JP2009011621A - 歯ブラシ用ハンドル - Google Patents
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Abstract
【課題】
環境ホルモン性物質を含有せず、かつ射出成形性、透明性、色調、耐衝撃性に優れた歯ブラシを提供すること。
【解決手段】
歯ブラシの少なくとも一部が、ゲルマニウム化合物、コバルト化合物およびリン化合物を元素として合計10〜300ppm含有し、少なくとも主たるグリコール成分として、エチレングリコールが65〜80モル%、ネオペンチルグリコールが20〜35モル%、および少なくとも主たるジカルボン酸成分として、テレフタル酸を80〜100モル%含み、固有粘度が0.55〜0.90dl/gであって、その樹脂を使った4mm厚さの射出成形体のヘーズが2.0%以下であり、且つカラーbが3以下である非晶性共重合ポリエステル樹脂からなることを特徴とする歯ブラシ。
【選択図】なし
環境ホルモン性物質を含有せず、かつ射出成形性、透明性、色調、耐衝撃性に優れた歯ブラシを提供すること。
【解決手段】
歯ブラシの少なくとも一部が、ゲルマニウム化合物、コバルト化合物およびリン化合物を元素として合計10〜300ppm含有し、少なくとも主たるグリコール成分として、エチレングリコールが65〜80モル%、ネオペンチルグリコールが20〜35モル%、および少なくとも主たるジカルボン酸成分として、テレフタル酸を80〜100モル%含み、固有粘度が0.55〜0.90dl/gであって、その樹脂を使った4mm厚さの射出成形体のヘーズが2.0%以下であり、且つカラーbが3以下である非晶性共重合ポリエステル樹脂からなることを特徴とする歯ブラシ。
【選択図】なし
Description
本発明は歯ブラシに関するもので、さらに詳しくは、耐候性(耐紫外線変色性)に優れ、且つ高透明、色調が良好で耐衝撃性や安全性が高く、環境ホルモン物質を含有せず人体にやさしい歯ブラシ用ハンドルに関するものである。
歯ブラシは、ヘッド部およびグリップ部を有するハンドルと、ヘッド部に植え付けられたブラシ部で構成される。歯ブラシのハンドル部の材料は、当初AS樹脂、ABS樹脂が広く使用されていたが、耐ストレスクラック性が悪い為に、ポリプロピレン樹脂へと置き換わった。しかし、ポリプロピレン樹脂は、耐薬品性が高いものの、常温での剛性が低く、剛性を維持するためにハンドルのネック部を太くする必要があったり、成形時に結晶化による白化が進む為、透明性を求められる昨今のデザインに適応できなかったりしたため、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレートやこれらの混合物が一般に用いられるようになった。最近では、歯ブラシのハンドルにおいては、操作性を高める為に首部をより細長くしたり、グリップ性を高める為に滑り止め、孔、屈曲部等を形成したりする為、デザインが複雑化している一方、デザインの複雑化が、コストアップに繋がる為、成形サイクルの短縮化によるコストダウンが求められており、近年特に、成形性が重要視されている。しかしながら、上述した樹脂の成形性は必ずしも良くなく、特にPETは、金型を加熱して成形温度を高めることで対処していた。また、消毒・殺菌等の為に歯ブラシを熱湯に曝すこともあり、熱的機械的性質の向上も求められている。そこで、特開昭60−163603号公報では金型を積極的に加熱して結晶化度を上げることがなされている。しかしながら、金型温度を高く(130℃前後)して成形温度を高めると、金型からの離型性の悪化、白化現象、脆化が生じたりして、良品を安価に得ることは困難であった。
他方、PETにポリアリレートを混合することによって、成形性の改善やクラックの防止を試みることもなされている(引用文献1を参照)。しかしながら、ポリアリレートはビスフェノール樹脂誘導体であることから、環境ホルモンとして懸念されている為、好ましくない。
また、首部を細長くしたデザインにも適応すべく、より高い強度が必要とされるようになった。さらにまた、美観がより重要視されるようになり、ガラス様の透明性および表面光沢が要求され、また、色調の薄いものほど、耐光性も要求されており、引用文献3ではテレフタル酸−エチレングリコールにイソフタル酸を共重合したPET系樹脂が用いられている。しかしながら、引用文献3の方法では、成形時ゲート部分や厚肉部分が結晶化により透明性が失われる為、透明性を付与するために低温の金型を使用したりすることが有効な手段であるが、この場合も流動性が不足し良好な成形体が得られないという問題があった。また、本特許の方法による歯ブラシハンドルでは、耐衝撃性が低い為に使用中にクラックやクレイズが発生する問題もあった。
