JP5598162B2 - 共重合ポリエステル製成形体 - Google Patents
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Description
(1)テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主たるグリコール成分としてなり、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコールの含有量が1.5〜25モル%である共重合ポリエステルを成形してなる共重合ポリエステル製成形体であり、テレフタル酸とネオペンチルグリコールからなる遊離の環状2量体の含有量が5500ppm以下であることを特徴とする共重合ポリエステル製成形体。
(2)テレフタル酸とエチレングリコールからなる遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレートの含有量が120ppm以下であることを特徴とする(1)に記載の共重合ポリエステル製成形体。
(3)テレフタル酸とネオペンチルグリコールからなる遊離のモノヒドロキシネオペンチルテレフタレートの含有量が30ppm以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の共重合ポリエステル製成形体。
(4)全グリコ−ル成分に対するジエチレングリコールの含有量が1.0〜5.0モル%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の共重合ポリエステル製成形体。
(5)カラーb値が−5.0〜5.0であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の共重合ポリエステル製成形体。
(6)厚み5mmにおけるヘイズ値が15%以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の共重合ポリエステル製成形体。
(7)共重合ポリエステル製成形体が、フィルム又はシートである(1)〜(6)のいずれかに記載の共重合ポリエステル製成形体。
本発明の共重合ポリエステル製成形体は、テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主たるグリコール成分としてなり、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコールの含有量は1.5〜25モル%である共重合ポリエステルを成形してなる成形体である。本発明の成形体は、テレフタル酸とネオペンチルグリコールからなる遊離の環状2量体(以下、CDと記することもある)の含有量が5500ppm以下であることを特徴とする。
ただし、CD量は、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコールの含有量に依存する傾向にあり、ネオペンチルグリコールの含有量が、25モル%超であると、上記方法を用いても、CD量を5000ppm以下にすることは困難である。用いる反応装置にもよるが、ネオペンチルグリコールの含有量が10モル%以下程度であれば、上記エチレングリゴールを追加添加・攪拌する方法のみでも、CD量を5000ppm以下にすることは可能である。
本発明の共重合ポリエステル製成形体は、前記の共重合ポリエステルを用い、乾燥などによって水分率を100ppm以下として、一般的に用いられる押出ブロー成形、絞り成形、射出成形、延伸ブロー成形などにより得ることが出来る。
更には、本発明の共重合ポリエステル製成形体は、MHNT含有量が30ppm以下であることが好ましいが、成形体中のMHNT含有量が、これを満たすためには、成形前の共重合ポリエステル中のMHET含有量が、25ppm以下である必要がある。MHNTが30ppm以下の共重合ポリエステルは、上記エステル化反応終了時の共重合ポリエステルオリゴマーのカルボキシル末端基濃度、ヒドロキシル末端基濃度の調整並びに、上記赤外線照射装置で加熱処理する方法、またはこれと同等の方法が必要である。このとき、エステル化反応工程やエステル交換反応工程で用いるエチレングリゴールの15〜23%の量をエステル化反応終了後、あるいはエステル交換反応終了後に低重合度反応生成物に追加添加して、10分以上攪拌することで、オリゴマーのヒドロキシル末端基濃度を高く維持しておくことが必要である。オリゴマー末端基濃度による効果や赤外線照射の効果は、上記CD減少のメカニズムと同様と考えられる。この態様であれば、ネオペンチルグリコールの含有量が20モル%程度であっても、ミネラルウオターなどのような低フレーバー性飲料に用いられる包装材料用共重合ポリエステル製成形体として満足できる。
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノ−ル(重量比2:3)混合溶媒中の30℃での溶液粘度から求めた。
メタノ−ルにより分解し、ガスクロマトグラフィ−によりDEG量を定量し、全グリコ−ル成分に対する割合(モル%)で表した。
試料約0.5gをベンジルアルコール20mlに溶解し、クロロホルムを加え希釈する。1/50規定水酸化カリウム水溶液で、滴定法によりAVを求めた。指示薬としてフェノールレッドを用いた。
試料約100mgを精秤し、HFIP/クロロホルム=2/3(v/v)、3mlで溶解した。クロロホルム20mlを加え、メタノ−ル10mlで再沈した。濾過後、濃縮乾固し、DMF10mlで再溶解した。遠心濾過した溶液をHPLCに供した。なお、共重合ポリエステルはチップを、共重合ポリエステル製成形体は下記10)で得た延伸中空容器を試料とした。
装置 :L−7000(日立製作所製)
カラム:μ−Bondasphere C18 5μ 100Å 3.9mm×15cm(waters製)
検量線:別途単離したテレフタル酸とネオペンチルグリコールからなる環状2量体を用いた。
