JP2001139671A - 共重合ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

共重合ポリエステル樹脂の製造方法

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JP2001139671A
JP2001139671A JP32849699A JP32849699A JP2001139671A JP 2001139671 A JP2001139671 A JP 2001139671A JP 32849699 A JP32849699 A JP 32849699A JP 32849699 A JP32849699 A JP 32849699A JP 2001139671 A JP2001139671 A JP 2001139671A
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Hiroo Yoshitoku
簡夫 慶徳
Norio Kanbe
紀郎 神戸
Koichi Ikeyama
孝一 池山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア性を付与するためのジカルボン酸
成分を共重合させるにおいて、色調に優れると共に、異
物の生成を低減化させた共重合ポリエステル樹脂の製造
方法を提供する。 【解決手段】 テレフタル酸又はそのエステル形成誘導
体を主成分としフェニレンジオキシジ酢酸を共重合成分
とするジカルボン酸成分と、ジオール成分とを、エステ
ル化反応又はエステル交換反応を経て重縮合させること
により共重合ポリエステル樹脂を製造するにおいて、フ
ェニレンジオキシジ酢酸を、フェニレンジオキシジ酢酸
を除く前記ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステ
ル化反応又はエステル交換反応開始後から重縮合反応開
始前までのいずれかの時期のエステル化又はエステル交
換反応生成物の存在下へ、且つ、安定剤としての燐化合
物の添加後であって重縮合触媒の添加前に添加する共重
合ポリエステル樹脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共重合ポリエステ
ル樹脂の製造方法に関し、更に詳しくは、ガスバリア性
を付与するためのジカルボン酸成分を共重合させるにお
いて、色調に優れると共に、異物の生成を低減化させた
共重合ポリエステル樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエチレンテレフタレート
樹脂に代表されるポリエステル樹脂は、優れた機械的強
度及び化学的特性に加え、その優れた透明性、ガスバリ
ア性、保香性、安全衛生性等の面から注目され、射出成
形、押出成形、中空成形、或いは熱成形等により、ボト
ル等の各種形状の容器や、シート、フィルム等として、
食品包装分野等において著しい伸びを示している。
【0003】しかしながら、ポリエステル樹脂のガスバ
リア性は、食品包装分野において汎用されているポリオ
レフィン樹脂、ポリスチレン樹脂等との比較においては
優れているものの、例えば、酸素ガス、炭酸ガス等のバ
リア性が特に厳しく要求される炭酸飲料、アルコール飲
料等のボトルとしては、必ずしも十分とは言えず、特に
近年の小型化ボトルにおいてはその傾向が顕著である。
【0004】一方、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂のガスバリア性改良方法として、特表昭60−5
01060号、特開平5−186570号等公報には、
テレフタル酸又はそのエステル形成誘導体を主成分とし
フェニレンジオキシジ酢酸を共重合成分とするジカルボ
ン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオー
ル成分とを共重合させる方法が開示され、テレフタル酸
とエチレングリコールとのエステル化反応開始時に予め
フェニレンジオキシジ酢酸を添加してエステル化反応さ
せ、引き続いて安定剤としての燐化合物及び重縮合触媒
を添加して重縮合させるか、テレフタル酸のエステル形
成誘導体とエチレングリコールとのエステル交換反応生
成物にフェニレンジオキシジ酢酸を安定剤としての燐化
合物及び重縮合触媒と共に添加し、引き続いて重縮合さ
せる等の共重合方法が記載されている。
【0005】ところが、本発明者等の検討によると、こ
れら公報に記載されるフェニレンジオキシジ酢酸の添加
方法では、得られる共重合ポリエステル樹脂は若干黄味
がかっていて色調が劣ると共に、異物が生成し易く、特
に食品包装分野等に用いる材料としては問題となること
が判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の従来
技術に鑑みてなされたもので、従って、本発明は、ガス
バリア性を付与するためのジカルボン酸成分を共重合さ
せるにおいて、色調に優れると共に、異物の生成を低減
化させた共重合ポリエステル樹脂の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前述の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、ガスバリア性を付与