引用文献4では、透明性、成形性、耐衝撃性を両立したものとして、テレフタル酸−エチレングリコールに2−メチル−1,3プロパンジオールを共重合したポリエステル系樹脂からなる歯ブラシ用ハンドルが提案されているが、共重合成分である2−メチル−1,3プロパンジオールは、一般的ではない為、コストが高い。また共重合ポリエステル樹脂の色調も悪く、清潔感が求められる歯ブラシ用ハンドルとしては好ましいものではなかった。
一方、歯ブラシ用ハンドルとして要求される他の特性として耐候性(耐紫外線変色性)が必要であるが、従来技術では満足できるものではなかった。
特開昭60−163603号公報(引用文献1)
実開昭63−128826号公報(引用文献2)
特開2001−128736号公報(引用文献3)
特開2004−8641号公報(引用文献4)
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消した成形性・離型性、透明性、色調、耐衝撃性に優れた歯ブラシ用ハンドルであり、特に耐候性(耐紫外線変色性)に優れた歯ブラシ用ハンドルを提供することである。
前記課題を解決するため、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、遂に本発明を完成するに到った。即ち、本発明は、
(1)歯ブラシ用ハンドルの少なくとも一部が、少なくとも主たるグリコール成分として、エチレングリコールが65〜80モル%、ネオペンチルグリコールが20〜35モル%、および少なくとも主たるジカルボン酸成分として、テレフタル酸を80〜100モル%含む非晶性共重合ポリエステル樹脂を成形してなることを特徴とする歯ブラシ用ハンドル。
(2)非晶性共重合ポリエステル樹脂の固有粘度が0.55〜0.90dl/gである請求項1に記載の歯ブラシ用ハンドル。
(3)非晶性共重合ポリエステル樹脂が、270℃で成形された4mmの射出成形板のヘーズが2.0%以下であり、且つカラーbが3.0以下である請求項1又は2のいずれかに記載の歯ブラシ用ハンドル。
(請求項4)非晶性共重合ポリエステル樹脂が、ゲルマニウム化合物、コバルト化合物およびリン化合物いずれかの元素からなる化合物を元素として合計10〜300ppm含有する請求項3に記載の歯ブラシ用ハンドル。
(請求項5)非晶性共重合ポリエステル樹脂が、コバルト化合物を元素として5〜30ppm含有する請求項4に記載の歯ブラシ用ハンドル。
(請求項6)非晶性共重合ポリエステル樹脂が、離型剤を0.01〜2質量%含有する請求項3〜5のいずれかに記載の歯ブラシ用ハンドル。
(1)歯ブラシ用ハンドルの少なくとも一部が、少なくとも主たるグリコール成分として、エチレングリコールが65〜80モル%、ネオペンチルグリコールが20〜35モル%、および少なくとも主たるジカルボン酸成分として、テレフタル酸を80〜100モル%含む非晶性共重合ポリエステル樹脂を成形してなることを特徴とする歯ブラシ用ハンドル。
(2)非晶性共重合ポリエステル樹脂の固有粘度が0.55〜0.90dl/gである請求項1に記載の歯ブラシ用ハンドル。
(3)非晶性共重合ポリエステル樹脂が、270℃で成形された4mmの射出成形板のヘーズが2.0%以下であり、且つカラーbが3.0以下である請求項1又は2のいずれかに記載の歯ブラシ用ハンドル。
(請求項4)非晶性共重合ポリエステル樹脂が、ゲルマニウム化合物、コバルト化合物およびリン化合物いずれかの元素からなる化合物を元素として合計10〜300ppm含有する請求項3に記載の歯ブラシ用ハンドル。
(請求項5)非晶性共重合ポリエステル樹脂が、コバルト化合物を元素として5〜30ppm含有する請求項4に記載の歯ブラシ用ハンドル。
(請求項6)非晶性共重合ポリエステル樹脂が、離型剤を0.01〜2質量%含有する請求項3〜5のいずれかに記載の歯ブラシ用ハンドル。
本発明の歯ブラシ用ハンドルは、環境ホルモン性物質を含有せず、流動性が高く射出成形性に優れ、透明で色調がよく、かつ耐衝撃性及び耐傷性に優れたものである。さらに本発明によれば特に耐候性(耐紫外線変色性)に優れた歯ブラシ用ハンドルを提供できる。
以下、本発明の医療用具用樹脂組成物について実施の形態を説明する。