試料約100mgを精秤し、HFIP/クロロホルム=2/3(v/v)、3mlで溶解した。クロロホルム20mlを加え、メタノ−ル10mlで再沈した。濾過後、濃縮乾固し、DMF10mlで再溶解した。遠心濾過した溶液をHPLCに供した。なお、共重合ポリエステルはチップを、共重合ポリエステル製成形体は下記10)で得た延伸中空容器を試料とした。
装置 :L−7000(日立製作所製)
カラム:μ−Bondasphere C18 5μ 100Å 3.9mm×15cm(waters製)
検量線:別途合成したモノヒドロキシエチルテレフタレートとモノヒドロキシネオペンチルテレフタレートを用いた。
共重合ポリエステル試料約5mgを重クロロホルムとトリフルオロ酢酸の混合溶液(体積比9/1)0.7mlに溶解し、1H−NMR(varian製、UNITY50)を使用して求めた。
共重合ポリエステルのペレットを50℃で72時間真空乾燥後、水分率が250ppm以下であることを確認した後、シリンダ温度230−270−270℃に調節された射出成形機のホッパーに供給して、表面温度が20℃に温度調節された金型を使用して、射出時間15秒、冷却時間30秒の条件にて、厚さ1mm・ランド長さ1mmのフィルムゲートにより100×100×4mmの平板を成形し、評価用試料とした。その厚さ4mmの平板を色差計(東京電色工業(株)製TC1500MC−88型)とC光源を使用して、平板の中央部について測定した。
ヤマトDP63乾燥機にて、120℃で120分放置した試料を、示差走査型熱量計(DSC)を用いて、−100℃〜300℃まで20℃/minで昇温し、次に−100℃まで50℃/minで降温し、続いて−100℃〜300℃まで20℃/minで昇温する二度の昇温過程において融解ピークを示すかどうかを確認し、融解ピークを示すものを「○」、示さないものを「×」とする。
射出成形機(名機製作所製、M−150C−DM)を使用して、280℃で共重合ポリエステルを溶融させ、金型温度10℃で厚さ2〜11mmの段付成形板を成形し、厚さ5mmの部位をヘイズメーター(日本電色社製、Model NDH2000)にてヘイズ値(%)を測定した。
10)官能試験
共重合ポリエステル試料を真空乾燥機で乾燥し、名機製作所製M−150C―DM射出成形機によりプリフォームを成形した。このプリフォームを延伸ブロー成形機を用いて二軸延伸ブロー成形し、引き続き約155℃に設定した金型内で10秒間熱固定し、1500ccの延伸中空容器を得た。この中空容器に70℃の蒸留水を入れ密栓後30分保持し、室温へ冷却し室温で1ヶ月間放置し、開栓後に風味、臭いなどの試験を行った。比較用のブランクとして、蒸留水を使用した。官能試験は10人のパネラーにより以下の基準により実施し、平均値で比較した。
(評価基準)
0:異味、臭いを感じない
1:ブランクとの差をわずかに感じる
2:ブランクとの差を感じる
3:ブランクとのかなりの差を感じる
4:ブランクとの非常に大きな差を感じる
オリゴマーを乾燥に呈すことなくハンディーミル(粉砕器)にて粉砕した。試料1.00gを精秤し、ピリジン20mlを加えた。沸石を数粒加え、15分間煮沸還流し溶解させた。煮沸還流後直ちに、10mlの純水を添加し、室温まで放冷した。フェノールフタレインを指示薬としてN/10−NaOHで滴定した。試料を入れずにブランクも同じ作業を行った。なお、オリゴマーがピリジンに溶解しない場合は、ベンジルアルコール中で行った。下記式に従って、AVo(eq/ton)を算出する。
AVo=(A−B)×0.1×f×1000/W
(A=滴定数(ml),B=ブランクの滴定数(ml),f=N/10−NaOHのファクター,W=試料の重さ(g))
オリゴマーを乾燥に呈すことなくハンディーミル(粉砕器)にて粉砕した。試料0.5gを精秤し、それに、無水酢酸1.02gとピリジン10mlの混合溶液に添加し、95℃で1.5時間反応させた。反応物に蒸留水10mlを加え、室温で放冷した。次いで、N/10の水酸化ナトリウム溶液(溶液:水/メタノール=5/95(体積比))でフェノールフタレインを指示薬として滴定した。なお、オリゴマー水酸価は次式より求めた。
OHV(eq/ton)=((B−A)×f)/(Wg×103)×106
(A=滴定数(ml),B=ブランクの滴定数(ml),f=N/10−NaOHのファクター,W=試料の重さ(g))
予め反応物が残存している第1エステル化反応缶に、ジカルボン酸成分として高純度テレフタル酸(TPA)を100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を96モル%及びネオペンチルグリコール(NPG)を4モル%、ジカルボン酸成分に対する全グリコール成分のモル比(G/A)を2.2に調製したスラリーを連続的に供給した。さらに、生成共重合ポリエステルに対して三酸化アンチモンが200ppmとなるように、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を、第1エステル化反応缶に連続的に供給した。次いで、攪拌下、缶内圧力0.05MPa、250℃の条件下で、平均滞留時間が3時間となるようにエステル化反応を行った。この反応物を第2エステル化反応缶に移送し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、260℃の条件下で、平均滞留時間が1時間となるようにエステル化反応を行った。次いで、このエステル化反応物を第3エステル化反応缶に移送し、攪拌下、缶内圧力0.05MPa、260℃の条件下でエステル化反応を行った。
攪拌機及び留出コンデンサーを有する、容積10Lのエステル化反応槽に、テレフタル酸(TPA)2490重量部、エチレングリコール(EG)1964重量部、ネオペンチルグリコール(NPG)137重量部を投入し、触媒として三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を生成共重合ポリエステルに対してアンチモン金属が180ppm含有するように添加した。