するためのジカルボン酸成分としてのフェニレンジオキ
シジ酢酸と、安定剤及び触媒の添加を特定の条件下とす
ることにより、前記目的を達成できることを見出し本発
明を完成したもので、即ち、本発明は、テレフタル酸又
はそのエステル形成誘導体を主成分としフェニレンジオ
キシジ酢酸を共重合成分とするジカルボン酸成分と、ジ
オール成分とを、エステル化反応又はエステル交換反応
を経て重縮合させることにより共重合ポリエステル樹脂
を製造するにおいて、フェニレンジオキシジ酢酸を、フ
ェニレンジオキシジ酢酸を除く前記ジカルボン酸成分と
ジオール成分とのエステル化反応又はエステル交換反応
開始後から重縮合反応開始前までのいずれかの時期のエ
ステル化又はエステル交換反応生成物の存在下へ、且
つ、安定剤としての燐化合物の添加後であって重縮合触
媒の添加前に添加する共重合ポリエステル樹脂の製造方
法、を要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の共重合ポリエステル樹脂
の製造方法において、ジカルボン酸成分としてはテレフ
タル酸又はそのアルキル(炭素数1〜4程度)エステル
形成誘導体を主成分とする。ここで、エステル形成誘導
体としては、具体的には、例えば、ジメチルテレフタレ
ート、ジエチルテレフタレート等が挙げられる。又、ジ
オール成分としてはエチレングリコールを主成分とする
のが好ましい。
【0009】本発明においては、このジカルボン酸成分
としてのテレフタル酸又はそのエステル形成誘導体と好
ましいジオール成分としてのエチレングリコールとから
なるエチレンテレフタレート単位が構成繰り返し単位の
80モル%以上を占めるのが好ましく、90モル%以上
を占めるのが更に好ましく、95%以上を占めるのが特
に好ましい。エチレンテレフタレート単位が前記範囲未
満では、共重合ポリエステル樹脂としての機械的性質や
耐熱性等が劣る傾向となる。
【0010】又、ジカルボン酸成分における共重合成分
としてのフェニレンジオキシジ酢酸は、全ジカルボン酸
成分に占める割合を0.1〜20モル%とするのが好ま
しく、0.2〜10モル%とするのが更に好ましく、
0.5〜5モル%とするのが特に好ましい。フェニレン
ジオキシジ酢酸の全ジカルボン酸成分に占める割合が前
記範囲未満では、共重合ポリエステル樹脂にガスバリア
性を付与することが困難な傾向となり、一方、前記範囲
超過では、エステル化又はエステル交換時の反応率が低
下して重合性が劣る傾向となる。
【0011】尚、フェニレンジオキシジ酢酸としては、
具体的には、例えば、1,2−フェニレンジオキシジ酢
酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、1,4−フェ
ニレンジオキシジ酢酸、2−メチル−1,3−フェニレ
ンジオキシジ酢酸、5−メチル−1,3−フェニレンジ
オキシジ酢酸、6−メチル−1,3−フェニレンジオキ
シジ酢酸、5−エチル−1,3−フェニレンジオキシジ
酢酸、6−エチル−1,3−フェニレンジオキシジ酢
酸、5−メトキシ−1,3−フェニレンジオキシジ酢
酸、6−メトキシ−1,3−フェニレンジオキシジ酢
酸、4−クロロ−1,2−フェニレンジオキシジ酢酸、
4−クロロ−1,3−フェニレンジオキシジ酢酸等、及
びこれらのエステル形成誘導体等が挙げられ、中で、
1,3−フェニレンジオキシジ酢酸及びそのエステル形
成誘導体が好ましい。
【0012】又、テレフタル酸及びそのエステル形成誘
導体、及びフェニレンジオキシジ酢酸以外のジカルボン
酸成分として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、4,
4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェノキ
シエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテル
ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカ
ルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,
3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、マロン酸、
コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジ
グリコール酸等の脂肪族ジカルボン酸、又はそれらのエ
ステル形成誘導体の一種又は二種以上を、又、エチレン
グリコール以外のジオール成分として、例えば、プロピ
レングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチ
レングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族ジオ
ール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,1−シク
ロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメ
チロール等の脂環式ジオール、ピロカテコール、レゾル