本発明における「非晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて−100℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温した後、液体窒素により直ちに冷却し、次に−100℃から300℃まで20℃/minの速度で再度昇温したときに、2度の昇温過程のどちらにも明確な融解ピークを示さないポリエステル樹脂を意味する。なお、かかる昇温−降温−昇温の操作を行ったときに、その2度の昇温過程の少なくともいずれかで明確な融解ピークを示すものは「非晶性ポリエステル樹脂」ではなく「結晶性ポリエステル樹脂」である。
本発明における「非晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて−100℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温した後、液体窒素により直ちに冷却し、次に−100℃から300℃まで20℃/minの速度で再度昇温したときに、2度の昇温過程のどちらにも明確な融解ピークを示さないポリエステル樹脂を意味する。なお、かかる昇温−降温−昇温の操作を行ったときに、その2度の昇温過程の少なくともいずれかで明確な融解ピークを示すものは「非晶性ポリエステル樹脂」ではなく「結晶性ポリエステル樹脂」である。
本発明に使用される非晶性共重合ポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレートとネオペンチルテレフタレートとを主たる繰り返し単位とする非晶性共重合ポリエステル樹脂である。組成の均一性が良好であるだけでなく、透明性に優れる成形品を得るためには、ポリエステルのジカルボン酸成分がテレフタル酸(TPA)からなり、他方、グリコール成分は、エチレングリコール(EG)が65〜80モル%、ネオペンチルグリコール(NPG)が20〜35モル%の組成であることが重要である。該組成の共重合ポリエステル樹脂を用いることにより、射出成形性が確保でき、成形品の透明性と耐熱性を両立することができる。EGやNPG以外のグリコール成分としては、公知のグリコール成分が共重合できる。例えば、1,3プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリラクトン等が挙げられる。これらの中では、ブタンジオールが成形品の透明性の面から好ましい。またTPA以外の酸成分としては、公知の酸成分が共重合できる。例えば、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などが使用される。これらの中では、イソフタル酸やナフタレンジカルボン酸は、熱劣化が小さいので好ましい。
NPGが20モル%未満の場合、共重合ポリエステル樹脂が結晶化して発現する球晶構造により、成形体が白化して透明性が損なわれやすく、そのために成形条件幅が狭く量産性に劣る。またNPGが35モル%より多い場合は、重合度が上がりにくくなり、所定の固有粘度に到達するまでに時間を要する為、その間の熱履歴により色調が悪化しやすくなる。また、成形品の硬度が低下して、使用時成形品に傷がつきやすき透明性が損なわれて好ましくない。
本発明に使用される非晶性共重合ポリエステル樹脂の固有粘度(JIS K7390準拠 溶媒:フェノール/テトラクロロエタン=6/4質量比、測定温度:30℃)は、0.50〜0.90dl/gであることが好ましい。特には0.60〜0.75dl/gが好ましい。固有粘度が0.50以下では、分子量が低い為、強度の低い成形品しか得られない。また、0.90dl/g以上では、溶融粘度が高くなり過ぎて、流動性が低下して好ましくない。
本発明に使用される非晶性共重合ポリエステル樹脂は、270℃で成形された成形板の4mm厚さ当たりのヘーズが2.0%以下、であることが重要であり、1.5%以下が好ましく、1.0%以下が特に好ましい。2.0%を超えた場合は、透明性に劣る為、歯ブラシとして見た時、美観に欠けるものしか得られない。2.0%以下であれば、透き通った清潔感のある製品に仕上がる為、衛生製品としては重要な特性の一つである。
本発明に使用される非晶性共重合ポリエステル樹脂は、270℃で成形された成形板のカラーbが3以下であることが重要である。更には、2以下がより好ましい。3を超えた場合は、黄色味が強い為、衛生製品として重要な清潔感が損なわれる為、好ましくない。
本発明に使用される非晶性共重合ポリエステル樹脂は、ゲルマニウム化合物、コバルト化合物およびリン化合物が元素として合計10〜300ppm含有することが重要である。50〜200ppmが好ましく、80〜150ppmが特に好ましい。これらは重合触媒として使用される。これらの元素は、酸化物、酢酸塩、アルコキサイド等として添加するのが好ましい。これらの元素が合計10ppm以下では、重合速度が遅く生産性が低く、また合計300ppm以上では、溶融成型時の熱分解を促進して、色調が黄味おびて本発明の効果が発揮できない。
