなし、このスラリーを単一のエステル化反応槽、又は、複数のエステル化反応槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エチレングリコールの還流下、反応で生成する水と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら、エステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が、通常90%以上、好ましくは93%以上に達するまで行われる。また、得られるエステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体の数平均分子量は500〜5,000であるのが好ましい。
エステル化反応における反応条件の例としては、単一のエステル化反応槽を用いる場合、通常200〜280℃程度の温度、圧力を通常0〜400kPaG(以下、Gは大気圧に対する相対圧力であることを示す)程度とし、攪拌下に1〜10時間程度の反応時間とする方法が一般的である。また、複数のエステル化反応槽を用いる場合は、第1段目のエステル化反応槽における反応温度の下限は通常240℃、好ましくは245℃、上限は通常270℃、好ましくは265℃、反応圧力は下限が通常5kPaG、好ましくは10kPaG、上限は通常300kPaG、好ましくは200kPaGとし、最終段における反応温度は、下限を通常250℃、好ましくは255℃、上限を通常280℃、好ましくは275℃、反応圧力は0〜150kPaG、好ましくは0〜130kPaGとする方法が通常用いられる。
なお、エステル化反応において、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物等を少量添加しておくことにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生を抑制することができる。
この様にして得られる低分子量ポリエステルの溶融重縮合法の例としては、単一の溶融重縮合槽、又は、複数の溶融重縮合槽を直列に接続した、例えば、第1段目が攪拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段及び第3段目が攪拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器からなる多段反応装置を用いて、減圧下に、生成するエチレングリコールを系外に留出させながら行う方法が一般に用いられる。
溶融重縮合における反応条件の例としては、単一の重縮合槽を用いる場合、通常250〜290℃程度の温度、常圧から漸次減圧として、最終的に、圧力を通常1.3〜0.013kPaA(以下、Aは絶対圧力であることを示す)程度とし、攪拌下に1〜20時間程度の反応時間とする方法が一般的である。また、複数の重縮合槽を用いる場合の一例としては、第1段目の重縮合槽における反応温度を、下限は通常250℃、好ましくは260℃、上限は通常290℃、好ましくは280℃、反応圧力を、上限は通常65kPaA、好ましくは26kPaA、下限は通常1.3kPaA、好ましくは2kPaAとし、最終段における反応温度を、下限は通常265℃、好ましくは270℃、上限は通常300℃、好ましくは295℃、反応圧力を、上限は通常1.3kPaA、好ましくは0.65kPaA、下限は通常0.013kPaA、好ましくは0.065kPaAとする方法が挙げられる。更に、中間段を用いる場合の反応条件としては、上記条件の中間の条件が選択され、例えば、3段反応装置における第2段の反応条件の一例として、反応温度を、下限は通常265℃、好ましくは270℃、上限は通常295℃、好ましくは285℃、反応圧力を、上限は通常6.5kPaA、好ましくは4kPaA、下限は通常0.13kPaA、好ましくは0.26kPaAとする方法が挙げられる。
なお、従来法では通常重縮合反応開始以前の段階でリン化合物を添加することが多いが、本発明の液状触媒はリン化合物である酸性リン酸エステル化合物をあらかじめ含んでいるので、別途リン化合物を添加せずに重縮合反応を行うことも出来る。ただし、本発明のポリエステル樹脂の製造方法において、要すればリン化合物を添加しても差し支えない。
本発明のポリエステル重縮合用触媒の反応系への添加は、前記ジカルボン酸成分とジオール成分の混合、スラリー調製段階、前記エステル化反応の任意の段階、又は、溶融重縮合の初期の段階のいずれの段階で行ってもよく、特に制限されるものではないが、エステル化率が90%以上となった段階以降に行うのが好ましく、実質的にエステル化工程が終了した後、溶融重縮合工程の初期の段階までの間、特には溶融重縮合開始前までに添加するのがより好ましい。中でも、多段反応装置における最終段のエステル化反応槽、またはエステル化槽から溶融重縮合工程への移送段階へのエステル化反応生成物に添加するのが好ましい。エステル化率が90%未満の段階で重縮合用触媒を添加すると、未反応のカルボン酸によって重縮合用触媒が失活し、重縮合速度が低下する場合があり好ましくない。
また、本発明の重縮合用触媒を添加する回数は特に制限されず、例えば必要な量を一度に添加してもよく、必要に応じて複数回に分けて添加してもよい。