シノール、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビ
フェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキ
シフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェ
ニル)スルホン酸等の芳香族ジオールの一種又は二種以
上を、更に、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安
息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒド
ロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、並びに、ス
テアリン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコー
ル、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香
酸等の単官能成分、トリメリット酸、トリメシン酸、ピ
ロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロール
プロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三
官能以上の多官能成分、等の一種又は二種以上を、共重
合成分として用いてもよく、中で、ジカルボン酸成分と
してはイソフタル酸等が、又、ジオール成分としてはジ
エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメチロ
ール等が好適である。これらは、各々、全ジカルボン酸
成分、全ジオール成分に対して、好ましくは20モル%
以内、更に好ましくは10モル%以内、特に好ましくは
5モル%以内の範囲で用いられる。
【0013】本発明の共重合ポリエステル樹脂の製造方
法は、基本的には、テレフタル酸又はそのエステル形成
誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリ
コールを主成分とするジオール成分とによるポリエステ
ル樹脂の慣用の製造方法による。即ち、テレフタル酸を
主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを
主成分とするジオール成分とをエステル化反応槽でエス
テル化し、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応
槽に移送し重縮合させる直接重合法、テレフタル酸のエ
ステル形成誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエ
チレングリコールを主成分とするジオール成分とをエス
テル化反応槽でエステル交換反応し、得られたエステル
交換反応生成物を重縮合反応槽に移送し重縮合させるエ
ステル交換法、或いは、スラリー調製槽でテレフタル酸
を主成分とするジカルボン酸成分をエチレングリコール
を主成分とするジオール成分に分散させてスラリー化し
たスラリーを、エステル化反応槽中の前記で得られたエ
ステル化反応生成物又はエステル交換反応生成物に、連
続的に添加して常圧下でエステル化し、得られた反応生
成物を連続的に又は/及び段階的に重縮合反応槽に移送
して重縮合させる連続式直接重合法等のいずれをも採り
得る。
【0014】又、通常、重縮合反応により得られた樹脂
は、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からス
トランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷
後、カッターで切断されてペレット状とされるが、更
に、この重縮合後のペレットを加熱処理して固相重合さ
せることにより、更に高重合度化させ得ると共に、反応
副生物のアセトアルデヒドや低分子オリゴマー等を低減
化することもできる。
【0015】尚、前記製造方法において、エステル化反
応は、必要に応じて、例えば、三酸化二アンチモンや、
アンチモン、チタン、マグネシウム、カルシウム等の有
機酸塩等のエステル化触媒の存在下に、200〜270
℃程度の温度、0〜3kg/cm2 G程度の圧力でなさ
れ、エステル交換反応は、必要に応じて、例えば、リチ
ウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、マンガン、チタン、亜鉛等の有機酸塩等のエステル
交換触媒の存在下に、200〜270℃程度の温度、0
〜3kg/cm2 G程度の圧力でなされ、又、重縮合反
応は、後述する燐化合物の安定剤、及び後述する重縮合
触媒の存在下に、240〜290℃程度の温度、0.1
〜10mmHg程度の減圧下でなされる。
【0016】又、固相重合は、120〜200℃程度の
温度で1分間以上加熱する等して予備結晶化がなされた
後、180〜240℃程度の温度、窒素ガス等の不活性
ガスの雰囲気下、又は/及び、0.1〜10mmHg程
度の減圧下でなされる。
【0017】本発明の共重合ポリエステル樹脂の製造方
法においては、ジカルボン酸成分における共重合成分と