本発明に使用される非晶性共重合ポリエステル樹脂は、コバルト化合物をコバルト元素として5〜30ppm含んでなることが好ましい。該配合により、青み付け効果が発現され、前述のYIが低減され成形体の色調が改善される。好ましい添加範囲としては、8〜25ppmであり、さらに好ましくは、10〜20ppmmである。5ppm未満では色調改善効果が少なく、逆に30ppmを超えた場合は成形体の透明性や明度が低下するので好ましくない。該コバルト元素は、酸化物、酢酸塩、アルコキサイド等として添加するのが好ましい。
本発明に使用される非晶性共重合ポリエステル樹脂は、リン元素を含んでなることが好ましい。リン元素は、コバルト元素と併用することにより青み付け効果を効率良く発現することができる。リン元素は、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸およびこれらのエステル化合物等として該コバルト元素に対して0.5〜3当量を添加するのが好ましい。
さらに、本発明に使用される非晶性共重合ポリエステル樹脂には、常用の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐侯剤、耐加水分解剤、顔料などを添加してもよい。熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系、チオエーテル系、ホスファイト系等やこれらの組み合わせを挙げることができる。耐侯剤としては、ベンゾフェノン系、トリアゾール系、ヒンダードアミン系などが挙げることができる。また、耐加水分解剤としては、カルボジイミド、ビスオキサゾリン、エポキシ、イソシアネート化合物が挙げることが出来る。また、蛍光染料を配合することもできる。
本発明に使用される非晶性共重合ポリエステル樹脂は、前記の各構成成分をモノマー段階で混合し重合することができる。また、安定剤や離型剤は重合前後に混合することもできるが、単軸押出機、2軸押出機やニーダーなどの装置を用いて、離型剤や安定剤を混練することにより製造することができる。安定剤をより高濃度に含む組成物を予め溶融混練して、成形時にこれをマスターバッチとして混合することもできる。
射出成形の方法としては、非晶性である為、結晶化による白化を生じない為、必ずしも金型を冷却する必要はないが、冷却固化を速める為、70℃以下に冷却するのが好ましい。
本発明においては、非晶性共重合ポリエステル樹脂を前記した組成に最適化しているので、前記金型温度範囲で安定した生産ができるが、非晶性共重合ポリエステル樹脂が離型剤を0.01〜2質量%含んでなることが好ましい実施態様である。離型剤としては、非晶性共重合ポリエステル樹脂を失透させることなく離型抵抗を低減するものでなければならない。例えば、高級脂肪酸エステル系、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸のモノアミド、高級脂肪酸のビスアミドが挙げられる。特に、炭素数が20以下の高級脂肪酸塩や高級脂肪酸のビスアミドが好ましい。これらの離型剤は非晶性共重合ポリエステル樹脂100質量部に対して0〜2質量部、好ましく0.01〜0.8質量部が配合される。2質量部を超えると成形体の透明度や色調が損なわれるので本発明には好ましくない。該離型剤の配合により、金型よりの成形体の離型性が向上し、生産の安定性がより向上する。
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお明細書中の物性評価は以下の方法により測定した。
(1)共重合ポリエステル樹脂の固有粘度
JIS K7390に準じてフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒に溶解し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
(2)共重合ポリエステル樹脂の共重合組成
共重合ポリエステル樹脂1mgを下記条件でプロトンNMR測定した。
(測定条件)
装置 :核磁気共鳴装置(BRUKER製、AVANCE500)
測定溶媒 :重水素化クロロホルム/トリフルオロ酢酸=9/1(v/v)
1H共鳴周波数: 500MHz
積算回数 : 512回
測定温度 : 室温
(3)共重合ポリエステル樹脂の金属含有量の定量