なお、本発明のポリエステル重縮合用触媒は、製造するポリエステル樹脂の主原料のジオール成分であるエチレングリコール等の溶液として添加することもできる。
本発明の重縮合用触媒は、得られるポリエステル樹脂中の触媒に由来するチタン濃度が、チタン原子換算で通常、0.1〜200ppm、好ましくは0.5〜100ppm、より好ましくは3〜50ppm、更に好ましくは4〜30ppmの範囲となるように使用される。
上記のような溶融重縮合により得られるポリエステル樹脂は、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断してペレット状、チップ状等の粒状体にされるが、得られた粒状体は更に固相重縮合に供し、アセトアルデヒド含有量の低減化及び高重合度化することが出来る。この場合、溶融重縮合で得られるポリエステル樹脂の固有粘度(η)は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として30℃で測定した値として、下限は通常0.35dl/g、好ましくは0.50dl/g、上限は通常0.75dl/g、好ましくは0.65dl/gである。固有粘度(η)が前記の下限値未満では、後述する重縮合槽からの抜き出し時に、操作性が悪化する場合があり、一方、前記の上限値超過では固相重縮合後に得られるポリエステル樹脂中のアセトアルデヒド含有量の低減が困難な場合がある。固相重縮合で得られるポリエステル樹脂は中空成型体、特にボトル用途に好適に使用できる。
また、このような溶融重縮合により得られるポリエステル樹脂をフィルムや繊維のようなその他の用途に用いる場合には、同様に測定した固有粘度(η)の値としては、下限は通常0.50dl/g、好ましくは0.55dl/g、上限は通常0.75dl/g、好ましくは0.70dl/gである。固有粘度が前記の下限値未満では機械的強度が低下する傾向となり、前記の上限値超過では成形性が悪化する場合があり好ましくない。
固相重縮合に供される溶融重縮合後のポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、ポリエステル樹脂1トン当たり、通常5当量/トン以上50当量/トン以下であり、好ましくは10当量/トン以上35当量/トン以下である。この末端カルボキシル基量が上限を超える場合には、固相重縮合時の重縮合速度が低下することがあると同時に、固相重縮合後に得られるポリエステル樹脂が加水分解を受けやすく好ましくない。他方、下限値を下回ると固相重縮合時の重縮合速度が低下する傾向がある。この末端カルボキシル基量は、ポリエステル低分子量体の調製時におけるジカルボン酸成分とジオール成分のモル比、重縮合反応温度等により所望の範囲に調節することが可能である。
前記溶融重縮合により得られたポリエステル樹脂を固相重縮合する方法は特に制限されず、代表例としては従来公知の方法、例えば、特開2004-292803号公報の段落[0057]から[0065]に記載されている方法で実施できる。例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、通常100kPaG以下、好ましくは20kPaG以下の加圧下で通常5〜30時間程度、あるいは通常6.5〜0.013kPaA、好ましくは1.3〜0.065kPaAの減圧下で通常1〜20時間程度、温度が通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃で加熱することにより行われる。
また、上記固相重縮合に先立って、不活性ガス雰囲気下又は水蒸気雰囲気下、あるいは水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で、通常120〜200℃、好ましくは130〜190℃で1分〜4時間程度加熱してポリエステル樹脂粒状体表面を結晶化させることが好ましい。
固相重縮合後のポリエステル樹脂の固有粘度(η)は、上記と同様に測定し、通常、下限は0.65dl/g、好ましくは0.70dl/gであり、上限は0.90dl/g、好ましくは0.85dl/gである。固有粘度が前記の範囲未満では、成形体としての機械的強度が低下する傾向となり、一方、前記の範囲超過では、溶融成形時のアセトアルデヒド等の副生を抑制することが困難な場合がある。
本発明の製造方法で得られるポリエステル樹脂を特にボトル用途に使用する場合、その色調として、JIS Z8730の参考例1に記載されるLab表色系によるハンターの色差式の色座標b値が4以下であるのが好ましく、3以下であるのがさらに好ましい。b値が前記値を超える場合にはボトル等の成型体とした時に色調が黄味がかる傾向となる。
一方、フィルムや繊維に代表される他の用途、特に繊維に用いるために、後述の如く酸化チタンを添加するような場合には、b値が12以下、特に10以下であるのが、出来あがった繊維の色調の面で好ましい。なお、色座標b値を前記範囲とするために、いわゆる、有機系調色材を添加してもよく、その有機系調色材としては、例えば、ソルベントブルー104、ソルベントレッド135、ソルベントレッド179、ソルベントバイオレット36、ピグメントブルー29、同15:1、同15:3、ピグメントレッド187、同263、ピグメントバイオレット19等の染顔料等が挙げられる。
