JP4048955B2 - ポリエステル及びその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステルに関するものである。詳しくは、主成分として脂環式ジオール成分と脂環式ジカルボン酸成分とを含むポリエステル並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル樹脂はフィルム、繊維、成形体など広い分野で利用されている。中でも1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(以下、1,4−CHDAと略記することがある)を主たるジカルボン酸成分とし、脂環式ジオールを主たるジオール成分とするポリエステルは透明性や耐熱性、耐候性がすぐれ用途が拡がりつつある。
【0003】
1,4−CHDA成分の原料として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル(以下、1,4−DMCDと略記することがある)、脂環式ジオール成分の原料として1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、1,4−CHDMと略記することがある)を用いてエステル交換反応を経て重縮合することにより作られるポリエステルが知られており、例えば、特許文献1には、シクロヘキサンジカルボン酸エステルとシクロヘキサンジメタノールを原料として得られる構成単位を有し、特定の粘度等を有するポリエステルが記載され、ポリマー末端酸価が6ミリ当量/kg以下が好ましいことが記載されている。
【0004】
特許文献2には、重合度の向上を目的として、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステルとジオールの反応でえられるポリエステルのジオール原料として特定量の脂肪族ジオールを使用することが記載されている。
又、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分の原料として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、脂環式ジオール成分の原料として1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いてエステル化反応を経て重縮合することにより作られるポリエステルも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
USP5,986,040号公報
【特許文献2】
USP6,084,055号公報
【特許文献3】
特開2000−290356号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、我々の検討によれば、特許文献1に記載のポリエステルは、末端酸価が低いものの耐加水分解性が未だ不充分である。又、特許文献2に記載の方法でポリエステルを製造した場合、重合速度が良好であるものの、得られるポリエステルは同じく末端酸価が低いものの耐加水分解性が不充分である。
【0007】
一方、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と、脂環式ジオール成分の原料として1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いてエステル化反応を経て重縮合した場合、ポリマー末端酸価が多く耐加水分解性が劣る傾向があり、ポリマー末端酸価を下げるため脂環式ジオール/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸仕込み比を上げることが考えられるが、重合速度が非常に遅くなるという問題があり、重合速度を上げるため温度を上げると、ポリマーの融点が下がったり、あるいは着色するという問題がある。
【0008】
本発明は上記実状に鑑みなされたものであって、主として脂環式ジオールと脂環式ジカルボン酸から誘導されるポリエステルであって耐加水分解性の良好なポリエステル及びその製造法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため検討した結果、主として脂環式ジオールと脂環式ジカルボン酸を原料として得られるポリエステルに、共重合成分として短鎖のアルキレンジオール成分を導入し、ポリエステルの末端酸価をコントロールすることにより得られるポリエステルが上記課題を解決することを見出し本発明に至った。
【0010】
即ち本発明は、(1)ポリエステルの構成成分のうち、ジカルボン酸成分の主成分が脂環式ジカルボン酸成分であり、ジオール成分の80〜99.95モル%が脂環式ジオール成分、0.05〜20モル%が炭素数2〜10のアルキレンジオール成分であり、(2)固有粘度が0.5dl/g以上かつ、(3)ポリマー末端酸価が40当量/トン以下、のポリエステルであって、(4)該ポリエステルを120℃、水蒸気圧1.1kg/cm2で24時間処理した後の、処理前に対する固有粘度の保持率が65%以上であるポリエステルを要旨とする。かかる本発明によれば、耐加水分解性の良好なポリエステルを得ることができる。