しての前記フェニレンジオキシジ酢酸を、フェニレンジ
オキシジ酢酸を除く前記ジカルボン酸成分とジオール成
分との前記エステル化反応又はエステル交換反応開始後
から前記重縮合反応開始前までのいずれかの時期のエス
テル化又はエステル交換反応生成物の存在下へ、且つ、
安定剤としての燐化合物の添加後であって重縮合触媒の
添加前に添加することを必須とし、これにより、色調に
優れると共に、異物の生成を低減化させた共重合ポリエ
ステル樹脂の製造を可能とする。
【0018】ここで、前記フェニレンジオキシジ酢酸
を、前記エステル化反応又はエステル交換反応開始後か
ら前記重縮合反応開始前までのいずれかの時期のエステ
ル化又はエステル交換反応生成物の存在下へ添加する、
とは、具体的には、例えば、前記エステル化反応又はエ
ステル交換反応開始直後、前記エステル化反応又はエス
テル交換反応中、又は、前記エステル化反応又はエステ
ル交換反応終了後のいずれかのエステル化反応又はエス
テル交換反応生成物に対して、エステル化反応槽に、或
いは、エステル化反応槽から重縮合反応槽への移送中の
移送配管に、或いは、移送後の重縮合反応槽に、添加す
る等の方法が挙げられる。中で、エステル化反応又はエ
ステル交換反応終了後のエステル化反応又はエステル交
換反応生成物に対して、移送後の重縮合反応槽に添加す
るのが好ましい。
【0019】尚、前記フェニレンジオキシジ酢酸の添加
を、前記エステル化反応又はエステル交換反応開始前及
び開始時のエステル化反応槽とする場合、及び、前記エ
ステル化反応又はエステル交換反応終了後の反応生成物
の重縮合槽への移送前の重縮合槽とする場合には、フェ
ニレンジオキシジ酢酸の熱劣化が生じ易くなって、得ら
れる共重合ポリエステルの色調が劣ることとなる。
【0020】又、その際の前記フェニレンジオキシジ酢
酸の添加形態としては、フェニレンジオキシジ酢酸の粉
体状、フェニレンジオキシジ酢酸を前記ジオール成分に
分散させたスラリー状、又は、フェニレンジオキシジ酢
酸を前記ジオール成分に溶解させた溶液状等のいずれの
形態も採り得るが、ジオール成分に溶解させた溶液状と
するのが好ましい。又、添加時の溶液の温度は、30〜
150℃程度とするのが好ましく、50〜100℃程度
とするのが特に好ましい。
【0021】その溶解に用いるジオール成分としては、
共重合に用いられるジオール成分であれば特に限定され
るものではないが、中でエチレングリコールが好まし
く、又、溶解させる溶液のジオール成分/フェニレンジ
オキシジ酢酸のモル比は、溶解性及び溶液としての流動
性等の面から、2〜12、特には2.2〜8とするのが
好ましく、又、溶解は、50〜180℃程度の温度です
るのが好ましい。
【0022】又、本発明において、前記フェニレンジオ
キシジ酢酸を、安定剤としての燐化合物の添加後であっ
て重縮合触媒の添加前に添加する、とは、具体的には、
例えば、前記フェニレンジオキシジ酢酸の添加を、安定
剤としての前記燐化合物の添加後、5分以上経過後、特
には10分以上経過後とするのが好ましく、又、前記重
縮合触媒の添加を、前記フェニレンジオキシジ酢酸の添
加後、5分以上経過後、特には10分以上経過後とする
のが好ましい。尚、前記燐化合物及び前記重縮合触媒の
重合系への添加形態としては、前記燐化合物及び前記重
縮合触媒を前記ジオール成分、好ましくはエチレングリ
コールに溶解させた溶液状とするのが好ましい。
【0023】この添加順序以外のいずれの添加順序で
も、得られる共重合ポリエステルに異物の生成が多くな
る。尚、ここで、異物とは、樹脂の製造工程において、
触媒成分や安定剤成分等の一部が反応、若しくは凝集
し、又は、何らかの原因によって反応物の一部が高融点
化し、目視可能な大きさに成長したものと推定される。
【0024】尚、前記安定剤としての燐化合物として
は、例えば、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、及
びこれらのエステル、ホスフィン、ホスファイト等が挙
げられ、その使用量は、ポリエステル樹脂の理論収量に
対して燐化合物として20〜400ppmとなる量とす
るのが好ましく、40〜340ppmとなる量とするの
が特に好ましい。
【0025】又、前記重縮合触媒としては、例えば、三
酸化二アンチモン、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマ
ニウム等の金属酸化物、或いは、アンチモン、ゲルマニ
ウム、亜鉛、チタン、コバルト等の有機酸塩等が挙げら
れ、その使用量は、ポリエステル樹脂の理論収量に対し
て使用化合物として10〜400ppmとなる量とする
のが好ましく、30〜300ppmとなる量とするのが
特に好ましい。
【0026】本発明の製造方法により得られる共重合ポ
リエステル樹脂は、色調として、JIS Z8730の
参考1に規定されるLab表色系における色座標b値
(黄味/青味の指針となる)が、好ましくは−3〜+
6、更に好ましくは−2〜+5、特に好ましくは−1〜
+4のものとなり、又、異物としては、樹脂50g中の
目視可能な個数が、好ましくは20個以下、更に好まし
くは10個以下、特に好ましくは5個以下のものとな
る。
【0027】尚、本発明の製造方法により得られる共重
合ポリエステル樹脂の固有粘度は、通常、0.4〜2.