また、本発明の重縮合用液状触媒は、特に繊維用などの用途において、顔料として酸化チタンを含有させるポリエステル樹脂を製造するためにも用いられる。酸化チタンを含有するポリエステル樹脂は、エステル化反応から重縮合反応までのいずれかの時点で、酸化チタンを、例えばエチレングリコールスラリーとして添加することにより製造できる。
しかし、酸化チタンを本発明の重縮合用液状触媒と混合して添加すると該重縮合用液状触媒の活性が低下する傾向となるので好ましくなく、重縮合用液状触媒と酸化チタンとは別々に添加するほうが好ましい。
本発明のポリエステル重縮合用触媒を用いて製造されたポリエステル樹脂は、例えば押出成形によってシート状の予備成形体とした後、真空成形或いは圧空成形することにより箱状の容器や皿状容器にすることができる。また、固相重縮合を経たポリエステル樹脂は、例えば、射出成形や押出成形によってプリフォームを成形した後、延伸ブロー成形することによってボトル等の中空成形容器に成形することができる。
本発明のポリエステル樹脂は、これらの中空成型用プリフォームや成型容器に限られず、各種の成形体、フィルム、繊維等の成型用原料として有用であり、色調等の品質に優れた成型品となすことができる。
以下に実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、ポリエステル重縮合用触媒のエタノール濃度の測定方法、ヘーズ及び粘度の測定方法は以下に示す通りである。
<エタノール濃度測定方法>
重縮合用触媒50mgをメタノール10mlに溶解したものをガスクロマトグラフィー測定試料とした。
ガスクロマトグラフィーの分析条件は以下の通りである。
装置:Agilent製 HP6890
検出器条件:200℃、FID
カラム:Agilent HP−INNOWAX 30m×0.25mmφ 膜厚0.5μm
キャリアー:ヘリウム 1ml/min
昇温条件:試料注入後40℃で2min保持、その後60℃まで5℃/minで昇温し、その後220℃まで10℃/minで昇温。
注入口条件:320℃、スプリット比1/50
試料注入量:2μL
内部標準物質:イソアミルアルコール
<ヘーズ測定方法>
日本電色社製ヘーズメーター「NDH−300A」を用い、試料(液状触媒)を光路長10mmのセルに入れ、エタノールを対照サンプルとして23℃、50%RHで、全光線透過率[Tt(%)]、及び拡散透過率[Td(%)]を測定し、以下の式により算出した。
ヘーズ(%)=[Td/Tt]×100
<粘度測定方法>
東機産業社製粘度計「TVB−10R」を用い、試料(液状触媒)を500mlビーカーに入れ、試料の温度40℃にて、No.25ロータを用いてロータ回転数100rpmにて粘度を測定した。
<固有粘度(η)の測定>
凍結粉砕したポリエステル樹脂試料0.25gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として、濃度(c)を1.0g/dlとして、110℃で30分間溶解させた。得られた溶液につきウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、原液(溶媒)との相対粘度(ηrel )を測定し、この相対粘度(ηrel )−1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求めた。同様にして、濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度(η)(dl/g)として求めた。
<末端カルボキシル基量>
ポリエステル樹脂チップを粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。又、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料を用いずに同様の操作を実施し、以下の式(イ)によって酸価を算出した。
酸価(当量/トン)=(A−B)× 0.1 × f/W (イ)
[ここで、Aは、滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリムのベンジルアルコール溶液の量(ml)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(ml)、Wは、ポリエステル樹脂の試料の量(g)、fは、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。]
なお、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.lNの水酸化ナトリムのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで力価既知の0.1Nの塩酸を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)以下の式(ロ)によって力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1Nの塩酸の力価×0.1Nの塩酸の採取量(ml)/0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(ml) (ロ)