【0011】
該ポリエステルは、好ましくは、ジカルボン酸とジオールとを原料としてエステル化及び重縮合反応により得られる。
又、本発明の他の要旨は、主成分が脂環式ジカルボン酸であるジカルボン酸と、80〜99.95モル%が脂環式ジオール、0.05〜20モル%が炭素数2〜10のアルキレンジオールであるジオールとをジオール/ジカルボン酸(仕込みモル比)が100/100〜150/100でエステル化反応を行い、引き続いて重縮合することを特徴とする上記ポリエステルの製造方法に存する。かかる本発明によれば、上記本発明のポリエステルを、良好な重合速度で生産性良く製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
<ポリエステル>
本発明のポリエステルは、その構成成分のうち、ジカルボン酸成分の主成分が脂環式ジカルボン酸成分であり、ジオール成分の80〜99.95モル%が脂環式ジオール成分、0.05〜20モル%が炭素数2〜10のアルキレンジオール成分である。
【0013】
ここで、ジカルボン酸成分の主成分が脂環式ジカルボン酸成分であるとは、全ジカルボン酸成分に対する脂環式ジカルボン酸成分の割合が50モル%を超えることをいうが、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
主成分の脂環式ジカルボン酸としては例えば1,2−、1,3−、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−、1,5−、2,6-、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。なかで1,4−CHDAAは得られるポリエステルの成形温度が従来のポリエステルの成形温度に近くまた工業的に入手しやすく好ましい。ポリエステルを構成する1,4−CHDA成分のうち、trans体とcis体との合計に対するトランス体が90モル%以上であると得られるポリエステルの耐熱性が高く好ましい。尚、ポリエステル製造時の異性化を考慮すると、原料1,4−CHDAとしては、トランス体を90モル%以上含有するものを用いるのが好ましい。
【0014】
脂環式ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、1,4-フェニレンジオキシジカルボン酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が上げられ、これら他のジカルボン酸は一種又は二種以上用いても良い。
【0015】
又、本発明のポリエステルは、ジオール成分の80〜99.95モル%が脂環式ジオール成分であり、好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、特には97モル%以上が脂環式ジオール成分であるのが好ましい。又、ジオール成分の0.05〜20モル%が炭素数2〜10のアルキレンジオール成分であり、好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下、特に3モル%以下が炭素数2〜10のアルキレンジオール成分であるのが好ましい。炭素数2〜10のアルキレンジオール成分が0.05モル%より少ないとポリマー末端酸価が40以下のものが得にくく、炭素数2〜10のアルキレンジオール成分が20モル%より多いとポリエステルの融点が低すぎて耐熱性が劣ることになる。炭素数2〜10のアルキレンジオールのうち、入手のしやすさの点から炭素数2〜4のジオールが好適である。
【0016】
脂環式ジオールとしては、例えば、1,2−、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−シクロペンタンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン等の5員環ジオール、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス-(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等の6員環ジオールが挙げられる。好ましくは、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられ、中でも、1,4−シクロヘキサンジメタノールは、メチロール基がテレ位にあり反応性が高く高重合度ポリエステルが得やすいこと、高いガラス転移点のポリエステルが得られること等から好ましい。1,4−シクロヘキサンジメタノールは、通常trans体とcis体との混合物であり、そのtrans体とcis体との比は通常80:20〜60:40である。
【0017】