撹拌機、温度計、流出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸ジメチル970重量部、エチレングリコール655重量部、ネオペンチルグリコール46重量部、触媒として酢酸マンガン4水和物のエチレングリコール溶液を生成共重合ポリエステルに対してマンガン金属が400ppm含有するように、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を生成共重合ポリエステルに対してアンチモン金属が200ppm含有するように添加した。
EGおよびNPGの含有量を変更する以外は、実施例1と同様にして反応させて共重合ポリエステルを得た。また、実施例1と同様に加熱処理を行った。評価結果を表1に示す。本実施例、参考例で得られた共重合ポリエステルを10)の方法により二軸延伸ブロー成形して得たボトルは、透明性及び色調に優れ、官能試験の結果はそれぞれ1.0,1.3とあまり問題なく保香性にも優れたものであった。
EGおよびNPGの含有量を実施例4に合わせ、重合後の赤外線放射装置による加熱処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして反応させて共重合ポリエステルを得た。評価結果を表1に示す。本参考例で得られた共重合ポリエステルを10)の方法により二軸延伸ブロー成形して得たボトルは、透明性及び色調に優れ、官能試験の結果は2.2とやや高くて保香性が実施例4に比べると劣っていた。
EGおよびNPGの含有量を参考例5に合わせ、生成したオリゴマーに、EGをエステル化反応前に添加した量の15%に相当する量を添加した以外は、実施例1と同様にして反応させて共重合ポリエステルを得た。評価結果を表1に示す。本実施例で得られた共重合ポリエステルを10)の方法により二軸延伸ブロー成形して得たボトルは、透明性及び色調に優れ、官能試験の結果は0.9と、保香性が参考例5に比べると優れていた。
共重合成分としてNPGを全く用いないこと以外は、実施例1と同様にして反応させて共重合ポリエステルを得た。また、実施例1と同様に加熱処理を行った。評価結果を表1に示す。本比較例で得られた共重合ポリエステルを10)の方法により二軸延伸ブロー成形して得たボトルは、透明性に劣るものであった。
原料として用いるEGとNPGの使用量を変更すること以外は、実施例1と同様にして反応させて共重合ポリエステルを得た。また、実施例1と同様に加熱処理を行った。評価結果を表1に示す。本比較例で得られた共重合ポリエステルは結晶性ではなく、肉厚で大型の容器として好適に使用しうるだけの機械強度、耐熱性を有するものではなかった。また、本比較例で得られた共重合ポリエステルを10)の方法により二軸延伸ブロー成形して得たボトルは、官能試験の結果は2.5とやや高くて保香性が悪いものであった。
EGおよびNPGの含有量を実施例4に合わせ、エステル交換反応後にEGを添加せず、重合後の赤外線放射装置による加熱処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして反応させて共重合ポリエステルを得た。評価結果を表1に示す。本比較例で得られた共重合ポリエステルを10)の方法により二軸延伸ブロー成形して得たボトルは、透明性及び色調に劣り、官能試験の結果は3.5と高くて保香性が非常に悪いものであった。
エステル交換触媒として酢酸マンガンの代わりに酢酸亜鉛4水和物を生成共重合ポリエステルに対して亜鉛金属が400ppm含有するように添加し、三酸化アンチモンを生成共重合ポリエステルに対してアンチモン金属が450ppm含有するように添加し、エステル交換反応後にEGを添加せず、酢酸コバルト2水和物を添加せず、さらに、得られた共重合ポリエステルを赤外線放射装置で加熱処理をしないこと以外は、実施例3と同様にして反応させて共重合ポリエステルを得た。評価結果を表1に示す。本比較例で得られた共重合ポリエステルを10)の方法により二軸延伸ブロー成形して得たボトルは、透明性及び色調に劣り、官能試験の結果は3.5と高くて保香性が非常に悪いものであった。
Claims (6)
- テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主たるグリコール成分としてなり、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコールの含有量が1.5〜25モル%である共重合ポリエステルを成形してなる共重合ポリエステル製成形体であり、テレフタル酸とネオペンチルグリコールからなる遊離の環状2量体の含有量が5500ppm以下であり、テレフタル酸とネオペンチルグリコールからなる遊離のモノヒドロキシネオペンチルテレフタレートの含有量が30ppm以下であることを特徴とする共重合ポリエステル製成形体。
- テレフタル酸とエチレングリコールからなる遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレートの含有量が120ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の共重合ポリエステル製成形体。
- 全グリコ−ル成分に対するジエチレングリコールの含有量が1.0〜5.0モル%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の共重合ポリエステル製成形体。
- カラーb値が−5.0〜5.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の共重合ポリエステル製成形体。
- 厚み5mmにおけるヘイズ値が15%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の共重合ポリエステル製成形体。
- 共重合ポリエステル製成形体が、フィルム又はシートである請求項1〜5のいずれかに記載の共重合ポリエステル製成形体。
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