<重縮合用液状触媒の製造>
(実施例1)
スターラー用撹拌子を入れた100ml三角フラスコ中に酢酸マグネシウム・四水和物4.42g、エタノール20.20gを仕込み、室温、常圧で30分間、混合・攪拌して均一な透明溶液を得た。次にエチルアシッドホスフェート3.42g(商品名:JP502、城北化学社製、モノエステル体とジエステル体の重量比45:55)を仕込み(M/P(モル比)=0.85)、室温、常圧で10分間混合・攪拌した。次にテトラ-n-ブチルチタネート7.13g(T/P(モル比)=0.86)を混合液に滴下してさらに10分間混合・攪拌して均一な透明溶液を得た。得られた溶液を300mlナス型フラスコに移してエバポレーターにセットし、60℃、11kPaAの条件でエタノールの一部を蒸留除去して均一透明な触媒液を得た。
触媒液の収量は17.14g、触媒液中のTi濃度は5.9wt%、エタノール濃度は13.1wt%(W1/W2=0.45)であり、触媒液のヘーズは1.7%、液温40℃での粘度は0.080Pa・sであった。
(実施例2)
スターラー用撹拌子を入れた100ml三角フラスコに酢酸マグネシウム・四水和物4.42g、エタノール2.62gを仕込み、常圧下、60℃のオイルバス中で加温しながら30分間、混合・攪拌して少し白濁のある溶液を得た。この溶液を60℃のオイルバス中で加温しながら、テトラ-n-ブチルチタネート7.13gを滴下して10分間混合・攪拌して均一透明溶液を得た。次にエチルアシッドホスフェート3.42gを該溶液に仕込み(M/P=0.85、T/P=0.86)、さらに10分間60℃オイルバス中で加温 しながら混合・攪拌して均一透明な触媒液を得た。
触媒液の収量は17.59g、触媒液中のTi濃度は5.7wt%、エタノール濃度は14.9wt%(W1/W2=0.38)であり、触媒液のヘーズは2.0%、液温40℃での粘度は0.067Pa・sであった。
(比較例1)
スターラー用撹拌子を入れた100ml三角フラスコに酢酸マグネシウム・四水和物4.42gを仕込み、常圧下、90℃のオイルバス中で加温しながら30分間、攪拌して酢酸マグネシウムが一部融解した固体/液体の混合物を得た。この混合物にテトラ-n-ブチルチタネート7.13gを滴下し、さらにエチルアシッドホスフェート3.42g(Mg/P=0.85、T/P=0.86)を仕込んで60分間、加温及び攪拌を継続したが、混合物は固体/液体の混合物のままで均一液状とならず、ヘーズ、粘度の測定は実施できなかった。
(比較例2)
スターラー用撹拌子を入れた100ml三角フラスコに酢酸マグネシウム・四水和物1.40g、エチレングリコール1.21g、水0.22gを仕込み、室温、常圧下で30分間、混合・攪拌して均一な透明溶液を得た。さらに乳酸の90wt%水溶液0.44gを加えて混合・攪拌して均一な透明溶液を得た後、生成溶液中のTiメタル濃度が5.9wt%となるように秤量した重量のテトラ-n-ブチルチタネート2.42gを加えたところ、直ぐに白濁・固化し均一液状とならずヘーズ、粘度の測定は実施できなかった。
(比較例3)
スターラー用撹拌子を入れた2L三口フラスコにエチレングリコール919gと無水トリメリット酸80gを入れて混合攪拌した中に、テトラ-n-ブチルチタネート71gを5分間かけて添加し、透明なチタン化合物を含むエチレングリコール溶液を得た(これを溶液Aとする)。
別のスターラー用撹拌子を入れた2L三口フラスコにエチレングリコール400gと酢酸マグネシウム・四水和物28.3gを添加し、攪拌しつつオイルバス中で100℃まで加熱し均一溶液とした(これを溶液Bとする)。
更に別のスターラー用撹拌子を入れた2L三口フラスコにエチレングリコール272gを入れて、攪拌しながら160℃まで加熱した。その温度に達した時点で、トリメチルホスフェートを18.2g添加し、加熱混合攪拌して溶解し、透明な溶液を得た(これを溶液Cとする)。
攪拌下で100℃にコントロールした上記の溶液B中に、先に調製した溶液Aのうち310gを5分かけて添加し、100℃の温度で1時間攪拌保持し、チタン化合物とマグネシウム化合物との混合溶液を作成した。次いでこの混合溶液中に上記の溶液C全量を添加した後、100℃で1時間攪拌保持し触媒溶液を得た。触媒溶液のM/P(モル比)は0.92、T/P(モル比)は0.42、Ti濃度は0.28wt%である。このように調製した触媒溶液を室温まで冷却したところ、冷却後数時間は透明であったが、一日後には多量の白色析出物の生成が見られ、ヘーズ、粘度の測定は実施出来なかった。
<ポリエステル樹脂の製造>
(実施例3)
[重縮合反応用触媒]
実施例1で得られたチタン元素、マグネシウム元素、リン元素を含む均一なポリエステル重縮合用触媒溶液を用いて重縮合反応を行った。
[原料オリゴマーの製造]