本発明のポリエステルは、その構成成分であるジカルボン酸成分及びジオール成分の種類及び割合が上記を満足するものであれば、その原料は特に限定されないが、ジカルボン酸とジオールを用い、エステル化反応及び重縮合反応により得られるポリエステルが、後述する本発明の耐加水分解性を満足するポリエステルを得る上で好ましい。
【0018】
本発明のポリエステルは、例えば、後述の製造方法により得られるが、その固有粘度0.5dl/g以上である。0.5dl/gより小さいとポリエステル溶融成形時に、溶融粘度が低すぎて成形性に劣り、また得られる成形体の機械的強度が低い。
又、本発明のポリエステルの、ポリマー末端酸価は40当量/トン以下である。好ましくは35当量/トン以下、さらに好ましくは30当量/トン以下である。40より大きいとポリエステルの耐加水分解性が劣る。
【0019】
更に、本発明のポリエステルは、120℃、水蒸気圧1.1kg/cm2で24時間処理した後の、処理前に対する固有粘度の保持率が65%以上である。120℃は一般的に行われている殺菌処理の条件であるが、固有粘度の保持率が65%未満であると、耐加水分解性が劣ることとなり、ポリエステルの強度が保てなくなるため好ましくない。固有粘度の保持率の好ましい範囲は68%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。
【0020】
上記の通り、本発明のポリエステルは、原料としてジカルボン酸を使用することにより好適に得ることが可能であり、原料としてジカルボン酸エステルを用いた場合に比べて、耐加水分解性が良好である傾向がある。これは、原料としてジカルボン酸を使用するためポリマー末端にアルキルエステル構造はなく、同じAV値のポリエステルであっても耐加水分解性が良好となると推定される。
【0021】
本発明のポリエステルは、融点が通常、200℃以上、好ましくは210℃以上である。200℃未満であると耐熱性が劣るため使用できる用途が限られてくる。
又、本発明のポリエステルは、樹脂のYellowness Index (YI)が18以下であるのが好ましく、更に好ましくは15以下である。YIが18を越えると目視によっても黄色いと認識でき、光学用フィルム等にした場合透過した映像が黄色くなり支障を来す。またYIの下限は通常−5程度である。
<ポリエステルの製造>
本発明のポリエステルは、主成分が脂環式ジカルボン酸であるジカルボン酸と、脂環式ジオール及び炭素数2〜10のアルキレンジオールを含むジオールとをエステル化反応及び重縮合せしめて得られる。
【0022】
本発明のポリエステルの構成成分とその割合は、上記の通りであり、かかるポリエステルを製造するためには、通常、原料ジカルボン酸中の脂環式ジカルボン酸は50モル%以上であり、原料ジオール中の脂環式ジオールは80〜99.95モル%炭素数2〜10のアルキレンジオールは0.05〜20モル%程度とする。又、原料ジオールと原料ジカルボン酸の仕込みモル比は、ジオール/ジカルボン酸モル比を通常、100/100〜150/100、好ましくは102/100〜150/100、さらに好ましくは102/100〜140/100である。上記モル比が小さいと重縮合反応後のポリマー末端酸価40以下のポリエステルが得にくく、大きすぎるとと重合性が劣り、固有粘度0.5dl/g以上のポリエステルを得にくい傾向にある。
【0023】
エステル化は、通常、触媒の存在下に行なわれるが、エステル化反応触媒としては、ポリエステルのエステル化触媒として公知のチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、スズ化合物などがあげられる。なかでも、チタン化合物は、エステル化及び後述の重縮合の両反応において活性が高く好ましく用いられる。チタン化合物としては例えばテトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、あるいはこれら有機チタネートの加水分解物などが単独で或いは併用で用いられる。
【0024】
触媒使用量は通常生成するポリマーに対して50〜2000ppm、好ましくは100〜1000ppmである。
又、エステル化は、通常150℃〜230℃ 好ましくは180℃〜220℃で、常圧付近、凡そ1000〜1100 kPa程度で、10分乃至10時間、好ましくは30分乃至5時間行なわれる。
【0025】
エステル化反応終了後、エステル化の反応液に必要に応じて重縮合触媒などを添加し、徐々に反応槽内を減圧にしつつ重縮合反応を行う。
重縮合触媒としてはチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、スズ化合物などがあげられる。