0dl/g、好ましくは0.55〜1.5dl/g、特
に好ましくは0.7〜1.2dl/gの範囲である。
【0028】本発明の製造方法により得られる共重合ポ
リエステル樹脂は、例えば、射出成形によってプリフォ
ームに成形された後、延伸ブロー成形することによっ
て、或いは、押出成形によって成形されたパリソンをブ
ロー成形することによって、ボトル等に成形され、又、
押出成形によってシートに成形された後、熱成形するこ
とによってトレイや容器等に成形され、或いは、該シー
トを二軸延伸してフィルム等とされ、特に食品包装分野
において有用なものとなる。
【0029】中で、射出成形によって得られたプリフォ
ームを、再加熱後に二軸延伸するコールドパリソン法等
の延伸ブロー成形法よってボトルを成形するのに好適で
あり、例えば、炭酸飲料、果汁飲料、アルコール飲料、
茶やミネラルウォーター等の飲料、醤油、ソース、みり
ん、ドレッシング等の液体調味料等の容器として好適に
用いられる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例
に限定されるものではない。
【0031】実施例1 ジメチルテレフタレート50.5kg(260モル)と
エチレングリコール32.3kg(520モル)をエス
テル化反応槽に投入して溶解後、エチレングリコールに
溶解させた酢酸マンガンを、ポリエステル樹脂の理論収
量に対してマンガン原子として100ppmの量となる
ように添加し、約220℃に保持しつつ、生成するメタ
ノールを留出させながらエステル交換反応を行った後、
該エステル化反応槽に、テレフタル酸43.2kg(2
60モル)とエチレングリコール19.4kg(312
モル)をスラリー調製槽でスラリー化したスラリーを3
時間かけて連続的に移送し、約250℃でエステル化反
応を行い、移送から4時間後に、反応液の50%を重縮
合反応槽に移送した。
【0032】一方、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸
4.52kg(20モル)とエチレングリコール4.9
7kg(80モル)を溶解槽中で約110℃で攪拌しな
がら溶解させて溶液を作製した(エチレングリコール/
1,3−フェニレンジオキシジ酢酸のモル比4。)。
【0033】引き続いて、エステル化反応生成物が移送
された前記重縮合反応槽に、安定剤としてエチレングリ
コールに溶解させた燐酸エチルエステルをポリエステル
樹脂の理論収量に対して128ppmの量となるように
添加し、10分経過後、前記の1,3−フェニレンジオ
キシジ酢酸の溶液を約80℃で10分間かけて3.82
kg(内、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸は、1.