テレフタル酸ジメチル2012kg(10.4×10モル)とエチレングリコール1286(20.7×10)とをエステル化反応槽に供給して溶解後、エチレングリコールに溶解させた酢酸カルシウムを、カルシウム原子として0.20kg(エステル交換反応により得られる生成物に対して100ppm)となるように添加し、220℃に保持しつつ、生成するメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応が終了した後、このエステル化反応槽に、テレフタル酸1721kg(10.4×10モル)とエチレングリコール772kg(12.4×10モル)とをスラリー調製槽で攪拌・混合して得られたスラリーを3時間かけて連続的に移送し、常圧下、250℃でエステル化反応を行い、移送開始から4時間反応を行った後に、反応液の50%を系外へ抜き出した。
このエステル化反応槽において、前記と同様にして得られたテレフタル酸とエチレングリコールからなるスラリーを追加してエステル化反応を行い、反応液の50%を重縮合反応槽を移送する工程を、計10回繰り返して行い、エステル化反応液中の酢酸カルシウムの濃度を0.5ppm以下とした。
このようにして、実質的にエステル交換触媒成分を含有しないテレフタル酸とエチレングリコールからなるエステル化反応生成物を製造した。このエステル化反応生成物を、エステル化反応槽から重縮合反応槽に移送する途中で抜き出し、大気下で冷却・固化することにより、以下の実施例で使用する原料オリゴマーを得た。この原料オリゴマーの製造に用いられたエチレングリコールのテレフタル酸に対するモル比は、最終的に1.2となり、得られた原料オリゴマーの数平均分子量(Mn)は2280であった。
[重縮合反応]
前記原料オリゴマーのうち、104gをトルクメータ付属攪拌装置付き重縮合反応器に移して、系内を窒素で置換した後、オイルバス(260℃一定)中でオリゴマーの溶解を行った。以下、オリゴマー溶解開始時間を0時間として時間を表記する。
60分後にオリゴマーが完全に溶解していることを確認した後、50rpmで攪拌下70分後に、生成ポリエステル樹脂中のチタン原子、マグネシウム原子、リン原子の濃度がそれぞれ4ppm、2ppm、3ppmとなるように上記実施例1で調製した触媒溶液をエチレングリコールに希釈して3ml添加した。80分後に減圧を開始し、140分後に0.27kPaAまで減圧した。減圧操作は圧力の対数値が時間に逆比例するように行った。重縮合温度は、80分から160分の間に260℃から280℃まで一定速度で昇温した。ポリエステル樹脂の到達固有粘度が0.50〜0.60(dl/g)の範囲に入るように、230分間、溶融重縮合反応を行った。なお、重縮合開始時間は減圧開始時間とした。
重縮合反応終了後、攪拌を停止し、窒素にて常圧に戻し、重縮合反応器をオイルバスから取り出した。重縮合反応器をオイルバスから取り出した後、速やかに該反応器の抜き出し口を開け、窒素で系内を微加圧にすることでポリエステル樹脂を抜き出し、水冷・固化させてストランド状のポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂のストランドは粒子の重量が11mg/粒のチップ状に裁断された。得られたポリエステル樹脂の固有粘度は0.545dl/g、酸価は25.3(当量/トン)であった。
得られたポリエステル樹脂チップ2gをアルミ箔製カップ(底部直径4.5cm、上部直径:7.0cm、深さ:5.0cm)にチップ同士が折り重ならないように並べ、内温60℃に設定されたイナートオーブン(ヤマト科学社製、I/O DN4101)中の中央部に設置した。30L/hの窒素流通下で、60℃から160℃まで30分で昇温させ、160℃で2時間乾燥、結晶化を行った。その後、30分かけて210℃まで昇温し、210℃で10時間固相重縮合を行った。固相重縮合終了後、30分かけて60℃まで降温した後、チップを回収した。得られたポリエステル樹脂の固有粘度は0.696dl/gであった。
(実施例4)
実施例2で得られたチタン元素、マグネシウム元素、リン元素を含む均一なポリエステル重縮合用触媒溶液を用いた他は、実施例3と同様の方法で200分間溶融重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂の固有粘度は0.567dl/g、酸価は22.3(当量/トン)であった。
さらに、実施例3と同様の方法で得られたポリエステル樹脂の固相重縮合を10時間実施した。得られたポリエステル樹脂の固有粘度は0.718dl/gであった。

Claims (9)

  1. 一価アルコール、アルカリ土類金属化合物、酸性リン酸エステル化合物、及び下記一般式(I)により表されるアルコキシチタネートを混合して得られ、且つ下記1)〜3)を満たすことを特徴とする液状のポリエステル重縮合用触媒。

    [式(I)中、R1、R2、R3及びR4は各々が炭素数2〜5のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
    1) 0.1≦M/P≦3 (モル比)
    2) 0.1≦T/P≦5 (モル比)
    3) 0.01≦W1/W2≦15(重量比)