触媒使用量は、通常生成するポリマーに対して50〜2000ppm、好ましくは100〜1000ppmである。尚、エステル化触媒を使用する場合、通常、エステル化触媒と重縮合触媒が合計で生成するポリマーに対して上記範囲となるように用いる。 尚、エステル化及び/又は重縮合反応時に、必要に応じて、ポリエステルの製造時に使用することが知られているマグネシウム化合物、リン化合物などを併用してもよい。 重縮合反応は、 エステル化反応終了温度乃至270℃未満、好ましくは265℃以下で、槽内圧力が常圧から最終的に1KPa以下となる圧力、好ましくは0.5KPa以下で、10分乃至10時間、好ましくは30分乃至5時間行なわれる。反応温度が270℃以上であると、ポエステルが着色しやすくなる。従って、本発明においては、上記エステル化及び重縮合反応を270℃未満の温度で行うことにより、着色を抑制し、YIを低くすることが出来る点で好ましい。
【0026】
重縮合反応物(ポリエステル)は、反応終了後、槽底部より通常ストランド状に抜きだし、水冷しつつカッティングしペレットとして得る。また必要に応じてペレットを固相重合にかけることもできる。
尚、反応は回分法でも連続法でも可能で、エステル化反応は、例えば、原料ジカルボン酸とジオールとを、攪拌機および留出管を備えたエステル化反応槽に仕込み、反応触媒を加え不活性雰囲気下攪拌しつつ反応によって生ずる水を留去しつつ行うことができる。反応終了後、反応液を、攪拌機、留出管および減圧付加装置を備えた重縮合槽に移送し、必要に応じて重縮合触媒などを添加し徐々に反応槽内を減圧にしつつ重縮合反応を行う。又、エステル化反応槽に減圧付加装置を備えて、一槽でエステル化反応および重縮合反応を行うこともできる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、以下に本発明のポリエステルの物性の評価方法をまとめて示す。
[評価方法]
1.ポリマー組成: NMRにより評価
溶媒;重水素化クロロホルム
装置;日本電子製GSX−400
シクロヘキサン環のピーク 1〜2.25ppm、CHDMのO−CH2ピーク 3.85ppm、EGのCH2ピーク4.27ppm、BGのO−CH2ピーク 4.09ppmから計算
2.固有粘度(IV)
ポリエステルペレットをフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)混合液を溶媒とし、ウベローデ型粘度計を用いて30℃で測定することにより求めた。
3.ポリマー末端酸価(AV)
ポリエステルペレットをベンジルアルコールに溶解し、0.1N−NaOHにより滴定した値であり、ポリマー1トン当たりのカルボキシル基当量である。
4.ポリマー融点(Tm)
セイコーインスチルメンツ社製示差走査熱量計(DSC220)を用い、窒素気流下、室温から速度20℃/minで300℃まで昇温し、その後室温まで速度20℃/minで冷却し、再び室温から速度20℃/minで300℃まで昇温した時の融点のピークをTmとした。
5.Yellowness Index(YI)
JIS K7103に従い、光電色彩計(日本電色工業社製ND−300)を用いて試料ペレットの三刺激値X、Y、Zを測定し、黄色度YIは下式によって計算で求めた。
【0028】
YI=100(1.28X−1.06Z)Y
6.耐加水分解性
ポリエステルペレットを、120℃、水蒸気圧 1.1kg/cm2 24時間処理し、処理前に対する処理後のIV保持率(%)で示した。
[実施例1]
攪拌機、留出管および減圧装置を装備した反応器に1,4−CHDA(trans体98.2%) 184gと1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM) 158g、エチレングリコール(EG) 1.5g、及びテトラ−n−ブチルチタネートの6%ブタノール溶液 0.9gを仕込み、窒素フロー下で150℃まで加熱した後、200℃まで1時間をかけて昇温した。その後200℃で1時間保持しエステル化反応を行った後、200℃から250℃へ45分間で昇温しつつ徐々に反応器内を減圧にしながら重縮合反応を行った。反応器内圧力0.1KPa、反応温度250℃で2時間15分重合後、得られたポリマーをストランド状に水中に抜き出した後ペレット状にした。得られたペレットは80℃で5時間真空乾燥機で乾燥した。乾燥後のポリマーの固有粘度(IV)は0.945dl/gであり、ポリマー末端酸価(AV)は34.9当量/トンであった。またポリマーの融点(Tm)は217℃、Yellowness Index(YI)は14.1であった。
【0029】
ポリマー中のCHDA成分、CHDM成分及びEG成分をNMRにより分析したところ、CHDA/CHDM/EGが100/98.6/1.4であった。また耐加水分解性は70.1%であった。
[実施例2〜5] [比較例1、2]
原料、原料仕込量、及び重合時間を表−1に示したものに変えた以外実施例1と同様にしてポリマーを得た。尚、表−1中、EG及びBGは、夫々、短鎖ジオールとしてエチレングリコール又は1,4−ブタンジオールを使用したことを示す。生成ポリマーの組成、IV、AV、Tm、YI、耐加水分解性のデータを同じく表−1に示す。
[比較例3]
原料モノマーとして1,4−CHDA(trans体98.2%) 184gと1,4−シクロヘキサンジメタノール170gを用い、重合温度を270℃とした以外、実施例1と同様にしてポリマーを得た。生成ポリマーの組成、IV、AV、Tm、YI、耐加水分解性のデータを同じく表−1に示した。