蛍光X線法で測定した。それぞれの金属について含有量既知の標準サンプルを用いて求めた検量線で定量した。(測定装置:理学電機製上面照射型蛍光X線分析装置、ZSX 100e)
(4)黄色度指数(YI)
共重合ポリエステル樹脂組成物のペレットを50℃で72時間真空乾燥後、水分率が250ppm以下であることを確認した後、シリンダ温度230−270−270℃に調節された射出成形機のホッパーに供給して、表面温度が20℃に温度調節された金型を使用して、射出時間15秒、冷却時間30秒の条件にて、厚さ1mm・ランド長さ1mmのフィルムゲートにより100×100×4mmの平板を成形し評価用サンプルとした。
その4mmの平板を色差計(東京電色工業(株)製、TC1500MC−88型)とC光源を使用して、平板の中央部について測定した。
(5)透明性(ヘーズ)
(4)にて作製した厚さ4mmの平板の中央部について、JIS K7361−1に準じ、日本電色工業(株)製濁度計(Haze Meter NDH2000型)とハロゲンランプを使用して、ヘーズを測定した。
(6)シャルピー衝撃試験
(4)と同様の方法で乾燥後、シリンダ温度230−270−270℃に調節された射出成形機のホッパーに供給して、表面温度が20℃に温度調節されたISO294の多目的金型により、厚さ4mmのテストピースを射出成形した。ISO179に準じて、ノッチ加工後の23℃におけるシャルピー衝撃試験を実施した。
(7)耐候性(耐紫外線変色性)評価
(4)にて作製した厚さ4mmの平板をサンプルとして用いて以下の試験を行った。評価判定は目視で着色の有無により行った。
試験装置:ダイプラメタルウェザー KW−R5TP型
光源 :メタルハライドランプ
フィター:KF−1(透過波長域 295〜780nm)
UV照射:70mW/cm2(測定波長域 300〜400nm)
スプレー:なし
槽内温度:53℃
槽内湿度:50%RH
試験時間:74時間
評価判定:○ ;着色なし
○〜△ ;わずかに着色あり
× ;着色大
(8)耐ストレスクラック性評価
(4)と同様の方法で乾燥後、シリンダ温度230−270−270℃に調節された射出成形機のホッパーに供給して、表面温度が20℃に温度調節された金型を使用して、射出時間10秒、冷却時間20秒の条件にて、厚さ1mm・ランド長さ1mmのフィルムゲートにより100×100×2mmの平板を成形し評価用サンプルとした。
その2mmの平板を歪み0.5%で固定し、歯磨き粉3種類を表面に塗り、水中に浸漬し、15時間後の状態を観察した。
○:変化無し。
×:クレイズ、クラック発生。
(1)共重合ポリエステル樹脂の固有粘度
JIS K7390に準じてフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒に溶解し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
(2)共重合ポリエステル樹脂の共重合組成
共重合ポリエステル樹脂1mgを下記条件でプロトンNMR測定した。
(測定条件)
装置 :核磁気共鳴装置(BRUKER製、AVANCE500)
測定溶媒 :重水素化クロロホルム/トリフルオロ酢酸=9/1(v/v)
1H共鳴周波数: 500MHz
積算回数 : 512回
測定温度 : 室温
(3)共重合ポリエステル樹脂の金属含有量の定量
蛍光X線法で測定した。それぞれの金属について含有量既知の標準サンプルを用いて求めた検量線で定量した。(測定装置:理学電機製上面照射型蛍光X線分析装置、ZSX 100e)
(4)黄色度指数(YI)
共重合ポリエステル樹脂組成物のペレットを50℃で72時間真空乾燥後、水分率が250ppm以下であることを確認した後、シリンダ温度230−270−270℃に調節された射出成形機のホッパーに供給して、表面温度が20℃に温度調節された金型を使用して、射出時間15秒、冷却時間30秒の条件にて、厚さ1mm・ランド長さ1mmのフィルムゲートにより100×100×4mmの平板を成形し評価用サンプルとした。
その4mmの平板を色差計(東京電色工業(株)製、TC1500MC−88型)とC光源を使用して、平板の中央部について測定した。
(5)透明性(ヘーズ)
(4)にて作製した厚さ4mmの平板の中央部について、JIS K7361−1に準じ、日本電色工業(株)製濁度計(Haze Meter NDH2000型)とハロゲンランプを使用して、ヘーズを測定した。
(6)シャルピー衝撃試験
(4)と同様の方法で乾燥後、シリンダ温度230−270−270℃に調節された射出成形機のホッパーに供給して、表面温度が20℃に温度調節されたISO294の多目的金型により、厚さ4mmのテストピースを射出成形した。ISO179に準じて、ノッチ加工後の23℃におけるシャルピー衝撃試験を実施した。