    (ただし、T、M、Pはそれぞれ得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子のモル濃度(T)、アルカリ土類金属化合物由来のアルカリ土類金属原子のモル濃度(M)、及び酸性リン酸エステル化合物由来のリン原子のモル濃度(P)を表し、W1は得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子の重量濃度、及びW2は得られる重縮合用触媒中の一価アルコールの重量濃度を表す。)
  2. 液状のポリエステル重縮合用触媒のヘーズが、20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の液状のポリエステル重縮合用触媒。
  3. 液状のポリエステル重縮合用触媒の粘度が6Pa・s以下であり、かつ該重縮合用触媒中のチタン原子の濃度が1〜15重量%の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液状のポリエステル重縮合用触媒。
  4. ポリエステル重縮合用触媒の製造方法であって、一価アルコール、下記一般式(I)により表されるアルコキシチタネート、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物を混合する工程(i)、並びに工程(i)で得られた混合物を蒸留し、一価アルコールの一部を除去する工程(ii)を有しており、かつ得られるポリエステル重縮合用触媒が下記1)〜3)を満たすことを特徴とする液状のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。

    [式(I)中、R1、R2、R3及びR4は各々が炭素数2〜5のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
    1) 0.1≦M/P≦3 (モル比)
    2) 0.1≦T/P≦5 (モル比)
    3) 0.01≦W1/W2≦15(重量比)
    (ただし、T、M、Pはそれぞれ得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子のモル濃度(T)、アルカリ土類金属化合物由来のアルカリ土類金属原子のモル濃度(M)、及び酸性リン酸エステル化合物由来のリン原子のモル濃度(P)を表し、W1は得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子の重量濃度、及びW2は得られる重縮合用触媒中の一価アルコールの重量濃度を表す。)
  5. ポリエステル重縮合用触媒の製造方法であって、一価アルコールとアルカリ土類金属化合物とを混合する工程(iii)、並びに工程(iii)で得られた混合物と下記一般式(I)により表されるアルコキシチタネート及び酸性リン酸エステル化合物とを混合する工程(iv)を有しており、かつ得られるポリエステル重縮合用触媒が下記1)〜3)を満たすことを特徴とする液状のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。

    [式(I)中、R1、R2、R3及びR4は各々が炭素数2〜5のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
    1) 0.1≦M/P≦3 (モル比)
    2) 0.1≦T/P≦5 (モル比)
    3) 0.01≦W1/W2≦15(重量比)
    (ただし、T、M、Pはそれぞれ得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子のモル濃度(T)、アルカリ土類金属化合物由来のアルカリ土類金属原子のモル濃度(M)、及び酸性リン酸エステル化合物由来のリン原子のモル濃度(P)を表し、W1は得られる重縮合用触媒中のアルコキシチタネート由来のチタン原子の重量濃度、及びW2は得られる重縮合用触媒中の一価アルコールの重量濃度を表す。)
  6. 工程(iii)及び/又は工程(iv)を40℃以上、使用する一価アルコールの沸点以下で行うことを特徴とする請求項5に記載の液状のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
  7. 請求項4乃至6の何れか1項に記載の製造方法によって得られる液状のポリエステル重縮合用触媒。
  8. ジカルボン酸成分とジオール成分とから重縮合反応によりポリエステル樹脂を製造する方法であって、重縮合反応触媒として、請求項1、2、3及び7の何れか1項に記載のポリエステル重縮合用触媒を用いることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
  9. ジカルボン酸成分がテレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、ジオール成分がエチレングリコールを主成分とすることを特徴とする請求項8に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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