82kgであり、全ジカルボン酸成分に対して3モル%
に相当。)を溶解槽から移送し、次いで10分経過後、
重縮合触媒としてエチレングリコールに溶解させた酢酸
コバルト四水和物をポリエステル樹脂の理論収量に対し
て127ppm、同じくエチレングリコールに溶解させ
た三酸化二アンチモンをポリエステル樹脂の理論収量に
対して150ppmの量となるように、それぞれ添加し
た後、約100分かけて約250℃から約270℃まで
昇温すると共に常圧から1mmHgまで減圧にしつつ、
エチレングリコールを留出させながら、減圧開始後3時
間の重縮合反応を行い、重縮合反応槽の底部に設けられ
た抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷後、
カッターでペレット化することにより、共重合ポリエス
テル樹脂を製造した。
【0034】得られた共重合ポリエステル樹脂につい
て、以下に示す方法で、固有粘度、色調、及び異物含量
を測定し、結果を表1に示した。
【0035】固有粘度 樹脂試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2
−テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒約2
5mlに1.0重量%となるように110℃で溶解させ
た後、30℃まで冷却し、全自動溶液粘度計(中央理化
社製「2CH型DJ504」)にて30℃で測定した。
【0036】色調 樹脂試料を、底面の直径が約30mm、高さが約12m
mの円柱状の粉体測色用セルに充填し、色差計(日本電
色工業社製「ND−300A」)を用いて、JIS Z
8730の参考1に規定されるLab表色系における色
座標b値を、反射法で、セルを約90度ずつ回転して4
箇所測定した値の単純平均値として求めた。
【0037】異物含量 樹脂試料50gを下部光源の透視台上に重ならないよう
に均一に敷き並べ、倍率10倍の拡大鏡を用いて目視観
察し、含有される異物の個数を数えた。
【0038】実施例2 エステル化反応終了後のエステル化反応槽に燐酸エチル
エステル溶液を添加した後、反応液の50%を重縮合反
応槽に移送し、10分経過後、1,3−フェニレンジオ
キシジ酢酸溶液を溶解槽から移送し、次いで10分経過
後、重縮合触媒溶液を添加したこと、の外は、実施例1
と同様にして共重合ポリエステル樹脂を製造し、得られ
たポリエステル樹脂について固有粘度、色調、及び異物
含量を測定し、結果を表1に示した。
【0039】実施例3 エステル化反応槽へのテレフタル酸とエチレングリコー
ルのスラリー移送と共にエステル化反応槽に燐酸エチル
エステル溶液を添加し、エステル化反応を行い、反応液
の50%を重縮合反応槽に移送した後、1,3−フェニ
レンジオキシジ酢酸溶液を溶解槽から移送し、次いで1
0分経過後、重縮合触媒溶液を添加したこと、の外は、
実施例1と同様にして共重合ポリエステル樹脂を製造
し、得られたポリエステル樹脂について固有粘度、色
調、及び異物含量を測定し、結果を表1に示した。
【0040】実施例4 燐酸エチルエステル溶液を、ポリエステル樹脂の理論収
量に対して燐原子として180ppmの量となるように
添加したこと、の外は、実施例1と同様にして共重合ポ
リエステル樹脂を製造し、得られたポリエステル樹脂に
ついて固有粘度、色調、及び異物含量を測定し、結果を
表1に示した。
【0041】比較例1 エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽
に、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸溶液を溶解槽か
ら移送し、10経過後、燐酸エチルエステル溶液を添加
し、次いで5分経過後、重縮合触媒溶液を添加したこ
と、の外は、実施例1と同様にして共重合ポリエステル
樹脂を製造し、得られたポリエステル樹脂について固有
粘度、色調、及び異物含量を測定し、結果を表1に示し
た。
【0042】比較例2 エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽
に、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸溶液を溶解槽か
ら移送し、10経過後、重縮合触媒溶液を添加し、次い
で10分経過後、燐酸エチルエステル溶液を添加したこ
と、の外は、実施例1と同様にして共重合ポリエステル
樹脂を製造し、得られたポリエステル樹脂について固有
粘度、色調、及び異物含量を測定し、結果を表1に示し
た。
【0043】比較例3 エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽
に、重縮合触媒溶液を添加し、5分経過後、1,3−フ
ェニレンジオキシジ酢酸溶液を溶解槽から移送し、次い
で10分経過後、燐酸エチルエステル溶液を添加したこ
と、の外は、実施例1と同様にして共重合ポリエステル
樹脂を製造し、得られたポリエステル樹脂について固有
粘度、色調、及び異物含量を測定し、結果を表1に示し
た。
【0044】比較例4 エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽
に、重縮合触媒溶液を添加し、10分経過後、燐酸エチ
ルエステル溶液を添加し、次いで10分経過後、1,3
−フェニレンジオキシジ酢酸溶液を溶解槽から移送した
こと、の外は、実施例1と同様にして共重合ポリエステ