(7)耐候性(耐紫外線変色性)評価
(4)にて作製した厚さ4mmの平板をサンプルとして用いて以下の試験を行った。評価判定は目視で着色の有無により行った。
試験装置:ダイプラメタルウェザー KW−R5TP型
光源 :メタルハライドランプ
フィター:KF−1(透過波長域 295〜780nm)
UV照射:70mW/cm2(測定波長域 300〜400nm)
スプレー:なし
槽内温度:53℃
槽内湿度:50%RH
試験時間:74時間
評価判定:○ ;着色なし
○〜△ ;わずかに着色あり
× ;着色大
(8)耐ストレスクラック性評価
(4)と同様の方法で乾燥後、シリンダ温度230−270−270℃に調節された射出成形機のホッパーに供給して、表面温度が20℃に温度調節された金型を使用して、射出時間10秒、冷却時間20秒の条件にて、厚さ1mm・ランド長さ1mmのフィルムゲートにより100×100×2mmの平板を成形し評価用サンプルとした。
その2mmの平板を歪み0.5%で固定し、歯磨き粉3種類を表面に塗り、水中に浸漬し、15時間後の状態を観察した。
○:変化無し。
×:クレイズ、クラック発生。
〔実施例1〕
ジカルボン酸成分として高純度テレフタル酸(TPA)を100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を83モル%およびネオペンチルグリコール(NPG)17モル%を精留塔および攪拌装置を備えた反応容器に入れ、攪拌を行いながら260℃まで徐々に昇温した。留出する水を系外に排出しながらエステル化を行い、重縮合反応器に移した後15分間260℃にて保留した後、重縮合触媒として酸化ゲルマニウムを生成ポリエステルに対してゲルマニウム元素として60ppmとなるようにに添加した。5分経過後色調改善剤として酢酸コバルトおよびリン酸トリメチルをそれぞれコバルト元素およびリン元素として生成ポリエステルに対して12ppmおよび24ppmとなるように添加しさらに5分経過後に、攪拌下、265℃、35hPaで1時間次いで、第2重縮合反応缶で攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間かけて重縮合反応を行い、表1に示した共重合組成の共重合ポリエステル樹脂を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂を前記した条件でテストピースを作製した。得られたテストピースの特性値を表1に示す。
ジカルボン酸成分として高純度テレフタル酸(TPA)を100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を83モル%およびネオペンチルグリコール(NPG)17モル%を精留塔および攪拌装置を備えた反応容器に入れ、攪拌を行いながら260℃まで徐々に昇温した。留出する水を系外に排出しながらエステル化を行い、重縮合反応器に移した後15分間260℃にて保留した後、重縮合触媒として酸化ゲルマニウムを生成ポリエステルに対してゲルマニウム元素として60ppmとなるようにに添加した。5分経過後色調改善剤として酢酸コバルトおよびリン酸トリメチルをそれぞれコバルト元素およびリン元素として生成ポリエステルに対して12ppmおよび24ppmとなるように添加しさらに5分経過後に、攪拌下、265℃、35hPaで1時間次いで、第2重縮合反応缶で攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間かけて重縮合反応を行い、表1に示した共重合組成の共重合ポリエステル樹脂を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂を前記した条件でテストピースを作製した。得られたテストピースの特性値を表1に示す。
〔実施例2〜4〕
表1に示した共重合組成の共重合ポリエステル樹脂を実施例1と同様に評価した。
〔比較例1〕