[比較例4]
原料として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(DMCD)を 215g、1,4−シクロヘキサンジメタノールを 154g用い、重合温度を265℃とした以外実施例1と同様にしてポリマーを得た。生成ポリマーの組成、IV、AV、Tm、YI、耐加水分解性のデータを同じく表−1に示した。
[比較例5]
原料として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(DMCD)を 221g、1,4−シクロヘキサンジメタノールを 154g、1,4−ブタンジオールを5g用い、重合温度を253℃とした以外実施例1と同様にしてポリマーを得た。生成ポリマーの組成、IV、AV、Tm、YI、耐加水分解性のデータを同じく表−1に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
アルキレンジオールを原料として使用しなかった比較例1では、耐加水分解性が著しく劣り、末端酸価の低減を目的にジオール成分を多量に使用した比較例2では重合速度が著しく遅く、固有粘度の著しく低いポリエステルしか得られなかった。比較例3では、公知の方法に準じてアルキレンジオールを使用せず、シクロヘキサンジメタノールの使用量を増やして重合温度を高めた場合、耐加水分解性は良好であるものの、融点が低く、またYIが著しく劣るものであった。
【0032】
又、特許文献1(USP5,986,040)の方法に準じてシクロヘキサンジカルボン酸エステルとシクロヘキサンジメタノールを原料とした比較例4では、末端酸価は低いものの耐加水分解性に劣るものであり、特許文献2(USP6,084,055)の方法に準じてシクロヘキサンジカルボン酸エステル、シクロヘキサンジメタノール及びブタンジオールを原料とした比較例5では、末端酸価は低いものの耐加水分解性に劣るものであった。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、耐加水分解性に優れた脂環式ポリエステルを提供することができる。又、本発明の方法によれば、良好な重合速度で生産性良く本発明のポリエステルを製造することができる。
Claims (10)
- (1)ポリエステルの構成成分のうち、ジカルボン酸成分の主成分が脂環式ジカルボン酸成分であり、ジオール成分の80〜99.95モル%が脂環式ジオール成分、0.05〜20モル%が炭素数2〜10のアルキレンジオール成分であり、(2)固有粘度が0.5dl/g以上かつ、(3)ポリマー末端酸価が40当量/トン以下、のポリエステルであって、(4)該ポリエステルを120℃、水蒸気圧1.1kg/cm2で24時間処理した後の、処理前に対する固有粘度の保持率が65%以上であるポリエステル。
- ジオール成分の90〜99.95モル%が脂環式ジオール成分であり、0.05〜10モル%が炭素数2〜10のアルキレンジオール成分である請求項1に記載のポリエステル。
- Yellowness Index (YI)が18以下である請求項1または2に記載のポリエステル。
- 融点が200℃以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル。
- 脂環式ジオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノール成分である請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル。
- 脂環式ジカルボン酸成分が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分である請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル。
- 1,4-シクロヘキサンジカルボン酸成分の90モル%以上がトランス体であることを特徴とする請求項6に記載のポリエステル。
- ジカルボン酸とジオールとを原料としてエステル化及び重縮合反応により得られたものである請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル。
- 主成分が脂環式ジカルボン酸であるジカルボン酸と、80〜99.95モル%が脂環式ジオール、0.05〜20モル%が炭素数2〜10のアルキレンジオールであるジオールとをジオール/ジカルボン酸(仕込みモル比)が100/100〜150/100でエステル化反応を行い、引き続いて重縮合することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルの製造法。
- エステル化反応及び重縮合を270℃未満の温度で行うことを特徴とする請求項9に記載のポリエステルの製造法。
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