ル樹脂を製造し、得られたポリエステル樹脂について固
有粘度、色調、及び異物含量を測定し、結果を表1に示
した。
【0045】比較例5 エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽
に、燐酸エチルエステル溶液を添加し、10分経過後、
重縮合触媒溶液を添加し、次いで10分経過後、1,3
−フェニレンジオキシジ酢酸溶液を溶解槽から移送した
こと、の外は、実施例1と同様にして共重合ポリエステ
ル樹脂を製造し、得られたポリエステル樹脂について固
有粘度、色調、及び異物含量を測定し、結果を表1に示
した。
【0046】比較例6 エステル化反応終了後のエステル化反応槽に燐酸エチル
エステル溶液を添加した後、反応液の50%を重縮合反
応槽に移送し、10分経過後、重縮合触媒溶液を添加
し、次いで10分経過後、1,3−フェニレンジオキシ
ジ酢酸溶液を溶解槽から移送したこと、の外は、実施例
1と同様にして共重合ポリエステル樹脂を製造し、得ら
れたポリエステル樹脂について固有粘度、色調、及び異
物含量を測定し、結果を表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、ガスバリア性を付与す
るためのジカルボン酸成分を共重合させるにおいて、ガ
スバリア性を付与するためのジカルボン酸成分を共重合
させるにおいて、色調に優れると共に、異物の生成を低
減化させた共重合ポリエステル樹脂の製造方法を提供す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池山 孝一 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 Fターム(参考) 4J029 AA03 AB04 AC02 AD01 AE01 AE03 BA02 BA03 BA04 BA05 BA08 BA10 BB05A BB05B BB10A BB13A BD06A BD07A BF09 BF12 BH02 CA02 CA03 CA04 CA06 CB04A CB05A CB06A CB10A CC06A CD03 CF08 CF13 CG25X CH02 DB13 EB05A EB06A FA02 FA06 FB02 FB07 FC02 FC03 FC04 FC05 FC35 FC36 HA01 HB01 HB03A JA091 JA253 JB171 JC483 JC563 JC583 JD06 JF021 JF031 JF041 JF131 JF141 JF181 JF321 JF361 JF471 JF541 JF571 KB02 KB04 KB05 KB13 KB22 KD01 KD07 KD09 KE02 KE03 KE05 KE12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸又はそのエステル形成誘導
    体を主成分としフェニレンジオキシジ酢酸を共重合成分
    とするジカルボン酸成分と、ジオール成分とを、エステ
    ル化反応又はエステル交換反応を経て重縮合させること
    により共重合ポリエステル樹脂を製造するにおいて、フ
    ェニレンジオキシジ酢酸を、フェニレンジオキシジ酢酸
    を除く前記ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステ
    ル化反応又はエステル交換反応開始後から重縮合反応開
    始前までのいずれかの時期のエステル化又はエステル交
    換反応生成物の存在下へ、且つ、安定剤としての燐化合
    物の添加後であって重縮合触媒の添加前に添加すること
    を特徴とする共重合ポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 フェニレンジオキシジ酢酸をジオール成
    分に溶解させた溶液として反応系へ添加する請求項1に
    記載の共重合ポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 フェニレンジオキシジ酢酸の全ジカルボ
    ン酸成分に占める割合を0.1〜20モル%とする請求
    項1又は2に記載の共重合ポリエステル樹脂の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 フェニレンジオキシジ酢酸が1,3−フ
    ェニレンジオキシジ酢酸である請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の共重合ポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 ジオール成分がエチレングリコールを主
    成分とするものである請求項1乃至4のいずれかに記載
    の共重合ポリエステル樹脂の製造方法。
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WO2008010607A1 (fr) * 2006-07-21 2008-01-24 Teijin Limited Polyester aromatique et son procédé de fabrication
JP2010241974A (ja) * 2009-04-07 2010-10-28 Teijin Fibers Ltd ポリエステルの製造方法

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