ジカルボン酸成分として、高純度テレフタル酸(TPA)を90モル%とイソフタル酸を10モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を100モル%を精留塔および攪拌装置を備えた反応容器に入れ、攪拌を行いながら260℃まで徐々に昇温した。留出する水を系外に排出しながらエステル化を行い、重縮合反応器に移した後15分間260℃にて保留した後、重縮合触媒として酸化ゲルマニウムを生成ポリエステルに対してゲルマニウム元素として60ppmとなるように添加した。5分経過後色調改善剤として酢酸コバルトおよびリン酸トリメチルをそれぞれコバルト元素およびリン元素として生成ポリエステルに対して12ppmおよび24ppmとなるように添加しさらに5分経過後に、攪拌下、265℃、35hPaで1時間次いで、第2重縮合反応缶で攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間かけて重縮合反応を行い、表1に示した共重合組成の共重合ポリエステル樹脂を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂を前記した条件でテストピースを作製した。得られたテストピースの特性値を表1に示す。
表1に示した共重合組成の共重合ポリエステル樹脂を実施例1と同様に評価した。
〔比較例1〕
ジカルボン酸成分として、高純度テレフタル酸(TPA)を90モル%とイソフタル酸を10モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を100モル%を精留塔および攪拌装置を備えた反応容器に入れ、攪拌を行いながら260℃まで徐々に昇温した。留出する水を系外に排出しながらエステル化を行い、重縮合反応器に移した後15分間260℃にて保留した後、重縮合触媒として酸化ゲルマニウムを生成ポリエステルに対してゲルマニウム元素として60ppmとなるように添加した。5分経過後色調改善剤として酢酸コバルトおよびリン酸トリメチルをそれぞれコバルト元素およびリン元素として生成ポリエステルに対して12ppmおよび24ppmとなるように添加しさらに5分経過後に、攪拌下、265℃、35hPaで1時間次いで、第2重縮合反応缶で攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間かけて重縮合反応を行い、表1に示した共重合組成の共重合ポリエステル樹脂を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂を前記した条件でテストピースを作製した。得られたテストピースの特性値を表1に示す。
〔比較例2〜5〕
表1に示した共重合組成共重合を止めポリエチレンテレフタレートとし、比較例1と同様にしてポリエステル樹脂およびテストピースを得た。
表1に示した共重合組成共重合を止めポリエチレンテレフタレートとし、比較例1と同様にしてポリエステル樹脂およびテストピースを得た。
実施例1〜4で得られた射出成形体はいずれもが、透明性、色調、耐衝撃性、耐候性に優れており、歯ブラシハンドル用材料として好適に使用することができる。一方、比較例1,2は、衝撃強度が低く、ハミガキ粉に対するストレスクラック評価において、クレイズが発生した。比較例3,4は、色調や透明性に劣り、歯ブラシハンドル用材料としては、低品質なものとなった。又、比較例5は透明性、色調、耐衝撃性に優れているが、耐候性が悪く、紫外線により着色するものであった。
本発明の歯ブラシ用ハンドルは、成形性・離型性、透明性、色調、耐衝撃性、耐候性に優れており、さらに耐傷性及び耐紫外線変色性に優れていることから、産業界に大きく寄与することが期待される。
Claims (6)
- 歯ブラシ用ハンドルの少なくとも一部が、少なくとも主たるグリコール成分として、エチレングリコールが65〜80モル%、ネオペンチルグリコールが20〜35モル%、および少なくとも主たるジカルボン酸成分として、テレフタル酸を80〜100モル%含む非晶性共重合ポリエステル樹脂を成形してなることを特徴とする歯ブラシ用ハンドル。
- 非晶性共重合ポリエステル樹脂の固有粘度が0.55〜0.90dl/gである請求項1に記載の歯ブラシ用ハンドル。
- 非晶性共重合ポリエステル樹脂が、270℃で成形された4mmの射出成形板のヘーズが2.0%以下であり、且つカラーbが3.0以下である請求項1又は2のいずれかに記載の歯ブラシ用ハンドル。
- 非晶性共重合ポリエステル樹脂が、ゲルマニウム化合物、コバルト化合物およびリン化合物いずれかの元素からなる化合物を元素として合計10〜300ppm含有する請求項3に記載の歯ブラシ用ハンドル。
- 非晶性共重合ポリエステル樹脂が、コバルト化合物を元素として5〜30ppm含有する請求項4に記載の歯ブラシ用ハンドル。
- 非晶性共重合ポリエステル樹脂が、離型剤を0.01〜2質量%含有する請求項3〜5のいずれかに記載の歯ブラシ用ハンドル。
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